令和6年度版

 

§3 財務大臣への権限の委任(第109条の5)

厚生労働大臣は、滞納処分等権限の全部又は一部を自らが行うこととした場合等において、滞納処分等その他の処分に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることその他の政令で定める事情※1〕があるため、保険料その他国民年金法の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分権限の全部又は一部を委任することができます(第109条の5第1項)。

 

※ 財務大臣は、これにより委任された権限等を国税庁長官に委任します(第109条の5第5項)。

国税庁長官は、政令で定めるところにより、この第5項により委任された権限の全部又は一部納付義務者居住地管轄する国税局長に委任することができます(同条第6項)。

国税局長は、政令で定めるところにより、この第6項により委任された権限の全部又は一部を納付義務者の居住地を管轄する税務署長に委任することができます(同条第7項)。

【過去問 令和4年問5D(こちら)】

 

 

○趣旨

 

滞納処分等は、基本的には、厚生労働大臣の権限に係る事務の委任(第109条の4第1項第23号~第25号)として機構が行いますが、厚生労働大臣も、一定の場合は、自ら滞納処分等の権限を行うことができます(第109条の4第2項以下)。

そして、滞納処分等に係るこの厚生労働大臣の権限の全部又は一部は、一定の場合〔=政令で定める事情があるとき。※1〕には、財務大臣に委任することができます(第109条の5第1項施行令第11条の10)。

この財務大臣の権限の全部又は一部は、国税庁長官に委任され(第109条の5第5項)、さらにその権限の全部又は一部は、国税局長・税務署長の順に委任することができます(同条第6項第7項)。

これらにより、悪質な滞納者について、滞納処分等の強化を図ることとしたものです。

  

 

一 要件

◆厚生労働大臣が、滞納処分等の権限の全部又は一部を自らが行うこととした場合等において、滞納処分等その他の処分に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることその他の「政令で定める事情」〔※1〕があるため、保険料その他国民年金法の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めること(第109条の5第1項)。

 

 

※1 上記の「政令で定める事情」とは、次の(ア)~(エ)いずれにも該当することとされます(施行令第11条の10施行規則第105条第106条)。

ここは、暗記が必要です。 

 

平成28年度試験 改正事項

(ア)納付義務者が厚生労働省令で定める月数〔=13月分以上保険料滞納していること。 

 

※ この(ア)は、平成27年10月1日施行の改正(【平成27.9.30厚生労働省令第154号】)により、従来の「24月」から「13月」に改められました。

さっそく、改正直後の【選択式 平成28年度 D=「13」(こちら)】で出題されました。

 

 

(イ)納付義務者が第109条の5第1項に規定する滞納処分等その他の処分(以下、本ページにおいて「滞納処分等その他の処分」といいます)の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあること。

 

 

(ウ)納付義務者の前年所得(1月から厚生労働省令で定める月〔=6月〕までにおいては、前々年の所得)が厚生労働省令で定める額〔=1千万円以上であること。

【選択式 平成28年度 E=「1,000万円」(こちら)】

 

 

(エ)滞納処分等その他の処分を受けたにもかかわらず、納付義務者が滞納している保険料そ

の他国民年金法(第10章〔=基金及び連合会〕を除きます)の規定による徴収金の納付について誠実な意思有すると認められないこと。

 

 

※ なお、厚年法厚年法のこちら以下、各科目のパスワード)や健保法健保法のこちら)等においては、上記(ア)こちら)は、24月分以上の保険料滞納であり、また、上記の(ウ)こちら)は、「納付義務者が滞納している保険料等の額が、厚生労働省令で定める金額〔=5千万円以上であること」に代わります。

 

【選択式 厚年法 令和元年度 B=「24か月分以上及び5千万円以上」(厚年法のこちら)】

 

 

以上の(ア)~(エ)をゴロ合わせにより覚えます(ゴロでは、まず、健保法・厚年法の場合から押さえています)。

 

※【ゴロ合わせ】

・「財務大臣は結構不審な5千万を国民を通さないで隠ぺいした

 

→「財務大臣は、結、構(=「健」保法・「厚」年法)、不審(=「24」月分以上の保険料滞納)な、5千万(=健保法・厚年法の場合、滞納保険料等額が「5千万」円以上)を、

国民(=「国民」年金法)を、通さ(=「13」月分以上の保険料滞納)ないで、隠ぺ(=「隠ぺい」)、い(=国年法の場合、前年所得が「1」千万円以上)した」

 

  

※ 以上について、従来、国年法では出題されていませんでしたが、厚年法では、【平成26年問2】において、上記(ア)~(エ)に相当する部分が出題されました(詳細は、厚年法の「財務大臣への権限の委任等」の個所(こちら)を参照です)。

その後も、当サイトでは、他の科目での出題について引き続き注意すべき旨を指摘していましたが、上記の通り、国年法の平成28年度の選択式で2か所出題されました(こちら)。

さらに、厚年法では、令和元年度の選択式において、(ア)と(ウ)(こちら以下)に相当する部分の数字が出題されました(厚年法のこちら)。

今後も、数字やキーワードを押さえておきます。

 

 

 

二 効果

(一)委任関係

◆厚生労働大臣は、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を財務大臣に委任することができます(第109条の5第1項)。

  

以後の委任関係は、次の図の通りです。【過去問 前掲の令和4年問5D(こちら)】

 

(1)財務大臣は、厚生労働大臣から委任された権限等を国税庁長官委任します第109条の5第5項)。

 

(2)国税庁長官は、政令で定めるところにより、この(1)(第5項)により委任された権限の全部又は一部を納付義務者居住地を管轄する国税局長委任することができます(第109条の5第6項)。

 

(なお、この(2)について、国年法では、「委任することができる」と規定されていますが、実際上は、後述の※のように、施行令において、「委任する」と規定されており、運用上は、委任することになっています。

しかし、本件については、例えば、第109条の5第6項の末尾が「委任することができる」となっているのか「委任する」となっているのかといった違いが論点となるような出題がなされることは想定しにくいため(重要ではないからです)、さしあたり「委任することができる」でも「委任する」でも構いません。上記の図は、国年法の条文をベースにしています。

ちなみに、誤解のないように付言しておきますが、条文の末尾は非常に重要であることが多いです(例えば、義務規定なのか努力義務規定なのか等)。「本件では末尾は重要でない」ということに過ぎません。)

 

(3)国税局長は、政令で定めるところにより、前記の(2)(第6項)により委任された権限の全部又は一部を納付義務者居住地を管轄する税務署長委任することができます(第109条の5第7項)。

 

 

※ なお、上記(2)及び(3)の委任できる権限の範囲等については、具体的には次の通りです(施行令第11条の12)。

 

まず、上記(2)の場合、国税庁長官は、委任された権限の「全部」を納付義務者の居住地を管轄する国税局長に「委任します」(施行令第11条の12第1項)。

上記(3)の場合は、国税局長は、「必要があると認めるとき」は、委任された権限の「全部」を納付義務者の居住地を管轄する税務署長に委任します(同条第2項)。 

 

 

 

(二)報告

財務大臣は、厚生労働大臣からの委任に基づき、滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を行ったときは、厚生労働省令で定めるところにより、滞納処分等その他の処分の執行の状況及びその結果厚生労働大臣報告するものとされます(第109条の5第2項)。

 

この執行の状況及びその結果に関する報告は、6月に1回、所定の事項〔=財務大臣が行った差押え、参加差押え、交付要求及び財産の換価の件数並びに財産の換価等により徴収した金額等〕について行うものとされます(施行規則第107条)。 

 

※ 上記赤字の数字は記憶しておいて下さい。「財(「6」)大臣」だから「月に1回」とでも押さえておきましょう。 

 

 

 

以下、財務大臣への権限の委任に関する条文を掲載しておきます。

次の第109条の5については、時間的余裕のある方は一度はざっと眼を通して頂いた方が良いですが、必須ではなく、また、その他の後掲の条文は読まないで結構です(本文中で試験対策上の要点はすべて拾っています)。

このページの最後(こちら)に、平成28年度の選択式を掲載しており、その後は、次のページの「被保険者」にお進み下さい。

 

 

【条文】

第109条の5(財務大臣への権限の委任)

1.厚生労働大臣は、前条〔=第109条の4〕第3項〔=厚生労働大臣は、機構から、権限に係る事務の委任について厚生労働大臣自らその権限を行うよう求めがあった場合において必要があると認めるとき、又は機構が天災その他の事由により権限に係る事務の委任(第109条の4第1項各号)に掲げる事務の全部若しくは一部を行うことが困難若しくは不適当となったと認めるときは、同項各号に掲げる権限の全部又は一部を自ら行います〕の規定により滞納処分等及び同条第1項第23号〔=国税徴収の例による徴収に係る権限〕の全部又は一部を自らが行うこととした場合におけるこれらの権限並びに同号に規定する厚生労働省令で定める権限のうち厚生労働省令〔=施行規則第104条〕で定めるもの(以下この条において「滞納処分等その他の処分」という。)に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることその他の政令〔=施行令第11条の10定める事情があるため保険料その他この法律の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる

 

2.財務大臣は、前項の委任に基づき、滞納処分等その他の処分の権限全部又は一部を行つたときは、厚生労働省令〔=施行規則第107条〕で定めるところにより、滞納処分等その他の処分の執行の状況及びその結果を厚生労働大臣に報告するものとする。

 

3.前条第5項〔=滞納処分等の対象者が特定されている場合に、当該者に対して厚生労働大臣が滞納処分等を行うこととなる旨等を通知すべきこと〕の規定は、第1項の委任に基づき、財務大臣が滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を行う場合の財務大臣による通知について準用する。この場合において、必要な技術的読替えその他滞納処分等その他の処分の対象となる者に対する通知に関し必要な事項は、厚生労働省令〔=施行規則第108条及び第109条〕で定める。

 

4.財務大臣が、第1項の委任に基づき、滞納処分等その他の処分の権限の全部若しくは一部を行うこととし、又は同項の委任に基づき行つている滞納処分等その他の処分の権限の全部若しくは一部を行わないこととする場合における滞納処分等その他の処分の権限に係る事務の引継ぎその他の必要な事項は、厚生労働省令〔=施行規則第110条〕で定める。

 

5.財務大臣は、第1項の規定により委任された権限、第2項の規定による権限及び第3項において準用する前条第5項〔=前掲の通知〕の規定による権限を国税庁長官委任する

 

6.国税庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の全部又は一部を納付義務者居住地を管轄する国税局長委任することができる。

 

7.国税局長は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の全部又は一部を納付義務者居住地を管轄する税務署長委任することができる。

 

 

【施行令】

施行令第11条の10(法第109条の5第1項に規定する政令で定める事情)

法第109条の5第1項に規定する政令で定める事情は、次の各号のいずれにも該当するものであることとする。

 

一 納付義務者が厚生労働省令〔=施行規則第105条〕で定める月数〔=13月分以上保険料滞納していること。

 

二 納付義務者が法第109条の5第1項に規定する滞納処分等その他の処分(以下「滞納処分等その他の処分」という。)の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあること。

 

三 納付義務者の前年所得(1月から厚生労働省令〔=施行規則第106条第1項〕で定める月〔=6月〕までにおいては、前々年の所得)が厚生労働省令〔=施行規則第106条第2項〕で定める額〔=1千万円以上であること。

 

四 滞納処分等その他の処分を受けたにもかかわらず、納付義務者が滞納している保険料その他法(第10章〔=基金及び連合会〕を除く。第11条の13(国年法のパスワード)〔=機構が収納を行う場合〕において同じ。)の規定による徴収金の納付について誠実な意思を有すると認められないこと。

  

 

施行令第11条の12(国税局長又は税務署長への権限の委任)

1.国税庁長官は、法第109条の5第5項の規定により委任された権限の全部を納付義務者の居住地を管轄する国税局長委任する

 

2.国税局長は、必要があると認めるときは、法第109条の5第6項の規定により委任された権限の全部を納付義務者の居住地を管轄する税務署長委任する

 

  

 

※ 以下の条文は、読まなくて結構です。

 

【施行規則】

施行規則第104条(法第109条の5第1項に規定する厚生労働省令で定める権限)

 

法第109条の5第1項に規定する厚生労働省令で定める権限は、第98条第1号〔=国税徴収法第32条第1項(=第2次納税義務者に対する納入の告知)の規定の例による告知〕、第2号〔=国税徴収法第32条第2項(=第2次納税義務者が納付期限までに完納しないときの督促)の規定の例による督促〕及び第6号から第9号まで〔=第6号(=国税通則法第42条において準用する民法第423条第1項〔=債権者代位権〕の規定の例による納付義務者に属する権利の行使)、第7号(=国税通則法第42条において準用する民法第424条第1項〔=詐害行為取消権〕の規定の例による法律行為の取消しの裁判所への請求)、第8号(=国税通則法第46条の規定の例による納付の猶予)及び第9号(=国税通則法第49条の規定の例による納付の猶予の取消し)〕に掲げる権限とする。

  

 

施行規則第105条(令第11条の10第1号に規定する厚生労働省令で定める月数)

 

令第11条の10第1号に規定する厚生労働省令で定める月数は、13月とする。

 

 

施行規則第106条(令第11条の10第3号に規定する厚生労働省令で定める月及び額)

 

1.令第11条の10第3号に規定する厚生労働省令で定める月は、6月とする。

 

2.令第11条の10第3号に規定する厚生労働省令で定める額は、1千万円とする。

 

 

施行規則第107条(滞納処分等その他の処分の執行状況及びその結果の報告等)

法第109条の5第2項の規定による滞納処分等その他の処分(同条第1項に規定する滞納処分等その他の処分をいう。以下同じ。)の執行の状況及びその結果に関する報告は、6月に1回、次の各号に掲げる事項について行うものとする。

 

一 財務大臣が行つた差押え、参加差押え、交付要求及び財産の換価の件数並びに財産の換価等により徴収した金額

 

二 その他必要な事項

 

 

施行規則第108条(財務大臣による通知に関する技術的読替え等)

1.法第109条の5第3項の規定により法第109条の4第5項〔=厚生労働大臣は、〔第109条の4〕第3項の規定により自ら行うこととした滞納処分等について、機構から引き継いだ当該滞納処分等の対象となる者が特定されている場合には、当該者に対し、厚生労働大臣が当該者に係る滞納処分等を行うこととなる旨その他の厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない〕の規定を準用する場合においては、同項中「厚生労働大臣は」とあるのは「財務大臣は」と、「第3項の規定により自ら行うこととした滞納処分等」とあるのは「第109条の5第1項の規定により委任された滞納処分等その他の処分」と、「機構」とあるのは「厚生労働大臣」と、「引き継いだ当該滞納処分等」とあるのは「委任を受けた当該滞納処分等その他の処分」と、「厚生労働大臣が」とあるのは「財務大臣が」と、「滞納処分等を」とあるのは「滞納処分等その他の処分を」と読み替えるものとする。

 

2.法第109条の5第3項において読み替えて準用する法第109条の4第5項の規定による通知は、法第109条の5第5項から第7項までの規定による委任が行われる場合には、当該委任を最後に受けた者が、当該委任を受けた後速やかに行うものとする。

 

 

施行規則第109条(法第109条の5第3項において読み替えて準用する法第109条の4第5項に規定する厚生労働省令で定める事項)

 

法第109条の5第3項において読み替えて準用する法第109条の4第5項〔=滞納処分等の対象者が特定されている場合に、当該者に対して厚生労働大臣が滞納処分等を行うこととなる旨その他の厚生労働省令で定める事項を通知すべきこと〕に規定する厚生労働省令で定める事項は、次の各号に掲げる事項とする。

 

一 財務大臣(法第109条の5第5項から第7項までの規定による委任が行われた場合にあつては、当該委任を受けた国税庁長官、国税局長又は税務署長)が滞納処分等その他の処分を行うこととなる旨

 

二 厚生労働大臣から当該滞納処分等その他の処分の委任を受けた年月日

 

三 厚生労働大臣から委任を受けた後に当該滞納処分等その他の処分を担当する財務省(法第109条の5第5項から第7項までの規定による委任が行われた場合にあつては、国税庁、国税局又は税務署)の部局の名称

 

四 当該滞納処分等その他の処分の対象となる者の氏名及び住所又は居所

 

五 当該滞納処分等その他の処分の対象となる者の委託を受けた納付受託者の事業所の名称及び所在地

 

六 当該滞納処分等その他の処分の根拠となる法令

 

七 滞納している保険料その他法の規定による徴収金の種別及び金額

 

八 その他必要な事項

 

 

 

 

◯過去問: 

 

・【選択式 平成28年度】

設問:

国民年金法に規定する厚生労働大臣から財務大臣への滞納処分等に係る権限の委任に関する事情として、

(1)納付義務者が厚生労働省令で定める月数である  か月分以上の保険料を滞納していること、

(2)納付義務者の前年の所得(1月から6月までにおいては前々年の所得)が  以上であること、

等が掲げられている。

 

選択肢(本問に関連するもののみ):

①6 ②12 ③13 ④24 ⑨360万円 ⑩462万円 ⑪850万円 ⑫1,000万円

 

 

解答:

 

D=③「13」(施行令第11条の10第1号施行規則第105条

 

E=⑫「1,000万円」(施行令第11条の10第3号施行規則第106条第2項

 

 

※ 前年の改正個所(Dの「13か月」)を含む出題でした。出題可能性がある個所として、準備をしていた方が多かったと思います。 

 

 

・【令和4年問5D】

設問:

厚生労働大臣から滞納処分等その他の処分の権限を委任された財務大臣は、その委任された権限を国税庁長官に委任し、国税庁長官はその権限の全部を納付義務者の住所地を管轄する税務署長に委任する。

 

解答:

誤りです。

「国税庁長官はその権限の全部を納付義務者の住所地を管轄する税務署長に委任する」のではなく、「国税庁長官は、委任された権限の①全部又は一部を納付義務者の居住地を管轄する国税局長に委任することができ(第109条の5第6項)、国税局長は、当該委任された権限の②全部又は一部を納付義務者の居住地を管轄する税務署長に委任することができる(第109条の5第7項)」が正しいです。

ただし、上記の①及び②の「全部又は一部」については、実際は、施行令第11条の12において「全部」と規定されています(即ち、国税庁長官は、委任された権限の「全部」を納付義務者の居住地を管轄する国税局長に「委任」し(施行令第11条の12第1項)、また、国税局長は、「必要があると認めるとき」は、委任された権限の「全部」を納付義務者の居住地を管轄する税務署長に委任します(同条第2項)。 

従って、本問は、「国税局長」に対する委任について記載されていない点が誤りとなります。

以上については、本文のこちら以下の図と説明をご参照下さい。

 

 

以上で、「主体」の「保険者」に関する問題を終わります。次のページからは、「被保険者」に入ります。