令和6年度版

 

§5 旧法と新法の給付

昭和36年4月1日から昭和61年3月31日まで施行されていた国民年金法を、旧法といいます(なお、以下では「旧国民年金法」又は「旧国年法」と表現することもあります)。

新法は、昭和61年4月1日以後に施行されている現行国民年金法のことです。

 

※ これらの国民年金制度の沿革等については、次のページ(こちら以下)で詳しく学習します。

初学者の方は、このページの以下の記載をお読みになる前に、次のページの〔1〕「国民年金制度の開始」(こちら)と〔2〕「基礎年金制度の導入」(こちら)の個所だけを先にお読み頂いた方がわかりやすいかもしれません(ただし、当該ページの〔3〕「旧法における主要な改正」以下(こちら以下)の部分は、細かい知識が多いため、まだお読みにならないようにご注意下さい)。

 

以下では、旧法と新法の適用関係等について触れておきます。

 

 

 

〔1〕旧法の給付

前提として、旧法の給付を整理しておきます。


上記の旧法の給付について、若干、解説します。試験対策上、詳細を知る必要はなく、用語と内容の大まかなイメージをつかめば足りるでしょう。

 

 

(1)老齢年金

新法の老齢基礎年金に相当するものです。 

一定期間、旧国民年金の保険料を納付した者が65歳(原則)に達したときに支給されました(旧国年法第26条等)。

 

(2)付加年金

新法の付加年金に相当するものです(旧国年法第27条第2項、第87条の2)。

 

(3)通算老齢年金

昭和61年4月1日前の公的年金制度において、各公的年金制度における加入期間を通算して老齢給付の受給資格期間を算定することができました。

この加入期間の通算により受給資格期間を満たした老齢年金を通算老齢年金といいます(旧国年法第29条の2等、通算年金通則法)。

 

(4)老齢福祉年金

旧国民年金法の福祉年金は、旧国民年金法の発足当時に、高齢者、障害者又は母子状態であった者について、基本的に、無拠出(保険料の納付が必要ないということです)により給付を行うものでした。 

 

このうち老齢福祉年金とは、明治44年(1911年)4月1日以前に生まれた者(旧国年法の発足当時(施行日前日=昭和36年(1961年)3月31日)に50歳に達している者。無拠出者です)、又は明治44年4月2日から大正5年(1916年)4月1日までに生まれた者で、保険料納付済期間が1年未満であって、かつ、保険料納付済期間等が一定期間(4年~7年)あるものについて、原則として70歳から支給されました(旧国年法第54条等)。

 

(5)障害年金

新法の障害基礎年金に相当するものです(旧国年法第30条等)。

 

(6)障害福祉年金

障害者に対する福祉年金です(旧国年法第56条等)。

 

(7)母子年金

死亡した夫に生計維持されていた妻が、死亡当時18歳の年度末までにある子等と生計を同一にしていた場合に支給されました。(なお、子等の要件は、数次の改正を経ています。)(旧国年法第37条等)

 

夫が国民年金の被保険者であることは要件でなく、夫の死亡当時、妻が国民年金の被保険者であり、保険料納付要件を満たしているか、妻が老齢年金の支給を受けるのに必要な受給資格期間を満たしていることが要件でした。

 

母子年金、準母子年金及び遺児年金は、新法施行日以後も引き続いて支給されました。(現在は、支給を受けている者はいないようです。)

 【過去問 平成16年問3D(こちら)】

 

(8)準母子年金

死亡した生計の中心である男性(夫、父、祖父又は子)と死別した女性(祖母又は姉)が、18歳の年度末までにある孫等又は弟妹等と生計を同一にしていた場合に支給されました。 

上記の母子年金の妻と同様の要件を満たすことが必要です(旧国年法第41条の2等)。

 

(9)遺児年金

死亡した父又は母に生計維持されていた18歳の年度末までにある子等が孤児になった場合に支給されます。当該死亡した父又は母が、母子年金の妻と同様の要件を満たすことが必要で(旧国年法第42条等)。

 

(10)寡婦年金、(11)死亡一時金

新法のそれぞれに相当するものです(旧国年法第49条等、52条の2等)。

 

(12)母子福祉年金

母子年金の支給要件に該当しない被保険者である妻が18歳未満の子等の生計を維持していた場合等に支給されました(旧国年法第61条等)。

 

(13)準母子福祉年金

準母子年金の支給要件に該当しない女性に支給されました(旧国年法第82条等)。

 

 

次に、旧法と新法の適用関係を見ます。

 

 

 

〔2〕旧法と新法の適用関係

一 基本的ルール

◆基本的には、昭和61年4月1日新法の施行日までに給付の支給要件に該当した者(受給権発生した者)については、原則として、引き続き旧法による給付が支給され、昭和61年4月1日以後支給要件に該当した者(受給権発生した者)については、新法による給付が支給されます。

 

具体的には、以下の通りです。

 

 

(一)老齢基礎年金

 

◆老齢基礎年金は、大正15年4月2日以後生まれた者新法施行日旧法の老齢・退職年金給付の受給権を取得していた者除きます)を支給対象とします(昭和60年改正法附則第31条第1項参考)。 

 

【選択式 平成15年度 D=「大正15年4月2日」。こちら)】

 

即ち、大正15年(=1926年、昭和元年です。12月25日までが大正で、12月26日から昭和です)4月2日以後に生まれた者は、「新法施行日である昭和61年(=1986年)4月1日以後60歳に達する者(60歳以上となる者)であり、かかる者を新法の老齢基礎年金の支給対象としたものです。

 

なお、「誕生日の前日」に新たな年齢に達します。詳細は、後述します(こちら)。

 

 

◆対して、以下の者については、旧法適用されます(昭和60年改正法附則第31条第1項)。

 

1 大正15年4月1日以前に生まれた者

 

2 大正15年4月2日以後生まれた者であって、昭和61年4月1日(新法施行日)に、旧厚生年金保険又は旧船員保険の老齢年金の受給権を有していた者

 

3 大正15年4月2日以後生まれた者であって、昭和61年4月1日(新法施行日)に、共済組合が支給する退職年金新法施行日前日〔=昭和61年3月31日〕においてその受給権者が55歳に達しているもの〔=即ち、昭和6年4月1日以前に生まれた者〕に限ります)若しくは減額退職年金(新法施行日の前日においてその受給権者が55歳に達しているものに限ります)の受給権を有していた者

 

※ この3は、旧厚年法とのバランスを考慮したものです。

即ち、上記2により、新法の施行日前に旧厚年法の老齢年金の受給権を有している者(55歳から支給されました)については新法は適用されないことから(旧法の年金額の方が多いためです)、55歳から支給される旧法の共済組合の退職年金等についても、同様に取り扱ったものです(なお、減額退職年金とは、支給の繰上げを行ったものです)。

 

上記の2や3の知識は、後に学習します合算対象期間において必要となります。

 

 

 

(二)障害基礎年金 

 

◆障害基礎年金は、原則として、障害認定日昭和61年4月1日以後である者を支給対象とします(福祉年金は除きます)。(昭和60年改正法附則第23条昭和61年経過措置政令第29条~第42条

 

【選択式 平成15年度 E=「障害認定日」(こちら)】

 

※ なお、事後重症のように、請求を支給要件とする場合は、昭和61年4月1日以後に請求したときは新法(障害基礎年金)の支給対象となります。

 

 

 

(三)遺族基礎年金

 

◆遺族基礎年金は、死亡日昭和61年4月1日以後である者を支給対象とします(福祉年金は除きます)。

 

 

※ 次に、以上に関する条文を掲載しておきます。

前述しましたが、年金法の条文のうち、附則等は複雑なものが多く、試験対策上、読むとかえって混乱し時間を浪費する場合がありますので注意が必要です。

当サイトの国年法及び厚年法では、読んで頂く必要がある条文については明記します(明記のない条文については、読まなくて結構です)。

次の条文も読む必要はないですが、やや参考になるため、一応、ここに掲載しておきます(お読みになる場合も、太字部分だけで足ります)。

 

 

【昭和60年改正法附則第31条】

昭和60年改正法附則第31条(施行日において60歳以上の者に係る国民年金の年金たる給付の特例)

 

1.大正15年4月1日以前に生まれた者又は大正15年4月2日以後に生まれた者であつて施行日〔=昭和61年4月1日〕の前日において旧厚生年金保険法による老齢年金若しくは旧船員保険法による老齢年金又は共済組合が支給する退職年金(同日〔=施行日前日〕においてその受給権者が55歳に達しているものに限る。)若しくは減額退職年金(同日においてその受給権者が55歳に達しているものに限る。)の受給権を有していたもの(寡婦年金にあつては、死亡したこれらの者の妻)については、附則第15条(国年法のパスワード)〔=振替加算額のみの老齢基礎年金〕及び第18条〔=65歳到達日後に受給資格期間を満たした者〕並びに新国民年金法第3章第2節〔=老齢基礎年金〕、同章第5節第1款〔=付加年金〕及び第2款〔=寡婦年金〕並びに同法附則第9条の3〔=特例老齢年金〕の規定を適用せず旧国民年金法中同法による老齢年金通算老齢年金及び寡婦年金の支給要件に関する規定並びにこれらの年金たる給付の支給要件に関する規定であつてこの法律によつて廃止され又は改正されたその他の法律の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含む。)は、これらの者について、なおその効力を有する

 

2.前項の規定によりなおその効力を有するものとされた規定の適用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

 

 

 

二 福祉年金

旧国民年金法の福祉年金は、旧法の発足当時に、高齢者、障害者又は母子状態であった者について、基本的に無拠出(保険料の拠出がないこと)により給付を行うものです。

この福祉年金については、新法の施行時新法の給付に切替えられたもの裁定替えといいます)があります具体的には次の通りです(ここは、押さえる必要があります)。

 

 

(一)老齢福祉年金

 

老齢福祉年金は、新法施行後の現在でも支給の対象となっています(昭和60年改正法附則第32条第1項等)。

 

この老齢福祉年金とは、前述しましたように、明治44年4月1日以前に生まれた者(旧国年法の発足当時(施行日前日=昭和36年3月31日)に50歳に達している者。無拠出者です)、又は明治44年4月2日から大正5年4月1日までに生まれた者で、保険料納付済期間が1年未満であって、かつ、保険料納付済期間等が一定期間(4年~7年)あるものについて、原則として70歳から支給されるものです。

 

※ 老齢福祉年金は、以下の障害福祉年金等と異なり、新法老齢基礎年金裁定替えされていません

福祉年金は、本来の支給要件は満たしていない場合に、原則として無拠出により支給を行うものであり、本来の給付の額より低額となっているため、以下の障害福祉年金等の場合は、新法の年金に切り替えられています。

しかし、老齢基礎年金は、保険料納付済期間等により年金額が左右されるものであるため、老齢福祉年金を老齢基礎年金に切り替えても、さほど受給権者に有利にならないことから、裁定替えをしなかったものです。

 

 

 

(二)障害福祉年金

 

◆障害福祉年金については、昭和61年3月31日において障害福祉年金受給権を有する者が、昭和61年4月1日障害基礎年金障害等級に該当する障害状態にあるときは、これを裁定替えして、障害基礎年金を支給することとしました(昭和60年改正法附則第25条第1項)。 

【過去問 平成21年問1E(こちら)】

 

なお、この場合に支給される障害基礎年金は、20歳前傷病による障害基礎年金第30条の4こちら以下)です(この20歳前傷病による障害基礎年金は、特有の支給停止事由(所得制限等)があります。これらの詳細については、障害基礎年金の個所で学習します)。

 

 

 

(三)母子福祉年金、準母子福祉年金

 

昭和61年3月31日において母子福祉年金又は準母子福祉年金受給権を有する者については、昭和61年4月1日に、これらを裁定替えして、遺族基礎年金を支給することとしました(昭和60年改正法附則第28条第1項)。 

【過去問 平成16年問3B(こちら)】

 

 

以上の福祉年金の裁定替えについては、ゴロ合わせで覚えておきます。

 

※【ゴロ合わせ】

・「障害の、母子は服を着替える

(障害福祉年金、母子福祉年金及び準母子福祉年金については、昭和61年4月1日に裁定替えされたことを覚えます。)

 

→「障害(=「障害」福祉年金)の、母子(=「母子」福祉年金及び準「母子」福祉年金)は、服(=「福」祉年金)を、着、替える(=裁定「替え」)」

  

 

以上で、旧法と新法の給付の適用関係について終わります。以下では、この適用関係に関する過去問を掲載しています。そのあとに、読まなくてよい条文を掲載しています。

 

 

 

○過去問:

 

・【平成21年問1E】

設問:

昭和61年3月31日において、旧国民年金法による障害福祉年金の受給権を有していた者のうち、昭和61年4月1日において障害の状態が障害基礎年金の障害等級に該当する程度の障害の状態にある者には、障害基礎年金が支給される。

 

解答:

正しいです(昭和60年改正法附則第25条第1項)。

障害福祉年金の裁定替えのケースであり、本文はこちらです。

 

 

・【平成16年問3B】

設問:

昭和61年3月31日において旧国民年金法による母子福祉年金又は準母子福祉年金の受給権を有する者については、国民年金法第37条に該当するものとみなして、遺族基礎年金を支給する。

 

解答:

正しいです(昭和60年改正法附則第28条第1項)。

母子福祉年金又は準母子福祉年金の裁定替えのケースであり、本文はこちらです。

 

 

・【平成16年問3D】

設問:

昭和61年3月31日において、旧国民年金法による母子年金又は準母子年金の受給権を有する者には昭和61年4月1日以後は、遺族基礎年金を支給する。

 

解答:

誤りです。

旧国民年金法による「母子年金」又は「準母子年金」については、昭和61年4月1日以後も、遺族基礎年金には裁定替えされず、引き続き母子年金又は準母子年金として支給されました。

 

前問(【平成16年問3B(こちら)】)の母子「福祉」年金又は準母子「福祉」年金とは異なりますので、注意です。(準)母子の場合は、「福祉」が入るかどうかに着目です。

 

 

・【選択式 平成15年度】

設問:

年金改正では、激変を緩和するという観点から、しばしば経過措置が設けられる。昭和60年改正によって導入された基礎年金の給付の適用を受けるのは、老齢基礎年金については、 以降に生まれた者(施行日に旧制度の老齢・退職給付の受給権のあった者を除く。)、障害基礎年金については  が昭和61年4月1日以降の者(福祉年金を除く。)、遺族基礎年金については死亡日が昭和61年4月1日以降の者(福祉年金を除く。)であり、それ以外の者には旧制度の給付が適用されている。

 

選択肢(本問に関連するもののみ):

⑩大正15年4月1日 ⑫大正15年4月2日 ⑭昭和2年4月1日 ⑮初診日 ⑯昭和2年4月2日 ⑰障害認定日 ⑳裁定請求日

 

 

解答:

 

D=⑫「大正15年4月2日」(昭和60年改正法附則第31条第1項参考)

 

E=⑰「障害認定日」(昭和60年改正法附則第23条) 

  

 

 

以下の条文は、読まなくて結構です。次のページにお進み下さい。

 

 

 

【昭和60年改正法附則第25条】

昭和60年改正法附則第25条(従前の障害福祉年金)

1.施行日〔=昭和61年4月1日〕の前日において旧国民年金法による障害福祉年金受ける権利を有していた者のうち、施行日において新国民年金法第30条第1項に規定する障害等級(以下この条において単に「障害等級」という。)に該当する程度の障害の状態にある者については、同法第30条の4第1項〔=20歳前傷病による障害基礎年金〕に該当するものとみなして、同項障害基礎年金を支給する。

 

2.施行日の前日において旧国民年金法による障害福祉年金を受ける権利を有していた者のうち、施行日において障害等級に該当する程度の障害の状態にない者については、同日後、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたとき(同日前の同法別表に定める程度の障害の状態に該当しなくなつた日から起算して3年を経過する日までの間に限る。)は、新国民年金法第30条の4第1項〔=20歳前傷病による障害基礎年金〕に該当するものとみなして、同項の障害基礎年金を支給する。

 

3.旧国民年金法による障害福祉年金を受ける権利を有する者が、前2項の規定により新国民年金法第30条の4第1項の障害基礎年金の受給権を取得したときは、当該障害福祉年金を受ける権利は消滅する。この場合において、当該障害福祉年金の支給は、当該権利の消滅した日の属する月の前月で終わるものとする。

 

4.第1項の規定による障害基礎年金の支給は、新国民年金法第18条第1項〔=年金給付の支給は、支給事由発生日の属する月の翌月から開始される〕の規定にかかわらず、施行日の属する月から始めるものとする。

 

5 昭和61年4月分の第1項の規定による障害基礎年金については、新国民年金法第18条第3項本文〔=年金の支給期月〕の規定にかかわらず、同年8月に支払うものとする。

 

 

【昭和60年改正法附則第28条】

昭和60年改正法附則第28条(従前の母子福祉年金及び準母子福祉年金)

1.施行日〔=昭和61年4月1日〕の前日において旧国民年金法による母子福祉年金又は準母子福祉年金受給権を有する者については、新国民年金法第37条に該当するものとみなして、同条遺族基礎年金を支給する。

 

2.旧国民年金法による母子福祉年金又は準母子福祉年金の受給権を有する者が、前項の規定による新国民年金法第37条の遺族基礎年金の受給権を取得したときは、当該母子福祉年金及び準母子福祉年金の受給権は消滅する。この場合において、当該母子福祉年金及び準母子福祉年金の支給は、当該権利の消滅した日の属する月の前月で終わるものとする。

 

3.第1項の規定による遺族基礎年金の支給は、新国民年金法第18条第1項〔=年金給付の支給は、支給事由発生日の属する月の翌月から開始される〕の規定にかかわらず、施行日の属する月から始めるものとする。

 

4.昭和61年4月分の第1項の規定による遺族基礎年金については、新国民年金法第18条第3項本文の規定にかかわらず、同年8月に支払うものとする。

 

5.第1項の場合における新国民年金法第39条〔=配偶者に支給する遺族基礎年金の額〕の規定の適用については、旧国民年金法による母子福祉年金又は準母子福祉年金の受給権を有していた者は、新国民年金法第39条第1項に規定する妻とみなす。

 

6.第1項の場合における新国民年金法第39条〔=遺族基礎年金の額〕及び第107条第2項〔=受診命令〕の規定の適用については、旧国民年金法による母子福祉年金若しくは準母子福祉年金の支給の要件となり、又はその額の加算の対象となつていた子、孫又は弟妹は、新国民年金法第39条第1項〔=配偶者に支給する遺族基礎年金の額〕に規定する子とみなす。

 

7.第1項の規定により支給する遺族基礎年金に対する新国民年金法第39条第3項〔=配偶者に支給する遺族基礎年金の年金額の改定〕(同法第40条第2項〔=配偶者の失権事由〕において適用する場合を含む。)の規定の適用については、同法第39条第3項第4号〔=離縁〕中「死亡した被保険者又は被保険者であつた者の子で」とあるのは、「夫又は妻のいずれの子でも」とする。

 

8.第1項に規定する準母子福祉年金の受給権を有していた者に支給する同項の規定による遺族基礎年金については、新国民年金法第39条第2項及び第3項の規定によつて年金額を改定するほか、第6項に規定する孫又は弟妹のうちの1人又は2人以上がその母又は父の妻と生計を同じくするに至つたときは、その生計を同じくするに至つた日の属する月の翌月からその生計を同じくするに至つた孫又は弟妹の数に応じて、年金額を改定する。

 

9.第1項に規定する準母子福祉年金の受給権を有していた者に支給する同項の規定による遺族基礎年金の受給権は、新国民年金法第40条第1項及び第2項の規定〔=失権事由〕によつて消滅するほか、第6項に規定する孫又は弟妹が1人であるときはその孫又は弟妹が、同項に規定する孫又は弟妹が2人以上であるときは同時に又は時を異にしてそのすべての孫又は弟妹が、その母又は父の妻と生計を同じくするに至つたときは、消滅する。

 

10.第1項の規定により支給する遺族基礎年金に係る支給の停止及び支給の調整については、この附則及び新国民年金法に別段の定めがあるもののほか、旧国民年金法第20条、第41条の4第1項から第4項まで、第41条の5第1項及び第2項、第64条の5から第65条まで、第66条第3項から第5項まで並びに第67条並びに国家公務員災害補償法の一部を改正する法律(昭和41年法律第67号)附則第25条第3項の規定の例による。この場合において、旧国民年金法第65条第1項中「該当するとき」とあるのは「該当するとき(第2号及び第3号に該当する場合にあつては、厚生労度省令で定める場合に限る。)」と、同項第2号中「監獄」とあるのは「刑事施設」と読み替えるものとする。

 

11.施行日前に支給事由の生じた旧国民年金法による遺児年金については、旧国民年金法第47条の規定は、なおその効力を有する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

 

 

以上で、旧法と新法の給付の適用関係について終わります。

次のページにおいては、国民年金制度の沿革について学習します。