令和3年度 厚生年金保険法

令和3年度の厚生年金保険法の本試験問題のインデックスを掲載します。   

 

リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。

 

 

択一式

○【問1】= 厚生年金保険法に関する諸問題:

 

【令和3年問1A】

(夫の死亡により、第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件に該当する遺族厚生年金(その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものとする。)の受給権者となった妻が、その権利を取得した当時60歳であった場合は、中高齢寡婦加算として遺族厚生年金の額に満額の遺族基礎年金の額が加算されるが、その妻が、当該夫の死亡により遺族基礎年金も受給できるときは、その間、当該加算される額に相当する部分の支給が停止される。)

 

【令和3年問1B】

(昭和32年4月1日生まれの妻は、遺族厚生年金の受給権者であり、中高齢寡婦加算が加算されている。当該妻が65歳に達したときは、中高齢寡婦加算は加算されなくなるが、経過的寡婦加算の額が加算される。)

 

【令和3年問1C】

(2以上の種別の被保険者であった期間を有する者について、3号分割標準報酬改定請求の規定を適用する場合においては、各号の厚生年金被保険者期間のうち1の期間に係る標準報酬についての当該請求は、他の期間に係る標準報酬についての当該請求と同時に行わなければならない。)

 

【令和3年問1D】:【直近の改正事項

(3号分割標準報酬改定請求は、離婚が成立した日の翌日から起算して2年を経過したときまでに行う必要があるが、3号分割標準報酬改定請求に併せて厚生年金保険法第78条の2に規定するいわゆる合意分割の請求を行う場合であって、按分割合に関する審判の申立てをした場合は、その審判が確定した日の翌日から起算して2年を経過する日までは3号分割標準報酬改定請求を行うことができる。)

 

【令和3年問1E】

(厚生年金保険法第78条の14に規定する特定被保険者が、特定期間の全部をその額の計算の基礎とする障害厚生年金の受給権者であったとして、当該特定被保険者の被扶養配偶者は3号分割標準報酬改定請求をすることができる。)

 

 

○【問2】= 厚生年金保険法に関する諸問題:

 

【令和3年問2A】

(厚生年金保険の被保険者期間の月数にかかわらず、60歳以上の厚生年金保険の被保険者期間は、老齢厚生年金における経過的加算額の計算の基礎とされない。)

 

【令和3年問2B】

(経過的加算額の計算においては、第3種被保険者期間がある場合、当該被保険者期間に係る特例が適用され、当該被保険者期間は必ず3分の4倍又は5分の6倍される。)

 

【令和3年問2C】

(第1号厚生年金被保険者(船員被保険者を除く。)の資格喪失の届出が必要な場合は、当該事実があった日から10日以内に、所定の届書又は所定の屈書に記載すべき事項を記録した光ディスクを日本年金機構に提出しなければならない。)

 

【令和3年問2D】

(船員被保険者の資格喪失の届出が必要な場合は、当該事実があった日から14日以内に、被保険者の氏名など必要な事項を記載した届書を日本年金推構に提出しなければならない。)

 

【令和3年問2E】

(老齢厚生年金の受給権を取得することにより、適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者が資格を喪失した場合には、資格喪失の届出は必要ない。)

 

 

○【問3】= 厚生年金保険法に関する諸問題:

 

【令和3年問3A】

(障害等級2級に該当する程度の障害の状態であり老齢厚生年金における給年金額の加算の対象となっている受給権者の子が、17歳の時に障害の状態が軽減し障害等級2級に該当する程度の障害の状態でなくなった場合、その時点で加給年金額の加算の対象から外れ、その月の翌月から年金の額が改定される。)

 

【令和3年問3B】

(老齢厚生年金の受給権者の子(15歳)の住民票上の住所が受給権者と異なっている場合でも、加給年金額の加算の対象となることがある。)

 

【令和3年問3C】

(厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」の規定によると、昭和35年8月22日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する女子と、同日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する男子とでは、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が異なる。なお、いずれの場合も、坑内員たる被保険者であった期間及び船員たる被保険者であった期間を有しないものとする。)

 

【令和3年問3D】

(厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」の規定によると、昭和35年8月22日生まれの第4号厚生年金被保険者期間のみを有する女子と、同日生まれの第4号厚生年金被保険者期間のみを有する男子とでは、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は同じである。)

 

【令和3年問3E】

(脱退一時金の額の計算に当たっては、平成15年3月31日以前の被保険者期間については、その期間の各月の標準報酬月額に1.3を乗じて得た額を使用する。)

 

 

○【問4】= 障害厚生年金に関する諸問題:組合せ問題

 

【令和3年問4ア】

(第47条の3第1項に規定する基準障害と他の障害とを併合した障害の程度による障害厚生年金の支給は、当該障害厚生年金の請求があった月の翌月から始まる。)

 

【令和3年問4イ】

(第48条第2項の規定によると、障害等級2級の障害厚生年金の受給権者が、更に障害等級2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたことにより、第48条第1項に規定する前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の支給は停止するものとされている。)

 

【令和3年問4ウ】

(期間を定めて支給を停止されている障害等級2級の障害厚生年金の受給権者に対して更に障害等級2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、第48条第1項に規定する前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金は、従前の障害厚生年金の支給を停止すべきであった期間、その支給が停止され、その間、その者に従前の障害を併合しない障害の程度による障害厚生年金が支給される。)

 

【令和3年問4エ】

(第48条第1項に規定する前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金の額が、従前の障害厚生年金の額よりも低額であったとしても、従前の障害厚生年金は支給が停止され、併合した障害の程度による障害厚生年金の支給が行われる。)

 

【令和3年問4オ】

(障害厚生年金の受給権者は、障害の程度が増進した場合には、実施機関に年金額の改定を請求することができるが、65歳以上の者又は国民年金法による老齢基礎年金の受給権者であって障害厚生年金の受給権者である者(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有しない者に限る。)については、実施機関が職権でこの改定を行うことができる。)

 

 

○【問5】= 遺族厚生年金に関する諸問題:組合せ問題

 

【令和3年問5ア】

(老齢厚生年金の受給権者(被保険者ではないものとする。)が死亡した場合、国民年金法に規定する保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年であったとしても、その期間と同法に規定する合算対象期間を合算した期間が25年以上である場合には、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件に該当する。)

 

【令和3年問5イ】

(厚生年金保険の被保険者であった甲は令和3年4月1日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失したが、厚生年金保険の被保険者期間中である令和3年3月15日に初診日がある傷病により令和3年8月1日に死亡した(死亡時の年齢は50歳であった。)。この場合、甲について国民年金の被保険者期間があり、当該国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が、当該国民年金の被保険者期間の3分の2未満である場合であっても、令和2年7月から令和3年6月までの間に保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないときには、遺族厚生年金の支給対象となる。)

 

【令和3年問5ウ】

(85歳の老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合、その者により生計を維持していた未婚で障害等級2級に該当する程度の障害の状態にある60歳の当該受給権者の子は、遺族厚生年金を受けることができる遺族とはならない。)

 

【令和3年問5エ】

(厚生年金保険の被保険者であった甲には妻の乙と、甲の前妻との間の子である15歳の丙がいたが、甲が死亡したことにより、乙と丙が遺族厚生年金の受給権者となった。その後、丙が乙の養子となった場合、丙の遺族厚生年金の受給権は消滅する。 )

 

【令和3年問5オ】

(厚生年金保険の被保険者の死亡により、被保険者の死亡当時27歳で子のいない妻が遺族厚生年金の受給権者となった。当該遺族厚生年金の受給権は、当該妻が30歳になったときに消滅する。) 

 

 

○【問6】= 厚生年金保険法に関する諸問題:

 

【令和3年問6A】

(第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者であった者は、厚生労働大臣において備えている被保険者に関する原簿(以下本問において「厚生年金保険原簿」という。)に記録された自己に係る特定厚生年金保険原簿記録(第1号厚生年金被保険者の資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう。以下本間において同じ。)が事実でない、又は厚生年金保険原簿に自己に係る特定厚生年金保険原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、厚生年金保険原簿の訂正の請求をすることができる。)

 

【令和3年問6B】

(事故が第三者の行為によって生じた場合において、2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る保険給付の受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府及び実施機関(厚生労働大臣を除く。)は、その価額をそれぞれの保険給付の価額に応じて按分した価額の限度で、保険給付をしないことができる。)

 

【令和3年問6C】

(同一の月において被保険者の種別に変更があったときは、その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であった月とみなす。なお、同一月において2回以上にわたり被保険者の種別に変更があったときは、最後の被保険者の種別の被保険者であった月とみなす。)

 

【令和3年問6D】

(育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定若しくは産前産後休業を終了した際の標準報酬月額の改定を行うためには、被保険者が現に使用される事業所において、育児休業等終了日又は産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3か月間の各月とも、報酬支払の基礎となった日数が17日以上でなければならない。)

 

【令和3年問6E】

(被保険者自身の行為により事業者から懲戒としての降格処分を受けたために標準報酬月額が低下した場合であっても、所定の要件を満たす限り、育児体業等を終了した際の標準報酬月額の改定は行われる。)

 

 

○【問7】= 厚生年金保険法に関する諸問題:

 

【令和3年問7A】

(3歳に満たない子を養育している被保険者又は被保険者であった者が、当該子を養育することとなった日の属する月から当該子が3歳に達するに至った日の翌日の属する月の前月までの各月において、年金額の計算に使用する平均標準報酬月額の特例の取扱いがあるが、当該特例は、当該特例の申出が行われた日の属する月前の月にあっては、当該特例の申出が行われた日の属する月の前月までの3年間のうちにあるものに限られている。)

 

 ・【令和3年問7B】

(在職中の老齢厚生年金の支給停止の際に用いる総報酬月額相当額とは、被保険者である日の属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額のことをいい、また基本月額とは、老齢厚生年金の額(その者に加給年金額が加算されていればそれを加算した額)を12で除して得た額のことをいう。)

 

【令和3年問7C】

(実施機関は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに千円未満の端数を生じたときはこれを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。この場合において、当該標準賞与額が1つの適用事業所において年間の累計額が150万円(第20条第2項の規定による標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額とする。以下本間において同じ。)を超えるときは、これを150万円とする。)

 

【令和3年問7D】

(第1号厚生年金被保険者が同時に第2号厚生年金被保険者の資格を有するに至ったときは、その日に、当該第1号厚生年金被保険者の資格を喪失する。)

 

【令和3年問7E】

(2以上の種別の被保険者であった期間を有する老齢厚生年金の受給権者が死亡した場合における遺族厚生年金(中高齢の寡婦加算額が加算されるものとする。)は、各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとに支給するものとし、そのそれぞれの額は、死亡した者に係る2以上の被保険者の種別に係る被保険者であった期間を合算し、1の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして遺族厚生年金の額の計算に関する規定により計算した額に中高齢の寡婦加算額を加算し、それぞれ1の期間に係る被保険者期間を計算の基礎として計算した額に応じて接分した額とする。)

 

 

○【問8】= 厚生年金保険法に関する諸問題:

 

【令和3年問8A】

(育児休業を終了した被保険者に対して昇給があり、固定的賃金の変動があった。ところが職場復帰後、育児のために短時間勤務制度の適用を受けることにより労働時間が減少したため、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3か月間に受けた報酬をもとに計算した結果、従前の標準報酬月額等級から2等級下がることになった場合は、育児休業等終了時改定には該当せず随時改定に該当する。)

 

【令和3年問8B】

(60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者が同時に雇用保険法に基づく基本手当を受給することができるとき、当該老齢厚生年金は支給停止されるが、同法第33条第1項に規定されている正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合などの離職理由による給付制限により基本手当を支給しないとされる期間を含めて支給停止される。)

 

【令和3年問8C】

(63歳の被保険者の死亡により、その配偶者(老齢厚生年金の受給権を有し、65歳に達している者とする。)が遺族厚生年金を受給したときの遺族厚生年金の額は、死亡した被保険者の被保険者期間を基礎として計算した老齢厚生年金の額の4分の3に相当する額と、当該遺族厚生年金の受給権者の有する老齢厚生年金の額に3分の2を乗じて計算した額のうちいずれか多い額とする。)

 

【令和3年問8D】

(老齢厚生年金における加給年金額の加算の対象となる配偶者が、障害等級1級若しくは2級の障害厚生年金及び障害基礎年金を受給している間、当該加給年金額は支給停止されるが、障害等級3級の障害厚生年金若しくは障害手当金を受給している場合は支給停止されることはない。)

 

【令和3年問8E】

(老齢厚生年金に配偶者の加給年金額が加算されるためには、老齢厚生年金の年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上という要件があるが、当該被保険者期間には、離婚時みなし被保険者期間を含めることはできない。)

 

 

○【問9】= 厚生年金保険法に関する諸問題:

 

【令和3年問9A】

(昭和35年4月10日生まれの女性は、第1号厚生年金被保険者として5年、第2号厚生年金被保険者として35年加入してきた(これらの期間以外被保険者期間は有していないものとする。)。当該女性は、62歳から第1号厚生年金被保険者期間としての報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金が支給され、64歳からは、第2号厚生年金被保険者期間としての報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金についても支給される。)

 

【令和3年問9B】

(昭和33年4月10日生まれの男性は、第1号厚生年金被保険者として4年、第2号厚生年金被保険者として40年加入してきた(これらの期間以外被保険者期間は有していないものとする。)。当該男性は、厚生年金保険の被保険者でなければ、63歳から定額部分と報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金が支給される。)

 

【令和3年問9C】

(ある日本国籍を有しない者について、最後に厚生年金保険の被保険者資格を喪失した日から起算して2年が経過しており、かつ、最後に国民年金の被保険者資格を喪失した日(同日において日本国内に住所を有していた者にあっては、同日後初めて、日本国内に住所を有しなくなった日)から起算して1年が経過した。この時点で、この者が、厚生年金保険の被保険者期間を6か月以上有しており、かつ、障害厚生年金等の受給権を有したことがない場合、厚生年金保険法に定める脱退一時金の請求が可能である。)

 

【令和3年問9D】

(脱退一時金の額の計算における平均標準報酬額の算出に当たっては、被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に再評価率を乗じることはない。)

 

【令和3年問9E】

(昭和28年4月10日生まれの女性は、65歳から老齢基礎年金を受給し、老齢厚生年金は繰下げし70歳から受給する予定でいたが、配偶者が死亡したことにより、女性が68歳の時に遺族厚生年金の受給権を取得した。この場合、68歳で老齢厚生年金の繰下げの申出をせずに、65歳に老齢厚生年金を請求したものとして遡って老齢厚生年金を受給することができる。また、遺族厚生年金の受給権を取得してからは、その老齢厚生年金の年金額と遺族厚生年金の年金額を比較して遺族厚生年金の年金額が高ければ、その差額分を遺族厚生年金として受給することができる。)

 

 

○【問10】= 厚生年金保険法に関する諸問題:

 

【令和3年問10A】

(20歳から30歳まで国民年金の第1号被保険者、30歳から60歳まで第2号厚生年金被保険者であった者が、60歳で第1号厚生年金被保険者となり、第1号厚生年金被保険者期間中に64歳で死亡した。当該被保険者の遺族が当該被保険者の死亡当時生計を維持されていた60歳の妻のみである場合、当該妻に支給される遺族厚生年金は、妻が別段の申出をしたときを除き、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件のみに該当する遺族厚生年金として年金額が算出される。)

 

【令和3年問10B】

(第1号厚生年金被保険者期間中の60歳の時に業務上災害で負傷し、初診日から1年6か月が経過した際に傷病の症状が安定し、治療の効果が期待できない状態(治癒)になった。その障害状態において障害手当金の受給権を取得することができ、また、労災保険法に規定されている障害補償給付の受給権も取得することができた。この場合、両方の保険給付が支給される。)

 

【令和3年問10C】

(遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を有する妻が、障害基礎年金と障害厚生年金の受給権を取得した。妻は、障害基礎年金と障害厚生年金を選択したため、遺族基礎年金と遺族厚生年金は全額支給停止となった。妻には生計を同じくする子がいるが、子の遺族基礎年金については、引き続き支給停止となるが、妻の遺族厚生年金が全額支給停止であることから、子の遺族厚生年金は支給停止が解除される。)

 

【令和3年問10D】

(平成13年4月から平成23年3月までの10年間婚姻関係であった夫婦が平成23年3月に離婚が成立し、その後事実上の婚姻関係を平成23年4月から令和3年3月までの10年間続けていたが、令和3年4月2日に事実上の婚姻関係を解消することになった。事実上の婚姻関係を解消することになった時点において、平成13年4月から平成23年3月までの期間についての厚生年金保険法第78条の2に規定するいわゆる合意分割の請求を行うことはできない。なお、平成13年4月から平成23年3月までの期間においては、夫婦共に第1号厚生年金被保険者であったものとし、平成23年4月から令和3年3月までの期間においては、夫は第1号厚生年金被保険者、妻は国民年金の第3号被保険者であったものとする。)

 

【令和3年問10E】

(第1号厚生年金被保険者が死亡したことにより、当該被保険者の母が遺族厚生年金の受給権者となった。その後、当該母に事実上の婚姻関係にある配偶者が生じた場合でも、当該母は、自身の老齢基礎年金と当該遺族厚生年金の両方を受給することができる。) 

 

 

 

選択式

次の文中の   の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

 

1 厚生年金保険法における賞与とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのもののうち、  受けるものをいう

 

2 厚生年金保険法第84条の3の規定によると、政府は、政令で定めるところにより、毎年度、実施機関(厚生労働大臣を除く。以下本間において同じ。)ごとに実施機関に係る  として算定した金額を、当該実施機関に対して  するとされている。

 

3 厚生年金保険法第8条の2第1項の規定によると、2以上の適用事業所(  を除く。)の事業主が同一である場合には、当該事業主は、  当該2以上の事業所を1の事業所とすることができるとされている。

 

選択肢:

 

①2か月を超える期間ごとに ②3か月を超える期間ごとに ③4か月を超える期間ごとに 

④拠出金として交付 ⑤国又は地方公共団体 ⑥厚生年金保険給付費等 

⑦厚生労働大臣に届け出ることによって、 ⑧厚生労働大臣の確認を受けることによって、 ⑨厚生労働大臣の承認を受けて ⑩厚生労働大臣の認可を受けて

⑪交付金として交付 ⑫執行に要する費用等 ⑬事務取扱費等 ⑭船舶 

⑮その事業所に使用される労働者の数が政令で定める人数以下のもの ⑯特定適用事業所

⑰特別支給金として支給 ⑱納付金として支給 ⑲予備費等 ⑳臨時に 

 

 

 

選択式解答

A=②3か月を超える期間ごとに(第3条第1項第4号

 

B=⑥厚生年金保険給付費等(第84条の3

 

C=⑪交付金として交付(同上)

 

D=⑭船舶(第8条の2第1項

 

E=⑨厚生労働大臣の承認を受けて(同上)

 

 

 

選択式の論点とリンク先

〔1〕問1

 

問1(空欄のA。こちら)は、賞与の要件(定義)に関する問題です。

基本的な知識であり、正解必須です。本文は、こちらです。 

 

 

〔2〕問2

 

問2(空欄のB及びC。こちら)は、第84条の3からです。

同条は、平成27年10月1日施行の改正(被用者年金一元化法)により新設された規定であり、選択式でいつ出題されてもおかしくありませんでした。

当サイトでも、「直前対策講座」で取り上げており、【問23(こちら直前対策講座のパスワード】で空欄のCについて的中しました。

 

まず、第84条の3です。

 

【条文】 

第84条の3(交付金)

政府は、政令で定めるところにより、毎年度、実施機関厚生労働大臣除く。以下この条、第84条の5第84条の6第84条の8及び第84条の9において同じ。)ごとに実施機関に係るこの法律の規定による保険給付に要する費用として政令〔=施行令第4条の2の2〕で定めるものその他これに相当する給付として政令〔=施行令第4条の2の3〕で定めるものに要する費用(以下「厚生年金保険給付費等」という。)として算定した金額を、当該実施機関に対して交付金として交付する。

 

 

厚生年金保険の毎年度の給付費等は、政府及び実施機関(厚生労働大臣を除きます。即ち、厚生労働大臣以外の実施機関であり、共済組合等に係る実施機関ということです)が負担します。

具体的には、「厚生労働大臣以外実施機関」は、毎年度、「拠出金」を「年金特別会計の厚生年金勘定」に納付することにより、「厚生年金保険給付費等」を分担します(第84条の5第1項参考)。

 

厚生年金保険給付費等とは、厚生労働大臣以外の実施機関に係る厚生年金保険の保険給付に要する費用等のことです。

拠出金の額(厚生年金保険給付費等の負担方法)は、原則として、応能負担であり、各実施機関(厚生労働大臣を除きます)の標準報酬総額及び積立金残高により按分して負担します。

なお、この拠出金の原資は、徴収した厚生年金保険料及び管理運用する積立金の運用収入等です。

 

政府は、「年金特別会計の厚生年金勘定」から、「厚生労働大臣以外の実施機関」に対して、「交付金」を交付し、この交付金がその実施機関(共済組合等)が支給する厚生年金保険給付費等に充てられます(第84条の3参考)。 

 

拠出金・交付金は、「厚生労働大臣以外の実施機関」(共済組合等に係る実施機関)に関する問題であること、また、「厚生労働大臣以外の実施機関」が「拠出金」を納付し、政府が「交付金」を交付することがポイントです。

こちらの図でイメージして下さい。 

 

 

〔3〕問3

 

問3(空欄のD及びE。こちら)は、一括適用事業所の問題であり(こちら)、これも基礎的な知識でした。

当サイトでは、「一括しようは当然一括」(「承」認と「船」舶)というゴロがあり、このゴロで、これらの空欄2つはサービス問題となりました。 

 

 

総評

選択式は、易しかったです。基準点は楽にクリアーできました。

 

問題は、択一式です。例年より、長文問題が増え、従来からの国年法の択一式の出題傾向に近くなってきました。

また、細かい点を突いてくる出題も増えています(これまで未出題であった重要知識が初めて出題されたような例もいくつかあります)。

 

 

実際の試験会場において、すべての肢を入念にチェックしていますと、時間が足りなくなる恐れがある内容です。

正解肢を確実に見切ったら、以後の同問中の他の肢は飛ばして、すぐ次の設問に移るといった技術も必要になります。

従って、正解肢を確実に見切ることができる正確な知識の習得が必要です。

 

また、例えば長文の事例風の問題であっても、内容的には単純な知識を膨らませただけのようなものもあります。

今回、特別支給の老齢厚生年金について、生年月日がポイントとなる設問の出題が多かったですが、このような類の出題の場合、長文ではあっても、生年月日に着目することによって短時間で処理することが可能なことも少なくないです。

以上のように、設問の質を瞬時に見分ける能力についても、日頃の学習の積み重ねによる経験によるところが大きいです。

 

個々の肢について、十分分析して頂き、今後類似の出題があった際に正答できるようにしておく必要があります。前掲のリンクを参考に、各肢に関する解説と当サイト本文での説明内容をチェックしてみて下さい。

 

 

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