【平成28年度版】

 

国民健康保険法(平成28年度版 直前対策講座)

直前対策講座の第3回目は、社会一般の国民健康保険法です。

ここでは、近時の改正事項及び平成30年4月1日施行の改正により改められる事項(※)などを中心とした重要事項に関する問題練習をします。

 

国民健康保険法(以下、「国保法」ということがあります)は、択一式では、出題が多く、出題範囲も万遍なく様々な個所が対象となっています。

選択式については、社会一般の場合、法令科目とデーター(白書)が組み合わされて出題されることが多いですが、平成27年度は、法令プロパーの出題になりました。そこでは、社労士法、児童手当法、介護保険法及び高齢者医療確保法が出題テーマであり、国保法は出題されませんでした(択一式では費用関係の2肢の出題があります)。

今年度の選択式では、国保法や確定拠出年金法・確定給付企業年金法について注意しておくと、安心です。

 

 

※【参考】

なお、あくまで参考ですが(今回の試験対象ではありません)、国民健康保険法は、いわゆる医療保険制度改革法(正式には、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」。平成27年5月29日公布)により大改正が行われており、主要な改正は平成30年4月1日から施行されます(一部の規定はすでに施行済みです。ちなみに、この改正法により、今回の健保法の大幅な改正も定められました)。

 

この改正の中心内容は、平成30年度から、都道府県も、当該都道府県内の市町村とともに、保険者となるということです(改正後の第3条第1項)。

即ち、従来の「市町村が行う国民健康保険」(市町村国保)が、「都道府県等が行う国民健康保険」に改められます。

改正後の都道府県と市町村の役割分担については、大まかには、次の通りです。

都道府県が当該都道府県内の国保の運営方針を定め、財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国保運営に中心的な役割を担います(給付費に必要な費用は、都道府県が市町村に交付します)。

市町村は、地域住民と身近な関係の中、被保険者の資格の得喪の管理、保険給付、保険料率の決定、賦課・徴収、保健事業等、地域におけるきめ細かい事業を引き続き担います。

 

この平成30年度から改正される事項については、今回の試験においても、少しマークしておくこととします。

 

以下、選択式から見ます(選択式は、複数の法令からの出題を想定して、短文の内容にしています)。選択式が3問、択一式が1肢ずつで計18問(肢)の出題となります。

 

 

 

〔1〕選択式

【問1】

 

次の文中の    の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。 

 

国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるように

は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるように、 をしなければならない。

 

 

選択肢

➀配慮しなければならない ②必要な施策を推進しなければならない ③必要な施策を実施しなければならない ④つとめなければならない ⑤市町村(特別区を含む。) ⑥都道府県 ⑦広域連合 ⑧都道府県及び市町村(特別区を含む。) ⑨必要な施策 ⑩必要な指導 

⑪必要な管理 ⑫相当な施策

 

 

※ 解答はこちら

 

 

【問2】

 

次の文中の    の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。 

 

国民健康保険組合を設立しようとするときは、主たる事務所の所在地のを受けなければならない。

当該の申請は、の発起人が規約を作成し、組合員となるべき者の同意を得て行うものとする。 

 

 

選択肢

➀厚生労働大臣の認可 ②市町村長の認可 ③厚生労働大臣又は都道府県知事の認可

④都道府県知事の認可 ⑤2人以上 ⑥7人以上 ⑦10人以上 ⑧15人以上 ⑨100人以上 ⑩200人以上 ⑪300人以上 ⑫700人以上

 

 

※ 解答はこちら

 

 

【問3】

 

次の文中の    の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。 

 

は、政令の定めるところにより、に対して国民健康保険の事務(高齢者の医療の確保に関する法律の規定による前期高齢者納付金等及び同法の規定による後期高齢者支援金等並びに介護保険法の規定による納付金の納付に関する事務を含む。)の執行に要する費用を

 

➀都道府県 ②市町村 ③国 ④国及び都道府県 ⑤国民健康保険団体連合会 ⑥広域化等支援基金 ⑦国民健康保険組合 ⑧国民健康保険運営協議会 ⑨補助することができる ⑩補助する ⑪負担することができる ⑫負担する

 

 

※ 解答はこちら

 

選択式は、以上で終了です。

 

 

 

〔2〕択一式

択一式を1肢ずつ出題します。

 

【問1】

日本の国籍を有しない者であって、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第7条第1項第2号の規定に基づく入管法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動(在留資格が特定活動であるもの)として法務大臣が定める活動のうち、本邦において6月を超えない期間滞在し、観光、保養その他これらに類似する活動を行うもの(18歳以上の者に限り、中長期在留者等を除く。)は、市町村が行う国民健康保険の被保険者としない。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問2】

市町村の区域内に住所を有するに至ったため、被保険者の資格を取得した者は、14日以内に、所定の事項を記載した届書を、市町村に提出しなければならない。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問3】

保険者(市町村又は組合をいう。)は、保険料(国民健康保険税を含む。)を滞納している世帯主又は組合員が、当該保険料の納期限から1年6月が経過するまでの間に当該保険料を納付しない場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認められる場合を除き、厚生労働省令で定めるところにより、当該世帯主又は組合員に対し被保険者証の返還を求めるものとする。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問4】

保険料の滞納により世帯主又は組合員が被保険者証を返還したときは、保険者は、当該世帯主又は組合員に対し、その世帯に属する被保険者に係る被保険者資格証明書(その世帯に属する被保険者の一部が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者であるときは、当該被保険者資格証明書及び当該者に係る有効期限を3月とする被保険者証)を交付する。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問5】

保険医療機関等について療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、所定の区分に従い、療養の給付に要する費用の額に所定の割合を乗じて得た額を、一部負担金として、当該保険医療機関等に支払わなければならない。

このうち、70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合であって、当該療養の給付を受ける者の属する世帯に属する被保険者(70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合に該当する者その他政令で定める者に限る。)について政令の定めるところにより算定した所得の額が100万円以上であるときは、一部負担金の割合は10分の3となる。

  

※ 解答はこちら

 

 

【問6】

保険者は、保険医療機関等又は指定訪問看護事業者が偽りその他不正の行為によって療養の給付に関する費用の支払等を受けたときは、当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者に対し、その支払った額につき返還させるほか、その返還させる額に100分の4を乗じて得た額を支払わせることができる。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問7】

保険者は、特定健康診査等を行うものとするほか、これらの事業以外の事業であって、健康教育、健康相談及び健康診査並びに健康管理及び疾病の予防に係る被保険者の自助努力についての支援その他の被保険者の健康の保持増進のために必要な事業を行わなければならない。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問8】

国は、広域化等支援方針の作成、広域化等支援方針に定める施策の実施その他国民健康保険事業の運営の広域化又は国民健康保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用に充てるため、地方自治法第241条の基金として、広域化等支援基金を設ける。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問9】

被保険者の所得水準の高い国保組合の国庫補助については、その負担能力(財政力)に応じた負担(応能負担)とする観点から、各組合への財政影響も考慮しつつ、平成28年度から5年間かけて段階的に見直すこととされ、従来の療養の給付等に要する費用等に対する定率の国庫補助(32%)から、所得水準に応じて10%から32%の補助率とすることに見直された。

また、被保険者の所得水準の低い国民健康保険組合の国庫補助には影響が生じないようにするため、従来、療養の給付等に要する費用等の15%とされていた調整補助金を15.4%まで段階的に増額することとされた。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問10】

保険者は、政令の定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問11】

市町村による保険料の徴収については、特別徴収の方法による場合を除くほか、普通徴収の方法によらなければならない。

なお、世帯主が、老齢等年金給付の額が18万円未満である者である場合や同一の月に徴収されると見込まれる国民健康保険の保険料額と介護保険の保険料額との合計額が、老齢等年金給付の額の2分の1に相当する額を超える者である場合等においては、特別徴収は行われない。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問12】

国民健康保険事業の運営に関する重要事項を審議するため、都道府県に国民健康保険運営協議会を置く。同協議会は、被保険者を代表する委員、保険医又は保険薬剤師を代表する委員及び公益を代表する委員各同数をもって構成される。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問13】

国民健康保険団体連合会を設立しようとするときは、当該連合会の区域をその区域に含む都道府県を統轄する都道府県知事の認可を受けなければならない。

都道府県の区域を区域とする連合会に、その区域内の3分の2以上の保険者が加入したときは、当該区域内のその他の保険者は、すべて当該連合会の会員となる。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問14】

保険者は、保険医療機関等から療養の給付に関する費用の請求があったときは、審査した上、支払うものとするが、当該審査及び支払に関する事務を都道府県の区域を区域とする国民健康保険団体連合会(加入している保険者の数がその区域内の保険者の総数の3分の2に達しないものを除く。)又は社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)に委託することができる。

当該委託を受けて診療報酬請求書の審査を行うため、都道府県の区域を区域とする国民健康保険団体連合会(加入している保険者の数がその区域内の保険者の総数の3分の2に達しないものを除く。)に、国民健康保険運営協議会を置く。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問15】

国民健康保険団体連合会は、政令の定めるところにより、国民健康保険の財政の安定化を図るため、その会員である市町村に対して次に掲げる交付金を交付する事業を行うものとする。

(1)政令で定める額以下の医療に要する費用を市町村(国民健康保険団体連合会の会員である市町村をいう。)が共同で負担することに伴う交付金

(2)前記(1)の政令で定める額を超える高額な医療に要する費用を国、都道府県及び市町村が共同で負担することに伴う交付金

国民健康保険団体連合会は、当該事業に要する費用に充てるため、前記(1)及び(2)に掲げる交付金を交付する事業ごとに、政令で定める方法により、市町村から拠出金を徴収する。

 

※ 解答はこちら

 

 

【問16】

保険者は、診療報酬の審査及び支払に関する事務等のほか、次に掲げる事務を国民健康保険団体連合会又は社会保険診療報酬支払基金に委託することができる。

(1)国民健康保険法第4章の規定による保険給付の実施、第76条第1項の規定による保険料の徴収、第82条第1項の規定による保健事業の実施その他の厚生労働省令で定める事務に係る情報の収集又は整理に関する事務

(2)第4章の規定による保険給付の実施、第76条第1項の規定による保険料の徴収その他の厚生労働省令で定める事務に係る情報の利用又は提供に関する事務

 

※ 解答はこちら

 

 

【問17】

保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む。)又は保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金に関する処分に不服がある者は、国民健康保険審査会に審査請求をすることができる。

審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して2月以内に、文書又は口頭でしなければならない。ただし、正当な理由により、この期間内に審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、この限りでない。 

 

※ 解答はこちら

 

 

【問18】

厚生労働大臣又は都道府県知事は、保険者又は国民健康保険団体連合会について、必要があると認めるときは、その事業及び財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員に実地にその状況を検査させることができる。

 

※ 解答はこちら

 

 

以上で、択一式の出題は終了です。

 

 

 

選択式の解答

 

選択式【問1】解答(設問はこちら

 

A=④つとめなければならない

B=⑥都道府県

C=⑩必要な指導 

 

解説:

次の第4条からの出題です。 

 

【条文】

第4条(国及び都道府県の義務)

1.は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。

 

2.都道府県は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるように、必要な指導をしなければならない。

 

〇趣旨

国民健康保険事業おける国及び都道府県の役割(責務)については、都道府県が、国民健康保険事業の健全な運営の見地から、必要な指導を行い(第4条第2項)、国は事業の健全な運営を図る努力義務を負います(同条第1項)。

即ち、国民健康保険事業は保険者である市町村又は国民健康保険組合(以下、「組合」ということがあります)が運営をしますが、その運営の健全性のチェックは、第1次的には都道府県が実施する義務があり、国は補完的な役割を負います。

 

冒頭で触れましたように、平成30年度からは、都道府県が保険者に加わり、財政運営等において中心的な役割を担うことになるため、前記第4条は全面改正されます。

そして、この第4条は、択一式においても、近時、2回出題があるため、十分チェックしておく必要があります。ちなみに、択一式の過去問は次の通りでした。

 

 

・【過去問 平成16年問9A】

設問:

都道府県の責務として、国民健康保険法第4条第2項では、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようつとめなければならないと規定されている。

 

解答:

都道府県は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるように、「必要な指導をしなければならない」のであり、努力義務ではありません。よって、設問は誤りです。

 

 

・【平成21年問6A】

設問:

国は、国民健康保険法第4条第1項において国民健康保険事業の運営が健全に行われるように、必要な指導をしなければならないとされている。

 

解答:

国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるように「つとめなければならない」とされています。「必要な指導をしなければならない」のは、都道府県です。よって、設問は誤りです。 

 

 

選択式【問2】解答(設問はこちら

 

A=④都道府県知事の認可

B=⑧15人以上

C=⑪300人以上 

 

解説:

次の第17条の第1項及び第2項からの出題です。第3項についても、十分チェックが必要です(第4項については、例えば、健康保険組合等の設立の場合とパラレルですので、思い起こせるでしょう)。

 

【条文】

第17条(設立)

1.組合を設立しようとするときは、主たる事務所の所在地の都道府県知事認可を受けなければならない。

 

2.前項の認可の申請は、15人以上発起人規約を作成し、組合員となるべき者300人以上同意を得て行うものとする。

 

3.都道府県知事は、第1項の認可の申請があつた場合においては、当該組合の地区をその区域に含む市町村の長意見をきき、当該組合の設立によりこれらの市町村の国民健康保険事業の運営に支障を及ぼさないと認めるときでなければ、同項の認可をしてはならない。

 

4.組合は、設立の認可を受けた時成立する。

 

 

国民健康保険組合については、平成30年度からの改正はあまりありません。

しかし、上記第17条は、択一式でもよく問われていた個所であり(第17条第3項に関する【平成21年問6B】が直近の出題です)、そろそろ択一式(選択式)で再出題があるかもしれません。

数字を覚えていませんとどうにもなりませんので、設問の数字は記憶必須です(ゴロ合わせについては、下品すぎて、露わにできませんので、更新メールの中で紹介します)。

 

 

選択式【問3】解答(設問はこちら

 

A=③国

B=⑦国民健康保険組合

C=⑫負担する

 

解説:

組合に対する事務費の国庫負担の問題です。

即ち、は、国民健康保険組合に対して国民健康保険の事務(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に関する事務を含みます)の執行に要する費用を負担します(第69条)。

 

国民健康保険の事務費に関しては、「国民健康保険組合が行う国民健康保険(組合国保)」の事務費についてのみ、国庫負担が行われ、「市町村が行う国民健康保険(市町村国保)」の事務費については、国庫負担は行われないことに注意です。【過去問 平成16年問9D】

 

 

国民健康保険における公費負担(国庫負担及び国庫補助等)の全体像については、次の表でイメージできます。

今回の出題は、この表の右上の第69条の部分です。 

 

ちなみに、上記表の左側の〔1〕(第70条)については、前回の【平成27年問6A】で出題されましたので、今回、問われる可能性は低いでしょう。

この〔1〕の右側にある「療養費給付費等補助金」(第73条)は、平成28年4月1日施行の改正事項であり、要注意です。択一式の【問9】で出題します(ゴロ合わせもそちらで紹介します)。

その他、上記表の赤字部分(特に数字)を覚えているか、もう一度チェックしておいて下さい。

 

とりあえず、上記表の〔2〕及び〔3〕の「交付金」は、「こ(9)うふ金」として、100分の「9」を思い出しましょう。

 

 

 

択一式の解答

 

【問1】× (設問はこちら

 

「6月を超えない期間」ではなく、「1年を超えない期間」が正しいです。

 

設問は、平成27年6月23日施行の施行規則の改正に基づくものです(従って、今回の試験から出題範囲に含まれます)。

1年を超えない期間の観光、保養等を行う外国人については、原則として、国民健康保険法の被保険者の適用除外者とするものです(当該者の同行する配偶者も同様です。施行規則第1条第3項及び第4号)。 

1年」、「観光保養等」、「18歳以上」という点をチェックです。

 

なお、これらの観光、保養等を行う外国人については、後期高齢者医療制度においても、同様に、適用除外者とされています(高齢者医療確保法第9条)。

 

 

※ 適用除外者:

国民健康保険の被保険者の適用除外者については、択一式で周期的に出題対象となります(直近の出題は、【平成23年問9D】)。

ここで、改めて要点を整理しておきます。(Ⅰ)市町村国保と(Ⅱ)組合国保に分けますが、適用除外者は基本的には共通します。

 

(Ⅰ)市町村が行う国民健康保険(市町村国保)の被保険者の適用除外者 

1 被用者医療保険(健康保険、船員保険及び共済保険)の被保険者及びその被扶養者(第6条第1号~第6号)

2 後期高齢者医療の被保険者(同条第8号)

3 生活保護法による保護世帯に属する者(同条第9号)

4 国民健康保険組合の被保険者(同条第10号)

5 その他(同条第7号、第11号)

(この5の第6条第11号は、「その他特別の理由がある者で厚生労働省令で定めるもの」としており、これに基づき施行規則第1条が個別に規定しています。今回出題の「観光、保養等を行う外国人」は、この施行規則第1条に新たに規定されたものです)。

 

(Ⅱ)国民健康保険組合が行う国民健康保険(組合国保)の被保険者の適用除外者

組合国保の被保険者の適用除外者は、上記(Ⅰ)の市町村国保の被保険者の適用除外者(上記4を除きます)及び他の組合が行う国民健康保険の被保険者です(第19条第1項)。

 

なお、国民健康保険組合は、規約の定めるところにより、組合員の世帯に属する者を包括して被保険者としないことができます(第19条第2項)。【過去問 平成19年問6E】  

これは、組合は、組合員本人のみを被保険者とし、当該組合員の世帯に属する他の世帯員全員を包括して被保険者としないことができるという意味です(他の世帯員は、市町村国保の被保険者となります)。

(この場合、他の世帯員の一部の者のみを被保険者として、他の世帯員を被保険者としないことはできず、包括して被保険者としないことができます。被保険者間の取扱いの平等の趣旨です。)

 

 

まとめとして、被保険者の構造を図示しておきます。

 

※ その他の被保険者関係について:

その他の被保険者関係で注意する事項について、少々触れておきます。

 

1 修学中の被保険者の特例等

まず、過去に出題があるのは、「修学中の被保険者の特例」(第116条)です。

また、類似する問題として、「病院等に入院等中の被保険者の特例」(第116条の2)もありますが、未出題です。

 

(1)修学中の被保険者の特例

「修学中の被保険者の特例」は、直近の出題は【平成25年問7C】です。次の内容を押さえておいて下さい。

 

◆修学のため一の市町村の区域内に住所を有する被保険者であって、修学していないとすれば他の市町村の区域内に住所を有する他人同一の世帯に属するものと認められるものは、当該他の市町村の行なう国民健康保険の被保険者とし、かつ、国民健康保険法の適用については、当該世帯に属するものとみなされます(第116条)。

 

例えば、大学生が実家の福島市から上京し東京都の新宿区の大学に在籍している場合(住所は、実質的に生活を営む場所として、新宿区にあることになります)に、十分な仕送りを受けて、経済的に実家に依存しているようなときは、新宿区の国保の被保険者となるのではなく、福島市の国保の被保険者となるということです。

 

即ち、市町村国保の場合は、市町村の区域内に「住所」を有する者が原則として被保険者となります(第5条)。また、組合国保の場合は、同種の事業・業務に従事する者で当該組合の地区内に「住所」を有する者がその組合員となり、組合員及び組合員の「世帯」に属する者が、原則として、当該組合の被保険者となります(第19条第1項)。 

本件の修学中の被保険者の特例は、かかる住所地主義あるいは世帯主義の原則では不都合が生じる場合について、修正を行うものです。

つまり、例えば、住所地主義に基づく市町村国保の適用を徹底しますと、学生の比率の高い市町村では、その財政が圧迫されるおそれがあるのです(十分な保険料を徴収できないのに、保険給付は支給しなければならないからです)。

 

 

2 病院等に入院等中の被保険者の特例

次に、「病院等に入院等中の被保険者の特例」の原則的ルールは、次の通りです(例外的ルールもありますが、ここでは省略します)。

 

病院等に入院等をしたことにより、当該病院等の所在する場所に住所を変更したと認められる被保険者であって、当該病院等に入院等をした際、他の市町村(当該病院等が所在する市町村以外の市町村をいいます)の区域内に住所を有していたと認められるものは、当該他の市町村が行う国民健康保険の被保険者とします(第116条の2第1項本文)。

 

趣旨は、前記1の修学中の被保険者の特例と類似です。例えば、市町村国保の被保険者が病院等に入院等をし当該病院等の所在地に住所を変更した場合に、住所地主義を適用しますと、変更先の病院等の所在地の市町村の国保の財政負担が重くなります。

そこで、入院等をしたことにより、当該病院等の所在地に住所を変更したと認められる場合には、原則として、従前の住所地の市町村の国保の適用を受けるとしたものです。

 

・なお、上記の「病院等に入院等」とは、次の(1)~(6)のいずれかのことです(第116条の2第1項各号)。

細かく覚える必要はありませんが、近時の改正事項である下記の※1については若干記憶に留めて下さい。

 

(1)病院又は診療所への入院

(2)児童福祉法に規定する児童福祉施設への入所措置による入所

(3)障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に規定する障害者支援施設等への入所

(4)独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の設置する施設への入所

(5)老人福祉法に規定する養護老人ホーム又は特別養護老人ホームへの入所処置による入所

(6)介護保険法に規定する特定施設(※1)への入居又は介護保険施設への入所

 

※1 特定施設

このうち、若干、注意は、上記(6)の「特定施設」に関する改正です。

特定施設とは、「有料老人ホームその他厚生労働省令で定める施設〔=養護老人ホーム、軽費老人ホーム(介護保険法施行規則第15条)〕であって、地域密着型特定施設〔=入居者が要介護者、その配偶者その他厚生労働省令で定める者に限られるもの(「介護専用型特定施設」)のうち、その入居定員が29人以下であるもの(介護保険法第8条第19項)〕でないもの」をいいます(介護保険法第8条第21項)。

 

従来は、特定施設入居者生活介護の指定を受けていない賃貸借方式のサービス付き高齢者向け住宅(高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項の登録を受けた高齢者向けの賃貸住宅であるもの。いわゆるサービス付き高齢者向け賃貸住宅)は、有料老人ホームに該当しても、本件特例の対象外とされていました。

しかし、所在市町村の負担や他の有料老人ホームとのバランスを考慮して、平成27年4月1日施行の改正により、有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者向け住宅についても、本件特例の対象とされました。

昨年度からの出題対象であり、細かすぎて出題対象となるか相当微妙ですが、どこかで読んだことがある程度にしておけば安全です。

 

 

2 退職被保険者等

退職者医療制度については、【平成22年問7B】が直近の出題です。

ここでは取り上げませんが(健保法の特例退職被保険者の個所で若干見ています)、退職被保険者の要件を再確認しておいて下さい。

また、国民健康保険において、被扶養者の制度があるのは、この退職者医療制度のみであることも注意です。

 

 

3 資格の喪失時期

資格の喪失時期についても、時々択一式で出題されます(直近の出題は、市町村国保の被保険者の資格喪失時期に関する【平成25年問7D】)。

 

資格の取得時期は、すべて当日(その日)取得ですから、問題は少ないです。

以下、資格の喪失時期について、表で整理しておきます。

左側が「市町村国保」の被保険者の資格喪失(資格喪失事由及び資格喪失時期)の場合であり、右側が「組合国保」の資格喪失の場合です(小さくて見ずらい場合は、クリックして拡大して下さい)。

 


4 届出

届出については、次の択一式【問2】で出題します。

 

以上、被保険者関係でした。

 

 

【問2】× (設問はこちら

 

「被保険者の資格を取得した者」が資格取得の届出の提出義務を負うのではなく、「その者の属する世帯の世帯主」が当該提出義務を負います。

 

本問は、市町村国保における被保険者の資格取得の届出の問題です。

被保険者の属する世帯の世帯主は、厚生労働省令の定めるところにより、その世帯に属する被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項その他必要な事項を市町村に届け出なければなりません(第9条第1項)。

これを受けて、施行規則第2条第1項において、次の通り規定されています。

「市町村の区域内に住所を有するに至ったため、被保険者の資格を取得した者があるときは、その者の属する世帯の世帯主は、14日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を、市町村に提出しなければならない。〔以下、省略。〕」

 

 

届出については、近時、出題はありません。そろそろ択一式でぽろっと出題されるかもしれません。

さしあたり、以下の点を押さえておけば良さそうです。

 

まず、被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員は、厚生労働省令の定めるところにより、その世帯に属する被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項その他必要な事項を市町村又は組合に届け出なければなりません(第9条第1項〔市町村国保の場合〕、第22条〔組合国保の場合〕)。

つまり、国民健康保険の「届出を行うべき者」については、「市町村国保の場合=被保険者の属する世帯の世帯主」であり、「組合国保の場合=組合員」です(この世帯主又は組合員が、その世帯に属する被保険者の分も届出義務を負います)。

そして、「届出先」は、「市町村国保の場合=市町村」、「組合国保の場合=組合」となります。

届出の期限」については、ほぼ「14日以内」です(国民年金の届出と同様です)。

あとは、「届出を行うべき事由」として、大まかにどのような届出があるのかを知ればよいことになります(なお、基本的に、「被保険者に関する届出」になりますが、一部、「世帯主に関する届出」があります)。

次の表を参考にして下さい。

 

 

 

【問3】× (設問はこちら

 

「1年6月」ではなく、「1年」が正しいです。

解説は、次の【問4】で併せて行います。

 

 

【問4】× (設問はこちら

 

有効期限を「3月」とする被保険者証ではなく、有効期限を「6月」とする被保険者証が正しいです。

 

本問と前問は、保険料(保険税)の滞納による被保険者証の返還及び被保険者資格証明書の交付に関する問題です。

広くは、保険料の滞納に関する措置の問題であり、保険給付(特別療養費)や保険給付の制限の問題も含めて整理できます(なお、保険料の滞納については、督促、滞納処分、延滞金といった強制徴収の手続の問題もありますが、出題が乏しいため、ここでは取り上げません)。

 

この問題については、国保法では、【平成18年問8B】以来、出題がありませんが、同様の制度がある高齢者医療確保法では、【平成25年問9のB及びC】において、基本的な問題が出題されています。

 

以下、保険料の滞納に関する措置に関する全体の流れを見ておきます(長くなりますが、以下の1~4のタイトルが大枠になります)。

 

1 被保険者証の返還

(1)保険者(市町村又は組合)は、国民健康保険の保険料国民健康保険税含みます)を滞納している世帯主(組合国保の場合は組合員です。以下同様)が当該保険料の納期限から厚生労働省令で定める期間〔=1年間(施行規則第5条の6)〕が経過するまでの間に当該保険料を納付しない場合〔=即ち、1年を経過しても滞納している場合〕においては、滞納につき災害その他の政令〔=施行令第1条〕で定める特別の事情があると認められる場合を除き、当該者に対し被保険者証返還求めます(第9条第3項。第22条)。

 

※ 前問の【問3】は、以上までをテーマとした出題です。「1年間」であり、「1年6月」ではありません(「1年6月」は、のちに登場します)。

 

(2)ただし、保険者は、1年間の経過前であっても、原則として、被保険者証の返還求めることできます(前記の「政令で定める特別の事情」があると認められるときが、例外になります。同条第4項、第22条)。

 

2 被保険者資格証明書の交付

◆前記1により、世帯主(組合員)が被保険者証を返還したときは、保険者は、当該世帯主(組合員)に対し、その世帯に属する被保険者に係る被保険者資格証明書を交付します。

【過去問 平成18年問8B】

ただし、18歳の年度末までにある被保険者については、被保険者資格証明書及び有効期限を6月とする被保険者証を交付します(第9条第4項、第22条)。

(なお、その世帯に属する「すべての被保険者」が18歳の年度末までにある者であるときは、(被保険者資格証明書は交付せずに)それらの者に係る6月を有効期限とする被保険者証のみを交付します。)

 

※ 本問の【問4】は、この2をテーマとした出題です。即ち、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者」について交付される被保険者証の有効期限は「3月」ではなく「6月」になります。

 

・後述のように、世帯主(組合員)がその世帯に属する被保険者に係る資格証明書の交付を受けている場合は、当該被保険者について療養の給付等の現物給付は行われず(療養の給付の第36条第1項柱書ただし書等)、保健医療機関等においていったん医療費の全額を支払い、のちに保険者から特別療養費の支給を受けます(償還払。第54条の3第1項)。

ただし、上記の18歳の年度末までにある被保険者が有効期限を6月とする被保険者証の交付を受けている場合は、特別療養費ではなく、通常の保険給付が支給されます。年少者に対する医療保険による保護を重視した制度です(ちなみに、平成22年の改正(平成22年7月1日施行)の前は、15歳の年度末までにある被保険者が対象でした)。

 

・なお、保険者は、被保険者資格証明書の交付を受けている世帯主(組合員)が、滞納している保険料を完納したとき又はその者に係る滞納額の著しい減少、災害その他の政令で定める特別の事情があると認めるときは、当該世帯主(組合員)に対し、その世帯に属するすべての被保険者に係る被保険者証を交付します(第9条第7項、第22条)。

 

 

※ 被保険者証及び被保険者資格証明書の有効期間の設定(=短期被保険者証等)

(ア)なお、保険者は、被保険者証及び被保険者資格証明書有効期間を定めることができます(保険料の滞納防止対策です(更新の際に滞納者に納付を促すこと等ができます))。

 

(イ)この場合において、保険者(市町村又は組合)は、国民健康保険の保険料を滞納している世帯主(組合員)(前記1により保険者が被保険者証の返還を求めるものとされる者を除きます)及びその世帯に属する被保険者の被保険者証について、また、市町村は、国民年金の保険料を滞納している世帯主(国民年金の保険料の連帯納付義務を負う世帯主を含み、厚生労働大臣が厚生労働省令で定める要件に該当するものと認め、その旨を市町村に通知した者に限ります)及びその世帯に属する被保険者その他厚生労働省令で定める者の被保険者証について、特別〔短期〕の有効期間を定めることができます。

 

ただし、18歳の年度末までにある者が属する世帯の世帯主又はその世帯に属する被保険者の被保険者証については、当該者に係る被保険者証の特別の有効期間は6月以上としなければなりません(第9条第10項、第22条)。

  

(ウ)保険者は、被保険者証又は被保険者資格証明書の有効期間を定める場合(被保険者証につき特別の有効期間を定める場合を含みます)には、同一の世帯に属するすべての被保険者(18歳の年度末までにある者等を除きます)について同一の有効期間を定めなければなりません(第9条第10項、第22条)。(同一世帯に属する者の間の取扱いの公平性を考慮したものです。)

 

 

3 保険給付=特別療養費の支給

世帯主(組合員)がその世帯に属する被保険者に係る被保険者資格証明書交付を受けている場合は、当該被保険者について療養の給付等の現物給付は行われず(療養の給付の第36条第1項柱書ただし書等)、保健医療機関等においていったん医療費の全額を支払い、のちに保険者から特別療養費の支給を受けます(償還払。第54条の3第1項)。

ただし、上記2の「18歳の年度末までにある被保険者が有効期限を6月とする被保険者証の交付を受けている場合」は、特別療養費ではなく、通常の保険給付が支給されます。

  

4 保険給付の制限

(1)保険給付の支払の一時差止め

(ア)保険者は、保険給付を受けることができる世帯主又は組合員が保険料を滞納しており、かつ、当該保険料の納期限から厚生労働省令で定める期間〔=1年6月(施行規則第32条の2)〕が経過するまでの間に当該保険料を納付しない場合〔=即ち、1年6月を経過しても滞納している場合〕においては、滞納につき災害その他の政令〔=施行令第29条の5〕で定める特別の事情〔=前記1の施行令第1条を読み替えの上準用〕があると認められる場合を除き、保険給付の全部又は一部の支払を一時差し止ます(第63条の2第1項)。

(この支払の一時差止めにより、特別療養費が支給されなくなります(その後、滞納分の保険料の支払があれば、特別療養費は支給されます)。)

 

(イ)保険者は、前記(ア)の1年6月を経過しない場合においても、保険給付を受けることができる世帯主又は組合員が保険料を滞納している場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令〔=施行令第29条の5〕で定める特別の事情〔=前記1の施行令第1条を読み替えの上準用〕があると認められる場合を除き、保険給付の全部又は一部の支払を一時差し止めることができます(第63条の2第2項)。【過去問 平成15年問9B】

  

(2)滞納保険料額の控除

保険者は、被保険者資格証明書の交付を受けている世帯主又は組合員であって、上記4の(1)による保険給付の全部又は一部の支払の一時差止がなされているものが、なお滞納している保険料を納付しない場合においては、あらかじめ、当該世帯主又は組合員に通知して、当該一時差止に係る保険給付の額から当該世帯主又は組合員が滞納している保険料額を控除することができます(第63条の2第3項)。

(この控除が行われると、以後、滞納していた保険料を納付しても、当該控除部分については、特別療養費が支給されなくなります。)

 

以上で、被保険者資格証明書の関係を終わります。

 

 

【問5】× (設問はこちら

 

「100万円」以上ではなく、「145万円」以上が正しいです。

 

療養の給付に係る一部負担金の割合については、大枠は、健康保険法における療養の給付の場合と同様です(国保法の場合は、「6歳に達する日以後の最初の3月31日以前である場合」かどうかの区分も追加されますが)。

細部については、70歳以上の一定以上所得者(現役並み所得者)の要件が若干異なります。

即ち、70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合であって、当該療養の給付を受ける者の属する世帯に属する被保険者(70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合に該当する者その他政令で定める者に限ります)について政令の定めるところにより算定した所得の額〔=課税所得〕が政令で定める額〔=145万円(施行令第27条の2第2項)〕以上であるときに、その一部負担金の割合は10分の3に引き上げられます。

  

なお、この「70歳以上の一定以上所得者」の要件に該当する場合であっても、以下の(1)~(3)のいずれかに該当する者については、当該被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員が保険者に申請をする(申請書を提出する。施行規則第24条の3)ことによって、「70歳以上の一般所得者」として取り扱われます。

従って、一部負担金の割合が10分の2(ただし、特例措置が適用される者は、10分の1)に引き下げられます(施行令第27条の2第3項)。

(以下、(1)については、健保法とパラレルです((2)については、5年の期間制限がない点が健保法と異なりますが、その他はパラレルです)。

以下の事項については、試験対策上は、基本的には、健保法と同様として、金額程度を押さえておけばよろしいのではないかと思います。)

 

(1)療養の給付を受ける者の属する世帯に属する被保険者(70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合に該当する者に限ります)について厚生労働省令〔=施行規則第24条の2〕で定めるところにより算定した収入の額が520万円(当該世帯に他の被保険者がいない者にあっては、383万円)に満たない者(施行令第27条の2第3項第1号)

 

※ 即ち、当該療養の給付を受ける被保険者(70歳以上です)の世帯に属する被保険者が70歳以上の場合は、それらの年収の合算額が520万円未満のときに、「70歳以上の一般所得者」として取り扱われます。

また、当該世帯に他の被保険者がいない場合は、当該被保険者の年収の額が383万円未満のときに、「70歳以上の一般所得者」として取り扱われます。

 

(2)ただし、その属する世帯に他の被保険者がいない者であって、特定同一世帯所属者〔=後期高齢者医療の被保険者(法第6条第8号)に該当したことにより被保険者の資格を喪失した者であって、当該資格を喪失した日の前日以後継続して同一の世帯に属する者(施行令第29条の7第2項第9号イ)〕がいるものについて、その者及び当該特定同一世帯所属者の収入の合計額が520万円に満たない者であるときは、「70歳以上の一般所得者」として取り扱われます。

 

※ 即ち、この(2)は、同一世帯において、国民健康保険の被保険者から後期高齢者医療制度の被保険者に移行した者の年収も含めて、一定以上所得者に該当するかどうかの判断を行うことができるとするものです(従来、年収額が383万円以上であった被保険者は、その世帯の他の被保険者(例:配偶者)が75歳になって後期高齢者医療の被保険者に該当しますと、その年収額が増加したわけではないのに、単身者となったとして「一般所得者」から「一定以上所得者」に変わり、一部負担金の割合が増加してしまうという不合理を避ける趣旨です)。

 

(3)療養の給付を受ける者の属する世帯に属する被保険者について基準所得額(基礎控除後の総所得金額等(施行令第29条の3第2項))を合算した額が210万円以下の者

 

念のため、一部負担金の一覧表を掲載しておきます。

 

※ なお、保険給付については、【平成26年問7(5肢)】において、法定給付(法定必須給付及び法定任意給付)と任意給付の内容を問う出題がされました。

基本的なことですが、例えば、任意給付の種類を覚えておく必要があります。次の「事業」の全体像の図を掲載するに留めます。

 

※ 支払に関する事務の委託

ちなみに、従来、葬祭費(葬祭の給付)、出産育児一時金及び傷病手当金の支払に関する事務は、国民健康保険団体連合会に委託することができるとされていましたが、改正により、さらに社会保険診療報酬支払基金にも委託できることとなりました(第58条第3項。平成28年4月1日施行)。一応、頭の片隅に入れておいて下さい。

(国民健康保険団体連合会への委託は、すでに平成22年5月19日施行の改正により実施されていました。)

 

 

【問6】× (設問はこちら

 

「100分の4」ではなく、「100分の40」が正しいです。

 

本問の保険医療機関等による不正利得の徴収における40%の加算の制度(を含む不正利得の徴収の制度)は、健康保険法の場合とパラレルです(健保法のこちら以下)。

 

なお、「保険給付の通則」は、周期的に出題されています。

前回は、【平成22年問6のA、C、E】において、「給付制限」や「受給権の保護等」が出題されました。

この「給付制限」及び「受給権の保護等」は、健保法のそれらとほぼ同様になりますので、健保法の知識を思い出せば足ります(なお、給付制限について、健保法の「偽りその他不正の行為による傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部の相対的給付制限」に相当するものは、国保法では規定がありません。国保法では、この2つの手当金は任意給付だからです)。

 

 

【問7】× (設問はこちら

  

「行わなければならない」のではなく、「行うように努めなければならない」(努力義務)です。

 

本問は、次の第82条第1項からの出題です。この第82条(保健事業)は、健康保険法の保健事業(保健・福祉事業。健保法のこちら以下)と同様に改正されており、次の下線部分が追加されるなどの見直しが行われています。

国保法よりは、健保法で出題される可能性があるかもしれません(健保法の選択式で注意です)。

 

【条文】

第82条

1.保険者は、特定健康診査等行うものとするほか、これらの事業以外の事業であつて、健康教育健康相談及び健康診査並びに健康管理及び疾病の予防に係る被保険者自助努力についての支援その他の被保険者の健康の保持増進のために必要な事業を行うように努めなければならない。

 

〔第2項以下は、省略。〕

 

  

 

 

【問8】× (設問はこちら

 

「国」ではなく、「都道府県」が正しいです。また、広域化等支援基金を「設ける」ではなく、「設けることができる」が正しいです。

 

本問は、「広域化等支援基金」(第68条の3)に関する出題です。条文を掲載しておきます。

 

【条文】

第68条の3(広域化等支援基金)

都道府県は、広域化等支援方針の作成、広域化等支援方針に定める施策の実施その他国民健康保険事業の運営の広域化又は国民健康保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用に充てるため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第241条〔=普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するための基金を設けることができる〕の基金として、広域化等支援基金を設けることができる。

 

 

嫌らしい設問でしたが、「広域化等支援方針」(第68条の2)について、本問とパラレルな内容が【平成26年問7E】で出題されています。次の通りです。

 

・【平成26年問7E】

設問:

国は、国民健康保険事業の運営の広域化又は国民健康保険の財政の安定化を推進するための市町村又は特別区に対する支援の方針を定めるものとする。

 

解答:

「国」を「都道府県」に、「定めるものとする」を「定めることができる」に置き換えると、正しい内容になります。

 

 

この「広域化等支援方針」の第68条の2第1項を掲載しておきます。

 

【条文】

第68条の2(広域化等支援方針)

1.都道府県は、国民健康保険事業の運営の広域化又は国民健康保険の財政の安定化を推進するための当該都道府県内の市町村に対する支援の方針(以下「広域化等支援方針」という。)を定めることができる

 

 

〔第2項以下は、省略。〕

 

 

 

実は、この「広域化等支援方針」(「広域化等支援基金」を含む第4章の2)は、平成30年4月1日施行の改正により廃止されるのです。

広域化等支援方針は、市町村国保の事業運営について都道府県単位化を推進するための環境を整備することを趣旨とします(平成22年5月19日施行。なお、広域化等支援基金はその前からありました)。

そして、いよいよ平成30年度からは、都道府県が保険者として加わり(先に触れましたように「市町村が行う国民健康保険」が「都道府県等が行う国民健康保険」となります)、現行の市町村国保の運営の広域化と財政の安定化が実現されることになりました。そこで、広域化等支援方針は廃止となります。

 

ということで、平成26年度の択一式では、「広域化等支援方針」が出題されています。もう一度この周辺の出題があるとすれば、今度は「広域化等支援基金」かもしれません。そこで、念のため、上記の第68条の2第1項を熟読しておいて下さい。

 

 

【問9】× (設問はこちら

 

「10%から32%」ではなく、「13%から32%」です。

 

設問は、組合の給付費に対する国庫補助の問題です(第73条第1項及び第5項)。厚労省の資料をベースにアレンジして出題しています。

「13%から32%」への見直し及び「15.4%まで段階的に増額」の両者が平成28年4月1日施行の改正であり、記憶しておく必要があります。

前者については、前掲のこちらの表の右側の「療養給付費等補助金」の個所で記載しています。

 

とりあえず、数字関係を次のゴロでも使って覚えておいて下さい。

 

※【ゴロ合わせ】

・「組(くみ)を助けると、父さんは自ら引っ越した。

(父さんが、暴力団に入ってしまいました。)

 

→「くみ・を助ける(=「組」合に対する国庫補「助」)と、父さん(=100分の「13」)は、みず(=100分の「32」)から、引っ越し(=100分の「15.4」の範囲内で増額可)た。」

 

 

※ ちなみに、市町村国保の保険料の賦課限度額が引き上げられています(平成28年4月1日施行)。次の(1)と(2)です。

 

(1)基礎賦課額の賦課限度額=54万円(改正前は、52万円。 【過去問 平成27年問6B(後掲)】)(施行令第29条の7第2項第10号)

(基礎賦課額とは、賦課額のうち、国民健康保険事業に要する費用(後期高齢者支援金等及び介護納付金の納付に要する費用を除きます)に充てるための額をいいます。いわば医療分です。)

 

(2)後期高齢者支援金等賦課額の賦課限度額=19万円(改正前は17万円)(施行令第29条の7第3項第9号)

(後期高齢者支援金等賦課額とは、賦課額のうち、後期高齢者支援金等の納付に要する費用に充てるための額をいいます。)

 

(3)介護納付金賦課額の賦課限度額=16万円(施行令第29条の7第4項第9号)

 (介護納付金賦課額とは、当該世帯主(組合員)及び当該世帯に属する国民健康保険の被保険者のうち介護保険第2号被保険者である被保険者(「介護納付金賦課被保険者」)につき算定した賦課額であり、賦課額のうち、介護納付金の納付に要する費用に充てるための額をいいます。

以上の(1)から(3)までの賦課額を合算した額が、市町村が行う国民健康保険の保険料の賦課額となります(施行令第29条の7第1項参考)。) 

 

ただ、前回の平成27年度の択一式において、上記(1)の改正前の52万円が問われていますので、今回は、賦課限度額の出題可能性は低いとみるのが穏当でしょう。

 

 

【問10】× (設問はこちら

 

「政令の定めるところにより」ではなく、「条例又は規約の定めるところにより」が正しいです。

即ち、保険者(市町村又は組合)は、市町村にあっては条例の定めるところにより、組合にあっては規約の定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができます(次の第77条)。

 

【条文】

第77条(保険料の減免等)

保険者は、条例又は規約の定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。

 

 

なお、国民健康保険の保険料は、世帯主又は組合員が納付義務を負うことは忘れないで下さい(第76条第1項参考)。すでに見ました届出義務と同様です。

 

 

【問11】〇 (設問はこちら

  

設問は、特別徴収が行われない場合であり、正しい内容です。

 

特別徴収とは、市町村が老齢等年金給付を受ける被保険者である世帯主から老齢等年金給付の支払をする者に保険料を徴収させ、かつ、その徴収すべき保険料を納入させることをいいます(第76条の3第1項参考)。いわゆる年金からの保険料の天引きです。 

ただし、世帯主が次の(1)~(5)のいずれかに該当する場合は、行われません。

 

(1)老齢等年金給付の額が18万円未満である者(法第76条の4→介護保険法第134条第1項第1号及び第2項から第6項までに規定する政令で定める額。施行令第29条の12)。

 

※【ゴロ合わせ】

・「特別徴収は(=「18」万円)」

 

(2)同一の月に徴収されると見込まれる国民健康保険の保険料額介護保険の保険料額との合計額が、老齢等年金給付の額の2分の1に相当する額を超える者(施行令第29条の13第1号)

→この場合は、介護保険の保険料のみが特別徴収されます(特別徴収の制度は介護保険法で創設されたことを背景としています。次の(3)も同様の考え方です)。

 

(3)介護保険の保険料が特別徴収されない者(施行令第29条の13第2号)

 

(4)65歳未満の被保険者が属する世帯に属する者(施行令第29条の13第3号)

 

(5)被保険者である世帯主から口座振替の方法により保険料を納付する旨の申出があったことその他の事情を考慮した上で、特別徴収の方法によって徴収するよりも普通徴収の方法によって徴収することが保険料の徴収を円滑に行うことができると市町村が認める者(施行令第29条の13第4号)

 

※ なお、特別徴収の手続の詳細については、介護保険法の特別徴収に関する規定が準用されています(第76条の4)。高齢者医療確保法においても同様です(高医法第110条)。

 

 

保険料の徴収方法(普通徴収・特別徴収)については、国年法では、近時、出題がありません(高齢者医療確保法では、出題があります)。

上記の「特別徴収が行われない場合」については、国保法と高齢者医療確保法で共通していますので、覚えておくと有用です。

 

 

【問12】× (設問はこちら

 

「都道府県」ではなく、「市町村」が正しいです。

 

設問は、国民健康保険運営協議会(以下、「協議会」いうことがあります)に関する出題です(第11条、施行令第3条第1項)。

この協議会についても、平成30年度から改正が行われます。また、協議会は、【平成18年問8C】と【平成19年問6C】に連続して出題されたことがあります。

次の内容を記憶しておいて下さい。

 

◆国民健康保険事業の運営に関する重要事項を審議するため、市町村に国民健康保険運営協議会を置きます(第11条第1項)。

 

◆国民健康保険運営協議会は、被保険者を代表する委員、保険医又は保険薬剤師を代表する委員及び公益を代表する委員、各同数をもって組織されます(施行令第3条第1項)。(いわゆる3者構成です。利害関係者を関与させることにより、審議の公平性・信頼性を確保する趣旨です。)

委員の定数は、条例で定められます(施行令第3条第2項)。(協議会は、市町村が設置するものですから、市町村の自治が尊重されているということです。)

 

※ この「国民健康保険運営協議会」と紛らわしいのが、同じく国保法で登場する「国民健康保険審査会」と「国民健康保険診療報酬審査委員会」です。この審査会と審査委員会の概要は、以下の通りです。

 

・「国民健康保険審査会」は、国民健康保険の不服審査機関です。

同審査会は、各都道府県に設置され(第92条)(【平成21年問6E】)、被保険者を代表する委員、保険者を代表する委員及び公益を代表する委員、各3人〔それぞれ3人ずつということです〕をもって組織されます(第93条第1項)。

 

・「国民健康保険診療報酬審査委員会」は、文字通り、診療報酬の審査をする委員会であり、国民健康保険団体連合会に設置されます。

都道府県知事が定めるそれぞれ同数保険医及び保険薬剤師を代表する委員、保険者を代表する委員並びに公益を代表する委員をもって組織されます(第88条第1項)。

(この「診療報酬審査委員会」も3者構成になっていますが、「国民健康保険運営協議会」や「国民健康保険審査会」のように「被保険者を代表する委員」は関与していません(診療報酬審査委員会の場合は、診療報酬の審査という専門性が高い技術的事項について判断する組織だからでしょう)。)

 

なお、この国民健康保険診療報酬審査委員会」の委員を「都道府県知事」が定める点については、【平成25年問7E】と【平成21年問6C】において、いずれも「厚生労働大臣」が定めるという誤りの出題がなされています。

 

以上、紛らわしいですが、「国民健康保険運営協議会」は、市町村国保の運営事項を協議するものですから、市町村に設置されること、「国民健康保険診療報酬審査委員会」は、診療報酬の審査を行う委員会ですから、「国民健康保険団体連合会」に設置されること(そして、知事委員を定めること)あたりをベースに知識を整理して下さい。のちに、【問14】の解説中で表により整理します。

 

 

【問13】〇 (設問はこちら

 

国民健康保険団体連合会に関する正しい設問です。

 

国民健康保険団体連合会(以下、「連合会」ということがあります)は、保険者が、共同してその目的を達成するために設立する法人であり、診療報酬審査及び支払に関する事務等を行います(第83条以下)。現在、各都道府県に1つずつ設立されています。

連合会も、ちょろちょろと出題されます。また、のちに【問15】で見ますが、連合会については、若干、改正事項もあります。

 

設問の前段の「国民健康保険団体連合会を設立しようとするときは、当該連合会の区域をその区域に含む都道府県を統轄する都道府県知事の認可を受けなければならない」という点については、【平成21年問6C】において、「厚生労働大臣の認可」という誤りの出題がされています。

 

設問の後段の「都道府県の区域を区域とする連合会に、その区域内の3分の2以上の保険者が加入したときは、当該区域内その他の保険者は、すべて当該連合会の会員となる」という点については、出題はないようですが、記憶しておいて下さい。 

 

 

【問14】× (設問はこちら

 

設問の一番最後の「国民健康保険運営協議会」という点が誤りです。正しくは、「国民健康保険診療報酬審査委員会」です。

 

このページの択一式を順番に解いていかれた方の場合は、本問の解答はわかりやすかったと思いますが、本問のみが独立に出題されると、結構紛らわしいので注意です。

例えば、不服申立機関である「国民健康保険審査会」とも似通っています。 

以下、「国民健康保険診療報酬審査委員会」(「審査委員会」ということがあります)について、簡単に見ておきます。

 

保険者は、保険医療機関等から療養の給付等に関する診療報酬の請求があったときは、審査した上、支払いますが(第45条第4項)、この審査及び支払に関する事務は、都道府県の区域を区域とする国民健康保険団体連合会(加入している保険者の数がその区域内の保険者の総数の3分の2に達しないものを除きます)又は社会保険診療報酬支払基金に委託することができます(同条第5項)。(以上は、健康保険の場合も基本的にパラレルです。健保法のこちら

 

そして、当該委託を受けて診療報酬請求書の審査を行うため、都道府県の区域を区域とする国民健康保険団体連合会(加入している保険者の数がその区域内の保険者の総数の3分の2に達しないものを除きます)に、「国民健康保険診療報酬審査委員会」が設置されます(第87条第1項)。

以上が設問の内容でした。

 

ただ、近時の過去問では、審査委員会の組織について問われています(【問12】の解説でも触れました)。例えば、平成25年の出題は次の通りです。

 

・【平成25年問7E】 (類問【平成21年問6C】)

設問:

国民健康保険診療報酬審査委員会は、厚生労働大臣が定めるそれぞれ同数の保険医及び保険薬剤師を代表する委員、保険者を代表する委員並びに公益を代表する委員をもって組織し、委員は厚生労働大臣が委嘱する。

 

解答:

「厚生労働大臣」とある2か所について「都道府県知事」と改めれば、正しい内容になります。

 

審査委員会については、今回の試験でその組織が問われる可能性は高くはないかもしれませんが、前記の【問13】の解説で見ましたように、「国民健康保険運営協議会」や「国民健康保険審査会」の組織についても注意しておく必要があります。

次の表を参考にして下さい。

 

 

 

【問15】〇 (設問はこちら

 

国民健康保険団体連合会が行う交付金事業(第81条の2)に関する正しい設問です。

 

本問は、出題可能性が高いかは微妙です。ただ、平成30年度からの改正により、交付金事業(第5章の2=第81条の2の1か条のみです)が削除され、財政安定化基金(改正後の第81条の2)に衣替えされます。そこで、念のため、設問の内容を読んだことがある程度には押さえておいて下さい。

 

以下、設問を再掲しつつ、若干、補足します。

 

国民健康保険団体連合会は、政令の定めるところにより、国民健康保険の財政の安定化を図るため、その会員である市町村に対して次に掲げる交付金を交付する事業を行うものとします(第81条の2第1項柱書)。

 

(1)政令で定める額以下の医療に要する費用を市町村(国民健康保険団体連合会の会員である市町村をいいます)が共同で負担することに伴う交付金

 

※ この(1)は、保険財政共同安定化事業交付金といいます(国民健康保険の国庫負担金等の算定に関する政令第6条)。

 

(2)前記(1)の政令で定める額を超える高額な医療に要する費用を国、都道府県及び市町村が共同で負担することに伴う交付金

 

※ この(2)は、高額医療費共同事業交付金です(国民健康保険の国庫負担金等の算定に関する政令第6条)

 

そして、国民健康保険団体連合会は、上記の事業に要する費用に充てるため、前記(1)及び(2)に掲げる交付金を交付する事業ごとに、政令で定める方法により、市町村から拠出金を徴収します(第81条の2第2項)。

 

 

【問16】〇 (設問はこちら

 

本問は、連合会又は支払基金に対する事務の委託に関する新設規定であり(第113条の3。平成28年4月1日施行)、正しい内容です。

 

保険者は、「保険給付の実施、保険料の徴収及び保険事業の実施等に係る情報収集又は整理に関する事務」及び「保険給付の実施、保険料の徴収及び保険事業の実施等に係る情報利用又は提供に関する事務」について、他の保険者と共同して、国民健康保険団体連合会又は社会保険診療報酬支払基金に委託することができることとなりました(同様の規定は、高齢者医療確保法でも新設されました(同法第165条の2))

 

この規定は、番号法(マイナンバー法)の施行に伴い、診療報酬の審査・支払機関に、情報提供ネットワークシステムを通じて、加入者の資格情報等の正確かつ迅速な管理を可能にさせようとした趣旨です。

 

さしあたり、上記の太字部分あたりどこかで読んだ程度に把握して下さい。

 

 

【問17】× (設問はこちら

 

「2月以内」ではなく、「3月以内」が正しいです。

 

本問は、行政不服審査法の改正に関連する問題です。即ち、審査請求期間(不服申立期間)が、従来の「60日以内」から「3月以内」に伸長されました(平成28年4月1日施行)。

 

なお、審査請求先(審査機関)が「国民健康保険審査会」であること、1審制であること、審査請求前置主義(不服申立て前置主義)が採用されていること(処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができません)については、改正前と同様です。

社会保険審査会」に審査請求をすることができるという過去問がありますので、注意して下さい(【平成16年問9E】/【平成18年問9A】)。

 

国民健康保険法が定める不服申立ては、次の図のイメージになります。

 

国民健康保険審査会の組織面についても、注意です。

即ち、国民健康保険審査会は、各都道府県に設置され(第92条)(【平成21年問6E】)、被保険者を代表する委員、保険者を代表する委員及び公益を代表する委員、各3人をもって組織されます(第93条第1項)。

先に【問14】の解説中で触れましたが(こちらの表)、国保法の中の他の機関と混同しないように注意です。

 

さらに、他法における不服審査機関とも混同しないように注意が必要です。次の表を参考にして下さい。

 

 

 

【問18】〇 (設問はこちら

 

厚生労働大臣又は都道府県知事による保険者又は連合会に対する報告の徴収等に関する問題であり、設問は正しいです。

即ち、厚生労働大臣又は都道府県知事は、保険者又は連合会について、必要があると認めるときは、その事業及び財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員に実地にその状況を検査させることができます(第106条第1項)。

 

国民健康保険法においては、監督権の行使の主体について「厚生労働大臣又は都道府県知事」とされていることが多いです。

例えば、「保険医療機関等は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は国民健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣又は都道府県知事指導を受けなければならない。」とされています(第41条第1項)。

ちなみに、この第41条第1項は、頻出の規定です(【平成16年問9C】/【平成22年問6D】/【平成25年問7B】)。

 

 

最後になりますが、罰則について少々。

健康保険法や国民健康保険法等の医療保険法における罰則については、秘密保持義務違反最も重い罰則1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)になっています。

例えば、国民健康保険法の場合、保険者役員若しくは職員又はこれらの職にあった者が、正当な理由なしに、国民健康保険事業に関して職務上知得した秘密を漏らしたときは、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(第120条の2)。

その他に、審査委員会・審査会の委員等、連合会の役員等についても同様です(第121条)。

健保法の場合については、こちら以下を参照して下さい。

 

 

以上で、国民健康保険法の直前対策講座を終わります。 次のページでは、パートタイム労働法を中心とした直前対策講座です。