更新等のお知らせ その2
更新履歴 Update
※ 最新のページは、こちらです。
・平成28年8月25日(木)
相変わらず暑い毎日ですが、いよいよ本試験が目前に迫ってきました。
今回は、本試験前、最後の発信となります。
1 本試験においての若干の注意点
今回は、選択式が午前中に実施されることとなりました(東日本大震災前の試験方式に戻りました)。
選択式が午前中になりますと、(試験開始が若干遅くなるほか)午前中はそれほど時間的に追われなくなります。
択一式ですと、時間との戦いになるのですが、選択式の場合、問題自体は難しいものが多いでしょうが、時間的な制約はそう厳しくありません。
以下、いくつか注意点です。
(1)開始前後について
試験開始直後については、注意点があります。これは人それぞれにもよりますから、あまり一般化はできないのですが、個人的な経験も踏まえますと、試験開始後しばらくは、頭の回転が悪いことが少なくないような気がします。まだ頭が寝ているかの状態です。
緊張感・ストレスとか睡眠不足とか色々な原因があるのかもしれません。20分~30分くらいして試験に慣れてくると、そこそこ戻ってくるような感じがするのですが。
頭の回転が悪いと、判断力も低下しますので注意が必要です。
例えば、労基法の選択式にいきなり知らないような判例・通達が登場したような場合に、頭が寝ていますと、そこで過度に時間をかけすぎたりするなど、ペースを乱してしまうことがあります。
そこで、試験前に、若干、頭を働かせるような作業をする手があります。開始のかなり前の段階では、自分の席に座ってテキストを読んだりしてもよいのですが、開始直前になると、テキスト類はしまうように指示されます。このような時間帯に、例えばですが、簡単なゴロ合わせの内容を思い出したりしますと、頭の回転が良くなってくることがあります。余り難しそうなゴロ合わせを思い出そうとしますと、逆効果になりますから、簡単なゴロ合わせとか得意なゴロ合わせをいくつか頭の中で思い出します。(万が一、思い出せなくても心配しないように注意です。)
このような方法で、頭を柔らかくした状態で本番に入れると、判断ミスも少なくなるかもしれません。
(2)選択式について
選択式については、今回も、かなり難しい問題が出題されると想定しておいた方がよいです。見たことのないような問題がいくつかは出題されると思います。難しい問題をある程度出題しないと、選抜できないというこの試験の宿命のようなものです。
このような問題が出たときに、まずは、パニックにならないことが重要です。悲観的になってはいけません。想定内のこととして、肩でも動かして、リラックスして下さい。
これまでも何度か触れていますが、このような問題は、他の受験生もできません。基準点割れを視野に入れて、2点を確保する姿勢で、空欄の2か所を正解にする最大限の努力をします。
法律で分からない問題が出てきたときは、本来は、その問題に関係する制度や条文の趣旨・目的などの基本から考えて何とか解決します。選択式で分からない問題に出会った時も、まずは、趣旨や制度の沿革・背景等の基本に戻って最初から考えてみることが重要です。
ただ、例えば、単純な数字とか白書関係の用語など、知らないと解答できない問題もあります。ここが社労士試験の厄介な個所です。日ごろの学習内容の深度・広さが影響する場面といえ、このような場面で、いかに失点を最小限に食い止められるか、総合力の勝負になってきます。
このような問題に対しても、あきらめず、粘りに粘って下さい。粘った先に何かが見えてくることもあります。
(3)選択式の終了後について
選択式が終わった後、満足している受験生はほとんどいないはずです。多くの受験生が不安な心理状態にあることは、ほぼ間違いないと思います。
しかし、午後の択一式に向けて、気持ちを完全に切り替える必要があります。
仮に選択式で全く知らない問題にあたり、5つの空欄全部をあいまいなまま解答したような場合であっても、基準点が引き下げられたなら、2つの空欄さえ正解していれば、選択式はクリアーできるのです。選択式の結果を引きずり、択一式で十分な力を発揮できないと、目の前にあった合格をみすみす手放すような事態になりかねません。
選択式の結果は忘れて、新たな気持ちで、午後の択一式に臨んで下さい。
また、これもよく言われることかもしれませんが、昼食をあまり食べすぎると、択一式の途中から眠くなったりしかねませんから、ご注意下さい。
なお、初めて受験される方へのアドバイスですが、可能なら、昼食を持参された方がよいです。試験会場によっては、近くに食べるところがなく、暑い中かなり歩いたりせざるを得ないとか、近くのコンビニが受験生でいっぱいになっており、品切れになっているといった問題が生じます。
もっとも、この暑さですから、傷みやすいものを持参するのは禁物です。そうなると、昼食の候補になりそうなのは、例えば、菓子パンとジュースとかになるでしょうか。
あらかじめ自宅周辺で購入して試験会場に行かれるのがよろしいかと思います。
(4)択一式について
択一式は、結構、眠気が襲ってくる場合があります。そのようなときは、遠慮せずに、トイレ休憩をして下さい。用足し後、トイレの洗面所の水で顔をよく洗って、再度、気を引き締め直して下さい。私は、必ずトイレ休憩を取っていました。
択一式は、6割から7割程度得点できれば合格できます。すべての設問・肢を完全に解答しようとする必要はなく、捨て問を作れることを忘れないで下さい。少し考えてもよくわからないような難しい肢は、保留の印をつけて、先に進みましょう。
択一式においても、知らない問題が多数登場してくるはずですが、消去法を利用して、知らない問題以外で最大限処理します。
高得点をとる必要は全くないというのが、択一式のポイントです。
(5)まとめ
以上が、本番に向けての若干の注意点です。
ただ、以上のように注意点は少なくないですが、もはや心配し過ぎる必要はないでしょう。この土壇場に来ましたら、むしろ、「何とかなるだろう」という積極的な開き直りで前向きに過ごして頂くのがよろしいかと思います。
最後まで粘ることだけは忘れずに、良い意味で開き直って本番をお迎え下さい。
2 付録
さて、前向きな心構えを書いた後に些細な事項で恐縮ですが、付録として、若干の知識事項を紹介しておきます。
(1)厚生年金保険法
厚年法は、直前対策で出題対象になりそうな選択式を紹介してきましたが、もう一点、念のために、選択式の素材となりそうな通達を紹介しておきます。
一元化法による改正後初の試験であり、一元化法の制定の趣旨について触れていますので、念のため、一読して下さい。色付き部分のキーワードに注意です。
・【平成24.8.22年発0822第2号】
「被用者年金制度については、多様な生き方や働き方に公平な社会保障制度を目指す平成24年2月17日の閣議決定『社会保障・税一体改革大綱』に基づき、公的年金制度の一元化を展望しつつ、今後の制度の成熟化や少子・高齢化の一層の進展等に備え、年金財政の範囲を拡大して制度の安定性を高めるとともに、民間被用者、公務員を通じ、将来に向けて、同一の報酬であれば同一の保険料を負担し、同一の公的年金給付を受けるという公平性を確保することにより、公的年金全体に対する国民の信頼を高めるため、厚生年金保険制度に公務員及び私学教職員も加入することとし、厚生年金保険制度に統一するものである。」
(2)国民年金法
国民年金基金の加入員の要件を、再確認しておきます。
国民年金基金の加入員は、第1号被保険者ですが(保険料免除者及び農業者年金の被保険者は、基金の加入員にはなれません)、任意加入被保険者については、「日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者」〔=当サイトにおいて「B」の任意加入被保険者と表現するもの〕は、基金の加入員となれます(法附則第5条第12項。平成25年4月1日施行)。
しかし、その他の任意加入被保険者は、加入員になれません。
※ 平成29年1月1日施行の改正により、上記のBの任意加入被保険者に加えて、「日本国内に住所を有する日本国籍を有する20歳以上65歳未満の者」〔=当サイトにおいて、Cの任意加入被保険者と表現するもの〕も、新たに基金に加入できることとなりました。
この関係で、一応、現在の任意加入被保険者の取扱いを再確認していただくと、安心です。
なお、特例による任意加入被保険者〔=当サイトにおいて、Ⅾの任意加入被保険者と表現するもの〕は、改正後も、基金の加入員とはなれません(特例による任意加入被保険者は、受給権の確保を目的として任意加入していますから、基金への加入を認めるのは妥当でないからです)。
(3)確定拠出年金法
確定拠出年金について、注意点を挙げておきます。被用者年金一元化法の施行に伴う主として用語に関する改正があるほか、特に個人型年金について平成29年1月1日施行の改正があり、その関係から最低限注意すべき事項があります(前提として、企業型年金についても触れます)。
確定拠出年金とは、加入者が自己の責任において運用の指図を行い(個人別に資産が管理されます)、その運用結果に基づいて将来の給付額が決定されるものです(確定給付企業年金と異なり、将来の給付額(給付内容)は確定されていません)。
確定拠出年金には、企業型年金と個人型年金の2タイプがあります。
(ⅰ)企業型年金は、厚生年金適用事業所の事業主が単独で又は共同で実施する企業年金制度です(つまり、事業主が従業員に対して実施する企業年金です)。
企業型年金の加入者は、実施事業所に使用される60歳未満(原則。※1)の第1号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者です。
※1 規約により(60歳以上)65歳以下の者についても加入者とすることができます。
掛金は、基本的には事業主が拠出しますが、規約で定めるところにより加入者も拠出できます(この企業型年金加入者も拠出できる仕組みをマッチング拠出といいます)。
(ⅱ)個人型年金は、国民年金基金連合会が実施する確定拠出年金制度です。
個人型年金の加入者は、国民年金の第1号被保険者又は60歳未満の第1号厚生年金被保険者(企業型年金加入者や確定給付企業年金の企業年金等対象者は除外されます)が対象です。
※2 平成29年1月1日施行の改正により、この個人型年金の加入者の範囲が拡大されます(国民年金の第3号被保険者や60歳未満の公務員・私立学校教職員(第2号から第4号までの厚生年金被保険者)も対象に含まれます。要するに、国民年金の被保険者は、原則として、加入者の対象になります)。
現在は、個人型年金は、企業の支援を受けられないような者に対する限定的な制度という位置づけがなされていますが、改正後は、公的年金制度の補完を強化する見地から、基本的に対象を限定せずに広く個人の自主的な努力を支援する制度に見直すこととしたものです。
この改正後の内容は、今回の試験対象ではありませんので、まったく覚える必要ありませんが、現在の内容である上記(ⅱ)の色付き部分は、改めて確認しておいて頂くと安全です。
なお、個人型年金の掛金は、加入者のみが拠出します。
(以下も覚える必要ありませんが、将来(施行日未定)は、小規模事業主掛金納付制度が創設されることとなっており、小規模な事業主に使用される第1号厚生年金被保険者に係る個人型年金について、事業主による拠出が可能になります。)
以上、当サイトも、最後まで粘りに粘りました。
皆様のご健闘を心よりお祈りし、本年度の当サイトを終わらせて頂きます。
・平成28年8月13日(土)
「講義 社労士合格ゼミナール」の金澤でございます。
ここ数日は、千葉北西部、そうひどい暑さではないです。このまま秋になってくれると嬉しいのですが。。
1 直前対策の最終回について
さて、今回は、直前対策講座の最終回です。労基法の選択式になります。こちらです。
3つの判例を取り上げていますが、【学校法人専修大学事件=最判平成27年6月8日】は、いかにも出題されそうな内容であり、余りにも「見え見え」なので、逆に裏をかいて出題してこないのではないかといった心配すらしてしまう判決です。
しかし、平成26年度の労基法の選択式においても、「見え見え」だった年休に関する判決(試験前年の平成25年に出されました八千代交通事件判決)が出題されました。
平成27年度の選択式においても、試験前年の阪急トラベルサポート事件判決が出題されています。
そうなりますと、やはり、専修大学事件判決は出題候補最右翼ということにならざるを得ないでしょう。
この専修大学事件判決のみで労基法の選択式を作るか、それとも、平成27年度のように、もう一つ素材を持ってくるかが微妙なところです。
今回の直前対策では、このもう一つ素材を持ってくる前提に立って、【山梨県民信用組合事件=最判平成28.2.19】とマタハラ判決(【最判平成26.10.23】)も取り挙げています。
この2つの判決については、キーワードの重複の関係で、おそらく同時には出題できないでしょう(詳細は、前記リンク個所をご覧下さい)。
仮に専修大学事件判決が労災保険法の選択式から出題される場合には、上記2つの判決のいずれかと過去の判決が素材になる可能性もあります。
なにはともあれ、これら3つの判例において当サイトが指摘しています赤文字のキーワードを押さえておいて下さい。
2 平成28年度版の終了について
今回の直前対策講座をもって、一応、当サイトの平成28年度版の講座を終了とさせて頂きます。
当初は、さらに企業年金2法を取り上げる予定があったのですが、時間的に厳しくなり、今回の労基法選択式を最終回と致します。
この平成28年度は、受験生にとって学習の限界を超えかねないような分量の改正がありました。多分、これほど重要でかつ広範囲の改正が重なる試験年度というのは、そうそうはないことなのでしょう。
本試験においては、過去問がないいわば初見の事項が多数出題されてくるのですから、仮に基本的な事項が出題されたとしても、対応が難しくなることが少なくないはずです。
従って、かなりの難関が待ち構えているという心づもりでいる必要があります。
28日は、山あり谷ありの難所の中を、最後まであきらめずに、よたこらしながらも登り切っていくという忍耐と覚悟が必要です。
ただ、この1年、学習を継続することができた皆様には、それだけですでにそのような忍耐力と根性は備わっているものと思います。社会人等忙しい中で1年間も学習を継続できたのです。28日は、どうぞ自信をもって、全力を出し切って下さい。
まずは、残りの2週間、やるべき最終チェックに集中です。また、リラックスする時間もうまく設けて下さい。
では、長いようで短い1年間でしたが、有難うございました。
当サイトが、皆様の合格に向けてほんの少しでもお役に立てることがあったのなら、これ以上の喜びはございません。
平成28年8月13日
金澤 博之
・平成28年8月12日(金)
1 ラストスパートについて
いよいよ試験も迫って参りました。
この時期は、基本的には、各科目の最終チェックの段階となると思います。
日ごろ慣れ親しんだ教材を再チェックして知識を確認するという作業がメインです。
併せて、問題を解く勘が鈍らないように、問題練習の時間も若干確保したいところです。
受験経験があり、本番の様子をご存じな方については、例えば、択一式の1問(5肢)を丸々解くといった必要は必ずしもないでしょう。スキマ時間で解ける程度の分量で足りると思います。
また、一度解いた問題より、むしろ解いたことのない予想問題等の方が良いかも知れません。
要するに、本番では、知らない問題ばかりが出てくると想定しておいた方がよろしいです。従って、特に選択式の場合ですが、蓄積した知識等に加えて、現場での思考力がある程度要求されてきます。そのための準備として、習得した知識を再チェックする一方で、解いたことのないような問題に取り組み、現場思考に慣れておくことと心構えを作っておくことは有用です。本番では、見たことのない問題を目の前にして、冷静さを失ってはならないのです。
もちろん、お一人ずつ、タイプが異なりますので、ご自分の状況に合わせたベストの直前対策をお願い致します。
2 厚年法の直前対策択一式の後半について
さてさて、今回は、厚年法の直前対策の択一式の後半です。こちら
遺族厚生年金以降の出題となっており、すべて1肢ずつの出題ですが、24肢もあり、少々ボリュームがあります(そして、結構、難しい内容が多いです)。
前回までの択一式の前半と選択式とを含めますと、ほぼ厚年法の改正事項がカバーできたかと思います。
ただ、時期が時期ですので、各科目の最終チェックを優先して頂き、スキマ時間ができたような場合に取り組んで頂ければと思います。
3 試験に向けて
次回は、労基法の選択式の直前対策となります。時間的関係から、多分、次回が直前対策講座の最終回となると思います。
2週間あれば、まだ色々できます。学習の進度が遅れているような方も、ラストスパートをかければ、この時期、かなりの量の知識を丸暗記することができます。あきらめるには、まだ早すぎます。最後まで粘りに粘りましょう。
・平成28年8月7日(日)
本日は、厚年法の直前対策講座の択一式の前半のお知らせです。
今回は、21問(肢)の出題となり、障害厚生年金までです。こちら
今回の問題も、簡単でないものが多いですが、スキマ時間にでも取り組んでみて下さい。
・平成28年8月2日(火)
本日は、厚年法の直前対策の選択式のお知らせです。
前半はこちらのページに、後半はその次のページになります。
全部で14問もあり、ほぼ改正事項からの出題となっています。
非常にやりにくい問題が並んでいます。
厚年法の今回の改正事項は難しいものが多いため、改正事項を題材に選択式を作成しますと、自然にレベルが高くなってしまいます。
今回の厚年法の選択式と択一式(択一式は次回公開します)により、一元化法による改正事項のうち出題対象になるようなものは、おおよそはカバーできたのではないかと思います。
ただ、なにぶん内容が少し難しく、かつ、直前期でもありますので、年金法が苦手なような方は、あまり深く内容を追求せずに、数字やキーワードなどの出題されそうな個所を記憶するという感じで、気軽にご利用頂ければと思います。
厚年法だけに時間をかけている時期ではなくなっており、厚年法を深く追求し過ぎるよりは、すべての科目について万遍なくチェックを入れて頂いた方が、合格の可能性が高まりそうです。
なお、お時間のない方も、今回の厚年法の選択式の【問1】は、十分チェックしておいて下さい。実際に出題されるかどうかは「神のみぞ知る」ですが、【問1】が題材としています第2条の5第1項は、一元化法による改正後初の選択式としてふさわしい内容を持つ重要条文です。
では、次回は、厚年法の択一式の直前対策となります。
非常に暑くなっていますので、十分、水分補強をして頂き、体調にはくれぐれもお気をつけ下さい。
・平成28年7月30日(土)
いよいよ本格的に暑くなってきました。学生は夏休みですし、世間も来月にはお盆休みになるところが多いでしょうが、我々はそれどころではありませんね。
ただ、この1年格闘されてきました皆様も、来月末には解放感を味わえますから、今しばらく頑張りましょう!
今回は、直前対策の国年法の択一式です。こちら
今回も、ほぼ改正事項についての出題に絞っています。最新通達等からも出題があり、全体として、かなり難しめです。ですので、いつもの通り、出来不出来は関係ありません。ポイントとなる事項を頭の片隅にでも入れておいて下さい。
前回までに実施しました国年法の選択式と重複するような論点については出題していませんので、今回の選択式と択一式の全体を併せて、改正事項を一応カバーしていることになります。
次回は、いよいよ厚年法の選択式に入ります。さすがに厚年法の改正事項に関する設問は、少々厄介なものが多いです。
選択式としては、基本的な事項を定めている条文でありながら、空欄にされると難しくなってしまうようなものが出題しやすいです。
例えば、実施機関について定めた第2条の5などは、最重要個所のひとつです。詳しくは、次回の直前対策の中で紹介します。
では、また次回です。
・平成28年7月26日(火)
今回は、国年法の直前対策です。まずは、選択式です(択一式は、次回に回します)。
全部で7問あります。前半(4問)と後半(3問)でページが分かれています。こちらとその次のページです。
国年法の選択式として、もし改正事項から出題されるとした場合、一番、出題の可能性が高そうなのは、「付加保険料の納付等の特例=特定付加保険料の制度」(平成26年改正法附則第12条、第13条)ではないかと密かに思っています(今回の2ページ目の問5です)。
他にも、保険料関係の重要な改正事項はあるのですが、出題者側にとっての出題しやすさという観点(条文がコンパクトで、おいしい数字等が含まれており、没問になりかねない危険な条文の崩しの必要がないこと等が条件です)から、上記を目玉と考えました。
ただし、昨年度の当サイトの出題予想の的中率(大まかな私的イメージです)からしますと、重要な問題についてたまに的中したりかすったりしましたが、外れが多いです。。
そこで、当サイトの出題予想は一つの参考程度にして頂き、このサイトで取り上げていない事項についても、皆様の学習経験からする「勘」は重視して頂き、匂う個所の詰めをお願いします(合格する年は、事前に怪しいなという「勘」が働いた個所が出題されたりするものです)。
また、相変わらず、かなり難しい問題が多いです。
優しい問題を出題して自信を持ってもらい本番に挑んで頂くという方向もあるのですが、まだ、本番まで1か月ほどあります。従いまして、なおも復習・記憶の再喚起の時間は十分あることから、出題の可能性がある個所については、少々難しくても出題しています。
そこで、難しくても、くれぐれも気落ちしないでください。10科目以上も学習しているのですから、一度覚えた個所も、忘れていることが少なくないはずです。忘れたら再度覚えれば足り、覚えていなかったら覚えれば大丈夫です。
(なお、直前期ではありますので、この時期の学習方法は、それ以前の学習方法とは異なります。あまり理由等を追求している時間はなく、今まで覚えた知識の再チェックとまだ覚えていないような事項の集中的記憶がメインになります)。
スキマ時間でも利用してご活用頂き、復習にウエイトをおいて下さい。
次回は、国年法の択一式の直前対策です。
・平成28年7月17日(日)
今回は、直前対策講座の第5回目です。育児介護休業法になります。こちらです。
この育休法は、一般常識の択一式(及び選択式)では、ほとんど出題されたことがありません。育休法は出題対象とできる重要規定が多いですし、日常生活においても問題になることが多くなっていますから、なぜ出題しないのか、不思議で仕方がないのですが。
今回も出題されない可能性はかなりあると思います。
ただ、平成29年1月1日施行の改正を控えており(介護休業の分割取得等が可能になります)、また、昨年度の選択式においても、介護問題がテーマとされていることから、一応、最低限のチェックをしておいた方が安心です。
今回は、平成29年からの改正の対象になっている事項を中心に出題しています。難しい問題もあると思いますが、あまり気にせずに、お手持ちのテキストで簡単に復習をしておいて下さい。
今回で、一般常識の直前対策はいったん終了です(後日、まだ時間的余裕があるようでしたら、企業年金2法(確定給付企業年金法、確定拠出年金法)の直前対策を実施する予定です)。
次回は、国年法の直前対策講座を実施します。
・平成28年7月15日(金)
今回は、直前対策講座の第4回目のお知らせです。取り上げるのは、パートタイム労働法、男女雇用機会均等法及び障害者雇用促進法の3法です(こちら)。主に近時の改正事項を取り上げています。
パートタイム労働法は、平成27年度試験から対象となっていた改正事項(同年度に出題されていません)を取り上げています。そこそこ出題の可能性はあり、6問のみの出題ですので(択一式5肢と選択式1問)、スキマ時間にでもご利用下さい。
均等法も、平成27年度試験の対象事項の出題ですが、出題対象になるかは微妙です。とりあえず、択一式1問(5肢)の出題です。
障害者雇用促進法は、最新の改正(平成28年4月1日施行)があるため、注意が必要ですが、平成27年度にも択一式の出題があり(1肢)、出題予想がなかなか難しいです。改正事項について4肢出題です。
次回は、育児介護休業法の直前対策です。育休法は、なぜか労働一般の択一式ではほぼ出題されたことがありません。
が、平成29年1月1日施行(原則)の改正があること(今年度の試験対象ではありません)、また、昨今、待機児童問題や老老介護問題等の関心が高まっていることなどから、そろそろ危ないかもしれません。一応、改正される事項についてはチェックしておくことにします。
では、また次回です。
・平成28年7月13日(水)
今回は、直前対策講座の第3回目、国民健康保険法のアップ等のお知らせです。
1 国保法の直前対策講座について
直前対策講座は、国民健康保険法です(こちら)。
結構ボリュームがあります。直近の改正事項のほか、平成30年度からの大改正が予定されている事項などを中心として、大まかには国保法の全体をカバーできるような出題内容及び解説となっています。
是非、スキマ時間でも利用して活用して下さい。
国保法について、選択式で出題対象になるかどうかはかなり微妙なところですが、択一式は出題の可能性が高いです。
※ 基本的には、この直前の時期に、長いゴロ合わせなどを新たに覚えるというのは、あまり有用ではないといえます(覚えきれなかったり、覚えてきた他の知識の整理に影響を与えたりしかねません)。
ただ、短いゴロ(一発ゴロ)は、かなり有効です。例えば、今回の直前対策中では、選択式の【問3】の解説において、交付金の率のゴロ合わせを掲載しています。「こ(9)うふ金」として、100分の「9」です。
このような一発ゴロは、むしろこの時期、頼りになることが多いです。数字関係で覚えきれないものは、無理やりこじつけて覚えて下さい。
2 今後の予定
今後の直前対策の予定です。
次回は、パートタイム労働法を取り上げます(付録として、均等法・障害者雇用促進法がつきます)。その後、育児介護休業法をやってから、国年法と厚年法の年金2法に入ります。さらに、その後は、労基法を予定しており、なおも時間的余裕があれば、その他の主要科目についても実施する予定です。
社会一般の高齢者医療確保法と介護保険法も取り上げたかったのですが、残念ながら、時間的に間に合いそうにありません。
高齢者医療確保法については、医療費適正化計画(全国医療費適正化計画及び都道府県医療費適正化計画)の計画期間がこれまでの5年から6年に変更されたこと(「6年ごとに、6年を一期」として定めます)は必ず記憶しておいて下さい。
介護保険事業計画(市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画)が3年ごとに定められること(3年を一期として定めます)とバランスをとろうとした趣旨です。
社会一般の択一式は、国民健康保険法、高齢者医療確保法及び介護保険法のいずれかから1問又は複数問出ます。これに加えて、確定給付企業年金法と確定拠出年金法を押さえておきますと、まずまず安心です。白書関係(データー)は水ものですので、できるだけ法令科目の問題で稼ぐことが必要です。
(確定給付企業年金法と確定拠出年金法については、改正事項をチェックしており、今回の直前対策講座に間に合うかどうか、微妙です。1冊本で結構ですので、この企業年金2法について、十分、確認をしておいて下さい。確定拠出年金法は大きな改正が予定されていますので、引き続き注意が必要です。平成27年度は、択一式で確定拠出年金法が出題されましたので、今回は、確定給付企業年金法にも注意しなければなりません。)
労働一般の場合は、毎年のように出題がある労働契約法と労働組合法を再チェックして下さい(当サイトでは、労働契約法は、ほぼ労基法の中で学習してしまっています)。
3 マタハラ判決について
なお、マタニティ・ハラスメントに関する最高裁判例(【最判平成26.10.23】)の記事について(こちら)、追加記載が多くなっていたなど、読みにくかったため、解説の部分を改訂しました。基本的に、行政解釈に沿った内容でまとめています。
この判決は、平成27年度の一般常識の問2Aで出題されましたから、今回は、一般常識では出題はないと思います。
ただ、労基法の選択式では、まだ注意しておいた方がよいです。
例えば、労基法の選択式の前半の2つの空欄は専修大学事件判決から、残りの1つはマタハラ判決からという可能性もあります(そして、安衛法の2つのうちの1つは、ストレスチェック制度が来るかもしれません)。
このマタハラ判決と専修大学事件判決については、労基法の直前対策の中で取り上げますので、(すでに概要を把握されている方の場合は)その際に再チェックして頂ければ足ります。
・平成28年7月11日(月)
今回は、直前対策の第2回目の労働者派遣法です(こちら)。
派遣法は、改正がありましたので、少々注意しておく必要があります。
ただ、労働一般の選択式については、白書関係が素材になることが多いです。また、もともと、派遣法は、労働一般の択一式としても出題が少ないです。
そこで、派遣法全体を細かくチェックすることはせずに、改正個所にウエイトをおいて直前対策を作ってみました。
取り上げているテーマは、次の4つです。
1 労働契約申込みみなし制度
2 事業所単位の期間制限及び個人単位の期間制限
3 特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等のための措置
4 その他(運用上の配慮、決定考慮事項について説明義務等)
もし派遣法が出題されるのなら、上記のいずれかのうちから出題される可能性はかなり高いとにらんでいます。
結構ボリュームがあり、若干、難しい問題も含まれていますが、復習に力を入れてみて下さい。派遣法以外の一般常識の知識についても、ところどころで整理しています。
一般常識は、範囲が広く、どこが出題対象になるか予想しにくいこと、また、直前期でもあることから、あまり個々の事項を深く掘り下げていくのは得策ではありません。今回の直前対策では、かなり掘り下げてはいますが、理解面はそこそこにして頂き、数字やキーワード等の記憶面に重点を置いて下さい。
直前対策は、今後、少しスピードアップします。次回は、当初の予定と異なりますが、国民健康保険法を取り上げます。
国保法は、択一式でも頻出であり、また、平成30年度からの大改正が予定されていることから、出題可能性がある個所についてやや詳しく見ていくことにします。
では、暑いですが、もうひと踏ん張りです。あきらめないことが最重要です!
・平成28年6月16日(土)
当サイトでは、本編の更新も終了し、いよいよ直前対策講座を開始することとしました(目次は、こちらのページで作ります)。
主に改正事項について直前対策をします。もちろん出題されやすい事項をテーマとしますが、従来、あまり出題がないような項目についても、改正された事項あるいは改正が予定されている事項については言及します(例えば、育児介護休業法とパートタイム労働法も取り上げる予定です)。
取り上げる科目や項目についてはランダムになりますが、試験直前まで継続していきます。
当初は、労働一般や社会一般を中心に進めていきます。
取り上げる科目としては、派遣法、育児介護休業法、パートタイム労働法、男女雇用機会均等法、国民健康保険法、確定拠出年金法・確定給付企業年金法あたりを予定しています。
その後、厚年法の改正部分や労基法以下の出題されやすい個所に焦点を当てて進めていきます。
まず、第1回目の今回は、安衛法の改正事項です(こちらのページです)。
さしあたり、ストレスチェック制度と特別安全衛生改善計画の2点に絞って対策をしました。
一問一答、選択式及び択一式があります。すき間時間にでも取りかかってみて下さい。
安衛法は、選択式において労基法で難問が出た場合に重要になります。
ご承知のように、「安全衛生管理体制」、「健康診断」、「安全衛生教育」あたりが頻出です。
「健康診断」については、平成27年度の択一式(問10)で出題がありますが、「健康診断」は毎年度出題対象になりますから、今回も手を抜けません。
ただ、今回は、やはり、新設されたストレスチェック制度(面接指導含む)をマスターしておく必要があります。
「安全衛生計画」については、平成26年度の選択式で出題があります。すると、「特別安全衛生改善計画」については、択一式を注意しておいた方がよいかもしれません。
なお、これは前回の平成27年度対象の改正事項ですが、「計画の届出」について、「事業場に係る届出」(旧第88条第1項)が廃止され、「計画の届出」は3種類になっています。
この3種類とは、次の通りです。
①「機械等に係る届出(第88条第1項)=工事開始の30日前までに、労働基準監督署長に届出る
②「大規模な建設業の仕事に係る届出(第88条第2項)=仕事開始の30日前までに、厚生労働大臣に届け出る(【平成25年度問9A】で出題)
③「建設業・土石採取業の仕事に係る届出」(第88条第3項)=仕事開始の14日前までに、労働基準監督署長に届け出る(【平成18年問10C】で出題)
これらの「計画の届出」についても、よく復習しておいて下さい(特に、「届出の期限」と「届出先」)。
では、次回は、労働者派遣法の直前対策となります。
・平成28年6月5日(火)
今回は、改正事項の整理が終わったことと改正事項の記載の追加等があることをお知らせします。
一 改正事項の整理について
サイトの「改正・最新判例の情報」(こちら)のページで、平成28年度試験向けの改正事項を整理しました。本文のリンク先を紹介する形となっています。
二 改正事項の記載の追加・補充について
次に、改正事項について、いくつか追加や補充をしております。会員に皆様には、すでにメールで詳細をお知らせしました。ここでは、詳細はカットさせて頂きます。
では、次回からは、いよいよ直前対策講座の開始となります。
・平成28年5月27日(金)
今回で、健保法のポイント解説が終了となります。サイト上の更新自体は、かなり前に終わっていたのですが、解説が追いつきませんでした。
最終回は、「費用(財政)」からとなります(こちら)。
一 費用(財政)
「費用(財政)」においては、大別しまして、「国庫負担・国庫補助」の問題と「保険料」の問題を学習します。いずれも重要です。
(一)国庫負担・国庫補助
国庫負担と国庫補助は、内容が難しく、学習しにくい個所ですが、出題は多いです。余り完璧を狙わずに、過去問の出題個所とその周辺部分を押さえておくのがよさそうです(過去問はこちら)。
国庫負担・国庫補助の「対象」と「割合」が重要です。概観は、こちらの図です。
基本的には、「事務費→国庫負担」、「給付費→国庫補助」という関係になります。
なお、国庫負担の個所で、「納付金等」についても説明しています(こちら以下)。
「病床転換支援金等」については、健保法では出題対象になったことがなく、ざっと一読で結構ですが、その他の「前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等」以下については、概要と用語を把握しておいて下さい。
国庫補助については、基本的に協会管掌健保について問題になります。
こちらの青の点線枠内の知識が基本です。国庫補助の「対象」と「割合」(改正があります)を押さえます。
総報酬割への移行については、平成26年度の社会一般の選択式で出題がありました。平成28年度は3分の2の総報酬割であり、平成29年度に全面的に総報酬割に移行します。
(二)保険料
保険料に関する問題の概要は、こちらのページで記載しています。また、こちらの表で、被保険者の種類による保険料に関する取扱いの違いを整理しています。
保険料については、国年法や厚年法の保険料と同様に、「主体→客体(保険料)→手続」という視点で整理しています。
健康保険を含む医療保険の保険料については、医療保険各法の保険者(医療保険者)が、介護保険第2号被保険者(=市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者)について、医療保険に係る保険料に併せて、介護保険に係る保険料も徴収していることが特徴です。
1 主体
主体については、徴収権者及び保険料の納付義務者(負担義務者)が問題になります。それほど学習に時間はかからない個所です。
刑事施設等に拘禁等された場合については、保険料の免除のほか、絶対的給付制限と届出の問題もあります(こちら以下)。
2 客体(保険料)
(1)保険料の種類等については、こちらの表で全体像を把握して下さい。
(2)保険料額についての全体像は、こちらです。
保険料額については、様々な用語が登場してきますので、全体像を把握しておきませんと混乱の元です。「全体像→細部の知識→全体像」といった全体と細部の繰り返しにより、知識の確実な記憶を図って下さい。
(3)保険料率についての全体像は、こちらです。
この保険料率についても、細かい知識が乱立しており、全体像を考慮しておきませんと、なかなか学習がしにくい個所です。
3 手続
保険料に係る手続に関する問題については、厚年法の場合と共通するものが多く、比較的学習しやすいと思います。
前納については、こちらの横断整理の表により、国年法及び厚年法の前納と比較しておいて下さい。
4 任意継続被保険者等
任意継続被保険者(特例退職被保険者)に関する保険料の問題については、こちらのページで一括してまとめています。
5 日雇特例被保険者
日雇特例被保険者に関する保険料の問題は、こちらのページ以下です。
日雇特例被保険者に関する保険料の問題については、便宜上、客体(保険料)に関する問題から整理しています。
(1)客体(保険料の額)に関する問題の全体像は、こちらです。
「標準賃金日額」、「平均保険料率」、「100分の31」、「賞与額の上限40万円」といったキーワードは、注意です。
(2)主体の負担義務者・納付義務者の問題についても、上記の保険料額の全体像の図と結び付けて記憶できます。
(3)手続については、徴収法における印紙保険料の納付の手続との違いに注意です。
徴収法における印紙保険料の場合は、日雇労働被保険者を使用する事業主は、当該日雇労働被保険者に賃金を支払うつど、日雇労働被保険者手帳に雇用保険印紙をはり、消印をすることにより印紙保険料を納付します(他に、厚生労働大臣の承認を受けた場合には、印紙保険料納付計器による納付が可能です)。
しかし、健康保険の場合は、使用する日ごとに、日雇労働被保険者手帳に健康保険印紙を貼り、消印をするすることにより標準賃金日額に係る保険料を納付します(なお、賞与額に係る保険料については、事業主は、賞与を支払った日の属する月の翌月末日までに、納付する義務を負います)。
健康保険印紙の問題については、こちら以下で雇用保険印紙の問題と比較する図がありますので、この図を中心に知識を整理して下さい。
(4)追徴金や日雇拠出金についても、赤字部分を押さえて下さい(こちら以下)。
(三)強制徴収の手続
強制徴収の手続(こちら以下)については、基本的には、厚年法の場合とパラレルに学習できます。
「保険者等」の意義など、健保法に特有の部分に注意して下さい。
二 その他(不服申立て、消滅時効、罰則等)
最後に、その他(雑則)の編です。
(一)不服申立て
不服申立ては、重要な改正事項であり、いずれかの科目で改正事項が出題されるはずです。
健保法の不服申立ては、国年法や厚年法の不服申立てよりわかりやすいです。最終的にこちらの図が思い出せれば、大部分の出題には対応できるでしょう。本文の赤字部分もチェックしておいて下さい。
(二)消滅時効
消滅時効については、こちらの起算点の表をチェックしておいて下さい。
(三)行政庁による調査
行政庁による調査(こちら)についても、ちょろちょろと出題があります。色付きのキーワードに注意して、一読して下さい。
(四)罰則
罰則(こちら)については、健保法ではそれほど出題がありませんが、周期的に若干出題されます。
当サイトでは、罰則で登場する条文にほぼリンクをつけていますので、罰則の学習により、健保法のこれまでの知識を簡単に復習できるというメリットもあります。
以上で、健保法の解説は終了となります。サイト上では、「罰則」の下部において、ご挨拶を申し上げております。
※ これにて、平成28年度の当サイトの7科目の更新及び解説は終了となります。短いようで長かったですが、お付き合い頂き、有難うございました。
もちろん、本番はこれからです。
当サイトでは、今後、まずは、こちらの「改正・最新判例の情報」を整理します(現在、労災保険法までは改正しました)。
そして、ここからは、直前講座の開講となります。改正事項に関して、出題されそうな個所を検討し、注意点を補強したり、選択式問題を作成します。
当サイトが一部の項目しかテキストを作成していなかった安衛法、労働一般及び社会一般についても、改正事項について、ポイント解説及び練習用選択式問題のご提供をします。
まずは、安衛法から開始する予定です(科目についてはランダムです)。
安衛法は、ストレスチェック制度と特別安全衛生改善計画について、要注意です。
ストレスチェック制度については、当サイトでも、詳細なテキストをすでに公開していますので、「問題練習→テキストに戻る」形で復習して頂きます。
そのような次第で、まだまだお付き合いを頂きますが、ひとまず通常の更新の方は終了となります。
これからの数か月が勝負になります。
今後の学習方法としては、あまり「理解」に時間をかける余裕はなくなり、「記憶」中心の学習に移行していきます。
この点、今まで学習してきた事項についてきちんと記憶しているかを確認していく作業をどこかの時点でしっかり行う必要があります(テキストをきちんと読み直して下さい)。
また、まだ学習していない分野・科目がある場合は、至急、仕上げる必要があります(とりあえず、1冊本などを利用して、未学習の個所を反復して読んで下さい。そして、当サイトがカバーしている7科目についてなら、当サイトのゴロ合わせ等を利用して、直ちに暗記作業にとりかかります)。
一方で、問題を解くカンを養い維持する必要もあり(情報収集の意味も大きいです)、市販の模擬試験等を利用して、問題練習をして下さい(当サイトでも、練習問題をご提供します)。もちろん、まだ過去問が終わっていない科目があるような場合は、そちらが優先です。
そして、白書対策も必要です。
以上のように、大変、忙しい数か月になりますが、それぞれの学習状況や確保できる学習時間等を考慮して、優先順位をつけてふさわしい学習計画を立ててみて下さい。
・平成28年5月25日(水)
引き続き、健保法の解説です。今回は、「日雇特例被保険者の保険」(こちら)です。
〇日雇特例被保険者の保険
日雇特例被保険者の保険は、ちょろちょろと出題されています。択一式において、平成27年度に1肢、平成26年度も1肢、平成25年度1肢、平成23年度は4肢といった状況です(過去問はこちら。費用関係の過去問はこちら)。
出題数が多いわけではないですが、毎年、若干出題されています。日雇特例被保険者の要件や保険給付が出題の中心です。
日雇特例被保険者の保険の体系(こちら)は、これまで学習してきました一般の被保険者の保険の体系と基本的に同様です。
「主体」→「客体」→「事業」→「費用(財政)」→「その他」という流れで整理していきます。
なお、本文で事情を説明していますが、日雇特例被保険者の保険については、その性格上、時系列による整理はあまりしていません。
一 主体
(一)保険者
日雇特例被保険者の保険に係る「保険者」(こちら以下)に関しては、次のような問題があります。
1 保険者は、全国健康保険協会
2 保険者(協会)の業務のうち、厚生労働大臣が行うもの
→ 日雇特例被保険者手帳の交付、日雇特例被保険者に係る保険料の徴収及び日雇拠出金の徴収並びにこれらに附帯する業務
3 指定市町村長又は指定市町村が行う事務(次の2種類があります)
(1)「厚生労働大臣→市町村長」のケース
(2)「協会→市町村」のケース
以上の2や3に関するやや細かい部分については、結構、出題しやすい個所に思えるのですが、今のところ、ほとんど出題されていません。ただ、念のため、サイト上の赤字の部分はチェックしておいて下さい。
(二)被保険者等
1 日雇特例被保険者
(1)日雇特例被保険者の要件(定義。こちら以下)は、記憶必須です。
(2)日雇特例被保険者手帳(こちら)も、出題はほとんどないのですが、赤字部分は押さえて下さい。
2 被扶養者
被扶養者の要件は、「一般の被保険者」の被扶養者の要件と同様です。
被扶養者届について、赤字部分を押さえて下さい。
※ なお、一般の被保険者の個所で言及し忘れていましたが(サイト上では触れています)、被扶養者の要件(「兄姉」)について、今年の10月1日から改正があります。
現在は、被扶養者の要件として「弟妹」(「生計維持」の要件のみで被扶養者となります)と「兄姉」(「生計維持の要件と同一世帯の要件」を満たすときに被扶養者となります)は区別されていました。
しかし、10月1日施行の改正後は、「兄弟姉妹」はいずれも、「生計維持」の要件のみで被扶養者となることに改められます。即ち、改正後は、「兄弟姉妹」の間の異なる取扱いがなくなります。
試験対策上は、この改正後の知識は忘れて頂き、被扶養者の個所を復習する際に、現在は、「弟妹」と「兄姉」が区別されていることを充分再確認しておいて下さい(サイト上ではこちらです)。
次に、客体に入り、賃金関係を見ます。
二 客体
賃金関係の近時の出題も、少ないです。
前提として、日雇特例被保険者の保険においては、日雇労働者が労働の対償として受けるものを、「報酬」ではなく「賃金」ということを押さえます。
賃金の額は、日額として算定され(「賃金日額」)、賃金日額を「標準賃金日額等級表」にあてはめることにより「標準賃金日額」が決定され、この標準賃金日額が日雇特例被保険者の保険料額や保険給付の支給額の算定の基礎となります。
あとは、サイト上の赤字部分(例えば、「臨時に受けるもの」も賃金に含まれるなど)といった断片的な知識を記憶しておいて下さい。
三 保険給付
保険給付は、出題が多いです。
日雇特例被保険者に係る保険給付の種類については、「特別療養費」が加わることを除いて、「一般の被保険者」に係る保険給付の種類と同様です。
ただし、細部は異なる点があります。
大枠として、(1)支給要件(保険料納付要件が問題となる保険給付があります)、(2)効果(支給期間が問題になります)、及び(3)手続(被保険者証ではなく、受給資格者票を保険医療機関等(健康保険組合開設病院等を除きます)に提出して療養の給付等を受けます)の3点にポイントがあります(こちら)。
(1)の保険料納付要件については、こちらでまとめています。まずは、このページの「療養の給付」について、じっくり学習して下さい。
そのほか、「傷病手当金」(こちら)と「出産に関する保険給付」(こちら)についてはじっくりお読み頂き、その他の保険給付については、赤字部分以外はそこそこで良さそうです。
「特別療養費」(こちら)についても、出題が少なくなく、支給期間など、過去問の出題歴が記載されている個所を中心に学習して下さい。
「併給の調整」(こちら)は、少しややこしいですが、覚えるポイント(青の点線枠の部分)を押さえれば、すっきりします。
今回の解説は、ここらへんで終わりにします。次回は、「費用」関係以後に入り、健保法の解説を終了します(なお、日雇特例被保険者に係る費用の問題も、次回になります)。
では、今回はこれにてです。
・平成28年5月21日(土)
健保法の解説の続きです。今回は、資格喪失後の保険給付(こちら)からです。
(一)保険給付の続き
1 資格喪失後の保険給付
資格喪失後の保険給付の全体像は、こちらの通りです。
(1)傷病手当金又は出産手当金の継続給付
傷病手当金又は出産手当金の継続給付については、よく出題されていますので、じっくり学習して下さい。
支給要件自体が多数あるわけではないのですが、ところどころ、複雑な個所があります。
「資格喪失後の傷病手当金又は出産手当金と任意継続被保険者又は特例退職被保険者との関係」(こちら)については、ややこしいですが(平成27年度の択一式でも出題があります)、一通り読んで頂いたら、本文でまとめてある結論を暗記して下さい。
いわゆる医療保険制度改革法による平成28年4月1日施行の改正事項としては、支給額についての次の部分(こちら)があります。
支給額自体は、本来の傷病手当金又は出産手当金の額と同額ですが、その計算方法について、「被保険者(任意継続被保険者を除きます)の資格喪失日の前日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額」の平均額に基づく日額を基礎としている点は、記憶しておいて下さい。
その他、「消滅」に関する部分を含めて、細部までお読み頂く必要があります。
(2)資格喪失後の死亡に関する給付(資格喪失後の埋葬料(埋葬費)の給付)
資格喪失後の死亡に関する給付(こちら)については、支給要件が複雑で覚えにくいです。ただ、今のところ、あまり細かいニュアンスの部分については出題されていませんので(「3月」という数字関係程度です)、おおざっぱに支給要件を押さえる程度でよさそうです。
あとは、前記ページを一読して下さい。
(3)資格喪失後の出産育児一時金の給付
資格喪失後の出産育児一時金の給付(こちら)については、支給要件として、「資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除きます)であった者」であること、及び「資格喪失日後6月以内に出産したこと」という数字関係は必須です。
支給額については、通常の出産育児一時金と同様であり、出産育児一時金の支給額を復習して下さい。
(4)特別療養給付
特別療養給付(こちら)については、近時は出題がありません。内容自体は複雑ですが、あまり時間を割かない方がよろしいです。ざっと一読しておいて下さい。
2 保険給付の通則
保険給付の通則(こちら以下)についても、しっかり学習しておく必要があります。
(1)併給の調整
併給の調整については、公費負担医療との調整(こちら)の出題が少なくないです。
試験対策上は、公費負担が優先される場合として、災害救助法により被救助者の医療について公費負担が行われたケースを押さえておき、他はおおむね健康保険の保険給付が優先されるとまずつかんでおきましょう。深入りすると、切りがない個所ですので、過去問の出題個所周辺を中心にざっと押さえて下さい。
(2)給付制限
給付制限(こちら)は、重要です。当サイトでは、表により整理したうえで、暗記用にゴロ合わせを用意し、さらに、最終的な知識の確認用に給付制限の全条文を一括して掲載しています。
まずは、表により全体を大まかに把握して頂き、その後、こちら以下の給付制限の内容をじっくりお読み下さい。給付制限のキーとなる知識を記憶していないと、得点できませんので、最終的には、ゴロ合わせを利用して記憶して下さい。ゴロ合わせの知識を核として、そこに細かい知識で肉付けをしていくイメージです。
(3)不正利得の徴収
不正利得の徴収(こちら)も、重要です。前記リンクのページの冒頭に、青の点線で囲みをしている部分があり、この部分の内容を大まかに記憶して下さい。100分の40は、暗記必須です。また、ページ下部に掲載の不正利得の徴収の横断整理の表も参考にして下さい。
(4)第三者行為災害
第三者行為災害(こちら)については、年金法等でもすでに十分学習しています。【健保法に特有】という表記がある部分を中心に学習して下さい。
(5)受給権の保護等
受給権の保護等(こちら)については、健保法では例外がないことが最大のポイントです。
3 付加給付
付加給付(こちら)については、近時、ちょろちょろと出題がありますので、択一用に一読して下さい。ただ、ここも細かくやると切りがない部分です。
以上で、保険給付の関係を終わります。次に、保険給付以外の事業です。
(二)保健事業及び福祉事業
保健事業及び福祉事業は、改正されていますので、要注意です。第150条(こちら)の赤字部分を、十分、チェックして下さい。選択式の出題対象になりえます。「自助努力についての支援」は、特に注意です。
次回は、日雇特例被保険者の保険からです。
・平成28年5月18日(水)
5月も中旬になり、だいぶ暑い日が増えてきました。これからは蒸し暑かったりしてなかなか学習しにくい陽気が増えてきますが、いよいよ学習の最終段階に近づいてきたということでもあります。
今月と来月あたりは、まだ学習していない科目や分野について重点的にカバーして頂き、7月と8月前半あたりで、全科目のテキストを再度読み直せるような時間を作ることができれば理想です(併せて白書対策も必要です。合間に、市販の模擬試験集などで、「実践訓練+情報入手」をして下さい。市販の模擬試験は、必ずしも一気に全部やる必要はありません。厚年法の選択式だけとか、一般常識の択一式だけとか、細切れ時間を使ってうまく利用して下さい。
ただし、一度は、本番と同様の状態で全体を解いた方がよいです(特に初受験の方の場合は、必須です))。
一 更新の終了と今後の予定について
当サイトでは、後述のように、今回で健保法の更新自体は終わり(解説のメールはまだ送信します)、一応、平成28年度版の更新が終了となります。
この後は、出題されやすそうな改正事項(一般常識も含みます)の再整理・解説や選択式問題の作成など、より本番をにらんだ内容のメールを配信することと致します。
今回の平成28年度の試験範囲については、改正事項のボリュームが普通ではありません。
厚年法の改正だけでも十分過ぎる量なのですが、その他の科目も尋常でありません。
ストレスチェック制度の創設、特別安全衛生改善計画の創設、雇用継続給付の支給申請手続の見直し、不服申立ての改正、国年法の保険料関係の新制度の数々、医療保険制度改革法による健保法の改正、派遣法の改正等々、非常に手ごわいです。
これらの改正事項は、選択式も含めいずれも出題対象になり得るという点で、要注意です。
当サイトの「改正・最新判例の情報」では、改正事項をまとめていますが、日常の改訂作業が忙しすぎて、まだすべての改正事項を整理し切れていませんでした。ようやくひと段落しましたので、今後、まだ掲載できていなかった改正事項も追加して全体を整理したいと思います。今回の主な改正事項の全体像については、このページをご覧頂くと、本文にリンクできるように致します(整理が終わりましたら、メールします)。
以下は、今回の更新内容の解説となります。
二 健保法の更新(第6回目)について
今回は、傷病手当金以降の健保法の残り全てを更新します。ただし、解説は、膨大な量になるため、数回に分けてメールさせて頂きます。
・更新開始ページ=傷病手当金のこちら
(健保法の最後のページまでの更新となります。)
では、傷病手当金の解説からです。
(一)保険給付の続き
第1 傷病手当金
傷病手当金は、今回、主に支給額と支給調整について改正がありました。これらの改正事項も含め、傷病手当金は必ず出題されるといえ、要注意です。
保険給付については、毎度のように、「発生→変更→消滅」という時系列の視点により整理します。
1 発生
発生に関する問題については、「要件(支給要件)」→「効果(広義。支給額、支給期間等)」→「手続」という流れで整理します(「効果(広義)」と「手続」は、順番が逆になることもあります)。
(1)支給要件
まず、傷病手当金の支給要件を覚える必要があります。当サイトでは、3つに分けて整理しています(こちら)。
そして、サイト上で触れていますが、労災保険法の休業(補償)給付の支給要件と比較をしてみて下さい。どちらも、休業期間中の所得保障を趣旨としている点で共通する制度です(業務災害に関するものかどうかが異なります)。
あとは、この3つの支給要件について、細かい知識を習得していきます。ここは出題が多いため(特に「当該療養のため労務に服することができないこと」と「待期期間」の要件)、細かい知識まで頭に入れて頂く必要があります。当サイトを熟読して下さい。
(2)効果(広義)
(ⅰ)支給額
支給額は、改正個所であり、非常に重要です。
まず、こちらのページで、改正後の支給額の計算方法についての原則と例外の考え方を押さえて下さい。「端数処理」も重要であり、そのあとの支給額の図あたりまでじっくりお読み頂いたら、その前のページの条文(こちら)に戻り、第99条第2項を熟読して下さい(選択式を意識し、どこが空欄で抜かれても解答できるように読み込む必要があります)。
さらに、元のページに戻り、こちらの「※1 傷病手当金の支給額の算定基礎である標準報酬月額の算定方法について」の個所も一読しておいて下さい(あまり詳しく理解するような必要はありませんが、択一式で出題された場合に備えて、どこかで読んだ記憶があるという程度に押さえます)。
(ⅱ)支給期間
支給期間(こちら以下)についても、出題が多く、熟読が必要です。過去問の出題歴の記載がある個所を中心にお読み下さい。
改正事項として、複数の傷病に係る傷病手当金の関係の問題があります(こちら)。
傷病手当金の支給を受けている期間に別の傷病等につき傷病手当金の支給を受けることができるときは、いずれか「多い額」が支給される旨が明記されました。
(3)手続
支給申請手続(こちら以下)についても、過去問の出題個所を中心にチェックして下さい。
2 変更
次に、傷病手当金の「変更」に関する問題として、支給調整を取り扱っています(こちら以下)。
傷病手当金の支給調整として、出産手当金、報酬及び公的年金制度の年金給付等との支給調整等が問題になります。
ここは、改正により、条文のボリュームが増えており、かなり厄介です。
当サイトでは、上掲のこちらのページでは、全体像を説明し、次のページ(こちら)では、各論として細部について触れています。全体像のページを読んで頂くと、基本的な仕組みは理解頂けると思います。その後、細かい知識を増やして下さい。
例えば、傷病手当金と障害厚生年金との支給調整については、改正により、第108条第3項(こちら)のボリュームが増し、条文だけ読んでいると理解が難しいのですが、こちらの下部の図を念頭に置かれると、スムーズに読み込めると思います。
(ちなみに、改正された第108条(傷病手当金又は出産手当金と報酬等との調整)の第6項(資料の提供の求め)に誤りがあるようです(第3項を第2項と記載するといった条文の項番号の引用ミスです。わざわざ確認する必要はないですが、念のため、こちらの新旧対照表の一番右下で触れています)。とりあえず、この「資料の提供の求め」あたりは、試験には出題しにくいかもしれません。)
また、障害手当金との支給調整(こちら以下)については、具体的な調整方法について、施行令第36条の2(こちら)が新設されたのですが、これもかなり読みにくいです。その上部に図解をしていますので(この図解も今一つですが)、差額支給の調整のあり方の概要を理解していればよろしいかと思います。
3 消滅
傷病手当金の「消滅」に関する問題については、支給期間の満了等に触れていますが、ここに至るまでにすでに学習しており、さほど問題はないでしょう。
以上で、傷病手当金は終了です。次回、資格喪失後の傷病手当金の継続給付の問題が登場します。
第2 死亡に関する保険給付
次に、「死亡に関する保険給付」として、「埋葬料(又は埋葬費)」及び「家族埋葬料」について学習します(こちら)。
ここは、支給要件をしっかり記憶しておけば、難しくはない個所です。支給額も含めてゴロ合わせがありますので、参考にして下さい。
労災保険法の「葬祭料又は埋葬給付」との違いについても、触れています。
第3 出産に関する保険給付
出産に関する保険給付については、被保険者に関して、「出産育児一時金」及び「出産手当金」、被扶養者に関して、「家族出産育児一時金」が問題になります(こちら以下)。割とややこしいので、じっくり学習する必要があります。ここでは、出産育児一時金と出産手当金のポイントのみを見ます。
(1)出産育児一時金
(ⅰ)支給要件については、「出産」の意義に関する問題が中心です。
(ⅱ)支給額については、平成27年度の択一式において、産科医療補償制度に加入する医療機関等の医学的管理下における出産における支給額について、「在胎週数22週」という数字関係が出題されています。この22週については、昨年度版でもゴロ合わせを掲載しておきましたが、こちら以下の支給額関係の色付き部分は、念のため、再チェックしておいて下さい。
(ⅲ)手続については、直接支払制度と受取代理制度の概要を把握しておいて下さい(こちら以下)。
(2)出産手当金
出産手当金についても、支給額が改正されています。基本的に、傷病手当金の支給額の改正とパラレルになっており、傷病手当金における知識を流用できます。
なお、平成27年度の択一式問10では、出産手当金も含む産前産後休業・育児休業等に関する総合的な事例問題が出題されています(こちら)。出産手当金の支給期間を具体的に判断できることが要求されています。解説を参考にして下さい
いつもの通り、長文化してきましたので、今回は、これにて終了と致します。次回、資格喪失後の保険給付からポイントを説明致します。
三 将来の改正事項から見た危ない個所について
来年の平成29年度の試験の話になりますが、こちらもすでにかなりの改正事項が控えています。今回は、主に雇用保険法について、将来の改正事項から見た平成28年度試験の危ない個所について触れておきます。
まず、この10月からは、被用者保険(厚生年金保険、健康保険)の短時間労働者への適用拡大の制度が実施されます(大まかに言いますと、通常の労働者の所定労働時間等に比べて4分の3未満の短時間労働者(従来は、基本的には被保険者になりませんでした)についても、一定の要件のもと、被保険者になること(被用者保険が適用されること)が認められるものです)。
この制度は、平成24年制定の年金機能確保法により定められていたものですが、現在、国会に法律案が提出されている「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」(「平成28年改正法」と表現しておきます)が成立しますと、さらに追加の改正が行われることになっています。これにより、条文のボリュームが増大し、全体として、かなり細かい「嫌な」改正内容になっています。
現行の厚生年金保険法及び健康保険法については、いわゆる「4分の3労働要件」(こちら以下)を改めてチェックしておいて下さい(改正後の「4分の3基準」と微妙に異なる点があります)。この「4分の3労働要件」については、健保法では、【平成25年問2C】に出題されています。
また、その他の科目についても、短時間労働者が登場する場面は注意しておいて下さい。
雇用保険法においても、制度の基礎にかかわるような改正が行われます。
中心は、「高年齢被保険者」(65歳以上の被保険者)の創設です。
即ち、65歳以後に新たに雇用された者も被保険者になることになり(適用除外者に該当しなくなります)、現行の「高年齢継続被保険者」の制度がなくなります。
「高年齢被保険者」が失業した場合は、高年齢求職者給付金が支給され、また、就職促進給付(常用就職支度手当、移転費及び後述の求職活動支援費のみ)、教育訓練給付並びに雇用継続給付の支給対象とされます。
これらの「高年齢被保険者」に関する知識は、今回の試験範囲ではありませんから、きれいさっぱりと忘れて頂きたいのですが、重要なのは、現行の「高年齢継続被保険者」又は「高年齢受給資格者」について支給される保険給付を改めて確認しておくことです。
例えば、改正後と異なり、現行では、高年齢受給資格者に対しては、「就職促進給付」は一切支給されません。こういった知識をこちらの表で再チェックしておいて下さい。
前回平成27年度の雇用保険法の選択式においては、高年齢求職者給付金が出題されましたが、今回の択一式試験対策としても、高年齢継続被保険者・高年齢受給資格者の周辺については、テキストを復習する際に、念入りにチェックしておいて下さい。
その他、雇用保険法の将来の改正から要復習の保険給付を挙げてみますと、「広域求職活動費」、「再就職手当」、「育児休業給付金」及び「介護休業給付金」について注意が必要です。
「広域求職活動費」は、新たに創設されます「求職活動支援費」にいわば発展解消する形で改められます(平成29年1月1日施行ですので、今回の試験対象ではありません。以下の雇用保険法の改正も同様ですので(施行日が異なるものはあります)、くれぐれもご注意を)。
「再就職手当」は、支給額が引き上げられますので、現行の支給額(支給率)を要チェックです。
そして、「介護休業給付金」は、改正される個所が複数あり、要注意です。
前提として、育児介護休業法が改正されますので、現行の育休法を十分学習しておく必要があります。
雇用保険法について見ますと、育児介護休業法の改正により介護休業の分割取得が可能になることとの関係で、介護休業給付金の支給回数、支給期間及び支給日数が改正されます。
従って、現行の「介護休業給付金は、同一の対象家族について、同一の要介護状態ごとに3月を限度として、原則1回のみ、通算して93日の支給日数を限度として支給を受けられる」というルールをしっかり把握しておいて下さい。
また、介護休業給付金の支給額(支給率)が暫定的に引き上げられますので、現行の支給額(支給率=40%)を忘れていはいけません。
さらに、育児休業給付金及び介護休業給付金の「休業開始時賃金日額の上限額」についても、要復習です(後者の介護休業給付金の上限額が引き上げられます)。
現行では、育児休業給付金と介護休業給付金の休業開始時賃金日額の上限額は同じであり、「30歳以上45歳未満である受給資格者に係る賃金日額の上限額(14,210円)」であることを記憶しておいて下さい(金額より、「30歳以上45歳未満」の方が重要です)。
そして、期間を定めて雇用される者(期間雇用者。有期契約労働者)が育児休業・介護休業を取得できる要件についても改正されるため、要復習です。
さしあたり、今回は、雇用保険法を中心に将来の改正事項からの試験対策について、見てみました。
次回は、健保法の残りの解説が続きます。
・平成28年5月7日(土)
今回は、健保法の保険給付の前半の更新です。「療養の給付」から、「移送費・家族移送費」までをアップします(「傷病手当金」の手前までです)。
また、健保法の前回更新分の注意点も解説します。
一 健保法の更新(第6回目)について
今回の更新範囲は、次の通りです。
・更新開始ページ=「事業」のこちら
・更新終了ページ=「移送費・家族移送費」のこちら
のちに注意点について解説します。まずは、前回の更新個所についての解説をします。
二 第5回目の更新(「届出等」から「報酬関係」まで)の解説について
前回の更新範囲は、次の通りでした。
・更新開始ページ=「届出等」のこちら
・更新終了ページ=「標準賞与額」のこちら
主な内容は、届出、給付担当機関及び報酬関係となります。順に注意点を見ます。
(一)届出等
届出についての基本的な視点(こちら以下)は、すでに国年法や厚年法でも学習済みです。
健康保険に関する届出については、大別しますと、「事業主が行う届出」と「被保険者等が行う届出」となります。
すでに学習しました厚生年金保険に関する届出とパラレルな部分が多いです。ただ、健康保険に関する届出は、厚生年金保険や国民年金に関する届出と異なり、「受給権者が行う届出」(現況届など)が少なく、かなり学習が楽になると思います。
1 事業主が行う届出
「事業主が行う届出」については、こちらのページに概要を記載しています。
届出先は、基本的には、「保険者等」になります。こちらで詳しく説明しています。
届出の期限が出題されることが多く、原則は、厚年法と同様に、事実発生日から5日以内です。最終的には、こちら以下の2つの図表により知識を確認下さい。
「事業主が行う届出」は、「事業主に関する届出」と「被保険者に関する届出」に大別できます。以下、各届出について、注意点を見ます。
(1)事業主に関する届出
(ア)新規適用事業所の届出
事業主が法人であるときは、法人番号又は会社法人等番号の記載等が必要になりました(こちら)。
また、この法人関係の記載事項に変更があったときは、「事業主の氏名等の変更の届出」の提出が必要になりました(こちら)。
平成28年10月1日から実施される短時間労働者に対する健康保険及び厚生年金保険の適用拡大〔今回の試験対象ではありません〕において、適用事業所を法人単位で管理する等の必要があることを考慮したものです。
(イ)事業主の変更の届出
事業主の変更の届出については、厚年法の場合と同様に、前事業主と新事業主の連署をもって届出を行うことは不要となり、変更後の事業主が届出を行うことになりました(こちら)。
(2)被保険者に関する届出
被扶養者届については、すでに被扶養者の個所(こちら)で学習しましたので、ここでは省略します。
(ア)氏名・住所の変更の届出
健康保険法の住所変更の届出は、協会管掌健保の被保険者の住所変更の場合にのみ要求されることに注意です(こちら以下)。
また、厚生年金保険法の氏名・住所の変更の届出の期限(「遅滞なく」)と異なり、健康保険法の氏名・住所の変更の届出の期限は、「速やかに」であることも要注意です。
(イ)報酬関係の届出
報酬関係の届出は、基本的に、厚年法の場合とパラレルです。
(ウ)刑事施設等に拘禁等された場合(又は拘禁等されなくなった場合)の給付制限事由該当等の届出(法第118条第1項該当・不該当届)
この法第118条第1項の給付制限事由に該当したとき等の届出は、厚年法にはない届出です。 法第118条第1項の給付制限事由に該当した場合に生じる3つの問題について、こちらでまとめています。
(エ)資格喪失の届出
資格喪失の届出については、被保険者証の返納の問題にも注意しておいて下さい(こちら)。
被保険者証の問題については、のちにこちらでまとめて学習します。
以上が、「事業主が行う届出」でした。次に、「被保険者等が行う届出」です。
2 被保険者等が行う届出
被保険者等が行う届出の概観はこちら以下の図表で整理しています。
(1)同時に2以上の事業所に使用された場合の届出
「同時に2以上の事業所に使用された場合の届出」(こちら)は、健康保険の場合は、保険者が2種類あることから、保険者の選択の届出が必要になるなど、厚年法の2以上事業所に使用された場合の届出と少々異なる面があります。
(2)任意継続被保険者(特例退職被保険者)の氏名・住所の変更の届出
この(2)の届出は、「本人」が、「5日以内」に届け出ることが必要です(こちら)。
(3)介護保険第2号被保険者不該当・該当の届出
この(3)の届出については、前提として、健康保険における保険料の徴収の仕組みを把握しておく必要があります(こちら以下)。
年齢要件に関する場合には、この届出の提出が不要になることにも注意です。
(4)第三者の行為による傷病届
この(4)の届出については、こちらの青の点線枠内の色付き部分のキーワードを押さえて下さい。
以上、届出の問題でした。
(二)確認
確認について、確認が不要な場合を押さえて下さい(こちら以下)。
(三)被保険者証、高齢受給者証等
次に、被保険者証等の問題です(こちら以下)。
1 被保険者証
被保険者証については、近時、出題が多くなっています。前回の択一式でも数肢出題されています。なお、任意継続被保険者の被保険者証の返納について、平成22年度に選択式の出題もあります。
当サイトでは、「発生(交付)→変更(訂正、再交付、検認等)→消滅(返納)」の時系列に沿って、図を多用して整理しています。
2 高齢受給者証
高齢受給者証(こちら)についても、注意です。じっくりお読み下さい。
3 書類の保存義務
書類の保存義務(こちら以下)についても、保存期間の記憶が必要です。ゴロ合わせと横断整理の表を利用して下さい。
4 通知
通知(こちら)についても、2つの通知のパターンと流れを知っておいて下さい。
事業主の通知義務違反については、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金という健保法上は2番目に重いグループの罰則が適用されます。事業主からの通知がないと、被保険者等が不服申立ての機会を奪われるおそれがあることを考慮したものです。
以上、「届出等」の問題でした。
(二)給付担当機関
「主体」に関する問題として、保険医療機関等の給付担当機関について整理しています。
概要をこちらのページで記載しており、熟読をお願いします。
給付担当機関についても、「発生(指定・登録等)→変更(更新等)→消滅(指定・登録の取消し等)」の時系列に沿って整理します。
基本的に、理屈抜きで記憶しなければならない事項が多く、当サイトでもゴロ合わせを多用しています。
ひと通り、読み終わりましたら、こちらの表で知識を整理してみて下さい。
また、中央社会保険医療協議会又は地方社会保険医療協議会への諮問が必要な場合は、こちらで整理しています。
以上で、「主体」に関する問題を終わります。続いて、「客体」に関する問題です。保険事故については、序論で説明しましたので、ここでは省略し、報酬関係について若干注意点に触れておきます。
(三)報酬関係
報酬関係については、基本的に、すでに学習しました厚年法の報酬関係の知識をベースにできます。
厚年法の報酬関係と異なる点については、こちらのページで説明しています。ここは重要ですので、熟読して下さい。
いわゆる医療保険制度改革法の施行に伴う改正事項としては、次のようなものがあります。出題の可能性が高く、重点的に学習して下さい。
・標準報酬月額等級表の等級区分の増加(こちら以下)
→関連する問題として、随時改定のこちら以下にも注意して下さい。
・等級区分の上限(最高等級)の改定方法の改正(こちら)
・特例退職被保険者の標準報酬月額の決定方法の改正(こちら)
・標準賞与額の上限の改正(こちら)
以上、前回の更新内容についての注意点でした。
三 今回の更新範囲について
最後に、今回更新の保険給付についての注意点を見ます。
(一)改正事項
まず、今回更新の保険給付の中では、いわゆる医療保険制度改革法により、主に次の点が改正されています。これらの項目については、特に十分な学習が必要です。
1 入院時食事療養費
(1)食事療養標準負担額の決定について、介護保険法の特定介護保険施設等における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案することになりました。「特定介護保険施設等」というキーワードを覚えます。
(2)食事療養標準負担額が改正されました。主要な金額等を記憶することが必要です。
2 入院時生活療養費
生活療養標準負担額が改正されました。上記の食事療養標準負担額と関連付けて覚えます。
3 保険外併用療養費
患者申出療養が新設されました。こちらの新設された規定を熟読して下さい。
(二)その他の注意点
保険給付については、他法の保険給付と同様に、時系列に沿って、「要件」と「効果」(広義。支給額等)、さらには、「手続」の視点により整理しています。
以下、各保険給付ごとの注意点です。
1 療養の給付
療養の給付は、かなりボリュームがあります。学習に時間がかかりますが、健康保険の保険給付の基本になるものですので、十分な学習が必要です。
一部負担金の問題(こちら以下)についても、熟読して下さい。
2 入院時食事療養費
入院時食事療養費も、かなり学習しにくいです(高額療養費で登場する施行令が関係してきます)。あまり施行令には深入りしないで、過去問で問われている事項やその周辺を中心に学習して下さい。
3 療養費
療養費については、海外療養費の支給の申請について改正がありますので、注意です(こちら)。
4 家族療養費
家族療養費の額(支給割合)については、療養の給付の一部負担金のゴロ合わせをベースに記憶して下さい。
5 訪問看護療養費
訪問看護療養費は、定義関係が覚えにくいですが、こちらの図を参考に何度も反復してお読み下さい。
6 高額療養費
高額療養費は、健保法の保険給付のうち、最難関です。
ただ、当サイトのこちらのページとその次のページにおいて、重要事項の概要はほぼ説明しています。わからなくなったら、この2頁に立ち戻って下さい。
なお、前回の平成27年度の択一式でも出題されましたように、高額療養費算定基準額を記憶することは不可欠です。
ちなみに、こちらの表の右側の①~③の金額は、30%の関係になっています(例えば、①の場合は、「842,000円」の30%が、「252,600円」になります)。記憶の手がかりの一つにして下さい。
7 高額介護合算療養費
高額介護合算療養費についても、近時、出題が多くなっていますので、十分な学習が必要です。
支給要件と支給額について、キーワードを押さえて下さい。
なお、介護合算算定基準額(こちらの表)についても覚えた方がよいです。ゴロ合わせを利用して下さい。
8 移送費
移送費についても、過去問の出題個所を中心に知識を整理して下さい。
以上、ざっとですが、今回の保険給付についての注意点でした。
次回は、傷病手当金から更新します。傷病手当金は、改正事項があり、今回の試験のポイントの一つです。
※ 追伸
健保法の残りの部分の改訂作業がすべて終了しました。次回は、残りの全部を更新します。ただ、解説は、数回に分けてメール致します(平成28年5月12日)。
・平成28年5月5日(木)
今回は、厚年法の最終回(第10回目)として基金関係の更新をします。また、健保法について、「届出」以降、「保険給付」の手前までを更新します。
ただし、ボリュームの関係から、健保法の今回の更新に関する説明は、次回に回させて頂きます。
一 厚年法の更新について
まず、今回の更新範囲である基金関係について説明します。
・更新開始ページ=「存続厚生年金基金及び存続連合会等」の最初のページのこちら
・更新終了ページ=厚年法の最後のページのこちら
厚生年金基金については、従来、出題も多く、細かい事項も問われていたため、充分な学習が必要でした。
しかし、平成25年の改正により、出題傾向が大きく変容しました。同改正後の2回の試験では、基金関係の出題が全くなくなったのです。
ただ、ここが微妙なところなのですが、「今後、基金関係は出題されない」とまではいいにくいと思います。数年に一回程度の出題に変容したのかもしれません。
例えば、のちに触れますが、平成25年の改正により、5年間の時限措置(平成31年3月31日まで)として「特例解散の制度」が創設されました。この5年間のうちに、一度は「特例解散の制度」が出題されてもおかしくないはずです(選択式の素材にもなりえます)。
従いまして、基金関係について、まったく準備をしないというのは危険といえます。
しかし、今までのように基金関係の全般についてこと細かに学習するのは、やはり、適切とは言えなくなったと思います。
結局、出題されそうな重要テーマを絞り、それについては十分学習しておき、その他の事項は流し読みする(時間がない場合はカットする)という学習方法がよさそうです。
以下、存続厚生年金基金と存続連合会その他に分け、前者の存続厚生年金基金の重要テーマ(当サイトを読んで頂く個所)を4つ指摘しておきたいと思います。
(一)存続厚生年金基金
存続厚生年金基金に関する重要テーマは、次の4点です。
1 基金の基本的な考え方と平成25年改正法の概要
2 老齢年金給付
3 費用の問題(掛金や免除保険料率等)
4 特例解散
以下、学習のポイントを見ます。
1 基金の基本的な考え方と平成25年改正法の概要
厚生年金基金とは、老齢厚生年金の一部を政府に代わって支給する(代行給付を行う)とともに、基金独自の上乗せ給付を行うものです。
しかし、近年、財政状況の悪い基金が多数存在することが明らかになり、平成25年の改正(以下、「平成25年改正法」といいます。「健全化法」といわれることもあります)により、基金関係の大改正が行われました。
一言では、厚年法の第9章「厚生年金基金及び企業年金連合会」が削除されるなど、平成25年改正法の施行日(基金関係は、平成26年4月1日です)以後は、厚生年金基金の新設は認められないことになり、施行日に現存する厚生年金基金等については、「存続厚生年金基金」として例外的に存続が認められるものとされ(改正前の規定が原則として適用されます)、一方で、特例解散の制度が創設され、厚生年金基金の解散や代行返上を促進するとともに、他の企業年金制度への移行を支援するための措置等が定められました。
(当初は、基金の制度を全面的に廃止することが検討されていましたが、最終的には、財政状況の良い基金は存置させるという平成25年改正法の内容に落ち着いたものです。)
このような基金の基本的な仕組みと改正の概要を知っておくことは必要であり、こちらのページの途中までは熟読して下さい(このページの後半の「平成25年改正の概観」(こちら)以下は、流し読みで結構です)。
また、次のページ(こちら)の「存続厚生年金基金」の定義の個所もお読み下さい。
ちなみに、存続厚生年金基金に加入できるのは、第1号厚生年金被保険者に限られます。即ち、公務員や私学教職員は、存続厚生年金基金の加入員になることはありません。これは、平成25年改正前と実質的には同様です。(ここらあたりで触れています。)
(以下は、あくまで参考ですが、当初は、被用者年金一元化法(平成24年8月制定)による改正において、厚生年金基金の加入員として第4号厚生年金被保険者も追加されていました。
しかし、その後、基金関係の大改正が本決まりになり、平成25年改正法(平成25年6月制定)により、上記一元化法による第4号に関する改正規定が削除されました。その後、一元化法の施行にあわせて、政令により、存続厚生年金基金の加入員である「被保険者」について、第1号厚生年金被保険者に限る旨が規定されたものです(一元化法整備政令(【平成27.9.30政令第342号】)により、存続基金に関する平成26年経過措置政令(【平成26.3.24政令第74号】)が改正されました)。
このように改正の経緯や条文操作は複雑な場合もあり、受験対策上は、基金関係の条文は、当サイトで特記ない限りは、読まないで結構です。)
横道にそれましたが、ポイントの2番目です。
2 老齢年金給付
老齢年金給付に関するこちら以下のページは、お読み下さい。「基準標準給与額」といったキーワードや代行部分の額の計算方法など、重要事項が記載されています。
過去に選択式で出題されたキーワードも多く、サイト上の過去問の出題歴に注目して下さい。
3 費用の問題(掛金や免除保険料率等)
次に、こちらのページの費用に関する問題が重要です。冒頭で、「掛金」に関する必須知識をまとめており、この部分をお読み下さい(それ以下の部分は、流し読みで結構です)。
また、前回、更新した個所ですが、「存続厚生年金基金の加入員である被保険者の保険料率」について、こちらで記載しており、お読み下さい。「免除保険料率」や「免除保険料額」の問題です。
基金の加入員である被保険者(を使用する設立事業所の事業主)は、代行給付を行うために必要な費用を賄う分については、政府に対する厚生年金保険の保険料の納付を免除され、当該免除された分は(他に上乗せ部分に係る費用を賄う部分も併せて)基金に掛金として納付します。この基金が代行給付を行うのに必要な保険料率が免除保険料率であり、代行給付を行うのに必要な保険料額が免除保険料額です。
4 特例解散
基金関係でもっとも重要なのは、解散に関する問題です(こちら以下)。
(1)まず、通常解散の制度(こちら)を押さえて下さい。その後、平成25年改正による特例解散の制度に進みます。
(2)特例解散の制度については、こちらのページの下部の表において、自主解散型基金と清算型基金に分けて、知識を整理しています。かなり細かい表になっていますが、最終的には、赤字部分が思い出せる程度に、サイトの本文をお読み頂きます。
(3)本文については、まず、自主解散型基金について、こちらのページの冒頭に「概観」を記載していますので、この部分をお読み下さい。この「概観」の部分を読んでもよくわからないような事項については、その下部の詳述している個所をお読み下さい。
清算型基金についても、こちらのページの冒頭で「概観」を記載しており、同様にお読み下さい。
(4)最後に、「平成25年改正法による基金の存続基準及び解散命令(代行割れを未然に防ぐための措置)」のページ(こちら)もお読み下さい。
「5年」、「年金給付等積立金の額」、「責任準備金相当額」、「1.5」といったキーワードに注意です。
(二)存続連合会その他
存続連合会については、こちらと次のページ(こちら)の「設立」の前までをお読み下さい。「存続連合会」、「中途脱退者」、「解散基金加入員」の意義を押さえれば足りると思います。
なお、「確定給付企業年金法による企業年金連合会」についても触れていますが、カットして結構です。社会一般の確定給付企業年金法と確定拠出年金法を学習する方が優先です。
平成22年度の選択式試験で、確定拠出年金法から出題されています(かなり細かい出題でした)。今回は、確定給付企業年金法・確定拠出年金法ともに、被用者年金一元化法により改正された個所もあり、確定給付企業年金法の選択式における出題も視野に入れて、十分学習する必要があります。お手持ちのテキストのこれらの個所を何度も読み返して下さい。
当サイトでも、概要とまとめの表は、こちらのページで掲載しています。
以上、基金関係の解説でした。
今回で、厚年法の更新は、完了となります。一元化法による改正に伴い、学習がかなり大変になりますが、改正事項については、他の受験生が覚えていそうな個所は覚えるといった「楽な姿勢」で大丈夫だと思います。少し細かい改正事項が出題されますと、たちどころに正解率が低くなるはずです。まずは、実施機関の種類などの基本的知識を記憶することが重要です。
なお、そろそろ、市販の模擬試験の本が各社から出版されていると思います。必ずしも、最初から最後まで時間を測って解く必要はなく、例えば、厚年法の選択式だけを解くとか、一般常識だけを解いて情報を入手するといったような「便利な利用」もできます。一元化法による改正事項についての知識を確認するには、有益な素材になります。
最後に、今回の健保法の更新個所をご案内します。解説は、次回とさせていただきます。
二 健保法の更新(第5回目)について
健保法は、一気に保険給付の手前まで更新します。
・更新開始ページ=「届出等」のこちら
・更新終了ページ=「標準賞与額」のこちら
「事業(保険給付)」の手前までの更新となります。
主な内容は、届出、給付担当機関及び報酬関係となります。
次回は、この「黄金連休」の終わりころに、保険給付の半分程度(高額療養費や移送費あたりまで)を更新する予定です。健保法の更新はスピーディーに進みそうですが(5月中には完了の予定です)、解説が追いつきません。。
では次回です。
・平成28年5月1日(日)
今回は、厚年法の第9回目の更新として、「離婚時の年金分割」以後、「基金」関係の手前までをアップします。
・更新開始ページ=「離婚時の年金分割」のこちら
・更新終了ページ=「罰則」の最後のこちら
今回の更新の主な内容は、次の一から三です。非常にボリュームがあります。試験対策上も、重要な個所です。
一 離婚時の年金分割
(一)離婚分割
(二)3号分割
二 費用(財政)
(一)国庫負担
(二)積立金
(三)交付金及び拠出金
(四)保険料
(五)強制徴収の手続
三 その他=不服申立て、消滅時効、罰則等
このうち、改正があった「国庫負担、積立金並びに交付金及び拠出金」と「不服申立て」については、とりわけ注意が必要です。
(一)離婚時の年金分割
離婚時の年金分割(離婚分割及び3号分割。こちら以下)については、概要はこちらのまとめの表で整理しています。
離婚分割・3号分割ともに、要件と効果の視点で整理していますが、この表の中に、「第1号改定者」、「対象期間」、「按分割合」、「離婚時みなし被保険者期間」、「特定被保険者」、「特定期間」、「被扶養配偶者みなし被保険者期間」といった用語が登場しています。これらの用語の意味を押さえるのが、最初の学習事項となります。
とりわけ、「離婚時みなし被保険者期間」(こちら)と「被扶養配偶者みなし被保険者期間」(こちら)に関する問題に注意です。
(二)費用(財政)
費用については、大別しますと、「国庫負担、積立金、交付金・拠出金」に関する問題と「保険料」に関する問題があります。
1 「国庫負担、積立金、交付金・拠出金」に関する問題
(1)国庫負担
国庫負担(こちら)については、給付費に対して、原則として国庫負担が行われないことには注意です。
(2)積立金
積立金(こちら)については、一元化法により新設された規定が多く、非常に注意が必要です。選択式の素材となります。
積立金の全体像は、こちらの図とこちら以下で記載しています。全体像を大まかに押さえたあとは、条文をベースに、キーワードを押さえる学習が必要です。選択式で出題しやすいキーワードが含まれている条文が目白押しになっています。当サイトの積立金に関する条文は、熟読して下さい。赤字のキーワードがポイントです。
(3)交付金及び拠出金
交付金及び拠出金(こちら)も、一元化法により新設された個所であり、注意が必要です。まず、全体像はこちらの図です。あとは、やはり、条文のキーワードを押さえます。「交付金」、「拠出金」、「厚生年金保険給付費等」、「拠出金算定対象額」、「標準報酬按分率」、「積立金按分率」といった用語に注意です。
なお、最後の方で掲載しています激変緩和措置については、あまり細かい知識はいらないように思います。ただ、「支出費按分率」や「100分の50」といったキーワードは押さえておいて下さい。
2 「保険料」に関する問題
次に、保険料に関する問題です。全体像は、こちらのページでまとめています。体系は、国年法で学習しました保険料についての体系と同様です(健保法も同様です)。
この体系に沿って、ひとつずつ知識を整理していって下さい。
(1)主体
(ⅰ)徴収権者
厚生年金保険の保険料の徴収権者は、「政府等」(政府又は実施機関(厚生労働大臣を除きます)のこと)です。従来は「政府」でしたが、一元化法により改正されていますので、念のため注意です。
(ⅱ)保険料の負担義務者、納付義務者
なお、厚生年金保険の保険料については、国年法の保険料のように、一般的な保険料の免除の制度はありません。
これは、厚生年金保険の被保険者の場合は、被用者であり報酬を得ていること、また、保険料は標準報酬制による応能負担であり負担しやすいことによるものです。
厚年法(及び健保法)に特殊な保険料の免除として、育児休業等期間中の保険料の免除と産前産後休業期間中の保険料の免除があります。育児休業等終了時改定・産前産後休業終了時改定の知識も復習しつつ、学習して下さい。
(2)客体(保険料)
保険料の徴収対象(被保険者期間の計算の基礎となる各月)や保険料額について学習します。
保険料額の問題のうち、保険料率については、第2号から第4号までの厚生年金被保険者に係る保険料率も問題になり、各号の被保険者に係る保険料率を押さえておいた方がよいかもしれません。こちらで俳句調のゴロ合わせを追加しました。「5・7・5」の形にならず、字余りになってしまいました。。
(3)手続
「納期限」、「納付の方法(納入告知書による納付、口座振替による納付)」、「前納」、「その他の手続(保険料の繰上充当、保険料の源泉控除)」といった問題を学習します。基本的には、スムーズに読んで頂けそうな内容です。
(4)強制徴収の手続
「保険料の繰上徴収」、「督促及び滞納処分」、「延滞金」及び「先取特権の順位等」について学習します。
(ⅰ)保険料の繰上徴収
保険料の繰上徴収は、ゴロ合わせを覚えれば、ほぼ終了です。
(ⅱ)督促及び滞納処分以下
督促及び滞納処分以下の問題は、すでに徴収法や国年法で学習していますので、基本的には、それらの復習になります。
ただし、こちらの「滞納処分の委任」の問題は、厚年法や健保法に特有の問題ですので、注意です。
延滞金についても、ゴロ合わせを中心に知識を整理して下さい。
なお、平成28年における延滞金の割合の特例は平成27年と同様です(こちら)。
費用については、以上です。
(三)その他(不服申立て、消滅時効、罰則等)
その他の事項です。
1 不服申立て
重要なのは、不服申立てです(こちら)。
厚生年金保険に関する処分に対する不服申立てについては、被用者年金一元化法と行政不服審査法(行審法整備法)によるダブルの改正があり、他法の改正された不服申立てに比べ、わかりにくくなっています。
(1)まずは、厚生年金保険に関する処分に対する不服申立てについて、大きく、(A)厚生労働大臣による特定の処分(即ち、第1号厚生年金被保険者に係る特定の処分)に対する不服申立てと(B)厚生労働大臣以外の実施機関(共済組合等)による処分(即ち、第2号から第4号までの厚生年金被保険者に係る処分)に対する不服申立てに分けられることに注意です。
(B)の不服申立てについては、共済各法の定めるところによるとされ、共済各法において、所定の審査機関に対して審査請求ができることが定められています(基本的に、行政不服審査法が適用されます)。
この共済各法の定める所定の審査機関については、厚年法でも規定されており、選択式の出題対象にもなりえますので、覚える必要があります。こちらの表のキーワードをじっくり眺め、記憶して下さい。
(2)あとは、上記の(A)の不服申立ての問題を考えます。
この(A)の不服申立ての構造は、改正前よりかなりわかりにくくなっていますが、やはり、図をイメージして、図の形で思い出すのがよろしいかと思います。
そして、同じく被用者保険である健康保険の不服申立ての図と類似している個所が少なくありませんので、まずは、よりシンプルな健康保険の不服申立ての図を思い出すという記憶喚起の方法もあります。
ともかく、こちらの厚生年金保険の不服申立ての図を思い出して頂き、この図に記載がある知識を覚えて頂ければ、かなりの問題はカバーできると思います。
当サイトの不服申立てでは、社会一般で問題になる社審法についても詳述していますので、かなり細かくなっていますが、まずは、上記の(A)の図の知識を中心に、本文をお読み下さい。
なお、再審査請求については、こちらで掲載しています「再審査請求についてのポイント」を押さえれば足りるでしょう。
「不服申立て前置主義」(こちら)と「保険料等に関する処分及び脱退一時金に関する処分についての審査会に対する審査請求」(こちら)については、お読み下さい。
そのあとの「2以上期間者等に係る確認に関する処分に対する不服申立て」については、スルーで結構です。
2 実施機関による調査等
実施機関による調査等(こちら)については、改正されている個所があり、一応、一読しておいて下さい。
3 罰則
罰則(こちら)については、社会保険に関する罰則の基本型の図を念頭に、細かい知識を仕入れていって下さい。
今回は、これにて終了です。次回で、厚年法の更新は完了します。
・平成28年4月28日(木)
最近は、この更新のお知らせが、とてつもなく長文化しています。会員の方あてのメールは、もっと長くなっています。ただ、黄金連休中には厚年法の更新が完了しますので、その後は、通常の長文のお知らせに戻る予定です。
今回は、厚年法の遺族厚生年金等と健保法の被保険者等の更新です。
一 厚年法の更新(第8回目)について
厚年法は、「遺族厚生年金」、「その他の保険給付(脱退一時金、脱退手当金)」、「保険給付の通則(その2)」及び「その他の事業」の更新です。
「離婚時の年金分割」の手前までの更新となり、今回で「保険給付」関係(とその他の事業)の更新が完了します。
非常にボリュームがありますが、黄金連休期間中の学習に多少なりとも手助けになりましたら幸いです。
・更新開始ページ=「遺族厚生年金」のこちら
・更新終了ページ=「その他の事業」のこちら
今回は、ボリュームも多く、内容的にも厄介な個所が多いです。
(一)遺族厚生年金
まず、遺族厚生年金の体系図は、こちらです。かなり細かい図になっていますが、大枠は今までの保険給付のパターンと同様です。
即ち、「発生→変更→消滅」という時系列に沿って、各フェーズにおける問題を「要件」と「効果」の視点で整理しています。
遺族厚生年金は、「死亡に関する給付」であるという点では、遺族基礎年金と共通します。しかし、特に「遺族の要件」が遺族基礎年金とかなり異なり、「障害基礎年金→障害厚生年金」のようにはスムーズにはいきません(細部については、遺族基礎年金の個所で学習した知識が利用できる個所が少なくありませんが)。
1 発生
(1)支給要件
まず、支給要件については、他の「死亡に関する給付」と同様に、「死亡者の要件」と「遺族の要件」に分けて整理しています。
支給要件の概観については、こちらのページです。
(ⅰ)「死亡者の要件」については、「被保険者等の死亡」の要件として、短期要件と長期要件が分かれます。さらに、一定の場合には、保険料納付要件が問われます。
これらについては、当サイトの「いつものことながら出来の良い(?)」ゴロ合わせも利用して記憶して下さい。
なお、「被用者年金一元化法による適用関係」をこちらで整理していますが、ここはあまり深入りしないで大丈夫だと思います。参考程度に流し読みする程度で結構です。
(ⅱ)「遺族の要件」についても、まず、こちらの序盤の部分で概要を整理しています。
その後、 「配偶者」、「子」等、遺族別に整理している個所は、遺族基礎年金でも触れた問題が少なくなく、ボリュームがある割にはスムーズに読み進めて頂けそうです。
なお、遺族厚生年金の遺族の要件で特有な問題として、こちらで「夫、父母又は祖父母に共通する問題」を整理しており、重要です。
図やゴロ合わせで示している部分が、「遺族の要件」の中核となる知識です。最終的には、この部分をしっかり記憶して頂き、その他の細かい知識は、折に触れてテキスト等を確認して反復学習により記憶します。
(2)効果(広義)
次に、効果(広義)の問題です。体系は、こちらの図です。ここでは、年金額について触れておきます。遺族厚生年金の年金額の問題は、厄介です。
まず、基本年金額と加算額に大別されます。加算額については、「中高齢寡婦加算額」、「経過的寡婦加算額」及び「配偶者又は子が遺族基礎年金の受給権を有しない場合の加算額」の3種類があります。年金額の体系は、こちらです。
(ⅰ)基本年金額
基本年金額については、原則の場合と例外の場合に分けておきます。
(ア)原則の場合
遺族厚生年金の基本年金額は、短期要件と長期要件で計算方法が大別されます。
考え方としては、短期要件の場合は、障害厚生年金の基本年金額の計算方法と基本的に同様になり、長期要件の場合は、老齢厚生年金の基本年金額の計算方法と基本的に同様になるとつかめばよいです。
あとは、図とゴロ合わせを併用して、全体像を把握し記憶できるようになっています。
(イ)例外の場合は、65歳以上の者が老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権を有する場合の遺族厚生年金の基本年金額の計算方法の問題です。配偶者かどうかにより、2つに区別されます。
こちら以下で、図によりイメージ化していますので、記憶の補助に使用して下さい。
(ⅱ)加算額
加算額は、上述のように、3種類あります。
(ア)中高齢寡婦加算額
中高齢寡婦加算額の要件として、最終的には、こちらの青の点線で囲ってある部分を思い出せる程度の学習が必要です。図とゴロ合わせを参考にして下さい。熟読が必要です。
(イ)経過的寡婦加算額
経過的寡婦加算額について、まずは、こちらの青の点線内の要件を押さえます。その後、具体例や理屈の記載が多くなっていますが、あくまで理解のための参考です。
なお、端数処理ですが、「経過的寡婦加算額」の場合は、1円未満の端数の四捨五入ですが、「中高齢寡婦加算額」の場合は、100円未満の端数の四捨五入です。なぜ異なるのかは、端数処理の個所で説明しました考え方で説明がつくと思います。
(ウ)配偶者又は子が遺族基礎年金の受給権を有しない場合の加算額
この(ウ)については、説明の部分が長くなっていますが、一通りの理解で足ります。なお、こちらの「変更」以下の記載が長くなっていますが、読み流しで結構です。
以上、「発生」に関する問題でした。
2 変更
変更に関する問題の体系図は、こちら以下に2つ掲載しています。主に、「年金額の改定」、「支給停止」及び「併給の調整」を学習します(併給の調整については、国年法で学習し終わりました)。
(1)年金額の改定
配偶者が支給を受ける場合の年金額の改定の問題(こちら)は、少し難しいです。基本年金額の計算方法の個所を復習しながら読み進めて下さい。
(2)支給停止
支給停止(こちら)については、情報量が多いですが、ひとつずつ押さえて頂く必要があります。
なお、一元化法による改正に伴い、配偶者の申出による支給停止に係る子の取扱いが改められた点は、やや注意です(こちら)。
即ち、従来は、配偶者(受給権者)の申出による支給停止の場合は、子に対して遺族厚生年金が支給されましたが(改正前の第66条第1項ただし書)、今回の改正により、この支給停止の解除は廃止され、子についても支給されないことになりました。
3 消滅
失権(こちら)については、情報量が多いため、要点を整理してから細かい知識の説明に入っています。この細部については、遺族基礎年金の失権の個所等で読んだことがある知識が多数出てきますので、割合スムーズに進むかと思います。知識の整理に力を入れて下さい。
4 2以上期間者に係る遺族厚生年金
遺族厚生年金の最後は、2以上期間者の問題です(こちら)。
考え方としては、短期要件に該当する場合は、2以上期間者に係る障害厚生年金の取扱いと同様になり、長期要件に該当する場合は、2以上期間者に係る老齢厚生年金の取扱いと類似(同じではなく、合算・按分方式)になります。
事例も紹介していますが、長期要件の場合は複雑になります。長期要件の事例は出題しにくそうに思いますが、まあ、一応、全体をお読み下さい。
(二)特例遺族年金
特例遺族年金(こちら)については、要点(赤字部分です)をコンパクトに押さえておいて下さい。
次に、その他の保険給付の問題です。
(三)その他の保険給付
1 脱退一時金
脱退一時金(こちら)は、頻出です。国年法の脱退一時金も含めて十分な学習が必要です。
まず、国年法の脱退一時金の支給要件と支給額が、すらすら思い出せるでしょうか?
ほとんど思い出せない場合や思い出すのに非常に時間がかかるような場合は、問題ありです。今一度、国年法の脱退一時金の個所の読み込みをして下さい。
厚年法の脱退一時金の支給要件は、国年法の脱退一時金の支給要件と共通する部分が多く、後者を覚えて前者に流用するのが効率的です。当サイトでは、ゴロ合わせにより覚えました。
厚年法の脱退一時金の場合は、支給額(こちら以下)が特有の問題になります。
脱退一時金の支給額の考え方(納付した保険料額の半分(本人の負担分)が支給される(戻される)というもの)は、厚年法も国年法も共通します。しかし、厚年法の脱退一時金の支給額の場合は、報酬比例になりますので(平均標準報酬額を用います)、細かい部分が異なってきます。
ポイントとしては、平均標準報酬額には再評価率を乗じないこと、「最終月」の意味、及び支給額が6月ごとに区分されており、被保険者期間が36月以上の場合は最高額として一律の額になることです。
その他、脱退一時金のページの最後に過去問を掲載していますので、参考にして下さい。
こちら以下では、脱退一時金の「変更」に関する問題を掲載していますが、総合問題になりますので、厚年法の全体を学習し終えてから、チェックしてみて下さい。特に、不服申立て(こちら)は重要です。
2 脱退手当金
脱退手当金(こちら)は、たまに出題があります(前回は、平成25年度の択一式の1肢です)。覚える事項は結構あるのですが、当サイトのゴロ合わせを参考に、基本的な知識を習得しておいて下さい。
(四)保険給付の通則(その2)
保険給付の通則については、早めに学習しておいた方がよい事項(端数処理、支給期間、裁定等)は、すでに老齢厚生年金の個所で学習済みです(保険給付の通則その1。こちら以下)。
ここでは、残りの通則的事項を学習します。次の内容になります。
1 受給権者の申出による支給停止
2 死亡に関する通則→未支給給付
3 受給権の保護等
4 他の諸制度との調整の問題
(1)支払の調整=内払、充当
(2)併給の調整
(3)特殊な調整
(ア)給付制限
(イ)不正利得の徴収
(ウ)第三者行為災害
もっとも重要な「併給の調整」については、国年法の「併給の調整」の個所(国年法のこちら)ですべて学習しました。その他の問題のポイントは、次の通りです。
1 受給権者の申出による支給停止
「併給の調整の場合の取扱い」(こちら)は、総合的な問題になっており、他の科目の知識が必要になります。思い出せないような個所は、該当個所を復習してみて下さい。
なお、2以上期間者の問題(こちら)については、「同時に」申出又は撤回を行うことを押さえて下さい。
2 未支給給付
未支給給付(こちら)については、国年法の未支給給付とパラレルな部分が多いです。
遺族厚生年金の受給権者が死亡した場合の子の取扱い(こちら)に注意して下さい。
3 受給権の保護等
受給権の保護等については、こちらやこちらの赤字部分を記憶すれば終了です。表を参考に、うまく記憶して下さい。
4 他の諸制度との調整の問題
(1)支払の調整=内払、充当
支払の調整(こちら以下)については、一元化法による改正個所がありますので、注意です。
(ア)まず、内払です。
同一制度間の調整のうち、厚生年金保険間の調整の場合、2以上期間者に係る内払は、同一の種別の厚生年金被保険者期間に基づく保険給付の間で行われ、異なる種別の期間に基づく保険給付の間では行われません。
また、異なる制度間の調整の場合(国民年金と厚生年金保険との間の場合)は、内払の調整が行われるのは、厚生年金保険法による年金たる保険給付について、厚生労働大臣が支給するものに限られます。要するに、事務処理の円滑化の見地から、国民年金と実施者が同一の場合にのみ支払の調整を認めています。
以上については、最終的には、こちらの青の点線枠内の知識を整理して下さい。
(イ)次に、充当です。
充当についても、「同一の実施機関が支給するものに限られる」という改正が行われています(こちら)。
(2)特殊な調整
(ア)給付制限
給付制限(こちら)については、国年法の知識をベースにできます。当サイトでは、労災保険法の支給制限で使用したゴロ合わせを使い回ししています。
厚年法に特有の給付制限事由を中心に押さえて下さい。
(イ)不正利得の徴収
不正利得の徴収(こちら)については、さほどの問題はありません。このリンク先のページにも掲載しています横断整理の表の記載ボリュームからしても、他法の不正利得の徴収の方が問題です。
(ウ)第三者行為災害
第三者行為災害(こちら)については、基本的に、国年法とパラレルです。
一元化法による改正により、「政府」が「政府等」(政府及び厚生労働大臣以外の実施機関)に改められたこと、控除できる期間(免責される期間)が最長36月(3年)に伸長されたことがポイントです。
なお、2以上期間者に係る控除の規定が新設されましたので、一応、読み替え後の条文(こちら)に目を通して下さい。
即ち、2以上の種別の被保険者であった期間を有する者(2以上期間者)に係る保険給付における第三者行為災害については、受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府等は、その価額をそれぞれの保険給付の価額に応じて按分した価額の限度で、保険給付をしないことができます(第78条の25により読み替えられた第40条第2項)。
(五)その他の事業
今回の厚年法の更新の最後は、その他の事業(厚生年金保険事業の円滑な実施を図るための措置。こちら)です。
内容的には難しくなく、問題ありません。が、国年法では、平成23年度の選択式試験において、同様の規定からすべての問題が出題されています。厚年法でも、一応、キーワードは押さえておいて下さい。
選択式においては、内容面や難易度等からみて、出題しやすい条文があり、そのような条文は、過去に出題されていないものほど重要ということになります。そのような出題されやすい条文とそのキーワードを指摘するのが、当サイトの大きな仕事の一つです。
以上、厚年法の更新に関する解説でした。
以下は、健保法の更新に関する解説です。
二 健保法の更新(第4回目)について
健保法の更新は、次の範囲です。被保険者と被扶養者が中心です。
・更新開始ページ=「厚生労働大臣の権限の委任等」のこちら
・更新終了ページ=「被扶養者」の最後のページのこちら
「届出」の手前までの更新となります。
(一)厚生労働大臣の権限の委任等
厚生労働大臣の権限の委任等の問題は、次の通りです。
1 機構への厚生労働大臣の権限の委任等
(1)機構への厚生労働大臣の権限に係る事務の委任
(2)機構への事務の委託
2 地方厚生局長等への厚生労働大臣の権限の委任
3 財務大臣への厚生労働大臣の滞納処分等の権限の委任
このうち、1及び2については、基本的には、スルーで結構です。本文に入りましたら、この1及び2に関係する問題をリンクしますので、そのたびごとに確認する程度でよいでしょう。
3については、きちんと学習する必要があります(厚年法では、平成26年度の択一式で1問(5肢)出題されています)。
国年法の財務大臣への権限の委任の問題と合わせて学習するのが効率的です(厚年法とは同様になります)。
国年法の場合とは異なる個所ですが、改正事項があります。即ち、滞納している保険料等の額について、従来の1億円から5千万円に引き下げられました。
なお、いわゆる医療保険制度改革用により新設されました「社会保険診療報酬支払基金又は国保連合会への事務の委託」(こちら)についても、一読して下さい。
(二)被保険者等
続いて、「被保険者等」(こちら以下)として、主に被保険者と被扶養者の問題を学習します。
1 適用事業所
適用事業所(こちら)については、船舶が含まれないことを除き、基本的に、厚年法の適用事業所とパラレルです。強制適用事業所と任意適用事業所に分かれ、それぞれ「発生→変更→消滅」の時系列の視点で知識を整理して下さい。
2 被保険者
被保険者には4種類あり(こちら以下)、まずは、(資格取得の)要件を記憶することが不可欠です。ゴロ合わせ等もありますので、厚年法の被保険者と混同しないように、名称や要件を確実にしておいて下さい。
なお、両法における被保険者に比較については、厚年法のこちらで記載があります。
日雇特例被保険者については、のちに「日雇特例被保険者の保険」の個所で詳しく見ます。
(1)当然被保険者
当然被保険者については、「使用される者」にあたるかどうかの具体例が問題になります。すでに学習しました厚年法の場合と基本的には同様であり、詳しい理由づけは厚年法の「使用される者の具体例」の個所(厚年法のこちら以下)で記載しているものがあります。
短時間労働者の取扱い(こちら)については、10月から改正されますので(来年度の試験対象です)、現在の要件であるいわゆる「4分の3労働要件」や短時間正社員の問題について押さえておいて下さい。
資格の取得(発生)や喪失(消滅)に関する問題も、基本的には、厚年法のそれらの知識をベースに整理できます。
適用除外者(こちら)については、厚年法でゴロ合わせにより覚えました。
(2)任意継続被保険者
任意継続被保険者(こちら)以下の被保険者については、まずは、(資格取得の)要件を記憶することが必要です。ゴロ合わせ等を利用して下さい。
資格の取得の効果の問題(こちら)は、健康保険法の体系図に沿って論点を抽出していますので、総合問題になります(初学者の方は、わからない問題ばかり出てくることでしょうが、これから学習しますので問題ありません。とりあえず流し読みして下さい)。
健保法全体の学習が終了してから、再度、チェックして下さい。
変更(氏名・住所の変更届等)及び消滅(資格喪失)に関する問題(こちらのページ)も、非常に重要です。届出の問題はのちに学習しますのでスルーして頂き、資格喪失の個所の熟読をお願いします。
(3)特例退職被保険者
特例退職被保険者(こちら)については、まずは、制度の趣旨や資格取得の要件を押さえます。特定健康保険組合の認可要件について改正がありますので(こちら)、一応、チェックしておいて下さい。
資格取得の効果の問題(こちら)については、任意継続被保険者の場合と同様に、のちに再度チェックして下さい。
変更(氏名・住所の変更届等)及び消滅(資格喪失)に関する問題(こちらのページ)も、非常に重要です。
3 被扶養者
被扶養者(こちら以下)も、非常に重要です。一応、「発生→変更→消滅」という視点で見ています。被扶養者の要件が最重要です。
親族関係について詳述していますが、他法で詳しく見てきましたので、割合スムーズに読み進めて頂けると思います。被扶養者の個所は、当サイトの全体を熟読して下さい。
以上で、健保法の更新内容の解説を終わります。
なお、次回の厚年法の更新は、「離婚時の年金分割」から「基金」関係の手前までになります。これについては、すでにお知らせしましたが、5月1日に更新を終了しました。解説については、次回に回します。
厚年法は、次の「基金」関係の更新にて、すべての更新が完了します。このゴールデンウィーク期間中には、更新できそうです。厚年法の終了により、健保法の更新をスムーズに行えます。
では、今回はこれにてです。黄金週間後半を学習しつつ休養しつつお過ごし下さい。
・平成28年4月24日(日)
今回も、厚年法だけの更新になります。第7回目の更新となり、障害厚生年金をアップします。
厚年法は、一元化法による改正に伴い、ボリュームが増加し、非常に厳しい情報量になっています。
改正事項について、どのようなレベルの問題がどの程度の量で出題されるのか、改正後初めてになる今回の試験を経てみないと、なかなか予想がしにくいところです。
出題者の立場に立ってみますと、やはり、没問になるのは怖いです。「間違った出題をしないこと」には、神経を使うはずです。
この点で、一番安全なのは、条文をベースに出題することです。
そうしますと、例えば、退職時改定や在職老齢年金などの改正事項について、条文をベースに学習しておくことは有用です。一通り理解した後に、条文も読んで、キーワードをチェックしておくとよろしいです。
(もっとも、厚年法の条文は「使えない」ものが多いため、どの条文を読むべきかは、当サイトのガイドを参考にして下さい。)
条文による出題のしやすさという点からは、これから学習する事項ですが、例えば、積立金とか交付金・拠出金に関する改正事項も、選択式対策として結構注意が必要です。出題しやすそうなキーワードが並んでいます。
いずれにしましても、出題科目は厚年法だけではありません。厚年法は、択一式においては、半分程度得点できれば良いといった見積もりで結構だと思います。
厚年法に時間をかけすぎて、その他の科目が手薄になる方が危険です。
問題は、厚年法の選択式でして、いかなる素材が選ばれるかです。
当サイトしても、全ての科目の更新が終わったあたりで、選択式の出題可能性がありそうな問題を作成してみます。
今のところ、改正事項については、「退職時改定」、「2以上期間者に係る保険給付(老齢厚生年金か)」、「2以上期間者に係る在職老齢年金」、「積立金と拠出金・交付金」に関する問題あたりを素材に選択式問題を作成する予定です。
もちろん、改正事項以外から選択式が出題される可能性もあり、過去の出題傾向をにらみつつ対策を立てる必要があります。
さて、今回の更新は、障害厚生年金及び障害手当金です。
・更新開始ページ=こちら
・更新終了ページ=障害手当金のこちら
遺族厚生年金の手前までの更新です。
以下、今回の障害厚生年金等についてのポイントです。
〔1〕障害厚生年金
障害厚生年金は、基本的には、国年法の障害基礎年金の知識をベースに学習できます。
こちらの体系図において、障害基礎年金と異なる個所を赤字にしていますので、学習の参考にして下さい(このほか、2以上期間者に関する問題も、障害厚生年金に特有の問題です)。
障害厚生年金についても、「本来の障害厚生年金」と「特殊な障害厚生年金」(主に、事後重症及び基準障害による障害厚生年金です)に分けておきます。
一 発生
(一)本来の障害厚生年金
1 支給要件
「本来の障害厚生年金」の支給要件については、基本的に、「本来の障害基礎年金」とパラレルになります。
一元化法による改正に伴い問題になる事項として、「被用者年金一元化法による適用関係」(こちら)がありますが、あまり深入りしなくて大丈夫だと思います(おそらく、試験では出題対象にならないでしょう)。参考程度に流し読みして下さい。
2 効果(広義)
〇年金額
(1)基本年金額
基本年金額(こちら以下)については、障害厚生年金は報酬比例となりますので、障害基礎年金と大きな違いがあります。
当サイトでは、この基本年金額について、図とゴロ合わせにより記憶して頂く構成になっています。
ゴロ合わせにより、一応、基本年金額についての論点がほぼ思い出せる仕組みにはなっているのですが、肝心のゴロの出来があまりよくないです。。
(2)加算額
配偶者加給年金額(こちら)も、重要です。こちらのページも熟読して下さい。
3 手続
なお、手続の問題ですが、「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添付できない場合」の改正事項があります(こちら)。リンク先の障害基礎年金の個所で詳しく触れていますので、概要を把握しておいて下さい。択一式で出題される可能性があります。
(二)特殊な障害厚生年金
「特殊な障害厚生年金」(こちら以下)についても、「特殊な障害基礎年金」の知識をベースにできます。
二 変更・消滅
変更に関する問題(体系はこちら以下)についても、障害基礎年金の変更に関する問題の取扱いをベースにできます。消滅に関する問題(こちら)も同様です。
三 2以上期間者に係る障害厚生年金
今回の改正により、障害厚生年金においても2以上期間者の問題が生じています。こちらのページを熟読して下さい。簡単な事例問題は、出題できるところです。
また、支給に関する事務についても押さえて下さい。
初診日における被保険者の種別に応じて、当該種別に係る実施機関が障害厚生年金に係る支給に関する事務を行います。「障害認定日」ではなく、「初診日」です。
のちに学習します「遺族厚生年金」の場合は、支給に関する事務を行う実施機関の判断がもう少し複雑になります。
(なお、このページの「変更」の個所(こちら)については、カットして頂いて結構です。)
平成14年度以降の障害厚生年金についての過去問は、こちらにまとめて掲載しています(障害手当金についての過去問は、障害手当金の最後です)。
〔2〕障害手当金
障害手当金(こちら)も、重要です。あまり省略できるような個所はありません。熟読をお願いします。
次回は、週半ばあたりに、「遺族厚生年金」をアップします。週末に、残りの保険給付、保険給付の通則、離婚時の年金分割あたりをアップします。
筆者の改訂の方は、更新より少し先に進んでいますが、まもなく「基金関係」に入ります。従いまして、5月初旬位には、厚年法の更新は完了しそうです。
そろそろ、健保法の更新も再開致します。
・平成28年4月18日(月)
今回は、厚年法の第5回目の更新として、「特別支給の老齢厚生年金」以後の老齢厚生年金をアップします。これにて、老齢厚生年金を終了します。
なお、今週末位に、障害厚生年金を、来週半ばくらいに、遺族厚生年金を更新する予定です。今月中に保険給付は終わります。来月中には、厚年法の更新が完了する予定です(が、基金が少し微妙です)。
また、厚年法の保険給付関係の改訂中、一時、健保法の改訂を中断していましたが、タイミングを見て再開します。
以下、まず、今回の厚年法の更新内容を簡単に解説します。
一 厚年法の更新について
今回の主要な更新内容は、特別支給の老齢厚生年金です。
・更新開始ページ=「特別支給の老齢厚生年金」の最初のページのこちら
・更新終了ページ=「特例老齢年金」のこちら
障害厚生年金の手前までの更新です。
まず、「特別支給の老齢厚生年金」の全体構造はこちらです。
(一)発生
1 支給要件
特別支給の老齢厚生年金の支給要件においては、支給開始年齢(に到達したこと)が重要な問題になります。
この点は、被用者年金一元化法により改正されており、従来より、ややこしくなっています。
「支給開始年齢の原則」と「支給開始年齢の例外」に大別しておきます(後者の「支給開始年齢の例外」は、「障害者、長期加入者及び第3種被保険者に係る特別支給の老齢厚生年金の特例」の場合です)。
(1)支給開始年齢の原則
一元化前は、「支給開始年齢の原則」としては、男性の主な生年月日のパターンを押さえ、女性はその5年遅れと覚えるだけで足りました。
が、一元化により、従来の共済年金の制度(以下、「改正前共済年金制度」といいます)の加入者(受給権者)が厚生年金保険の制度に包摂されることになったため、支給開始年齢における試験対策としても、改正前共済年金制度の加入者(受給権者)の取扱いについてまでも押さえる必要が生じました。
ただ、男性については、改正前共済年金制度の加入者も、改正前の厚生年金保険の被保険者である男性と同じ生年月日のパターンとなります。
女性については、「第1号厚生年金被保険者であり、又は第1号厚生年金被保険者期間を有する者」(サイト上では、「第1号厚生年金被保険者等」と簡略化しています)は、男性の5年遅れの生年月日になります(従来の厚生年金保険の女性のパターンと同じです)。
他方、改正前共済年金制度の加入者である女性に相当する「第2号厚生年金被保険者であり、若しくは第2号厚生年金被保険者期間を有する者、第3号厚生年金被保険者であり、若しくは第3号厚生年金被保険者期間を有する者又は第4号厚生年金被保険者であり、若しくは第4号厚生年金被保険者期間を有する者」(以上、サイト上では、「第2号厚生年金被保険者等」と表現しています)については、男性と同じ生年月日のパターンとなります。
以上については、こちらの図で整理しています。
なお、特定警察職員等は、男性の6年遅れの生年月日になります。
支給開始年齢の原則に関する詳細は、こちらのページで記載しています。
(2)支給開始年齢の例外
支給開始年齢の特例(障害者、長期加入者又は第3種被保険者の特例)については、当サイトでは、要所となるポイントを、ゴロ合わせにより覚えています。これにより、平成27年度の選択式問題などにも対応できました。
今後も、択一式試験で出題対象となる個所ですので、十分な学習が必要です。
2 効果(広義)
(1)年金額
(ⅰ)基本年金額
特別支給の老齢厚生年金の基本年金額は、報酬比例部分の額と定額部分の額との合算額になります(こちら以下)。
「報酬比例部分の額」については、「65歳からの本来の老齢厚生年金」の基本年金額(報酬比例部分の額)と同様になります。
「定額部分の額」が、特別支給の老齢厚生年金に特有の問題です。
この「定額部分の額」の論点について、当サイトでは、図とゴロ合わせにより記憶できるようにしています(こちら以下)。
(ⅱ)加算額
加算額については、加給年金額が問題になります(こちら)。
特別支給の老齢厚生年金における加給年金額のポイントは、「報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金」の支給を受ける段階では加算されず、「定額部分が加算される特別支給の老齢厚生年金」に加算されるということです(これにもう少し知識の追加が必要ですが)。その他は、基本的には、「65歳からの本来の老齢厚生年金」における加給年金額と同様です。
次に、「変更」に関する問題です。
(二)変更
特別支給の老齢厚生年金の変更に関する問題(体系はこちら)としては、すでに学習しました「低在老」のほかに、「雇用保険との調整」及び「繰上げ支給の老齢基礎年金との調整」の問題等があります。ここは、かなり厄介です。
1 雇用保険との調整
雇用保険との調整の問題は、「基本手当との調整」の問題及び「高年齢雇用継続給付との調整」の問題があります。
(1)基本手当との調整
基本手当との調整(こちら)については、「要件」と「効果」の視点で知識・論点を整理してみて下さい。細かい知識は多いですが、それほど整理が難しいわけではありません。
(2)高年齢雇用継続給付との調整
高年齢雇用継続給付との調整(こちら)のポイントは、まずは、雇用保険法で学習しました「高年齢雇用継続給付」の知識を思い出すことです。余り思い出せないようなときは、最初に、雇用保険法の「高年齢雇用継続給付」の全体をざっと復習するのが、かえって効率的です。
「高年齢雇用継続給付との調整」は複雑ですが、当サイトを熟読して頂き、基本的な仕組みを理解して頂いた後は、試験用に特に数字関係を覚えることが必要です。「標準報酬月額の6%」、「6分の15」、「15分の6」といった数字が登場します。
最終的には、こちらの表を眺めて覚えることになるかもしれません。
なお、一元化法による改正に伴い、「2以上期間者に係る高年齢雇用継続給付との調整」という問題が発生しています(こちら以下)。
ただ、ここは複雑であり、少なくとも、今回の試験では、出題対象になりにくいかもしれません(一応、当サイトを流し読みしておかれると安全ですが)。
2以上期間者に係る在職老齢年金の制度の適用の問題と同様に、「合算・按分方式」により処理されること程度を知っていれば足りそうです。
2 繰上げ支給の老齢基礎年金との調整
「繰上げ支給の老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金との調整」の問題(こちら)は、非常に厄介です。厚年法で一番難しい問題の一つです(年金法の総合問題になります)。
こちらで、まとめの図は作成しているのですが、本文を詳細に読まないと、なかなか理解しにくい個所があるかもしれません。
大きな枠組みは、特別支給の老齢厚生年金の「支給開始年齢の原則」のパターンと同様になります。このパターンから外れているケースもありますが、まずは、この基本的パターンを意識して頂いて、あまり細かい部分は追わずに、当サイトの赤字の部分を中心に把握していって下さい。
選択式の出題対象になりそうな個所は押さえる必要がありますが(赤字部分です)、その他の細かい個所(例えば、一部繰り上げの計算方法など)についてはあまり深入りしないで大丈夫です。大体の内容を押さえれば足りるという姿勢でよろしいのでしょう。
以上が、今回の更新内容についての解説でした。
次回は、障害厚生年金の全部を更新します。障害厚生年金は、「障害基礎年金+α」といったイメージで学習できます(ただし、決して簡単ではありません)。
一元化法による改正に伴い、この「+α」の部分が結構膨らんでいます(例えば、2以上期間者の問題は、併合認定等の問題として処理される場合が生じます)。
もっとも、障害厚生年金は、老齢厚生年金に比べれば、問題は少ないです。
今回の老齢厚生年金の終了により、厚年法の最大のヤマは終結しました。遺族厚生年金も改正事項が多いなど、まだ油断はできませんが、ともかく、あまり難しい知識を追うよりも、他の受験生も学習しているような知識を確実化していくことが合格にとっては有効なのでしょう。
従って、例えば、今回の「繰上げ支給の老齢基礎年金との調整」の問題の細かい点などは、ほとんどの受験生が解答できませんから、あまり気にする必要はありません。
二 厚年法の「2以上期間者」に関する記載の移動について
厚年法の「2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の特例」(総論的部分)について、従来、「序論」の「§3 目的(第1条)」のページ(こちら)で記載していたのですが、こちらに移動させて頂きました。
各個所で、「2以上期間者」に関する問題の記載が多くなり、どこかでまとめてリンクを作っておく必要が生じました。その際、「§3 目的」の個所より、「§7 被用者年金一元化法による改正の特徴」の中におさめた方が座りが良いことから、移動しておきました。
移動した記載の内容自体には変更はありません(一部、文言の整理をした個所はあります)が、この移動した記載の下の個所に、新たに当サイト上における「2以上期間者」に関する記載個所についてのリンクを作っています。
では、今週末にまた登場します。
・平成28年4月11日(月)
今回は、厚年法と健保法の更新のお知らせです。
〔1〕厚年法の更新について
厚年法は、加給年金額以下、65歳からの「本来の老齢厚生年金」のすべてを更新します(「特別支給の老齢厚生年金」の手前までの更新となります)。
今回は、超長文になります。
・更新開始ページ=加算額(加給年金額)のこちら
・更新終了ページ=消滅(失権)のこちら
今回と次回の更新個所(「65歳からの本来の老齢厚生年金」と「特別支給の老齢厚生年金」)は、厚年法(といいますか、社労士の試験科目全体)の中で、最も難しい問題が密集している領域です。
ただ、合格のためには、これらのすべてを理解・記憶している必要はなく(完全に理解しようとすると、時間切れになります)、一定のレベルまでの範囲について理解・記憶していれば合格できます。
このレベル内にある押さえるべき事項について、以下、ポイントを見ます。
まず、前回は、「65歳からの本来の老齢厚生年金」について、「支給要件」及び「効果」(広義)の年金額の中の基本年金額まで更新しました。
今回は、年金額の加算額からになります。
一 年金額
(一)加算額
加算額には、加給年金額と経過的加算額があります。非常に出題が多いです。
1 加給年金額
加給年金額についても、「発生→変更→消滅」の時系列の大枠により整理しています。
(1)発生
(ⅰ)まず、加給年金額の加算の要件(こちら)を押さえるのが必須です。
「240月」、「生計を維持」していたその者の「65歳未満の配偶者」又は「子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にある子に限る)」といった点がポイントです。
上記のリンク先のページでは、これらの文言について、問題になる点を詳しく記載しています。
このページは、試験対策上も、十分読んで頂いたほうが良いです。一部、認知の意義とか、生計維持の要件に関する通達が長々と記載されている等、適宜カットして頂いて構わない個所もありますが、まずは一読して下さい。
以上の細かい事項を読んで頂いた後、再度、加給年金額の加算の要件がどのようなものだったか、また、その要件についてどのような論点が問題になっていたのかを思い出す時間を作ってみて下さい。その他の論点についても同様ですが、「要件」に結びつけて知識を整理していくのがポイントです。
なお、このページの後半に掲載されている条文は、第44条以外は読まないで頂いて結構です。厚年法の条文については、サイト中に「お読み下さい」といったガイドがないものについては、特に必要がない限り、カットして頂いて結構です。
2以上期間者の問題については、後述します。
(ⅱ)次のページ(こちら)では、まず、加算額について記載しています。特別加算額も含め、熟読が必要です(224,700円、74,900円という金額についても記憶が必要です)。
なお、一元化法の施行により端数処理が改正されました。「1円未満の端数の四捨五入」になる場合と「100円未満の端数の四捨五入」になる場合の具体例を押さえておく必要があります。
加給年金額の場合は、条文上、「100円未満の端数の四捨五入」になる旨が規定されています。
この具体例の一覧については、(以前にも紹介しましたが)こちらの表を参考に、国年法の年金額に関する端数処理の場合も含めて、まとめて整理しておいて下さい。端数処理の考え方(覚え方)については、国年法の端数処理の個所でも紹介しました(厚年法でも紹介しています)。
(ⅲ)次に、こちらでは、「2以上期間者に係る期間合算の問題」について触れています。
「240月」(原則)に、第1号から第4号までの各号の厚生年金被保険者期間を合算すること、また、老齢厚生年金の受給権を取得した当時、被保険者期間が240月未満であった場合は、「退職時改定」又は「他の期間に基づく老齢厚生年金の受給権取得」により240月以上となった当時において生計維持要件を満たす必要があることを押さえて下さい。
その後、「期間合算の適用関係」という項目がありますが(こちら)、ここの「2 例外」の部分の出題の可能性は低いものと考えています(「理解」といいますか、「参考」のために一応掲載していますが、本来は掲載するのをカットしたい個所でした)。
そこで、「1 原則」の個所は、一応、お読み頂き、「2 例外」の個所はカットして頂き、その次の「期間合算の場合の加算の効果」(こちら)の個所に進んで下さい。この「期間合算の場合の加算の効果」は出題しやすい個所です。赤字の部分は記憶が必要です。
このページの最後の方に記載されている具体例(こちら)については、のちに「特別支給の老齢厚生年金」を学習してから、チェックしてみて下さい。
(2)変更
次のページ(こちら)において、加給年金額の変更に関する問題を取り上げています。
このページも非常に重要であり、熟読して頂く必要があります(「離婚」、「婚姻の取消し」、「離縁」の意義など、試験に直接関係しない部分について詳述している個所がありますが、これらの字下げした部分については、流し読みして下さい)。
「配偶者の加給年金額に係る2以上期間者の期間合算について」という個所(こちら)については、熟読して下さい。
2 経過的加算額
経過的加算額は、こちらのページです。ここも重要で、あまり不要な記載もありません。熟読をお願いします。
二 保険給付の通則(その1)
次に、「保険給付の通則(その一)」として、以下の事項を取り上げています(こちら)。
1 端数処理
2 支給期間、支給停止期間
3 支払期月
4 裁定
1の「端数処理」については、先にも触れました。その他にも、「2月期支払の年金の加算」といった改正がありますので、熟読が必要です(ただし、基本的には、国年法で学習しました端数処理と同様になります)。
2及び3の「支給期間、支給停止期間、支払期月」については、国年法とパラレルです。さほど問題はないでしょう。
4の「裁定」については、一元化法による改正に伴い、「実施機関」が裁定することに改められています。
具体的に裁定を行う実施機関(こちら)については、保険給付に応じて類型化できます。障害厚生年金以下は、のちに学習します。
その他、この「裁定」に関するページは、無視できない知識が掲載されています。太字部分を中心にお読み下さい。
三 2以上期間者に係る老齢厚生年金の特例
その次のページ(こちら)では、「2以上期間者に係る老齢厚生年金の特例」の全体を整理しています。すでに「序論」で紹介しました「2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の特例」の総論的記載(こちら以下)とともに熟読をして下さい。
四 老齢厚生年金の支給の繰上げ及び支給の繰下げ
「老齢厚生年金の支給の繰上げ及び支給の繰下げ」(こちらから)は、難しい個所です。一元化法による改正により、一層、複雑化した個所もあります。
ただ、やはり、行き当たりばったりに知識を習得するより、一定の体系に基づいて、知識を積み上げていった方が効率的であり、記憶喚起もしやすいです。
つまり、しつこいようですが、「発生→変更→消滅」と大枠を作ったうえで、「発生」について、「(支給)要件」→「効果(広義)」を整理していきます。「効果(広義)」については、「受給権の発生(支給の繰上げでは、支給の開始時期も見ます)」→「年金額」(基本年金額と加算額)→「その他」という流れで知識を整理していきます。
(一)老齢厚生年金の支給の繰上げ
1 全体像
老齢厚生年金の支給の繰上げの問題は、次の全体像を把握すると、かなり見晴らしがよくなります。
即ち、老齢厚生年金の支給の繰上げについては、次の2タイプがあります。
(A)老齢厚生年金の支給の繰上げ(法附則第7条の3)=「本来の老齢厚生年金の支給の繰上げ」と表現しておきます。
(B)経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金(法附則第13条の4)=老齢厚生年金の経過的な支給の繰上げ
両者の区別のポイントは、簡単です。
(A)の「本来の老齢厚生年金の支給の繰上げ」は、60歳台前半の「特別支給の老齢厚生年金」の支給を受けられない者が行えるものです。
(B)の「経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金」は、「特別支給の老齢厚生年金」に係る「報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられる段階にある者」が行えるものです。
そこで、(A)「特別支給の老齢厚生年金の支給を受けられない者」とはいかなるものか、(B)「報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられる段階にある者」とはいかなるものかについて、のちに学習します「特別支給の老齢厚生年金」の支給開始年齢に関する知識が必要になってきます。
「特別支給の老齢厚生年金」については、さしあたり、こちらのページをご覧頂くと、概要は把握頂けます。
特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は、必ず記憶が必要な個所です。下記のようにゴロ合わせもありますので、参考にして下さい。
以下、(A)と(B)のそれぞれのポイントについて簡単に触れておきます。
2(A)本来の老齢厚生年金の支給の繰上げ
(1)発生
(ⅰ)支給要件
支給の繰上げの支給要件は多数ありますが、こちらの【支給要件の記憶のポイント】で記載していますように、それほど記憶すべき事項は多くはありません。
最も重要な要件は、「特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給を受けられない者であること」ということであり、例えば、「昭和36年4月2日以後に生まれた男性等」が対象になります。
一元化法による改正に伴い、覚えるべき事項が少し増えていますが、まずは、「昭和36年4月2日以後に生まれた男性」について覚えてしまえば、あとは次々と思い出すことができます。
この「昭和36年4月2日以後に生まれた男性」については、のちに「特別支給の老齢厚生年金」の個所で支給開始年齢に関するゴロ合わせを覚えますが(こちら)、このゴロ合わせにより思い出します。
今回の改正により、女性については、「第1号厚生年金被保険者等である女性」と「第2号から第4号までの厚生年金被保険者等である女性」を区別する必要が生じました。
前者については「昭和41年4月2日以後に生まれた女性」であること、後者については「昭和36年4月2日以後に生まれた女性」であることは記憶しないとなりません。前者は、後者の生年月日の5年遅れです。従って、あとは、「第2号から第4号までの厚生年金被保険者等である女性」と前述の「昭和36年4月2日以後に生まれた男性」の生年月日は同じであることさえ覚えればよいことになります。
なお、「特定警察職員等」の定義(要件。こちら及びこちらの※2)についても、一応、注意して下さい。
その他の支給要件としては、一元化法により、請求先が「厚生労働大臣」から「実施機関」に改められたことも注意です(支給の繰下げについても同様です)。
また、「2以上期間者に係る老齢厚生年金の支給の繰上げ」(同時請求)も、一元化法による改正個所であり、注意です(こちら)。
(ⅱ)効果
支給の繰上げの効果については、基本的には、「老齢基礎年金の支給の繰上げ」の効果(国年法のこちら)がベースになります。あとは、老齢厚生年金の支給の繰上げに特有の部分を押さえます。
(2)変更
本来の老齢厚生年金の支給の繰上げの「変更」(広義)に関する問題としては、次を学習します。
(ⅰ)65歳以後の在職老齢年金(高在老)
(ⅱ)支給繰上げの請求以後の被保険者期間の増加
(ⅰ)については、(A)「本来の繰上げ支給の老齢厚生年金」の受給権者が厚生年金保険の被保険者等である場合は、「65歳以後の在職老齢年金(高在老)」の制度が適用され、(B)「経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金」の場合は、「60歳台前半(65歳未満)の在職老齢年金(低在老)」の制度が適用されることを覚えておきます。
(ⅱ)については、近時、出題が多く、理屈を理解しておく必要があります。
以上が、本来の繰上げ支給の老齢厚生年金でした。
3(B)経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金
(1)発生
(ⅰ)支給要件
経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金は、「特別支給の老齢厚生年金」の「報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられる段階にある者」が請求できるものです。
この「報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられる段階にある者」とは、基本的には、「昭和28年4月2日から昭和36年4月1日までの間に生まれた男性」等ということです。この昭和28年と昭和36年の数字については、前述のゴロ合わせにより覚えます。
また、「報酬比例部分の支給開始年齢に達する前に」、実施機関に支給繰上げの請求をすることが必要です。
その他については、上記の「本来の支給の繰上げ」とパラレルな部分が多いです。
(2)変更
(ⅰ)「在職老齢年金」については、前述のように、60歳台前半の在職老齢年金(低在老)が適用されます。
(ⅱ)「支給繰上げの請求以後の被保険者期間の増加」については、「本来の支給の繰上げ」のケースに「特例支給開始年齢到達時改定」というのが加わります(こちら)。「報酬比例部分の支給開始年齢に達したとき」の年金額の改定です。
以上が支給の繰上げでした。次に支給の繰下げです。
(二)老齢厚生年金の支給の繰下げ
1 基本的な考え方
「老齢厚生年金の支給の繰下げ」(こちら)は、基本的には、「老齢基礎年金の支給繰下げ」(国年法のこちら)とパラレルになっています。
そこで、まずは、「老齢基礎年金の支給繰下げ」の知識を復習してから、「老齢厚生年金の支給の繰下げ」を学習して頂くのが効率的です。
支給要件において、両者の大きな違いは、「老齢厚生年金の支給の繰下げ」においては、老齢厚生年金の受給権取得から1年以内に「障害基礎年金」の受給権を有していても支給の繰下げを行える、ということです。
効果における大きな違いは、「老齢厚生年金の支給の繰下げ」においては、「繰下げ加算額」の加算が問題になることです(こちら)。高在老の制度が存在することによる違いになります。ただし、「繰下げ加算額」についての細かい内容については、覚える必要はないでしょう。
2 2以上期間者に係る老齢厚生年金の支給の繰下げの特例
一元化法により、「2以上期間者に係る老齢厚生年金の支給の繰下げの特例」が規定されました(こちら)。
しかし、本問の「例外」の部分は、非常に難しいです(この部分は、サイトに掲載しない予定でしたが、あくまでも参考程度に触れています。サイトの当該「例外」の部分は、お読みにならない方がよさそうです)。
「原則」における「同時請求」の部分を覚えておいて下さい。次の通りです。
「2以上の被保険者であった期間を有する者(2以上期間者)が老齢厚生年金の支給の繰下げを行う場合は、一の期間に基づく老齢厚生年金についての支給繰下げの申出は、原則として、他の期間に基づく老齢厚生年金についての当該申出と同時に行わなければなりません(第78条の28前段)。」
次に、本来の老齢厚生年金の「変更」に関する問題です。
二 変更
変更に関する問題では、大まかには、次の事項を学習します(こちら)。
(一)年金額の改定
1 再評価率の改定
2 退職時改定
(二)支給停止
在職老齢年金の制度
退職時改定と在職老齢年金の制度は、一元化法により改正されており、実務上も重要ですので、試験でも出題されることになると思います。
ただ、かなり難しいです。順にポイントを見ます。
(一)年金額の改定
1 再評価率の改定
「再評価率の改定」(こちら)については、国年法の「改定率の改定」(国年法のこちら)の知識をかなり流用できます。
そう細かい知識はいらないと思います。「再評価率の改定」について、選択式の平成18年度と22年度に出題されており(こちら以下)、ここで問われている事項を一つの目安に学習してみて下さい。
数字関係は、国年法の改定率の改定の方で出題される可能性がありますので、改定率が「0.999」であること等(国年法のこちら)は覚える必要があります。
2 退職時改定
退職時改定(こちら)は、何らかの形で出題されるでしょう。一番危ないのは、やはり、改正された個所です。
(1)退職時改定とは、被保険者である老齢厚生年金の受給権者が、その被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したときに、年金額が改定されるという制度です。
改正されたのは、次の「効果」にあたる部分(いつから年金額が改定されるか)です。
即ち、上記の1月を経過したときは、資格喪失日(ただし、「死亡及び70歳到達以外の資格喪失事由」の場合は、「資格喪失日の前日」)から起算して1月を経過した日の属する月から、年金額が改定されます。
上記のかっこ書の部分、つまり、「死亡及び70歳到達以外の資格喪失事由の場合は、資格喪失日の前日」から起算して1月を経過した日の属する月から年金額が改定されるという部分が、一元化法による改正個所です。
例えば、退職した場合(使用されなくなった場合)は、退職日(使用されなくなった日)から起算して1月経過日の属する月から年金額が改定されるというものです。
これは、月の末日に退職した場合(月末退職)に、退職日の翌月から年金額を改定することに改めたものです(一元化前は、月末退職の場合、退職日の翌々月から年金額が改定されました)。
具体例については、サイトに掲載しています。が、そこで紹介しました通り、なかなか理屈的にはすっきりしない個所です。細かい点は、合格後に習得して頂き、試験対策上は次の点を覚えておいて下さい。
◆退職した場合(使用されなくなった場合)の退職時改定においては、「退職日(退職月)の翌月から年金額が改定される」。
(2)2以上期間者に係る退職時改定
また、2以上期間者に係る退職時改定についても、こちらの文章の部分をお読み下さい。出題対象とできる個所です。
(二)在職老齢年金
最後に、在職老齢年金の制度のポイントを見ます。
1 まず、全体構造を押さえます。
(1)在職老齢年金の制度の全体像は、こちらの2つの図です。
大きくは、低在老(「65歳未満の被保険者等(在職者)に係る在職老齢年金」)の制度と高在老(「65歳以上の被保険者等(在職者)に係る在職老齢年金」)の制度に分かれます。
以前は、このどちらも、老齢厚生年金の受給権者が「被保険者」である場合の制度でした。しかし、その後、どちらの制度にも「被保険者」でない者も対象に含まれることになり、制度の適用対象が拡大しています。
即ち、高在老の制度については、当初、「70歳以上の使用される者」が含まれることになり、さらに、一元化法による改正に伴い、高在老及び低在老の制度の両者に「国会議員又は地方公共団体の議会の議員」(以下、「国会議員等」といいます)も含まれることになりました。
結果、現在の在職老齢年金の制度は、前記のリンク先の図のように、ごちゃごちゃしたものに変わりましたが、要するに、「老齢厚生年金の受給権者が在職者(使用される者)」である場合に在職老齢年金の制度が適用されるということです。
学習の際は、老齢厚生年金の受給権者が「被保険者」である場合という本来のケースを原則型としてイメージしておいた方がわかりやすそうです。
(2)在職老齢年金の制度の基本的な考え方は、こちら以下で記載しています。ここの部分がポイントであり、あとはこれに細かい知識を膨らませていきます。
過去問をこちらに掲載していますので、どのような個所が出題されているのかを参考にしながら、メリハリをつけて学習して下さい。
2 改正個所
在職老齢年金の制度については、一元化法により改正された個所に注意です。改正個所は、主に以下の事項です。
(ⅰ)適用範囲
被保険者に係る在職老齢年金の制度の適用の終了時期が改正されました(こちら)。
即ち、被保険者の資格を喪失した月についても、原則として、在職老齢年金の制度が適用されますが、資格喪失日が月の初日になる場合(つまり、月末退職の場合)は、当該資格喪失月は在職老齢年金の制度は適用されず、当該資格喪失月の前月(退職月)まで適用されることになりました。
要するに、月末退職の場合、退職日の翌月は在職支給停止にならないということです(一元化法による改正前は、退職日の翌月も在職支給停止の適用対象となっていましたが、クレームが多かったことなどから改められたものです)。(なお、「およそ退職日の翌月は在職支給停止にならない」というのではなく、あくまで月末退職の場合の問題であることには注意です。)
この在職老齢年金の制度の改正により、月末退職の場合は、退職日の翌月から、退職時改定により年金額が改定される(これは先に触れました)とともに、退職日の翌月から在職支給停止もされないことになりました。
(ⅱ)国会議員等
「国会議員等」も、在職老齢年金の制度の適用対象とされました(こちら)。このリンク先の「届出」についても、届出が必要な場合と届出の期限(「速やかに」)については、一応、注意です。
(ⅲ)70歳以上の被用者に対する適用拡大(こちら)
一元化法による改正前は、70歳以上の使用される者に係る高在老の制度は、昭和12年4月1日以前に生まれた者については、適用されませんでした(「70歳以上の使用される者」に係る高在老の制度の施行日(平成19年〔=昭和82年〕4月1日)の前日において70歳に達している者については、高在老の制度は適用しなかったということです)。
しかし、一元化法の施行により、平成27年10月1日以後は、「70歳以上の使用される者に係る高在老の制度」は、生年月日を問わず適用されることとなり、昭和12年4月1日以前に生まれた者についても適用されることとなりました(改正前の共済年金の制度にそろえたものです)。
(ⅳ)2以上期間者に係る在職老齢年金
2以上期間者に係る在職老齢年金(こちら)は、出題の可能性がかなりありそうです。
事例で出題される可能性があり、事例問題に対応できるように準備が必要です。
考え方は、「基本月額の合算」をして「支給停止額の按分」を行うということです(「合算・按分方式」)。
即ち、在職支給停止の計算方法(効果)については、「基本月額」の代わりに「合算基本月額」(2以上の期間に基づく老齢厚生年金の基本年金額を合算して得た額を12で除して得た額。大まかには、次に記載します「一期間基本月額」の合算額です)を用いて、まず、通常の在職支給停止の計算方法により、「全体の支給停止月額」を計算します。
次に、この「全体の支給停止月額」を「各号の期間に基づく基本月額」(「一期間基本月額」)の割合で「按分」して、各号の期間に基づく老齢厚生年金の支給停止月額を計算します。
文章にするとわかりにくいので、サイト上の具体例でイメージして頂く方がよろしいです。
(ⅴ)激変緩和措置
激変緩和措置については、本年度の試験で出題されるかは、非常に微妙です(難しいためです)。万が一、出題されるとしても、数字関係が狙われるのでしょう。
そこで、「上限1割(10分の1)」と「35万円保障」(35万円保障は、低在老の制度でのみ問題になります)という数字を押さえておけば安全です。
こちらの骨格の個所をざっと一読して頂き、概要を把握すれば足りるでしょう。
以上、前回の厚年法の更新範囲の解説でした。次回は、厚年法は、特別支給の老齢厚生年金を更新します。障害厚生年金と遺族厚生年金等については、今月中にアップし、厚年法の保険給付はほどなく終了します。
次に、健保法の更新個所をお知らせします。
二 健保法の更新について
健保法は、「健康保険組合」の全体を更新します(「厚生労働大臣の権限の委任等」の手前までです)。
・更新開始ページ=健康保険組合の最初のページのこちら
・更新終了ページ=健康保険組合連合会の最後のページのこちら
健康保険組合(以下、「健保組合」といいます)の場合も、全国健康保険協会(以下、「協会」といいます)と同様に、「団体等の体系」に沿って知識を整理しています。
ただ、協会と同様に、健保組合についても、かなり細かい個所が出題されています(過去問をこちらでまとめて掲載していますので、参考にして下さい)。
当サイトでは、機関(組合会や役員の個所です。こちら)については、少し詳しい掲載となっており、色付き部分と太字部分をチェックして頂ければ結構ですが、その他のページについては、あまり省略したり流し読みしたりできそうな個所はありません。細かい知識を正確に覚えて頂くことが必要となります。
こちらの「費用(財政)」に関しては、とりわけ頻出です。数字関係も含めてほとんどの事項の記憶が必要です。
次のページの「変更」においては、「合併」、「分割」及び「設立事業所の増減」を学習します(こちら)。
これらも出題が多いですが、出題される個所には傾向があります。過去問の出題個所を記載していますので、まずは、出題個所とその周辺のマスターに重点を置いてください。
「設立事業所の増減」については、要件が数多くあり、複雑ですが、すべてを正確に覚える必要はありません。やはり、過去問が狙ってきている個所を優先的に押さえます。
学習がある程度進みましたら、次の個所も参考に知識を再チェックして下さい。
・全国健康保険協会と健康保険組合の比較→こちらで整理しています。
・健保組合が登場する場面→こちらで整理しています。
なお、年金法の場合と異なり、健保法の場合は、条文がわかりやすいことが多いです。条文を読むと、知識がすっきり整理されてくることも少なくないと思います。そこで、余裕があれば、条文にも一応目を通して下さい。
次回、健保法は、「厚生労働大臣の権限の委任等」から開始し、被保険者に入ります。
※【業務連絡】(平成28年4月14日)
業務連絡です。こちらからのメールが届かない会員の方がいらっしゃいます。アドレスを変えられたのかもしれません。
お手数ですが、ご覧になっていましたら、ご一報下さい。
・平成28年4月6日(水)
今回は、年度末に明らかになった改正等の一部について紹介します(なお、労働一般や社会一般については、改正事項の一部についてのみ触れています)。
以下、科目別順になります。
(一)労基法
〇【学校法人専修大学事件=最判平成27.6.8】について、判旨をまとめた通達(【平成27.6.9基発0609第4号】)が発出されており(判決翌日に発出されたものですが、最近、公開されました)、紹介しておきます(労基法のこちら)。
最高裁判決の内容がコンパクトにまとめられています。が、この判決は超重要であり、試験対策上は、判決原文のキーワードまで入念に押さえる必要があります。
(二)労災保険法
1 介護(補償)給付
介護(補償)給付の上限額及び最低保障額が改正されました(労災保険法のこちら)。毎年度行われる改正です。当サイトでは、あまり重きをおいていません。大まかかな額は把握しておいた方がよいかもしれません。
2 その他
社会復帰促進等事業(のうちの被災労働者等援護事業)の「労災就学等援護費」の支給額が一部改正されています。が、試験対策上はスルーで良さそうです(サイト上の記載についても、改めるような記載はありませんでした)。
(三)雇用保険法
1 雇用保険2事業の法第62条及び第63条の改正
雇用保険2事業に関する雇用保険法第62条(雇用安定事業)及び第63条(能力開発事業)が改正され、「同意地域高年齢者就業機会確保計画に係る事業」が追加されました。
次の2で見ます助成金のように施行規則等の改正ではなく、雇用保険法自体の改正であるため、無視しない方がよさそうです。
大まかな内容は、次の通りです。
まず、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(以下、「高年齢者等雇用安定法」といいます)が改正されました(先日、成立しました、雇用保険法等の一部改正法(【平成28.3.31法律第17号】)によるものです。同改正法は、基本的には平成29年1月1日施行ですが、後掲の徴収法の雇用保険率の改正のほか、この「高年齢者等雇用安定法」に関する改正も平成28年4月1日の施行であり、試験対象に含まれました)。
この「高年齢者等雇用安定法」において、第34条等が新設され、「地域の実情に応じた高年齢者の多様な就業の機会の確保」という趣旨から、地方公共団体は、単独で又は共同して、協議会における協議を経て、地域の実情に応じた高年齢者の多様な就業の機会の確保に関する計画(これを「地域高年齢者就業機会確保計画」といいます)を策定し、厚生労働大臣に協議し、その同意を求めることができることになりました(高年齢者等雇用安定法第34条第1項)。
(なお、地方公共団体は、同意を得た地域高年齢者就業機会確保計画を変更しようとするときは、厚生労働大臣に協議し、その同意を得なければなりません(同第34条第4項)。この同意があった「地域高年齢者就業機会確保計画」を「同意地域高年齢者就業機会確保計画」といいます(雇用法第62条第1項第4号)。)
そして、政府は、この厚生労働大臣の同意を得た地域高年齢者就業機会確保計画(この変更の同意があったときは、その変更後のもの)に係る国が実施する高年齢者の雇用に資する事業について、雇用保険法第62条の雇用安定事業又は同法第63条の能力開発事業として行うものとされます(高年齢者等雇用安定法第34条第5項)。
要するに、高年齢者等雇用安定法の改正により、政府は、「同意地域高年齢者就業機会確保計画」に係る高年齢者の雇用に資する事業を、雇用保険法の雇用安定事業又は能力開発事業として行うことなりました。
これに伴い、雇用保険法の2事業に関する第62条及び第63条も改正されたものです。
現段階では、この程度の情報しか明らかでないのですが、とりあえず、上記の雇用法第62条及び第63条に追加された規定を読んで頂き、「同意地域高年齢者就業機会確保計画」というキーワードを押さえておいて下さい。
当サイトは、以下で掲載しています。
・「同意地域高年齢者就業機会確保計画」に係る雇用安定事業=条文(第62条第1項第4号)はこちら。本文はこちら(高年齢者等雇用安定法の新設規定も掲載しています)。
・「同意地域高年齢者就業機会確保計画」に係る能力開発事業=条文(第63条第1項第7号)はこちら。
2 助成金
雇用保険二事業の助成金関係について、例年通り、たらふく改正されています。が、これまで助成金関係の出題は乏しく、ほぼスルーで結構です(一応、サイト上の関係個所は改正しており、改正個所には【平成28年度試験 改正事項】と表示しています)。
ただし、最近、「労働移動支援助成金」について、派遣会社が濫用的な利用をしているとのニュースを耳にします。今回の改正には、この点の対応措置は入っていないようなのですが(近時、改正を予定しているようです)、今回の改正により、労働移動支援助成金の種類が2つから3つに増えましたので、名称程度は把握されておいた方がよいかもしれません。
即ち、「労働移動支援助成金」は、従来、「再就職支援奨励金」及び「受入れ人材育成支援奨励金」の2種類でしたが、今回、新たに「キャリア希望実現支援助成金」が創設されました。
労働移動支援助成金の詳細等は、雇用保険法のこちらで紹介しています。
その他、今回の改正により新設された助成金として、例えば、「生涯現役起業支援助成金」があります(雇用保険法のこちら)。(以上は、「雇用安定事業」です。)
また、「能力開発事業」の助成金のうち、昨年秋に新設されたものですが、「両立支援等助成金」として「女性活躍加速化助成金」があります(平成27年10月14日公布・施行)。今回、いきなり、この助成金が一部改正されています(雇用保険法のこちら)。
いずれにしましても、これらの助成金については、試験対策上はざっとで結構です。
(四)徴収法
〇上述の通り、雇用保険法等の改正法が成立し、雇用保険率が確定しました。当サイトでは、徴収法のこちらで、既に1月ごろに書き換え済みです。
必ず記憶が必要です。
(五)国年法
国年法は、改定率、保険料関係及び給付の額に関する改正があります。
1 年金額の改定率
平成28年度の改定率は、「0.999=▲0.1%」です。既に国年法のこちらでお伝えしていました。
改定率が「0.999」であり、前年度と同じであることは覚えておいて下さい(「スリーナイン」ですから、覚えやすい数字です)。
なお、余裕があれば、名目手取り賃金変動率がマイナスであり、物価変動率がプラスであったことも押さえておかれると安心です。
2 保険料関係
(1)保険料改定率
平成28年度の保険料改定率は、0.976です
そこで、平成28年度の保険料額は、「16,660円×0.976≒16,260円」です。以上もすでにお伝えしていました(国年法のこちら)。
この両者の数字は、選択式の平成19年度に出題されたことがあります。今回も押さえておいて下さい。
次のようなこじつけでもしておきます。
※【ゴロ合わせ】
・「保険料改定率なんかを覚えるのは、苦難(976)だよ」
なお、一元化法による改正に伴い、「名目賃金変動率」に関する従来の「標準報酬額等平均額」が「標準報酬平均額」に改められていますので、この「標準報酬平均額」というキーワードも押さえておきます(こちらの下部。なお、年金額の改定における「名目手取り賃金変動率」においても、この「標準報酬平均額」は登場します(こちらの下部))。
(2)その他の保険料関係
その他の国年法の保険料関係に関する改正として、以下の事項があります。(ア)は要注意です。
この(ア)を除いては、今回の保険料に関する改正自体については、あまり覚えるべき事項はありません。
が、国年法の保険料関係は、出題頻度が高いため、選択式も視野に入れて、その全般について十分学習しなければなりません。
(ア)特定事由に係る保険料の納付等の特例
「特定事由に係る保険料の納付等の特例」(国年法附則第9条の4の7等)について、施行規則が改正され(【平成28.3.24厚生労働省令第36号】)、通達が発出されました。
今回の施行規則の改正では、特定事由に係る申出等に対する厚生労働大臣の承認の基準について、次のように定められた点は記憶しておかれた方がよいです(施行規則第73条第1項)。
即ち、厚生労働大臣の承認の基準は、「当該特定事由に係る申出等に係る事実が社会通念に照らし不合理でなく、疎明されたと認められること」とされます。詳細は、国年法のこちらです。
既に施行令は制定されていましたので、今回の施行規則の改正により、「特定事由に係る保険料の納付等の特例」の制度は、一応、全体が判明しました。
まとめの意味も含め、発出された通達を掲載しておきました(国年法のこちら)。かなり長いですが、一読されると、内容の理解に役立つかもしれません。
この別添の中で、「特定事由の行為類型」が整理されていましたので、こちらに表を作成しておきました(覚える必要はないでしょうが)。
この「特定事由に係る保険料の納付等の特例」は、わかりにくい制度ですが、選択式の出題もあり得る要注意事項です。
こちらで掲載しています法附則第9条の4の7の赤字部分のキーワードを記憶しておいて下さい。
同様に4月1日から施行されました「特定付加保険料の制度」(付加保険料の納付等の特例)にも注意です(国年法のこちら)。
(イ)第3号被保険者に係る特定保険料の額
特定保険料の額が告示されました(こちら)。金額自体を覚える必要はありません。
が、この「第3号被保険者としての被保険者期間の特例」(特定保険料等)の問題は、施行以来、平成26年度の択一式2肢、平成27年度の選択式1か所と連続出題されており、今回も択一式用知識をマスターしておく必要があります。
(ウ)後納保険料の額等
後納保険料の額等も告示等されています(こちら)。これも、金額自体を覚える必要はありません。
が、「10年の後納保険料の制度」が終了し、平成27年10月1日からは、新たに「5年の後納保険料の制度」が3年間の時限措置として実施されています。
「10年の後納保険料の制度」については、平成25年度の選択式に1問(5か所)出題されています(同年度の択一式の出題もあります)。
「5年の後納保険料の制度」についても、十分、準備しておく必要があります。
(エ)追納の額等
保険料免除に係る追納の額等も告示等されています(こちら)。これも額等は覚える必要はありませんが、追納も出題が多く、要注意です。
3 給付の額
国年法の脱退一時金と特別一時金の額が明らかになっています。
1 脱退一時金
脱退一時金の額(こちら)については、その計算方法を押さえておいて下さい(こちら)。脱退一時金も出題が多い個所ですので、十分な学習が必要です。
2 特別一時金
特別一時金の額は、こちらです。特別一時金は出題は少なく、平成21年度の択一式以来出題されていません。が、当サイトの特別一時金の記載は読んでおいて下さい。
国年法は、以上です。
(六)健保法
傷病手当金と障害手当金との支給調整(健保法第108条第4項)について、「報酬又は出産手当金も受けられる場合」の取扱いを定めた施行令(第36条の2)が新設されました。
平成28年4月1日施行のいわゆる医療保険制度改革法による改正前においても、傷病手当金と障害手当金との支給調整について、さらに報酬も受けられる場合の支給調整の規定がありました。しかし、同改正により、出産手当金の額を超える傷病手当金の差額が支給されることとなったため、この出産手当金に関する取扱いを定めたものです。
詳細は、当サイトの健保法のこちらです。
記載されている図により大まかなイメージをつかんで頂き、あとは、施行令第36条の2の条文をお読み下さい(太字になっているキーワードを目安にして下さい)。
今回の医療保険制度改革法による改正において、傷病手当金は、その支給額と支給調整について重要な見直しが行われています。この改正のうちいずれかは、出題されるはずです。図でイメージして、さらに第108条の条文をよく読んでおくことが必要です。
(七)社会一般
〇社審法
「社会保険審査官及び社会保険審査会法」(以下「社審法」といいます)の施行令が改正され、社会保険審査官の定数が、従来の102人から103人に改められました(社審法施行令第1条第2項)。(例えば、国年法のこちらで掲載しています。)
社会一般の平成17年度の択一式で出題されています。
「審査官の父さん(103)」とでも覚えておきましょう。
今回は、行政不服審査法等の改正があったため、不服申立て全般について、極めて注意が必要です。
(八)労働一般
〇派遣法
障害者雇用促進法の改正(平成28年4月1日施行)に伴い、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」及び「派遣先事業主が講ずべき措置に関する指針」が一部改正(追加)されました(平成28年4月1日施行)。
改正個所は、例えばこちら(労働一般で掲載)です。
ただ、まずは、障害者雇用促進法の改正部分を押さえるのが優先です。派遣法の指針の改正については、派遣法を学習(復習)する際にでも、ざっとチェックしてみて下さい。
以上が、今回の主な改正等のご紹介です。
次回は、厚年法の加給年金額以下と健保法の健保組合関係を更新する予定です。
では、学習が順調に進まれますように。
・平成28年4月3日(日)
今回は、厚年法の第4回目の更新のお知らせです。
一 厚年法の更新について
厚年法は、今回から老齢厚生年金に入ります。今回は、少し短めに(が、内容は濃いです)、基本年金額の終わりまでの更新です。
・更新開始ページ=「事業」のこちら
・更新終了ページ=「特例による年金額」(従前額保障等)のこちら
これから、厚年法の保険給付に入っていきます。
残念ながら、以前から難しい厚年法の保険給付が、一元化法による改正に伴い、さらに難しくなっています。
問題なのは、例えば、退職時改定、加給年金額、支給の繰下げ、在職老齢年金といった従来からあるいわば基本的な制度自体が難しくなっていることです。
次回以降の更新により、順次、これらの詳細も見ていきますが、退職時改定にしても、複雑化しています(改正により、単に退職日から起算することとなったとだけ覚えておくと、混乱するような個所があります。要件にあたる「資格を喪失した日から起算して1月を経過したとき」については、改正されていないのです)。
一元化法による改正は難しくないといったような評価は誤りであり、今回の改正は非常に手ごわいです。
ただ、そうは申しましても、試験で出題できる事項には限度があり(難しすぎて出題に適しない制度、条文等があります)、とりわけ改正直後の今回の試験では、難しい事項を出題すると、ほとんどの受験生が解答できないといった状況も生じかねず、出題者側も出題内容に苦労するはずです。
やはり、まずは、基本を押さえていくということになります。即ち、制度の基本的部分については(改正によりこの基本的部分自体が難しくなっているものがあるのですが)、十分、理解をしておく必要があります。
他方、一元化法による改正に伴い発生したいわば最先端の難所部分(2以上期間者に係る加給年金額の適用関係や在職老齢年金の激変緩和措置など)については、ほどほどにしておく方がよさそうです。
ゴタクはこのくらいにして、今回の改正個所のポイントについて説明致します。
(一)体系について
1 まず、保険給付の体系については、今までも国年法その他の保険法において学習してきました。
当サイトでは、大枠として、「発生→変更→消滅」という時系列に沿って区分したうえで、各個所において、「要件→効果」という視点で知識を整理していきます(こちらの体系図を参考)。
例えば、老齢厚生年金の「発生」に関する問題においては、「支給要件」及び「効果(広義)」としての「受給権の発生」、「支給額(年金額)」等という視点により整理します(ちなみに、「受給権の発生」という視点により、2以上期間者に係る保険給付の問題において、1つの受給権が発生するのか、それとも各号の期間ごとに複数の受給権が発生するのかという一元化によって新たに生じた論点を意識できます)。
2 なお、老齢厚生年金の場合は、65歳(原則)から支給される「本来の老齢厚生年金」(第42条)(最近では、「本来『支給』の老齢厚生年金」という表現の方がよく見かけますが)と65歳未満の者(基本的には、60歳台前半の者)に支給される「特別支給の老齢厚生年金」(法附則第8条等)の2タイプに大別できます(これらは、こちらのページで記載しています)。
当サイトでは、本来の老齢厚生年金から学習をしていきます(特別支給の老齢厚生年金の方が難しい問題を含むため、あとから学習するという意図です)。
(二)本来の老齢厚生年金
1 まず、本来の老齢厚生年金の体系図は、こちらです。これから学習する事項の「羅針盤」のようなものになっています。初学者の方は、大まかに眺めて下さい。
2 次に、本来の老齢厚生年金の「支給要件」に入ります。こちらのページです。
このページを熟読して要所を記憶して頂ければ、基本的には、大丈夫です。老齢厚生年金のカナメになる部分ですので、この支給要件については十分学習して下さい。
前記のページの最後の方に〔Ⅳ〕「適用関係」という項目があり(こちら)、従来は、「旧法と新法の適用関係」のみ記載していたのですが、一元化に伴い、「被用者年金一元化法による適用関係」という項目を新設しました(こちら)。
ここは、直接的には、試験では出題対象になりにくい個所といえますが、制度の根幹にかかわる重要な部分ですので、参考知識として一読しておいて下さい。
もっとも、最後の方に、特別支給の退職共済年金に関する適用関係について記載した個所があります(こちら以下)。
特別支給の退職共済年金の受給権が発生した場合において、65歳(原則)から、退職共済年金が支給されるのか、それとも老齢厚生年金が支給されるのかについて、一元化法の施行日と支給要件該当日(受給権発生日)との前後関係で判断されるという個所です。
この部分は、ややレベルが高く(かつ、直接的には、試験の出題対象となりにくそうです)、カットして頂いて結構です。
何かの参考になることもあろうかと記載だけはしていますが、特に初学者の方がここを読まれるといきなり混乱されることがあるかもしれませんので、受験経験者向けの参考知識とご理解下さい。
3 続いて、効果(広義)に入り(こちら)、全体像等を紹介しています。
今回は、年金額のうち、基本年金額までを学習します。
基本年金額(加算額である加給年金額等を除いた年金額のことです)については、「本来の年金額」と「特例による年金額」(従前額保障等)に大別しています。
(1)「本来の年金額」(こちら)については、その額の計算方法の仕組みを押さえて下さい。いくつかの図とゴロ合わせがあり、これらを把握して頂くと、計算方法を記憶できる構成になっています。
給付乗率の「5.481」が選択式平成22年度に出題されたことがあるなど、基本的な個所は記憶が必要です。
なお、ところどころで、一元化法による特例について記載していますが(例えばこちら)、優先度は非常に低いです。流し読みで良さそうです。
また、こちらでは、「年金額の計算の基礎とできない共済組合の組合員等の期間」について詳述しています。これも試験対象になりうるのか、微妙ですが、「出題されにくそうだが一元化法の理解に役に立ちうる個所」として掲載しています。ざっと一読して頂き、それなりに理解頂ければ十分でしょう(なお、あえて触れていない難しい個所もあります)。
(2)「従前額保障」(こちら)については、過去、難問が数回出題されていますが、それほど出題が多いわけではありません。当サイトの記載程度を把握しておいて下さい。
(3)「存続厚生年金基金等の加入員の特例」については、こちらのページです。存続厚生年金基金の仕組み等について、このページで概説しています。存続厚生年金基金も難しいのですが、さしあたり、年金額における「存続厚生年金基金等の加入員の特例」の仕組み・内容を理解しておいて下さい。
基金関係については、平成25年の大改正後は、平成26年度及び平成27年度と連続して、出題がなくなってしまいました(改正前は頻出であり、かなり細かい事項も問われていました)。今後は、基金関係は、要所を締めるような学習方法をする必要があるといえますが、今回の年金額における「存続厚生年金基金等の加入員の特例」は重要な部分です。
ただ、基金関係は、厚年法の最後に学習しますので、さしあたってはそこそこで結構です。
次回は、加算額として、加給年金額から更新します。
二 改正等について
年度末の改正ラッシュについては、次回、まとめてお知らせします。
次回は、厚年法の加給年金額以下と健保法の健保組合関係を更新する予定です。
では、学習が順調に進まれますように。
・平成28年3月23日(水)
今回は、厚年法の第3回目の更新として、報酬関係をアップします。ここは、それほど深刻な改正はありません。コツコツと知識を習得すれば大丈夫です。
健保法は、第2回目の更新として、全国健康保険協会の関係をアップします。協会や健保組合については、細かい事項の出題も多く、入念に学習して頂く必要があります。
なお、最後に、労働契約法等の最新判例をご紹介します。【最判平成28.2.19】の退職金請求事件(山梨県民信用組合事件)です。おそらく、労働一般の択一式の出題対象になり得るといえますが、例えば、労基法の選択式の1か所として出題される可能性もないとは言えません。概要とキーワードを押さえて頂く必要があります。
一 厚年法の更新について
厚年法は、「第2編 客体」のすべての更新となります。ほぼ、「報酬関係」の問題です。以下、「報酬関係」の学習の際に注意する点等に触れておきます。
・更新開始ページ=こちら
・更新終了ページ=標準賞与額のこちら
(一)体系
まず、報酬関係の体系は、こちらの図です。
報酬関係では、大きくは、「報酬及び賞与」に関する問題と「標準報酬」に関する問題を学習します。
(二)報酬及び賞与
「報酬及び賞与」に関する問題(こちら以下)は、基本的には、労基法以下で学習してきました「賃金」に関する知識をベースにできます。「賃金」の知識を思い出しながら、それと異なる部分に注意して学習を進めて下さい。
(三)標準報酬月額
「標準報酬」に関する問題のうち、「標準報酬月額」については、こちら以下で概要を記載しています。
その後、「標準報酬月額等級表」に関する問題と「標準報酬月額の決定」に関する問題を学習します。
1 標準報酬月額等級表
等級表(こちら)については、健保法ですが、等級区分が50等級の区分になったこと、等級区分の上限(最高等級)の改定方法が改正されたことが重要です。厚年法の学習の際に、健保法のこれらの改正も学習できるようになっていますので、一括して押さえておいて下さい。
随時改定において「1等級の差が生じた場合であっても随時改定の対象となる者」にも関係してきますので(これは厚年法でも問題になります)、注意です。
2 標準報酬月額の決定
標準報酬月額の決定については、当サイトでは、基本的には、次のような視点で整理しています。
(1)意義、趣旨等
(2)要件
(3)効果
(ⅰ)報酬月額の算定方法
(ⅱ)届出
(ⅲ)標準報酬月額の決定権者
(ⅳ)有効期間
重要な個所については、ゴロ合わせや図表を作成していますので、これらを参考に知識を積み上げていって下さい。
上記の(ⅲ)の標準報酬月額の決定権者については、一元化法による改正に伴い、従来の「厚生労働大臣」から「実施機関」に改められています。
(ⅱ)の届出については、すでに学習していますが、ここで再度復習をします。
厚年法に特有な標準報酬月額の特例である「3歳未満の子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例(従前標準報酬月額のみなし措置)」(こちら)については、先の平成27年度の択一式で出題がありました。難しい個所ですが、最終的には条文を押さえておいて下さい。
(四)標準賞与額
標準賞与額(こちら)については、その上限について、健保法で改正がありましたので、注意です。
以上、「報酬関係」でした。次回は、いよいよ老齢厚生年金に入ります。
続いて、健保法の更新内容です。
二 健保法の更新について
健保法の第2回目の更新は、「主体」の「保険者」のうち、「全国健康保険協会」になります。
・更新開始ページ=「第1編 主体」の最初のページのこちら
・更新終了ページ=「変更、消滅」のこちら
(一)総論
まず、保険者についての総論的事項を紹介していますこちらのページが重要です。ただし、健保法全体を学習しないとわかりにくい事項が含まれていますので、初学者の方は、さしあたりはざっと読んで先にお進み下さい。
(二)全国健康保険協会
協会や健保組合については、「団体等の体系」(こちら)に沿って知識を整理しています。
また、協会のイメージ図(こちら)がありますので、大まかな機関の構造を把握して下さい。
1 発生
(1)設立
設立については、当サイトの赤字と太字部分を押さえて下さい。条文も多数掲載していますが、基本的には読まなくて結構です。
(2)運営
(ⅰ)機関
役員等については、当サイトではボリュームがありますが、出題はあまり多くなく、出題対象もある程度絞られています。こちらも、当サイトの赤字と太字部分を押さえて下さい。
(ⅱ)業務
納付に関する業務として、前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等、病床転換支援金等、退職者給付拠出金及び介護給付金について、概要をまとめています(こちら以下)。今後、何かと登場してきます。
(ⅲ)費用(財政)
費用に関するこちらのページは、出題が多く重要です。健保組合に関する知識と混同しやすいものが多く、あちこちでゴロ合わせ等を作って記憶できるようにしています。本個所のような細かい知識は、裸の丸暗記ですと、まず忘れたり混同してしまう個所ですので、記憶の手がかりを作っておく必要があります。
2 変更や消滅に関する問題も、赤字部分等を押さえて下さい。
次回は、健保組合に入ります。
三 最新判例について
先に触れました【最判平成28.2.19=退職金請求事件(山梨県民信用組合事件)】は、労基法のこちらで掲載しています。
今回の試験で最も危ない最新判例は、既にご紹介済みの【学校法人専修大学事件=最判平成27年6月8日】です(労基法か労災保険法の選択式で出題される可能性があります)。
今回の山梨県民信用組合事件は、おそらく労働一般の択一式で危ないです。
この山梨県民信用組合事件については、事案などを長く掲載していますが(適宜、カットして下さい)、重要なのは、判旨の(1)アの部分(こちら)です。色がついている文字に注意です。判旨の下部の「3 ポイント」の個所も一読して下さい。
なお、世間でも話題になりましたいわゆるJR東海認知症事故訴訟(【最判平成28.3.1】)については、ほぼ民法の問題(民法第714条の責任無能力者の監督義務者等の責任)ですので、社労士試験で出題対象になるのかどうか、非常に微妙です。もっとも、「社会保険に関する一般常識」に含められないこともなく(例えば、介護保険との関係)、万が一出題されたときに、判決文を全く読んでいないのはまずいので、厚年法等の更新が終わった段階あたりで紹介する予定です。
次回、厚年法は、老齢厚生年金に入ります。まずは、65歳からの本来の老齢厚生年金を学習しますが、難所が非常に多いです。一元化により、難しい個所が一層多くなっています(例えば、2以上期間者に係る加給年金額の適用関係、2以上期間者に係る支給の繰下げの同時申出の必要がない場合等、退職時改定の時期等、在職老齢年金の全般などなど)。
実務上は、これらの諸問題は重要ですが、試験対策上は、はたして試験に出題できるのかという視点も必要となります。一元化法附則の規定や一元化法整備政令により読み替えらえた厚年法の規定などを見ますと、そのボリュームや難解さから、とても試験では出題できそうにない個所が少なくないです。
当サイトでは、詳しく掲載しつつも、試験対策上出題しにくい個所等を指摘する形で構成していきます。
なお、社労士試験の試験科目は、厚年法や健保法だけではありません。すき間時間でも利用して頂き、労基法、労災保険法、雇用保険法等、かなり昔に学習した気がする科目についても、少し見返しをお願いします。
簡単な復習としては、ある科目の目次を見て頂いて、項目ごとに体系図等とゴロ合わせを思い出せるか、確認して頂くという方法があります。
また、受験経験者の方は、そろそろ労働一般・社会一般に力を入れていく必要があります。
・平成28年3月12日(土)
今回は、厚年法の更新の第2回目です。届出関係が中心で、今回で「主体」は終了です。
・更新開始ページ=こちら
・更新終了ページ=「通知」等のこちら
今回の更新内容を大別しますと、次の通りです。いずれも重要です。
一 届出等
(一)届出
(二)確認
二 その他(年金手帳、事業主の書類の保存義務、記録(原簿)、訂正の請求、通知、被保険者に対する情報の提供)
以下、主な学習内容です。
一 届出等
(一)届出
1 まず、前提ですが、被用者年金一元化法による一元化後も、厚年法や厚年法施行規則において定められています届出に関する規定は、基本的には、第1号厚生年金被保険者等に係るものについて適用されます。
つまり、厚年法や厚年法施行規則が定める届出に関する規定は、第1号厚生年金被保険者であり又はあった者及びこれらの者に係る事業主、並びに第1号厚生年金被保険者期間に基づく保険給付の受給権者(これらを当サイトでは「第1号厚生年金被保険者等に係るもの」ということがあり、これらに関する届出を「第1号厚生年金被保険者等に係る届出」ということがあります)について適用されるのが基本です(厚年法第31条の3、第98条第5項等)。(70歳以上の使用される者についても適用されます。)
他方、共済組合の組合員等(公務員等)である被保険者等に係る届出、即ち、第2号から第4号までの厚生年金被保険者等に係る届出(条文により即して表現しますと、第2号から第4号までの厚生年金被保険者であり又はあった者及びこれらの者に係る事業主、並びに第2号から第4号までの厚生年金被保険者期間に基づく保険給付の受給権者に係る届出のことをいいます)については、共済各法(共済各法に基づく政省令を含みます)により規律されています。
以上については、一元化法による改正に伴い新設されました第31条の3や第98条第5項の文言をベースに表現している部分があるため、非常にまどろっこしい言い方になっています。
要するに、厚年法や厚年法施行規則における届出に関する規定は、第1号厚生年金被保険者(70歳以上の使用される者も含みます)の関係について適用されるということです。
より詳しくは、こちらの届出の最初のページをお読み下さい。
以上が前提知識です。
2 ポイント
届出の知識を整理するポイントは、一定の事由(届出を行うべき事由)が発生した場合に(要件の問題)、誰が(主体=届出を行うべき者)、なにを(客体=届書の記載事項、添付書類)、誰に(届出先)、いつまでに(届出の期限)届出を行うのか(以上は、届出義務の効果の問題とできます)を押さえることです。
まず、誰が届出を行うのかという視点により、次のように大別できます。
(1)事業主が行う届出(第27条、第98条第1項)
(2)被保険者等が行う届出(第98条第2項)
(3)受給権者等が行う届出(第98条第3項)
(4)その他の者が行う届出(受給権者が死亡した場合の戸籍法による死亡の届出義務者が行う死亡届等。第98条第4項等)
この(1)~(4)のそれぞれについて、複数の届出の種類がありますから、ひとつずつ上記のポイントを押さえることになります。
ただ、最も重要な点は、「届出の期限」です。
厚年法や健保法の届出の場合、その期限は、原則として、当該届出を行うべき事実の発生日から「5日以内」になっています(厚年法の船舶所有者の場合は、10日以内が原則です)。
以上のような視点を念頭に置いて頂いて、届出に関する全体構造を示していますいくつかの図がありますから(以下で触れます)、まずは全体像をイメージして頂くことになります。
(1)事業主が行う届出
「事業主が行う届出」については、こちらの図が全体像です。
「事業主が行う届出」について、「届出の期限」に焦点を置いた表はこちらです。
さしあたり、「届出の期限」が「5日以内」にならない例外のケースを押さえていくようにします。
さらに、もう少し知識を補充する必要があります。
この点、当サイトでは、以前から、条文もベースにして届出を整理する方法を採っています。当サイトの青の点線枠で囲ってある部分です。例えば、「新規適用事業所の届出」については、こちらです。
この青の点線枠の部分も読んで頂いたほうが良いです。
例えば、先の平成27年度の択一式の問1において、届出について出題されていました(「正しいものはいくつあるか」という出題形式であるため、1肢ずつ、正確な知識が必要になります)。
この出題は、基本的には、施行規則の条文をベースにしたものです。当サイトの青の点線枠の部分を読んで頂いていると、このような設問について、「初めて見る文章だ」というようなことはなくなります。
要するに、届出の問題については、図表などにより要所を記憶しつつ、重要な条文は読んでおいた方がよいということです(のちに見ますが、「受給権者等が行う届出」については、試験対策上は読まない方がよい条文が多数あります。そこで、当サイトの青の点線枠の部分を読んで頂くことが有用です)。
なお、届出については、一元化法による改正のほか、マイナンバー法(番号法)による改正もあり、サイト中に【平成28年度試験 改正事項】という表示がつくことが多くなっています。この表示がついている個所も、注意して下さい。
「事業主が行う届出」に関する改正事項として、特に注意しておくべきものとしては、「事業主の変更の届出」(施行規則第24条。こちら)について、前事業主と新事業主の連署によることが改められた点が挙げられます。
また、「70歳以上の使用される者」に関する届出に関して、昭和12年4月1日以前に生まれた者についても届出が必要になった点も注意です(こちらの(二))。
被用者年金一元化法による改正に伴い、昭和12年4月1日以前に生まれた者についても「65歳以後の在職老齢年金の制度」(高在老)が適用されることに改められたためです(激変緩和措置の適用はあります)。
(2)被保険者等が行う届出
「被保険者等が行う届出」については、こちらの図が全体像です。この下に「届出の期限」の表があります。あとは、青の点線枠の部分を押さえていって下さい。
(3)受給権者等が行う届出
やっかいなのは、この「受給権者等が行う届出」です。
こちらのページで全体像を紹介しています。
この「受給権者等が行う届出」は、種類も多数あり(その割に出題は多くありません)、あまり細かく追うのは得策でありません。当サイトの青の点線枠の部分と太字部分、赤字部分を押さえていって下さい。
なお、マイナンバー法に関連した改正として、施行規則の本則中における「住民基本台帳法第30条の7第3項」とあるのはすべて「住民基本台帳法第30条の9」に、「本人確認情報」とあるのはすべて「機構保存本人確認情報」に改められています(「受給権者等が行う届出」のあちこちで登場します)。
この「機構保存本人確認情報」というキーワードは押さえておかれた方が良いです(選択式の出題対象にもなりえます)。
受給権者等が行う「その他の現況届」(こちら)や受給権者等が行う「その他の届出等」(こちら)については、厚年法の全体を学習しませんと理解できない個所です。全体を学習後、ざっとチェックしてみて下さい(あまり細かく押さえる必要はありません)。さしあたりは、こちらの届出の期限が「10日以内」になる届出の一覧を、ざっと眺めておいて下さい。
届出の期限が「速やかに」になる届出のうち、「国会議員等に関する届出」(こちら)は、一元化法により新設されたものです。上記リンク先の全体像の図を参考に、届出の種類を一応押さえ、「速やかに」になる点を覚えておいて下さい。
以上が、「届出」についての大まかな学習ポイントです。
(二)確認
「確認」(こちら)も重要です。「確認が不要な場合」の図は押さえて下さい。
なお、一元化法による改正に伴い「2以上の種別の被保険者であった期間を有する者等に係る確認」(法附則第7条の2)に関する記載を追加しました(こちら)。細部は不要だと思うのですが、一応、概要を知っておかれた方がよろしいかもしれません。
以上が、届出・確認に関する問題でした。
二 その他
その他の「主体」に関する問題として、次の事項を学習します。
(一)年金手帳
(二)書類の保存義務
(三)原簿(記録)
(四)訂正の請求=特定厚生年金保険原簿記録の訂正請求の制度
(五)通知
(六)被保険者に対する情報の提供
(四)の「訂正の請求」の制度については、先の平成27年度の国年法の選択式で3つの出題がありました。
(五)の「通知」についても、一読は必要です。
(六)の第31条の2(こちら)の条文についても、選択式の出題対象にはなりえますので、一読して下さい。
以上、今回の更新内容でした。
次回は、厚年法は、報酬関係に入ります。その後、老齢厚生年金に入ります。また、健保法も更新する予定です。
・平成28年3月5日(土)
今回から、厚年法と健保法の同時更新となります。
一 厚年法の更新について
厚年法は、最初のページから「届出等」の手前まで更新します。
・更新終了ページ=被保険者期間のこちら
まず、厚年法の学習については注意が必要です。従来から厚年法の学習は大変でした。しかし、被用者年金一元化法による改正によって、その難しい厚年法がさらに難化しつつ、学習すべき範囲も拡大しています。
なお、試験の対象は、「厚生年金保険法」であり、例えば、「国家公務員共済組合法」等のいわゆる「共済各法」ではありませんから、共済各法に特有の細かい知識などは把握する必要はありません。
もっとも、厚年法の学習を進めるうえでも、共済各法の簡単な知識があると便利なことが多く(実務上は共済各法の知識が必要になります)、当サイトでも若干触れることはありますが、あまり深入りする必要はありません。
学習の方向としては、やはり基本的知識を押さえるのが重要であり、従来、過去問で問われていたような事項を解答できるようにすることが必要です。そして、一元化法による改正個所についても、基本的な部分をしっかり押さえるようにします。
改正個所については、難しい個所がかなり多いのですが、試験対策上は基本的部分を押さえるようにした方がよろしいです。
例えば、在職老齢年金(在職支給停止)の制度では、従来の共済年金における在職支給停止の制度が厚年法の在職老齢年金の制度に統合されたため、共済組合の組合員等である被保険者が不利益を被るケースが生じることがあり、激変緩和措置という経過措置が定められています。また、2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る在職老齢年金の問題もあります。これらによって、在職老齢年金の制度は、非常に難解化しています。
しかし、まずは、在職老齢年金の制度の要件や効果の基本的部分を押さえる必要があります。
例えば、在職老齢年金の制度の適用の要件は、老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の被保険者等である月において、報酬(及び賞与)の額(総報酬月額相当額)と老齢厚生年金の年金額(基本月額)との合計額が一定額を超えることです。
これらの要件に沿って、「被保険者等である日が属する月」の意味や「総報酬月額相当額」・「基本月額」といった用語の意味を押さえていくことが重要です。その際に、国会議員等である日の問題とか月末退職の問題等の改正に関する事項が出てきますから、ひとつずつ押さえていきます。
要するに、一足飛びに改正部分に飛びつくのではなく、「用語の定義」、制度の「要件」及び「効果」という基本的部分から学習を進めていき、その関連で改正個所を押さえていくことが必要です(もっとも、一元化法による改正個所の全体像を簡単に把握しておくことも有用ですから、のちに触れますように、一元化法の特徴の表などを作成しています)。
前にも触れましたが、年金法は、基本的には、「守りの姿勢」で学習する意識の方がよさそうです。全てを理解しカバーするという姿勢ですと、時間が足りなくなります。まずは、試験に出そうな個所をしっかり押さえるという方向になります。
ちなみに、先の在職老齢年金の激変緩和措置は、実務上は、重要な問題になっています。が、試験対策という観点からは、まずは、基本的な仕組みや数字(10%とか35万円が登場してきます)あたりを押さえておけば良さそうです。いずれ在職老齢年金の更新に入りましたら、説明致します。
なお、当サイトの構成上の注意点ですが、条文について、改正された個所を条文の前に記載していることが多いです(通常、小文字になっています)。今までところどころ条文を読んで学習されていた方もいらっしゃるため、一応、参考程度に改正個所を示しているものです。しかし、基本的には、この部分は読む必要ありません(そもそも、厚年法の場合、条文自体、読まなくてよいものが多いです)。重要な条文は読んで頂くように記載していますが、その場合も、改正個所についての記載は基本的に読む必要ありません。
以下、今回の更新範囲について説明します。かなり長くなります。
すでに「序論」については、これまでも改訂済みとして公開していました。今回も基本的に内容の変更はありませんが(若干、加筆した個所があり、あとで触れます)、「被用者年金一元化法による改正の特徴」というページを「序論」の最後に追加しました。
最初から見ていきます。
(一)序論 厚生年金保険法の目的、体系、沿革等
1 まず、序論の最初のページ(こちら)については、初学者の方もお読み下さい。序論の最初のページの割には、細かい知識にも触れており、なんのことか理解できない事項も出てくると思いますが、おいおい理解頂けますので、とりあえずはそのまま読み進めて下さい。
2 2ページ目の「§3 目的」のページ(こちら)は、少し難しい事項を入れすぎてしまいました。
(1)まず、保険給付に関する説明として、老齢厚生年金の支給要件について、かなり細かく触れています。
ただ、特別支給の老齢厚生年金の「支給開始年齢」(こちら)の部分は、受験経験者の方向けの内容になっており、初学者の方は飛ばして下さい。特別支給の老齢厚生年金の個所で詳しく見ることにします。
(2)その少し下に、「2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の特例」という個所があります(こちら)。
この2以上の種別の被保険者であった期間を有する者(以下、「2以上期間者」といいます)の特例の問題は、今回の改正におけるキーポイントのひとつであり、非常に重要です。そのため、この「序論」であえて触れたのですが、この「2以上期間者」の問題を重視しすぎて学習しますと、厚年法がわからなくなる危険性があります。
そこで、上記リンク個所でも記載したのですが、この2以上期間者の特例は、応用問題として位置づけて、まずは、同一の厚生年金被保険者期間のみを有する場合(例えば、厚生年金保険のすべての被保険者期間が第1号厚生年金被保険者期間のみである者)を想定して、支給要件、支給額等の基本的知識をひと通り学習してみて下さい。
初学者の方は、さしあたり、この序論の2以上期間者の個所は、スルーして下さい。
(2)この「§3 目的」のページの最後の方に、「§5 旧法と新法の適用関係等」について触れています(こちら)。
この中の〔2〕が「共済年金と厚生年金との適用関係」の問題です(従来、この「共済年金と厚生年金との適用関係」という文言を入れていなかったのですが、わかりやすくするため、追加しました)。
ここは重要です。
即ち、被用者年金一元化法の適用関係については、基本的には、被用者年金一元化法の施行日(平成27年10月1日)前に受給権が発生したか(支給要件に該当したか)どうかで判断されます。従って、例えば、共済組合の組合員等が施行日前に所定の要件を満たした場合には、退職共済年金が支給されるのであり(基本的に、改正前の共済各法の定めるところにより規律されます)、老齢厚生年金が支給されるのではありません(もっとも、一元化法の施行日前に特別支給の退職共済年金の受給権が発生し、施行日以後に65歳に達しますと、(退職共済年金ではなく)老齢厚生年金の受給権を取得します。65歳前の特別支給の老齢給付の受給権と65歳からの本来支給の老齢給付の受給権は別個であり、一元化法の施行日以後に受給権が発生したものとして、老齢厚生年金が支給されることになります)。
障害厚生年金については、初診日と障害認定日を考慮して適用関係を判断するのですが(例えば、初診日が一元化法の施行日前であって、障害認定日が施行日以後の場合は、障害厚生年金が支給されます)、これらの適用関係の詳細については、各保険給付の個所で触れます。
さしあたり、一元化法の施行日前に受給権が発生したのかどうかが基本であることを押さえておいて下さい。
3 沿革
その次のページの「§6 厚生年金保険の制度の沿革」の個所(こちら)は、ゴロ合わせの部分は押さえて頂き、あとは流し読みで結構です。いつどのような改正があったかを大まかに記載していますから、必要な時にご利用下さい(なお、近時の一部の改正法について、検索の便宜のため、法律番号を追加しておきました。試験対策上は不要ですが)。
4 被用者年金一元化法による改正の特徴
今回、新たに「§7 被用者年金一元化法による改正の特徴」というページ(こちら)を追加しました。
〔1〕「被用者年金制度の制度的な差異の解消」として、今回の改正の大まかな特徴を見ています。さしあたりは、スルーして頂いて結構です。ある程度、学習が進んでから、知識の整理にご利用下さい。
なお、この表の上から3番目に「在職老齢年金の制度」の欄があり、赤字になっている部分などがあります。今の段階では、理解不能な個所になるのですが、在職老齢年金の個所でよりわかりやすい表にして紹介しますので、ご心配無用です。この部分は、激変緩和措置の処理の際に必要になってくる知識です。
〔2〕「2以上期間者に係る期間合算の可否」については、具体的に期間合算の可否が問題になるケースを整理しています。これも、さしあたりはスルーして、学習が進んだ段階で確認して下さい。
〔3〕「被用者年金一元化法附則による用語の定義について」は、基本的には、試験で直接出題されるような個所ではないのですが(ただし、当該個所の「※ 旧共済組合の組合員等の期間について:」という部分は、国年法で学習しましたが、試験対策上も重要です)、今後、用語の使用の際に知っておく必要がある事項です。一読して、用語に慣れておいて下さい。
以上が「序論」でした。
(二)主体
「主体」の問題に移ります。
1 保険者等
(1)厚生年金保険の「保険者」は、(国民年金と同様に)政府ですが、被用者年金の一元化により、実際の事務は、「実施機関」が行うことになったこと(この実施機関のうちの厚生労働大臣が行う事務については、機構が行うのが一般です。こちらの権限の委任等の問題ですが、この権限の委任等の個所は、さしあたりほぼスルーして下さい)。
(2)実施機関については、このページの第2条の5のあたりまでお読み下さい。第2条の5は、実施機関のほか、被保険者の種別についても規定しており、重要です。第1項を熟読して下さい。この第2条の5以下で記載しています条文等は、さしあたりスルーで結構です。このページの最後の方に「主務省令」の定義(こちら)を掲載しています。のちに「主務省令」が登場しますので、参考にして下さい。
(3)この後、「第2節 厚生労働大臣の権限の委任等」(こちら以下)のページになりますが、上述の通り、スルーで結構です。学習が進むにつれ、このページをリンクすることがありますので、時々参考にして下さい。学習の最終段階で、簡単に読んで頂けば足ります。
(4)その後、「§3 財務大臣への権限の委任」(こちら)になります。このページは、改正事項がありますので、重要です。ただ、さしあたりは、ざっと眺めて頂ければ結構です。初学者の方はスルーで大丈夫です。最終的には、熟読して頂く必要があります。
以上で、「保険者」関係が終わりです。全体として、この「保険者」関係の個所は、学習の初期段階では、ざっと読み流す程度で足りる内容が多いです。早めに、次の「被保険者」に進んで下さい。
2 被保険者
被保険者は重要です。上記「保険者」関係のように読み流すわけにはいかず、じっくり学習が必要です。ただし、内容的に難しいため、初学者の方にとっては、厚年法全体を学習してからでないと十分理解できないような個所が少なくないです。
(1)まず、「被保険者」は、当然被保険者、任意単独被保険者、高齢任意加入被保険者及び第4種被保険者の4種類があります(その他、船員任意継続被保険者もありますが、さしあたりスルーで結構です)。
さらに、被用者年金の一元化により、新たに被保険者の種別が創設されました。第1号から第4号までの厚生年金被保険者です。
第1号厚生年金被保険者が、一元化前の厚生年金保険の被保険者に相当し、第2号から第4号までの厚生年金被保険者が、一元化前の共済年金の加入者に相当し、共済組合の組合員等(公務員等)ということです。
当然被保険者について、第1号から第4号までの厚生年金被保険者が存在することになります。
(1)「当然被保険者」とは、適用事業所に使用される70歳未満の者のことです(換言しますと、「法第9条の規定による被保険者」のことです)。
従来、厚年法の施行規則もこの意味で使用していました。が、一元化法による改正に伴い、施行規則では、当然被保険者を、「法第9条の規定による被保険者」のうち第1号厚生年金被保険者に限定しています(施行規則第1条第2項第3号。また、施行規則における「被保険者」とは、原則として、第1号厚生年金被保険者を意味します(施行規則第1条第1項)。要するに、厚年法の施行規則では、基本的に、第1号厚生年金被保険者(であり、又はあった者)に係るものについて規律しているということです)。
当サイトでは、当然被保険者を、従来通り、適用事業所に使用される70歳未満の者(「法第9条の規定による被保険者」)という広い意味で使用しています。施行規則を読む際は、施行規則の被保険者とは基本的に第1号厚生年金被保険者に限る意味で使用されていることは頭の片隅に置いておいて下さい。詳細は、サイトの当然被保険者の個所で触れています。
当然被保険者の資格の取得の要件については、「適用事業所」に使用されることが必要であり(その他の被保険者の資格の取得等についても、適用事業所の概念が問題になります)、当サイトでは、まずは、「適用事業所」について学習し、その後、被保険者ごとに見ていきます。
この「適用事業所」の関係は、一元化法による改正の影響はほとんどありません。が、被保険者の学習の基礎となる個所ですから、じっくり学習することが必要です。
なお、被保険者の論点については、当サイトでは、「発生(資格の取得)」→「変更(氏名・住所の変更等)」→「消滅(資格の喪失)」という時系列による大枠を作って整理しています(すでに国年法等でも紹介済みです)。そのうえで、それぞれについて、「要件」→「効果」という視点で整理します。
例えば、「発生=資格の取得」については、「要件」は、文字通り、資格取得の要件ということです。4つの被保険者について、いかなる場合に資格を取得するのかの要件をしっかり記憶する必要があります。同時に、資格取得の時期についても学習します。
「効果」としては、厚生年金保険の被保険者の資格を取得するということですが、具体的には、被保険者期間への算入や届出等といったのちに学習する事項が問題になります。
一元化法による改正に関する事項として、こちらの「被保険者の種別と資格の得喪との関係」(第15条、第18条の2)は、条文も含めて、よく読んでおいて下さい。
なお、今回は、改正後初の試験となりますので、資格取得の経過措置(こちら)についても押さえておいた方がよろしいです。
即ち、大まかに言いますと、一元化法の施行日(平成27年10月1日)前に70歳未満であった共済組合の組合員等については、施行日に厚生年金保険の被保険者の資格を取得します(一元化法附則第5条)。
また、一元化法の施行日前に70歳以上であった共済組合の組合員については、改正前の共済年金との関係では、施行日前日に退職したものとみなされます(一元化法附則第30条、第54条)。正確な内容については、本文で確認して下さい。
(2)「適用除外者」(こちら)については、一元化法による改正により、共済組合の組合員等(公務員等)が適用除外者でなくなりました。その他は、改正前と同様です。出題が多い個所であり、適用除外者の原則と例外をしっかり記憶することが必要です。
ある事項が重要かどうかの一つの目安は、過去問の出題量(や出題内容)です。
適用除外者については、当該ページの下部に過去問が掲載されています。また、適用除外者については、健保法においても頻出であり、健保法の適用除外者の個所で掲載している過去問も参考になります。
(3)「任意単独被保険者」は、さほどの改正はありません。ここでも、資格の取得と喪失について、要件をしっかり押さえることが必要です。
(4)「高齢任意加入被保険者」は、複雑です。「適用事業所に使用される者」かどうかにより大別されます。一元化法による改正の影響も結構あります。
受験経験者の方は、初めにこちらの全体像の表で知識を確認してという方法もあります。
ひとつずつ地道に理解して記憶して頂くほかない個所です。当サイトでは、例えば、資格喪失時期等についても、細かく理由づけも記載していますので、理解や記憶の参考にして下さい。
なお、理解した事項を最終的には記憶することが必要です。当サイトが赤字にしている個所等を中心に、今のうちから、できるだけ記憶の手がかりを作って頂き、試験前には記憶ができているように準備して下さい。
(5)その次の「第4種被保険者」は、資格の喪失を含む赤字部分等を押さえて下さい。
3 被保険者期間
その後、被保険者期間(こちら以下)に入ります。ここは、改正個所も多く、重要です。
(1)「被保険者期間の計算方法」等は、基本的に、国年法の被保険者期間の場合と同様です。
(2)「同月得喪」(こちら)については、一元化法の改正個所であり、マスター必須の個所です。改正の理由から実務上の取扱いまで、かなり細かく記載していますので、じっくりお読み下さい。
同月得喪の下部にも、「複数の種別の被保険者であった期間を有する者に係る被保険者期間の計算」等の改正事項が掲載されていますので、お読み下さい。
なお、このページの最下部には、「基金の加入員期間の計算」という個所があります。
厚生年金基金及び企業年金連合会については、平成25年改正法による大改正が行われ、厚年法の「厚生年金基金及び企業年金連合会」に関する規定が削除等され、平成25年改正法の施行(平成26年4月1日)の際に現に存するもの等が存続厚生年金基金や存続連合会として存続しています。この平成25年改正後は、基金関係は、2年度続けて試験に出題されなくなってしまいました。今までは基金関係もじっくり学習する必要があったのですが、今後は、学習のウェイトを軽くする必要があるようです。さしあたり、「基金の加入員期間の計算」の個所はざっとお読み下さい。
(3)次のページ(こちら)では、「被保険者期間の計算方法の特例(経過措置)」を学習します。
改正事項もあり、また、とりわけ「第3種被保険者の被保険者期間の特例」は重要です。ただ、当サイトでは、この第3種被保険者の特例のかなりの部分をすでに国年法で学習しています。
以上、「届出等」の手前までが今回の更新範囲です。かなりボリュームがあり、学習が大変だと思いますが、特に被保険者は厚年法の基礎になる部分ですので重要です。
次回は、「届出等」以下を更新し、「主体」を終了します。
二 健保法の更新について
健保法は、序論のみの更新です。
更新終了ページは、こちらの「基本的理念」と「体系」の最後までです。
健保法の今回の更新内容も重要ですが、「客体→保険事故」の個所(こちら以下)で、平成25年の「業務災害の取扱いの改正」について触れていますので、この個所を熟読して下さい。その他の部分は、本編に入り、再度学習しますので、ざっと一読で結構です。
健保法は、次回は、「主体」に入ります。
三 国年法の改正について
国年法の「特定事由に係る保険料の納付等の特例」(法附則第9条の4の7以下。国年法のこちら)について、施行令が公布されました。この特例に関する施行令が全部で21条新設され、「特定手続」の内容が明らかになったりしています。
いくつかの条文はサイトの下部に掲載し、本文の記載にも少し反映させています。ただ、基本的には、従来の記載で足ります。時間が空いた時にでも、もう一度、当サイトの「特定事由に係る保険料の納付等の特例」の個所をお読み下さい。
・平成28年2月23日(火)
今回は、先週の16日に施行された雇用保険法の雇用継続給付の支給申請手続等に関する改正について、お知らせします。試験対策上も重要です。
今回の施行規則の改正(【平成28.2.16厚生労働省令第20号】)は、主として、雇用継続給付の支給申請手続が改められたものです(関連する改正として、個人番号の変更届の新設もあります。その他にも、社労士法施行規則の改正等もありますが、試験対策上は考慮しなくてよさそうです)。
1 改正の趣旨
改正の趣旨については、こちら(高年齢雇用継続基本給付金の個所)で記載しました。詳細はリンク先をご覧頂きますが、要するに、マイナンバー制度の下、手続の円滑化等のために、被保険者が原則として事業主を経由して雇用継続給付の申請をすることが必要になったということです。実際上は、委託を受けた社会保険労務士の手続の負担の軽減が考慮されています。
※ 今回の改正は、まずは、高年齢雇用継続給付を例として把握するのがわかりやすいです(育児休業給付や介護休業給付は、手続がやや複雑です)。そこで、当サイトでは、今回の改正の趣旨について、高年齢雇用継続基本給付金の個所で説明し、これをベースに他の雇用継続給付の支給申請手続を考えていくことにします。
なお、今回の改正により、当サイトの従来の雇用継続給付の支給申請手続の記載はかなり改訂しています。従って、以下でリンクしていますが、当サイトの「手続」の個所は、改めて全体を読み直して頂く必要があります。
2 改正のポイント
今回の改正のポイントとして、次の3点が指摘できます。
(1)被保険者は、雇用継続給付の支給申請について、原則として、事業主を経由して行わなければならないことになりました。
(2)その際、労使協定の締結は不要です(労使協定の締結による事業主の代理申請を定めていた施行規則第101条の8は削除されました)。
(3)例外として、やむを得ない理由のため事業主を経由して当該申請書の提出を行うことが困難であるときは、事業主を経由しないで提出を行うことができます。
高年齢雇用継続給付の支給申請手続の改正については、基本的には、以上を押さえれば足りそうです。以上の3点を押さえたうえで、当サイトの高年齢雇用継続給付(基本給付金と再就職給付金)の「手続」の個所全体を通読して下さい。
3 育児休業給付金の支給申請手続の改正について
育児休業給付金の支給申請手続の改正については、当サイトのこちら以下で掲載しています。
育児休業給付金の支給申請手続の改正についても、上記2のポイントの3点が当てはまります。
手続の全体についても、基本的は、高年齢雇用継続給付とパラレルになるものが多いです。
ただし、「休業開始時賃金証明書」の提出及び「休業開始時賃金証明票」の添付という特有の手続があり、今回、「休業開始時賃金証明書」の提出の手続について改正された個所があります。
改正後の「休業開始時賃金証明書」の提出に関する手続は、次の通りです。
事業主は、その雇用する一般被保険者が育児休業給付金に係る休業を開始したときは、
当該被保険者が「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」の提出をする日までに、「休業開始時賃金証明書」を所轄安定所長に提出しなければなりません(施行規則第14条の3第1項)。
改正前は、(ア)労使協定の締結により事業主が代理申請する場合は、上記の改正後と同様に、事業主は、当該被保険者が「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」の提出をする日までに、「休業開始時賃金証明書」を所轄安定所長に提出しなければなりませんでした。
対して、(イ)被保険者が自ら育児休業給付金を申請する場合は、「育児休業開始日の翌日から起算して10日以内に」、「休業開始時賃金証明書」を提出する必要がありました。
しかし、今回の改正により、(ア)の労使協定の締結による事業主の代理申請の仕組みは廃止され、(イ)の「育児休業開始日の翌日から起算して10日以内に」というパターンもなくなりました。
この手続の全体像については、こちらの図をご覧下さい。以上を念頭に置かれて、当サイトの育児休業給付金の「手続」の全体をお読み下さい。
「休業開始時賃金証明書」については、「届出」のこちらでも詳しく説明しています。
4 介護休業給付金の支給申請手続の改正について
介護休業給付金の支給申請手続の改正については、上記3の育児休業給付金に関する改正の場合とパラレルになっています。当サイトでは、こちら以下で記載しています。
以上が、今回の雇用継続給付の支給申請手続の改正の内容です。
5 個人番号変更届
なお、今回のその他の改正として、「個人番号変更届」という届出が新設されています(施行規則第14条の2)。
事業主は、その雇用する被保険者(日雇労働被保険者を除きます)の個人番号が変更されたときは、速やかに、個人番号変更届(様式第10号の3の2)をその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければなりません。
当サイトでは、届出のこちらで記載しています(届出に関する図表でも、「個人番号変更届」を追加しています)。
この届出は、事業主が資格取得届の提出の際に個人番号を誤って記載したような場合に、後日、変更を可能にさせる届出のようです。
ただ、すでに「個人番号登録・変更届(書)」という届出もあり(実務上の様式であり、施行規則の様式としては規定されていないようです)、これらの区別については、当サイトの本文で記載しましたように、微妙です。当面は、システム上の問題から、「個人番号登録・変更届」が利用されるようですが。
試験対策上は、個人番号変更届が新設されたこと、事業主が届け出る義務を負うこと、届出の期限は「速やかに」であることあたりを押さえておいて下さい。
なお、あくまで参考ですが(従って、読まなくて大丈夫です)、今回の改正個所に関する条文の新旧対照表(pdf)を添付しておきます(こちら)。
試験対策上、重要な条文のみの掲載になっています(個人番号変更届は、新設ですので、サイト本文の条文をご覧下さい)。
また、条文全体を記載しており、改正されていない個所も記載しています(改正された個所は、下線が付されています)。
改正された個所だけ知りたい場合は、厚労省のこちらのpdfをご覧下さい。
今回は、これにて終了です。次回は、厚年法をアップします。届出の前あたりまで一気に行きます。
では、学習の方、頑張って下さい(息抜きもお忘れなく)。
・平成28年2月15日(月)
今回は、徴収法の最終回(第4回目)の更新のお知らせです。
「印紙保険料」(こちら)以下、徴収法の最後のページまでの更新となります。
学習する主な項目は、次の通りです。
(1)印紙保険料
(2)特例納付保険料
(3)強制徴収の手続(督促、滞納処分、延滞金等)
(4)労働保険料の負担
(5)労働保険事務組合
(6)その他(不服申立て、消滅時効、行政庁の命令、罰則等)
印紙保険料と労働保険事務組合が中心となります。
この両者は、出題が多いため、きちんとした学習が必要です。
初学者の方の場合、初めはこれらの事項はとっつきにくいと思います(事務組合の場合、管轄の個所が少し面倒です)。ただ、全体としては、そうわかりにくい個所ではありませんので、過去問を目安に、一度じっくりと学習してみて下さい。慣れてきますと、スムーズに学習が進むと思います。
なお、この印紙保険料と労働保険事務組合の過去問については、本文中で一部掲載しているもののほかは、それぞれの最後のページにまとめて掲載しています。
今回で徴収法は終了します。
今後は、厚年法と健保法を同時更新します。まずは、今週末あたりに厚年法を更新する予定です。
健保法は、すでに改正事項の改訂が終了しているため、そう時間はかからず更新が完了すると思うのですが、厚年法はかなり時間がかかりそうです。もっとも、改正後の厚年法の原稿自体はほぼ完成しています。あとはサイト上の条文の細かい修正などにどのくらい時間がかかるかなのですが。
改正後の厚年法の重要な事項については、すでに「序論」の「目的」の個所や「主体」の「保険者」の「実施機関」の個所でかなり触れてしまっています。
改正後の厚年法では、「2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の特例」(2以上期間者の特例)が難しいのですが、この2以上期間者の特例は、応用問題として位置づけるのが良いです。
即ち、厚年法の学習の順番としては、まずは、同一の厚生年金被保険者期間のみを有する場合(例えば、厚生年金保険のすべての被保険者期間が第1号厚生年金被保険者期間のみである者)を想定して、老齢厚生年金の支給要件、支給額等の基本的知識をひと通り学習し、最後に2以上期間者の場合の修正点を学習する(その後、障害厚生年金に入る)といった形がよろしいかと思います(慣れてくれば、このような順番付けは不要になります)。
とりわけ、初学者の方は、厚年法の学習の際に、2以上期間者の特例の問題はしばし脇に置いて頂き、その他の部分から固めていくことを心がけて頂くと、整理がつかなくなるようなことがなくなると思います。
では、また次回です。
※ 追伸
2月16日に、雇用保険法の雇用継続給付等に関する改正施行規則が公布されました。
雇用継続給付の支給申請手続について、労使協定の締結の制度が廃止され、被保険者は原則として事業主を経由して雇用継続給付の申請をすることに改められました。
その他にも、個人番号の変更の届出が新設され、関連する社労士法施行規則が改正されています。
ただいま、該当個所を改訂中です。詳細は、この改訂個所にて紹介することとし、改訂が終了次第、お知らせ致します。
・平成28年2月13日(土)
今回は、国年法の更新が最終回です。また、健保法の改正個所の改訂が一応終わりましたので、改正の全体像を整理しておきました。
一 国年法の更新について
国年法は、「国民年金基金及び国民年金基金連合会」(こちら)以後、最後までを更新しました。
(一)更新の内容
最終回の更新の主な項目は、次の通りです。
1 国民年金基金及び国民年金基金連合会
2 その他(不服申立て、消滅時効、罰則等)
(1)不服申立て
(2)消滅時効
(3)年金記録問題への対応
(ⅰ)年金時効特例法
(ⅱ)年金給付遅延加算金支給法
(ⅲ)厚生年金特例法
(4)行政庁の調査等
(5)その他=国民年金事務組合、戸籍事項の無料証明
(6)罰則
(二)学習内容
1 基金・連合会
基金・連合会についてですが、最近は、以前より基金の出題が増えています。前回の平成27年度は、問4で1問(5肢)の出題があり、平成24年度も1問の出題です。平成26年度は2肢、平成25年度は出題されませんでした。連合会は、あまり出題はありません(出題されても、1肢程度にとどまっています)。
基金は、細かく学習していくと切りがなくなりますので、過去問で問われている個所とその周辺を中心に学習するのがよろしいでしょう。
基金の体系は、こちらの図の通りです。
過去問でよく問われているのは、地域型基金・職能型基金の要件の問題、加入員の問題、基金の業務(給付等)の問題あたりです。
そこで、これらの個所に力を入れて学習して頂くことになります。
なお、機関(代議員会や役員等)の問題について、当サイトでは、かなりボリュームを取られていますが、余り出題されていませんので、ざっくり読んで頂ければ足ります。赤字部分(役員の任期等)は覚えて頂き、最終的にこちらの図とその関連知識が思い出せる程度の学習で足りそうです。
2 その他の事項
(1)不服申立ては、今回、改正がありますので、重要です。
ただ、基本的には、一冊本に記載があるような事項をきちんと記憶しておけば大丈夫ではないかと思います。
もっとも、社会一般で、社審法が出題されることも考えられ、社審法の改正部分をある程度押さえておかれた方が安全です。当サイトの社審法に関する記載を参考にして下さい。
(2)消滅時効は、当サイトでは、理論面について長々と触れていますが、試験対策上は不要であり、消滅時効期間等の出題されやすい個所に力を入れて下さい。過去問が参考になります。
(3)年金記録問題への対応として、いわゆる年金記録問題救済3法についても取り上げています(厚生年金特例法は、厚年法の問題になります)。
選択式で出題されたことがあるため、キーワードを押さえる学習が必要です。年金給付遅延加算金支給法については、まだ選択式の出題がなく、当サイトの赤字の部分は押さえておいて下さい。
なお、初学者の方は、この3法については、さしあたりあまり時間をかけずに先に進んで下さい。厚年法の学習の終了後、再度、学習して頂いた方が理解しやすいと思います。
(4)行政庁の調査等については、国年法では余り出題がないのですが、厚年法ではちらほら出題されており、国年法においても、無視しない方がよろしいです。
ただ、なかなかつかみどころがない個所でして、学習が難しいのですが、第108条(こちら)は、近時の改正がある個所ですので、条文の太字を読んでおいて下さい。
(5)罰則も、学習しにくい個所です。が、近時の社労士試験では、罰則の出題が目につくようになっており、罰則を無視できなくなってきました。
国年法の場合、最低限、不正受給罪(第111条)は記憶しておく必要があります。
以上で、国年法の学習は終了です。後日、改正事項に関する追加をする予定があります。
次回から、いよいよ厚年法に入ります。徴収法も、近いうちに更新が終わり、その後、健保法に入り、厚年法と健保法の同時更新になります。
二 健保法の改正について
いわゆる医療保険制度改革法による健康保険法の改正について、インデックス的な整理をしておきました。こちらのページです。
医療保険制度改革法による健保法の改正と「健康保険法施行規則の一部を改正する省令」(【平成28.2.4厚生労働省令第13号】)による施行規則の改正を内容とする整理になっています(その他、改正された告示も含みます)。
施行規則及び告示は、今月4日に公布されたばかりですので、現時点で最新の内容に基づく整理になっています(今後、まだ施行令の改正が予想されます)。
〔Ⅰ〕の「主体」の個所で3つの改正内容を記載していますが(「特定健康保険組合の認可の要件の緩和」などです)、これらは出題しにくいかもしれません(3番目の「保険医療機関又は保険薬局の責務に関する規定の新設」の法第70条第3項については、条文を読んでおく必要があります)。
〔Ⅱ〕の「客体」の「報酬」の問題以下が重要です。この「報酬」以下は、出題の対象になりそうな事項が目白押しです。
初学者の方も含め、健保法を学習し終えた段階で、改めてこれらの改正事項をチェックしてみて下さい。
では、次回は、徴収法の「印紙保険料」からの更新となります。徴収法の最終回の更新になりそうです。
・平成28年2月10日(水)
今回も、国年法と徴収法の更新です。また、健保法の改正事項の改訂が一応終了し、その他の改正事項等についてもお知らせします。
一 国年法の更新について
国年法の更新(第10回目)は、 「第4編 費用(財政)」の全体になります。
・更新開始ページ=「費用(財政)」のこちら
・更新終了ページ=「延滞金等」のこちら
「国民年金基金」の手前までの更新となります。
今回の更新の項目の概観は、大別しますと、(一)国庫負担等、(二)保険料及び(三)強制徴収の手続になります。次の通りです。
(一)国庫負担等
1 国庫負担
2 基礎年金拠出金
3 積立金
(二)保険料
1 主体
(1)徴収権者
(2)保険料の納付義務者(負担義務者)
2 客体(保険料)
(1)保険料の徴収対象
(2)保険料の額
3 手続
(1)納期限
(2)納付の方法
1)保険料の通知及び納付
2)口座振替による納付
3)指定代理納付者による納付
4)保険料の納付委託
5)保険料納付確認団体
6)前納
7)後納保険料(5年の後納保険料)
8)特定事由に係る保険料の納付等の特例
4 保険料の免除
→改正事項として、「全額免除申請の事務手続に関する特例=免除委託制度(第109条の2等)」(こちらに掲載)
(三)強制徴収の手続
1 督促及び滞納処分
2 延滞金
3 先取特権の順位等
いずれも、非常に重要です。国年法の最後の山場です。
国庫負担関係は、ややわかりにくい事項もありますが、すでに老齢基礎年金の年金額の個所でも紹介済みの知識があり、初見ではないという点では、やや負担が軽減されます。
その他の事項は、内容的にはそれほど難しいわけではなく、要領よく整理して記憶する作業が中心になります。少々時間をかけてじっくり当サイトをお読み下さい。
なお、上記の項目中、改正事項がある個所は、赤字にしています(用語が改められた等の些細な改正は除いています。ただし、基礎年金拠出金に関する用語の改正は、そのまま選択式に出題しやすく、注意する必要があります。延滞金の改正とは、以前お知らせしましたが、特例基準割合が明らかになったというものです)。
「特定事由に係る保険料の納付等の特例」は、要注意です。まだ施行令が公布されていませんので(先日までパブリックコメントの制度で当該施行令案についての意見を公募していましたので、そのうち公布されます)、公布後に改訂することとし、本格的な学習はそれからになります。
国年法は、次回で更新を終了します(基金関係と雑則関係を一気に更新します)。この後は、いよいよ大問題の厚年法に入ります。徴収法も、ほどなく更新を終えます。徴収法終了後は、厚年法と健保法の同時更新になります。
二 徴収法の更新について
徴収法の更新(3回目)は、「第2節 一般保険料及び特別加入保険料の納付の手続等」のすべてになります。
・更新開始ページ=「一般保険料及び特別加入保険料の納付の手続等」の最初のページのこちら
・更新終了ページ=「有期事業のメリット制」のこちら
「印紙保険料」の手前までの更新となります。
今回更新する主な項目は、次の通りです。
(一)概算保険料
1 概算保険料の申告・納付
(1)申告・納期限
(2)申告・納付先
(3)申告・納付額
2 概算保険料に関連する問題
(1)概算保険料の認定決定
(2)増加概算保険料
(3)概算保険料の追加徴収
(二)確定保険料
1 確定保険料の申告・納付
(1)申告・納期限
(2)申告・納付先
(3)申告額
(4)確定清算
2 確定保険料の認定決定
(三)追徴金その他
(四)概算保険料の延納
(五)メリット制
徴収法で最も重要な個所の更新となりました。いずれの項目についても、図表等も用いて、まず大枠を説明しています。この全体像を把握して頂いてからは、あとは地道に知識を習得していくことになります。
メリット制は、細かく難しい個所がありますが、あまりここだけに時間をかけないように注意です。徴収法は、6問の出題であり、ウエイトが軽いわけではありませんが、選択式がないため、致命傷を負うことがありません。そこで、ある程度、学習が不十分なような個所があっても、さほど心配せずに、スピード重視で学習を進めて下さい。
徴収法も、残りの大項目としては、「印紙保険料」と「労働保険事務組合」くらいになってきており、あと数回で更新が終了します。
三 改正事項について
改正事項について触れておきます。
(一)雇用保険法の雇用継続給付について
雇用継続給付の支給申請手続が改正される旨はお知らせしていましたが、改正された施行規則は2月16日に施行されるそうです。
次のリーフレットは出たのですが(こちら)、まだ官報には改正が掲載されていません。金曜か月曜に掲載されることになります。
労使協定も不要とするそうです。
改正前の雇用継続給付の支給申請手続の下でマイナンバー制度の適用をした場合には、事業主から委託を受けた社労士が安定所において代理権の確認書類や個人番号確認書類を提出することになるため、手間や情報漏えいという問題がありました。そこで、社労士サイドからの制度改善の働きかけもあり、今回の改正に至ったようです。
細部については改正施行規則を見てみる必要はありますが、雇用継続給付の支給申請手続すべてに関する改正となるため、改正範囲が広く、条文を修正する作業は結構厄介になります。改正内容が明らかになりましたら、お知らせ致します。
(二)健康保険法の改正について
医療保険制度改革法による健康保険法等の改正ですが、施行規則を改正する省令が今月4日に公布されました。食事療養標準負担額及び生活療養標準負担額の改正に関する告示も行われています。
一般の被保険者に関する標準負担額が改正されたほか、新たに難病患者等の減額対象者の区分が追加されています。例えば、食事療養標準負担額については、次のように改正されました(こちら)。
原則(一般の被保険者)の区分の標準負担額が平成30年3月31日(平成29年度末)までは1食あたり360円に、その後は460円になります。また、上記リンク先の表の「原則」の下の「難病患者等」の2種類の区分が新設されました。その下の「低所得者」の3種類の区分は、今までと同じです。
当サイトでも、これらの施行規則・告示を含めた医療保険制度改革法による健保法の改正事項の改訂がやっと終わりました(さしあたり改正個所だけの改訂になっており、例えば、リンク先等の関連する個所の記載の改訂までは終わっていません。完全な改訂は、健保法の改訂作業の開始後になります)。
現在、今回の改正による改正個所のインデックスを作成中です。これにより、どこがどのように改正されたのか、わかりやすくします。
今回の改正で最もややこしいのは、傷病手当金と出産手当金の支給調整に関係する一連の改正個所ですが、その他にも改正事項は多く、今回の健保法の試験では、この改正事項をマスターすることが不可欠です(出題の対象となりやすい改正事項が多いです)。
では、また次回です。
・平成28年2月3日(水)
今回の更新等のお知らせも、改正事項があることもあって、かなりのボリュームです。
まずは、徴収法の更新と改正のお知らせからです。
1 徴収法の更新(第2回目)について
徴収法は、「第2章 労働保険料の納付の手続等」に入り、今回は、「労働保険料」の更新です。
・更新開始ページ=「労働保険料の納付の手続等」の「序論・体系」のこちらのページから
・更新終了ページ=「特別加入保険料」のこちらのページまで
今回は、一般保険料の額と特別加入保険料の額を学習します。
一般保険料の額は、大まかには、「賃金総額」×「一般保険料率(=労災保険率+雇用保険率)」となります。
このうち、雇用保険率が改正になります(平成28年4月1日施行予定)。
現在、「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されており、この中に、雇用保険率に関する徴収法の改正案も含まれています(その他の改正案については、先日お知らせしました「高年齢被保険者の創設」等の将来の改正ですので、基本的には、今回の試験では関係しません)。
この雇用保険率の改正については、まだ当該改正法が成立する前ですが、雇用保険率の改正については、法律案通りに決まる可能性が高く、今回は、特別に、改正後の雇用保険率の内容に従って更新しました。
この改正された雇用保険率を掲載しているページは、徴収法のこちらになります。
今回の改正は、平成25年度以来ですから、注意した方がよろしいです。つまり、改正された雇用保険率を特掲事業も含め、記憶しておく必要があります。
過去にどのような点が問われているかは、上記リンク先のページに掲載された過去問で確認頂けます(特掲事業について注意しなければならないことが判明します)。
なお、早速、雇用保険率を記憶するゴロ合わせも改訂しましたので、よろしければご利用下さい(平成27年度までのゴロより、すっきり短く、当サイトにしては珍しく出来が良い方です。。)。
なお、詳細は、当サイトの本文をお読み頂きたいのですが、本来の雇用保険率(徴収法第12条第4項)と実際の雇用保険率(同法第12条第5項等)が異なる点は注意です(これは、平成27年度等においても同じでした)。
即ち、徴収法第12条第4項において、本来の雇用保険率が規定されていますが(今回は、この本来の雇用保険率自体が改正されています。一般の事業については、従来の1,000分の17.5から1,000分の15.5に引き下げられました)、雇用保険率の弾力的変更という制度があり(同法第12条第5項)、平成28年度における実際の雇用保険率は、一般の事業について1,000分の11とされました(平成27年度までは、1,000分の13.5)。(雇用保険率から2事業に係る率を除いた率ですと、1,000分の8になります。)
即ち、一定の法定の料率の範囲内で、毎会計年度において、雇用保険の財政状況に応じて、法律改正によらずに、雇用保険率を弾力的に変更できる仕組みになっています(二事業に係る率(1,000分の3.5)についても同様です)。
今回の弾力的変更の内容については、そのうち告示されます。
以上の雇用保険率以外についても、今回の徴収法の更新内容には重要事項が盛りだくさんです。当サイトを地道にお読み下さい。今回は、次の国年法関係の更新内容のご紹介が長文化しそうなため、この程度で終わりにしておきます。
2 国年法の更新(第9回目)について
次いで、国年法の更新のお知らせです。
今回は、「給付の通則」と「その他の事業」の更新です(「給付の通則」については、「端数処理」、「支給期間、支給停止期間」、「支払期月」及び「裁定」は、すでに老齢基礎年金の個所で学習しましたので、それ以外の事項をここで学びます)。
・更新開始ページ=「給付の通則」の最初のページのこちら
・更新終了ページ=「その他の事業」のこちら
「給付の通則」については、すでに労災保険法や雇用保険法で学習した事項と基本的内容が共通するものがあり、これらの事項については、比較的学習しやすいと思います。
最も問題になるのが、「併給の調整」です(こちら)。
当サイトでは、従来から、国年法の「併給の調整」の個所で、厚年法の「併給の調整」の問題も説明してきました。今回も同様です。ただし、今回は、被用者年金一元化法による改正との関係で、かなりややっこしくなっています。
一元化法による改正の影響点は、主に次の2点です。
(1)厚生年金保険の2以上期間者に係る併給の調整の問題(こちら)
(2)共済年金に関する併給の調整の問題(こちら)
このうち、(2)の共済年金に関する併給の調整については、基本的には、一元化法による改正前の「共済年金に関する併給の調整」の取扱いと同様になります。ただ、ボリューム的にはかなりあり、本文中でも指摘の通り、図表や赤字部分をチェックして頂ければよろしいと思います。
(1)については、慣れるまでは少し厄介ですが(一元化法による改正のエッセンスとなる考え方が含まれています)、基本的には、一元化法による改正前の「厚生年金保険の保険給付と共済年金の保険給付との併給の調整」の取扱いがベースになっています。
なお、本文中で説明しています通り、【補説】(1から4まであります)とある部分は、基本的に、厚年法で学習する事項になっています。そこで、初学者の方は、この【補説】の部分は、眺める程度にして頂き、ほぼスルーして下さい。厚年法の学習が終了後に再度読み直して頂くと、理解頂けると思います。
「併給の調整」の問題は、この【補説】以外についても難解な事項が多く(例えば、上記の(2))、初学者の方は、わからない事項をメモ書きして残しておいて頂き、「併給の調整」にあまり時間をかけずに先に進んで下さい。年金法の全体を学習しませんと、なかなか把握が難しい個所です。
3 年金額の改定(改定率等)について
なお、1月29日に年金法の年金額の改定状況が明らかになりました。
詳細は、国年法のこちら以下をご参照下さい。
結論としては、平成28年度については、基準年度前改定率(新規裁定者に係る改定率)についても、基準年度以後改定率(既裁定者に係る改定率)についても、1を基準として改定されます。
即ち、前年度の年金額が据え置かれ、マクロ経済スライドによる調整も行われません。
具体的には、改定率は、「前年度の改定率×1」ということであり、「0.999=▲0.1%」となります(改定率が1になるのではありません。改定率は、1を基準として改定するということであり、従って、改定率は前年度と同じになるのです)。
ここら辺の考え方や根拠条文など、細かい点は、上記リンク先を含む当該ページ全体をお読み下さい。
年金額の改定については、試験対策上、要注意ですが、今回は、一元化法による端数処理の改正もあり、これらが絡まった問題にも気をつけておく必要があります。
例えば、平成28年度の満額の老齢基礎年金のケースを例に、2月期に支払われる年金額がいくらになるかを計算します。
(1)老齢基礎年金の基本年金額
=「780,900円×改定率(0.999)」=780,119.1円→100円未満の端数の四捨五入により、780,100円
※ ここで要注意は、一元化法による改正により新設されたルールである「1円未満の端数の四捨五入」を適用(780,119円)してはならないという点です。
本件は、老齢基礎年金の基本年金額の「満額」のケースであり、このような定額の年金額になるケースは、従来通り、「100円未満の端数の四捨五入」となります(子の加算額等についても同様です。個別の条文中に「100円未満の端数の四捨五入」の旨が明示されています)。
(2)各支払期月における支払額
=780,100円÷12×2=130,016.666・・・→1円未満の端数の切り捨てにより、130,016円
※ この「1円未満の端数の切り捨て」については、従来と同様の取扱いです。ただし、一元化法により、国年法上、明文化されました(第18条の2)。
(3)6期分の合計額
=130,016円×6=780,096円
(4)上記の(3)と(1)との差額(=切り捨てた金額の合計額)
=780,100円ー780,096円=4円
(5)2月期支払の年金額
=130,016円+4円=130,020円
※ この「2月期支払の年金額」の制度が、一元化法により新設されたものです。
最近の国年法の択一式の出題傾向からしますと、例えば、次のようなタイプの出題もあり得ます。
・設問:
平成28年度の老齢基礎年金の満額の支給を受けられる者について、その支給額に関する次の(1)から(5)の記載のうち正しいものはどれか。
(1)「780,900円×改定率(0.999)」=780,119.1円。
従って、老齢基礎年金の満額は、100円未満の端数の四捨五入により、780,100円となる。
(2)「780,900円×改定率(0.998)」=779,338.2円。
従って、老齢基礎年金の満額は、100円未満の端数の四捨五入により、779,300円となる。
(3)「780,900円×改定率(0.999)」=780,119.1円。
従って、老齢基礎年金の満額は、1円未満の端数の四捨五入により、779,119円となる。
(4)「780,900円×改定率(0.999)」=780,119.1円。
従って、老齢基礎年金の満額は、100円未満の端数の四捨五入により、780,100円となる。
各支払期月における支払額は、780,100円÷12×2=130,016.666・・・となるが、1円未満の端数の切り上げにより、130,017円となる。
(5)「780,900円×改定率(0.998)」=779,338.2円。
従って、老齢基礎年金の満額は、100円未満の端数の四捨五入により、779,300円となる。
各支払期月における支払額は、779,300円÷12×2=129,883.333・・・となるが、1円未満の端数の切りすてにより、129,883円となる。
これにより切り捨てた金額の合計額は、779,300円ー(129,883円×6)=2円である。従って、2月期支払の年金額は、129,883円+2円=129,885円である。
4 その他
その他として、国年法の特定付加保険料の制度に関する通達が公開されました(2月1日)。わかりやすい通達ですので、サイトの「特定付加保険料」の最後(こちら)に掲載しておきました。
※ 追伸
雇用保険法の雇用継続給付の支給申請手続の改正が1月中に行われるはずだったのですが、まだ出てきません。今回の雇用保険法等の改正やらサイバー攻撃やらで忙しいのでしょうか?
次回は、国年法は、「費用」に入り、国庫負担、積立金さらには保険料に入っていきます。保険料関係については改正事項があり、今回の試験では超重要個所になります。
徴収法は、「概算保険料」に入ります。徴収法は、地道にやりましょう。
では、また次回です。
・平成28年1月26日(火)
今回は、国年法と徴収法のアップのお知らせです。
一 国年法の更新について
国年法(第8回目)は、「第1号被保険者の独自給付」と「その他の給付」の更新となります。「給付の通則」の手前までの更新となり、今回で給付本体は終わりになります。
・更新開始ページ=第1号被保険者の独自給付のこちらから。
・更新終了ページ=特別一時金のこちらまで。
(一)更新する給付の内容について
今回更新する給付の内容は、次の通りです。
1 第1号被保険者の独自給付
(1)付加年金
(ⅰ)付加年金
(ⅱ)付加保険料
(2)寡婦年金
(3)死亡一時金
2 その他の給付(法附則上の給付)
(1)脱退一時金
(2)特別一時金
最後の「特別一時金」を除いて、いずれの給付も出題が多く、非常に重要です。
ポイントは、まずは、支給要件をしっかり記憶することになります。記憶の作業の前段階として、なぜその支給要件が必要になるのかという理解の作業が必要ですが、この点は、当サイトでかなり詳細に説明していますので、ご参照下さい。
問題は、記憶の方です。付加年金の支給要件については、さほど問題がありませんが、寡婦年金、死亡一時金及び脱退一時金の支給要件については、きちんと記憶することはなかなか大変です。が、少なくとも、支給要件のかなめになる部分は覚えておきませんと、スムーズに問題を解くことができません。当サイトのゴロ合わせも参考にして頂き、是非記憶して下さい。
(二)付加保険料について
当サイトでは、付加年金に関連して付加保険料も学習します。
1 まずは、付加保険料の基礎的な知識をしっかり固める必要があります。当サイトでは、「保険料の体系」を作っていますので、付加保険料についても、この体系に沿って知識を整理しています。(厚年法や健保法の保険料の問題についても、この「保険料の体系」をそのまま使用できます。)
2 さらに、付加保険料については、「付加保険料の納付等の特例=特定付加保険料の制度」(平成26年改正法附則第12条、第13条)が新設されており(4月1日施行)、試験対策上も要注意です(こちら)。
以前、この4月1日施行の改正として、他の2つ(「全額免除申請の事務手続に関する特例=免除委託制度」、及び「特定事由に係る保険料の納付等の特例」)についても概観は紹介しました(この2つの制度は、保険料の個所を更新する際に、詳細を説明します。なお、その他に、平成27年10月1日から施行されている「5年の後納保険料の制度」も、新設の制度です。こちらも保険料の個所で説明します)。
この特定付加保険料の制度は、その制度趣旨が少しわかりにくいかもしれません(特に初学者の方は、改正前の付加保険料の制度をご存知ないため、わかりにくいと思います)。
以前は、付加保険料を滞納した場合(納期限までに納付しなかった場合)は、付加保険料の納付を中止(辞退)したとみなされ、以後は付加保険料を納付できない取り扱いになっていました。
しかし、本来の国民年金の保険料の場合は、納期限までに納付をしなくても、保険料徴収権が時効消滅していない過去2年間の分は納付できるのに対して、付加保険料の場合は、納期限までに納付しないと一切納付できなくなってしまうというのもアンバランスでした。
そこで、平成24年制定の年金機能強化法により、当該取り扱いが廃止される改正が行われ(平成26年4月1日に施行されました)、付加保険料についても、納期限までに納付しなくても、納期限から2年以内の分については納付できることとされました。
今回の「特定付加保険料の制度」は、この改正前の制度の下で、付加保険料を滞納したために付加保険料の納付を中止(辞退)したとみなされた者について、特例として、平成28年4月1日から起算して3年を経過する日 (平成31年3月31日。「特定付加保険料納付期限日」といいます)までの間、厚生労働大臣の承認月前10年以内の期間に限り、付加保険料の納付を行うことができるとしたものです。
以上が基本的な制度趣旨なのですが、実は、この制度が必要とされた背景には、付加保険料に関する制度運営上の過誤の問題があります。この制度で登場する「特定受給者」は、かかる問題に関係しているものです。
詳しくはメールでお伝えしましたとおりですが、当サイトのこちら以下でも確認して下さい。
以上のように、特定付加保険料の制度は、結構ややっこしいですが、概要をつかんだ後は、当サイトに掲載されている条文(平成26年改正法附則第12条、第13条)を熟読して頂き、キーワード(赤字になっています)をしっかり押さえて下さい。選択式として十分出題対象になる個所です。
今回の国年法の更新内容については、以上の通りです。次回は、給付の通則をアップします。
二 徴収法の更新について
徴収法は、今回が初回の更新になります。「保険関係の一括」の最後までの更新です。
・更新開始ページ=徴収法の最初のページ(こちら)
・更新終了ページ=「継続事業の一括」の終わりまで(こちら)
次回は、「労働保険料の納付の手続等」に入り、「労働保険料」の関係を更新します。
1 徴収法は、慣れるまでは、少し時間がかかります。
ただ、コツコツと知識を積み上げていけば、次第に学習が面白くなると思います。
試験対策上のポイントは、徴収法は、選択式が出題されないという点です。従いまして、選択式対策用としてキーワードを覚える等の作業は必要ありません。もっぱら択一式用に知識を習得していくことになります。
択一式として、労災保険法で3問、雇用保険法で3問の計6問出題されますから、ウエイトが軽いわけではありません。しかし、選択式がありませんので、学習上は、気分的に楽です。
2 今回の更新内容は、主に、「実施者」(事務の所轄等)と「保険関係の成立及び消滅」になります。
(1)「実施者」(事務の所轄等)については、重要な個所であるため、非常に細かい説明をしています。しかし、徴収法の全体を学習し終えないと理解できないような事項が多いため、初学者の方は、眺める程度で結構です。徴収法の学習を進めていくうちに、徐々に理解が深まっていきますから、心配ありません。
(2)「継続事業と有期事業」や「一元適用事業と二元適用事業」については、抽象的な説明が多いです。初学者の方は、これらについても、学習が進むにつれて理解が深まりますので、初めのうちは、ほどほどに読み流して下さい。
(3)「保険関係の成立及び消滅」については、強制適用事業と暫定任意適用事業に分けて学習します。いずれも、当サイトでは、すでに労災保険法や雇用保険法でほぼ学習し終えていますので、ここでは総まとめ的な学習になります。
(4)「保険関係の一括」は、出題も多く、非常に重要です。
平成27年度の択一式では、「下請負事業の分離」が1問(5肢)出題されています(改正事項を含んでいます)。
そこで、今回の試験では、一応、「下請負事業の分離」以外の一括の個所は、特に力を入れて学習する必要があるといえそうです。
さしあたり、当サイトがゴロ合わせを作っている個所や図表でまとめている個所を優先して学習してみて下さい。
以上、徴収法の更新内容でした。
次回の徴収法は、「労働保険料の納付の手続等」に入り、労働保険料の種類、額などについて学習します。
・平成28年1月21日(木)
今回は、雇用保険法と国民年金法の更新のお知らせです。
雇用保険法は、今回で終了になります。国年法は、障害基礎年金と遺族基礎年金を同時に更新します。
1 雇用保険法の更新について
雇用保険法の更新(第8回目・最終回)は、「雇用保険二事業」以下、最後までとなります。
・更新開始ページ=雇用保険二事業(こちらから)
※ 雇用保険法の最後のページ(こちら)では、「申請等の期限の緩和」という平成27年4月1日施行の改正に関する事項をまとめています。これについては、本文中の各所で触れていますので、すでに頭に入っている方はお読み頂く必要はありません。
今回更新しました雇用保険法の中心内容は、次の通りです。
(1)雇用保険二事業
(2)費用(財政)→国庫負担
(3)その他→不服申立て、消滅時効等
(1)雇用保険二事業
雇用保険二事業については、大きくメリハリをつけて学習する必要があります。
雇用保険二事業には、雇用安定事業と能力開発事業があります。
この2事業として各種助成金の支給等が定められていますが、試験対策上は、この助成金の要件や効果(助成金の額)等について細かく押さえる必要はないといえます。
いくつかの代表的な助成金の名称と分類(雇用安定事業と能力開発事業のどちらに属するものか)程度をざっと押さえておけば足りるでしょう。
むしろ、助成金以外の知識の方が出題されやすいです。こちらで雇用保険二事業の全体像をまとめた表を掲載しており、3つの表に分かれています。このうち、試験対策上は、2番目の表(「事業」の表)はあまり重要でなく、1番目の表(「主体」・「客体」)と3番めの表(「通則的事項」・「費用」等)の方が重要です。
この1番目と3番目の表に該当する本文における記載は読んで頂き、2番目の表に該当する助成金関係の記載は流し読みして下さい。
(ちなみに、助成金関係は、3月頃になりますと、あちこち改正されます。基本的には、静観の姿勢で大丈夫です。)
なお、能力開発事業として、就職支援法事業があり、ここはやや力を入れてお読み頂いた方が良いです。
就職支援法事業は、平成23年10月に施行された事業ですが、早速、翌年の選択式に3問(3個所)出題されました。が、以後は、択一式でも出題されていません。従いまして、頻出の個所ではないのですが、最低限の知識は習得されておかれたほうが良いです。当サイトの赤字と太字の部分をざっと読んで下さい。
(2)費用
費用(こちら)については、国庫負担の問題が頻出です。数字関係の記憶が必須です。ゴロを参考にして下さい。
(3)その他
(ア)不服申立て(こちら)については、すでに更新のお知らせをした個所です。今年度は行政不服審査法等による改正がありますので、どの科目の不服申立てについても、改正事項を中心に入念に準備しておく必要があります。
労審法による不服申立てについては、労災保険法の不服申立ての個所で詳しい知識を掲載していますので、そちらもご参照下さい。
(イ)その他の事項については、例えば、書類の保存義務の数字関係など、当サイトが赤字にしている個所が必須事項です。
とりあえず、雇用保険法は、今回で終了です。今月中に雇用継続給付の支給申請手続に関する改正があるらしいので、発表されましたら、改正後の内容に差し替えます(差し替え後、お知らせします)。
次回からは、徴収法の更新に入ります。
2 国民年金法の更新について
国年法の更新(第7回目)は、障害基礎年金と遺族基礎年金です。
・更新開始ページ=障害基礎年金の最初のページのこちら
・更新終了ページ=遺族基礎年金の最後のページのこちら
障害基礎年金も遺族基礎年金も、決して簡単ではありません。ただ、何度も学習して慣れてきますと、割合、抵抗感がなくなってくると思います(また、老齢基礎年金の場合は、保険料納付済期間や振替加算等において、被用者年金一元化法による改正が関係してきたため、結構、ややっこしいことになっていましたが、障害基礎年金や遺族基礎年金の場合は、一元化法による影響はあまりありません(保険料納付済期間は学習済みですし))。
この障害基礎年金及び遺族基礎年金を学習される際にも、年金法の体系を念頭におかれると、細かい知識に振り回されずに、見晴らしよく学習することが可能です。
当サイトでは、「発生」に関する問題として、「支給要件」及び「効果(広義です)」の問題を検討しています。「効果」の問題として、「受給権の発生」と「支給額(基本年金額及び加算額)」が中心になります。
「変更」に関する問題としては、「年金額の改定」や「支給停止」の問題があります。「消滅」に関する問題としては、「失権」があります。
まずは、「発生」の問題のうち、何より支給要件と支給額を理解し記憶することが重要です。
障害基礎年金と遺族基礎年金の支給要件がすらすらと頭に浮かんでくるかどうか、常に確認して下さい。
特に、「死亡に関する保険給付」については、日頃から支給要件を確認する癖をつけておかないと、試験直前になって、遺族基礎年金、労災保険法の遺族(保障)給付、厚生年金保険法の遺族厚生年金等の支給要件がごちゃごちゃになっているといった事態が生じかねません。
我々は、個々の給付を学習している際は、支給要件もきちんと覚えているのですが、時間が経って、他の科目を学習している頃には、忘れているのが常です。
この対策として、当サイトではゴロ合わせも利用していますが、今回更新の分についてはゴロの出来がよくなく、ぜひ、独自ゴロをあみ出して頂き、支給要件を完全に記憶して下さい。
なお、遺族基礎年金については、ハイレベルな問題(事実婚の配偶者の問題等)や、紛らわしい問題(子の加算額に係る減額改定事由や失権事由等)もあり、当サイトでは、かなり詳細に説明をしています。随所で民法の親族法(身分法)の基礎知識に言及しているなど、初めは読むのに時間がかかるかと思いますが、一度、理解して頂ければ、二回目からはスムーズに進むと思います。
次回からは、第1号被保険者の独自給付に入ります。
※ 追伸
先日ご案内した労災保険法の「社会保険との調整」に関する改正が、官報に掲載されました(【平成28.1.22政令第19号】)。
労災保険法のこちらのページのすぐ下の表において、「改正」の赤印のマークがある個所の「調整率」が改められます(平成28年4月1日施行)。
・平成28年1月18日(月)
今回は、雇用保険法の更新その他のお知らせです。
1 雇用保険法の更新について
今回は、教育訓練給付と雇用継続給付の更新になります。これにて失業等給付の更新がすべて終了します。
・更新開始ページ=教育訓練給付のこちら
・更新終了ページ=介護休業給付のこちら
雇用保険二事業の手前までの更新です。
今回の更新は(も)、非常に重要な個所になります。そして、かなり内容が難しい給付が多いです。雇用保険法の最後の難所です。
(1)教育訓練給付
教育訓練給付は、ついこの間までは、教育訓練給付金の単発の給付であり、学習しやすい個所でした。
しかし、平成26年改正により、突然、最も学習が困難な給付の一つに様変わりしてしまいました。
現在は、教育訓練給付は、教育訓練給付金として、一般教育訓練に係る教育訓練給付金(以下「一般教育訓練給付金」といいます)と専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金(以下「専門実践教育訓練給付金」といいます)に分かれ(かつ、後者では、追加的な支給が行われる場合があります)、さらに、暫定的な教育訓練給付として、「教育訓練支援給付金」が設けられています。
「一般教育訓練給付金」は、改正前の「教育訓練給付金」とほぼ同じです(異なる点もありますが、詳細はサイトを御覧下さい)。
まずは、この各教育訓練給付の概要をつかんで頂く必要があります。当サイトのこちらやこの次のページ(こちら)をご利用下さい。
「専門実践教育訓練給付金」については、非常に情報量が多いです。さしあたりは、あまり細かい事項を追うよりも、要件、手続、支給額等について、数字(金額等)やキーワードを把握することに重点を置かれるのが良さそうです。
ただし、「教育訓練支援給付金」については、平成27年度に選択式と択一式(1肢)で出題されましたが、「専門実践教育訓練給付金」は未出題でした(一般教育訓練給付金と共通する事項については出題がありましたが)。
今回は、「専門実践教育訓練給付金」は出題の可能性が高いと睨んだほうが良いと思います。
ともかく、教育訓練給付は、何度も当サイトやテキストをお読み頂かないと、理解や記憶ができない個所です。地道な学習が必要になりますので、徐々に知識量を増やしていって下さい。
(2)雇用継続給付
雇用継続給付は、高年齢雇用継続給付、育児休業給付及び介護休業給付の3種類です。
以前は、この中では、高年齢雇用継続給付が最も学習しにくかった給付だったかもしれません。
しかし、現在では、育児休業給付が最も難所です。
数度の改正により、育児介護休業法自体が複雑化しており、育児休業給付もわかりにくくなってしまいました。
ただし、これらの各給付の支給要件、手続、効果(支給額等)の基本的な部分については、そうわかりづらくはないです(これが、上記の教育訓練給付との違いです。専門実践教育訓練給付金などは、基本的な部分自体がわかりづらいです)。
反復学習をして頂き、知識が身体に馴染んできますと、得意な分野とすることが可能です。
ちなみに、介護休業給付は、将来、改正の予定があります。改正が予定される個所については、出題されることも少なくありませんので、十分な学習が必要です。後に3の中で触れます。
2 雇用継続給付の改正について
雇用継続給付(高年齢雇用継続給付、育児休業給付及び介護休業給付のすべてです)の支給申請手続について、マイナンバー制度との関係から、現在、急きょ、改正作業が進められています。
従来は、雇用継続給付は本人が支給申請をする建前であり、事業主は、労使協定により代理人として代理申請することが可能となっていました(実務上は、事業主による代理申請が一般になっています)。
しかし、これによると、事業主は、マイナンバー法(番号法)に規定する「個人番号関係事務実施者」(当サイトの社会一般のこちら)には該当しないものとされ、公共職業安定所が事業主から個人番号の提供を受ける場合には、①代理権の確認、②代理人としての身元(実在)確認(社員証等による確認)、③申請者本人の個人番号の確認が必要となることとなっていました。
が、かかる手続では、事業主側の負担が大きく、情報漏洩のリスクもあることから、今回、事業主による雇用継続給付の支給申請について、事業主が代理人ではなく、個人番号関係事務実施者として効率的に申請に関する事務を実施できるようにするため、雇用継続給付を受けようとする被保険者は、原則として、事業主を経由して公共職業安定所に支給申請書等の提出を行うこととする見直しを図ることになりました。
労使協定の手続まで不要とする改正なのかどうかは不明ですが、マイナンバー制度との関係では、本人確認義務を事業主が負担し、事業主が個人番号関係事務実施者として安定所に申請するのを原則とさせるものになります。
改正された施行規則は、1月下旬に公布される予定になっています。
以上については、サイトでは、高年齢雇用継続基本給付金のこちらで掲載しておきました。参考pdfもリンクしてあります。
従いまして、さしあたり、雇用継続給付の支給申請手続に関する当サイトの説明は読まずに保留しておいて下さい。
3 雇用保険法の将来の改正予定について
なお、雇用保険法について、将来の改正予定内容が明らかになりました(「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」が労働政策審議会に諮問され、おおむね妥当との答申が行われました)。
この改正予定内容について、以下、簡単に紹介します。改正が予定される事項は出題対象になることが少なくないからです。
しかし、要注意は、以下で紹介します改正予定事項は、いずれも今回の平成28年度の試験対象には含まれませんので、その内容までは覚えないで下さい(どこらへんが改正されるのかだけ、大まかに把握すれば足ります)。
改正が予定されている主な事項は、以下の通りです。なお、施行日は、基本的に、平成29年1月1日が予定されています。それ以外の予定施行日の場合にのみ、以下で付記します。
(1)高年齢被保険者の創設
現在は、65歳以後に新たに雇用される者は適用除外者になっていますが(第6条第1号)、当該者も被保険者とする改正が行われる予定です。この65歳以上の被保険者を高年齢被保険者とし、高年齢被保険者が失業した場合は、高年齢求職者給付金が支給されるほか、その他の一定の失業等給付の支給対象となります。
そこで、現在の高年齢求職者給付金は、しっかり学習しておくこととします。
(2)再就職手当
再就職手当の支給額が引き上げられる予定です。
再就職手当の支給額は、現在、基本手当日額×支給残日数×「10分の5(支給残日数が所定給付日数の3分の2以上であるものにあっては、10分の6)」の額ですが、このカギかっこ内が「10分の6(支給残日数が所定給付日数の3分の2以上であるものにあっては、10分の7)」に改められる予定です。
再就職手当の支給額については、平成26年度の選択式で出題済みです。そこで、択一式用に注意しておいて下さい。
(3)広域求職活動費
名称が「求職活動支援費」と改められ、給付内容が見直される予定です。
そこで、今回の試験においては、広域求職活動費についてきちんと押さえておく方が良いです。
(4)育児休業給付
育児休業給付金の支給対象となる被保険者の養育する子の範囲が拡大されます(育児介護休業法の改正により、育児休業の対象となる子の範囲が拡大されることに伴うものです)。(即ち、被保険者が当該被保険者との間における特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求した者であって当該被保険者が現に監護するもの等も、育児休業の対象となる子に含まれる予定です。)
育児介護休業法は、その他にも改正が予定されている事項があります。
(5)介護休業給付
介護休業給付金については、次の3点の改正が予定されています。
(ⅰ)介護休業給付金の休業開始時賃金日額の上限額が、現在の「30歳以上45歳未満」である受給資格者に係る賃金日額の上限額から、「45歳以上60歳未満」である受給資格者に係る上限額に改められる予定です(平成28年8月1日施行予定)。
介護休業給付受給者の年齢層の多くが40 歳~50 歳代であることを考慮したものとされます。
そこで、「30歳以上45歳未満」という点は、一応、押さえておいて下さい。
(ⅱ)支給額(暫定的に、67%に引き上げられる予定です)。
(ⅲ)支給回数(同一の対象家族について3回まで介護休業を支給が受けられることになる予定です)。
介護休業給付については、支給額、支給日数、支給申請手続(前記2の通り、改正されます)も含め、全体的にしっかり学習しておいた方がよろしいです。
もっとも、先の平成27年度の択一式試験(【問6】)においても、支給額や支給申請手続は出題対象となっていたところ、没問化しましたので、平成28年度の予測についてはやや微妙です。しかし、出題されると想定して、きちんと準備をしておいた方が安全です。
なお、そのうち、徴収法の雇用保険率の改正(引き下げ)についても詳細が判明します。
以上で、今回のお知らせは終了です。
次回は、国年法の障害基礎年金の更新の予定です。また、雇用保険法は、次回の更新で最終回となり、その後、徴収法に入ります。
・平成28年1月14日(木)
あっという間にお正月も終わってしまいました。とにかく、月日の経つのが早いです。私は、昨年、仕事納めもしていないうちに、そのまま新年に突入しており、この分だと、いつの間にかまたクリスマスが来てしまう恐れがあります。。
今回は、雇用法と国年法の更新のほか、労災保険法の改正情報があります。
1 雇用保険法の更新について
雇用保険法は、就職促進給付の更新です。
・更新開始ページ=就職促進給付の最初のページのこちら
・更新終了ページ=広域求職活動費のこちら
教育訓練給付の手前までの更新となります。
就職促進給付は、紛らわしい給付が多く、学習がしやすい個所ではありません。
もっとも、雇用保険法の給付は、近年、改正が行われるごとに複雑化してきており、いずれの給付も厄介です。
ポイントは、うまく整理して、しっかり記憶することに尽きます。
当サイトでは、就職促進給付について、こちらの表により整理しており(ゴロ合わせもあります)、これらを参考に情報を整理してみて下さい。
次回は、教育訓練給付に入り、あと数回で雇用保険法の更新を終了し、徴収法に入ります。
2 国民年金法の更新について
国民年金法は、今回で老齢基礎年金を終了します。老齢基礎年金の支給の繰上げ・支給の繰下げと年金額の改定が主な項目になります。
・更新開始ページ=老齢基礎年金の支給の繰上げ、支給の繰下げのこちらのトップページです
・更新終了ページ=特例老齢年金のこちら
障害基礎年金の手前までの更新となります。
国年法は、今回もヘビー級の内容です。
(1)老齢基礎年金の支給の繰上げと支給の繰下げ
実務上も、非常に重要な個所であり、簡単な内容ではないです。ただ、当サイトを丹念にお読み頂ければ、合格に必要な内容については把握して頂けます。条文的には、振替加算よりはわかりにくくはないです。
もっとも、老齢基礎年金の支給の「一部繰上げ」の問題は、厚年法において、特別支給の老齢厚生年金(以下、「特老厚」といいます)を学習してからでないと、十分理解頂けません。
当サイトの一部繰り上げのページ(こちら)では、特老厚の概観と老齢基礎年金の支給の一部繰上げの大枠について触れています。初学者の方は、このページはかなり難しい内容になりますので、あまり無理せずに先にお進み下さい。
なお、今回の支給繰上げとの関係から、厚年法の特老厚の「支給要件」(厚年法のこちらから、第3種被保険者の特例のこちらまで)及び「繰上げ支給の老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金との調整」の問題(こちらからこちらまで)についても改訂を行っています
サイトの右上に、【(仮)平成28年度版】と記載があるページは、一応、改訂が終わっています(リンク先の改訂が終了していない個所がある等の理由により、仮の改訂となっています。また、老齢厚生年金の支給の繰上げ・繰下げについては、まだ改訂が終了していませんので、ご了承下さい)。
今回の「老齢基礎年金の支給の一部繰上げ」を理解するためには、この「繰上げ支給の老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金との調整」の問題を学習する必要があります。
しかし、この「繰上げ支給の老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金との調整」の問題は、ウルトラスーパーヘビー級の難易度です。基本的には、まだこの「繰上げ支給の老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金との調整」についてはお読み頂かないようがよろしいです(特に初学者の方は、スルーして下さい。まだ厚年法の学習開始前にこのような難しい個所を学習してはいけません)。
一元化法による改正前の厚年法の特老厚等に関する十分な知識をお持ちの方のみ、お読み頂くページになりますので、ご了承下さい。
(2)年金額の改定
年金額の改定(こちら以下)も、非常に厄介な個所です。選択式の素材になっている個所も多いです。
すでにマクロ経済スライドが適用されていますので、サイト上で指摘しているマクロ経済スライド関係の条文についても注意して下さい。
なお、被用者年金一元化法による改正に伴い、若干改められた用語がありますので注意が必要です(詳しくは、本文(国年法のこちらで触れています)をご覧下さい)。
ちなみに、平成28年度の改定率については、前年度と変更はないことになっています。おそらく、今月末くらいには、正式に発表されるでしょう。それまでは、当サイトでは、平成27年度の改定率等を記載し、正式な発表後に平成28年度の数字に書き換えます。従いまして、今の段階では、細かな数字はスルーしておいて下さい。
次回は、障害基礎年金に入ります。
3 労災保険法の改正について
なお、労災保険法について、「社会保険との調整」に関する改正が行われます。
労災保険法のこちらのページのすぐ下の表において、「改正」の赤印のマークがある個所の「調整率」が改められます(平成28年4月1日施行)。
ただ、これもまだ正式には官報で掲載されていませんので、掲載後に再度ご紹介します(ゴロ合わせがある部分ですので、まずは、このゴロ合わせを改訂したことをお知らせしておきます)。
以上、今回の更新内容でした。
いずれにしましても、勝負はこれからです。今回の試験は、大規模な多くの改正が重なっているという異例の事態です。
ざっと見渡しただけでも、一元化法という30年ぶりの大改正があるほか、医療保険制度改革法、派遣法、不服申立て(行政不服審査法等)、マイナンバー法といった多方面に影響する改正があり、受験生にとって非常に厳しいです。
ただ、どの受験生も苦労するはずであり、一部の受験生のみが苦労したり得したりするといった不公平は存在しないはずです。
そして、苦労して習得した知識は、役に立つことが少なくありません。どうぞ最後まであきらめずに、地道に学習を継続して下さい。
・平成28年1月8日(金)
今回は、国年法の振替加算、端数処理、裁定等についてアップします。なお、振替加算との関連から、厚年法の老齢厚生年金の加給年金額についてもアップします。
1 まず、国年法については、次の範囲を更新しました。
・更新開始ページ=振替加算(こちらのページから)
・更新終了ページ=裁定(こちらのページまで)
「老齢基礎年金の支給の繰上げ」の手前までの更新となります。
2 次に、厚年法についても、老齢厚生年金の加給年金額の個所のみを更新しました。
・更新開始ページ=加給年金額の厚年法のこちらから
・更新終了ページ=加給年金額の最後のこちらまで
3 振替加算と加給年金額について
今回は、老齢基礎年金の振替加算の更新となりますが、振替加算はスーパーヘビー級の難易度です。国年法の諸問題のうち、最も難しい問題の一つです(学習が進むほど難しさがわかってくるという嫌な個所です)。
そして、振替加算を学習する前提として、厚年法の老齢厚生年金、特に配偶者加給年金額について理解していることが不可欠となります。そのようなわけで、今回、厚年法の加給年金額についても、併せて更新しています(なお、実務上も、振替加算や加給年金額については、年金相談が多く、非常に重要とされています)。
この振替加算と加給年金額は、もともと難しい個所なのですが、今回の被用者年金一元化法による改正によって、一層、複雑化してしまいました。
詳細は、当サイトをお読み頂くことになりますが、ここでは、学習上の注意点等について触れておきます。
(1)まず、繰り返しになりますが、振替加算及び加給年金額は非常に難しい分野であるため、とりわけ初学者の方は、理解できないのが当然だという前提で学習に望んで下さい。厚年法の学習の全体が終わりませんと、振替加算について十分理解することはできません。従いまして、最初の段階では、あまり振替加算の理解に時間を消費せずに、疑問点をメモしてそのまま保留して先に進んでいただいた方がよろしいです。わからないからといってここで挫折しないことが重要です。
(2)次に、振替加算の学習のポイントですが、要件が複雑であり(関連する条文が多数あります)、典型例を2つ用意して学習するのが有用です。
当サイトでは、(A)と(B)のパターンに類型化しています。
まず、(A)は、老齢厚生年金等の配偶者加給年金額の加算の対象となっていた配偶者(例:妻。以下同様です)が、65歳到達日以後に老齢基礎年金の受給権を取得した場合です(昭和60年改正法附則第14条第1項、同第18条第2項)。
老齢厚生年金の受給権者(例:夫。以下同様です)について配偶者加給年金額が加算されており、その後、その妻が65歳に達して老齢基礎年金の受給権を取得するとともに、この老齢基礎年金に振替加算が加算されるというケースです(妻が65歳に達すると、夫の老齢厚生年金に加算されていた配偶者加給年金額の加算は終了し、代わりに妻が受給する老齢基礎年金に振替加算が加算されます)。
これが振替加算の典型例です。
(B)もう一つの例として、妻が年上のケースも押さえておいて下さい。
即ち、老齢基礎年金の受給権者(妻)の65歳到達日以後において、その配偶者(夫)が、所定の要件(240月以上の期間に係る老齢厚生年金の受給権を取得した等)に該当したため、当該妻に振替加算が加算されるケースです(昭和60年改正法附則第14条第2項、同第18条第3項)。
この(B)の場合は、夫の老齢厚生年金に配偶者加給年金額が加算されないまま(加給年金額の加算の要件として、妻が65歳未満である事が必要です)、妻の老齢基礎年金に振替加算が行われます。
実際は、これらの(A)及び(B)について、よりバリエーションが生じます(例えば、妻が65歳到達時には老齢基礎年金の受給権を取得せずに、その後に取得したケース等)。ただ、基本的には、上記の典型例を想定して振替加算に関する説明を読んで頂くのがわかりやすくなります。
以上の(A)(B)について、例えば、「老齢基礎年金の受給権者が大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた者であること」が振替加算の要件になるといった、まずは、基本的な事項を理解・記憶していくことが重要です。
このような基本的な学習を終えてから、次の2以上期間者の問題について学習して頂くのが良いです。
(3)さらに、被用者年金一元化法による改正が問題になります。
主な問題は、「2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の特例」です(なお、以下、この「2以上の種別の被保険者であった期間を有する者」を「2以上期間者」ということがあります。通達でも使用する表現です)。
注意点は、この2以上期間者の特例は、厚年法の第3章の4のタイトルが「2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の特例」となっているように、「特例」であり、学習上も、まずは、この「2以上期間者の特例」以外の部分を十分把握するようにした方がよろしいということです(そうしないと、知識の整理がつかなくなる危険があります)。
即ち、まずは、老齢厚生年金の受給権者が1つの厚生年金被保険者期間のみを有するケース(一元化法による改正前の従来の厚生年金保険の被保険者期間のみ有するケース。例えば、20歳になって国民年金の第1号被保険者(大学生)となり、卒業して、民間の適用事業所に使用されて定年まで勤めたといったシンプルなケース)を念頭にして、振替加算や加給年金額の問題を学習していって下さい。
このシンプルなケースについてひと通り学習し終えてから、2以上期間者の特例(例えば、国家公務員であった夫が退職後、民間事業所に天下りしたケース等)について学習すると有用です(当サイトは、本文中で、ところどころ2以上期間者の特例の問題について言及していますが、初学者の方は、まずは、2以上期間者の特例についてはスルーして一読して頂く方が良いです)。
2以上期間者の特例を学習する際、概観については、当サイトの厚年法のこちらで触れていますので、ご参照下さい。
振替加算においては、2以上期間者の特例は、「要件」、及び「振替加算の不加算(不支給)」の2カ所で主に問題になります(当サイトでは、前者は、「発生」に関する問題、最後は「消滅」に関する問題と位置づけられます)。
(ア)まず、要件に関する問題です。
振替加算の要件の一つとして、老齢基礎年金の受給権者(妻)の配偶者(夫)が、(ⅰ)老齢厚生年金又は退職共済年金の受給権者であること、又は(ⅱ)障害厚生年金又は障害共済年金の受給権者であることが必要です。
この(ⅰ)について、当該老齢厚生年金等は、その額の計算の基礎となる被保険者期間等(加入期間)の月数が240以上である事が必要です(中高齢者の受給資格期間の短縮特例に該当する者は、当該期間以上であれば足ります)。
そして、この240月(20年)について、2以上期間者の場合は、当該2以上の期間を合算して240月に含めることができます(一元化法経過措置政令第69条第1項)。(当サイトでは、この2以上の期間の合算について、「期間合算」ということがあります。)
この期間合算については、その適用関係(一元化法の施行日との関係)について少しややこしい問題があり、当サイトでは、「振替加算の不加算(不支給)」の個所(こちら。次の(イ)で述べます)で若干触れており、より詳しくは、老齢厚生年金の加給年金額の個所で触れています。
実務上は、この期間合算の適用基準は重要な問題です。
(イ)次に、振替加算の不加算(不支給)に関する問題です。
老齢基礎年金の受給権者(例:妻)が、老齢厚生年金、退職共済年金(その額の計算の基礎となる被保険者期間等の月数が240(厚生年金保険の中高齢者の特例に該当するときは、その期間)以上であるものに限ります)その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であって政令で定めるものを受けることができるときは、振替加算は行われません(昭和60年改正法附則第14条第1項柱書ただし書、第2項ただし書、昭和61年経過措置政令第25条)。
この「240月」についても、2以上期間の合算が行われます。従って、例えば、一元化法の施行日以後に、妻が65歳に達して、老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権を取得した場合において、当該妻が第1号厚生年金被保険者期間を120月、第2号厚生年金被保険者期間を120月有していたときは、振替加算は行われません。
(なお、詳細は、厚年法で学習しますが、このような2以上の期間を有する者に係る老齢厚生年金は、各号の期間ごとに受給権が発生することに注意です。上記のケースでは、当該妻には、第1号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金と第2号厚生年金被保険者期間に基づく老齢厚生年金の受給権が発生します。従って、支給額もそれぞれ別個に計算し、支給も異なる実施機関から行われます。)
(3)加給年金額について
なお、振替加算との関連で、今回、老齢厚生年金の(配偶者)加給年金額についても更新していますが、初学者の方は、この加給年金額についてはスルーして頂いても結構です。厚年法を十分学習してからでないと、かなり難しい内容となっています。
受験経験者で、厚年法についても基礎があるような方の場合は、この加給年金額の個所も一読して下さい。
ここでは、加給年金額に関する一元化法の改正についてのみ触れておきます。
試験対策上は、まずは、加給年金額の加算の要件について、2以上の期間を合算できることを記憶しておくことが必要です(厚年法の改訂の際に、2以上の期間について合算できる場合とできない場合をまとめる予定です)。
また、加算の要件について、老齢厚生年金の受給権の取得当時に240月未満であった場合の取扱いについても注意です。
即ち、老齢厚生年金の受給権者がその受給権を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数と他の期間に基づく被保険者期間の月数とを合算した月数が240未満であった場合は、退職時改定(厚年法第43条第3項)又は他の期間に基づく老齢厚生年金の受給権を取得したことにより当該月数が240以上となるに至った当時、その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は所定の子があるときに加算されます(厚年法施行令第3条の13第1項により読み替えられた厚年法第44条第1項)。
さらに、加算額については、2以上期間者に係る加給年金額は、1つの期間に基づく老齢厚生年金に加算されることになっています。具体的にどの老齢厚生年金に加算されるのかの基準を記憶することも必要です(厚年法のこちらで記載しています)。
(なお、期間合算の適用関係については、こちらで記載しています。)
以上が、振替加算と加給年金額の学習に関する留意点でした。
4 その他
今回は、振替加算のほか、国年法の「給付の通則的事項」の一部として、次の事項についても更新しています。
§1 端数処理
§2 支給期間、支給停止期間
§3 支払期月
§4 裁定
この内、§1の「端数処理」については、一元化法により改正があり、十分学習して頂くことが必要です。
また、§4の「裁定」についても、「年金受給権者の年金給付関係届書添付書類に関する事務の取扱いについて」という実務上重要な新通達があります。
今回の更新内容については、以上のとおりです。
いよいよ年金法の難しい個所に入ってきており、特に初学者の方は、制度内容を理解するだけでも大変な状態であることでしょう。
ただ、実際は、難しい問題は、他の受験生もできません(選択式で難問が登場したとき、しばしば救済措置が発動されています)。
とりわけ、一元化法に関する問題については、難しい個所(例えば、今回の期間合算の適用関係の個所)は、実務上もいまだに細かな個所が詰められていないようなケースがあります。
ともかく、難しい個所はそこそこにして頂き、なにより挫折することなく、先に進んでいただくことが重要です。
長くなりましたが、今回は、これにて終了です。次回は、雇用保険法の就職促進給付並びに国年法の老齢基礎年金の支給の繰上げ及び支給の繰下げについて更新する予定です。
・平成28年1月2日(土)
明けましておめでとうございます。本年も、引き続きどうぞよろしくお願い致します。
正月三が日早々、恐縮ですが、雇用保険法の更新と前回予告していました国年法の改正事項のお知らせです。
1 雇用保険法の更新について
今回の更新により、求職者給付はすべて終了になります。
・更新開始ページ=「基本手当以外の一般被保険者の求職者給付」(傷病手当等)のこちら
・更新終了ページ=「日雇労働求職者給付金」の「特例給付」のこちら
今回の更新内容は、次の通りです。
・第2項 基本手当以外の一般被保険者の求職者給付
第1 傷病手当
第2 技能習得手当
第3 寄宿手当
・第2款 一般被保険者以外の被保険者の求職者給付
第1項 高年齢求職者給付金
第2項 特例一時金
第3項 日雇労働求職者給付金
いずれの項目も、重要です。例えば、平成27年度の選択式試験の場合は、実は、基本手当からの直接的な出題はなく、すべて基本手当以外を内容とする出題となっています。
(平成27年度の選択式試験は、高年齢求職者給付金の算定対象期間、教育訓練支援給付金の額、未支給給付の請求権者、日雇労働求職者給付金の普通給付の支給額(2問)という内容でした。
今回、もし日雇労働求職者給付金について十分学習していず、かつ、改正事項(教育訓練支援給付金)のトレースが不十分だと、不合格になっていたことになります。その意味では、今回の選択式は、かなり恐ろしい出題でした。
ちなみに、平成26年度の選択式試験においても、基本手当からは就職困難者に係る所定給付日数の問題の1問だけです。
基本手当が学習上、最も重要であることは間違いないのですが(他の給付の学習の前提になるからです)、こと選択式試験ということでは、今回更新する各給付や就職促進給付以下の給付、そして、給付通則が非常に重要ということになります。
今回の傷病手当以下の各給付については、内容自体が非常に難しいといった個所は少ないはずです。そこで、今回の学習のポイントは、効率よく整理して記憶することにあります。
その際、(再述になりますが)まずは、基本手当について理解・記憶していることが前提となります。
当サイトをお読み頂くと判明しますように、基本手当と比較しながら説明を進めていくことが多くなっています。
また、例えば、技能習得手当のなかの受講手当と通所手当、高年齢求職者給付金と特例一時金といったように、今回の各給付の間でも比較しながら学習を進めて頂くのが有用です(理解が深まったり、記憶に残りやすくなったりします)。
まずは、各給付ごとにざっとお読み頂き、二度目に読まれるときに、当サイトの横断整理的な個所にも注意して学習して下さい。
次回は、就職促進給付の更新になります。
2 国年法の改正について
次に、国年法の改正事項についてのお知らせです(主に施行日の決定のお知らせになります)。
いずれも「平成26年改正法(年金事業運営改善法)」に基づく新制度です。
まず、「免除委託制度」に関する施行規則が制定され、同制度が正式実施されることになりました(平成28年1月1日施行)。
また、「特定事由に係る保険料の納付等の特例」及び「付加保険料の納付等の特例」の施行日(平成28年4月1日施行)が決定されました。
(これらについては、「国民年金制度の沿革」のページの「平成26年改正法(年金事業運営改善法)」(国年法のこちら以下)に関して、すでに改正されていたことについては紹介済みでした。)
(なお、以下の改正事項は、当サイトの国年法でまだ更新していない範囲の問題ですので、初学者の方は、眺めるだけで結構です。当該箇所の更新の際に、本格的に学習することとします。)
(1)全額免除申請の事務手続に関する特例(第109条の2等)=免除委託制度(こちら)
「全額免除申請の事務手続に関する特例」(以下、「免除委託制度」といいます。通達が使用する表現です)は、すでに平成27年7月1日に施行されていた制度ですが、このたび、施行規則が制定され実際にも実施されることになりました。
厚生労働大臣から指定を受けた者(「指定全額免除申請事務取扱者」といいます)が、全額免除(申請全額免除のほか、若年者納付特例も含みます)に該当する被保険者又は被保険者であった者からの委託を受けて、全額免除の申請をすることができることになったものです。
民間の事業者に全額免除申請の手続を委託できることとして、被保険者等の全額免除申請の手続の負担を軽減し、その申請の機会を拡充する趣旨です。
大まかには、「学生納付特例事務法人」による学生納付特例の申請等の代行の制度の申請全額免除版というイメージだと思います。
「学生納付例事務法人」については、択一式の【平成23年問3E】と【平成27年問3B】で出題があります。この【平成27年問3B】は、平成26年10月1日施行の改正を受けて出題されたものです。
このように、国年法では、最新の改正事項が出題されることが多く、今回の3つの改正事項についても注意が必要です。
(2)特定事由に係る保険料の納付等の特例(法附則第9条の4の7から第9条の4の12まで)(こちら)
次に、「特定事由に係る保険料の納付等の特例」とは、被保険者又は被保険者であった者は、特定事由(国民年金法その他の政令で定める法令の規定に基づいて行われるべき事務の処理が行われなかったこと又はその処理が著しく不当であることをいいます)により特定手続(一定の申出・申請)ができなかった場合や、保険料の納付ができなかった場合において、厚生労働大臣にその旨の申出をすることができ、厚生労働大臣の承認があったときは、当該申出に係る期間について被保険者期間等とみなされ、また、当該期間について特例保険料の納付、特例付加保険料の納付又は追納が可能になること等を定めた制度です。
即ち、行政側の事務処理の誤り等の事由により国民年金の手続の機会を逸失した場合において、その年金権の保護を図るものです。平成28年4月1日の施行と決まりました。
特定手続の具体的内容を定めた政令が未制定であるなど、まだ細部が確定していませんが(従って、当サイトでも、後に記載内容の補充を予定しています)、かなり情報量があり、厄介な個所です。選択式の素材になりやすいキーワードもあり、今回の3つの改正の中では、もっとも注意です。
受験経験者の方は、さしあたり、当サイトをざっと一読して、どのような制度なのかの「当たり」をつけて頂き、細部の把握等は、特定手続の内容(付加保険料の納付の申出、任意加入の申出、保険料免除の申請になりそうです)が明らかになってからで足りるでしょう。
(3)付加保険料の納付等の特例=特定付加保険料の制度(平成26年改正法附則第12条、第13条)(こちらです)
付加保険料を納期限までに納付しなかったために付加保険料の納付を中止したとみなされた者(平成24年制定の年金機能強化法による改正(平成26年4月1日施行)が行われる前は、改正前の第87条の2第4項により、この納付の中止が規定されていました)は、平成28年4月1日から起算して3年を経過する日(「特定付加保険料納付期限日」といいます)までの間、厚生労働大臣の承認月前10年以内の期間に限り、付加保険料の納付を行うことができるものとされました(平成28年4月1日施行)。
この納付の対象となる付加保険料を「特定付加保険料」といいます。この特定付加保険料が納付された分、原則として、付加年金が増額されます。
(前記(2)で「特例付加保険料」という用語も登場しており、本件の「特定付加保険料」と非常に紛らわしく、注意です)。
本制度も、付加保険料を学習する際に、ひと通り押さえておく必要があります。
一元化法のカバーだけでも大変なのですが、今回、3つの改正も加わり、なかなか大変です。
最終的に、今回の3つの改正事項は必ず押さえる必要があります。しかし、その前に、まずは、国年法の基本的事項をマスターすることが重要です。今回の改正事項は、いずれも「保険料」に関する問題であり、当サイトの更新が「保険料」に進んだ際に学習して頂ければ結構です。
次回は、国年法の「振替加算」の更新の予定です。ここも一元化法による改正の影響がある個所です(例えば、振替加算の要件として、老齢厚生年金等の額の計算の基礎となる被保険者期間等(加入期間)の月数が240(原則)以上あることが必要なのですが、この240月として、第1号から第4号までの各号の厚生年金被保険者期間が合算されることになりました。つまり、今までと異なり、共済組合の組合員等の期間も合算して20年になれば良いということです)。
また、老齢基礎年金の受給権者が、被用者年金の老齢退職年金給付(その額の計算の基礎となる被保険者期間等の月数が240以上(原則)であるもの)の受給権を有するときは、振替加算は行われませんが、この240月にも各号の期間が合算されます。
以上の期間合算の問題については、一元化法の施行日との関係について注意すべき点もあります。
なお、当サイトでは、振替加算の更新の際に、併せて厚年法の加給年金額の個所も更新することとします。
・平成27年12月31日(木)
今回の更新は、雇用保険法と国民年金法です。大晦日に更新する予定はなかったのですが、年末、改正が相次ぎ、スケジュールが壊れました。。
改正の方は、この両科目のほか、延滞金の関係になります。が、かなり長くなりますので、今回は、改正については延滞金と雇用保険法に関する事項をお知らせし、国年法の改正事項についてはさわりの紹介だけとして、詳細は年明けにお知らせします。
1 更新について
(1)まず、雇用保険法の更新です。
今回は、基本手当の後半の更新となり、「変更」以下の問題になります。
・更新開始ページ=「第2 変更」の「§1 延長給付」のこちら
・更新終了ページ=「第3 消滅」のこちら
次回は、「基本手当以外の一般被保険者の求職者給付」(傷病手当等)からの更新となります。
(2)次に、国民年金法の更新です。
こちらは、更新の分量が少なく、老齢基礎年金の基本年金額の周辺のアップとなります。
・更新開始ページ=「第2項 効果」のこちら
・更新終了ページ=「基本年金額」(加入可能月数)のこちら
次回は、「振替加算」からの更新となります。
(3)以上の更新について、まず、雇用保険法については、主に「延長給付」、「給付制限」及び「給付の通則的事項」(未支給給付、不正利得の返還命令等、受給権の保護、公課禁止)を学習します。
非常に重要な個所であり、十分な学習が必要です。
(ア)延長給付
延長給付については、まずは、こちらの表をベースにして頂き(ゴロ合わせを参考に覚えて下さい)、細かい知識で肉付けしていって下さい。
過去問からすると、最終的には、かなり細かい知識まで押さえる必要がありますが、さしあたりは、訓練延長給付の3つの違いなど、基本的な事項を正確に理解・記憶しておくことが重要です。
(イ)給付制限
給付制限も、情報量が多く、学習が厄介な個所です。
ここでも、こちらの表(この下にも、さらに2つ表があります)をベースにして知識を整理して下さい。
「離職理由による給付制限」は、とりわけ情報量が多いのですが、細部については、過去問を指標にして、過去問出題個所とその関連箇所を押さえて下さい。
(ウ)給付の通則的事項
未支給給付等、労災保険法ですでに学習した事項が多いです。が、労災保険法の場合と微妙に異なるものがあり、その違いに注意して学習を進めて下さい。ここも手が抜けません。
(4)次に、国年法の更新内容についてです。
今回は、基本年金額の計算が主問題です。
この点は、今回の択一式試験の【平成27年問10】において、「平成21年4月」の前後の期間に係る保険料免除期間を有するケースの計算問題が出題されてしまいました。
今回の択一式試験で、個人的には、最もインパクトのあった問題の一つであり、まったくわからなかった受験生が少なくなかったものと思われます。
昨年度版の当サイトでは、この基本年金額の計算方法について、詳しすぎるほど記載していたのですが、残念ながら、「出題の危険があるため要注意」といったような指摘をすることはできませんでした。
今後は、このような計算問題がルーティーン化する可能性がありますから、計算方法の理解が必須になりました。当サイトを熟読して下さい。
以上が今回の更新内容です。続いて、改正事項についてのお知らせです。
2 改正事項
(1)延滞金(特例基準割合)について
まず、平成28年の延滞金の特例基準割合が決まりました(まだ、当サイトでは延滞金まで進んでいませんが、改正内容の紹介だけしておきます)。
結論としては、平成27年と同様です。即ち、平成28年の財務大臣が告示する割合については、0.8パーセントと告示されたため、平成28年における特例基準割合は1.8パーセントになります。
徴収法においては、こちらで記載しています(詳細な説明は、その上部にあります)。また、国年法、厚年法及び健保法についても、それぞれ改正内容を反映させて書き換えています。
この延滞金の割合の特例は、今回の健保法の選択式で出題されてしまいました。
今後も、延滞金の割合の特例により、「納期限の翌日から2月(社会保険の場合は3月)を経過する日までの期間については年2.8パーセント、納期限の翌日から2月(社会保険の場合は3月)を経過する日の翌日以後については年9.1パーセント」となることは記憶しておく必要があります。
(2)雇用保険法等の改正について
(ⅰ)すでに改正が行われることについて当サイトでも言及はしていましたが、雇用保険法の届出について、マイナンバー制度に関連した改正が行われました(平成28年1月1日施行)。
雇用保険法の届出について、「個人番号」又は「法人番号」の記載が必要になるものが確定しました。
まず、「事業主が行う届出」において、「事業所に関する届出」(3つ)について、「法人番号」の記載が必要となり(こちらの表の右欄に「法人番号」の表示をつけました)、また、「被保険者に関する届出」のうち、「資格取得届」(発生)、「氏名変更届」(変更)及び「資格喪失届」(消滅)の3つについて、「個人番号」の記載が必要となりました(こちらの表の右欄に「個人番号」の表示をつけました)。
上記の他にも、個人番号の記載が必要になる届出等があります。
・「被保険者等が行う届出等」について「個人番号」の記載が必要なものについては、こちらでまとめています。
・また、日雇労働被保険者の資格取得届についても、「個人番号」の記載が必要になりました(こちら)。
以上の改正部分については、本文中の該当個所においても、【平成28年度試験 改正事項】として表示しています。
どの届出に「個人番号(又は法人番号)」の記載が必要になったのかは、押さえておく必要がありそうです。
例えば、雇用保険法における「代理人選任届には、法人番号を記載する必要がある」とか、「転勤届には、個人番号を記載する必要がある」といった設問の正誤を判断できるようにしたほうがよいです(いずれも誤りの内容です)。
(ⅱ)問題は、このようなレベルを超えて、例えば、「雇用保険被保険者資格取得届の提出は事業主の個人番号関係事務にあたり、従って、事業主は、個人番号関係事務実施者として当該資格取得に係る本人から個人番号の提供を受ける際に、その者が本人であることを確認するための措置(本人確認措置)として政令で定める措置をとったうえで、その個人番号を記載した資格取得届を個人番号利用事務実施者である所轄の公共職業安定所長に提出しなければならない」といったように、マイナンバー法の知識(色付き部分です)がふんだんに必要になるような出題が行われる可能性があるのかどうかです。
このマイナンバー法(正式には、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」です。当サイトでは、「マイナンバー法」又は「番号法」といいます)に関する事項は、 広い意味では「労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識」には含まれるといえます。
例えば、ある届出について、誰が本人確認義務を負うのかが問題になることがあり(事業主なのか、被保険者(被用者)なのか等)、このようなマイナンバー制度関係の知識は、社労士が実務を行うために不可欠な一般常識であることは間違いありません。
ただ、こと試験対策という面からすると、マイナンバー法をどの程度まで学習する必要があるのかは、難しいところです(例えば、住民基本台帳法についても、社労士が把握しておくべき一般常識である事項は含まれていますが、だからといって、試験対策として住民基本台帳法を事細かに学習する必要があるとはいえません)。
この点、マイナンバー法については、施工直後であることや何かと話題も多いことを踏まえますと、少なくとも用語の定義やいくつかの仕組みの趣旨については学習しておくと安全とはいえます。例えば、上記の「個人番号関係事務実施者」といった用語が設問中に登場してくることはありえ、これらの用語の意味は把握しておいた方がよさそうです。
このような事情、また、マイナンバー制度関係の知識が各法のあちこちに散らばってきており学習の効率上問題が出てきたことを考慮しまして、今回、マイナンバー法について新たに書き起こし、基本的事項について一括してまとめておくことにしました。こちら以下をご覧下さい(とりあえず「社会一般」の個所で掲載しています)。
(ⅲ)なお、労災保険法については、以前に、マイナンバー制度に関連した改正の情報(通達)をお伝えしました(労災保険法のこちらです)。
今回、労災保険法の届出の様式の改正等についても確定しました。
上記の労災保険法の届出のページにおいて、マイナンバー法に関する記載を追加する等の加筆を行っています。
3 結び
ということで、元旦も近づく中、大量の更新、誠に申し訳ございません。お正月休みで少々時間がある場合は、当サイトのマイナンバー法関係あたりを一読して頂くのも有用です。
次回は、雇用法及び国年法の更新を行うとともに、国年法の改正事項についてお知らせします。
国年法の改正事項とは、「免除委託制度」の正式実施、並びに「特定事由に係る保険料の納付等の特例」及び「付加保険料の納付等の特例」の施行日の決定(平成28年4月1日施行)です。
免除委託制度は、すでに施行されていたのですが、施行規則が制定されていず、実際は実施されていなかったものです。今回、施行規則が制定され(平成28年1月1日施行)、一応、実際にも実施されることになりました。
「特定事由に係る保険料の納付等の特例」及び「付加保険料の納付等の特例」は、平成26年改正法(年金事業運営改善法)により新設された制度ですが、施行日が未定でした。が、今回、平成28年4月1日施行と決定し、試験対象に含まれました。
これらの制度(特に「特定事由に係る保険料の納付等の特例」)は、試験対策上、十分注意する必要があります。詳細は、次回、お知らせします。
では、この一年、お付き合い頂き、有難うございました。私の方は、膨大な改正をひたすら処理していたような一年でして、今年の元旦も今年の最後の日も改正に関する改訂作業をしていました。。
しかし、会員の方から、どこどこが分かりやすかった等のお声をかけて頂いたことも少なくなく、励みの多い年でした。引き続き、来年も全力投球で進みたいと思います。
来年が皆様にとって素晴らしい一年であることを心よりお祈りしております。
・平成27年12月23日(水)
今年も、いつのまにか終わりそうになっています。つい先日は、春だったのですが、もうお餅の季節です。
1 国年法の更新について
今回は、国年法の第3回目の更新です。老齢基礎年金の支給要件に関する個所になります(「第2項 効果」(年金額等)の手前までの更新です) 。
・更新開始ページ=「第3編 事業」のこちらです。
・更新終了ページ=「受給資格期間の短縮特例」のこちらです。
老齢基礎年金の支給要件に関する部分であり、非常に重要な個所です。
しかし、奥が深く、難しいです。というよりも、年金法の学習では、簡単な事項の方が少ないです。年金法がいかに難しいかは、国年法や厚年法の法附則・改正法附則の条文を一読すれば、容易に判明します。
おそらく、数ある法律の中でも、最も読みにくい条文の一つが年金法の条文です。主要な法律の中では、会社法の条文がかんばしくないですが、年金法の条文は比較にならないほど先を進んでいます。。
(ただ、これは条文の作り方が悪いというより、主として制度が複雑すぎることに起因しています。つぎはぎだらけなのです。優秀な役人だからこそ、あちらこちらに散らばっている条文を何とか整合させてまとめあげているのであって、我々が年金法の条文を作ったら、ミスだらけになり、年金制度が崩壊することでしょう。。)
ちまたでは、年金法と税法の条文が、二大「ダースベイダー」だと噂されています。
無駄話が多くなりましたが、目標は合格することにありますから、合格のため必要な範囲に学習を絞り込む必要があります。その点で、年金法の条文を読む際には、読まなければならない条文と読むと日が暮れてしまうような条文とを区別して学習する必要があります。サイト上で、読むべき条文とそうでない条文とを区別していますので、参考にして下さい。
(1)まずは、老齢基礎年金の体系・全体像をこちらの図で大まかに眺めておいて下さい。
今回は、この図のうち、支給要件について学習します。
支給要件は、大別して、(ⅰ)保険料納付済期間等を有すること、(ⅱ)支給開始年齢(65歳)に達していること、及び(ⅲ)受給資格期間を満たすことの3つになります。
老齢厚生年金の支給要件の場合も、この3つがベースになります。
このうち、保険料納付済期間(上記の(ⅰ)及び(ⅲ)で関係します)は、年金法の理解のためにキーになる概念の一つです。国民年金の給付の支給要件や支給額の計算の基礎となる期間のことです。
保険料納付済期間の体系は、こちらの図のとおりです。
保険料納付済期間は、大きくは、「新法上の期間(昭和61年4月1日以後の期間)」に係るものと「旧法上の期間(昭和61年4月1日前の期間)」に係るものに分けられます(以下、初学者の方には、細かい事項になりすぎています。おいおい理解できますので、さしあたりは読み流して下さい)。
まず、「第1号被保険者としての被保険者期間(任意加入被保険者としての被保険者期間も含みます)のうち、保険料を納付した期間」、「第2号被保険者としての被保険者期間」及び「第3号被保険者としての被保険者期間」を合算した期間が、保険料納付済期間となります(第5条第1項。一元化法による改正によって、従来の第5条第2項から第1項に繰り上がっています)。
これが「新法上の期間」に係る保険料納付済期間です。
(第1号被保険者については「保険料を納付した期間」が問題になっているのに、その他の被保険者についてはそれが問題になっていない理由については、本文(こちらの「趣旨」の個所)をご覧下さい。また、老齢基礎年金とその他の基礎年金との間で保険料納付済期間の捉え方が異なることについても、本文(こちら)をご覧下さい。)
以上の「新法上の期間」だけでは、昭和61年4月1日前に旧国民年金や旧厚生年金保険に加入していた期間が保険料納付済期間として考慮されていません(第1号被保険者、第2号被保険者及び第3号被保険者は新法の制度であり、昭和61年4月1日以後の期間について問題になる概念であることに注意です)。
そこで、「旧法上の期間」に係る保険料納付済期間も問題になり、これは昭和60年改正法附則第8条で規定されています(この条文は、主として旧法上の期間の取り扱いについて定めたものですが(合算対象期間等を含みます)、とてつもなく長く、内容も難しいです。重要な条文ですが、取扱いに要注意条文です。当サイトでは全文を解説付きでこちらで掲載していますが、初学者の方は読まないで下さい。本編で断片的に紹介しています)。
この「旧法上の期間」については、「旧国民年金法の被保険者期間」と「旧被用者年金制度の加入期間」に分けられます。
昭和61年4月1日前(昭和36年4月1日(旧法の施行日)以後)の旧国民年金法の被保険者期間(任意加入被保険者としての被保険者期間も含みます)のうち、保険料を納付した期間も、保険料納付済期間となります(昭和60年改正法附則第8条第1項)。
また、昭和61年4月1日前の旧被用者年金制度の加入期間(旧厚生年金保険(旧船員保険)の被保険者期間又は旧共済組合の組合員等の期間)も、保険料納付済期間になります(昭和60年改正法附則第8条第9項)。
以上が保険料納付済期間の概要です。
ただし、もう一つ覚えておくべき事項として、被用者年金一元化法の下での共済組合の組合員等の期間の取扱いの問題があります。
即ち、被用者年金の一元化によって、一元化法の施行日(平成27年10月1日)前の「共済組合の組合員等の期間」は、原則として、第2号から第4号までの厚生年金被保険者期間とみなされることになりました(被用者年金一元化法附則第7条第1項)。
そこで、昭和61年4月1日以後(平成27年10月1日前)の共済組合の組合員等の期間は、この一元化法附則第7条第1項によって「第2号から第4号までの厚生年金被保険者期間」とみなされますから、国民年金の「第2号被保険者としての被保険者期間」に該当し、保険料納付済期間になります(なお、平成27年10月1日以後の共済組合員等の期間は、一元化後の期間ですから、当然に厚生年金保険の被保険者期間にあたるため、「第2号被保険者としての被保険者期間」になります)。
また、昭和61年4月1日前の共済組合の組合員等の期間(この期間も、上記一元化法附則第7条第1項によって、「第2号から第4号までの厚生年金被保険者期間」とみなされます)については、昭和60年改正法附則第8条第2項 及び第9項において、当該第2号から第4号までの厚生年金被保険者期間も保険料納付済期間にあたる旨が定められています。
以上やその他の重要知識を簡潔にまとめたものが、前掲(こちらの図)の保険料納付済期間の体系図になります。
結論としては、一元化法による改正前とほぼ異ならないのですが、そこに至るまでの条文操作がやや面倒になっています。
試験対策としては、前掲の体系図を押さえ、本文中での太字部分等を理解しておけば足りますが、上記のような一元化法の下での条文操作についても、一度は知っておいた方がよいといえます。
このような具合に、年金法はかなり難しいです。しかし、前述のとおり、あくまで合格が目標ですから、あまり手を広げ過ぎないことも重要です。年金法の学習の際は、いわば「守りの姿勢」で進めるのがよろしいかと思います(得点源にするというより、最少失点で守り切るという姿勢です。あまり深く入り込むと、条文読みだけに長時間を取られ、合格が遠のいてしまいます。深い学習は、合格後に残しておきます)。
ということで、長々と年金法がいかに難しいかを述べてきましたが、これは皆様の年金法の学習のやる気をそぐ意図ではなく、逆の意図によるものです。つまり、「年金法は難しいので、少々わからなくても気にする必要はなく、どんどん先に進んで大丈夫です」ということです。「少々わからなくても、安心して下さい」です。
初学者の方の場合、年金法を懸命に学習されても、おそらく、厚年法の学習が終わったあたりで、ようやく国年法で学習した意味がぼんやりと判明してくるといった状況であることが少なくないと想像します。
難しい個所は沢山ありますが(今後、年金額の計算、振替加算、支給の繰上げ・繰下げといった恐ろしく難しい問題が登場してきます)、学習が進んでいくと自然に解決する問題も多いですので、ぜひ途中で挫折するようなことなく、たんたんと年金法の学習を進めていって頂きたいと思います。
今回の更新範囲でも、「合算対象期間」は超難問です。国年法で最も難しい個所の一つです。
さしあたりは、こちらの概観の個所で掲載しているいつくかの図をベースに本文をざっとお読み下さい。初学者の方は、さっぱりわからない個所が多いと思いますが、最終的に重要個所を把握して数字等を記憶できれば十分であり、初めのうちは流し読む感じで結構です。
2 健保法の改正に関する改訂について
現在、健保法の改正事項の改訂作業も行っています。さしあたり、傷病手当金から開始しています(傷病手当金及び出産手当金については、ほぼ終わりました。ただ、健保法全体の改正の改訂がもう少し終わった段階で、改訂した個所等はご案内します)。
3 ツィッター、アメブロについて
そういえば、新年度になってから、ツィッター等を一度も更新できていません。この更新日記を書くだけで手一杯になっており、なかなか時間が取れません。改正がこれでもかというほどあり、昨年より忙しいです。何とか今年中に一度は更新したいです。
次回は、雇用法の基本手当の後半をアップする予定です。
では、年の瀬、何かと忙しいですが、無理をされないようお身体を第一にお過ごし下さい。
・平成27年12月20日(日)
1 ブラックになった社労士
年末が近づき、雑用が増えてくる時期です。掃除やら粗大ごみの整理やら、なにかと忙しくなります。なんとか学習時間をひねり出して頂き、学習をお進め下さい。
そうそう、変な社労士が話題になっていますね。
来年の受験者数に、この極悪社労士の影響があるでしょうかね? 例えば、社労士の試験を受けようかどうか迷っているような人の場合、社労士はなんとなくブラックだから、受験するのやめようとか。
また、来年の試験内容や合格率の設定に影響しないかが問題です。来年は、社労士法は、少し念入りに勉強しておいた方がよいかもしれません。
今回の極悪社労士が氷山の一角に過ぎないとしたなら、今後も、合格率が低いままで落ち着くということがありえなくもありません。試験制度改革の本格化に結びつく可能性もあります。
まあ、考えだすと切りがないですが、これらは我々がコントロールできることではありませんので、単なる世間話です。我々がコントロールできることは、学習時間をひねり出すことです。
2 雇用保険法の更新
今回は、雇用保険法の第3回目の更新となり、「基本手当」の「発生」に関する部分をアップします。
・更新開始ページ=「第3編 事業」(こちら)
・更新終了ページ=「〔Ⅲ〕その他=支給方法等」(こちら)
基本手当の前半部分の更新となり、「変更」(延長給付等)の手前までになります。
この基本手当の「発生」に関する個所では、次のような項目を学習します。
§1 支給要件=受給資格の要件
〈1〉算定対象期間
〈2〉被保険者期間
§2 手続=受給手続
〔1〕求職の申込み、受給資格の決定
〔2〕失業の認定
〔3〕待期期間
§3 効果
〔Ⅰ〕支給額の問題=基本手当日額
〔Ⅱ〕支給日数、支給期間の問題
〔1〕所定給付日数
〈1〉所定給付日数
〈2〉算定基礎期間
〈3〉特定受給資格者
〈4〉特定理由離職者、就職困難者
〔2〕受給期間
〔Ⅲ〕その他=支給方法等
基本手当の「発生」に関する問題は、大きくは、「要件」、「手続」及び「効果(広義)」という3つの視点から整理できます(「手続」の問題は、広義の「要件」の問題でもあります)。
まずは、これらの大きな視点を用意し、これら3つの中で何を学習するのかを把握して頂くと、全体構造がわかりやすいです。
今回の更新個所は、基本手当(ひいては雇用保険法)の最重要個所であり、細かい問題もたくさん登場します。これらの細かい問題も、基本的には覚えなければならず、学習がかなり大変です(とりわけ、特定受給資格者や特定理由離職者の個所では、細かい知識が多いです)。
ぜひ、何度も何度も読み返して頂き、覚えて下さい。ゴロ合わせも用意しているのですが、細部の知識については、やはり、何度も反復して眺めて頂いて覚えこむ他ありません。
雇用保険法の場合も、ある程度、記憶が充実してきますと、次第に学習が面白くなってきます。その段階になるまでは、頑張って記憶していくことが必要です。
では、次回は、週の半ば辺りに、国年法の老齢基礎年金の支給要件のアップをします。
・平成27年12月14日(月)
1 国年法の第2回目の更新について
今回は、国年法の第2回目の更新として、「届出関係その他」をアップしました。
・更新開始ページ=「届出」の最初のページ(こちら)
・更新終了ページ=「第2編 客体」(こちら)
「第3編 事業」の手前までの更新となります(「老齢基礎年金」の手前までということです)。
今回の更新内容となる項目は、次の通りです。
第3章 届出
第1節 被保険者が行う届出
第1款 第1号被保険者が行う届出
第2款 第3号被保険者が行う届出
第2節 受給権者等が行う届出
第3節 その他の者が行う届出(死亡届)
第4節 第3号被保険者の保険料納付済期間に関する特例
第1款 第3号被保険者に係る届出の遅滞と保険料納付済期間=特例による届出(3号特例届)
第2款 重複3号期間の特例=第3号被保険者期間と重複する第3号被保険者以外の期間が判明した場合の保険料納付済期間の特例
第5節 第3号被保険者としての被保険者期間の特例=3号不整合記録問題
第4章 その他
第1節 国民年金手帳
第2節 国民年金原簿
第3節 訂正の請求=特定国民年金原簿記録の訂正請求の制度
第4節 被保険者に対する情報の提供
第2編 客体
以上のうち、「第2編 客体」は、すでに「序論」で説明したような内容であり、あまり問題がありません。
そこで、今回は、「第3章 届出」と「第4章 その他」が学習の中心になります。
今回の更新範囲の事項は、出題されやすい問題も多く、十分学習しておく必要があリます。しかし、特に「受給権者等が行う届出」など、国年法全体(さらには厚年法)の知識が必要となるものも多く、また、近時の改正事項であるヘビー級の問題も含まれており、学習が非常に厄介です。
そこで、次のような学習方法が有用です。
(1)まず、今回の更新範囲の最初のページから、「第1節 被保険者が行う届出」(第1号被保険者又は第3号被保険者が行う届出)の最後まで(こちらのページまで)は、出題も多く、非常に重要です。
初学者の方も、頑張って読み込んで下さい(一度に理解したり覚えたりしにくい事項が少なくありません。さしあたり、図がある部分やゴロ合わせがある部分あたりから理解し記憶し始めて下さい)。
雇用保険法の届出においても学習しましたが、届出に関する問題の全体構造を押さえて頂くと、かなり見晴らしがよくなります(ただし、国年法の届出は、「事業主が行う届出」がなく、届出の中ではイレギュラーなものとなりますので、雇用保険法(やこれから学習する厚年法・健保法)の届出の全体構造をベースに押さえて頂くとよろしいです。国年法の被保険者が行う届出については、こちらの図をもとに知識を整理して頂くのが効率的です)。
なお、今回の更新範囲では、被用者年金一元化法により改正された個所が少なくないですが、単純に用語が入れ替わったような改正が多いです。
例えば、第3号被保険者が行う届出についての経由の問題では、従来は、「厚生年金保険法の被保険者である第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者」と規定されていた個所が、一元化法による改正後は、「第1号厚生年金被保険者である第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者」と改められています(第12条第6項。少し条文を崩して記載しました)。
この両者は、基本的には同じ内容を定めています。要するに、「一般被用者である厚年法の被保険者の被扶養配偶者」である国年法の第3号被保険者ということです。
改正前からわかりにくい表現の個所でしたが、改正により、厚年法にも第1号から第4号までの被保険者が登場したため、国年法の第1号から第3号までの被保険者と一層紛らわしくなりました。よく文言に注意してお読み頂く必要があります。
確かに、正確に表現するとなると、上記の条文のような表現にならざるを得ないところですが。
以上の「被保険者が行う届出」は、わかりにくくはありますが、そう複雑ではありません。
(2)対して、「受給権者等が行う届出」(こちら以下)は、年金法全体を学習してからでないと、理解ができない事項がほとんどです。
従いまして、年金法がある程度得意な方は除き、初学者等の方の場合は、この「受給権者等が行う届出」については、最初のページ(こちら)とその次のページ(現況届。こちら)を読んで頂いたら、「残り」はさしあたりはカットして頂いたほうが良さそうです(本来は、この「現況届」のページもカットして頂いて良いのですが、途中に「マイナンバー制度」に関する説明(こちら)が挿入されていますので、その部分を読んで頂くとよろしいです)。
この上記2ページのあとは、「第3節 その他の者が行う届出(死亡届)」(こちら)と「第4節 第3号被保険者の保険料納付済期間に関する特例」の「第1款 第3号被保険者に係る届出の遅滞と保険料納付済期間=特例による届出(3号特例届)」(こちら)をお読み頂くと良いです(ただし、この3号特例届のページの後半に記載されている「重複3号期間の特例」(こちら)は難しいので、ここらあたりもスルーして頂いた方が良いです。
その後は、「第4章 その他」(こちら)に入って頂き、「国民年金手帳」や「国民年金原簿」などの記載をざっと一読して下さい(これらの中にも細かい内容がありますが、初めのうちは深入りせずに読み進めて下さい)。その後の「第3節 訂正の請求=特定国民年金原簿記録の訂正請求の制度」(こちら)も、レベルが高い問題なので、まずは、おおまかな概観を押さえる程度で結構です。
以上のように、今回の更新個所は、ほとんどが難しい問題(学習が進んでから理解できるような問題)ばかりになっており、さっと済ませて、次の老齢基礎年金に早めに入って頂いた方が良さそうです。
ただし、平成27年度の選択式試験の5問がすべて今回の更新範囲から出題されていることからも明らかなように、今回、「さっと済ませて」頂くページの中に、重要事項が多数詰まっています。従いまして、最終的には、熟読して頂く必要があります。
なお、「受給権者等が行う届出」(こちら以下)については、従来は、さほど出題もなく、あまり深入りしないで大丈夫だったのですが、近時、ちらほら出題されるようになり、平成27年度は選択式(2問)のほか、択一式でも3肢出題されており、もはや軽視できなくなりました。従って、学習の最終段階では、今回の届出の個所全般を、しっかり読み込んで頂く必要があります。
2 厚年法の実施機関等の改訂について
国年法の学習の際、厚年法の知識が必要になることが次第に増えてきます。
さしあたり、厚年法の「実施機関」に関係する事項について改訂(追加)しておきましたので、ご案内します(厚年法のこちらです)。
※ なお、この改訂をしている際に気づいたのですが、国年法の主体の「保険者」の個所で、訂正個所がございます。
従来、国年法の「実施機関たる共済組合等」の記載(国年法のこちらです)の中で、2「地方公務員共済組合連合会」の(B)として、「地方職員共済組合、公立学校共済組合、警察共済組合、東京都職員共済組合」のほかに、「指定都市職員共済組合」も含めて記載していたのですが、正しくは、この「指定都市職員共済組合」は、(B)ではなく、(D)の中に入ります。
従いまして、従来は、(D)として、「市町村職員共済組合及び都市職員共済組合」と記載していただけなのですが、これに「指定都市職員共済組合」を追加させて頂き、(B)の中からは「指定都市職員共済組合」を削除させて頂きました(なお、若干、条文番号も挿入しておきました)。
お詫びの上、訂正させて頂きます。
3 厚年法の記載の追加について
従来、厚年法の「序論 厚生年金保険法の目的、体系、沿革等」(厚年法の冒頭から3ページまで)は改訂済みとして公開してきましたが、もう少し加筆する必要を感じ、今回、追加等の記載を行いました。主として、こちらのページの「2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の特例」に関する記載の追加になります(その他、標準報酬の図中の標準賞与額の上限が改正後の573万円に修正されていなかったこと等の補正も行っています)。
この「2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の特例」については、今回の一元化法による改正の中で難しい問題の一つになります。新規入会された会員の方に、厚年法の改正の概観としてメールを送ったことがあるのですが、あまりわかりやすい内容でもなかったため、今回、内容を見なおして、改めて追加記載致しました。今回は、以前よりは、多少、わかりやすくなっているかとは思います。
具体例や遺族厚生年金のケースなどは、厚年法の本文で記載します。
4 国年法・厚年法の不服申立ての追加について
先に、国年法と厚年法の不服申立てについて更新致しましたが、今回、次の記載を追加させて頂きます。
(1)国年法=「第5款 第2号から第4号までの厚生年金被保険者期間に係る確認に関する処分に対する不服申立て(法附則第7条の5第3項)」(国年法のこちらです)
(2)厚年法=「第5款 他の被保険者の種別に係る被保険者であった期間の確認に関する処分に対する不服申立て(法附則第7条の2第3項)」(厚年法のこちらです)。
この(1)及び(2)のいずれも、従来から同内容の規定があったのですが(共済組合に関係する問題であり、従来は、無視していました。出題例もありませんでした)、被用者年金一元化法の改正により、注意しておく必要があると考え、追加記載させて頂きました。
特に、(1)の国民年金のケースは、出題しやすいキーワードを含んでおり、チェックしておく必要がありそうです。
次回は、雇用保険法の基本手当の更新を予定しています。その後、国年法は老齢基礎年金に入ります。
・平成27年12月9日(水)
今回は、雇用保険法の第2回目の更新です。届出関係のアップとなります。
こちらの「第3章 届出等」のページから、「第2編 客体」の保険事故・賃金の最後(こちら)までです。
この届出関係は(も)、非常に重要です。届出のほか、離職証明書・離職票といった頻出事項も含んでいます。
また、他の科目の届出と共通する考え方・体系を紹介していますので、整理の参考にして下さい。
なお、この届出関係については、まもなくマイナンバー制度の実施に伴う施行規則の改正が行われるはずです。届書に個人番号を記載する等の改正が行われることになっています(試験対策上は、それほど大掛かりな改正ではないと思います。ただし、改正される条文が多数にわたるため、テキスト作成者にとっては頭が痛い問題です)。
そろそろ改正されるかと更新を保留していたのですが、いったん更新したうえで、改正が明らかになりましたら補正することとします。
なお、マイナンバー制度における基本的な概念等については、次回に更新する国年法の届出の際に若干紹介することとします。
・平成27年12月6日(日)
今回は、国年法の更新の開始についてお知らせします。
今回は、国年法の冒頭から被保険者期間の最後(こちらのページ)までの更新となります(「届出」の手前までです)。
「国民年金法の目的、体系、沿革等」のほか、「保険者」の関係と「被保険者」の前半(届出等を除く部分)を更新します。
かなりボリュームがあり、お読み頂くのも時間を要しますが、後述の通り、「保険者」における細かい問題はカットして頂けます。
1 国民年金法の目的、体系、沿革等
「国民年金法の目的、体系、沿革等」については、とりあえずざっと読んで頂きますが、年金法の全体の学習を終えてからでないと、わかりにくい個所が多いです。
そこで、初学者の方は、あまり深入りせずに、さしあたり公的年金制度の仕組みの概観を押させる程度にして、先に読み進めて下さい。
なお、「国民年金制度の沿革」(こちら)については、覚えて頂く個所は途中までです(本文中にその旨のガイドがあります)。それ以降の沿革については、辞書的にご利用下さい(ある改正が、どの法令によりいつ公布され施行されたのかがわかりにくい場合がありますので、そのようなときに役に立つことがあります)。
2 主体
主体については、大別して、「保険者」の関係と「被保険者」の関係を学習します。
「保険者」の個所で記載しているものは、基本的に、国年法の全体を学習し終えてからお読み頂いたほうが良い事項が圧倒的です。そこで、特に初学者の方は、この「保険者」の個所は、定義等の部分を除いて、ざっと斜め読みだけして頂き、早めに「被保険者」の個所にお進み下さい。
以下、若干の注意事項です。
(1)保険者
(ア)保険者の関係については、被用者年金一元化法の施行による新たな概念の登場等に注意です(こちら)。
即ち、従来の「被用者年金保険者」に代わり「政府及び実施機関」(国年法第5条第8項)という概念が登場し、また、「被用者年金各法」という概念はなくなりました(端的に「厚生年金保険法」となります)。
ややこしいことに、この国民年金法における「実施機関」とは、厚生年金保険法(厚年法第2条の5第1項)における「実施機関」とは微妙に異なります。
国年法第5条第8項の「実施機関」の場合は、基礎年金拠出金の納付主体である共済組合等の意味で使用されているのですが、厚年法の実施機関の場合は、厚生年金保険事業の事務を行う機関の意味で使用されており、両者は異なる趣旨に基づくものだからです。詳細は、厚年法の実施機関を学習すると判明します。以上については、サイトの方にも追加記載をしました。
(イ)なお、「共済組合等による事務の一部の実施」、「市町村長による事務の一部の実施」及び「厚生労働大臣の権限の委任等」については、あまり深入りせずに、国年法の学習全体が終わってから、一度、じっくり読んでみて下さい(ただし、「厚生労働大臣の権限の委任等」についての細かい知識(第109条の4等)は、基本的には不要といえます。後に本文中で、この第109条の4をリンクすることがありますので、その際に少しずつチェックする程度で足りそうです)。
(ウ)「財務大臣への権限の委任」(こちら)は、改正がありましたので、非常に重要です。
ただし、ここも、本来は、国年法の全体を学習してから見て頂いたほうがよく、最初の段階では、ざっと一読程度で結構です。
(2)被保険者
被保険者の個所は、非常に重要です。が、奥が深く、かなり難しい問題もあります。まずは、被保険者の全体構造(こちらの図)を押さえて頂き、この図にある知識を記憶することが肝心です。その後は、資格の取得時期や喪失時期の細かい知識を習得していきます。
(ア)視点
被保険者については、「発生→変更→消滅」という時系列の視点により学習するのが有用です。
「発生=資格の取得」→「変更=氏名・住所の変更、種別の変更等」→「消滅=資格の喪失」という流れになります。
実際は、「変更」と「消滅」の多くの問題については、「届出」の個所で学習します。上記の「発生→変更→消滅」という時系列の視点によって、そのまま各種「届出」の問題も整理できます。この届出については、次回、更新します。
この時系列による視点は、現在、同時更新しています雇用保険法の被保険者のみならず、その他の保険法の被保険者についても同様に適用できます。
(イ)被用者年金一元化法による改正
被用者年金一元化法の施行により、第2号被保険者の定義(要件)が変わりました。「被用者年金各法の被保険者等」という表現が馴染み深いのですが、「厚生年金保険の被保険者」に変わっています。
(ウ)任意加入被保険者
任意加入被保険者は、覚えるべき事項がかなりあります。まずは、「本来の任意加入被保険者」と「特例による任意加入被保険者」に大別して、それぞれの要件(定義)をしっかり記憶することが重要です。
(3)被保険者期間
被保険者期間も重要です。
厚年法の被保険者期間については、被用者年金一元化法の施行により、同月得喪に関する改正があります。国年法にも関係するのですが、この問題は厚年法の被保険者期間の箇所で学習することとします。
次回は、届出関係の更新になります。日曜日前後にアップしたいと思います。一元化法だけでなく、マイナンバー法(政省令では、「番号利用法」と略称しています)による改正もあり、条文を直すのに時間がかかりました。
もっとも、機構の年金情報漏洩問題により、機構は、当面、個人番号(マイナンバー)を利用できなくなりました。そこで、さしあたりは、例えば、従来の「本人確認情報」が「機構保存本人確認情報」に代わるといった文言上の修正しかありません。
このマイナンバー法の施行による改正は、「受給権者等が行う届出」の問題で関係することが多いです。
この「受給権者等が行う届出」は、もともとボリュームがあり、さらには年金法全体の学習を終えてからでないと理解ができない分野であり、学習がかなり厄介でした。
が、平成27年度の択一式では、この分野からちらほら出題があり、今後はあまり軽視できなくなりました。
詳細については、次回の国年法の更新における本文中でご説明します。
・平成27年12月5日(土)
今回は、社会保険に関する不服申立ての改正に関する改訂のお知らせです。
前回、労審法関係(労災保険法、雇用保険法、徴収法)の改正の改訂についてお知らせしました。本日は、社審法関係(国年法、厚年法、健保法)の改正の改訂となります。
1 更新範囲
下記のページの各科目の不服申立てについて改訂しました。
・国年法=こちらのページと次のページ
・厚年法=こちらのページと次のページ
・健保法=こちらのページ
当サイトでは、一応、上記の「国年法→厚年法→健保法」の順に社会保険を学習していく予定になっていますので、今回の不服申立てにおいても、「国年法」において、社審法の知識をすべて掲載し、「健保法」ではほとんど掲載していません(健保法においては、国年法や厚年法の該当個所をリンクしています)。
「厚年法」では、被用者年金一元化法による改正もある関係で、結構、細かく掲載しています。
2 学習方法
初学者の方が、この社会保険に関する不服申立てを簡単に学習して頂くには、まずは、健保法の不服申立ての個所をご覧頂くのがよろしいです(当サイトの健保法では、社審法に関する細かい知識を剃り落とし、出題可能性が高い事項のみを記載していますので、ボリュームが少ないです)。
その後、社審法の細かな知識は、国年法の不服申立ての個所をご覧頂くことで把握できます。
不服申立てを学習する場合、通常は、不服申立期間などの不可欠な知識を除いて、社審法にはあまり立ち入らずに、社会一般の個所で社審法を学習します。
初学者の方は、そのような学習方法が適切です(はじめから細かい知識に深入りすると、整理がつかなくなるからです)。
ただ、社審法の細かい知識の中にも重要なものがあり(労審法の場合はほとんど出題がないですが、社審法の場合は出題歴があります。今回は、「審理の手続」等においても重要な改正がありますので、概観は知っておいた方がよいです)、それをあとから学習するとなると、かえって効率が悪くなるおそれもあり、そのような配慮から、当サイトでは、初めから社審法も含んだ不服申立ての全体知識を紹介する立場を採っています。
ただし、社審法の細かい知識を学習する場合、前提として、不服申立ての制度の骨格を把握しておくことが不可欠です(そうしませんと、知識がバラバラの状態で乱立することになってしまいます)。
不服申立てを学習するポイントは、「開始→審理→終了」という大きな手続の流れを押さえ、これに知識を振り分けていくことです。
民事訴訟や刑事訴訟といった訴訟法においても、この「開始→審理→終了」という手続の流れになります(手続法の骨格ということです)。
この「開始→審理→終了」という流れ、何かに似ていないでしょうか?
これは、当サイトの全体を通じた視点の一つである「発生→変更(展開)→消滅」という時系列の流れとパラレルなのです。
このような視点から、当サイトの不服申立ても構成されていますので、この全体構造を念頭に、細かい知識を押さえていって下さい。
具体的な学習方法としては、不服申立ての構造を図でイメージして頂くこと、不服申立期間等の数字関係はゴロ合わせで覚えておくことが有用です。当サイトでも図やゴロ合わせを掲載していますので、ご参考下さい。
3 被用者年金一元化法の関係
厚年法の不服申立てについては、今回の行審法関係の改正とともに、被用者年金一元化法による改正も加わっていますので注意です。
今回の不服申立ての個所において、共済各法に定める審査機関が登場します。
即ち、厚生年金保険に関する不服申立てとして、(A)厚生労働大臣による特定の処分(即ち、第1号厚生年金被保険者に係る特定の処分)に対する不服申立てと(B)厚生労働大臣以外の実施機関(共済組合等)による一定の処分(即ち、第2号から第4号までの各号の厚生年金被保険者(公務員等である厚生年金保険の被保険者)に係る一定の処分)に対する不服申立てに大別されます。
この後者の(B)の不服申立てについては、従来の共済年金制度の場合と同様に、共済各法に定める審査機関に対して審査請求をすることになっています(基本的に、行審法に基づく審査請求となります)。
具体的には、第2号厚生年金被保険者にあっては国家公務員共済組合審査会、第3号厚生年金被保険者にあっては地方公務員共済組合審査会、第4号厚生年金被保険者にあっては日本私立学校振興・共済事業団の共済審査会が審査機関となります。
来年の試験では、共済組合等の関係は、このような一見単純な個所に注意する必要があります。これらのキーワードは、選択式としても出題しやすい個所です。
(来年は、一元化法の施行後初の試験であり、とりわけ共済組合等の関係については、細かすぎるような事項より、まずは基本的な事項の理解と記憶に努めたほうが良いです)。
いずれにしましても、不服申立ては、従来から出題が多い個所であり、来年の本試験でも改正法が出題されることは必至だと思います。選択式の出題対象にもなりますので、各法の条文は熟読してキーワードを覚える必要があります(健保法の不服申立ての個所で掲載されている条文を参考にして下さい)。
・平成28年11月28日(土)
今回は、労災保険法の更新の最終回と雇用保険法の最初の更新のお知らせです。
1 労災保険法の第5回目の更新について
労災保険法の更新の最終回は、第5編の「その他」です(こちらから)。
今回のメインは、不服申立てです。丁度都合が良いことに、改正された行政不服審査法等の施行が来年4月1日に決まり(26日・木曜日の官報に掲載されました)、当サイトの不服申立ては、初めから改正後の内容をアップすることができました。
(1)不服申立て制度の概観
今回の改正では、行政不服審査法のほかに、行政不服審査法に関連する諸法令が改められています。
今回の行政不服審査法等の一連の改正は、大まかには、古くなった制度を改めて、国民の不服申立ての利便性を高め、不服申立ての公正性を向上させることを目的としています。
この行政不服審査法等の行政不服申立ての全体像は、次のようになります。
即ち、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使については、国民に「行政庁」に対する不服申し立てが認められており(行政不服申立ての制度)、この行政不服申立てに関する一般法・基本法が行政不服審査法(以下、「行審法」といいます)です。
しかし、労働保険や社会保険の不服申立てにおいては、その事案の多発性や専門性等を考慮して、「一定の処分」(例えば、保険給付に関する処分)について特別な不服申立て制度が定められています。
具体的には、労災保険法以下の各法並びに「労働保険審査官及び労働保険審査会法」(以下、「労審法」といいます)及び「社会保険審査官及び社会保険審査会法」(以下、「社審法」といいます)において、この特別な制度が規定されています。
労審法は、労働保険関係の不服申立てについて定め、社審法は、社会保険関係の不服申立てについて定めています。
なお、前記の「一定の処分」以外の処分については、原則に戻り、一般法である行審法が適用されます。
今回の改正では、行審法が改正されるとともに、労災保険法以下の各法並びに労審法及び社審法(以下、これらを「特別法」といいます)も改正されており(その他に、行審法の施行令及び施行規則、並びに社審法及び労審法の施行令も改正されています)、膨大な改正量になっています。
本来の学習の順番からすると、基本である行審法を学習してから、特別法を学習するのがよろしいのですが、行審法はボリュームのある法律であり、社労士試験対策としては、特別法を学習して、発展として(受験に必要な限度で)行審法に手を出す方が効率的なのでしょう。
(2)改正の概要
今回の改正を一言でまとめますと、次の(ⅰ)~(ⅲ)の通りです(ごく大雑把なまとめですので、本文や本文中に記載されているまとめも必ずお読み下さい)。
(ⅰ)不服申立ては、原則として「審査請求」に一元化され、「異議申立て」の制度は廃止されました(行審法の改正です)。
(ⅱ)労働保険及び社会保険に関する不服申立て(行審法が適用される場合は除きます)の不服申立期間については、審査請求が3月以内、再審査請求が2月以内となりました(改正前は、それぞれ60日以内でした)。
(ちなみに、原則である行審法の場合は、審査請求は3月以内、再審査請求は1月以内です。)
(以上については、わかりやすくするため、例えば、「原処分のあったことを知った日の翌日から起算して」といった起算日についてはカットしています。が、この起算日も重要ですので、本文の図等を利用して覚えて下さい。)
(ⅲ)労働保険及び社会保険に関する不服申立て(行審法が適用される場合は除きます)においては、不服申立て前置主義が緩和され、「2重の前置」は廃止され、審査請求前置主義となり、再審査請求と処分の取消しの訴えは自由選択できることとなりました。
(改正前は、審査請求をし、その決定に不服がある場合、さらに再審査請求をしてその裁決を経てからでないと、裁判所に対して当該処分の取消しの訴えを提起できませんでした。改正により、再審査請求の裁決を経ることは不要としたものです。国民の裁判を受ける権利の保障を重視したものです。)
(なお、社会保険における保険料等の処分については、審査請求の前置も不要になりました。詳細は、国民年金の不服申立ての個所(厚生年金保険法のこちら以下)で確認して下さい。)
今回の改正については、不服申立て期間が複数あり、また、行審法と特別法との間で不服申立て期間が異なるものがあるなど、覚えずらいです。
さしあたり、労働保険に関する不服申立てとして、労災保険の不服申立てのこちらの図をベースにして頂き、社会保険に関する不服申立てとして、健康保険の不服申立てのこちらの図をベースにして下さい。
ゴロ合わせは本文で紹介します。
試験対策としては、上記(2)の不服申立て期間や(3)の不服申立て前置主義あたりが最重要といえますが、その他にも出題対象になりそうな細かい点があります(主に労働一般や社会一般での択一式での出題となりそうですが)。本文の赤字・太字部分のチェックをお願いします。
(3)補足
なお、「行審法」の不服申立ては、例えば、労災保険法の場合は、「保険給付以外に関する処分に対する不服申立て」について問題になりますし、徴収法の場合は、すべての不服申立てが行審法に基づくものになります。
当サイトでは、この行審法の不服申立てについても、一応、細かく記載していますが、まずは、こちらのポイントあたりまで(労災保険法のこちら)を押さえて頂くことが必要であり、それ以外は、基本的には、時間に余裕があるときに一度通読して頂くだけで足りそうです。
現在、当サイトの不服申立ての改訂は、労災保険法のほか、雇用保険法(雇用保険法のこちら)と徴収法(徴収法のこちら)は終了しています。が、社会保険の不服申立てについては、現在、改訂中です〔その後、改訂が終了しました〕。
※ 不服申立てに関する記載が多くなりましたが、今回の更新中、消滅時効についても出題が多いです。
2 雇用保険法の更新の開始について
今回は、雇用保険法の第1回目の更新も行います。雇用保険法の冒頭から、こちらの「被保険者の種類」までの更新です(届出の手前までです)。
今回の更新範囲の内容については、雇用保険法の失業等給付の全体を学習してからでないと、理解しにくい事項が少なくありません。初学者の方は、わかりにくい個所については、疑問点をメモ書きする等により残して頂いた上で、先に読み進めてみて下さい。
好みにもよると思うのですが、雇用保険法は学習がかなり厄介な科目かもしれません。覚えるべき事項が多く、ひとつひとつをきちんと覚えていかないと、さっぱりわからないという状態になりかねない科目です。
初学者の方は、まずは、1冊本等の通読により全体を眺めて頂きますが、その後は、仕組みを理解すると同時に知識の記憶に努めて頂く必要があります。
当サイトのゴロ合わせがある個所を覚えて頂くと、基本的な知識には不足しないでしょう。
次回は、雇用保険法の届出以下の更新になります。
・平成27年11月23日(火)
1 労災保険法の更新について
今回は、労災保険法の4回目の更新です。
社会復帰促進等事業(こちら)から、費用の最後(こちら)までの更新となります。「その他」の「不服申立て」以下は、次回の更新となります。
今回更新の「社会復帰促進等事業」と「特別加入」は、学習が非常に厄介な個所です。
(1)社会復帰促進等事業
まず、「社会復帰促進等事業」については、「独立行政法人労働者健康福祉機構法」の改正(名称が、「独立行政法人労働者健康安全機構法」に変わる等の見直しが行われています)により、「独立行政法人(以下、「独法」といいます)労働者健康福祉機構」が「独法労働者健康安全機構」に改められたことに要注意です。
この「独法労働者健康安全機構」(改正前の「独法労働者健康福祉機構」)は、「未払賃金の立替払事業」等を行います。
詳細は、この周辺で記載しています。
(2)特別支給金
また、特別支給金も、かなり情報量が多く、学習に苦労する個所です。
さしあたり、こちらの全体像を把握して頂き、徐々に知識を増やしていって下さい。
(2)特別加入
次に、特別加入も、情報量が非常に多く、学習が難しい箇所です。近時、かなり細かい箇所も出題されています。一気に細かい知識まで把握するのは無理ですので、やはり、まずは概観を押さえて頂き、徐々に知識を増やしていくことになります。
概観については、こちらのページを参考にして下さい。
2 今後の予定
(1)まず、労災保険法は、今週末のアップで終了し、その後は、雇用保険法に入ります。
いよいよ、改正された行政不服審査法(行政不服審査法の改正に関連した各法の一連の改正も含みます)の施行が決まりそうです。来年4月1日の施行の可能性が高そうです。
従って、不服申立て関係は、すべて改正後の内容が試験の対象となります。そこで、これまた改訂の作業が大変なことになり、時間がかかっていましたが、とりあえず、労災保険法及び労審法の不服申立ての改訂はほぼ終わりました。
この後は、雇用保険法以下の不服申立てを改訂し、さらに、社審法と社会保険の不服申立てを改訂します。
ただ、今回の改正の大体の様子は、次回アップする労災保険法の不服申立ての記載から判明すると思います。
さしあたり、各科目の不服申立ての個所は読まずに飛ばしておいて下さい。
行政不服審査法(以下、「行審法」といいます)は、全部改正になりますので、改正個所が膨大であり、派遣法の改正どころではありません。試験対策としては、直接、行審法が問題になるというより、行審法の改正を受けて見直された労災保険法以下の各法の改正のほか、労審法や社審法の改正が問題になります。ただ、行審法の改正内容を理解していないと、各法の改正内容も理解できませんので、各法の改正内容の理解に役立つ範囲で行審法の改正内容についても説明しています。
(2)国年法の改訂開始について
また、国年法の改訂も開始します。今週末に被保険者関係をアップする予定です。以前、【(仮)平成28年度版】として、施行規則の改正が反映されていない内容を部分的にアップしていましたが、改めて、最初のページから改訂完全版をアップします。
・平成27年11月14日(土)
1 試験結果について
とんでもない低合格率になった今回の試験ですが、当サイトをご覧頂いていた会員の方で見事に合格された方が複数名いらっしゃいました。
当サイトの内容がとてもわかりやすかったといったメールや、労災保険法の選択式で当サイトが重要な役割を果たした旨等のお知らせを頂きました。
当サイトの「更新等のお知らせ」では、最新通達や最新判例等をまめに告知しており、キーワード等をご紹介することも多く、その中には本試験で実際に出題されたものもあります。最新情報のご紹介については、引き続き力を入れていきます。
2 派遣法のアップについて
派遣法のテキストがやっと公開できることになりました。
目次(こちら)とその次のページ(こちら)は、パスワードなしでご覧頂けます。平成28年度の全7科目にご加入の会員の皆様には、のちほど別のメールにて派遣法(労働一般)のパスワードをご案内します。
目次をご覧頂くとボリュームがあり、圧迫感を感じられることと思います。派遣法の全条文をカバーしており、情報量も確かに多いのですが、例えば、年金2法などに比べると考え込むような問題は少ないため、通読して頂いてもそれほどはストレスを感じずに学習して頂くことが可能です。
具体的な学習方法については、こちらの「学習上の注意点」の個所で触れていますが、「労働者派遣法の沿革」というページにおいて、今回の改正についてまとめてあります。このページで紹介しています改正事項について、力を入れて学習して頂ければと思います(内容の詳細は、各リンク先を参照して下さい)。
来年の本試験では、やはり、派遣法の改正事項はマスターしておく必要があります。
期間制限や労働契約申込みみなし制度については、選択式に出題しやすい条文になっていますので、十分学習して頂くのが安全です。
(なお、試験対策上は使用することはほとんどないだろうと思いますが、先日、ご案内した「新旧対照表のpdf」は、「労働者派遣法の沿革」のページ中にリンクがあります(先日ご案内したpdfの条文中に、かっこ書きで少し追加した部分がありますが、さほど重要ではありません)。
目次の上から6番目の「§3 労働者派遣法の沿革」の次に「※ 平成27年改正前後の派遣法の新旧対照表」として記載もしています。)
3 労災保険法の更新について
さらに、労災保険法の第3回目の更新を致します。
今回は、「二次健康診断等給付」(こちら)から、「第三者行為災害等」の最後(こちら)までの更新となります(「社会復帰促進等事業」の手前までの更新です)。
「二次健康診断等給付」と「保険給付の通則」の更新ということになります。
今回の更新個所は、難しい問題が結構あります。
とりわけ、「第三者行為災害等」(第三者行為災害、事業主責任災害)の問題は難所です。
試験対策としては、近時、第三者行為災害等も選択式で出題対象となっており(今回も出題されました)、十分学習する必要はありますが、深入りは禁物です。深入りしてしまうと、民法の不法行為制度等を研究しなければならないことになります(深入りは試験合格後とします)。
深入りはせずに十分学習する必要があるというなんとも微妙なバランスをとった学習が必要になります。
さしあたり、第三者行為災害等についての基本的な知識と判例のキーワードを把握して頂くのがよろしいです。当サイトの赤字個所をチェックして下さい。
平成27年度の労災保険法の選択式試験においても、当サイトの赤字部分・要注意との指摘の判例のキーワードが出題されています。第三者行為災害等に関する諸判例において、まだ出題対象とできるキーワードが残っていますので、来年度に向けても引き続き当サイトが指摘している判例のキーワードには注意をお願いします。
なお、「社会保険との調整」(こちら)については、被用者年金一元化法による改正の影響が及んでいる個所があります。
このうち、「追加費用対象期間」に関する改正個所は、かなり細かい事項ですので、無視して大丈夫だと思います(一応、本文で掲載はしていますが、少なくとも労災保険法で出題されるようなことはないでしょう)。
全体的に、この「保険給付の通則」は出題頻度が高く(今回の試験では、「事業主からの費用徴収」の問題が1問(5肢)出題されています)、力を入れて学習して頂く必要があります。
・平成27年11月5日(木)
1 安衛法の健康診断関係のアップについて
安衛法の健康診断関係の改訂が終了しましたので、お知らせします。こちらからです。
昨年度版でも、安衛法の健康診断の関係のみはアップしていました(本試験の択一式で一問出題され、また、派遣関係が数肢出題されましたので、当サイトの安衛法だけを学習していただけで、うまくいくと安衛法の2問の正解が可能でした)。
今年度は、この健康診断の関係を改訂するとともに、新設のストレスチェック制度に関する記載を追加しました。
来年の安衛法の出題としては、まずは、このストレスチェック制度が要注意です。十分な学習をしておく必要があります。ストレスチェック制度は、このページからです。
2 その他
なお、派遣法は、まだ作業の継続中です。来週末あたりのアップになりそうです。
明日は、いよいよ合格発表日です。楽しみな方もいらっしゃることでしょうし、今一つ気が乗らない方もいらっしゃることでしょう。
当サイトも、たんたんと1日を過ごすことと致します。
では、また、次回更新時にお知らせ致します。
・平成27年11月1日(日)
今回は、労災保険法の更新と改正に関するお知らせです。
1 労災保険法の更新について
労災保険法の第2回目の更新となります。
今回の更新範囲は、二次健康診断等給付を除く保険給付の全部(=業務災害及び通勤災害に関する保険給付)です。
こちらのページから、「通勤災害に関する保険給付」のこちらのページまでの更新となります。
保険給付の大枠については、どの保険法であっても、基本的には共通しています。図では、こちらです。
当サイトでは、「発生→変更→消滅」という時系列(時間軸)により大別した上で、それぞれについて、大きく、「要件」(保険給付の場合、「支給要件」と表現するのが一般です)と「効果」(広義です。具体的には、支給額、支給期間、支給時期等が問題になります)の視点から整理します。
その他に、保険給付の請求や届出等も問題になりますので、「手続」という視点も必要になります(大まかには、「要件」の問題ですが)。
これらの「支給要件」、「手続」及び「効果」の視点から、それぞれの保険給付の知識を整理して、記憶していくことになります。
労災保険法の保険給付の場合、仕組みの「理解」という点では、そう極端に難しい個所は少ないかと思われます(あくまで、年金法と比較しての話ですが)。
問題は、知識の「記憶」という点です。労災保険法の学習が終わり、国年法辺りを学習していると、労災保険法の記憶が飛んでいることが多いです。
この点の対策としては、他の科目を学習している際にも、すでに学習した科目のテキスト等を反復して読む時間を設けて頂き(通勤時間等が良さそうです)、知識を頭に焼きつけてしまうほかありません。
当サイトでは、支給要件等の記憶のため、ゴロ合わせを多用していますが、会員の方におかれましても、忘れてしまいがちな個所については、自作のゴロ等を作成する準備をしておいて下さい。
来年の7月、8月あたりに、それまでに学習した知識をすべて思い出す作業をしなければなりません。そのための下準備をする(理解したうえで、記憶すべき材料と記憶の仕方を用意しておく)のが、今の段階の学習となります。
2 派遣法の新旧対照表について
なお、会員の方には、派遣法の改正に関する新旧対照表を紹介しておきます(試験対策上、直接、役に立つわけではありませんが、派遣法の学習の際に、条文が必要になったときは、参考にして下さい。条文の最初からお読み頂くような必要はありません)。
左側が改正前の条文で、右側が改正後の条文です。改正された主な部分については、アンダーラインを引いています(ただ、改正により削除された個所等もありますので、このアンダーライン部分のみが改正されているわけではありません。右側の改正後の条文について、所々、スペースがある個所がありますが、これは改正により削除された規定があった個所です)。
なお、近日アップします派遣法のテキストでは、派遣法本体の条文はもちろん、施行規則、施行令も最新改正に対応しており、さらに、厚労省の内部マニュアルである「労働者派遣事業関係業務取扱要領」についても最新版を掲載しています。
試験対策としての派遣法は、このテキストだけで充分な内容に完成させる予定です(ただ、これにデーター関係(白書関係)を追加する必要があります)。
3 改正について
年金法関係で若干改正があります。
(1)派遣労働者に対する健康保険及び厚生年金保険(社会保険)の取扱いについて
今回の派遣法の改正により、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区分が廃止されたため、従来の「派遣労働者に対する健康保険及び厚生年金保険取扱いについて」の通達が一部改正されました。厚年法のこちらです(健保法の場合も同様です)。
ただ、この区分の廃止に関係する事項以外については、従来の通達の内容に変更はありません(昨年度版の記載の順序を少し変えた程度の違いです)。
もっとも、一応、改正個所ですので、出題には備えておく必要があります。
(2)初診日を明らかにする書類の添付に関する改正
障害基礎年金・障害厚生年金の裁定請求等においては、「初診日を明らかにすることができる書類」を添付することが必要ですが、当該書類を添付できない場合の取扱いについての通達が発出されました(【平成27.9.28年管管発0928第6号】)。
即ち、「初診日を明らかにすることができる書類」を添えることができないときは、当該初診日を証するのに参考となる書類を添えれば足りることになり、この書類の要件が通達により示されました。
詳細は、国民年金の障害基礎年金の改訂の際に紹介します。
近年、国年法の択一式では、最新の通達が出題対象になることがあるため、今回の通達も一通り読んで頂いた方がよろしいです。
今回は、これにて終了です。
・平成27年10月18日(日)
今回は、労災保険法の更新と労基法の択一式の残りの解説になります。
1 労災保険法の更新について
今回から労災保険法の開始になります。第1回目の更新は、労災保険法の最初のページから、保険給付の手前まで(こちらのページまで)となります。
内容としては、「主体」と「客体」の問題ですが、かなりボリュームがあります。学習する項目としては、次の通りです。
第1編 主体
第1章 保険者
第2章 適用労働者
第1節 適用事業
第1款 強制適用事業
第2款 暫定任意適用事業
第2節 適用労働者
第3節 適用除外
第2編 客体
第1章 保険事故
第2章 業務災害と通勤災害の認定
第1節 業務災害の認定
第2節 通勤災害の認定
第3章 給付基礎日額
いずれの項目もかなり難しく、労災保険法の中でも学習しづらい項目が並んでいます(保険給付の方が、理解しやすく、学習が容易になります)。
初学者の方にとっては、いきなり難所が続きますので、最初のうちはあまり細部には深入りせずに、全体像を把握する形で学習を進めて頂ければと思います(一度で理解するのが難しい個所が多く、反復学習が必要になります)。
受験経験者の方の場合は、当サイトを熟読して頂くのがよろしいです。
が、初学者の方の場合は、まずは、市販の一冊本(二冊でも分冊でもよいのですが、とりあえず一冊本と総称しておきます。労災保険法も、さしあたりは昨年度版が利用できますが、そろそろ新年度版の刊行が始まりますので、新年度版を購入して頂く必要があります)を区切りのよい個所までお読み頂き、分かりにくい個所等をメモして頂いてから、当サイトをお読み頂き、分かりにくかった個所を解決して頂くのが効率的な学習になりそうです。
今回の労基法の本試験問題の分析からもうかがえるのですが、一冊本だけでは、明らかに合格水準の知識としては不足します(とりわけ労基法の判例や通達は、一冊本にはまったく記載がないものも多く(スペースの都合上、やむをえません)、そのような事項が選択式で出題されると致命的になります)。
ただ、一冊本は、必要最低限の知識をコンパクトにまとめてありますので、手軽に知識の整理を反復して行えるという大きな利点があります。
そこで、一冊本と当サイトをうまく融合して利用して頂くのがよろしいかと考えています。
話が横道にそれましたが、今回の労災保険法の更新の範囲内における平成27年度本試験の出題状況を見て見ますと、選択式は、今回の更新範囲からは出題されていません。
しかし、択一式は、問1(心理的負荷による精神障害の認定基準)及び問3(業務災害及び通勤災害の認定)において、5肢ずつ出題されているほか、問5において、肢A及びBが業務災害・通勤災害の認定の問題、肢Cが出向の問題となっており、さらに、問7の肢Bにおいて給付基礎日額の端数処理の問題が出題されています。
そうしますと、労災保険法の択一式の全7問(35肢〉のうち、今回の更新範囲から14肢も出題されていることになりますから、実に択一式全体の4割を占めていたことになります(今年度は、特に業務災害と通勤災害に関する問題が多く出題されたというやや特殊状況もあります)。
このように、今回の更新範囲は、試験対策上も重要な個所ですので、ウエイトをおいて学習する必要があります(ただし、何度も触れますが、難しい問題が多い個所ですから、少しくらいわからない箇所があっても、どんどん先に進んで下さい)。
なお、当サイトの平成27年度版の対応状況については、また後日検討しますが、まあまあのカバー状況だったと思います。
例えば、問3のような業務災害・通勤災害の認定に関する事例問題は、以前はあまり出題されなかったのですが、当サイトでは出題の可能性を考え、業務災害の認定についてかなり詳しく記載してありました。
2 労基法の択一式について
労基法の択一式の解説は、今回で終了です。が、非常に長文になってしまいましたので、ここでの掲載は省略します。会員の方には、メールにてご紹介しています。
一応、労基法の択一式の総括をしておきます。
1肢ごとに分析していくと、今回の労基法択一式の出題は、難しい肢が多かったという感想です。
そこで、普段の学習の際は、当サイトの労基法の個所について、出来るだけ全部をお読み頂くことをお勧めします。
ただ、一方で、試験に合格するために、すべての肢について正誤判断ができるまで学習する必要はありません。7割程度分かるようになれば、合格できます。また、労基法ばかり学習していても、合格できません。
そこで、おひとりずつ、学習にかけられる時間等を考慮して頂いて、学習のウエイトを決定して頂く必要もあります。
次回は、労災保険法の保険給付に入ります。
・平成27年10月9日(金)
さて、今回は、労基法の最後の更新のお知らせです。その他、改正事項について、若干お知らせがあります。
1 労基法の更新の終了について
まず、今回で労基法の更新が終了です。今回は、「特殊な主体」(こちら)の「年少者」から労基法の最後までの更新となります。
「年少者」、「妊産婦等」及び「就業規則」が中心問題です。その他、雑則として、法令等の周知義務などのこまごました事項があります。
(1)この内、「就業規則」については、やや理論的側面の記載が多くなっています。
実際、今年度の労基法の択一式の問7では、肢のA、B及びEにおいて、かなり理論的な問題が出題されています。
受験経験者の方は、就業規則については、ある程度情報量を増やしておいた方が安全です。
なお、当サイトのこちら以下では、労働契約法で規定されている就業規則に関する理論的問題を掲載しています。ただ、まずは、このリンクした個所の青線で囲ってある部分を理解・記憶して頂くことが重要であり、初学者の方は、この部分以下の細かい記載は、さしあたっては眺める程度で済ませて頂いて結構です(最終的には、一度は、熟読をお願いします)。
(2)次に、平成28年度版で新設した項目として、以下の通り、2か所あります。
(ア)【学校法人専修大学事件=最判平成27年6月8日】について:
まず、解雇制限期間(第19条第1項)に関する最新の重要判例を掲載しています。こちらの解雇制限期間の次にページを新設しました。
(労災保険法の知識を要する判例であるため、当初は、労災保険法において掲載するつもりだったのですが、労基法で出題される可能性があることから、やはり労基法においても掲載することにしました。)
結構難しい判例であり、労災保険法(や労基法の災害補償)の知識も必要なため、初学者の方には理解しにくいものと思われます。労災保険法の傷病補償年金あたりの学習が終わったら、再度、この判例を見て頂くと、理解頂けると思います。
この判例は、来年度の本試験の労基法か労災保険法のいずれかで出題対象となる可能性が極めて高いです。選択式で出題される可能性もあり、今のうちに、判決文のキーワードに慣れておかれると、直前の時期が楽になりそうです。
労災保険制度の趣旨については、この専修大学事件判決は、当サイトの趣旨の捉え方とほぼ同様の立場を採っています。
つまり、労災保険制度は、元来は、労基法の使用者の災害補償責任を実効化させるために保険制度としたものであり、無過失の災害補償責任の負担という使用者のリスクを軽減する必要性と被災労働者等の保護の強化を考慮したものであるということです。
(イ)「派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保について」の通達の改正について:
次に、「派遣労働者に係る労働条件及び安全衛生の確保について」の通達(【平成21.3.31基発第0331010号】)が改正されました(【平成27年9月30日基発0930第5号】)。労基法の一番最後のこちらでページを追加しています。
改正個所は、今回の派遣法の改正に伴うものです(所々、アンダーラインを引いてある部分が改正されています)。
この通達は、前記の専修大学事件判決のように来年度の出題が必須というわけではありませんが、派遣労働者をテーマとして、労基法、労働契約法及び安衛法の全体の知識を整理できる素材となっています。リンク先を確認して頂くことで、いわば「知識の(横断ではなく)縦断整理」」としてご利用頂けます(ただし、総合問題といいますか、学習の最終段階で理解できる内容になっていますので、初学者の方は、さしあたりは読まないでスルーして下さい)。
かなり長文であり、全部お読み頂くと相当時間を要しますので、通勤中にスマホで読むなど、スキマ時間をご利用頂くのもよろしいかと思います。
なお、このページの中断位(こちら)に、派遣労働者に関する安衛法の適用関係の表を掲載していますので、ご利用下さい。
※ ちなみに、今年度は、派遣法について原稿をアップすることを考えており、ただいま全体の3分の1強程度が終わっています。
一般常識の法令科目の場合は、基本的には、条文及びその趣旨を中心に押さえて頂き、それに通達などを補充して頂くと、大体はカバーできます(ただし、あくまで試験対策としては充分ということでして、その科目が簡単というわけではありません。派遣法、育児介護休業法、労働組合法など難しい法律が多数あります)。
この派遣法のアップが完了次第、国年法(現在は、届出の前あたりまで、暫定的に改訂してあります〕の本格的改訂に入ります。
2 改正について
次に、改正事項についてお知らせします。
(1)マイナンバー制度の実施による労災保険法の届出の改正について
いわゆるマイナンバー制度の実施により、労災保険の届出について改正が行われています(平成28年1月1日施行のものが多いです)。
労災保険法の届出のこちらの個所で、通達を引用する形で掲載しています。
大まかな内容としては、次の通りです。
(ⅰ)年金たる保険給付の請求書の記載事項として、「個人番号」が追加されました。
そして、年金たる保険給付の受給権者の個人番号に変更があった場合等においては、その旨の届出が必要になりました。
(ⅱ)地方公共団体情報システム機構(住民基本台帳ネットワークシステムを運営している法人です)から、機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、住民票等の添付書類を省略できることとされました。
(「機構保存本人確認情報」とは、地方公共団体情報システム機構が保存する本人確認情報であって、保存期間が経過していないものをいいます。ここでの「機構」とは、「日本年金機構」のことではなく、「地方公共団体情報システム機構」のことです。)
(2)専門実践教育訓練給付金の支給対象となる専門実践教育訓練に関する告示の一部改正
かなり細かい事項ですが、専門実践教育訓練給付金の支給対象となる専門実践教育訓練に関する告示が一部改正されました(本日付の改正であり(【平成27年10月9日厚生労働省告示第423号】)、平成28年4月1日施行です)。
一応、雇用保険法の専門実践教育訓練給付金のこちらに掲載してあります(さしあたり、そんな改正もあったか程度で足りそうです)。
今回も長くなり、これにて終了です。過去問分析が滞っていますが、なにしろやることが多すぎて、後回しになっています。が、すきを見て再開します。
では、次回は、週末に労災保険法の第1回目の更新となります。
・平成27年9月30日(水)
労基法の3回目の更新と改正事項についてのお知らせです。
1 労基法の更新について
今回は、「休憩・休日」から「年次有給休暇」の終わりまでを更新します(「特殊な主体」の「年少者」の手前までの更新です)。次の通りです。
・更新開始ページ=「休憩・休日」(こちら)
・更新終了ページ=「年次有給休暇」の最後のページ(こちら)
(1)今回の更新個所は、労基法で最も難しい「36協定」、「割増賃金」及び「年次有給休暇」を含んでおり、やっかいです。
当サイトでは、かなり細かく説明していますが、近時の出題傾向からしましても、一応、当サイトを詳細に読んで頂いた方がよろしいです。
初学者の方は、まずは、市販の1冊本等(労基法の場合は、基本的には、昨年度版でも使用できます。ただし、新年度版が刊行されたら買い替えは必須です)をざっと読んで頂き、分かりにくい個所等を当サイトで確認して頂くほか、当サイトの体系図を参考にして下さい。
最終的には、当サイトの判例や通達も押さえて頂く必要がありますが、かなり細かく、かつ難しいため、段階をおって学習していただいた方が効率的です。
なお、これは受験経験者の方にもあてはまるのですが、今回の更新範囲において、お読み頂かなくてよい個所がございます。
「年次有給休暇」の最後のページの中で、不利益取扱いに関する判例を記載した個所があります(こちら以下の部分です)。
これらの判例自体はとても重要なのですが、当サイトでは、これらの判例が判示した事実関係に対する「あてはめ」の部分(判例が判示した抽象的な規範(ルール)を当該事案にあてはめて、当該事案の具体的な結論を導いている箇所です)も記載していることがあります(インデントを設定して字下げをしている部分です)。
この「あてはめ」の部分は、読まないでカットして頂いて結構です。この「あてはめ」の部分が直接出題対象になることは少ないです。
この「あてはめ」の部分も読みますと、判例が示した抽象的なルールの意味がより明確化することもありますので、参考までに「あてはめ」の部分も記載している程度の部分です。
(2)次に、今回の労基法の更新の範囲において、改正個所があります。
年次有給休暇の最も基本的な条文である第39条の第7項が改正されます(こちらの条文の下の方の第7項の下線部分です。詳細はこちら)。
年次有給休暇中の賃金(以下、「年休中の賃金」といいます)に関する規定に関する改正であり、平成28年4月1日施行です。
従来、年休中の賃金については、(ⅰ)平均賃金、(ⅱ)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、又は(ⅲ)「健康保険法第99条第1項〔=傷病手当金〕に定める標準報酬日額に相当する金額」(=労使協定により定めるところによる健康保険法の標準報酬日額相当額)のいずれかにより支払うことが必要でした。
今回の改正により、この(ⅲ)について、「健康保険法第40条第1項に規定する標準報酬月額の30分の1に相当する金額」と改められました。
いわゆる医療保険制度改革法(「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」。平成27年5月29日公布)の制定(平成28年4月1日施行)によって、健保法上、「標準報酬日額」の概念がなくなったことによる改正です。
即ち、従来の「健康保険法第99条第1項」に定める「標準報酬日額」とは、「標準報酬月額の30分の1に相当する額」でしたが、上記の医療保険制度改革法による健保法の改正により、傷病手当金及び出産手当金の支給額が「傷病手当金(出産手当金)の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額」に改められ(改正後の健保法第99条第2項、第102条第2項)、改正後の傷病手当金(及び出産手当金)の条文においては「標準報酬日額」の概念がなくなりました。
この関係から、従来、健保法の「標準報酬日額」の概念を利用して年休中の賃金を規定していた労基法の第39条第7項も改正されることになったものです。
従って、従来と実質的な内容には違いはありません。ただ、今後は、「標準報酬日額に相当する金額」ではなく、「標準報酬月額の30分の1に相当する金額」と表記される点が異なることになります。
(なお、この些細な改正により、従来のゴロ合わせまで改正する羽目になりました。)
以上が、今回の労基法の更新部分です。次回は、年少者等から就業規則の終わりあたりまで更新の予定です。あと2回程度で労基法が終わり、労災保険法に突入します。
2 財務大臣への権限委任に関する改正について
厚生労働大臣の財務大臣への滞納処分等の権限の委任に関する規定が改正されました(本日公布の「健康保険法施行規則等の一部を改正する省令」による改正であり、明日の10月1日施行です)。
即ち、厚生労働大臣は、滞納処分等の権限を、一定の要件の下、財務大臣に委任することができますが(国年法第109条の5、厚年法第第100条の5、健保法第204条の2)、この一定の要件が、次のように改正されました(以下、改正された個所を中心に記載しておきます)。
(1)国年法の場合
(ア)納付義務者が厚生労働省令で定める月数〔=24月〕分以上の保険料を滞納していること。
(イ)納付義務者の前年の所得(1月から厚生労働省令で定める月〔=6月〕までにおいては、前々年の所得)が厚生労働省令で定める額〔=1千万円〕以上であること。
※ 今回の改正により、(ア)の「24月」が「13月」に改められました。
(2)厚年法及び健保法の場合
(ア)納付義務者が厚生労働省令で定める月数〔=24月〕分以上の保険料を滞納していること。
(イ)納付義務者が滞納している保険料等の額が、厚生労働省令で定める金額〔=1億円〕以上であること。
※ 今回の改正により、(イ)の「1億円」が「5千万円」に改められました。
今回の改正により、国年法と厚年法(健保法)において、上記(ア)の部分の月数が異なることになり、覚えるのがよりめんどくさくなりました(しかし、本問は、【厚年法 平成26年問2】で5肢も出題されていますように、重要ですから、覚えておく必要があります)。
ゴロ合わせも改訂しました(出来がよくないのですが、一応、ご参照下さい)。
※ 【ゴロ合わせ】
・「財務大臣は、結構、不審な5千万を、国民を通さないで隠ぺいした」
→「財務大臣は、結・構(=「健」保法・「厚」年法)、不審(=「24」月分以上の保険料滞納)な、5千万(=健保法・厚年法の場合、滞納保険料等額が「5千万」円以上)を、
国民(=「国民」年金)を、通さ(=「13」月分以上の保険料滞納)ないで、隠ぺ(=「隠ぺい」)・い(=国年法の場合、前年所得が「1」千万円以上)・した」
※ なお、「財務大臣への権限の委任」の当サイトでの記載個所は、次の通りです。
・国年法=こちら
・厚年法=こちら
・健保法=こちら
3 国年法の暫定的な改訂について
国年法について、届出の前あたりまで、本日公布の政省令を含まない部分の暫定的な改訂を行っています。サイトの右上に、【(仮)平成28年度版】と表記しています。今後、政省令を補充して行きますので、内容が変更になりますが、さしあたりの参考程度にご利用下さい。正式に平成28年度版の改訂を行った際は、当該部分をお知らせします(ただ、正式な改訂までは時間がかかりそうですので、随時、部分改訂をしていく予定です)。
4 改正の状況について
本日、被用者年金一元化法による厚生労働省関係政令等の整備政省令がやっと公布されました。予想通り、スーパーボリュームです。
また、派遣法の改正についても、かなりの量の政省令が公布されています。
さらに、マイナンバー制度関係の改正政省令も登場してきています。
来年4月1日には、医療保険制度改革法の施行による健保法等の大きな改正も待っています。
安衛法によるストレスチェック制度の導入もありますし、また、施行日は未定ですが、改正された行政不服審査法が施行されますと(遅くても来年の6月あたりまでには施行です)、不服申立て制度も大改正になります。
労基法の高度プロフェッショナル制度等の改正がどうなるかは、来年の国会の状況によるのでしょうが、改正関係のニュースには敏感になっておく必要があります。
というわけで、平成28年度試験は大改正が目白押しということになります(被用者年金一元化法が最も問題ですが)。
受験生側としては、あまりゆっくり構えている時間はありません。今のところは改正が少ない労働法・労働保険の分野(労働一般も含めてです)などを早めにかため、改正個所を十分に学習する余裕を残しておいた方がよろしいです。
・平成27年9月23日(水)
労基法の更新のお知らせです。
1 本試験問題と解説の掲載について
本年度のすべての本試験問題(本サイトが対象としていない科目は除きます)及びその解説を、本文中に掲載しました。
本年度の本試験の感想ですが、やはり難しかったと思います。択一式でも、近年は、簡単に答えが出るような問題が減ってきています。過去問で見かけなかったような出題も増えています。
大まかな実感ですが、今回のような試験に対しても、当サイトはまあまあ対応できていたと思います。今回のような出題になると、当サイトのようにある程度の情報量をもって基礎から積み上げていく内容を採っていないと、なかなか厳しいことになりそうです。
2 労基法の第2回目の更新について
今回は、賃金と労働時間について更新します。
賃金については、賃金の要件(定義)、賃金支払の5原則、平均賃金等が主問題になり、労働時間については、法定労働時間、変形労働時間制、みなし労働時間制が主問題になります。「休憩・休日」からは次回の更新となります。
具体的には、次の個所を更新しました。
・更新開始ページ=「第2章 労働条件」の最初のページ(こちら)
・更新終了ページ=「企画業務型裁量労働制」(こちら)
変形労働時間制の個所は、平成27年度版から少々変更しました。内容自体にはさほど変更はありませんが、「発生→変更→消滅」という時系列により整理しました(これにより、「変更」というフェーズの中に収納できた論点があり、平成27年度版より、論点の位置づけがわかりやすくなりました)。
その他、細部も結構修正してありますが、主としてデザイン面(小タイトルに青色をつけた、図の大きさを変えたなど)の修正と誤字脱字の修正であり、内容自体には余り変更はありません。
・平成27年9月16日(水) 障害のお知らせ
16日(水曜日)の午前0時前後から、サイトの表示がかなり見にくくなる障害が生じております。サーバー側の問題かもしれません。サーバー側にも確認しておりますが、おそらく本日の午後位にならないと詳細が判明しないと思います。
現在、障害がいつ直るのか不明です。原因等が明らかになりましたら、直ちにこの中でお知らせ致します。ご迷惑をおかけしまして、誠に申し訳ございません。
※ 追記
その後、2時間位経過して、障害がなくなったようです。ご不便をおかけ致しました。サーバー側には問い合わせをしていますので、後日、返答がありましたら、会員の皆様にメールにてお知らせ致します。
・平成27年9月11日(金)
1 労基法の更新の開始について
さて、当サイトの平成28年度版は、今回の労基法の更新をもって正式に開始致します。
ここまで、年金2法(特に厚年法)に関する被用者年金一元化法の大改正や健保法等に関する医療保険制度改革法といった改正の下準備のため、潜伏させて頂いていましたが、いよいよ平成28年度版の本格的なスタートです。
今回は、労基法の第1回目の更新です。次の範囲を更新致しました。
・労基法の最初のページ(目次は除きます)の「序論 労基法の目的・体系」(こちら)から、「第3編 客体」(労働憲章」の最後の「中間搾取の排除、公民権行使の保障及びプライバシー等人格権の保障」(こちらのページ)までの公開となります。
「第2章 労働条件」(賃金等)の手前までの公開です。
今回の更新個所は、一般の労基法のテキスト等では、主に、「使用者、労働者」、「労働憲章」、「労働契約」、「解雇・退職」といった範囲に相当する部分です。
ただし、当サイトでは、「労働契約」に力を入れているため(労働契約の諸問題を体系的に整理し、判例の掲載を充実させ、また、労働契約法の一部の規定も併せて解説しています)、今回の更新部分はかなりボリュームがあります。
しかし、労基法の近時の出題傾向にはふさわしい内容になっています。
平成28年度版用に更新したページには、右上に【平成28年度版】という表記が記載されていますので、ご参照下さい。
なお、平成28年度版は、基本的には、平成27年度版に上書きする形で改訂しております(上記の【平成28年度版】という表記がないページは、平成27年度版になっておりますので、改正事項についてはご注意下さい。とりわけ、厚年法は大きく改正されますので、平成27年度版は参考程度にしかご利用頂けません)。
この平成28年度版においては、平成27年度版にかなり改訂を加えています。
今回の更新個所については、内容自体にはさほどの改訂はありませんが、誤字・脱字の修正、新たなリンクの設定、リンク切れ等の修正、「前のページ/次のページ」のリンク不備の修正といった細部について手を加えた個所が多いです。
そのほか、意味が分かりにくい文章の是正、長文の短文化なども行っています。
さらに、試験対策上の記載の要否を精査して、不要な部分を短縮化ないし削除する等の作業も行っています。
反面、平成27年度の本試験内容の分析の結果、新たに追加した項目もあります。
全体として、平成27年度版より完成度がかなりパワーアップしたものになったと考えております。
2 今回の更新部分に関する平成27年度本試験の分析
今回、更新しました労基法の範囲としては、 本年度の労基法択一式の問1及び問3が出題されています。
※ なお、選択式及び択一式の解説については、会員の方には、メールにてすでに内輪向けの解説を発信中です。ここでは、一般的な解説になります(また、主要な問題をざっと概観する形になります)。
本年度の労基法の択一式は、結構難しかったです。そのうち、問1は正解しやすい問題でした。
もっとも、肢Dについては、法条競合について十分な知識のない受験生が少なくなかったことと思います(が、この問1は、法条競合の肢Dがわからなくても解けました。出題者としても、「肢Dはわからなくてもよいよ」、ということだったのでしょう)。
ただし、来年度以降のこととなると、また別問題です。次回は、例えば、中間搾取の排除に関して「観念的競合」が出題され、もう少し罪数論がカギになってくる出題がなされないとも限りません。
そこで、法条競合の意味など、罪数論の基本的な内容程度は押さえておいた方が良さそうです(ただ、厳密には、刑法で学習するものですので、あまり深入りする必要はありません)。
当サイトでは、こちらで罪数論を簡単に整理しておきました。
他方、問3は、肢Cについて戸惑った方も少なくないかと思います。
肢Cの労働条件の明示については、「労働条件を明示しなかった使用者は、30万円以下の罰金に処せられる」のですが(第120条第1号)、「明示した労働条件が実際の労働条件と相違する」場合には、それ自体については罰則の適用はなく、労働契約の即時解除及び帰郷旅費の問題(第15条第2項及び第3項)になるのです。
この点は、あまり受験用のテキストでは記載されていない問題といえ(多分)、痛いところを突いてこられました。
今後、労基法については、罰則について特徴のあるケースは押さえておく必要がありそうです。
ちなみに、この問3は、肢Aもよくできています。労働組合法第16条と労働基準法第13条の文言の違い(「基準に違反する」か、「基準に達しない」か)は、実は、労働組合法上、重要な問題です。労働協約の効力の問題(有利性の原則の肯否の問題)に影響するのです。
即ち、労組法第16条は、労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効となる旨を規定しています。
従って、労働協約で定める労働条件の基準を「下回る」労働契約の規定を定めた場合は、その規定は無効になります。
問題は、労働協約で定める労働条件等の基準を「上回る」労働契約の規定が定められた場合に、その規定が労働協約に定める基準に違反するとして無効になるのか、それとも基準を上回っている労働契約の規定である以上、当該規定は有効となるのかです。
この点については、当サイトではこちらで説明していますが、一般に、無効になると解されています(有利性の原則を否定するといいます)。
その理由の形式的な根拠(条文上の根拠)として、上記労組法第16条の文言が基準に「違反する」とあって、労基法第13条のように基準に「達しない」とはなっていないことが挙げられているのです(実質的根拠については、上記リンク先をご覧下さい)。
このように、肢Aは、一見、単に労組法第16条と労基法第13条の条文を覚えているかどうかの問題に過ぎないようにも見えますが、むしろ労働協約の有利性の原則の論点につながっているのです。
どうも学者のにおいがプンプンしますので、この問題を作成したのは、水町先生か、小畑史子先生(小畑先生も、労働法の専門です)ではないかと勝手に想像しています。
先ほどの肢Cも、ひとひねりしている問題ですので、やはり学者系の作問なのでしょう。
余計な話は別にして、問3のその他の肢については、肢Eは、解雇制限期間についての一応基本的な出題です(ただし、他の肢にクセがあるため、このEも何か落とし穴があるのではないかと、余計な探索をして時間がかかるようなこともあり得ます)。
Eのような肢の正誤を確実に判断できるようにするのが、最も重要です。例えば、行政官庁の認定は、打切補償を支払う場合には必要なのか必要でないのかです。
肢Dは、前借金相殺の禁止の趣旨に関する出題です(近時の労基法の択一式では、このような趣旨に関する問題をちらほら見かけます)。
このDも分かりにくい内容ではあるのですが、当サイトでも前借金相殺の禁止の趣旨については触れていますので(こちら)、クリアーできた肢ではないかと思います。
以上、簡単に問3を見てきましたが、その他の労基法の出題を見ましても、簡単なようでしっかりとした基礎を身につけていないと、あたふたしてしまうような設問が多くなっています。
最終的にはきちんと記憶していなければならないのですが、その前提として、制度等の趣旨や判例の意味などについて自分なりに考え、理解をした上で記憶しているかが重要になるような問題が多いのです。
他方、平均賃金の算定方法に関する問2のD及びEで問われているように、通達(実務上の取扱い)もきちんと押さえておく必要があります。
受験生のお一人ずつが、今回の本試験問題をよく分析して頂き、今後の学習計画を熟考して頂きたいところです。
次回は、労基法の更新の第2回目として、労働条件の賃金辺りをアップする予定です。
・平成27年8月26日(水)
平成28年度版(2016年度版)がスタートしました。
もっとも、本試験を分析し、それを反映させた内容に改訂する必要があるため、本格的なスタートは9月に入ってからとなります。
さしあたり、国民年金法と厚生年金保険法の序論の数ページを改訂し公開しております。
平成28年度版については、ページの右上に【平成28年度版】の表記がありますので、ご参照下さい。
また、労基法も、かなりの部分を公開しています(公開中の部分では、さしあたり、通貨払の原則の改正程度しかありません)。
(なお、労基法その他の科目については、【平成28年度版】という表示がありませんが、9月に入り本試験の内容が反映された段階で表記をする予定です。)
平成28年度は、被用者年金一元化法の施行が大きな問題になります。昭和61年の基礎年金制度の施行以来の大改正です。
厚生年金保険の基本構造に変容が生じ(国民年金にもかなりの影響があります)、細部についても多くの改正が行われており、受験生にとって負担が大きいです。
また、現時点では、政省令が制定されていず、詳細が明らかでない個所も少なくありません。
とりあえず、今回改訂しましたページでは、ごく大まかですが、被用者年金一元化法の概要について触れています。もっとも、特別支給の老齢厚生年金については、かなり立ち入って説明をしています。
さて、今回の本試験については、選択式で難しい問題が多かったという印象があります。
このコラムの下に記載されている前回の8月16日付けのコラムにおいて、いくつか選択式の予想問題を紹介したのですが、的中率は芳しくありません。
ただ、特定厚生年金保険原簿記録(実際は、国年法で出題され、特定国民年金原簿記録でしたが)は、近場を押さえることができ、解説中で「地方年金記録訂正審議会」を指摘していましたので(こちら)、お読み頂いた方には、いくばくかのサポートにはなれたかもしれません。
もっとも、労働一般の選択式も含め、このような出題によって1年間苦労した受験生の合否を決めることがはたして適切なのだろうか、という疑問は毎年度湧き上がります。
上記の「地方年金記録訂正審議会」についても、厚生労働省組織令で規定されている、しかも、今年度の試験範囲の対象となる最終日の平成27年4月10日に施行されたものです。
この点、例えば、行政書士の試験では、択一式や選択式等のほかに、記述式の問題が数題あり(40字前後で記載させるような設問です)、奇をてらったような設問ではなく、ごく普通の設問でありながら、実力差がよく現れしっかり勉強した受験生が報われるような良質の記述式が出題されています。
社労士試験の場合も、学会の一流の先生方が試験委員をされていますので、記述式の出題などはお手の物です。
例えば、「なぜ被用者年金は一元化されたのかを40字前後でまとめなさい。」といったような記述式の出題なら、うまく解答できなかった受験生も、「地方年金記録訂正審議会」に比べれば、それなりに納得はできるはずです。
選択式をなくせといっているわけではなく、選択式の比重を軽減した方が、より妥当な試験制度になるのではないかということです。
もっとも、このようなことをここで記載してもあまり有益ではなく、この手のお話は今後はブログの方に回すことにします。
いずれにしても、来年度、急に試験制度が変わることはないでしょうから、選択式対策のため、常にキーワードを意識して学習して頂く必要があります。
また、複数回受験されて選択式で伸び悩んでいるような方は、条文(重要な条文に限りますが)にやや重きを置いた学習方法を採られるとよろしいかもしれません。
なにより、今回の結果をよく分析して頂いて、どこに問題があったのかを冷静に押さえることが、新たな出発の原点になります。
ともあれ、1年間大変お疲れ様でした。しばしゆっくりお休み頂き、この1年間我慢されていたことを存分にお楽しみ下さい。
・平成27年8月16日(日)
若干ですが、選択式の予想問題を作りましたので、ご参考まで。こちらに掲載しています。
試験も迫ってきました。いい意味で、前向きに開き直って、悔いのないようベストを尽くしましょう。
皆様のご健闘をお祈り致します。
・平成27年8月6日(木)
今回は、健保法の最後の更新となります。今年度の本サイトの最終更新です。
1 更新について
前回の続きの「第4編 費用(財政)」のうち、最後の「第3章 強制徴収の手続」及び「第5編 その他(不服申立て、消滅時効、罰則等)」のアップになります。
(1)「強制徴収の手続」については、ほぼ厚年法と同様の考え方で通用します(細部については、例えば、保険料の繰上徴収の事由が一つ減っているとか、督促等を行う者が「保険者等」であるといった違いはありますが)。
(2)「第5編 その他(不服申立て、消滅時効、罰則等)」についても、次の通り、今まで各科目で学習しましたような事項が並んでいます。
第1章 不服申立て
第2章 消滅時効
第3章 行政庁の調査等
第4章 その他(書類の保存義務、印紙税の非課税、戸籍事項の無料証明)
第5章 罰則
(ア)「不服申立て」については、厚年法の場合とほぼ同様です(不服申立て事由について、健保法の場合は、「脱退一時金に関する処分」が含まれない程度の違いです)。
社一の出題対象となる社審法については、すでに国年法の不服申立ての個所で詳細に学習しました。
従って、健保法の不服申立てにおいて新たに学習しなければならない事項は、ほとんど残っていません。
(イ)「消滅時効」については、健保法の消滅時効期間はすべて2年です。その他、消滅時効の起算点について特有の知識があり、これは押さえておく必要があります。
(ウ)「行政庁の調査等」については、一部、重要な個所があります。赤字の部分をチェックして下さい。
(エ)「書類の保存義務」は、すでに学習済みです。その他の事項は、流し読みで結構です。
(エ)「罰則」については、ボリュームがありますが、本文中で指摘しました個所を押さえておけば大丈夫でしょう。
2 平成27年度講義の終了について
今回をもちまして、本年度の更新は終了になります。おおよそ9月から開始し、丸々1年かかってしまいました。
今回更新した内容については、もちろん事前に原稿が完成してありました(この原稿自体、中心部分の作成には3年以上かかっています。が、学生時代から温めてきたアイデアを基礎とした部分が多いため、実際は、私がこれまでに習得してきました法律知識の全てを集約したような内容になっています)。
後は、原稿をサイト上に表現するだけでしたので、これほど時間がかかるはずではなかったのですが、見込みが甘かったでした。
デザイン面の配慮にかなりの時間を取られ(図を作成し直すようなこともありました)、また、リンクづけ等の細かい作業も厳しかったでした。そして、内容面について新たに精査したため時間がかかった個所も少なくありませんでした。
科目別には、やはり国年法と厚年法に約5箇月もかかっている点が問題でした。国年法と厚年法は、出来上がった内容については満足はしているのですが、いかんせん時間がかかりすぎました。
結果的に、健保法が丸々残ってしまったような形になり、誠に申し訳ない次第でございます。
このように反省点は多々ございます。
ただ、このようなサイトでも、皆様の合格に向けて、いくばくかでもお役にたてたとしましたなら、この上ない幸せでございます。
ご縁によってこのサイトをご利用して頂くことになり、厚く感謝を申し上げます。
3 本試験について
あと2週間強もあります。まだまだ多くの事項を詰め込み記憶できる状況です。あきらめるには早すぎる段階です。出来ることはすべてやって頂いて、本試験会場にて全力を出して頂くことを願っております。
皆様のご健闘を心からお祈りしております。
4 メール配信について
なお、サイトの更新については、今回で終了になりますが、会員の皆様へのメールはまだ送らせて頂きます。できれば、いくつか選択式問題を作成してお送りしたいのですが、時間との闘いになりそうです。
また、今年度のサイトの終了時期等については、本試験終了後に改めてメールにてお知らせさせて頂きます。
長いようで短かった1年間でしたが、有難うございました。
・平成27年8月4日(火)
今回は、「第4編 費用(財政)」のうち、最後の「第3章 強制徴収の手続」を除く全てをアップしました。
膨大なボリュームになっていますが、今回の更新事項は次の2つに大別できます。
(1)国庫負担、国庫補助
(2)保険料
(1)の国庫補助は重要です。苦手な方は、こちらのページの図をベースに、知識を再確認して下さい。
(2)の保険料については、「健保法に特有の部分」と「厚年法と共通する部分」とで構成されています。
保険料についての基本的な体系は、今まで学習してきました他の科目と同様です(主体→客体(保険料)→手続により整理します)。
こちらのページで保険料の概観を見ていますので、知識を再チェックして下さい。
その他、いくつか、知識を再チェックできる図表があります。
例えば、保険料の納付の関係については、こちらの図をご利用下さい。
保険料率については、こちらをご利用下さい。
また、任意継続被保険者(及び特例退職被保険者)に関する保険料については、こちらで整理していますので、苦手な方はご参照下さい。
次回は、今回の残りの「強制徴収の手続」以下、すべてを更新します。これにて、健保法の更新が終了する予定です。試験直前までかかってしまい、誠に申し訳ございません。
健保法も、内容的には、良いレベルになっていると自負しており、皆様に十分読んで頂く時間的余裕がなかったことが残念かつ申し訳なく思っております。
・平成27年8月1日(土)
今回は、「日雇特例被保険者」の更新です(「費用(財政)」の問題は、のちにまとめて見ますので、「費用」以外の個所の更新です)。
日雇特例保険者も、綿密に学習すると、かなりボリュームがあります。ただ、試験では、今のところ、あまり細かい出題はされていません。
近時、健保法は、択一式がかなり難しくなっており、今後は日雇特例被保険者に関する細部が出題される可能性があるのですが、まずは基本的知識の習得となります。
過去問はこちらに掲載していますが、日雇特例被保険者の要件に関する問題や保険給付の一定の事項は繰り返し出題されています。まずは、これらについて再チェックしておく必要があります。保険料納付要件については、本サイトのこちらを参考にして下さい。
次回は、「費用(財政)」に入ります。あと3~4回前後の更新により、健保法が終わり、当サイトの本年度の全科目が終了する予定です。
・平成27年7月29日(水)
今回は、健保法の「資格喪失後の保険給付」 から「保健事業及び福祉事業」までの更新です(第3編の「日雇特例被保険者の保険」の手前までの更新になります)。
具体的な内容は、次の通りです。
一 資格喪失後の保険給付
二 保険給付の通則
(一)併給の調整
(二)特殊な調整
1 給付制限
2 不正利得の徴収
3 第三者行為災害
(三)受給権の保護等
(四)その他(支給の時期=保険給付の方法)
三 付加給付(任意給付)
四 保健事業及び福祉事業
1 資格喪失後の保険給付は、少し厄介な個所があります。資格喪失後の保険給付が苦手な方は、是非本サイトをざっと一読してみて下さい。
2 保険給付の通則の中では、「給付制限」の出題が多いです。給付制限の事由は記憶しておいた方が良いです。こちらの図とその下のゴロ合わせを利用して下さい。
3 その他の項目については、他の科目と基本的には共通する事項が多いです(例えば、第三者行為災害や受給権の保護等)。
健保法に特有の個所を押さえます。
なお、「給付の通則」に関する過去問(平成14年度以後)は、こちらでまとめて掲載しています。
次回は、日雇特例被保険者の保険に入ります。
・平成27年7月27日(月)
今回の更新は、健保法の「傷病手当金」から「出産手当金」までになります(「資格喪失後の保険給付」の手前までです)。
具体的には、次の通りです。
第1節 傷病に関する保険給付
第12款 傷病手当金
第2節 死亡に関する保険給付
第1款 埋葬料(埋葬費)
第2款 家族埋葬料
第3節 出産に関する保険給付
第1款 出産育児一時金
第2款 家族出産育児一時金
第3款 出産手当金
(1)傷病手当金は、出題頻出です。隅から隅まで細かく押さえておく必要があります。すでに学習し終えた方は、本サイトの図表の部分をチェックしてみて下さい。
「傷病手当金の支給調整」の問題は、やや学習しにくい個所です。本サイトでは、まず、こちらで全体像を整理しています。図でイメージできるようになっていますので、この「傷病手当金の支給調整」の問題が苦手な方はぜひお読み下さい。
(2)死亡に関する保険給付は、今回更新した事項の中では、割と学習しやすいです。出題されやすい個所がありますので、そこを押さえるのがポイントです。
(3)出産に関する保険給付のうち、出産育児一時金は、結構学習しにくい個所です。平成27年1月1日施行の改正により、支給額が改められていますので、関連個所も含め押さえる必要があります。
次回は、「資格喪失後の保険給付」を更新し、さらに「保険給付の通則」にも入ります。
その後の健保法については、日雇特例被保険者の関係と保険料の関係が最大のポイントになってきます。その他は、基本的には、厚年法の知識をベースにできる個所が多く、割合楽です。
・平成27年7月24日(金)
今回は、「家族療養費」から「移送費・家族移送費」までの更新になります(「傷病手当金」の手前までです)。内容は、次の通りです。
第6款 家族療養費
第7款 訪問看護療養費
第8款 家族訪問看護療養費
第9款 高額療養費
第10款 高額介護合算療養費
第11款 移送費、家族移送費
いずれの保険給付も重要です。
「家族療養費」は、「療養の給付」等の被扶養者版です。「療養の給付」等の応用問題という側面もありますので、慣れるまでは少しわかりにくいかもしれません。
「訪問看護療養費」は、基本的なキーワードや仕組みを押さえることが重要です。
今回のメインは、「高額療養費」です。健保法の中で最も難しい個所です。
もう試験も目前に来ており、この時期に無駄なく知識を整理するため、まずは、高額療養費の「総論」のこちらのページと次のページを読んで頂くとよろしいと思います。総論的事項のほか、高額療養費の計算問題に対する基本的処理方法を説明しています。
そして、なにより、こちらの「高額療養費算定基準額」の表を覚えているかを確認して下さい。70歳未満の者に係る高額療養費算定基準額は、改正個所ですので、要注意です。
また、過去問のページで掲載している【選択式 平成16年】(こちら)を解いてみて下さい(市販の過去問集では、収録していないものもあるでしょう。出題当時は、受験生にとって難しすぎ、救済措置が採られた問題です)。
今年度は、「70歳未満の者」に係る高額療養費の計算問題を視野に入れておく必要があります。本文の各所で、計算問題を掲載しています。
「高額介護合算療養費」も、介護合算算定基準額を押さえておく必要があります(平成25年度に選択式で出題されていますから、しばらくは選択式では登場しないでしょうが、改正事項であり油断はできません)。
「移送費、家族移送費」については、支給要件と効果をきちんと押さえるだけです。
次回は、傷病手当金以後を更新致します。
・平成27年7月18日(土)
今回から健保法は、保険給付に入ります。今回は、こちらの「第3編 事業」の初めから、「療養費」 の最後までの更新になります(「家族療養費」の手前までのアップです)。
今回の学習内容となる保険給付は、次の通りです。
第1款 療養の給付
第2款 入院時食事療養費
第3款 入院時生活療養費
第4款 保険外併用療養費
第5款 療養費
健康保険の保険給付は、他の科目よりは馴染みがあるものもありますが、意外に学習しにくいものが多いです。
学習する大枠は、次の(1)~(3)のようになります(なお、健康保険の保険給付の場合も、「発生→変更→消滅」という時系列により押さえますが、ほとんど「発生」の問題で処理でき、「変更」や「消滅」の問題は一般的にはあまり考える必要はないです。次の(1)~(3)は、発生に関する問題です)。
(1)支給要件
(2)効果(広義)→支給額、支給方法、支給時期等が問題になります
(3)手続→現金給付の場合は、申請の手続が問題になります。また、例えば、入院時食事療養費の場合は、食事療養標準負担額の減額申請の問題等があります。
このような視点により、各保険給付の細かい知識を押さえていきます。
以下、すでに健保法を学習し終えている方へのご案内です。
すでに学習し終えている方は、本サイトの体系図、各図表、青い点線の枠囲みをチェックして頂くと、短時間で記憶の再チェックをして頂くことが可能です。
例えば、療養の給付については、こちらに体系図があります。この図により、療養の給付の知識の確認をして頂き、あいまいな個所は本文を確認して下さい。
また、今回の更新の範囲をざっと眺めて頂くと、所々で図表が掲載されているのに目がつくことと思います。この図表は、重要箇所を整理したものが多いため、ざっと一読して頂くと有用です。
例えば、療養の給付の場合、「人工妊娠中絶」の問題の処理について、こちらの図で整理しています。
また、療養の給付の「一部負担金」については、こちらの図により全体を理解できるようにしています。
この図のすぐ下には、一部負担金についてのゴロ合わせを掲載しています。ゴロ合わせも重要箇所について作成してありますので、※【ゴロ合わせ】という個所をチェックして頂くと、参考になることもあるかもしれません。
また、各所で、青い点線の枠囲みにより、要件や重要部分を抽出しています。
以上のようなチェックポイントを目安にざっと流し読んで頂くと、短時間で記憶の再チェックを図ることができるかと思います。
なお、過去問は、基本的に、各保険給付の最後にまとめて掲載しています(平成14年度以後の全問です)。
次回は、家族療養費以下を更新します。高額療養費が含まれます。高額療養費は改正がありましたので、今年度は選択式の計算問題も視野に入れて、注意しておく必要があります。
・平成27年7月15日(水)
まず、健保法の更新は、「第2編 客体」の全部になります(「第3編 事業」の手前までです)。
保険事故と報酬関係から構成されていますが、保険事故については、既に「序論」で学習し尽くしていますので、今回のメインは報酬関係です。
ただ、報酬関係も、既にほとんど厚年法で学習し終えています。
健保法の報酬関係においては、厚年法の報酬関係と異なる点を学習すれば足りることになります。
そこで、厚年法と健保法の報酬関係の違いについて、このページの〔3〕と〔4〕においてまとめていますので、まずはここをご覧頂くとよろしいです。すでに健保法を学習済みの方は、記憶忘れがないか確認して下さい(記憶があいまいな個所については、本文をお読み下さい)。
次回からは、保険給付に入ります。週末に療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費あたりをアップする予定です。
・平成27年7月12日(日)
今回は、健保法の「主体」の残りの更新です。
「第4章 その他」の「被保険者証」から、「第5章 給付担当機関」の全体のアップになります(「第2編 客体」の手前までのアップです)。
1「第4章 その他」の個所では、次の事項を学習します。
第1節 被保険者証
第2節 高齢受給者証
第3節 書類の保存義務
第4節 通知
(1)被保険者証・高齢受給者証
被保険者証や高齢受給者証は、それほど出題が多いわけではないですが、情報量が多く、学習しにくい個所です(被保険者証について、平成22年度の選択式で出題もありますので、被保険者証・高齢受給者証の関係は、手を抜かない方が良いです)。
(ア)被保険者証については、まず、こちらの体系を念頭に入れて頂き、その下に記載してある【記憶のポイント】を押さえてから、細部を見て頂くと効率的に学習が進みます。
すでに学習済みの方は、上記の記憶のポイントを押さえた後は、「発生→変更→消滅」の各段階ごとにイメージ図を挿入していますので(例えば、「発生=被保険者証の交付」については、こちらの図です)、この図を初めに見て頂いて、記憶が喚起できるかをチェックして頂くとよろしいです(記憶が喚起できない場合は、本文をお読み下さい)。
なお、被保険者証の「検認又は更新等」のように、情報量が多く複雑な個所もありますが、ここは基本的な用語や提出等の期限等を押さえる程度で足り、あまり細かく覚え込む必要はないと思います。
被保険者証の中では、選択式でも出題されましたように、「返納」に最も注意が必要です。
(イ)高齢受給者証については、こちらのページの冒頭及び交付の個所の基本的知識を押さえて頂き、あとは、やはり「返納」(返納の要件等)について少し知識を蓄えておけばよろしいかと思います。
2 書類の保存義務
保存義務の期間は、暗記しなければなりません。ゴロ合わせを参考にして下さい。
3 通知
通知は、平成23年と24年の択一式で1肢ずつ出題があります。通知の流れを図にしていますので、参考にして頂いて、全体のイメージをつかんで下さい(厚年法の通知と共通する部分が多いです)。
なお、通知に関する条文は、割合わかりやすく、条文を読むと通知の流れをイメージしやすいかもしれません。
2「第5章 給付担当機関」では、次の事項を学習します。
第1節 保険医療機関及び保険薬局
第2節 保険医及び保険薬剤師
第3節 指定訪問看護事業者
給付担当機関は、出題が多く(そして、難しい問題が多いです)、特に上記第1節の出題が多いです。
まずは、それぞれ、「発生(指定・登録)→変更→消滅(指定・登録の取消し等)」という時系列を念頭において頂いて、その後、これら各フェーズの細かい知識を押さえていきます。
過去問で問われたような主要な事項については、ゴロ合わせを作ってありますので、参考にして下さい(逆に言うと、ゴロ合わせがある部分が
重要箇所です)。
すでに学習した方の場合、まず、こちらの給付担当機関のまとめの表をご覧下さい。今一つ記憶が不確かなような個所は、改めて本文を確認して下さい(このまとめの表の下部では、「中央社会保険医療協議会や地方社会保険医療協議会に諮問することが必要な場合」、「地方社会保険医療協議会の議を経ることが必要な場合」をまとめています)。
次回は、「客体」に入り、報酬関係を更新する予定です。
・平成27年7月8日(水)
今回は、健保法の「被扶養者」(こちら)及び「届出等」(こちら)の最後まで(「確認」まで)の更新になります(「第4章 その他」の「第1節 被保険者証」の手前までのアップになります)。
今回も、試験対策上、重要な個所です。
1「被扶養者」については、本サイトの本文をきちんと読んで頂いた方がよろしいです。
「被扶養者の範囲」と「生計維持の要件」については、必ず記憶する必要があります。
ただ、「被扶養者の範囲」について、親族等の基本的考え方は、すでに労災保険法以下、何度も反復して紹介してきていますので、問題は少ないかと思います。
こちらで過去問をまとめて紹介していますので、最終チェックにご利用下さい。
2「届出」については、基本的には、厚年法で学習した知識をベースにできます(健保法の届出は、厚年法の届出に比べれば、分量が少なく、相当楽です)。
ただし、ボリューム自体はありますので、まず、「体系図」をチェックして頂いて、記憶が怪しいような個所について、該当箇所の本文をお読み頂くと、時間の節約になりそうです。
「体系図」は、「事業主が行う届出」と「届出の期限」を整理した図について、こちらに掲載し、「被保険者等が行う届出」について、こちらに掲載しています。
「届出等」の過去問は、こちらに掲載しています。
3「確認」については、基本的には、厚年法等で学習した知識をベースにでき、健保法に特有の個所を押さえることになります(確認が不要な場合等の問題です)。
次回は、「被保険者証」以下と「給付担当機関」に少し入る予定です。週末位にアップ致します。
・平成27年7月5日(日)
健保法の更新のお知らせです。
今回は、前回の「保険者」の残りの「第4節 厚生労働大臣の権限の委任等」(こちら)と「被保険者」(こちら)の全体をアップします。「被扶養者」の手前までです。
「厚生労働大臣の権限の委任等」については、厚年法でも同様の問題を学習しました。とりあえずは、後回しにして(というか、スルーして)頂いて結構です。
「財務大臣への厚生労働大臣の滞納処分等の権限の委任」は重要ですが、厚年法の場合とほぼ同様ですので、ゴロ合わせ等を再確認して頂く程度で大丈夫です。
今回のメインは、「被保険者」です。
前提として、「適用事業所」を学習しますが、すでに学習した厚年法の「適用事業所」の知識をベースにできます。
「当然被保険者」については、厚年法の当然被保険者と同様の問題が多いため、これも学習にそう支障はないと思います。
なお、届出については次回詳しく学習しますが、健保法の被保険者関係に特徴的な問題のひとつとして、届出の提出先の問題があります。
「基本的な考え方」としては、協会管掌健保に関する届出は、厚生労働大臣(具体的には機構)に提出し、組合管掌健保に関する届出は、健康保険組合に提出するという原則が採られています。
健康保険の場合、保険者として、全国健康保険協会と健康保険組合の2種類があり、かつ、全国健康保険協会の一部の業務は厚生労働大臣が行うこととなっている(さらに、この厚生労働大臣の権限が機構に委任等されていることが多い)ため、届出の提出先も少しわかりにくくなります。
(条文に首を突っ込むと、ややこしいことになります。細かい内容については、例えば、本文のこちらで触れており、いったんは読んで理解して頂いた方が良いです。ただ、その後は、細かい条文操作は忘れて頂き、上記の「基本的な考え方」として説明した個所を覚えて頂き、大枠を把握しておけば足りると思います。)
「任意継続被保険者」及び「特例退職被保険者」の個所では、当サイトの健康保険法の体系に従って、健康保険法全般に渡り知識を整理しています(例えば、任意継続被保険者についてはこちらです)。学習の最終段階にある方は、これらにより健保法全体の知識を再チェックして下さい。
なお、「日雇特例被保険者」については、後日、日雇特例被保険者の関係をまとめて整理しますので、今回の「被保険者」の更新には含まれていません。
次回は、「被扶養者」以後の更新となります。
・平成27年7月1日(水)
今回は、健保法の2回目の更新です。保険者の関係をアップします。
「第1編 主体」の「第1章 保険者」について、「第4節 厚生労働大臣の権限の委任等」以外はすべてアップしました。こちらからのアップとなります。全国健康保険協会と健康保険組合が中心です。
かなりのボリュームがありますが、すでに厚年法の存続基金等において、「団体等の体系」に沿って知識を整理する作業は行っており、全国健康保険協会や健康保険組合の場合も、同様の枠組みで知識を整理することになります(存続基金よりは、健保の保険者の方がずっと楽なはずです)。
なお、すでに健保法の学習は終了された方も少なくないかと思います。そのような方の場合、まず、こちらの「保険者のまとめ」のページをご覧になって下さい。
「健康保険組合の各種要件」、「全国健康保険協会と健康保険組合の比較」及び「健保法上の健康保険組合の登場場面」をまとめています。
もし、これらのまとめからうまく記憶が喚起できないような場合は、本サイトの本編もご覧になって、ゴロ合わせ等を利用して確実に知識を再記憶して下さい。
また、紛らわしい健康保険組合として、次の4つの健康保険組合を「特殊な健康保険組合」としてこちらで整理しています。
記憶がすぐ喚起できないような場合は、これも復習が必要です。
(1)指定健康保険組合(第28条)
(2)特定健康保険組合(法附則第3条)
(3)地域型健康保険組合(法附則第3条の2)
(4)承認健康保険組合(法附則第8条)
次回は、今回アップできなかった「第4節 厚生労働大臣の権限の委任等」を更新して「保険者」の関係を終わらせ、「被保険者」に入っていきます。ここら辺は、すでに厚年法の被保険者を学習し終えているため、スムーズに進められます。
・平成27年6月27日(土)
今回から、「更新等のお知らせ」が新しいページに移りました。
本サイトにおける最終科目である健康保険法の更新開始に入りました。今回は、序論(こちらから)をアップしました(「第1編 主体」(保険者等)の手前までです)。
本来なら、今頃、健保法が終了していなくてはいけなかったのですが、各科目の更新が1~2週間遅れてしまい、結果的に、試験直前まで健保法の更新が続きそうな状態になっており、誠に申し訳ございません。
ただ、健保法も、内容面をカットするようなことはせず、それでいて、直前期の再確認にも使用できるように横断整理等を取り入れていきます。
次回は、「主体」の「保険者」に入ります。