更新等のお知らせ 平成30年度
・平成30年8月22日(水曜)
試験日が目前です。
この時期、寝付きが悪かったり、イライラすることも少なくないかと思います。
しかし、本番当日に、受験票を持参することさえ忘れなければ、その他の問題は、ほぼ解決可能です(受験票を忘れて会場に到着してから気づきますと、これはえらいことになります。前日あたりから、持参するバック等に受験票を挿入することをお忘れにならないようにお願いします)。
本試験問題を開けたら、いきなりよく知らない内容が選択式の題材になっていたということもあり得ます。
しかし、皆さんが知らない知識であるのなら、他の受験生も知らないです。
また、全部通読はされなかったとしても、当サイトのボリュームに慣れておられる皆様ですから、長文の選択式が出題されても、それほど抵抗感も生じないはずです。
文章だらけの択一式問題が続いても、当サイトをお読み頂くのと、さほど違いを感じられないでしょう。
試験会場では、得点をもぎ取ってくることに集中して下さい。高得点で合格する必要は、まったくありません。
知識が増えてきますと、例えば、択一式の一つの肢から、色々な知識を連想したりしてしまうのですが、本番ではあまり余計な知識には思いを巡らせず、その肢を正解することに集中して下さい。
逆に、本試験問題を解いている際に、複数回の受験経験のある方であっても、知識の定着の不十分さなどを感じることもあるかもしれません。
しかし、反省等は、本試験終了後に行えば足ります。本試験中は、現時点で持っている知識を武器に、ひたすら得点を重ねて合格することだけを心掛けて下さい。
皆様の努力が実を結ばれることを心よりお祈り申し上げます。
God bless you!
※ 追伸
当日は、猛暑も予想され、かなり汗をかきそうです。タオル(ハンカチ)を複数枚お持ち頂き、トイレ休憩の際は、濡れタオルで顔を拭いて下さい。さっぱりします。
では、本試験終了後、数日して、ご挨拶申し上げます。
・平成30年8月9日(木曜)
今回は、今年度の通常の更新メールの最終回となります。
労働一般の直前対策講座と労働組合関係の白書対策講座をアップしました。
1 更新内容
(1)労働一般の直前対策講座
まず、労働一般の直前対策講座は、こちらです。
労働一般の各法から、13肢を作成しました。やや難しい問題が多いかもしれませんが、最終的には、出題個所の条文をざっと見て頂ければ良さそうです。
(2)労働組合関係の白書対策講座
労働組合関係の白書対策講座は、こちらです。
「労働組合基礎調査」と「労働組合活動等に関する実態調査」を取り上げています。
ただし、前回平成29年度の選択式に、労働組合基礎調査の推定組織率に関する問題が出題されているため、今回は、出題されるなら、択一式になりそうです。
2 ご挨拶
上記の労働一般の直前対策講座のページの最後にご挨拶文を掲載致しました。
少し前にもメールで触れましたが、東日本大震災で亡くなり社労士試験を受けることができなくなった方がおられました。
今回無事に受験するに至った皆様が、是非、合格して下さい。
当日に、皆様が力を出し尽くされることを、心よりお祈り申し上げます。
この1年、有難うございました。
※ 追伸
なお、後日、本試験前における注意点などについて、メール致します。
また、本試験終了数日後にご挨拶のメールを送信させて頂く予定です。
・平成30年8月5日(日曜)
さすがに、こう毎日暑いと、身体がこの悪環境に慣れてきましたというか、なんといいますか微妙な体調です。。
さて、やっと働き方改革関連法の分析が終わり、労基法の直前対策講座の完成に至りました。
この働き方改革関連法は、平成31年4月1日施行を原則としますから、今回の試験には関係しません。
ただし、質量ともに大きな改正であり、労基法等の出題テーマの選択の際に、間接的に影響する可能性があります。
そこで、労基法の直前対策においても、この改正法も考慮して素材を検討しています。
もちろん、近時の最高裁判例やガイドラインも要注意であり、昨年度版の直前対策講座で出題しましたテーマを再度取り上げているものもあります。
なお、白書対策講座は、最終回として、労働組合法関係のデーターを用意しています。ほぼ完成しているのですが、最終チェックをするため、今回の更新には間に合わず、次回、労働一般の直前対策と同時に公開致します。
次回の更新を以て、一応、本年度の通常の更新は終了となります。
試験日までは、まだまだ3週間もあります。この時期は、もはや問答無用に点を取りにいく学習となります。
この時期に丸記憶した事項は、本番にその状態のまま持って行くことが可能です。あきらめずに、手薄な個所、記憶が怪しい個所などをしっかり丸暗記して下さい。
また、問題を解く勘を鈍らせないように、市販の模試などを利用して、気になるテーマ等について、1日1問程度(時間がなければ1肢でも)、解いてみることも有用です。
後悔のないよう学習をし尽くすことは大切ですが、同時に、健康ほど重要なものはありません。緊張を強めるところとリラックスするところをうまくバランスをとって頂いて、本番を迎えて下さい。まずは本番を迎えることができたら、それだけで成功です。
本番中も、絶対にあきらめないというパッション・闘魂をみなぎらせつつ、問題文にはクールに立ち向かって下さい。
毎年度触れているのですが、本番では、知らない問題が多く出ます。特に労働一般の選択式が典型ですが、択一式も全く油断することができません(昨年度の労災保険法が一例です)。
択一式では、多くの学習者が知らない知識を出題しても、その肢以外で処理できるようになっていれば、まったく問題ありませんから、知らない肢が頻出してくるのです。
従って、知らない知識が登場しているからといって動揺してはいけません。そのような肢は、保留の印でもつけて後回しにして下さい。
初学者の方は別としても、複数年学習されている方が初めての知識に出くわしたとしたなら、他の受験生の多くも解くことができない問題です。通常は、そのような問題で合否に差がつくことはないでしょう。
合格するため、どの問題を正解しなければならないのか、捨て問にしてもよい問題なのかどうか、冷静に判断して下さい。
択一式なら、6点前後の得点でも合格可能です。
選択式についても、平成20年度以降、必ずいずれかの科目で基準点を下回っています。しかも、通常、複数の科目で基準点割れしています。つまり、選択式のいくつかの科目については、知らない知識が出てくるということになります。
このような場合、最低でも2点を確保するため、冷静に問題文を検討して下さい。2点をもぎ取るため、最善の努力をします。
難しそうな選択式の問題に出くわした場合、急いで選択肢を見てはいけません。かえってわからなくなることが少なくありません。まずは、深呼吸でもして、態勢を整えて下さい。
その後、解答に入っていきます。ここでは、ご自分の学習経験・知識に照らして、正解となりそうな語句を想像し、余白にでもメモしながら、選択肢を読まずに解き進めて下さい。
選択式は、十分な解答時間がありますから、時間切れになることはあまりありません。
考える時間は多々ありますので、これまでの学習知識をベースに、一般的な常識も加味しながら、その空欄の前後及び設問本文全体をよく熟読して頂き、最も自然な語句を熟考して下さい。
通常は、なんとも「もやもや」した感じで、選択式が終わります。多くの受験生は、合格ラインに届いたかどうかはっきりしない感覚のまま、午後の択一式を迎えます。この状態が一般ですので、問題ありません。複数科目で基準点割れするのが通常なのです。
選択式で失敗したかもしれないと考えてしまいますと、択一式で集中力を失い、みすみす合格を手放す羽目になりかねません。
選択式の終了後は、「皆、もやもやしている」のであり、ここでは、気分を切替え、必ず今年で合格するという気迫・闘魂・パッションを再確認して下さい。
そして、択一式の問題用紙に向かう際は、再び頭をクールにし、合格するために必要な点をもぎ取ることを考えて解き進めていきます。
こういったバランス感覚については、法律に限ってのことですが、当サイトでも、リーガルマインドのもっとも重要な部分として随所で直接・間接的に触れさせて頂きました。
これから本番まで、また、本番当日においても、微妙なバランス感覚が必要になってきます。
長くて短い1年でしたが、もう少しで終了です。この1年、お仕事、家事、育児、介護等、様々な困難を経ながらも、無事に試験日を迎えることができました皆様には、本当に頭が下がります。
もうひと踏ん張りして、是非、素晴らしい結果を手にされて下さい。
・平成30年8月2日(木曜)
今回は、直前対策講座のうち、「国民健康保険法」のアップです(こちら)。
また、白書対策講座は、「高年齢者の雇用状況集計結果」をアップしています(こちら)。
国民健康保険法は、本年4月1日から大改正が施行されていますので、少なくとも社会一般の択一式には出題されると思います。
また、選択式で出題される可能性も高いと思います。
今回の直前対策では、合計14問(うち、選択式が5問)ですが、択一式は、1肢ずつの出題となっていますので、全体としてのボリュームはさほどありません。今回の改正事項をほぼ網羅していますので、是非一読して下さい(この中からいくつかは出題されると踏んでいます)。
先月末から、労基法の直前対策講座の作成の資料とするため、働き方改革関連法による労基法の改正を分析しており、終了しました。
次回、労基法の直前対策講座(一部、労働契約法やパートタイム労働法等の労働法関係も含みます)を以て直前対策講座を終了しますが、働き方改革関連法による改正個所を踏まえた問題作成となっています(来週中にはアップできます)。
なお、白書対策講座についても、次回、労働組合法関係をもって終了致します。
では、くれぐれも体調にはお気をつけ下さい。
・平成30年7月26日(木曜)
なにやら、今度は台風が来るとの噂です。。
気を取り直して、本日は、直前対策講座の「確定拠出年金法・確定給付企業年金法」の公開のお知らせです。こちらです。
社会一般の選択式については、確定拠出年金法が登場する可能性も十分あります。
今回は、ここ2年の改正事項を中心に直前対策をしています。設問は合計5問で、うち1問が択一式です。設問自体はそれほどボリュームがないのですが、内容的には、結構覚えるのが大変な事項が多く、復習に少々時間がかかるかもしれません。
ただ、他の科目もチェックしなければいけませんから、ほどほどのところで丸記憶してしまい、先に進んで下さい。
次回の直前対策講座は、国民健康保険法です。こちらも(は)大改正が行われていますので、選択式で出題される可能性があり、少なくとも択一式では出題されるでしょう。
白書対策講座は、「高年齢者の雇用状況集計結果」をアップする予定です。
では、健康第一で頑張りましょう!
・平成30年7月24日(火曜)
昨日の熊谷、史上最高気温の記録です。作業していても、結構、頭がぼーっとしますね。くれぐれもお身体にご自愛を。
今回は、安衛法の直前対策講座を公開しました。こちらです。合計6問、うち、択一式が2問あります。
近時の改正事項に焦点を当てました。
白書対策講座は、雇用均等基本調査です(こちら)。スキマ時間にでも、ざっとご覧下さい。
次回は、直前対策講座は、確定拠出年金法・確定給付企業年金法です。その後、国民健康保険法が続きます。
白書対策講座は、「高年齢者の雇用状況集計結果」になります。
では、また次回です。
・平成30年7月20日(金曜)
今回は、労災保険法の直前対策と白書対策講座から2つをアップします。
1 労災保険法の直前対策講座 ➡ こちら
2 白書対策講座(目次は、こちら)
(1)賃金構造基本統計調査 ➡ こちら
(2)雇用動向調査 ➡ こちら
※ 労災保険法については、今回の直前対策講座では作問していないのですが、【最判平成28年7月8日=行橋労基署長事件】(「研修生歓送迎会後に研修生を送る運転中の事故死の業務起因性」)は、少なくとも択一式では出題されそうです。
労災保険法の本文のこちらで択一式の問題も作成していますので、スキマ時間にでもチェックしておいて下さい。
科目によっては、改正状況、過去の出題状況その他の事情から見て、選択式の出題対象となりそうなテーマをある程度絞りやすいものもあります。
例えば、社会一般の選択式で何が出題されそうかとなりますと、危なそうな個所は判断可能です。今回は、国民健康保険法の第4条(国、都道府県及び市町村の責務)とか、保険給付費等交付金・事業費納付金の関係(第75条の2、第75条の7)あたりは、要注意です(近日、直前対策講座でご紹介しますので、これらの内容についてはスルーで結構です)。
これと確定拠出年金あたりが選ばれるかもしれません。
しかし、労災保険法の選択式の場合、予想が難しいです。
前回は択一式が難しく、選択式がやりやすかったため、今回は、択一式の難度がやや下がり、選択式の難度が上がることも考えられます。いずれにしましても、試験委員の「さじ加減ひとつ」であり、他の受験生が正答できるような個所を押さえておくことになります。
なお、念のため、副業・兼業に関連した論点も設問化していますので、労基法の労働時間の通算の問題と併せて、チェックして下さい。
次回は、直前対策講座は、安衛法に入ります。主にここ数年の改正事項を取り上げます。その後、国民健康保険法、高齢者医療確保法、確定拠出年金法といった社会一般に入ります。労働一般は、職業安定法の改正事項などを取り上げるかもしれません。
白書対策講座は、雇用均等基本調査などに入ります。
・平成30年7月16日(月曜)
この3連休、猛暑でした。
昨日の自宅のトイレは、40.5度を記録しました。このトイレが40度を超えたのを見たのは、過去数回しかありません。
体調維持を第一にお過ごし下さい。
今回は、白書対策講座の就労条件総合調査の公開です(白書対策講座のこちら)。平成29年就労条件総合調査であり、平成29年12月27日に公表された最新版です。
過去問が多いため、過去問の分析を中心にしています。
白書関係の過去問は、データーが既に古くなっていることが多いため、一見、過去問に取り組むのはあまり意味がないようにも見えますが、実はそうではありません。
確かに、当時のデーターを覚える必要はありませんが、過去問のデーターを現在のデーターに置き換えることにより、現在でも有効に利用することができます(当サイトを利用して頂くことにより、現在のデーターに置き換えるという余計な手間暇をカット頂けます)。
労働経済のデーターを裸で記憶することは困難ですが、過去問を利用し、かつ、現在のデーターに置き換えることによって、現在までの流れ・傾向等を記憶することの助けになることがあります。
もちろん、過去問の分析により、従来、試験委員がどのような点に関心を持っていたかがわかり、類似の事項の出題予想が立てやすくなります。
今回取り上げた過去問ですと、例えば、成果主義的な人事労務管理(賃金管理制度)の問題が浮かび上がるような内容もあり、現在でも有用に利用できます。
次回の白書対策講座は、賃金構造基本統計調査となります。
その前に、直前対策講座の労災保険法の公開になりそうです。労災保険法の次に、安衛法の改正事項を取り上げます。その後、一般常識の科目に入っていきます。
では、また次回です。
・平成30年7月13日(金曜)
雇用保険法の直前対策講座の第3回目(最終回)のアップのお知らせです。
今回は、教育訓練給付金以降を取り扱っています(こちら)。
ただし、1問、高年齢雇用継続給付の選択式がありますが、その他は、ほぼ教育訓練給付金からの出題です(選択式が多いです。難しい問題が多いですが、正答できたかどうかは気にしないで下さい。事後に数字等を覚えて頂くことが重要です)。
なお、選択式において、育児休業給付金と介護休業給付金の出題の可能性もかなりありますが、前回の平成29年度版の直前対策講座で取り上げた問題をリンクしています。
雇用保険法の今回の選択式の予想は、難しいです。
ここ2年の改正事項のボリュームの多さから考えますと、この改正事項から取り上げられるのではないかと考えています。
近時の選択式が3つのテーマから選ばれているため、このうち1つは改正事項になるという予想です。
ただ問題は、どの改正事項が取り上げられるかであり、これがつかみにくいです。改正事項が非常に広範囲に及んでいるためです。
前回の選択式が、未支給の基本手当、日雇労働被保険者の資格継続の認可、雇用保険2事業の改正個所(生産性の向上の理念)という3つのテーマですから、例えば、基本手当以外ですと、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付の3つのすべての給付が今回の出題対象に入ってきます。
なお、その前の平成28年度は、目的条文、移転費の額、国庫負担の3つが取り上げられています(改正事項なし)。
平成27年度は、高年齢求職者給付金、教育訓練支援給付金、未支給給付の3つです(教育訓練支援給付金が改正事項でした)。
なんとなく嫌な気がするという程度の感触ですが、教育訓練給付金には注意が必要と考えて、今回はその選択式を増やしています。
ともかく、ある程度のメリハリをつけた最終チェックは有効だと思いますが、あまりヤマをはりすぎると、外れたときのダメージが大きいため、やはり、万遍なくチェックして頂くのが安全ではあります。
次回は、白書対策講座の就労条件総合調査を公開できると思います。こちらは、過去問がかなりあるため、それを現在のデーターと照合する形でマスターしていきます。
・平成30年7月11日(水曜)
今回は、雇用保険法の直前対策講座の2回目のアップです。こちらです。
前回の「その1」では、基本手当まで終わりました。今回は、通所手当、日雇労働被保険者の給付、就職促進給付に関する設問です。
今回は7問ですが、そのうち、5肢ある択一式が4問あるため、ボリュームが結構あります。
改正の多い就職促進給付が厄介であり、内容的にも、難しいです。
次回、雇用保険法の直前対策講座は、「その3(最終回)」として、教育訓練給付以後をアップします(選択式が多くなっています)。
・平成30年7月8日(日曜)
7月3日(火曜)に送信しました健保法の解説を含むメールにて、今年度の通常の更新メールは終了致しました。
しかし、まだまだ直前対策講座と白書対策講座は、続きます。これからが本番です。
本日は、以下のアップです。
(1)雇用保険法の直前対策講座の前半の公開
まず、雇用保険法の直前対策講座の前半をアップしました。こちらです。
前半は、基本手当の最後までです。8問ですが、5肢からなる択一式が3問ありますので、全部で20肢位あることになります。
前回出題されるはずであった改正事項が大量に未出のまま残っていますので、今回の出題は、ここ2年の改正事項がかなりを占めるものと予想されます。
そして、この2年の改正により、雇用保険法は一層複雑化しています。例えば、延長給付のうち、個別延長給付などはかなり大変です。
地道に記憶するほかありませんので、今回の直前対策もご利用頂き、改めて知識を再チェックしてみて下さい。
なお、今回の直前対策は、内容的には、少し難しい問題が多いです。あまり正解できなくても心配なさらずに、事後の復習に力を入れて下さい。
(2)過労死等防止対策推進法の公開
過労死等防止対策推進法を公開しました。白書対策講座ではなく、労働一般に入っています。こちらです。
一応、条文もすべて掲載していますが(第2条の「過労死等」の定義は、押さえる必要があります)、主眼は、過労死等防止対策白書の白書対策です(この白書の目次は、こちらの下部です)。
この白書から出題される可能性はあり、択一式ですが、4問(20肢)を作成しています。この択一式をチェックすることにより、万が一、選択式で出題されても参考にできると思います。
なお、ややこしくて申し訳ないですが、前記の通り、この過労死関係は、労働一般に入っています。労働一般のパスワードになり、白書対策講座のパスワードではございません。
(3)毎月勤労統計調査
毎月勤労統計調査もアップしました。白書対策講座のこちらです。
こちらは、データーのみ掲載し、作問はしていません。労働時間に関するデーターは、これまで見てきました労働力調査などから推測できるものが多く(また、上記の過労死等防止白書の中でも毎月勤労統計調査を引用しています)、賃金については、今後、賃金構造基本統計調査や就労条件総合調査の中で取り上げていきますので、今回の毎月勤労統計調査は、参考程度で結構です。
では、また次回です。
・平成30年6月23日(土曜)
直前対策講座を開始しました。まず、厚年法の選択式対策からです。
そろそろ、被用者年金一元化法による改正事項から選択式の素材が選ばれるかもしれません。
また、届出等に関する直近の改正事項についても、注意しておく必要があります。
これらのポイントについて、12問の選択式の練習問題をご用意しました。解説が少々長くなっている設問もありますが、解説で掲載しています本文へのリンクも利用して頂き、関連知識を整理して下さい。
この後、国年法、健保法、雇用保険法、社会一般(国民健康保険法、確定拠出年金法等)と続いていきます(順番は、若干、前後します)。
なお、白書対策講座も続行中です。
厚年法の解説メールは、次回で最終回です。費用から、不服申立て、存続基金等について解説しています。
その後、健保法の解説と続きます。
・平成30年6月18日(月曜)
会員の方で大阪地方にお住まいの方も少なくないかと思うのですが、被害が少ないことをお祈り申し上げます。
さてさて、ようやく厚年法と健保法の改訂が完了しました。かなり念入りに改訂していますので、模試等の解説としてぜひご参照下さい。
今回は、白書対策講座の第4回目として、厚生労働白書から障害者の雇用の関係をご紹介します。同時に、平成30年4月1日施行の障害者雇用促進法についてもかなり触れています。さらに、「平成29年 障害者雇用状況の集計結果」から8問、問題を作成しています。
加えて、最新の「平成28年パートタイム労働者総合実態調査の概況」からも、23問、問題を作成しています。
障害者雇用の関係とパートタイム関係は、やはり、マークしておかれると安心です。
その他、6月1日に、労働契約法第20条の「期間の定めのあることによる不合理な労働条件の相違の禁止」に関して、ハマキョウレックス事件と長澤運輸事件という非常に重要な2判決が出されました(別個の判決ですが、関連しているため、同日に出されています)。
これらの判決は、時期的に、今回の試験対象とはなりません(従って、判決文を詳細にチェックするといった必要はないです)。
ただ、現行の解釈に大きな影響を与える判決であるため、既存の労基法の労契法第20条の個所に追記をしています。これについても、参考になりそうな知識をメール中で解説しました。
いよいよここからが、皆さんの勝負です。来月位からは、一方で既存の知識を整理するとともに、もう一方で模試(市販の模擬試験の雑誌等で十分です)等により、特に一般常識などの最新の設問を集め、さらに、まだ覚えていない事項、取り掛かっていない科目・分野等については、集中的に記憶する時間を作ります。もはや理屈を考える時間はなく、覚えていない事項は、ひたすら記憶です。
従いまして、皆さんも、かなり忙しくなります。当方も極めて忙しいのですが(実は、今年が一番忙しいのです)、ここはラストスパートを踏ん張る必要があります。1年間の努力を集結させて下さい。
ただ、そうはいっても、何より一番大切なのは健康です。特に、今日のように、大きな地震があったりすると、命の貴重さを痛感します。
健康第1、社労士試験は2番目の順位に過ぎないという事実は重要です。2番目の順位に過ぎないという範囲内で、最大限頑張りましょう。
厚年法の解説を、明日から、連日ないし1日おきに、メールにて配信致します。
次回、直前対策を開始です。まずは、厚年法からです。その後、国年法です(復習が大変そうな科目から始めます)。最後は、労基法の予定です。
なお、白書対策講座は、労働経済白書になります。では、また次回です。
・平成30年6月14日(木曜)
3月頃からものすごい忙しさになっていましたが、ようやく、一区切りがついてきました。
健保法の改訂も、数日中に終了します。
近日、白書対策講座として、障害者の雇用関係をご紹介します。
なお、6月1日に労働契約法第20条(期間の定めのあることによる不合理な労働条件の相違の禁止)に関する重要な最高裁判決がありました。ハマキョウレックス事件と長澤運輸事件です。
この判決は、本年度の直接の試験の対象ではありませんが、従来の解釈との整合性をチェックしておく必要はあり、本文で若干触れています。
直前対策講座をまもなく実施します。今年度も、選択式に出題可能性の高そうな厳選した問題と有用な解説をご提供します。
・平成30年5月29日(火曜)
今回は、厚年法の第4回目として、費用の国庫負担の終わりまで進みました。次回、厚年法は終了です。
また、健保法の第2回目の更新として、主体に関する問題を終わりました。
白書対策講座の第3回目は、高齢者と若年者について、厚生労働白書(第2回目)のご紹介です。
なお、健保法の改訂もほどなく終了します。
・平成30年5月4日(金曜)
今回は、国年法の「費用(財政)」以下の解説を行いました。
また、厚年法の第3回目の更新と健保法の初回の更新をしています。
改正事項として、労災保険法(社会復帰促進等事業)及び雇用保険法(雇用保険2事業)の助成金についてご紹介しました。
今回も、非常に長文のメールとなりました。
・平成30年4月29日(日曜)
今回は、極めつけに長いメールとなっており、3回に分割して送信致しました。
現在、作業に膨大な時間を費やしており、恐縮ながら、こちらの更新等のお知らせは、簡単な記載とさせて頂いています。
まず、国年法第6回目の更新として、基金・連合会の終わりまでアップしています。〔その後、国年法は、改訂を完了しています。〕
また、厚年法は第2回目の更新であり、主体と客体の全部の改訂が完了しています。
白書対策講座は、今回から、厚生労働白書に入りました。
次回、厚年法は、老齢厚生年金の更新となります。
・平成30年4月9日(月曜)
今回は、「働き方改革関連法」について、若干、ご紹介しました。
また、解説については、国年法の届出から老齢基礎年金の最後まで行っています。
さらに、3月30日又は31日公布の改正事項をご紹介しました。
・平成30年3月25日(日曜)
今回から、厚年法の更新を開始し、また、白書対策講座を実施致します。
白書対策講座の第1回目は、目次の第2章のうちの労働力調査までを公開しました。今回のメインは、「平成29年労働力調査」です。
基本的知識の解説後、労働力調査の全般から設問として取り上げています。通勤時間等のスキマ時間を利用してご活用頂ければ幸いです。
その他、いくつかの改正事項をご紹介しています。
次回は、国年法は、遺族基礎年金以後、厚年法は、被保険者に入ります。
また、白書対策講座は、厚生労働白書に入っていきます。
・平成30年3月3日(土曜)
さて、現在、国年法と厚年法を同時に改訂しています。さらに、白書対策講座をまもなく実施致します。そのような事情で、猛烈に多忙となっており、こちらの更新内容に関する詳細は、メールをご覧下さいませ。
今回は、国年法について、任意加入被保険者と被保険者期間を改訂しました。すでに、届出~老齢基礎年金の序盤までは改訂が終了していますが、届出の改正と併せ、次回ご案内致します。
その他に、近時の改正事項をご紹介しました。
・平成30年2月13日(火曜)
さて、徴収法も、改訂が終了しました。何やら、非常に忙しいため、ここでは、2月13日付のメールの主に項目を掲載するに留めます。
一 徴収法の改訂の終了
徴収法は、第4回目の更新により、すべての改訂が終了しました。労災保険率等の改正についても、書き換え済みです。この4月1日施行の改正については、こちらをご参照下さい。
二 国年法の第2回目の更新
次に、国年法の第2回目の更新です。
・更新開始ページ=「旧法と新法の給付」のこちらから。
・更新終了ページ=「強制加入被保険者に関する近時の過去問」のこちらのページの最後まで。
今回は、強制加入被保険者の最後までの更新となります。任意加入被保険者の手前までの更新です。
三 労災保険法の改正
今月8日に労災保険法の改正が官報に掲載されました(前述の徴収法の労災保険率等の改正と同一の厚生労働省令による改正です)。
改正された事項は、こちらの「改正・最新判例」の労災保険法の「2(特別加入の追加)~4」です。
(一)家事支援従事者
特定作業従事者である特別加入者に、「家事支援従事者」が追加されました(労災保険法のこちら以下)。条文上、 「家事支援従事者」と規定されているのではありません。厚労省が、通達で、 「家事支援従事者」という表現を使用しています。
まず、条文から見た方がわかりやすいかもしれません。 施行規則
改正前は、この第5号のうち、イのみ(=「介護作業従事者」)が改正前の施行規則第46条の18第5号として規定されていたのですが、今回の改正により、第5号の柱書とロが追加されました。
今回の改正は、要するに、家政婦紹介所の紹介等により個人家庭に雇用され、家事、育児等の作業に従事する者(家事支援従事者)について、介護作業従事者の就労との類似性などを考慮して、特別加入者(特定作業従事者)に追加したものです。
趣旨等については詳細については、こちら以下をご参照下さい。
択一的知識については、上記リンク先以下の本文の記載を一読して下さい。先の施行規則
(二)社会復帰促進等事業等に要する費用に充てるべき額の限度額の改正
次に、「社会復帰促進等事業等に要する費用に充てるべき額の限度額」が改正されました (こちら以下)。
近時の社会復帰促進等事業に関する細かい事項の頻出という傾向から、この改正は、極めて注意が必要です。選択式もあり得ます (施行規則第43条の前半(柱書)が、危ないです。各号は、スルーして大丈夫そうです)。
「120分の20」という数字、限度額が緩和されたことを記憶して下さい。また、上記リンク先の本文を読んで頂き、条文も色がついている部分を押さえて下さい。
四 年金法等の届出の改正
なお、前回お知らせしましたが、国年法、厚年法、健保法等の届出等について、個人番号の記載を追加する等の施行規則の改正が行われています(1月31日に公布)。
こちらが膨大な量の改正となっており、現在、スキマ時間を見つけて改訂作業をしています。
やっと厚年法の半分程度にたどり着きました(残りは、受給権者等が行う届出の改訂です。なお、改正省令の順番通り厚年法から開始していますので、この後、国年法に取り掛かります)。
特に当サイトの厚年法を読んでおられる方は、届出の個所について詳細に読むのは少々お待ち下さい。そう深刻な改正があるわけではないのですが、厚年法の場合、「被保険者に係る区別」の記載や「70歳以上の使用される者の届出」といったややこしい問題があり、改訂個所が多くなっています(ただ、これらの部分の改訂は、ほぼ終わりました)。全部の改訂が終わるまでには、今月一杯位かかりそうですが、厚年法はあと1週間ほどで終わりそうです。
五 白書関係
「毎月勤労統計調査」の平成29年分結果速報が公表されました(今月7日)。
労働経済白書なども同様ですが、要するに、経済状況のデーターは、軒並み良くなっています。その中で、芳しくないものあたりに着目して押さえておくと良さそうです。
・報道発表資料=こちら
・概況=こちら
・厚労省サイト=こちら
では、次回は、残っている徴収法の後半の解説の他、国年法の第3回目の更新をお知らせします。また、改正事項や最新判例もご紹介する予定です。
・平成30年2月3日(土曜)
雇用保険法の教育訓練給付以下の解説が残っていましたので、ポイントを記載しておきます。
また、徴収法の第3回目の更新もします(徴収法はまだ解説が追い付いていませんが、今回も大長文となっているため、次回から解説を開始します)。
その他、年金法等の届出等について大量に改正が行われていますので、さわりをご紹介します。
一 雇用保険法
雇用保険法は、すでに改訂が終了しましたが、教育訓練給付以下についてポイントを見ておきます。
(一)教育訓練給付
1 沿革
教育訓練給付は複雑です。育児休業給付と双璧といえます(育児休業給付の方が難しいかもしれません)。
教育訓練給付は、平成26年に大きな改正が行われ(平成26年10月1日施行)、非常に複雑になりました。
即ち、専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金(以下、「専門実践教育訓練給付金」といいます)の制度が新設され、従来の教育訓練給付金は、一般教育訓練に係る教育訓練給付金(以下、「一般教育訓練給付金」といいます)となり、両者が区別されることになりました。
さらに、失業者の専門実践教育訓練の受講を支援する趣旨から、暫定的に、教育訓練支援給付金が創設されました(改正当時は、平成30年度までの暫定措置でしたが、平成30年1月1日施行の改正により平成33年度まで延長されました(即ち、平成34年3月31日以前に当該専門実践教育訓練を開始したことが必要ということです)。
法律上の位置づけとしては、次の通りです。
教育訓練給付は、教育訓練給付金の1種類ですが(第10条第5項、第60条の2)、教育訓練支援給付金の創設により、教育訓練給付は、暫定的に、教育訓練給付金と教育訓練支援給付金の2種類となっています(法附則第11条の2第1項後段)。
なお、教育訓練給付の近時の改正については、こちら以下で記載しています。
直近の平成30年1月1日施行の改正の概要は、こちら以下です。
ある程度雇用保険法の知識のある方は、この 平成30年1月1日施行の改正の概要は一読してみて下さい。
2 整理の方法
教育訓練給付の3つのうち、教育訓練支援給付金は、さしあたり別個に考えます。
一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金は、主要な支給要件は共通しているため、まず、この2つに共通する支給要件を押さえるとよいです。
なお、教育訓練給付についても、「発生➡変更➡消滅」の時系列に沿って、要件と効果を考えていくことは、他の給付と同様ですが、中心問題は、「発生」の「支給要件」と「支給額」です。
3 一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金に共通する支給要件
一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金に共通する支給要件については、こちら以下の「教育訓練給付金の支給要件の概観」の個所で掲載しています。
条文上(第60条の2)も、一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の支給要件は同一条文に規定されており、まずは、両給付金の支給要件をまとめて整理し、その後、両給付金の支給要件で異なる部分(専門実践教育訓練給付金の支給要件に特有の部分)を押さえるという整理がよさそうです。
一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の支給要件をまとめて押さえておくという整理をしていないと、例えば、次のような出題(実際の過去問です)がなされたときに手間取ります。
・【平成27年問4オ】
設問:
適用事業Aで一般被保険者として2年間雇用されていた者が、Aの離職後傷病手当を受給し、その後適用事業Bに2年間一般被保険者として雇用された場合、当該離職期間が1年以内であり過去に教育訓練給付金の支給を受けていないときには、当該一般被保険者は教育訓練給付金の対象となる。
※ 本問は、「教育訓練給付金」に関する設問ですから、 一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の両者が問題になります。そこで、 一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の支給要件を分断して整理していますと、本問のような問題でトラブルことになります。
なお、本問の解説は、こちら以下です。
なお、先に少し触れましたが、「教育訓練給付」は、教育訓練給付金の1種類ですが、暫定的に「教育訓練支援給付金」も含まれています。他方、「教育訓練給付金」は、 「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」のことです。
この一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金に共通する支給要件は、次の(1)~(3)です。
(1)次の(ア)又は(イ)のいずれかに該当する者(教育訓練給付対象者)であること (第60条の2第1項各号)。
(ア)当該教育訓練開始日(基準日)に、一般被保険者又は高年齢被保険者である者
(イ)当該教育訓練開始日に、一般被保険者又は高年齢被保険者の資格喪失日から1年以内にある者
(2)厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、当該教育訓練を修了したこと (第60条の2第1項柱書)。
ただし、専門実践教育訓練給付金の場合は、専門実践教育訓練を受けている場合も含みます(第60条の2第1項柱書、施行規則第101条の2の3) 。
(3)支給要件期間が3年以上であること(第60条の2第1項~第3項)。
ただし、初めて教育訓練給付金の支給を受ける者については、当分の間、1年以上(専門実践教育訓練給付金の場合は2年以上)であれば足ります(法附則第11条 、施行規則附則第24条)。
この(3)については、平成30年1月1日施行の改正があります。即ち、2回目以後に支給を受ける専門実践教育訓練給付金の場合、従来は、支給要件期間が「10年以上」であることが必要でしたが、「3年以上」に緩和され、一般教育訓練給付金と統一されました。
以上が、一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の支給要件の骨格であり、まずは以上を押さえます。こちらの表も参考にして下さい。
以上の支給要件のそれぞれについて、細かい問題がありますので、次の段階では、それらを押さえていきます(なお、追加支給の専門実践教育訓練給付金の場合は、支給要件が追加されます)。
その後、「手続」と「効果」(支給額等)の問題を押さえていきます。
4 専門実践教育訓練給付金
なお、専門実践教育訓練給付金については、平成26年創設後の平成27年度の試験では出題されなかったのですが、平成28年度の択一式問6で出題され(4肢あります。こちら以下。このうち、1肢は、雇用保険2事業の問題ですので、ここではスルーし、以下「3肢」といいます)、一通りテキストを学習した後は、この過去問とその関連知識を押さえているかを確認して頂くとよいです。
この【平成28年問6】の「3肢」は、支給要件、手続(「受講開始前の手続」)及び支給額(追加支給の専門実践教育訓練給付金)といった事項が広く対象となっています。出題当時の内容が、平成30年1月1日施行の改正により改められている部分が多く、類似問題の出題について今後も注意が必要です。
この「3肢」では、いずれも数字が問われています。従って、他の失業等給付も同様ですが、数字部分は特に注意して学習する必要があります。
選択式で出題される場合も、数字部分は狙われやすいです。
専門実践教育訓練給付金は、手続を含め、細かい問題が多いですが、まずは大枠を押さえた後、細部に入っていって下さい。
手続については、大きくは、3段階に分かれています。
➀受講開始前の手続、②専門実践教育訓練給付金受給資格者の支給申請の手続、及び③追加支給の専門実践教育訓練給付金の申請の手続です。
それぞれについて、数字が登場しますので、この数字部分を中心に記憶して下さい。例えば、次のような数字があります。
➀について、「専門実践教育訓練を開始する日の1箇月前までに」(【平成28年問6A】で出題)、②について、「支給申請期間」(当該支給単位期間の末日の翌日から起算して1箇月以内(原則))や、「支給単位期間」(当該専門実践教育訓練開始日から将来に向かって6箇月(原則)ごとに区分した各期間のこと)、③について、雇用された日の翌日から起算して1箇月以内に申請等です。
5 教育訓練支援給付金
教育訓練支援給付金も、平成26年の改正により新設されましたが、平成27年度の選択式で支給額が出題され、択一式では同年度と翌年度に1肢ずつ出題されています。複雑な専門実践教育訓練給付金より出題しやすいのかもしれません。
支給要件が多く押さえにくいため、特徴的な部分を記憶するようにします。
即ち、教育訓練支援給付金の支給要件は、「専門実践教育訓練を受けている者であって、当該専門実践教育訓練開始日に45歳未満の離職者(当該教育訓練開始日に、一般被保険者又は高年齢被保険者の資格喪失日から1年以内にある者に限ります)であり、平成34年3月31日以前に当該専門実践教育訓練を開始したものであること」です。
支給額は、1支給単位期間について、基本手当の日額に100分の80を乗じて得た額に、支給日数を乗じて得た額です。
従来は、給付率は100分の50でしたが、平成30年4月1日施行の改正により、100分の80に引き上げられました。
改正事項については、 こちらでまとめています。このような改正部分の数字は、必ず押さえる必要があります(他の給付でも同様です)。
手続は、➀「受講開始前の手続(=教育訓練支援給付金の受給資格の決定)」と②「支給申請の手続=失業の認定」に大別できます。
①について、「専門実践教育訓練開始日の1箇月前までに」出頭して受給資格確認票等を提出する、「支給単位期間」(専門実践教育訓練開始日から将来に向かって2箇月ごとに区分した各期間(原則))といった数字が登場しますので、チェックします。
以上、教育訓練給付でした。
(二)雇用継続給付
雇用継続給付です。全体像はこちら以下です。
雇用継続給付は、高年齢雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金の2種類)、育児休業給付(育児休業給付金の1種類)及び介護休業給付(介護休業給付金の1種類)です。
いずれも、非常に重要ですが、かなりややこしいです。とりわけ、育児休業給付は、育児介護休業法からの情報量が多いため複雑であり、他の受験生が出来そうな問題は落とさないようにするという「守り」の学習を中心として下さい(あまり完璧に押さえようとしない方が得策です)。
1 高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付は、高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の2種類です。
両者の違いは、原則として60歳到達月以後も雇用継続されている場合(=基本給付金)か、それとも、離職して基本手当の支給を受けた受給資格者が60歳到達月以後に再就職した場合(=再就職給付金)かにあります。
両者のイメージ図は、こちら以下の2つの図です。
以下、高年齢雇用継続基本給付金を例として説明していきます。
今回更新の他の給付に比べますと、支給要件は割合わかりやすいと思います。サイトをじっくり読んで頂くのがお勧めです。
効果の支給額については、こちら以下で表と図を掲載しています。「61%」、「75%」、「15%」といった重要な数字は、ゴロ合わせの中で押さえています。
手続については、平成28年1月1日施行の改正により、雇用継続給付の全体について、被保険者が、原則として、「事業主を経由」して雇用継続給付の申請をすることに改められています(マイナンバー制度との関係です。詳細は、こちら以下です)。
また、支給申請の期限について数字関係が登場してきますので注意です。こちらの表でまとめています。
高年齢再就職給付金は、基本給付金と異なる点を押さえるようにします。
2 育児休業給付
次に、育児休業給付です。
(1)支給要件
育児休業給付金の支給要件は、大まかには、次の通りです。
即ち、育児休業給付金は、一般被保険者又は高年齢被保険者が、その1歳未満の子(特別養子縁組の監護期間にある子等も含みます。また、例外として、1歳2か月、1歳6か月又は2歳未満の子も対象となります)を養育するための休業〔育児休業〕をした場合において、当該育児休業開始日前2年間(原則)に、みなし被保険者期間が通算して12箇月以上であったときに、支給単位期間について支給されます(第61条の4第1項)。
この支給要件の細部について、情報量が多く、学習がかなり大変です。支給要件は、「みなし被保険者期間」に関する部分とそれ以外の部分に大別できますが、後者のそれ以外の部分についての改正が多く、厄介です。
この近時の改正を列挙してみます((ⅰ)と(ⅵ)を除き、育児介護休業法の改正をベースにしています)。
〔ここは、非常に長文になるため、省略しました。〕
以上、大まかですが、育児休業給付金の支給要件に関する近時の改正個所を見てきました。
(2)効果
支給額等の効果以下については、こちらで掲載しています。
支給額もややこしいのですが、概要は次の通りです。
➀本則=「休業開始時賃金日額 × 支給日数」(以下、「A」とします)の40%
②暫定措置(実際の支給額)= 「A」 の50%
③通算休業日数が180日までは、「A」の67%
②と③を覚えます。①についても、余裕があれば押さえておきます。
なお、「休業開始時賃金日額」については、基本手当に係る賃金日額の下限額・上下額が適用(準用)されます。
このうち、上限額は、「受給資格に係る離職日(休業開始日前日と読み替えます)において、「30歳以上45歳未満」である受給資格者に係る賃金日額の上限額=14,910円」が適用されます。
対して、介護休業給付金の場合は、従来は育児休業給付に係る上限額と同じ取扱いでしたが、平成28年8月1日施行の改正により、「45歳以上60歳未満」である受給資格者に係る賃金日額の上限額(=16,410円)に改められました。
以上の太字部分は、注意が必要です。実際に介護する者の年齢に近づけたものです。
その他、支給額については、「支給単位期間に事業主から賃金が支払われた場合」についても押さえます(こちら)。
基本手当における内職収入に係る支給額の調整の考え方と類似します。
ここでも、「100分の80」といった数字を中心に記憶します。
(3)手続
手続についても、数字が出てきます。前掲のこちらの表を参考にして下さい。
3 介護休業給付
介護休業給付金も、学習しやすいとはいえません。ただ、育児休業給付金に特有の部分は除いて、育児休業給付金と類似する部分が多く、異なる点を押さえるように学習を進めますと効率的です。
なお、平成29年1月1日施行の改正事項をこちらでまとめています。介護休業給付金について、一通り学習した後は、この直近の改正事項を再度押さえて下さい。
以上、失業等給付でした。
(三)雇用保険二事業
雇用保険二事業(こちら以下)は、前回触れましたように、例年、4月に助成金に関する改正が大量に行われます。
そこで、こちらの図の2ブロック目の「事業」(助成金)に関する本文の記載は、読まないで結構です。
最初のブロック(主体、客体)と3番目のブロック(通則的事項、費用、不服申立て)については、本文を読んで頂いて大丈夫です(この二つのブロックの方が、2ブロック目より、従来は出題が圧倒的に出題が多かったです。近時、やや助成金の出題が増えてきていますが、助成金については、最低限の知識に留めた方が良いでしょう)。
なお、雇用保険二事業の個所で、就職支援法(求職者支援法)についても触れています(こちら)。就職支援法事業は、能力開発事業ですから、雇用保険法の出題対象にもなりますが、細かい部分は、労働一般の対象ということになります。
平成24年度の選択式では、 雇用保険法第64条から3つの空欄が出題されました(このときは、就職支援法の制定後、初の試験でした)。この第64条は、押さえておく必要があり、また、費用負担の関係(こちら)についても押さえておきます。
(四)費用
費用については、出題が多いですが、こちらの図を押さえればほぼ対応できます。
(五)その他
1 不服申立て
不服申立ては、どの科目でも出題可能性があります。雇用保険法では、選択式は平成14年度に出題されていますが、そろそろ来る可能性があります。条文をベースに近時の改正個所に注意して学習して下さい。
サイト(こちら)では、労災保険法の不服申立てよりぐっとボリュームを圧縮していますので、ご利用下さい。
2 その他
こちらが雇用保険法の最後のページになりますが、ここからも、チョロチョロ出題されています。消滅時効は、十分な学習が必要ですが、余裕のある方は、消滅時効の下部の「行政庁の命令等」以下についても、ざっとチェックして下さい。
以上で、雇用保険法の解説を終わります。
二 徴収法の第3回目の更新
徴収法は、第3回目の更新をします。まだ一度も解説をしていませんが、次回、まとめて、図表等をチェックできるようにご紹介します。
前回は、雇用保険率まで終わっていますので、今回は、特別加入保険料からです。一気に、延納の終わりまで進みます。
なお、雇用保険率は、前回更新後の【平成30.1.30厚生労働省告示第19号】により、前年度の雇用保険率の据え置きになることが告示されました。雇用保険率のページをこの告示に従って、多少書き換えています(同ページを再読はされる必要ありません)。
以下、今回の更新範囲です。
・更新開始ページ=特別加入保険料率のこちらから。
・更新終了ページ=延納の最後の「追加徴収に係る概算保険料の延納」のこちらのページの最後まで(メリット制の手前までの更新です)。
今回は、一般保険料及び特別加入保険料の納付の手続に入ります。概算保険料及び確定保険料の納付がメインです。
徴収法はパターンは決まっていますので、慣れるほど、学習しやすくなります。実務で取り扱っているかどうかは、試験対策上は、さほど関係しませんので、初学者の方も、反復学習により慣れて頂くと、得意科目になります。
解説は、次回とします。
三 改正
1月31日にいくつか改正が行われました。
わかりやすいものから紹介します。
(一)国保法と高医法の賦課限度額の引き上げ
1 国保法
国民健康保険法の基礎賦課額の賦課限度額が、54万円から58万円に引き上げられました(平成30年4月1日施行)。 社会一般のこちらです。
一般常識の択一式の【平成27年問6B】で、この基礎賦課額の賦課限度額が問われていますので、数字を押さえて下さい。
2 高医法
高齢者医療確保法においても、賦課限度額が57万円から62万円に引き上げられました。社会一般のこちら です。
本問も、択一式の【平成27年問6E】で、数字が問われています。
(二)国年法、厚年法、健保法等の個人番号関係等の改正
また、国年法、厚年法及び健保法等について、マイナンバー制度関係等の施行規則の改正が行われました。基本的には、3月5日施行です。
改正内容自体は難しくはないのですが、例えば、届出の記載事項として、従来、「基礎年金番号」とあった個所が、「個人番号又は基礎年金番号」に改正されるといった内容になっています。
そこで、届出のほぼ全部に渡り改正が行われており(かつ、国年法、厚年法、健保法が対象となります)、とんでもない量になっています(官報で200頁以上あります)。
先日、ツィートしたのですが、〔以下、中略〕
さしあたり、今回の改正の概要は、厚年法のこちらでご紹介しています。
試験対策上は、そう深刻な問題はないと思います。
なお、以上は、マイナンバー制度に関係する部分の改正です。その他に、過誤納付による保険料等の還付請求といった規定も新設されています。
これらの改正事項については、サイトの改訂にめどがついた時点で、改めてご紹介します。
では、今回は、ここまでです。超長文、誠に恐縮です。
この後、別途、合格体験談を送信致します。行政書士の方の体験談です。
・平成30年1月28日(日曜)
今回は、雇用保険法の最終回のお知らせの他、徴収法の更新(第2回目です)、国年法の更新開始、改正事項として、徴収法の労災保険率等、年金2法の年金額の改定の情報があります。
一度に全部掲載しきれないため、数回に分けてお知らせします。
また、別途、合格者の方の体験談を送信致します。
まずは、改正事項からお知らせします。その後、更新の範囲をご案内します。更新の具体的内容についての解説は、次回のメールとさせて頂きます。
一 改正事項
(一)年金額の改定
年金法の年金額の改定について、26日(金曜)に公表されました(正式には、3月末の官報で告示等が掲載されます)。
国年法のこちらで、結論を記載しています。以下、国年法の改定率の改定をベースに説明します(厚年法の再評価率の改定も、基本的には、パラレルです)。
平成30年度の年金額の改定に係る指標については、物価変動率がプラス、名目手取り賃金変動率がマイナスとなり、国年法の「基準年度前改定率」についても、「基準年度以後改定率」についても、ともに、「1」を基準として改定することになりました。つまり、前年度の年金額が据え置きになります。
注意点は、次の通りです。
①改定率
今回の改定率は、「前年度の改定率 × 1」です(基準年度前改定率については、こちらの図のD、基準年度以後改定率については、こちらの図のCです)。
従って、今回の改定率は、平成29年度の改定率と同じであり、「0.998(▲0.2%)」となります。改定率が「1」になるのではありません。
②調整率
今回は、マクロ経済スライドは適用されません(名目手取り賃金変動率がマイナスとなるため)。
ただし、新設された「キャリーオーバーの制度」が開始される関係で、調整率を記憶しておいた方がよさそうです。
即ち、今回のマクロ経済スライドに係る調整率(=「公的年金被保険者総数の変動率 × 平均余命の伸び率」)は、▲0.3%(0.997)とされました(こちら)。
そして、平成30年4月1日施行の改正により、新たに、いわゆる「キャリーオーバーの制度」が開始されるため、今回、適用されなかった調整率である▲0.3%は、そのまま平成31年度以降に繰り越しとなります。
そこで、この調整率の「▲0.3%」も記憶しておいたほうが安全です。
今回の試験では、「キャリーオーバーの制度」を含めた年金額の改定については、要注意です。
なお、先述の通り、厚年法の再評価率の改定についても、概ね国年法の改定率の改定とパラレルです(厚年法のこちら)。
(二)徴収法の労災保険率等の改正
次に、徴収法の労災保険率等の改正についてご紹介します。
徴収法では、「労災保険率」、「第2種特別加入保険料率」及び賃金総額の特例に関する「労務費率」が改正されます(以前、お知らせしましたが、平成30年4月1日施行であり、まだ正式には官報に掲載されていません(追伸:2月8日に官報に掲載されました))。
今回、徴収法の改訂の際に、これらの改正事項についても、改正後の内容に書き換えました。
以下、改正事項を記載しましたページを紹介します。
1 賃金総額の特例に関する「労務費率」の改正
労務費率が改正されました(徴収法のこちら)。
労務費率とは、「請負による建設」の事業であって、「賃金総額を正確に算定することが困難な事業」について、その事業の種類に従い、「請負金額に『労務費率』を乗じて得た額」を賃金総額とするというものです。
労務費率の数字自体は、出題されたことがないようなのですが、今回は、平成27年度から平成29年度までの「18%~40%」の労務比率が、「17%から38%まで」に改められています(なお、今回の改正では、すべて「引き下げ」されており、「引き上げられた」ものはありません)。
この「17%から38%まで」という点と、「38%になるのは、機械装置の組立て又は取付けである」という点は、押さえておくと安心かもしれません。
2 労災保険率の改正
労災保険率も改正されます。改正後の労災保険率表は、こちらです。
今回の改正のポイントについては、こちらで触れています。
今回の改正後も、「最低1,000分の2.5から最高1,000分の88までの率に区分されている」という点は、改正前と変わりません。
「88」になるのは、「金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く)又は石炭鉱業」です。
つまり、「金属鉱業等」です。
「2.5」になるのは、改正前は、3種類(下記の③~⑤)だったのですが、改正により2種類増え(下記の①及び②)、合計5種類となりました。以下の5つです。
①「原油又は天然ガス鉱業」
②「電気機械器具製造業」
③「計量器、光学機械、時計等製造業(電気機械器具製造業を除く)」
④「通信業、放送業、新聞業又は出版業」
⑤「金融業、保険業又は不動産業」
以上の太字の3か所は、押さえておいた方がよさそうです。①~⑤については、微妙ですが、頭にイメージが浮かぶ程度にできれば安心です。
サイト本文の過去問の掲載を見て頂くと判明しますが、従来、労災保険率自体を直接問うような出題はあまりありません。
ただ、例えば、労災保険率の「最高は、1000分の100を超えている」といった出題はあり、「最低1,000分の2.5から最高1,000分の88まで」という点は押さえておいた方が良いです(サイトでは、ゴロ合わせを紹介しています)。
もっとも、【平成17年労災問8】では、労災保険率自体が問われています(従来、この問題は、学習の費用対効果が悪いため、サイトには掲載していなかったのですが、今回は、参考程度に掲載しました)。
しかし、この【平成17年労災問8】のような問題が出題されたら、捨て問にする他ありません。
さしあたりは、以上のこのメールで記載しました内容を押さえておけば安心だと思います。
なお、今回の労災保険率の改正では、「引き下げ」が中心ですが、「引き上げ」られたものが3種類あります。
「ガラス又はセメント製造業」、「非鉄金属精錬業」及び「清掃、火葬又はと畜の事業」です。前掲の労災保険率表の労災保険率の数字を赤くしています。
3 第2種特別加入保険料率の改正
また、「第2種特別加入保険料率」が改正されています。こちらです。
細かく押さえる必要はなさそうですが、「最低1,000分の3から最高1,000分の52まで」という点は押さえて下さい(サイトでゴロ合わせを紹介しています)。
この最低と最高の率自体は、従来と変わりません。
改正については、以上です。
次に、更新情報です。
二 雇用保険法の更新
雇用保険法は、前回、介護休業給付金の最後まで(雇用保険2事業の手前まで)更新しました。
その後、雇用保険法の残りの更新も終了し、雇用保険法の改訂は完了しました。
なお、「雇用保険2事業」(こちら以下)は、例年、助成金関係が3月末に大量に改正されます(通常、4月1日施行です)。
今回も、キャリアアップ助成金などが改正されるようでして、さしあたりは、雇用保険2事業の個所は読まないで結構です。
改正後に改訂しましたら、内容をご紹介します。
次回、教育訓練給付金以降の解説について行います。
三 徴収法の第2回目の更新
徴収法の第2回目の更新です。
今回の更新範囲をご紹介します。
・更新開始ページ=「主体」のこちらから。
・更新終了ページ=雇用保険率のこちらのページの最後まで。
「雇用保険率」については、前年度の率が据え置きになります。
先に紹介しました改正事項は、今回の更新範囲にほぼ含まれていますが、特別加入保険料以降は、これから改訂しますので、もう少々お待ち下さい。
内容についての解説は、次回以降に行います。
四 国年法の初回の更新
国年法の更新を開始しました。まずは、序論の2頁だけです。
・更新開始ページ=序論のこちらから。
・更新終了ページ=目的条文等のこちらのページの最後まで。
内容については、後日、紹介致します。
さしあたり、徴収法に比重を置きつつ、国年法も更新していきます。
なお、平成29年度版の厚生労働白書の分析がほぼ終わり、そのうち、「白書対策講座」というページが登場しますが、実際の公開まではもう少々お待ち下さい。公開の前には、新たにパスワードをお知らせ致します。
では、慌ただしい内容で誠に恐縮ですが、今回はこれにて終了です。
先述の通り、この後、合格者の方の体験談をご紹介します。妊娠されながら、見事に合格された方のお話です。
・平成30年1月23日(火曜)
雇用保険法の解説の続きです。
一 雇用保険法の第4回目の更新
・更新開始ページ=基本手当以外の一般被保険者の求職者給付のこちらのページから。
・更新終了ページ=介護休業給付のこちらのページの最後まで。
(一)基本手当以外の一般被保険者の求職者給付
基本手当以外の一般被保険者の求職者給付として、傷病手当、技能取得手当及び寄宿手当があります。
寄宿手当は、若干出題が少ないですが、傷病手当の出題は多く、技能習得手当もチョロチョロ出題されます。
近時の雇用保険法の選択式は、基本手当以外の給付から出題されることも少なくなく、基本手当以外のすべての失業等給付についても、選択式も念頭におきつつ細かく学習する必要があります。
1 傷病手当(こちら以下)
傷病手当は、受給資格者が、求職の申込み後に、傷病のために継続して15日以上就職不能である場合に、基本手当に代えて支給されるものです。
この簡潔なフレーズをしっかり押さえます(赤字の3か所がポイントです)。
(1)支給要件
「傷病のために継続して15日以上就職不能」という支給要件については、基本手当の証明書による失業の認定や受給期間の延長との関係が問題になり、こちらの図で整理しています。既に、基本手当の受給期間の延長の個所でも触れています。
(2)効果
(ⅰ)傷病手当が支給されない日
「傷病手当が支給されない日」の問題は重要です(サイトでは、便宜上、効果の問題に含めていますが、支給要件の問題として整理することもできます)。こちら以下です。
それぞれの問題について、サイトでは傷病手当が支給されない理屈も説明していますが、最終的には、傷病手当が支給されないのかどうかという結論を記憶して下さい。
記憶の部分まで完了しませんと、試験で得点することができず、実際には役立たない知識となります。
とりわけ、雇用保険法の場合は、単純に記憶しているかどうかが決め手になることが多く(例えば、所定給付日数の数字とか、特定受給資格者に該当する例などです)、記憶の作業に十分時間をかける必要があります。
なお、【平成28年問2ウ】では、延長給付を受給中の日について傷病手当が支給されないという論点が出題されています。
(ⅱ)支給日数
傷病手当を支給する日数は、受給資格者の所定給付日数から「既に基本手当を支給した日数」を差し引いた日数です(第37条第4項)。
この「既に基本手当を支給した日数」には、傷病手当を支給した日数なども含まれ、この「基本手当が支給されたとみなされる場合」の全体の知識はこちら以下で整理しています。
他の給付でも問題になることがあり、念頭に入れておいて下さい。
2 技能習得手当
技能習得手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合に、その公共職業訓練等を受ける期間について支給されるものであり、受講手当と通所手当の2種類があります(こちら以下)。
(ⅰ)受講手当
このうち、受講手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けた日であって、基本手当の支給対象となる日(自己の労働によって収入(以下、「内職収入」ということがあります)を得たため基本手当が支給されない日も含みます)について、40日分を限度として、日額500円が支給されるものです。
上記の太字部分が、最低限の必須知識です。支給額については、こちらの表もご参照下さい。
(ⅱ)通所手当
通所手当は、受給資格者が、公共職業訓練等を行う施設へ通所するため交通機関等、自動車等を利用する場合に支給されます(こちら以下)。
この通所手当は、施行規則の改正があります。
従来は、通所手当は、公共職業訓練等を行う施設(以下、「訓練等施設」ということがあります)に「通所」することを「常例」とする者を支給対象としていました。
しかし、平成29年9月29日施行の施行規則の改正により、「通所を常例としない」公共職業訓練等(委託訓練におけるeラーニングコースが想定されています)を受講する場合においても、通所した日数があるときは通所手当が支給されることに改められました。
この「通所を常例としない」場合も対象と改められた点を押さえて下さい。
3 寄宿手当
寄宿手当は、受給資格者が、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その者により生計を維持されている同居の親族と別居して寄宿する場合に、その寄宿する期間について、原則として、月額10,700円が支給されるものです(こちら以下)。
以上の太字部分の記憶が必須です。後述の移転費との違いに注意です。
次に、「一般被保険者以外の被保険者の求職者給付」です。
(二)一般被保険者以外の被保険者の求職者給付
「一般被保険者以外の被保険者」の「求職者給付」として、「高年齢求職者給付金」、「特例一時金」及び「日雇労働求職者給付金」があります。
高年齢求職者給付金や特例一時金は、すでに学習しました基本手当の体系、知識をベースに整理しますとわかりやすいです。
対して、日雇労働求職者給付金は、独自性が強いです。
1 高年齢求職者給付金
高年齢求職者給付金は、「高年齢被保険者の求職者給付」であり、高年齢被保険者が失業した場合に、高年齢受給資格者に対して、高年齢求職者給付金が一時金として支給されるものです。
高年齢求職者給付金の体系は、こちらの表です。基本手当の体系(こちら)をベースとし、異なる点の学習にウェイトを置きます。前記の高年齢求職者給付金の体系の表の赤字部分が、基本手当と異なる主なものです。
近時の選択式では、平成27年度(「6箇月」以上の被保険者期間の必要)、平成21年度(「高年齢求職者給付金」の他、受給期限の「1年」。待期期間の「7日」)及び平成16年度(支給額の日数の「30日」分、「50日」分)に出題があり、周期的に出題されています。
平成29年1月1日施行の高年齢被保険者の制度の創設という改正がありますので、高年齢被保険者及び高年齢求職者給付金については(特に前者の高年齢被保険者〕引き続き要注意です。
なお、特例一時金も学習されたら、こちらの表のように、高年齢求職者給付金とまとめて整理するとよろしいです。
ここでは、十分な解説をし切れませんが、高年齢求職者給付金のみならず、特例一時金及び日雇労働求職者給付金については、当サイトを十分お読み頂く必要があります。
2 特例一時金
特例一時金は、短期雇用特例被保険者が失業した場合に支給される求職者給付です。
特例一時金の体系図は、こちらです。
チェックポイントは、この図の赤字部分です。
平成23年度の選択式においては、短期雇用特例被保険者の要件を中心として、4つの空欄が出題されています。
特例一時金に特有の知識(上記図の赤字部部分)を中心として、引き続き選択式対策が必要です。
3 日雇労働求職者給付金
日雇労働求職者給付金は、日雇労働被保険者が失業した場合に支給される求職者給付です。普通給付と特例給付があります。
日雇労働求職者給付金は、基本手当以下の求職者給付とは異なる面が多く、独自に整理する必要があります。
試験でも、平成27年度と直近の29年度の選択式で出題されており(ともに、2つの空欄)、今年度は主に択一対策でしょうが、引き続き注意が必要です。
サイトの冒頭の日雇労働被保険者については、すでに学習しました知識の復習となりますが、こちらの「切替え後の特例」以下が、新出の知識となります。
いくつか改正されている事項があります。日雇労働求職者給付金の平成29年5月1日施行の改正次項については、こちら以下で整理しています。少し「小者」の改正が多いですが、択一式用にチェックしておいて下さい。
日雇労働求職者給付金については、こちら以下で、普通給付と特例給付を対比して整理していますので、参考にして下さい。
サイト本文も、じっくりお読み下さい。
以上、求職者給付でした。
(三)就職促進給付
就職促進給付は、特に就業促進手当の4種類(就業促進定着手当は再就職手当の一つであるため、実質的には3種類ともいえますが、就業促進定着手当に特有の要件もあるため、ひとまず、4種類としておきます)について、支給要件が多く、また、支給額が類似するなど、学習しにくいかと思います。求職活動支援費の創設により、給付が増えてしまったという問題もあります。
この就職促進給付のほか、教育訓練給付と育児休業給付あたりが、雇用保険法の学習の上で、最難関だと思います(就職促進給付より、後二者の方が大変です)。
教育訓練給付は、平成26年の改正による専門実践教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金の創設以後、かなり厄介なことになっています(平成30年度試験でも改正があります)。
育児休業給付は、近時のたびたびの改正(育児介護休業法の改正と連動しています)に伴い、その内容を簡潔に整理すること自体が難しくなってきています(育児介護休業法自体がすさまじいことになっています)。
このように、現在の雇用保険法は、就職促進給付以降が難所となっており、少し時間をかけて学習して頂く必要があります。
その際、やはり、ポイントは、「全体⇔細部」の往復を何度もして頂くことだと思います。
まずは、「全体像」をつかんで頂き(ただし、全体像を真に理解するためには、細部をじっくり学習する必要があります)、その後、「細部」に入り、「細部」を学習している際も、たびたび「全体像」に戻って確認をして頂く必要があります。
そして、反復学習により重要な情報を頭に焼き付けて下さい。
1 就業促進手当
就職促進給付については、全体像はこちらのページです。図があり、この図がポイントです。
また、就業促進手当については、こちらの表が全体像です。
就業促進手当の4種類について、支給要件と支給額を押さえる必要があります。
支給要件については、数字(「1年を超えて」・「1年以上」、「3分の1以上」、「45日」、「3年」等)と「離職理由による給付制限を受けた場合の取扱い」などが最大のポイントとなります。
再就職手当就業手当及び常用就職支度手当の3つについて、支給要件をいっぺんに記憶するように工夫してみて下さい(なお、就業促進定着手当の支給要件は、再就職手当の支給要件をベースにしつつ、若干付加されます)。
4種類の支給額についても、表を何度もご覧頂き、イメージとして記憶してしまう必要があります。
なお、平成29年1月1日施行の改正事項については、こちらで整理しています。支給額の引き上げと「早期再就職者」という表現の登場が中心事項です。前回の平成29年度の試験では出題されていないため、十分マークして下さい。
2 移転費
移転費については、平成28年度の選択式Dで、結構嫌な個所から出題されました。基本的な条文については、やはり、眼を通しておく必要があります。
当サイトでは、関連するほぼすべての条文を掲載し、かつ、リンクをつけていますので、条文のチェックには有用です。
ただ、逆に、不必要な条文まで読んでしまう危険がありますので、その点はご注意下さい。基本的には、雇用保険法の本則の条文は、眼を通して頂くのがよいです。
「移転費」と求職活動支援費のうちの「広域求職活動費」については、こちらの表で整理しています。
なお、平成30年1月1日施行の施行規則の改正により、「離職理由による給付制限期間」に、就職し、又は公共職業訓練等を受けることとなった場合であっても、移転費の支給対象となることに改められたことに注意です(こちら以下)。同様の改正は、次の「広域求職活動費」でも行われています。
3 求職活動支援費
求職活動支援費(こちら以下)については、平成29年1月1日施行の改正により、実質的には、給付が2つ追加されました。
まず、枠組みはこちらの青の点線内です。
この後、広域求職活動費、短期訓練受講費及び求職活動関係役務利用費のそれぞれについて、まずは、支給要件を記憶する必要があります。
(1)広域求職活動費
広域求職活動費の支給要件については、前述の移転費との対比表を参考にして下さい。
なお、少し触れましたが、平成30年1月1日施行の施行規則の改正により、「離職理由による給付制限期間」に、広域求職活動を開始した場合であっても、広域求職活動費の支給対象となることに改められました。
次に、「手続」ですが、こちらの横断整理の表を参考にして下さい。
支給額については、あまり細かい金額は不要といえます。鉄道賃、船賃、航空賃、車賃及び宿泊料の5種類があるといった要所を押さえる必要があり、当サイトのゴロ合わせを参考にして下さい。
(2)短期訓練受講費
短期訓練受講費については、支給要件として、「待期期間が経過した後に当該教育訓練を開始したこと」が必要です(平成29年4月1日施行の改正により追加されたものです)。求職活動関係役務利用費についても、パラレルになっています。
その他は、手続も含め、サイト上の赤字部分の数字関係を押さえて下さい。
(3)求職活動関係役務利用費
求職活動関係役務利用費についても、手続、支給額について、数字関係を中心に押さえて下さい。
以上、今回の解説を終わります。
次回は、雇用保険法の最終回です。今回の残りの教育訓練給付以降の解説からとなります。
その後、徴収法に入り、少ししましたら国年法と同時改訂を行います。
なお、白書対策講座については、まずは、厚生労働白書から開始します。2月の後半から3月初旬あたりには実施する予定です。
二 改正事項
国民年金法において、「第3号被保険者としての被保険者期間の特例=3号不整合記録問題」(法附則第9条の4の2以下)というのがあるのですが(以下、「本件特例」といいます)、これに関連して改正事項があります(主に平成30年4月1日の施行です。先週17日に官報に掲載されました)。
「第3号被保険者としての被保険者期間の特例=3号不整合記録問題」とは、第3号被保険者から第1号被保険者となった場合に、必要な届出が行われなかったため、実際は第1号被保険者としての被保険者期間について第3号被保険者としての被保険者期間として記録されている期間(不整合期間)の処理に関する問題です(国年法のこちら以下)。
この場合は、不整合期間のうち保険料徴収権が時効消滅している期間(時効消滅不整合期間)について、届出(特定期間該当届)を行うことにより、当該届出以後、当該時効消滅不整合期間を「特定期間」と取り扱い、当該特定期間を学生納付特例に係る保険料免除期間とみなすこととし、また、当該特定期間について、平成27年4月1日以後平成30年3月31日までに特定保険料の納付(特例追納)を認めています。
そして、平成25年7月1日(本件特例の施行日)において、時効消滅不整合期間が第3号被保険者としての被保険者期間であるとして老齢基礎年金等(以下、「老齢給付」といいます)を受給している者を「特定受給者」といいますが、この特定受給者については、平成30年3月31日(特定保険料納付期限日)までの間は、老齢給付に関する規定を適用する場合において、時効消滅不整合期間を保険料納付済期間とみなすこととされ(法附則第9条の4の4)、これにより、平成30年3月31日までの間は、不整合記録の訂正がなされる前の年金額(訂正前の年金額)の支給を受けることができます。
しかし、特定期間に係る特定保険料の納付をしていませんと、平成30年4月1日の到達により、老齢給付の年金額が減額改定されたり、10年の受給資格期間を満たせないような者については、老齢給付が支給されないことになります。
今回の改正は、後者の平成30年4月1日に老齢給付の10年の受給資格期間を満たせない者等についての救済を定めたものです(こちら以下)。
大まかには、かかる者について、老齢給付の支給要件を満たす者とみなしたうえで、特定期間該当届を行うこと等によって再度支給要件を満たすまでの間は、その支給を停止することにしています。
つまり、特定受給者は、特定保険料納付期限日前は、本件特例により老齢給付を受給できたのですが、特定期間該当届を提出していなかった等のため、特定保険料納付期限日の翌日以後に10年の受給資格期間を満たせなくなったような場合に、特定期間該当届を行うこと等によって、再度、老齢給付の支給要件を満たせる余地を認めたものです。
「第3号被保険者としての被保険者期間の特例=3号不整合記録問題」自体が難しいため、今回の改正も少し難しいですが、さしあたり、以上の概要を知っておいて下さい。
では、今回は以上です。
次回は、合格者の方の体験談の続きもメールにてご紹介します。
・平成30年1月12日(金曜)
正月は、凶悪なインフルエンザにかかりました。その後も、風邪をひき、踏んだり蹴ったりでした。
では、今回は、雇用保険法の事業に入り、基本手当をすべて終わらせます。
一 雇用保険法の第3回目の更新
・更新開始ページ=事業のこちらから。
・更新終了ページ=「消滅」に関するこちらのページの最後まで。
「傷病手当」の手前までの更新になります。
(一)失業等給付の概要
まず、こちらのページで「失業等給付」の概要を説明しています。
失業等給付の全体像を把握できますので、初学者の方や雇用保険法が苦手な方は、こちらのページを熟読してみて下さい。
続いて、基本手当に入ります。
(二)基本手当の概要
基本手当の全体像について、こちらのページで紹介しています。
基本手当においても、「発生 ➡ 変更 ➡ 消滅」という時系列に分け、それぞれ「要件(支給要件)」、「手続」及び「効果」に着目して整理します。
基本手当以外の失業等給付の場合も、同様です。
「発生」における「要件」(支給要件)の問題は、基本手当の場合は、「受給資格の要件」の問題になります。
この「受給資格の要件」は、次の①~③の3つからなります。
① 離職による資格喪失の確認を受けたこと。
② 失業の状態(即ち、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態(第4条第3項))にあること。
③ 原則として、算定対象期間(原則として、離職日以前の2年間)に被保険者期間が通算して12箇月以上あること(第13条第1項)。
特例として、特定受給資格者又は特定理由離職者の場合は、離職日以前の1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あれば足ります(第13条第2項)。
次に、「手続」ついては、「求職の申込み ➡ 受給資格の決定 ➡ 失業の認定」という流れが大枠です。
「効果」(広義)については、支給額(基本手当の日額)、支給期間(受給期間)、支給日数(所定給付日数)等が問題になります。
以上が、「発生」に関する問題のフレームになります。
「変更」に関する問題としては、給付制限が重要です。
また、「保険給付の通則」として、未支給給付、不正利得の返還命令等、受給権の保護及び公課禁止の問題がありますが、これらは、便宜上、基本手当の「変更」に関する問題の中で見ることにします。
「消滅」に関する問題としては、消滅時効(これは、主として雑則で触れます)があるほか、基本手当に特有の消滅事由もあります。
以上について、図で表現しますと、こちらのようになります。
では、若干、ポイントを見てみます。
(三)発生
1 要件
まず、受給資格の要件として、前記の①~③を満たすことが必要です。次の通りです。
(1)離職による資格喪失の確認を受けたこと
「 離職による資格喪失の確認を受けたこと」(実務上要求されている要件です)については、すでに学習しました「離職」や「資格喪失の確認」の様々な知識がどの程度思い出せるか、確認してみて下さい。
思い出すべき事項は、こちらで記載しています。次の通りです。
(ⅰ)離職
まず、離職の定義を思い出す必要があります。
「離職」とは、「被保険者について、事業主との雇用関係が終了すること」をいいます(第4条第2項)。
そこで、「被保険者」の定義を思い出す必要があります。
被保険者とは、適用事業に雇用される労働者であって、適用除外者(第6条各号に掲げる者)以外のものをいいました(第4条第1項)。
ここからさらに、「適用事業」の意義、「適用除外者」の例を思い出していきます。
すべてがすらすらと簡単に思い出させるようになるには、かなりの反復学習が必要です。何度もテキストに戻って、基礎的な知識の精度を高めて下さい。
離職については、死亡、在籍出向、出向元への復帰などは離職に含みないという点も学習しました。これらの知識は、「届出」の「資格の喪失」のこちらで見ています。
(ⅱ)資格喪失の確認
次に、資格喪失の「確認」については、さしあたり、確認にこちらの3つのパターンがあったことを思い出して下さい。
今後、学習済みの事項が登場した場合に、知識があいまいなときは、以上のような感じで、当該個所に戻ってみて再チェックをしてみて下さい。記憶が確実になっていき、また、穴が少なくなる学習方法です。
ある程度知識がある方の場合は、過去問を何度もやるより、以上のような方法によってテキストの精読をした方が、知識漏れがなくなり、また、選択式対策にもなります。
(2)失業の状態にあること
次に、基本手当の受給資格の要件として、失業の状態にあることが必要です
「失業」とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいいます(第4条第3項)。
このような単純な定義であっても、例えば、「職業に就く」を空欄にされると、迷うことがあります。単純な定義についても、正確な記憶が必要です。
ちなみに、平成19年度の選択式では、「労働の意思及び能力」と「職業に就く」が空欄にされました。
(3)算定対象期間
受給資格の要件の3番目は、算定対象期間の関係です。
即ち、 原則として、算定対象期間(原則として、離職日以前の2年間)に被保険者期間が通算して12箇月以上あることが必要です。
ここでは、「算定対象期間」、「被保険者期間」が登場し、また、特例として、「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」の場合が問題になり、いよいよ基本手当の本論に入っていきます。
これらの「算定対象期間と被保険者期間」についての大きな枠組みについては、こちら以下をお読み下さい。
基本的な仕組み、用語、条文について整理しています。
以上が、受給資格の3要件であり、この要件を固めた上で、細かい知識に入っていって下さい。
以後は、知識・情報を整理した上で、覚えていくという作業になります。
知識・情報の「整理」という点で、当サイトの整理の仕方が参考にして頂けるかと思います。さらに、「覚える」という点では、当サイトでも、極めて重要な知識についてはゴロ合わせを作っているほか、図表でまとめている場合が多く、まずは、このようなゴロ合わせがある個所や図表の個所から覚えてみて下さい。
本試験に出題されそうな知識を、いかに整理された形で、多く記憶できているかが合否の決め手になります。
最終的には、「記憶できているかどうか」がポイントですので、日頃から、ゴロ合わせを増やしていくなど、確実な知識をできるだけ増やしていくことが重要です。
以下では、お役に立ちそうな図表の紹介を中心に基本手当の概要について見ていきます。
(4)用語
算定対象期間等の用語の整理については、こちらの表をご参照下さい。
2 手続=受給手続
手続については、こちら以下の3つの図をご参照下さい。
こちらの図では、離職後の手続の流れを時系列でまとめています。
3 効果
基本手当の効果(広義)に関する全体像は、こちらの図の通りです。
基本手当は、「受給期間」内の失業の認定を受けた日について、基本手当の日額(=賃金日額 × 給付率)を「所定給付日数」分を限度として支給されます。
即ち、基本手当は、失業の認定を受けた日について、「基本手当の日額」を単位として支給されますが、
支給日数の限度として、「所定給付日数」があり、
支給期間の限度として、「受給期間」(原則、離職日の翌日から起算して1年)があるとイメージできます。
これらの「基本手当の日額」、「所定給付日数」、「受給期間」が学習の中心事項となります。
(1)基本手当の日額
基本手当の日額に関する全体像は、こちらです。
なお、自動変更対象額について、こちらで平成29年8月1日施行の改正がありますので、注意して下さい。 下限額と最低賃金日額との調整です。サイト中の色のついたキーワードと数字をチェックして下さい。
(2)所定給付日数
所定給付日数に係る算定基礎期間に通算されない期間(こちら)については、「算定対象期間」に算入(通算)できない期間(こちら以下)と比較しながら押さえて下さい。
所定給付日数の表を暗記することは必須です。
(3)特定受給資格者
特定受給資格者とは、倒産・解雇等により離職した者です。
再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた受給資格者であり(いわゆる事業主(会社)都合による離職です)、要保護性が高いことから、受給資格の要件の特例が認められるほか、所定給付日数や受給期間の優遇等が認められています。
特定時給資格者については、(Ⅰ)倒産等による離職者と(Ⅱ)解雇等による離職者の2類型があります。
(Ⅰ)倒産等による離職者については、こちら以下の1~4が基本的な記載となります(その下部に、より詳しい記載があります)。
(Ⅱ)解雇等による離職者については、こちらのまとめ(1~12)が基本的な記載となります。
後者の(Ⅱ)については、細部まで出題されるため、最終的には、こちら以下この細部まで読んで頂く必要がありますが、まずは、上記のまとめ(1~12)を押さえて下さい。
基本手当の学習は、ここら辺の特定受給資格者・特定理由離職者の具体例を読み込むがあたりまでが、最も大変です。ここを過ぎますと、やや楽になります。
(4)特定理由離職者(こちら以下)
◆特定理由離職者とは、離職者のうち特定受給資格者以外の者であって、次の(A)又は(B)のいずれかに該当する者をいいます。
(A)希望に反して有期労働契約が更新されなかったことにより離職した者
(B)正当な理由がある自己都合退職(離職)者
特定理由離職者については、受給資格の要件の特例が認められるほか、上記(A)については、暫定的に(離職日が平成34年3月31日までの間にある者が対象です)、所定給付日数や受給期間の優遇が認められるといった特別の取扱いが行われます。
(A)の特定理由離職者は、有期労働契約の更新がある旨は明示されているが、更新の確約まではない場合において、希望に反して更新されなかったことにより離職したことが想定されています(更新の確約がある場合に雇止めされた者は、特定受給資格者に該当します)。
(B)の正当な理由がある自己都合退職者については、こちらの10のケースがあります。
これも、最終的には、本文の下部の細かい内容までお読み頂く必要があります。
(5)受給期間
受給期間(こちら以下)については、次のように整理できます。
(Ⅰ)原則(原則受給期間)
(ⅰ)原則
◆受給期間は、原則として、離職日の翌日から起算して1年です(第20条第1項第1号)。
(ⅱ)就職困難者又は特定受給資格者
就職困難者又は特定受給資格者の場合、受給期間が優遇されることがあります。
(Ⅱ)例外 = 受給期間の延長
(ⅰ)妊娠等による就職不能期間に係る受給期間の延長(第20条第1項柱書かっこ書、施行規則第30条)
(ⅱ)60歳以上の定年退職者等に係る受給期間の延長(第20条第2項、施行規則第31条の2)
この受給期間の延長の(ⅰ)及び(ⅱ)は、細かい重要な知識が多く、当サイトを熟読して頂く必要があります。
以上、「発生」に関する問題でした。次に、「変更」に関する問題です。
(四)変更
基本手当の変更に関する問題としては、こちらの図のように、延長給付と給付制限が中心です。
1 延長給付
延長給付の概要は、こちらの表の通りです。
平成29年4月1日施行の改正により、個別延長給付が法本則に新たに規定され、また、暫定的な延長給付として、地域延長給付が法附則に規定されました(地域延長給付は、従来の旧個別延長給付の内容を一部承継しています)。
ただ、まずは、その他の3つの延長給付(広域、全国、訓練延長給付)について十分固めて下さい。100分の200とか、100分の4とか、4か月とか、似たような数字が登場してきますので注意が必要です。
どの程度学習すべきかは、過去問が指標になりますが、全国延長給付について数字が出題されたことがあり(直近では、【平成25年問3D】)、また、昔の記述式で「連続する4月間」が出題されたこともありますので、やはり、数字もチェックしておいた方がよさそうです。
次に、個別延長給付は、ややこしく覚えにくい内容になっています。
最終的には、第24条の2の条文を見れば内容が把握できる程度に学習しておけば安心です(内容が複雑なため、条文ベースでないと出題しにくいように思われます)。要件と支給額に注目して、この条文から理解できるようにして下さい。
地域延長給付の方が、やや出題しやすいかもしれません。法附則第5条の第1項(要件)と第2項(支給額)をチェックして下さい。
2 給付制限
次に、給付制限については、こちら以下の3つの図で整理しています。
給付制限も非常に重要ですが、ある程度反復学習しますと、給付制限の要件と効果(給付制限の期間)は自然に覚えられると思います。
3 給付の通則的事項
その他、給付の通則的事項として、未支給給付、不正利得の返還命令等、受給権の保護、公課禁止を学習します(こちら以下)。
いずれも、労災保険法で学習しました知識をベースにできます。
(五)消滅
消滅については、消滅時効は雇用保険法の最後に見ます。
「受給期間内に新たに受給資格等を取得した場合」という問題がありますが(第20条第3項)、これは受給期間の個所(こちら)で詳しく見ています。
以上、駆け足で基本手当の概要を見てきました。
雇用保険法は、かなり細かい知識が多く、学習が大変です。基本手当の知識が他の失業等給付においてもベースになっていることが多いため、まずは、今回の基本手当について十分時間をかけて「理解➡記憶」をして下さい。
次回は、傷病手当から教育訓練給付の終わりあたりまでの更新となります。
雇用保険法は、あと2回の更新で終了予定です。
二 その他
以前、触れましたが、雇用保険率(徴収法)については、現状のまま据え置きとなりました(本日付で、労政審から据え置き妥当と答申されました)。
労災保険率は、改正されます。4月1日施行です。
その他、国民年金、厚生年金保険の年金額も据え置きになるそうです。
なお、今週末あたりに、合格体験談の続きを送信致します。
では、今回はここまでです。
・平成30年1月3日(水曜)
新年明けましておめでとうございます。本年も、引き続きどうぞよろしくお願い致します。
今回は、新年特大号です。
前年度(平成28年度)に合格された方から、特別に、参考資料をご提供して頂きましたので、メールにてご紹介致します。
色々と役立てて頂ける内容となっています。
次回、今回の合格者の方の体験談もご紹介します。
・平成29年12月28日(木曜)
今年もあと数日。当方も、年末になると、なぜか作業が忙しくなります。駆け込みで改正があることも一因ですが。
今回は、雇用保険法の被保険者関係の更新と徴収法の初回の更新を行います。
また、若干、改正があり、さらに、労働一般のデーターがいくつか公表されていますので、ご紹介します。
一 雇用保険法の第2回目の更新
前回は、保険者の最後まで更新しました(こちらのページの最後までです)。
今回は、主体の被保険者の全部と客体について更新します。事業の手前までです。
・更新開始ページ=被保険者のこちらからです。
・更新終了ページ=保険事故及び賃金のこちらのページの最後までです。
今回は、被保険者、届出、賃金が主な更新事項です。
被保険者と届出は、かなりのボリュームがあり、内容的にもレベルの高い問題(雇用保険法の全体を学習しませんと、わかりにくい問題)が多いです。
初学者の方は、まだ学習していない事項が登場しましたら、その部分は流し読みして下さい。
受験経験者の方は、雇用保険法が苦手な場合は、当サイトをじっくり読んで頂いた方がよいです。
なお、初学者の方は、雇用保険法の学習の早い時期に、失業等給付の全体について大まかな知識があると役に立ちます。そこで、切りがよい個所で、こちらのページのその次のページを読んでみて下さい。失業等給付の全体構造が記載されています。
ところで、雇用保険法では、行政手引(業務取扱要領)という内部的な事務手続を定めたものから出題されることが少なくありません(雇用保険法の「目次」の一番下に行政手引へのリンクをつけています。こちらが行政手引です。改正等がありますと、更新され、現在は、11月に更新されています)。
ただ、行政手引は、受験対策上は不要な実務上の処理に関する記載も多く、行政手引を冒頭から逐一読んでいくような方法は、効率が悪すぎ、お勧めできません。
当サイトでは、最新の行政手引を細かくチェックして掲載しており、また、重要な事項については行政手引の原文も掲載していますので、ご安心下さい。
(一)被保険者
実は、「被保険者」が登場するのは、この雇用保険法が初めてとなります。労災保険法については、被保険者の概念はありませんでした。
被保険者が問題となる保険法では、通常、数種類の被保険者が存在するため、それぞれの要件(資格取得の要件)等を押さえる必要があります。
雇用保険法においても同様なのですが、雇用保険法の場合、まず、被保険者の(共通の)定義が定められています。
即ち、雇用保険法における被保険者とは、「適用事業に雇用される労働者であって、適用除外者(第6条各号に掲げる者)以外のもの」をいいます(第4条第1項)。(こちら以下)
まずは、この定義を覚えることが必須です。
そして、上記の赤字の部分の「適用事業」(強制適用事業の他、暫定任意適用事業が問題になります)、「雇用」、「労働者」、「適用除外(者)」といった概念を深く学習することになります。
他方、この「被保険者」について、雇用保険法では、年齢や雇用形態等により、4種類に分類しています。
一般被保険者、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者です。
これらの被保険者の種類ごとに、「発生(資格の取得)➡ 変更(氏名・住所の変更等)➡ 消滅(資格の喪失)」という時系列に沿って、知識を整理していきます。
さしあたり、「発生」の問題である「資格の取得」の要件を押さえることが必要です(資格の取得時期や喪失時期については、雇用保険法では、明文がないこともあり、「届出」の個所で見ています。また、「変更」や「消滅(資格の喪失)」についても、「届出」の個所で見ています)。
この被保険者の種類の概要については、最もシンプルな内容は、こちら以下のページで掲載しています。
より細かい知識については、のちに、こちら以下のページで見ています。
雇用保険法の被保険者については、適用除外者が多数あることの他、他の被保険者への切替えの問題があったり、改正により、高年齢被保険者の制度が新設されたこと等もあって、かなり複雑になっています。
レベルが高いため、難しい個所等はさしあたり保留して先に進んでみて下さい。基本手当の学習が全部終わるあたりで、見晴らしは良くなり、また、その後、高年齢求職者給付金、特例一時金、日雇労働求職者給付金の学習を終わりますと、被保険者に関する知識が整理されてきます。
なお、どの被保険者(正確には、「被保険者又は被保険者であった者」)にどの失業等給付が支給されるかについては、こちらの表で整理しています。
(二)届出
各種の届出が体系的に登場するのは、雇用保険法が初めてになります。
当サイトでは、先に紹介しました「発生(資格の取得)➡ 変更(氏名・住所の変更等)➡ 消滅(資格の喪失)」という時系列に沿って、届出も整理しています。
ただし、雇用保険法(をはじめとする被用者保険)の届出は、大きく、「事業主が行う届出」と「被保険者が行う届出(等)」に分かれ、前者の「事業主が行う届出」については、さらに、届出の対象事項・内容により、「事業主に関する届出」(この中で、「事業所に関する届出」と「代理人に関する届出」に分かれます)と「被保険者に関する届出」に分かれます。
このように大きく分類したうえで、それぞれの届出を、「発生 ➡ 変更 ➡ 消滅」の時系列により整理します。
結論としては、こちらの図のような枠組みになります。
そして、「事業主が行う届出」のうち、「事業主に関する届出」はこちらの表、「被保険者に関する届出」はこちらの表で整理しています。
なお、届出について、最も出題が多いのは、(どの科目においても)「届出の期限」です。
労働法に関する届出は、「事実発生日から(の翌日から起算して、という意味です)10日以内」に届け出ることが必要となるのが原則であり、社会保険(健保法、厚年法)に関する届出は、「事実発生日から5日以内」に届け出ることが必要となるのが原則です。この原則から外れた届出の期限になるケースに注目して記憶します。
届出についても膨大な情報量がありますが、まずは、過去問で出題された個所とその周辺に力を入れてチェックしてみて下さい(スクロールして頂くと、過去問を掲載している個所は、字下げをしていますので、判明すると思います)。
(三)被保険者の資格の取得・喪失の事由及び時期
1 資格の取得
被保険者の資格の取得・喪失の事由及び時期については、他の保険法では、被保険者の個所で学習するのですが、雇用保険法の場合は、資格の得喪の時期について明文がないこと等もあって、便宜上、届出の中で触れています(こちら以下です)。
重要であり、じっくり読んで頂いた方がよろしいです。
資格の取得時期については、当日(その日)取得となります(即ち、資格の取得事由が発生した日に、資格を取得します)。
資格の取得事由も含め、こちらの表で整理しています。
2 資格の喪失
(1)離職
資格の喪失事由のうち、とりわけ重要なのは、「離職」です(こちら以下)。
「離職」とは、「被保険者について、事業主との雇用関係が終了すること」をいいますが(第4条第2項)、「離職」は、「失業」を保険事故とする保険給付である求職者給付及び就職促進給付における重要な概念となっています。
即ち、求職者給付等の支給を受けうるためには、基本的に、「失業」していることが必要ですが、「失業」とは、「被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること」をいうため(第4条第3項。こちら)、失業の要件として離職していることが必要となるのです。
この離職の場合の資格喪失時期も重要です。
即ち、離職した場合は、離職日の翌日に資格を喪失します(【行政手引20601 イ】。雇用保険法上、直接的な明文はありません)。
例えば、退職した場合は、退職日の翌日に、被保険者資格を喪失するということです。
2 離職日に新たに被保険者の資格を取得すべき場合
ところで、離職日に新たに被保険者の資格を取得すべき場合という問題があります(こちら以下)。
この問題について、運用の改正が行われていますので説明します。〔以下、中略。〕
(四)離職証明書と離職票
次に、離職証明書と離職票は重要です(こちら以下)。出題も多いです。
事業主は、資格喪失の原因が離職であるときは、原則として、資格喪失届に離職証明書を添付して所轄の公共職業安定所長に提出しなければなりません(施行規則第7条第1項後段)。
例外として、事業主は、当該資格喪失届を提出する際に、当該被保険者が離職票の交付を希望しないときは、離職証明書を添付する必要はありません(施行規則第7条第2項本文)。
ただし、離職の日において59歳以上である被保険者については、本人が離職票の交付を希望しない場合であっても、資格喪失届に離職証明書を添付することが必要です(施行規則第7条第2項ただし書)。
以上をまとめますと、こちらの図のようになります。
以上を押さえた上で、細かい知識で肉付けしていって下さい。
(五)確認
確認とは、被保険者(日雇労働被保険者を除きます)の資格の取得又は喪失について、厚生労働大臣(当該権限は都道府県労働局長に委任され、さらにその権限は公共職業安定所長に委任されています。以下同様)がその事実関係を確定する行政行為です。
確認により、被保険者の資格の取得又は喪失の事実関係が確定します。(こちら以下)
◆厚生労働大臣が被保険者の資格の取得又は喪失の確認を行う場合は、次の(A)~(C)の3つのいずれかの場合です(第9条第1項)。
(A)事業主から被保険者に関する届出(資格取得届又は資格喪失届の提出)が行われた場合
(B)被保険者又は被保険者であった者が、確認を請求した場合
(C)職権による場合
他の保険法においても、確認の制度があり、上記の3つの場合に確認がなされます。
以上、主体に関する問題でした。
(六)賃金
客体に関する問題については、賃金について少々触れておきます(こちら以下です)。
雇用保険法における賃金の考え方は、基本的には、労基法の賃金の場合と同様です。
ただし、退職手当、祝金、見舞金等の任意的・恩恵的給付等は、たとえ就業規則等により支給条件が明確化されている場合であっても、賃金とは取り扱われない点は、労基法の賃金と異なります。
(これは、雇用保険法の他、徴収法及び社会保険(健保法、厚年法等)の場合にも同様です。)
雇用保険法、徴収法及び社会保険の場合は、賃金(ないし報酬)は、基本的に保険料や保険給付の算定基礎になるものであるため、例えば、退職手当などを賃金(ないし報酬)に含めては保険料や保険給付の額が不当に高額になるおそれなどがあること等を考慮したものといえます。
その他、雇用保険法の賃金では、現物給与の範囲及び評価について定めた施行規則第2条を押さえて下さい。こちら以下です。
賃金の具体例については、こちら以下で行政手引の例を掲載しています。かなり細かいですが、一度はご覧頂いた方がよいと思います(徴収法で出題対象となることが多いです)。
以上、雇用保険法の更新内容でした。次回は、基本手当に入ります。
二 徴収法の初回の更新
雇用保険法が少々軌道に乗ってきましたので、徴収法の同時更新を開始します。今回は、序論の1ページだけです(こちら)。
ほとんど図だらけのページになっており、これから学習する事項のまとめになっています。
次回から、詳しく説明していきます。
三 改正
若干の改正事項です。
(一)国年法の追納等の手続の改正
まず、国年法の追納、特定保険料の追納及び後納保険料の納付の申込書に添付する国民年金手帳の取扱いに関する改正が行われました(全体は、「改正・最新判例の情報」のこちらで掲載しています。当該個所のリンクにより、前記3か所のそれぞれの改正個所をご覧頂けます)。
昨日官報に掲載された改正です(平成30年3月5日施行)。
従来、追納、特定保険料の追納及び後納保険料の納付の申込書において、「国民年金手帳」を添付することが必要だったのですが、今回の改正により、申込書に個人番号を記載して(そのうち、個人番号を記載できるように要式の改正も行われるそうです)、基礎年金番号が記載されていない申込書を提出する場合は、国民年金手帳の添付は不要とされました(従って、常に国民年金手帳の添付が不要となったわけではないです。個人番号を記載せずに基礎年金番号を記載しているケースでは、国民年金手帳の添付が必要です)。
国民年金手帳を添付させていた趣旨は、申込書に記載された基礎年金番号が真正なものであることを国民年金手帳により確認するためでしたが、マイナンバー制度の実施により、個人番号を利用できることとなったため、個人番号の記載があれば、申込書の記載内容の真正は確保できるという趣旨です。
なお、従来、機構は、個人番号の取扱いをなおも一部制限されていたのですが(ネットワーク関係における利用)、11月から制限がなくなったそうで、来年の3月から、個人番号を利用した追納等の申込みを可能にするそうです。
この3月に向けて、また書類関係の改正がありますので、その際に、再度、今回の改正もチェックします。
(二)労基法の休憩の自由利用の原則の適用除外の追加(准救急隊員)
平成30年4月1日施行予定の改正により、「准救急隊員」を労基法の休憩時間の自由利用の適用を除外することに改められます。これも、昨日、明らかになりました(まだ官報には掲載されていません)。
准救急隊員は、救急隊の一員として救急出動指令に即時に対応するため、休憩時間中も消防署に待機することが必要不可欠であることから、休憩時間の自由利用の適用を除外することとしたものだそうです。
なお、准救急隊員とは、過疎地域や離島など救急隊員の人手不足が深刻化している地域で、救急業務の一部を行うことができるよう、平成29年4月に新たに設けられた制度とのこと。
救急隊は救急車と、3人以上の救急隊員で編成することが義務づけられていますが、過疎地域や離島などの一部地域では、救急隊員3人のうち1人を准救急隊員とすること可能となりました。
准救急隊員は救急業務に関する基礎的な講習(92時間)を終了した自治体職員等の任用が想定されているそうです。
平成30年4月から愛媛県西予市が全国ではじめて准救急隊員の任用を行う予定とのこと。
いずれ、官報に掲載されましたら、サイトを書き換えます。
改正は以上です。
次に、白書関係です。
四 労働経済データー
次のデーターが公表されました。
(一)平成29 年「就労条件総合調査」の結果
平成29 年「就労条件総合調査」の結果が昨日公表されました。
・報道発表用資料=こちら
・概況=こちら
・厚労省サイト=こちら
重要ですので、時間がある時にでも、眼を通して下さい。当サイトでも、労基法で前回分の数字を記載している個所は、近日、書き換えます。また、来年実施の白書対策講座でも、もちろんこの「就労条件総合調査」は取りあげます。
(二)平成29年労働組合基礎調査の概況
平成29年労働組合基礎調査の概況が25日(月曜日)に公表されました。
・報道発表用資料=こちら
・概況=こちら
・厚労省サイト=こちら
推定組織率は過去最低ながら、パートタイム労働者の労働組合員数と推定組織率は過去最高という二極化した数字になりました。
では、本年の通常の更新は、今回で終了となります。この一年、色々と有難うございました。良いお年をお迎え下さい。
なお、前年度の合格者の方からデーターを頂いていたのですが、さらに追加でいくつか頂くことができ、現在、編集中です。近日、ご紹介します。
また、合格者の合格体験談の続きについては、お正月中にご紹介します。
・平成29年12月20日(水曜)
今回は、労災保険法の更新が終了し、雇用保険法を開始しました。さらに、高齢者医療確保法を改訂しました。その他、改正等について少し触れておきます。
一 労災保険法第5回目(最終回)の更新
まず、労災保険法からです。今回は、社会復帰促進等事業以下、残り全部の更新となります。
・更新開始ページ=社会復帰促進等事業のこちら。労災保険法の最後までの更新です。
今回は、社会復帰促進等事業、特別加入、不服申立て、消滅時効あたりが中心となります。
出題が非常に多い個所です。
先の平成29年度の選択式試験も、不服申立てと消滅時効からの出題です。
労災保険法の初めから特別加入までを完璧に仕上げていても、雑則について、若干の息抜きをしたりしていたら、選択式を落としかねないという、ある意味、怖い出題でした(もっとも、内容は、基本的なものでした)。
この平成29年度の択一式では、社会復帰促進等事業から大量に出題されていました。
問3では、アフターケア等について、個数問題になっており、〔以下、諸般の事情により、伏字にしておきます。〕
さらに、問7のBでは、労災就学援護費について出題されました。
また、特別支給金については、問6のDの第三者行為災害の判例(【コック食品事件=最判平成8.2.23】)から出題してきました。
なお、特別支給金は、近年、あまり出題は多くなかったのですが、平成28年度の問7(こちら)では、1問(5肢)出題されています。
他方、特別加入は、平成29年度は、択一式の問7のCにおいて判例からの出題がありましたが、社会復帰促進等事業のようには、多くの出題はありませんでした(平成28年度も出題がありません)。
しかし、平成27年度の選択式において、特定作業従事者から出題されているように、特別加入は常に注意が必要です。
以下、ごくごく簡単ですが、ポイントです。
(一)社会復帰促進等事業
1 条文
社会復帰促進等事業については、まずは、第29条に注意して下さい。こちらの図を参考にしながら条文をチェックして頂くとよろしいです。
本条は、選択式で出題の可能性がありますので、赤字部分を思い出せるように準備が必要です。択一式の【平成26年問4】(こちら)では、1問(5肢)の出題があります。
2 主体
社会復帰促進等事業の主体(実施者、事務の管掌)は、こちら以下です。
ここでは、サイト中でゴロ合わせを作っているようなポイントとなる個所を中心に押さえて下さい。
例えば、「独法労働者健康安全機構」は、療養施設(労災病院等です)の設置及び運営や未払賃金の立替払事業を行うこと、「独法福祉医療機構」は、年金受給権を担保とする小口資金の貸付業務を行うことなどが最重要ポイントです。
そして、今回出題されました【平成29年 問3イ】(こちら)(独法労働者健康安全機構が行う事業)あたりを見ますと、社会復帰促進等事業については、当サイトをじっくり読んで頂いた方がよさそうです。
この問3のイは、かなり厳しい出題なのですが、平成28年4月1日施行の改正事項ではあり(前年度の改正事項ということになります)、当サイトでも、条文の新旧対照表を含め、かなりの程度の記載はしていました。
初学者の方は、最初の段階では、このような細かい事項には入り込まずに、まずは全体の科目をざっと終わらせることが優先課題となりますが、受験経験のある方は、労災保険法は、ある程度は細かい事項までチェックして頂いた方がよいと思います。
3 各事業
(1)アフターケア(こちら以下)
前述の通り、今回の択一式では、アフターケアについて、3肢出題されました。
平成23年の択一式の問5(5肢)において、突然、出題されたのですが、今回も厳しい出題でした。
来年も出題されるか、かなり微妙ですが、出題されないだろうと安易な推測をすることも(労災保険法の場合は)しにくい状況です。
素材は、サイトに引用しています「アフターケア実施要領」ですので、前回の【平成23年問5】と今回の【平成29年問3】の3肢を使って、この実施要領の過去問出題個所は押さえて下さい(あまり力を入れる必要はないとは思うのですが、大きな声では言いにくいです)。
(2)労災就学等援護費(こちら以下)
労災就学等援護費については、前述の通り、今回の択一式【平成29年 問7B】では、行政処分に関する判例から出題してきました。行政法の知識が必要な厳しい出題です。
行政処分に該当するかどうかの判断方法については、サイトの方でたっぷり解説してありますので、行政法のエッセンスをご覧頂けます。
労災就学等援護費についても、サイトの赤字の部分はざっとチェックして下さい。
(3)職場意識改善助成金(こちら以下)
「職場意識改善助成金」については、平成29年1月1日施行の改正により、勤務間インターバル(終業から始業までに継続した休息時間を確保する措置)を導入した中小企業事業主に対する助成が追加されました。
【追記】
その後、「職場意識改善助成金」は、平成30年4月1日施行の改正により、「時間外労働等改善助成金」に名称を変更して内容を改めることになりました。
従って、「職場意識改善助成金」については、当サイトの記載は読まないで下さい。
以上、号外の改正事項に関するメールで詳しくお伝えしました。
(4)受動喫煙防止対策助成金(こちら以下)
受動喫煙防止対策助成金についても、昨今、「受動喫煙対策」が問題となっていますので、サイトを一読して頂く安全です。
4 特別支給金
以上の諸々の事業よりは、特別支給金の方が(細かい知識も多いですが)むしろ学習しやすい面があるかもしれません。
こちらのページで、特別支給金について概要を記載しており、あとは、「一般の特別支給金」と「ボーナス特別支給金」に大別した上で、個々の特別支給金ごとに押さえていきます。
整理の仕方は、保険給付の場合と同様に、一応、「発生→変更→消滅」という時系列でフレームを作り、それぞれについて、要件と効果(支給額等)を見ていきます。
上記の概要を押さえていますと、特別支給金は、全体像はわかりやすいです。保険給付の総復習という側面もあります。
情報量はかなりありますが、特にチェックして頂く個所は、サイトの過去問の出題歴を掲載している部分です。
受験経験者の方は、特別支給金のページをスクロールして頂きますと、過去問を掲載した個所を確認できますので(字下げしているため、すぐ判明すると思います)、その過去問に関連した記載が上部に掲載されており、そこを中心に読んで頂くと、時間の節約が可能になろうかと思います。
その他、こちらの「ボーナス特別支給金」の「総論」の部分についても、チェックして下さい。
さらに、特別支給金と保険給付との相違点(こちら以下)も、チェックが必要です。
今回、出題された【コック食品事件=最判平成8.2.23】は、こちらのページ中で記載していました。
以上、社会復帰促進等事業でした。
(二)特別加入
特別加入については、こちらのページで概観を記載しています。
特別加入は、制度が複雑であり、また、細かい知識も多いため、学習がしにくい個所ですが、出題されるとして準備された方がよいです。
【追記】
その後、特別加入の特定作業従事者に、新たに「家事支援従事者」が追加されることになりました。平成30年4月1日施行予定です。
家政婦紹介所の紹介等により個人家庭に雇用され、家事、育児等の作業に従事する者が想定されています。
詳細は、号外の改正に関するメールにてお伝えしました。官報に掲載されましたら改訂します。
当サイトでは、特別加入の要件について、「特別加入者の要件(主体の要件)」と「特別加入の要件(その他の要件)」に大別して整理しています。これら両者が異なる条文に規定されていることを考慮したものですが、整理の一つの例であり、整理しやすい方法で覚えて頂いて結構です。
なお、要件については、特別加入の3種類で基本的に異なりますが、「効果以下」の問題については、3種類について共通する部分が多いです。
効果に関する一覧表は、こちらです。出題がかなり多い個所です。
当サイトでは、中小事業主等の特別加入の「効果以下」の個所で、他の2種類の特別加入についても触れていることが多いです。他の2種類の特別加入の効果以下の問題については、中小事業主等の個所で触れた問題については、カットして頂くことができます。
しかし、このような個所を除いて、特別加入に関する記載では、あまりカットできるような個所はありません。少々時間はかかりますが、一度は、全体をお読み頂いた方がよろしいです。
(三)費用
費用については、国庫補助について、第32条に規定がありますので、チェックして下さい。即ち、国庫は、予算の範囲内において、労働者災害補償保険事業に要する費用の一部を補助することができます。
(四)不服申立て
次に、不服申立てです(こちら以下)。
不服申立ては、平成28年4月1日施行の大改正があり、どの科目についても注意が必要です。
労働法の場合は、労災保険法における不服申立てをベースにし、社会保険の場合は、健康保険法における不服申立てをベースにするとわかりやすいと思います(当サイトでは、更新の順番から、社会保険の不服申立てについては、国民年金法で詳しく説明しています)。
労災保険における不服申立ては、(A)「保険給付に関する処分」に対する不服申立て(B)「保険給付以外に関する処分」に対する不服申立てに大別できます。
(A)については、労災保険法と「労働保険審査官及び労働保険審査会法」(以下、「労審法」といいます)が主に規定しています。こちらの図がポイントです。
(B)については、行政不服審査法が規定しています。
労災保険法では、近時、この(B)についてはあまり出題がありませんが、仕組みを知っておく必要はあります。徴収法に関する不服申立てでは、この行政不服審査法に基づく不服審査となります。
当サイトでは、行政不服審査法の基本的な知識についても、労災保険法で説明しています(もっとも、細かく見る必要はありません)。
以上の(A)と(B)を併せた図がこちらです(クリックすると拡大します)。
基本的には、以上の(A)及び(B)の図が思い浮かぶように学習をして頂ければ、労災保険の不服申立てに関する多くの問題には対応できると思います。
なお、平成28年の不服申立ての改正に関するまとめは、こちらです。
不服申立ての体系としては、こちらの図のように、時系列によって、「開始(発生)➡ 審理(変更・展開)➡終了(消滅)」という視点で整理できます。民事訴訟法等の訴訟法の関係は、同様に整理できます。
試験対策としては、「審理」に関する問題は出題されていず、「終了」に関する問題も、「審査請求の取消し」については学習しておいた方がよいですが、その他については必要なさそうです。
不服申立てについては、過去問を解いていてよくわかりにくい個所について、当サイトを参考にして頂くという利用方法がよろしいかもしれません。
当サイトを通読される場合は、以下が目安になります。
1 保険給付に関する処分に対する不服申立て
(1)総論と審査請求
こちらのページの冒頭から、審査請求の終わりあたりまで(こちらの「審理」の手前まで)をざっとお読み下さい。
また、こちらの「終了」の「審査請求の取下げ」については、お読み下さい。
労災保険法等では、審査請求の取下げは出題されていませんが、国年法では、平成28年度の択一式【問4ウ(国年法のこちら)】において、「再審査請求の取下げは文書でしなければならない」旨の出題があります。
(2)再審査請求
こちらのページの冒頭から、こちらの「開始」の手前あたりまでをお読み下さい。
さらに、「手続」のこちら以下(「開始の効果」(こちら)の手前まで)もお読み下さい(「不服申立期間」と「決定を経ない再審査請求等」が重要です。後者は、今回の選択式で「3か月」が出題されました。当サイトでは、再審査請求についてのポイントとして強調していました)。
(3)不服申立て前置主義
不服申立て前置主義は重要であり、過去問も多いです。こちら以下をお読み下さい。
2 保険給付以外に関する処分に対する不服申立て
こちらのページの冒頭から、「過去問のリンク」の個所(「開始」の手前)までをお読み下さい。
行政不服審査法の仕組みを掲載しています。実際は、労災保険法ではあまり出題はないのですが、徴収法の不服申立てを学習する際に役立つ知識になります。大まかにざっと読んで頂ければ十分です。
以上、不服申立てでした。
(五)消滅時効
消滅時効(こちら)については、出題も多く、当サイトをお読み下さい。
労基法では、あまり詳しく記載しませんでしたが、消滅時効の趣旨や起算日の考え方等は、この労災保険法で説明しています。
(六)その他
その他については、サイトのこちらのページ以降になります。
重要事項としては、次のようなものがあります。
1 書類の保存期間(こちら)
完結日から3年間の保存義務です。
2 行政庁の命令等
行政庁の命令等は、こちら以下ですが、チョロチョロと出題があり、ざっと目を通された方がよいです。ただ、似たような制度が多く(他の科目でも、類似の制度があります)、細部を細かく覚えるのは厳しいです。
ページをスクロールして頂いて、過去問を見つけて頂くと、正解の内容が出題されていることが多いことがわかります。そこで、誤りの内容を出題している出題に注目して下さい。どの点を誤りに作って出題しているのかをチェックして頂き、その部分を中心に条文を読んで下さい。
その他、当サイトが赤字で記載している個所に注意が必要です。
3 罰則
罰則(こちら)については、労災保険法ではあまり出題がないのですが、このリンク先に図がありますように、労働法の罰則の基本パターンを押さえて下さい。
以上、労災保険法でした。
次に、雇用保険法です。
二 雇用保険法の初回の更新
雇用保険法については、今回は、序論と主体の保険者のみの更新です。ページは、実質2頁しかないのですが、内容は雇用保険法の総まとめ的なものとなっており、雇用保険法の学習が終了してから確認して頂くのがよろしいです。
(一)序論
序論のこちらのページは、じっくりお読み下さい。
まとめ的な図が多く、初学者の方は、流し読みで結構です。
なお、途中、「近時の改正 = 平成28年及び平成29年の改正」として、3ページ分のリンクをつけていますが(こちら)、さしあたりは、リンク先を読まないで結構です(基本的知識が確立する前に改正事項のみを見ますと、知識が混乱することがあります)。改正事項だけを確認したいようなときにご利用下さい。
(二)保険者
保険者(こちら)では、権限の委任・事務の管轄等について説明しています。
「都道府県知事が処理する事務」など、出題が多いものもあります。
ただ、基本的には、雇用保険法の全体を学習してから、再度チェックして頂く事項が多いです。こちらの「公共職業安定所の長が行う事務」などは、今後、頻繁に登場し(重要ということになります)、そのたびに、こちらの表をリンクしますので、徐々に押さえて頂ければ足ります。
なお、この表の下部の※4の個所(日雇労働被保険者の資格継続の認可における事業主を経由してする申請)は、平成29年5月1日施行の改正事項です(詳しくは、こちら)。
日雇労働被保険者の資格継続の認可の申請は、所轄又は管轄の公共職業安定所長に提出すれば足りますが、今回の改正により、この安定所長への提出は、原則として、事業所の事業主を経由して行わなければならないことに改められました。
今回、日雇労働被保険者関係の改正がいくつか行われており、こちらでまとめています(以前、メールで紹介しました)。
以上、雇用保険法の更新でした。
三 高齢者医療確保法の改訂の終了
次に、高齢者医療確保法の平成30年度版の改訂が終了しましたので、お知らせします。社会一般のこちら以下です。
あまり大きな改正はありません。国民健康保険法の改正に伴う条文番号の修正等が多いです。
なお、こちらのページの「特定健康診査等」の関係については、チョロチョロと改正があります。
例えば、「特定健康診査等実施計画」については、平成30年4月1日施行の改正により、従来の「5年ごとに、5年を1期」として定めることから、「6年ごとに、6年を1期」として定めることに改められました(こちら)。
ただし、この点は、今回の一般常識の択一式【平成29年問8】で、改正前の「5年」が出題されました(改正予定の内容が出題されやすいという一例です)。
また、特定保健指導を行える者について、従来、「保健指導に関する一定の実務の経験を有する看護師」が平成30年3月31日まで経過措置として含まれていましたが、これが平成36年3月31日までに延長されました(こちら以下)。(「平成36年」は存在しないでしょうが。)
従来は、5年ごとに延長されたのですが、今回は、6年の延長になっている点は注意です。上記の「特定健康診査等実施計画」の6年周期に併せたものと解されます。
本来は、「平成36年3月31日まで(平成35年度まで)」という点は、押さえておいた方がよさそうなのですが、「平成36年」が存在しないであろうため、試験では出題しにくいかもしれません。
なお、「医療費適正化計画」ですが(こちら以下)、昨日、「医療費適正化基本方針」を改正する告示が官報に掲載されていました。専門的事項が多いため、この改正については、試験対策上は注意個所はないと思います。
ただし、平成30年度からは、この「医療費適正化計画」は、「6年ごとに、6年を1期」(平成28年4月1日施行の改正により、従来の「5年ごとに、5年を1期」が既に改められていました)として作成することになった第3期医療費適正化計画が開始されます(こちらの図を参考)。
そこで、「医療費適正化計画」(従来から出題が多いです)は、十分、チェックしておく必要があります。
この「高齢者医療確保法」等の社会一般については、基本科目の学習に一通りめどがついた時期にでも、チェックして見て下さい。
四 近時の改正
前回、近時の改正事項についてお知らせしました。
今回は、その中から、健康保険法の氏名変更の届出の省略に関する改正をお知らせします。
健康保険の氏名変更の届出については、平成29年1月1日施行の改正により、こちらの図(健保法のパスワード)の※1の1の「協会管掌健保」(全国健康保険協会が管掌する健康保険)について、氏名変更の届出の省略が認められていました(全国健康保険協会が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるとき)。
今回、さらに、平成29年11月29日施行の改正により、当該図の※1の2が追加され、「組合管掌健保」(健康保険組合が管掌する健康保険)についても、省略が認められることとなりました(健康保険組合が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるとき。ただし、当該健康保険組合が、当該事業主に対し、当該被保険者の氏名に係る情報の提供を求めないときに限ります)。
一方、住所変更の届出の省略も可能ですが、氏名変更の届出の省略の要件と微妙に異なる点があり、注意です。
住所変更の届出については、こちら以下です(このリンク先の下部の図をご参照下さい)。両届出の省略の違いについては、こちらの下部で触れています。
以上については、健保法の改訂の際に、再度、説明します。
では、今回はこれにてです。
次回は、雇用保険法の被保険者関係の更新となります。
ところで、週末に、臨時増刊号として、合格体験談その4を送信致します。今回は、お一人のご紹介です。3回の受験で合格された方ですが、当サイトに2年連続ご入会頂きました。
また、先日、昨年度の合格者の方から、有難いことに、来年の学習スケジュール等に参考になりそうな資料をご提供頂きました。こちらも近日ご紹介致します。
では、何かと忙しい時期ですが、ゆっくり身体を休める時間も確保されて下さい。
・平成29年12月7日(木曜)
今回は、労災保険法の保険給付の後半といくつか改正事項をお知らせします。合格体験談は、週末あたりに送信致します(3名の方の分になる予定です)。
なお、国民健康保険法の改正に関する改訂作業をしていました。
さすがに昭和33年以来の大改正になっているため、条文を直す個所があちこちあり、時間がかかりましたが、やっと終わりました。今回は、ボリューム的に詳細をお伝え出来ないと思いますが、後でポイントのみ触れておきます。
一 労災保険法第4回目の更新
まず、労災保険法です。
今回は、死亡に関する保険給付(遺族(補償)給付等)から、保険給付の終わりまでの更新です。次の更新で、労災保険法は終了です。
・更新開始ページ=「死亡に関する保険給付(遺族(補償)給付)」のこちら から。
・更新終了ページ=「事業主責任災害」のこちら のページの最後まで。
今回は、難所が多いです。第三者行為災害等という、大難関も控えています。
(一)遺族(補償)年金
まず、遺族(補償)年金です。
〔Ⅰ〕発生
〔1〕支給要件
支給要件のまとめは、こちらです。最終的には、支給要件の記憶が不可欠です。理解が進んだ段階で、記憶の作業をして下さい。
ここでは、ポイントをあげます。
死亡に関する保険給付ですので、死亡者の要件と遺族の要件に分けますが、遺族の要件が複雑です。
遺族の要件に関するもっとも大枠のポイントは、次の点です。
即ち、遺族(補償)年金を受けることができる遺族(= 受給資格者)は、労働者の「配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹」であって、労働者の「死亡当時」その収入によって「生計を維持」していた者となりますが、「妻以外の者の場合は、労働者の死亡当時に、一定の年齢要件又は障害要件に該当していること」が必要です。
この受給資格者のうち、最先順位の者が受給権者となります。
誰が受給資格者であって、そのうち誰が受給権者となるかは、後述の通り、支給額にも関係します。
後は、これらの要件の細部について、表等を利用して記憶していくことになります。こちらの遺族の表がすらすら出てくれば完成です。
なお、注意点として意識しておかれるとよいのは、若年支給停止者についてです(こちらで整理しています)。
若年支給停止者とは、労働者の死亡当時、55歳以上60歳未満の「夫、父母、祖父母及び兄弟姉妹」であって、当該労働者の死亡当時障害要件に該当していない者をいいます。
これらの者は、遺族(補償)年金の受給権を取得しても、60歳までは支給停止となるため、「若年支給停止者」といいます。
若年支給停止者は、若年支給停止者以外の他の受給資格者の次順位(後順位)となります。
さしあたりは、以上のような個所が支給要件(遺族の要件)に関する基本的な知識です。
先ほど紹介しました支給要件のまとめを記載していますこちらのページは、細かい知識がぎっしり入っていますが、あまり省略できるような事項がありません。
〔2〕支給額
支給額(こちら以下)も、結構、複雑です。
遺族(補償)年金の額は、「受給権者及び受給権者と生計同一の受給資格者の人数」に応じて決定される点がポイントです。
つまり、遺族(補償)年金の額を計算する場合は、前提として、受給権者の数、さらに、当該受給権者と生計同一の受給資格者の数を把握しておく必要があります。
この点は、先の〔1〕の支給要件の「遺族の要件」において、「受給資格者」と「受給権者」を把握しています。
なお、若年支給停止者は、60歳になるまでは、この遺族(補償)年金の額の算定基礎となる遺族の人数には含まれないことにも注意です。
〔Ⅱ〕変更
遺族(補償)年金の変更に関しては、こちらの事項が問題となります。年金額の改定、1年以上所在不明の場合の支給停止、欠格といった問題です。
これらは、過去問を指標に、過去問を解ける程度に学習して下さい。
〔Ⅲ〕消滅
遺族(補償)年金の失権は、こちらのページです。
当サイトでは、この失権のページで、親族関係の基本的な知識を説明しています(民法の親族法の領域になります)。
ボリュームはありますが、一度、じっくり読んで頂くと、今後の学習が楽になります(年金法の支給停止や失権、健保法の被扶養者などにおいて、親族関係の知識が再度必要になります)。
以上、遺族(補償)年金でした。
(二)遺族(補償)一時金
遺族(補償)一時金は、遺族(補償)年金の受給資格者がいない等の場合に、一定の遺族に一時金を支給するものです(こちら以下)。
いわば遺族(補償)年金が十分機能しなかった場合に一時金を支給するものといえ、やや特殊な制度であるため、学習がしにくいです。
支給要件として、次の2つのパターンがあります。
①労働者の死亡当時、遺族(補償)年金の受給資格者がない場合(例えば、父の死亡により20歳の子のみが残されたケース)
②失権差額一時金の場合=遺族(補償)年金の受給権者がすべて失権した場合であって、すでに支給された「遺族(補償)年金 + 遺族(補償)年金前払一時金」の額の合計額が、給付基礎日額の1,000日分に満たないとき。
そして、遺族の要件として、こちら以下の図を押さえます。
平成28年の択一式で、遺族の要件に関し2肢出題されていますので(【平成28年問6オとエ】)、この遺族の要件も含め、遺族(補償)一時金全般について注意が必要です。
(三)遺族(補償)年金前払一時金
遺族(補償)前払一時金(こちら)については、基本的に、障害(補償)年金前払一時金とパラレルな部分が多いため、学習はしやすいと思います。
平成26年度の選択式Dでは、支給額が出題されました。
(四)葬祭料又は葬祭給付
葬祭料又は葬祭給付(こちら)は、今後、他の法においても、葬祭ないし埋葬に関する保険給付を学習しますので、各法の葬祭等に関する保険給付間で混乱しないように整理する必要があります。
(五)通勤災害に関する保険給付
通勤災害に関する保険給付(こちら)は、すでに療養(補償)給付の最後の個所でも触れています。こちらでは、新たな過去問も掲載していますので、簡単に再チェックしてみて下さい。
以上で、業務災害及び通勤災害に関する保険給付は終了です。
(六)二次健康診断等給付
二次健康診断等給付(こちら)も、重要です。内容自体は難しいわけではありませんので、地道に知識を定着させていくことに尽きます。
前提として、安衛法の健康診断の知識が必要になります。すでに安衛法を学習し終えた方は、この二次健康診断等給付の個所で、記憶の定着具合をチェックしてみて下さい。
まだ、安衛法の健康診断を学習していない方は、まずは、この労災保険法の二次健康診断等給付のページを読み進めてみて下さい。安衛法関係でよくわからない個所は保留して頂き、二次健康診断等給付を一応読み終えてから、安衛法の健康診断(当サイトの安衛法のこちら以下)を確認してみて下さい。
なお、二次健康診断等給付は、最近、出題が少ないです(最後は、平成25年の択一式)。選択式は、平成14年度に出題されました。そろそろ不気味な気もします。択一式用には、こちらの「手続」についても、十分、チェックしておいて下さい。
以上、保険給付の各論(本体)となります。以下は、保険給付の通則です。
(七)保険給付の通則
保険給付の通則で学習します事項は、こちらの通りです。この保険給付の通則は、出題も多く、重要です。また、今後、国年法や厚年法でも、類似の事項を学習しますので、労災保険法で十分学習しておきますと、あとが楽になります。
ただし、労災保険法に特有の難しい問題もあり、前回の択一式では、判例に関する設問が大量出題されてしまいました。
昨年の5月に社会保障判例百選の第5版が刊行され、ここから大量に出題されています。
以下、保険給付の通則について、特に注意する事項に触れておきます。重要な問題ばかりであり、細かく解説することが難しいため、本文の熟読をお願い致します。
〔1〕未支給給付(こちら以下)
未支給給付も、死亡に関する保険給付の問題ですから、支給要件は、死亡者の要件と遺族の要件から成りますが、遺族の要件が中心です。
この遺族の要件について、遺族(補償)年金の受給権者の死亡かどうかにより、まずは2つのパターンに分かれるのが、労災保険法の未支給給付の特徴です。これは、遺族(補償)年金について、転給があることによります(詳しくは、本文をご参照下さい)。
その他のパターンもあり、「未支給給付の請求権者がいない場合」や「未支給給付の請求権者が、未支給給付を受ける前に死亡した場合」は、民法の法定相続の問題となります。
全部で4つのパターンがあり、こちらの図でまとめています。
〔2〕届出
届出(こちら以下)については、労災保険法の場合は各種届出が網羅的に登場するわけではなく、本格的な届出の体系については、雇用保険法以下で学習します。
労災保険法の届出としては、「年金たる保険給付の受給権者の定期報告」(現況届です)と「年金たる保険給付の受給権者の届出」(こちらは、変更や消滅に関する届出です)が中心です。
その他、傷病(補償)年金・休業(補償)給付に関連する届出があり、「傷病の状態等に関する届書」及び「傷病の状態等に関する報告書の添付」が問題となります。3番目の「傷病の状態等に関する届書」については、【平成29年問2A】で出題されました。
数字関係を中心に当サイトの赤字部分を記憶して下さい。
なお、マイナンバー制度の実施後、届出について改正が多くなっています。このマイナンバー制度の関係の改正点については、こちら以下でまとめています。
今のところ、労災保険法以外の科目も含め、マイナンバー制度に関係した手続面の改正事項が出題されることはほとんどありません。手続の整備がまだ流動的であって、出題しにくい面があると思います。ただ、今後は、ぼつぼつ出題されるかもしれません。
さしあたり、一定の添付書類の添付を省略できる場合として、厚生労働大臣が、「機構保存本人確認情報」の提供を受けることができるときと、「特定個人情報」の提供を受けることができるときがあり、これらの用語を押さえておきます。
サイトでは、かなり詳しく記載しているのですが、細かく見ますと切りがない個所ですので、ほどほどで先に進んだ方がよさそうです。
〔3〕支払の調整(内払、充当)
支払の調整として、内払と充当があります(こちら以下)。
給付の過誤払(支払過ぎ)の場合に、その超過部分について、その後に支払う給付から控除するという問題です。
国年法や厚年法でも、基本的には共通する問題です。この労災保険法の中で、詳しく記載しています。
「内払」については、大枠として、①異なる給付間の場合と②同一給付間の場合に分けて整理しますと便利です。
①の場合の効果は、「内払とみなす」であり、②の場合の効果は、「内払とみなすことができる」です。
「充当」は、受給権者の死亡後に、遺族に過誤払がなされた場合の支払の調整です。①受給権者の死亡、②遺族に過誤払、③遺族が「死亡に関する保険給付」の受給権を有すること、が内払の要件のポイントになります。
〔4〕社会保険との調整
同一の事由について、労災保険の保険給付と社会保険(国民年金、厚生年金保険)の年金給付の受給権が発生するときは、原則として、「労災保険」の保険給付の支給額が減額されます(こちら以下)。
まずは、社会保険側ではなく、労災保険側が減額される(原則)ことを押さえて下さい。
その他、サイト上で色のついた文字の部分や太字部分に注意して下さい。
〔5〕支給制限
支給制限(こちら以下)については、さしあたり、こちらの表が思い出せる程度に学習して頂くことが最低ラインです。
その他に、「支払の一時差止め」(こちら以下)も重要です。
〔6〕費用徴収
費用徴収については、こちらで記載してますように、次の3種類があります。
1 不正受給者からの費用徴収(第12条の3)= 不正利得の徴収
2 事業主からの費用徴収(第31条第1項)
3 療養給付の一部負担金(第31条第2項、第3項)
このうち、3については、すでに学習済みです。
1の「不正利得の徴収」も重要ですが、そう難しくはないと思います。他の法でも、「不正利得の徴収」が登場してきますので、受験経験者の方は、こちらの横断整理も確認してみて下さい。
2の「事業主からの費用徴収」(こちら)は、少し難しいといいますか、細かい知識が多く、学習に時間がかかると思います。
平成26年度に選択式で出題されており、平成26年と平成27年に続けて択一式で1問出題されています。かなり細かい出題がなされています。過去問の出題個所を含め、引き続き、十分チェックが必要です。
〔7〕第三者行為災害等
労災保険法で最も難しい問題が、この第三者行為災害等の問題です(こちら以下)。天王山です。
第三者行為災害等の問題として、次の2つがあります。
〈1〉第三者行為災害(第12条の4)
〈2〉事業主の損害賠償責任との調整(法附則第64条)= 事業主責任災害・使用者行為災害
今回の【択一式問6】では、この第三者行為災害等に関する判例から5肢が出題されました。
当サイトでは、これらの判例をすべて掲載していましたが、やはり、内容がかなり難しい出題でした。
以前は、この第三者行為災害等の問題は、さほど出題がなく、出題されても基本的な条文知識程度にとどまっていたため、余り深入りしないことが賢明でした。
しかし、平成24年頃から、本格的な出題が目立つようになり、とうとう、今回、判例のオンパレードになってしまったという次第です。 もっとも、当サイトでは、以前から、第三者行為災害等について詳しすぎるくらい記載をしており、試験内容が当サイトの記載内容に近づいてきたといいますか。。
以下、ポイントです。
1 第三者行為災害
第三者行為災害とは、第三者の行為により労働災害(業務災害又は通勤災害)が発生した場合に、被災労働者等が有する労災保険の保険給付の受給権と第三者に対する損害賠償請求権との調整を図るという問題です。
つまり、第三者の行為により労働災害が発生した場合において、被災労働者等(被災労働者又はその遺族等)が、同一の事由について、第三者に対して損害賠償請求権を取得すると共に労災保険の保険給付の受給権も取得したときに、被災労働者等が二重にてん補を受けることを防止するため、調整を図るものです。
大別して、(A)「政府が先に政府が保険給付を行った場合」と、(B)「第三者が先に損害賠償を行った場合」の2つのパターンがあります。
(A)が「代位取得」とか「求償」といわれる場合であり、(B)が「控除」とか「免責」といわれる場合です。
第12条の4の第1項が①であり、第2項が②になります。こちら以下の二つの図でイメージして下さい。
第三者行為災害に関する問題は、ごく大まかには、次の3パターンに分けられると思います(派生する諸問題が多々ありますが、最も根幹的な問題が次の3パターンといえます)。
次の(1)と(2)は、上記の(A)と(B)に共通します。(3)は、上記の(A)に関する問題です。
(1)第三者の問題(第三者に事業主を含まないこと)
(2)同一の事由の問題
(3)政府が保険給付が行った場合に被災労働者等が第三者(又は事業主)に対して有する損害賠償請求権の減縮の問題
以下、(1)~(3)の順にポイントを見ます。
〔※ ここから、延々と法律構成等について触れていますが、あまりにも長いため(これまでの記載と同じくらいのボリュームがあります)、以下、カットします。〕
第三者行為災害については、以上の(1)~(3)の3点が大きなポイントですが、その他に、調整期間(こちら)の「求償=3年、控除=7年」も重要です。
また、今回、出題されました「示談」の問題や「過失相殺」の問題といった派生的な重要問題があります。これらについては、当サイトを熟読して下さい。
2 事業主責任災害
次に、加害者(損害賠償の責任者)が事業主である事業主責任災害についてです。サイトではこちらです。
先に少し触れましたが、事業主責任災害については、法附則第64条という規定があります。
本条は、要するに、被災労働者等が労災保険から年金たる保険給付を受けられるなら、将来支給される分も事業主の損賠賠償債務からあらかじめ控除(減縮)すべきではないかという問題意識から定められた規定です。
先に、(3)で記載していました「政府が保険給付が行った場合に被災労働者等が第三者に対して有する損害賠償請求権の減縮の問題」は、政府がすでに保険給付を行った場合の問題(支給済みのケース)であるのに対して、本問は、将来支給される分についてもあらかじめ差し引くことができないのかという問題です。
学説では、事業主が労災保険に加入している利益を保護する見地から、将来支給予定分についても事業主の損賠賠償の額から差し引くべきという立場が多かったのですが、【三共自動車事件=最判昭和52.10.25】判決がこれを否定しました。
そこで、この判例を尊重しつつ、できるだけ事業主の保護も図るという見地から、前払一時金の制度がある保険給付等については、一定の要件の下、将来支給予定分の保険給付についても、損害賠償の額から差し引くことができる旨を規定したのが法附則第64条です(その他に、事業主が先に損害賠償を行った場合の保険給付の控除の問題についても規定しています)。
要点は以上の通りですが、細部は、非常に難しいです。実務上も、制度の難解さから、この法附則第64条はあまり機能していないといわれています。
さしあたりは、本文をざっと読んで頂き、あまり深く入り込まずに、過去問がある個所をチェックして頂ければよいと思います。
こちらで具体例を挙げていますので、これを参考にイメージして下さい。
なお、例えば、こちらに法定利息分の控除の図をいくつか掲載していますが、あくまで参考程度です。このような部分は、試験には出題されませんので、流して下さい。
では、今回の労災保険法はこれにて終了です。
二 改正事項
(一)各種改正
さて、改正事項ですが、こまごまとしたものが結構あります。
今回は、第三者行為災害等でかなり疲労困憊になってしまいましたので、これらについては、おいおい詳しくご紹介します。
さしあたり、改正された項目のみ、お知らせします。これらの最新の改正事項は、すべてこちらの「改正・最新判例」のページには記載済みであり、以下、このページにおける番号です。
(ちなみに、これらの新しい改正事項については、当サイトでのご紹介は、非常に速いです。簡単な改正なら、当日の官報に掲載された改正事項について、その日の夕方には、この「改正・最新判例」でご紹介し、本文も改訂しています。官報に掲載された翌日あたりには、改訂が終わっていることが多いです。)
・労基法の3
・国民年金法の4~8
・厚生年金保険法の3
・健康保険法の2
(二)国民健康保険法の平成30年度版の改訂の暫定的終了
若干、国民健康保険法の改正についてお知らせします。
さしあたり、国民健康保険法は改正に関する改訂が終了致しました。同時に、平成30年度版の改訂も一応終了しています。
国民健康保険法は、平成30年4月1日施行の大改正があるのですが、施行規則のうちまだ改正されていないものがあり(主に届出等について規定されます)、現段階ですべての改正が行われているわけではありません。現時点で判明している範囲内で、改訂を終了しました。
「届出」や「被保険者証」等について記載しましたこちら(社会一般のパスワード)のページとその次のページは、今後、改正が予定されていますので、読まないで下さい。
それ以外のページは、改訂が完了しています。
今回の改正のポイントは、一言では、従来の「市町村が行う国民健康保険」が「都道府県及び当該都道府県内の市町村が行う国民健康保険」(「都道府県等が行う国民健康保険」といいます。なお、法律上の用語ではないですが、当サイトでは、「都道府県等国保」と省略することがあります)に改められたということです。
即ち、国民健康保険の保険者は、従来、市町村と国民健康保険組合の2種類でしたが、平成30年4月1日施行の改正により、前者について、都道府県を単位とする「都道府県等が行う国民健康保険」に改められました。
広域化による、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等を目的としたものです。
改正により改められた事項について、保険者(都道府県及び市町村)という視点から大まかにまとめますと、こちら以下になります。
ただ、国民健康保険法や高齢者医療確保法等の医療保険法は、健康保険法を学習してからの方が、わかりやすいです。
初学者の方は、まずは、健康保険法の学習を優先して頂いた方がよく、さしあたり、国民健康保険法は保留で結構です。
受験経験者の方で、健保法もまずまず把握されているような方は、この国民健康保険法も徐々に読み進めて頂ければと思います。
施行規則が改正されて改正の全体が固まった時点で、再度、残部を改訂し、その際に、詳しく解説をする予定です。
なお、現在は、高齢者医療確保法を改訂中です。
では、今回は、これにて。
・平成29年11月25日(土曜)
今回は、安衛法の健康診断の関係の更新のお知らせと合格体験記その2のご紹介です。
合格体験記については、メールにて送信致しました。
一 安衛法の更新
安衛法の健康診断の関係(当サイトが安衛法について掲載している全てです)について更新しました。こちら以下です(やや目次を詳しくしました。内容については、行間のスペースを今までよりあけるなど、形式的な面をかなり変えています)。
まもなく労災保険法で「二次健康診断等給付」を更新しますが、その前提知識として、安衛法の健康診断の知識が必要になる関係で、ここで安衛法を更新しました。
二 安衛法の改正事項
安衛法の改正事項については、健康診断の関係では、改正が主に2つあります。いずれも、健康診断実施後に問題になるものです。
「改正・最新判例」のページに、後日、転記しておきます。
・平成29年11月19日(日曜)
今回の試験では、当サイトにおいて、過去一番合格者が多かったです。
ただ、もちろん、合格者の方は、多様な教材を使用されて、それぞれ工夫されて学習されており、当サイトのサポートなどは微々たるものに過ぎません。それでも、何かのご縁でご入会頂きました方から合格とのメールを頂くこのときが、最も嬉しい瞬間です。
有難いことに、合格された方から合格体験記を書いて頂けることがありますので、ゆっくりとご紹介させて頂きます。
まずは、合格者2名の方の体験記を来週の水曜日(22日)の夕方に送信する予定です。臨時増刊号です。
一方、わずか1点不足だった会員の方が複数名おられます。また、数点足りなかったという方は、かなりおられるのではないかと思います。
ギリギリのところで合格に至らなかった方は、順番待ちの状態にあります。
選択式の怖さを体感しますと、翌年の試験に対する不安が大きくなるのですが、不安を解消するために最も有効な方法は、やはり、十分対策を検討して納得がいく学習をするということになります。
私自身も、受験初年度に1点不足で不合格となり、選択式の怖さを体感しました。
翌年度は、条文をベースにしキーワードを常に意識しながら学習し、また、一般常識を早期に開始しました。
現在の当サイトが条文を重視している点は、法律の基本が条文にあるということだけでなく、上記の苦い経験に基づいているものです。今年度からは、いよいよ白書対策講座も実施致し、ベストを尽くしたいと思います。
先に触れました順番待ちの状態にある方は、最終的には合格されるはずです。ですので、なんとか不安感を取り払って頂き、納得のいく学習をされて下さい。
ただし、健康に優るものはないなにもないですから、気分転換の時間は十分お作り下さい。
では、今回の更新です。労災保険法の更新の他、健保法の改正に関する改訂が終わりましたので、御紹介します。
一 労災保険法第3回目の更新
今回から、保険給付に入ります。まずは、傷病に関する保険給付、障害に関する保険給付、介護に関する保険給付を更新します。次回は、死亡に関する保険給付となります。
・更新開始ページ=事業のこちらから。
・更新終了ページ=介護に関する保険給付(介護(補償)給付)のこちらのページの最後まで。
死亡に関する保険給付の手前までの更新です。
(一)総論
1 事業
まず、労災保険の「事業」の全体像は、こちらの図の通りです。
保険給付と社会復帰促進等事業に大別され、前者の保険給付は、業務災害・通勤災害に関する保険給付と二次健康診断等給付からなります。
事業が、「保険給付(ないし給付)」と「その他の事業」に大別されるというのは、他の社会保険の科目においても同様です。労災保険の場合は、「社会復帰促進等事業」が「その他の事業」ということです。
2 保険給付の総論
保険給付の総論は、こちらのページです。初学者の方は、当初は、流し読みで結構ですが、労災保険法の保険給付が全部終わったあたりで、再度、このページを熟読してみて下さい。
なお、少々注意すべき点は、業務災害に関する保険給付の支給要件は、基本的には、労基法の災害補責任の要件と同様になっているということです。こちら以下で記載しています。
例えば、障害に関する保険給付として、障害補償給付があります(業務災害のケースです。通勤災害の場合は、障害給付です)。この障害補償給付は、障害等級に応じて、障害補償年金と障害補償一時金に分かれますが、労災保険法では、直接的には、この「障害補償年金・障害補償一時金」の支給要件を定めた規定がありません。
例えば、第15条は、次のように規定しているだけです(次の第2項は、支給額に関するものです)。
・第15条
1.障害補償給付は、厚生労働省令で定める障害等級に応じ、障害補償年金又は障害補償一時金とする。
2.障害補償年金又は障害補償一時金の額は、それぞれ、別表第1又は別表第2に規定する額とする。
これは、業務災害に関する保険給付の支給要件については、第12条の8第2項が一般的に規定しているためです。
つまり、この規定では、業務災害に関する保険給付は、基本的には、労基法が規定する災害補償の事由(又は船員法が規定する災害補償の事由。以下、船員法については省略します)が生じた場合に行われる旨を定めています。
要するに、業務災害に関する保険給付の支給要件は、基本的には、労基法の災害補償の要件と同様になるということです。
これは、労基法の使用者の災害補償の責任を実効化するために保険制度化したものが、労災保険の業務災害に関する保険給付だからです(使用者の責任の軽減や使用者の無資力による被災労働者等の救済を図る見地から、使用者に保険料を拠出させて保険制度化したものがもともとの労災保険の制度趣旨です)。
そこで、業務災害に関する保険給付の支給要件を見るためには、前提として、対応する労基法の災害補償の要件を確認する必要があることになります。
この点、障害補償給付に対応する労基法の災害補償責任は、障害補償(労基法第77条)であり、次のように規定されています。
・労基法第77条
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治った場合において、その身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金に別表第2に定める日数を乗じて得た金額の障害補償を行わなければならない。
そこで、労基法の障害補償の要件は、「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治った場合において、その身体に障害が存するとき」であることであり、これが同時に労災保険法の障害補償給付の支給要件であるということになります。
なお、通勤災害に関する保険給付については、労災保険法において直接支給要件が規定されています(労基法の災害補償責任は通勤災害を対象としていないため、通勤災害については、労災保険法独自に支給要件を規定する必要があるからです)。
そこで、通勤災害に関する保険給付の規定が、業務災害に関する保険給付の支給要件についても参考になります。
例えば、通勤災害である障害給付について定める労災保険法第22条の3第1項は、次のように規定しています。
・第22条の3
1.障害給付は、労働者が通勤により負傷し、又は疾病にかかり、なおったとき身体に障害が存する場合に、当該労働者に対し、その請求に基づいて行なう。
そこで、業務災害に関する障害補償給付についても、「労働者が『業務上の事由』により負傷し、又は疾病にかかり、なおったとき身体に障害が存すること」が支給要件であると判明します。上記の労基法の障害補償の要件とパラレルになっています。
以上、やや詳しくなり過ぎましたが(そして、休業補償給付や遺族補償年金のように、労災保険法の業務災害に関する条文からも、その支給要件がわかりやすい給付もあります)、結論としては、労災保険の業務災害に関する保険給付の支給要件は、基本的には、第12条の8第2項が規定しているのであり、原則として、労基法の災害補償の要件と同様になるということです。
ここまで延々と述べてきた点が直接試験で問われるわけではありませんが、上記の第12条の8第2項はしばしば出題のテーマとなっており、この規定を理解する前提知識が以上触れたものです。
この第12条の8第2項について実際に出題の対象となっている事項としては、例えば、労基法に定める災害補償の事由が生じた場合に支給される労災保険法の保険給付の中に「傷病補償年金及び介護補償給付」は含まれないこと、補償を受けるべき労働者若しくは「遺族又は葬祭を行う者」の「請求」に基づいて支給されることなどがあります。詳しくは、前掲のこちら以下の過去問をご参照下さい。
保険給付については、今まで更新してきました「主体」や「客体」に関する問題よりは、取り組みやすいものが多いと思います。
さしあたり、「発生→変更→消滅」という時系列に沿って問題を振り分けて、各々について、要件と効果を見ていくことになります。
このうち、「発生」における「支給要件(要件と同義です)」と「効果(広義)」としての「支給額」が大きなポイントになります。その他に、申請の手続等について、「手続」として整理します。
今後、学習します社会保険(年金2法、健保法、国民健康保険法等)でも、この保険給付の基本的な捉え方は同様になります。
この保険給付の体系図は、こちらです。
労災保険法の保険給付の出題状況ですが、サイト上の過去問の掲載をご覧頂きますと判明しますように、当サイトで記載しています事項は、広く出題対象となっています。
もっとも、近時は、保険給付についてそう沢山出題されているわけではありません。そして、保険給付が出題対象とされるときは、細かい点を突いてくることが少なくありません。
例えば、ひところは、療養(補償)給付では、手続に関する出題が多かったです。また、平成28年の択一式では、「移送」を中心とする1問が出題されました(昭和40年まで実施されていた「療養補償費」という用語を使用している古い通達がそのまま出題されています)。
このように、労災保険法は学習がしにくい面もありますが、まずは、基本的な事項である支給要件、支給額及び特徴的な手続について固めて下さい。
なお、労災保険法だけでなく、年金2法や健保法等の社会保険でも同様なのですが、保険給付については、「支給要件」を正確に記憶していませんと、試験で勝負になりません。
保険給付については、支給要件が最重要であり、常に各給付の支給要件がすらすらと頭に浮かぶように反復学習の上記憶して頂く必要があります。
これは、「保険給付」の「支給要件」だけでなく、広く諸制度の「要件」について同様です。例えば、事業主からの費用徴収の制度なら、どのような場合にその費用徴収が行われるのかという「要件」を押さえることが不可欠になります。
このように、「要件」に注意して、要件を記憶する学習方法をお取り下さい。
以下、今回更新分の保険給付についてのごく大まかなポイントです。
(二)療養(補償)給付
療養(補償)給付の発生に関する問題の体系図は、こちらです。
上述のように、保険給付については、あまり手を抜けるような個所はなく、丹念に学習して頂く必要があります。
療養(補償)給付の場合に難しいのは、手続の問題です(こちら以下)。
療養(補償)給付は、業務災害と通勤災害に応じて、それぞれ療養補償給付と療養給付に分かれますが、療養(補償)給付の支給の方法として「療養の給付」(現物給付)と「療養の費用の支給」(現金給付)があり、トータルでは4つの組み合わせが生じます(つまり、業務災害に関する「療養補償給付」として、「療養の給付」又は「療養の費用の支給」が行われる場合があり、通勤災害に関する「療養給付」として、「療養の給付」又は「療養の費用の支給」が行われる場合があるということです)。
この4つについて、請求の手続が微妙に異なるため、手続の問題を押さえるのはかなり厄介です。
最も基本的な知識は、「療養の給付」と「療養の費用の支給」の手続の違いです。
即ち、「療養の給付」の場合は、請求書を当該療養の給付を受けようとする「指定病院等」を「経由」して所轄労働基準監督署長に提出しなければならないのに対して、「療養の費用の支給」の場合は、請求書を、直接〔=即ち、経由ではありません〕、所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。
その他の出題実績がある知識として、事業主や診療担当者の証明を受けなければならない事項が重要です。
4つの組み合わせについて手続に関する細かい事項を広く覚えるのは、事実上無理ですし、その必要もないでしょう。過去問を指標にして頂き、まずは、業務災害の療養補償給付における「療養の給付」と「療養の費用の支給」に関する重要な手続を押さえるといったように、段階を踏んで記憶するのがよろしいと思います。初学者の方は、最初はこまごまとした手続上の知識は、後回しにして下さい。
(三)休業(補償)給付
休業(補償)給付は、労働者が業務上の(又は通勤による)負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給されるものです。
そこで、支給要件は、次のようになります。
①労働者が業務上の(又は通勤による)負傷又は疾病により療養していること。
②当該療養のため労働できないこと。
③労働できないために賃金を受けない日であること。
④賃金を受けない日の第4日目以後の休業であること = 賃金を受けない休業初日から通算して3日間の待期期間を満たしていること。
あとは、これらの要件のそれぞれの文言について問題となる知識を押さえていきます。
ややこしいのは、上記の③に関する「一部労働不能の日」の問題です。
③の「賃金を受けない日」については、「賃金の全部を受けない日」だけでなく、「賃金の一部を受けない日」も含まれるとされています。
この「賃金の一部を受けない日」がどのような場合に支給要件に該当するのか、次に、支給要件に該当した場合の支給額はどうなるのかが重要です。サイトでは、こちら以下で触れています。
このように、一部労働不能のケースは、支給要件の問題と支給額の問題を区別して考えるのがポイントです。また、労基法の休業手当の一部労働不能の処理と異なる点があることにも注意です。
(三)傷病(補償)年金
傷病(補償)年金(こちら以下)についても、まずは、支給要件を確実に暗記して下さい。
傷病(補償)年金の大まかなイメージは、労働災害による傷病が長期間治ゆしていず、重度の場合に支給されるというものです。
そして、他の保険給付と異なり、被災労働者の請求は必要がなく、所轄労働基準監督署長は、傷病(補償)年金の支給要件に該当することとなったときは、職権により支給の決定をしなければなりません。
なお、療養(補償)給付、休業(補償)給付及び傷病(補償)年金の3者間の関係について、こちらの図のイメージになります。
休業(補償)給付と傷病(補償)年金が併給されることはない点がポイントです(傷病(補償)年金は、休業(補償)給付の請求・支給という手続上の煩雑さを回避することを制度趣旨の一つとしているためです)。
傷病(補償)年金も、覚えるべき知識は多いのですが、そう難しくはないと思います。反復学習して頂き、徐々に知識を拡げて下さい。
(四)障害(補償)給付
障害に関する保険給付(こちら以下)としては、まず、障害(補償)給付があります。
労働者の業務上の(又は通勤による)傷病が治ゆしたときに障害が残った場合に支給されます。
障害の程度により、障害(補償)年金と障害(補償)一時金に分かれます。
さらに、法附則上の障害に関する保険給付として、障害(補償)年金前払一時金と障害(補償)年金差額一時金があります。後者が、平成26年度の選択式で出題されています。
障害に関する保険給付の支給要件の特色は、「傷病が治ゆしたこと」が必要であるという点です。この傷病の治ゆの有無によって、「傷病」に関する保険給付(療養(補償)給付、休業(補償)給付及び傷病(補償)年金)と区別されます。
障害(補償)給付については、障害等級表に関する出題がなされることがあり、また、併合・加重という応用的な問題もあって、少々学習しにくいです。過去問を解ける程度に学習して下さい。
障害(補償)年金前払一時金は、遺族(補償)年金前払一時金とパラレルな仕組みになっている個所が多く、前者についての知識が後者について利用できます。内容的には、そう難しくありません。
他方、障害(補償)年金差額一時金は、障害(補償)年金の受給権者が死亡した場合に、一定の遺族に一定額(差額)を支給するものであり、死亡に関する保険給付という側面もあります。そこで、遺族(補償)給付等の死亡に関する保険給付を学習してからの方が理解しやすいです。初学者の方は、差額一時金は、ざっと流し読んで頂いて、死亡に関する保険給付を学習した後に、再度チェックしてみて下さい。
(五)介護(補償)給付
介護(補償)給付(こちら以下)は、平成19年度の選択式で出題されています。
支給額の考え方が少々ややこしいです。こちらの図とその下部の解説を参考にして下さい。
また、介護(補償)給付が支給されない場合(支給対象とならない施設)についても注意です。病院・診療所、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、障害者支援施設などです(こちら以下)。
以上、今回の更新範囲についての概要でした。
次に、健康保険法の改正事項です。
二 健康保険法の改正
健保法についても、結構な量の改正があります。そして、重要な改正が多いです。
この健保法の改正事項については、健保法のこちらで整理しています。
今回は、ここらで終わります。
・平成29年11月7日(火曜)
今回は、労災保険法の第2回目の更新です。また、年金法の年金額の改定に関する改正等の改定作業が終了し、国年法と厚年法は、改正事項のサイトへの反映が終わりました。概要をお知らせします。
なお、今回も極めて長文であるため、適宜、省略した個所があります。
一 労災保険法の第2回目の更新
・更新開始ページ=「客体」のこちらのページから。
・更新終了ページ=「年金給付基礎日額」のこちらのページの最後まで。
事業(保険給付)の手前までの更新となります。
今回は、主体(労災保険の登場人物)と客体(保険事故、業務災害と通勤災害の認定、給付基礎日額)についての更新です。
今回更新する事項と保険給付の通則あたりは、特に出題が多い個所です。本試験では、保険給付本体より、その周辺部分の方がキーになることが多く、全体を網羅しておく必要があります。なお、保険給付が出題される場合は、申請書の記載事項等の手続面の細かい事項がテーマになることもあります。
近年の選択式試験の題材を見ますと、今回の平成29年度試験では、不服申立てと消滅時効がテーマでした。
前回の平成28年度は、療養の費用の支給という保険給付本体に関する空欄もありますが、支給制限と業務上の疾病の認定に関する問題で4つの空欄が作られています。
平成27年度は、特別加入と第三者行為災害に関する出題でした。
平成26年度は、保険給付からの出題により4つの空欄が作られましたが、テーマは障害補償年金前払一時金と障害補償差額一時金という法附則上の保険給付でした(法本則の保険給付からしますと、マイナー給付ということになります。なお、もう1つの空欄は、事業主からの費用徴収です)。
ちなみに、平成25年度と平成23年度の選択式試験は、出題テーマの選定に疑問があるような出題でした。
また、今回の択一式においては、第三者行為災害等について、いきなり大量の判例問題が出題されました。
このように、労災保険法では、予想外の出題等がなされることがあります。
以上のような出題傾向を考えますと、労災保険法の学習の際は、保険給付については手続面も含めてきっちり学習することを前提とした上で、保険給付以外の事項について十分学習をしなければならないということになります。
労災保険法は、当サイトを熟読して頂く必要があるといえます。
以下、今回の更新範囲におけるポイントです。
(Ⅰ)序論
まず、こちらの序論では、労災保険法の目的や体系について説明しています。
1 体系
(1)社会保険の体系
社会保険(ここでは、労災保険法のほか、今後学習します雇用保険法、国民年金法、厚生年金保険法、健康保険法以降の医療保険法などを広く含めます)の体系については、基本的には、こちらの図のように、以下の流れで整理できます。
(ⅰ)主体 ➡ 保険者と被保険者が中心になります。
(ⅱ)客体 ➡ 当サイトでは、保険事故や報酬の問題を取り扱います。
(ⅲ)事業 ➡ 事業は、大別して、保険給付と保険給付以外の事業に分かれます。
(ⅳ)費用=財政 ➡ 保険料や国庫負担等に関する問題です。
(ⅴ)その他 ➡ 不服申立て、消滅時効、行政庁の監督、罰則等を見ます。
労災保険法の場合は、(ⅰ)について、被保険者という概念が存在しないこと、また、(ⅳ)について、保険料は、全額、事業主が負担し、労働者は負担しないことが大きな特徴になっています。
これらは、労災保険制度が、元来、労基法の使用者の災害補償責任を実効化させるための保険制度であること(事業主は、これにより災害補償責任のリスクを免れます)に起因しているものと解されます。
なお、保険料に関する詳細については、徴収法が規定しています。また、上記(ⅰ)で登場します暫定任意適用事業についても、徴収法で学習する事項が多いです。
(2)保険給付の体系
次に、上記(ⅲ)の「事業」のうち、「保険給付」の体系図について、こちらで掲載しています。
今後の各種社会保険法の保険給付についても、この体系図がベースになります。
保険給付の学習の際は、この体系図の段取りを思い浮かべて頂き、あとは、各保険給付に関する知識をこの段取り順に整理していけばよいことになります(科目や保険給付ごとに、この体系図内の段取りの内容や配列が若干修正されることはあります)。
以上が、社会保険法全体の骨組み・フレームワークになる部分です。今後、この骨組みに細かい知識を肉付けしていくことになります。
2 目的
労災保険法の目的等については、前記リンク先の序論のページ(こちら)をご覧下さい。
この序論のページは、労災保険法の全体像が圧縮されていますので、初めて労災保険法を学習される方は、ざっと流し読みで結構です。労災保険法の全体を終了されてから、再度、チェックしてみて下さい。
受験経験のある方は、このページの各リンク先もチェックしてみて下さい。
例えば、このページの冒頭の「§1 労災保険法の目的、趣旨」の個所で、第12条の8第2項という規定が登場しています。この規定は、業務災害に関する保険給付の支給要件について一般的に定めたものであり、重要です。その解説については、上記第12条の8第2項のすぐあとに「(後にこちらで学習します)」というリンクをつけています。この「こちら」のリンク先をしばらく読んで頂くことで、あらかじめ重要知識を概観しておくことができ、また、この「第12条の8第2項」の下部に掲載しています【学校法人専修大学事件=最判平成27年6月8日】の判決内容も理解しやすくなります。
なお、目的条文(第1条)については、平成22年度の選択式で出題されていますが、そろそろ再出題の可能性がある時期に入ってきたと思います。
学習の最終段階では、入念にキーワードをチェックすることが必要ですが、学習の初期段階でもなじんでおいて下さい。
(Ⅱ)主体
主体については、大別して、保険者と適用労働者について学習します。
1 保険者
保険者については、こちらのページです。
「事務の所轄」(こちら以下)は、労災保険法の総まとめ的な事項になりますので(かなり細かい事項です)、全体を学習してから再チェックしてみて下さい。
本文の各所においても、このページの「事務の所轄」についてリンクしていますので、各所においてリンク先であるこのページの関連知識をチェックして頂くことが可能です。
なお、労災保険法でも、今年度版からは、基本的にすべての条文にリンクをつけています(今後、他の労働法でも同様にリンク付けをします)。本文の説明だけではよくわからないようなときに、リンク先の条文をチェックして頂けるようになっています。
ただし、試験対策上は不要な条文についてもリンクをつけている点は、ご注意下さい。
基本的には、条文のリンクはクリックして頂く必要はありません。
大まかな目安ですと、施行規則や施行令といった政省令については、条文を読んで頂く必要がないことが多いです。
対して、法律(ここでは、労災保険法)上の条文については、基本的には読んで頂くことになります。条文のリンクをその都度クリックされる必要はありませんが、法律条文を記載している個所になりましたら、不要と記載がある法律条文は除いて、ざっと一読して下さい。
選択式で出題対象となるような条文(後に触れます通勤災害に関する条文などであり、このメールやサイト上において重要である旨に言及することが多いです)については、最終的に熟読が必要になります。
2 適用労働者
(1)事業
労災保険法は、労働者を使用する事業を「適用事業」としており(第3条第1項)、労働者を使用する事業については、原則として、労災保険法が強制適用されます。この例外が、暫定任意適用事業です。
換言しますと、事業は、大別して、強制適用事業(労災保険法が当然に協定適用される事業)と暫定任意適用事業(労働者を使用する事業であっても労災保険法が強制適用されない事業)に分かれます(事業の体系はこちら)。
こちらのページで、この「事業」について学習します。主に、暫定任意適用事業に関する知識が多くなっています。
この労災保険の暫定任意適用事業については、条文がわかりにくいため、あまり条文を読まないで結構です。どのような事業が暫定任意適用事業になるのかという「要件」の結論(こちら)を押さえて下さい。
上記ページの次のページでは、「暫定任意適用事業の保険関係の成立と消滅」についてもまとめています(通常は、徴収法で学習するのですが、まずはこちらで見ています)。
最終的に、こちらの表を覚えることができれば、この問題に関する学習はほぼ完成です。この表の知識を覚えるという観点から、本文をお読み下さい。
手続に関する問題は、徴収法で学習します。
(2)適用労働者
労災保険法の適用の対象となる労働者(適用労働者。こちら)は、労働基準法第9条に規定する「労働者」のことと解されています。そこで、基本的に、労基法で学習しました労働者の知識を援用できます。
派遣や出向に関する適用関係については、こちらの図を参考にして下さい。
上記の図の下に労働者派遣に係る労災保険法の適用関係等に関する重要な通達を掲載していますが(選択式からの出題もあり、頻出です)、かなり長文であり、読むのにとても時間を要しますので、スキマ時間でもご利用下さい。
なお、平成28年度の択一式試験では、適用労働者に関して1問出題されましたが、今回は、適用除外について1問出題されました。適用除外(こちら以下)については、要所を記憶します。
以上で、主体について終わります。
(Ⅲ)客体
客体については、業務災害・通勤災害の認定と給付基礎日額が重要です。
1 業務災害の認定
(1)認定方法
業務災害の認定(こちら以下)については、最近の択一式では、1問出題されるようになっています(通勤災害の認定を含むことがあります)。題材は、実務で問題になった事案です。出題されそうな主要な例については、当サイト中でも、実務書から事案と結論を紹介しています。
業務災害の認定の考え方自体は、難しいため、ほどほどにして頂き、試験対策としては、事案とその事案においてどのような結論が取られたかのかを押さえる程度にします。
ここでは、念のため、若干、理屈面に触れておきます(読み流しで結構です)。〔以下、省略。〕
(2)歓送迎会終了後の送迎行為の業務遂行性
次に、近時の判例として、歓送迎会終了後の送迎行為の業務遂行性について判断しました【最判平成28年7月8日=行橋労基署長事件】があります(こちら)。
事案についての判断が中心の判示であり、抽象的・一般的なルールを示した判示ではなく、その点では、最重要判例とまではいきませんが、本試験前までには、判旨の赤字部分を一度チェックしておいて下さい。
(3)業務上の疾病
次の問題は、業務上の疾病です(こちら以下)。
ここは、後掲の長文の認定基準が発出されており、かなり学習が大変な個所なのですが、選択式に数回出題されている重要個所であり、長時間労働等が問題になる昨今、引き続き注意が必要です。
業務上の疾病とは、業務に起因する疾病であり、災害性の疾病と職業性の疾病(職業病)があります。
まず、業務上の疾病の範囲については、労働基準法関係で規定されていることに注意が必要です(こちら以下)。
次に、「過重負荷による脳・心臓疾患」及び「心理的負荷による精神障害」については、それぞれ「認定基準」があり、ここからの出題が多いです。
過去問で出題された個所に注意しながら、それぞれの認定基準を読んで頂く必要があります(後掲の認定基準のあとで、過去問を掲載しています)。
かなりボリュームがありますので、スキマ時間などを利用して頂き、ちょろちょろと進めて頂いた方がよさそうです。
この認定基準は、サイト上では、次の個所で掲載しています。
・「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準」 【平成13.12.12基発第1063号】=こちら以下。
・「心理的負荷による精神障害の認定基準」【平成23.12.26基発第1226号第1号】=こちら以下
以上、業務災害の認定に関する問題でした。
2 通勤災害の認定
次に、通勤災害です(こちら以下)。
通勤災害の体系は、こちらです。
(1)通勤災害の要件
通勤災害にあたるかどうかも、業務災害の場合とパラレルに考えて、通勤遂行性(「通勤」にあたること。通勤とは、労働者が、就業に関し、一定の移動を、合理的な経路又は方法により行うことです)と通勤起因性(当該通勤と傷病等との間に相当因果関係があること)により判断します。
ここは、第7条第2項をベースにして、知識を整理して下さい。こちらのようになります。
後は、個々の細かい知識をチェックしていきます。ここも情報量が多いですが、出題が多いということです。
(2)逸脱・中断
逸脱・中断(こちら)も、重要です。
大きく、原則と例外に分けて整理しています。
第7条第3項と例外について定めた施行規則第8条をベースに知識を整理して下さい。
3 給付基礎日額
客体の最後は、給付基礎日額です(こちら以下)。
給付基礎日額とは、労災保険の現金給付の額の算定基礎となる額のことです。体系図は、こちら です。
この給付基礎日額については、効率的に記憶することがメインです。まずは、市販本をベースに学習して頂き、わかりにくいような個所について当サイトを参照して頂く形でも結構です。
ただし、平成25年度の選択式において、年齢階層別の最低・最高限度額について、恐ろしい問題が出題されました。受験生サイドのほぼ誰も知らない問題が出題されたといってよく、鉛筆転がしするほかないような出題です。受験生の平均点は1.5点だったそうで、2点の救済措置になりました。しかし、1点救済でも足りないくらいです。平均点が1.5点というのは、その程度知っている知識があったというのではなく、たまたま1か所か2か所偶然に正解したケースが多かったということだと思います。
スライド制や年齢階層別の最低・最高限度額については、こちらのまとめの表もご参照下さい。
以上、今回の更新範囲のポイントでした。
次に、年金2法の年金額の改定関する改正についてです。
二 年金額の改定に関する改正
年金2法(国年法、厚年法)における年金額の改定に関する改正事項について、サイト上の改訂作業が終了しました。
実際の改正事項は、国年法では、こちら以下で登場します。
以下、国年法の改定率の改定を例に説明しますが、厚年法の再評価率の改定の場合も基本的には同様になります。
平成30年4月1日施行の改正(持続可能性向上法=平成28年改正法(特定4分の3未満短時間労働者に関する改正を定めた改正法と同じです))により、年金2法における年金額の改定について、キャリーオーバーの制度が新設されました。
この制度の詳細については、国年法のこちら以下で紹介しています。こちらの図とその下部の説明により大まかなイメージを作って頂けます。
現在は、調整期間であり、いわゆるマクロ経済スライドという仕組みにより、法改正によらずに政令により年金の給付水準を自動調整しています。
即ち、年金額の改定において、賃金や物価の変動をそのまま年金額に反映するのではなく、被保険者数の減少(保険料の減少)や平均余命の伸び(給付費の増加)という年金財政にとってマイナスになる要素も年金額に反映させることにより、保険料の負担の範囲内で給付が行えるように給付水準を調整し、財政の均衡を図っています(要するに、年金額が高くなり過ぎないように調整しています)。
ただ、このマクロ経済スライドが適用されるのは、基本的には、名目手取り賃金変動率や物価変動率がプラスになった場合であり、名目手取り賃金変動率又は物価変動率がマイナスになった場合には、マクロ経済スライドは基本的に適用されません。
また、名目手取り賃金変動率や物価変動率がプラスになり、マクロ経済スライドの適用対象となる場合であっても、賃金や物価の伸びが小さく、マクロ経済スライドを適用すると名目額(前年度の名目上の年金額)が下がってしまう場合には、マクロ経済スライドの適用は名目額を下限とする(前年度の年金額を維持する)という制約があります(これを「名目下限措置」といいます)。
(ちなみに、平成17年度からマクロ経済スライドが適用可能となったのですが、特例(物価スライド特例措置)が実施されていたこと、その特例の廃止後も、賃金・物価が上昇せず、上記の制約を受けたことから、マクロ経済スライドはこれまで平成27年度に一度実施されたに過ぎません。)
このように賃金や物価が上昇しないデフレ期においてはマクロ経済スライドを適用することができず、年金額が高止まりのままになる可能性があり、将来の若年者世代の負担が重くなります。
そこで、今回、キャリーオーバーという制度を新設しました。
これは、上記の「名目下限措置」は維持しつつ、景気後退局面においてマクロ経済スライドによる調整が行われなかった分(未調整分)について、のちの景気回復局面(年金額が増額したとき)において、当該未調整分を繰り越して減額調整(キャリーオーバー)するという仕組みです。
具体的には、「調整率」に、さらに前年度の「特別調整率」(「基準年度以後改定率」の改定においては、前年度の「基準年度以後特別調整率」といいます)を乗じることによって調整します。
この「前年度の特別調整率(又は基準年度以後特別調整率)」を乗じることにより、前年度までの未調整分を翌年度に繰り越して、名目下限措置に抵触しない範囲で、年金額を追加調整するというのが、キャリーオーバーの制度です。
試験対策上は、概要を把握したうえで、条文のキーワードを押さえる必要があります。
概要については本文をお読み頂く必要がありますが、その際、こちらの図を参考にして下さい。用語について、こちら以下で説明しています。
最終的には、次の条文のキーワードが空欄として抜かれたときに解答できるようにする必要があります。基準年度前改定率の場合は第27条の4 、基準年度以後改定率の場合は第27条の5です。
「名目手取り賃金変動率」、「物価変動率」、「調整率」といった従来からのキーワードに加えて、「前年度の特別調整率」(前年度の基準年度以後特別調整率)といったキーワードを押さえます。
ただし、実務上は、このキャリーオーバーの制度はさほど重要でないといえます。なぜなら、名目下限措置は維持されることから、前年度までの未調整分を算入して実際に当制度を適用して年金額を引き下げられるような賃金・物価の大幅な上昇は、当面、見込めそうにないためです。キャリーオーバーの制度が実際に適用されるようなことは稀といえるでしょう。
しかし、もちろん、試験対策上は、重要であり、来年の選択式でも要注意です。
なお、年金額の改定については、さらに、平成33年4月1日施行の改正があり、こちらの方は実務上も非常に影響を及ぼします。
こちらは、マクロ経済スライドの改正ではなく、年金額の改定の賃金・物価スライドの仕組み自体を修正する改正です。
大雑把にいいますと、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り、後者がマイナスである場合は、今までは、賃金に合わせて年金額を減額改定することができなかったのですが(物価を基準に引き下げるか、改定なしとしていました)、この改正により、かかる場合において、物価より低い賃金を基準に減額改定することに改められるものです。
これにより、現在に比べ、年金額の減額が可能になります。
キャリーオーバーの制度と共に、給付水準を現役世代の負担能力に見合ったものにして、将来の若年者世代の負担の軽減を図る趣旨です。
この平成33年度の改正については、来年の試験対象ではありませんので、覚えないで下さい。
以上、年金額の改定に関する概要でした。
なお、今年度の一般常識のテキストの作成について検討していたのですが、今年度は、白書対策を追加することとしました。どうぞご期待下さい。
では、次回は、労災保険法の保険給付に入ります。
・平成29年10月28日(土曜日)
今回は、労基法の最終回の更新です。労災保険法の初回も更新します。その他、国年法・厚年法の受給資格期間の10年への短縮の改正に関する改訂や厚生労働白書の公表のお知らせがあります。
一 労基法の第6回目(最終回)の更新
労基法は、今回で終了です。就業規則から最後までになります。
・更新開始ページ=就業規則のこちらのページから。
(一)就業規則
就業規則は出題が多く、重要です。労基法か労働一般(一般常識)のどちらか又は両者で出題されます。
直近の平成29年度の試験では、労基法からは出題されませんでしたが、労働一般の問1で2肢出題されました(両肢とも、理論的な問題であり、難しいです。一方は、最新の最高裁判例からの出題でした)。
就業規則については、以前は、労基法ですべて規定されていました。しかし、労働契約法の施行(平成20年3月1日施行)後は、主に就業規則の「効力」に関する規定が労働契約法で定められたため、現在は、就業規則に関する規定は労基法と労働契約法の両者で規定されているという少しわかりにくい状態になっています。
当サイトでは、この就業規則の問題は、すべて労基法で学習します。
この就業規則の全体像は、こちらの図のようになっています。
大まかには、この図の1 の「作成」については、労基法で定められ、2「効力」の〔Ⅰ〕「就業規則と他の法源との関係」については、労働契約法で定められています。
つまり、ごく大まかには、就業規則の「効力」(効果といっても同義です)の主要問題については、労働契約法で定められています。
労基法では、基本的には、罰則の適用や行政上の監督の対象とするのにふさわしい事項(例えば、就業規則の作成義務、意見聴取・届出・周知義務等)が定められ、そうでない事項が労働契約法で定められているということです。
このように、労基法と労働契約法では、主に罰則の適用の有無という大きな違いがあることは押さえたうえで、就業規則の全体を分断せずに学習する必要があります(就業規則の作成面は労基法で学習し、その作成された就業規則の効力面は、あとで労働一般で学習するというのは、作成面(届出義務等)と効力面が関係する問題もあることもあって、あまり効率が良いとはいえません。実務上も、就業規則の問題全体を見通せるようにしておく必要があるでしょう)。
ちなみに、就業規則について難しい問題が多いのは、労働契約法で学習します就業規則の「効力」に関する問題です。
では、以下、就業規則のポイントについて、時系列に沿って順に見ていきます。
Ⅰ 発生
まず、就業規則の発生に関する問題として、「作成」について学習します。
大きくは、次の(1)~(3)の3つの事項が問題になります。
1 作成
(1)主体=作成義務
就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する使用者が作成義務を負います。
この作成義務に関する論点として、「常時10人未満」の労働者を使用する使用者(就業規則の作成義務はありません)が就業規則(就業規則に準ずるものと表現されることもあります)を作成した場合に、労基法(及び労働契約法)の就業規則に関するいかなる規定が適用されるのかが問題となります(こちら以下です)。
この点は、それぞれの規定の趣旨、文言等を考慮して規定ごとに検討する必要があると思いますが、結論的には、「常時10人未満」の労働者を使用する使用者に適用されない規定の方が少ないですから(届出義務、意見聴取義務等)、こちらを押さえ、その他の規定は、基本的に、すべての使用者に適用されると押さえておきます。
就業規則の全体を学習してからでないとわかりにくい問題ですので、あとで検討してみて下さい。
なお、この問題については、労基法の【平成27年問7A】で出題されました。
(2)客体=記載事項
次に、就業規則の記載事項が問題になります(こちら以下)。
すでに学習しました第15条の労働条件の明示事項と比較しながら覚えます。
(3)手続
手続については、意見聴取(第90条)、届出(第89条)及び周知(第106条第1項)という3つが問題になります(こちら以下)。
なお、これらの手続に違反した就業規則の効力が問題になります。例えば、就業規則を作成したが届出を怠っていた場合は、当該就業規則の効力は発生しないのかです(こちら以下)。
(この点は、「変更」についてですが、今回の労働一般の【問1C】で、就業規則の変更において、届出・周知の義務に違反した場合の当該変更の効力が問われています(こちら以下)。)
この問題についても、学説で争いがあるのですが、一般には、実質的な周知があることが就業規則(の作成や変更)の効力発生要件になると解されています。
つまり、労基法の規定する意見聴取(第90条)や届出(第89条)義務に違反があっても、就業規則の効力は発生するとされています。
実質的な周知(=労働者が知ろうと思えばいつでも知りうる状態にしておくこと)がなされていない場合は、就業規則の効力は発生しないと解されます(【フジ興産事件=最判平成15.10.10】も同旨です)。
上記の労基法第106条第1項が定める周知(第106条第1項。所定の3つの方法による周知に限定されています)までは必要はなく、実質的な周知で足ります。
これらの理由については、要するに、意見聴取や届出を就業規則の効力発生要件としている規定がないこと、これらを効力発生要件とすると、かえって労働者に不利益になることもあること(例えば、労働者に有利な就業規則の規定が定められている場合に、使用者が届出をしていないからといって当該規定の効力が生じないというのは不都合があります)、他方で、労働者が就業規則の存在すら把握できないような場合にも当該規則に拘束力を認めることは労働者に不測の不利益を及ぼしかねないことなどを挙げることができます。
また、労働契約法の制定の際、当初は、意見聴取、届出、周知を就業規則の効力発生要件と定める方向だったのですが、結局、規定化されなかった(現在の労働契約法第11条の規定に留められた)という沿革も根拠となります。
以上が、作成に関する今回の本試験問題を中心としたポイントでした。その他の事項については、当サイトを確認して下さい。
なお、就業規則の「変更」の場合も、以上の「作成」の場合とほぼ同様に考えることができます。
次に、効力の問題です。
Ⅱ 効力
就業規則の効力については、大別しますと、(Ⅰ)「就業規則と他の法源との関係の問題」と(Ⅱ)「減給の制裁の制限」の問題があります。前者は労働契約法で定められ、後者は労基法で定められています。
後者も重要ですが、これはサイト本文を読んで頂くとして、ここでは前者について概要に触れておきます。
「就業規則と他の法源との関係の問題」は、大きくは、〔1〕「就業規則の最低基準効」(労働契約法第12条、労基法第93条)の問題と〔2)「就業規則の労働契約規律効」の問題に分かれます。
〔1〕就業規則の最低基準効(こちら以下)
◆就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする〔=規範的効力〕。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による〔=直律的効力〕(労働契約法第12条)。
以上の効力を就業規則の最低基準効といいます。就業規則が、当該事業場の労働条件の最低基準を確保するという意味合いです。
(ちなみに、この就業規則の「最低基準効」という表現は、学説で一般に使用されるものですが、【労基法 平成27年問7B】でも使用されています。)
〔2〕就業規則の労働契約規律効
また、就業規則が労働契約の内容を規律する効力が認められています(これを、就業規則の労働契約規律効とか契約内容規律効ということがあります)。
この労働契約規律効は、〈1〉労働契約の締結(成立)段階の問題(労働契約法第7条)と〈2〉変更段階の問題(労働契約法第8条~第11条。中心は第10条)に分かれます。
労働契約法の制定前は、この労働契約規律効について規定がなかったため、使用者が一方的に定める就業規則がなぜ労働者を拘束するのか、大きな問題でした。
【秋北バス事件=最大判昭和43.12.25】判決以後、判例法理が形成されていき、この判例法理を整理したのが、上記〈2〉の変更段階の諸規定です。
〈1〉労働契約の締結(成立)段階の問題 ➡ 労働契約法第7条
まず、労働契約の締結段階における就業規則の労働契約規律効を定めた労働契約法第7条の概要です。
同条は、労働契約を締結する場合において、就業規則が合理的な労働条件を定めており(合理性)、かつ、労働者に周知されていた場合(周知性)には、労働契約の内容は、原則として、当該就業規則で定める労働条件によるとするものです。
つまり、労働契約の締結段階において、就業規則で定める労働条件が労働契約の内容になる(従って、当該労働者を拘束する)ためには、①労働条件の合理性(内容の合理性)と②就業規則の周知性が要件となるということです。
例えば、新入社員が入社してくる際に、個別の新入社員と詳細な労働契約の内容について取り決めをしていなくても、就業規則において、①合理的な労働条件が定められており、かつ、②当該就業規則が周知されている場合(知ろうと思えばいつでも知りうる状態にしておくことで足ります)は、その新入社員の労働契約の内容は、原則として、当該就業規則の規定により決定されます。
〈2〉労働契約の変更段階における就業規則の労働契約規律効 ➡ 中心は、労働契約法第9条及び第10条
次に、就業規則を労働者に不利益に変更する場合が問題になります。
前提として、次の1及び2の合意の原則が定められています。
1 労働契約法第8条(こちら)
◆労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を「変更」することができます(労働契約法第8条)。
2 労働契約法第9条(こちら)
◆「就業規則」による労働条件の「不利益変更」は、労働者との合意がない限り、原則として、認められません(労働契約法第9条)。
以上の労働契約法第8条及び第9条(直接的には第9条です)の例外として、労働者との合意なく就業規則を不利益変更する場合の要件・効果について定めた規定が、後述の労働契約法第10条です。
ちなみに、今回の労働一般の【問1B】で出題されたのは、この労働契約法第9条(第8条)の問題です。合意により就業規則の不利益変更が可能かという問題であり(こちら)、【山梨県民信用組合事件=最判平成28.2.19】が、労使の合意により、就業規則を不利益に変更することも認められるという結論をとったものです。
上記の労働契約法第9条を反対解釈するなら、就業規則による労働条件の不利益変更は、労働者との合意があれば許容されると解するのが自然です。
ただ、労使間の力の格差から、実際上、労働者が同意を強いられるような危険性があること等を考慮して、学説では、就業規則の不利益変更に労働者が同意している場合(合意がある場合)であっても、なおも、次に見ます労働契約法第10条を適用させて、当該就業規則の変更の合理性が必要になるといった解釈をする立場が少なくありませんでした。
この点、前記最高裁は、労働者との合意による就業規則の不利益変更自体は認めた上で、当該合意(同意)が、「労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点」からも判断すべきとし、合意(同意)を慎重に認定するという立場を採ったものと解されます。
3 労働契約法第10条(こちら)
労働者の同意のない就業規則の不利益変更の要件と効果について定めた労働契約法第10条の概要は、次の通りです。
◆使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が合理的なものであるときは、原則として(変更されない旨の合意がない限り)、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとします。
つまり、就業規則の不利益変更の合理性と変更後の就業規則の周知性を要件として、労働者の同意のない就業規則の不利益変更も、原則として、その効力(労働者に対する拘束力)が認められるということです。
以上、就業規則の効力に関する労働契約法の一連の規定の概要でした。
なお、前記の〈2〉「労働契約の『変更』段階における就業規則の労働契約規律効」(労働契約法第9条、第10条等)は、体系上は、就業規則の「変更」に関する問題ですが、〈1〉「労働契約の『締結(成立)』段階の問題」(労働契約法第7条)と併せて一連のものとして押さえた方がわかりやすいため、本件の「発生」に関する問題の中で整理しています。
就業規則については、やや理屈っぽい出題がなされることがあるため、以上の概要と各条文を押さえておかれると安心です。
詳しくは、当サイトの本文をお読み頂くとよろしいですが、ただ、就業規則の個所は、年休等のようには、細かく当サイトをお読み頂かなくても大丈夫だと思います(効力の個所で、判例をいくつか紹介していますが、当該事案に当てはめている判示の個所は、読まなくて結構です。抽象的なルールについて判示した部分をざっと読んで頂ければ足ります)。
以上、就業規則でした。
(二)その他
今回の更新において、就業規則以外は、労基法の雑則となります。ただ、重要な規定・制度があります。
1 寄宿舎
寄宿舎は、出題が少ないのですが、平成21年に1問(5肢)が出題されており、結構、出題対象とできる事項がありますので、要所は押さえる必要があります。
サイトの赤字や太字部分をチェックして下さい。
寄宿舎に関する規定の全体は、こちらです。
このうち、〔2〕の「寄宿舎生活の秩序」として、「寄宿舎規則の作成等」の問題があります。
この寄宿舎規則の全体像はこちらになり、先ほどの就業規則の全体像と枠組みはほぼパラレルになります。
上記のリンク先の図の下に「寄宿舎規則の記載事項」のゴロ合わせがありますので、ご利用下さい。
2 法令等の周知義務(第106条)
法令等の周知義務(こちら)は、各所からリンクしていることが多い規定ですが(先程の就業規則でも関係しました)、出題も多く、チェックが必要です。
3 労働者名簿、賃金台帳
労働者名簿、賃金台帳(こちら以下)は、平成29年1月策定の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の末尾の方(こちら)でも言及されていますので、過去問で出題された個所に注意して、当サイトを十分読んで下さい。
4 記録の保存
記録の保存(こちら)も、重要です。保存期間と起算日がポイントです。
記録の保存については、今後、各科目でも登場してきます。前記リンク先の下部に横断整理の表があります。
5 付加金
付加金(こちら)も、重要です。付加金の趣旨について触れた【最決平成27.5.19】の判示を掲載していますので、チェックが必要です。
6 消滅時効
消滅時効(こちら)も、重要です。これも、今後、各法で登場してきます。なお、消滅時効の制度の趣旨等、前提知識については、労災保険法で紹介します。
7 罰則
罰則(こちら)については、今回の試験で、最も重い罰則が定められている「強制労働」について出題されました。さしあたり、当サイトのゴロ合わせ程度は押さえておいて下さい。
8 災害補償
災害補償(こちら以下)は、基本的に、労災保険法の学習でカバーされますので、読まないで結構です(労災保険法の学習の際に労基法の災害補償の該当個所をリンクします)。
ただし、災害補償のページ(前記リンク先)の冒頭から「療養補償(第75条)」の手前あたりまで(図が3つ掲載されています)までは、災害補償制度の趣旨等を記載していますので、一応、お読み頂いた方がよろしいです。
以上で、労基法を終了します。
二 労災保険法の初回の更新
労災保険法の初回の更新もしておきます。スペースの関係から、内容については、次回、説明することとし、今回は、更新個所のみをご案内します。
・更新開始ページ=労災保険法の冒頭から。
・更新終了ページ=「適用除外」のこちらのページの最後まで。
「序論」と第1編の「主体」の更新となります。
三 国年法・厚年法の改正
国年法と厚年法の改正について、受給資格期間の10年への短縮の関係は、サイト上の改訂がいったん終わりました。
受給資格期間が10年か25年かについてまとめた表は、国年法のこちらです。
最終的には、この表を参考に10年に短縮されるケース・25年のケースをチェックして下さい(年金法の学習の最終段階で結構です)。
すでにかなりの長文になっていますので、この受給資格期間の10年への短縮の改正の概要等につきましては、ここでは省略します。送信しましたメールをご覧下さい。
四 厚生労働白書の公表
平成29年度版の厚生労働白書が公表されました(10月24日公表)。
・概要版=こちら(14頁)
・全体版=こちら(457頁)
全体版の方は、ページ数は多いのですが、図表が多く、また、内容的にそう難しいわけではないため、すらすらと読めると思います。スキマ時間等をご利用頂き、ちょこちょこと読んでみて下さい。
では、今回はこれにて終了です。次回は、労災保険法の第2回目の更新です。
・平成29年10月22日(日曜)
さて、今回は、労基法の第5回目の更新です。また、厚年法のインデックスが完成しましたので、ご紹介します。その他、若干、改正事項があります。
一 労基法の第5回目の更新
今回は、年次有給休暇と特殊な主体(年少者、妊産婦等、技能者)を更新します。労基法は、次回で更新が終了です。
・更新開始ページ=「年次有給休暇」の初めのページのこちらから。
・更新終了ページ=「技能者」のこちらのページの最後まで。
就業規則の手前までの更新となります。
(一)年次有給休暇
年次有給休暇(以下、「年休」といいます)は、労基法の試験対策上、最も重要な個所です。
なぜなら、選択式で非常に出題率が高いからです。平成20年度以後の10回の選択式試験の内、5回、年休の出題があります。
平成22年度、23年度、26年度、27年度、そして直近の29年度です。
とりわけ、平成26年度以後に出題率が高く、なんとこの4年度のうち、3回も年休が選択式の出題対象となっています。
なお、上記の5回の出題は、すべて判例からです。
従いまして、年休は、判例を中心に十分学習しておく必要があるという結論になります。年休については、当サイトをすべてお読み頂いた方がよいです。
ちなみに、おそらく来年国会に再提出されるであろう「働き方改革」による労基法の改正案では、使用者の時季指定義務が創設されます(なお、この制度は、来年の試験対象ではありません。これまでも、何度か、「働き方改革」による改正案をご紹介していますが、これらはいずれも来年の試験対象ではありませんので、覚える必要はありません。ただし、改正予定の個所が出題されることが少なくなく(そのためにご紹介しています)、改正予定個所やその周辺は、少し力を入れて学習されると安心です)。
この使用者の時季指定義務の制度は、年休の取得を促進するため、年次有給休暇の日数が10日以上の労働者に対して、5日について、使用者が1年以内の期間に時季を定めることにより与えなければならないものとするものです(つまり、5日については使用者が年休の時季指定義務を負います)。
これにより、現在の年休の時季の決定に関する2制度(労働者の時季指定権、計画的付与)に新たな制度が追加されることになり、年休制度の大改正ということになります。
そこで、時季指定権及び計画的付与については、(従来から重要でしたが)来年の試験対策としても、引き続き重要になります。
以下、年休のポイントです。
1 年休の法的性質
年休についても、「発生 → 変更 → 消滅」という時系列により整理しますが、まず、「発生」において、大きく、「年休権の発生」と「年休の時季の特定(狭義では、年休権の行使)」という2つの問題に分けて考えるのがポイントです。
まず、年休権(=年次有給休暇の権利のこと)は、法定の要件(一定期間の継続勤務と一定以上の出勤率)を満たした場合に当然に発生する権利であると解されています(労働者が請求することや使用者が承認することは、年休権の発生の要件ではありません)=「年休権の発生」の問題。
要するに、法定の要件を満たしますと、例えば、10日などの一定日数の年休を取得できる権利が当然に発生するということです。
次に、発生した年休権について、具体的に年休を取得する時季を決定するのが「年休の時季の特定(狭義の年休権の行使)」の問題であり、この「年休の時季の特定」については、労働者の時季指定権の行使による場合と、労使協定に基づく計画的付与による場合があります。
つまり、年休権が発生しても、そのままでは取得する年休の時季が決定されたわけでなく(従って、労働義務の消滅は生じません)、さらに年休の取得時季を特定する必要があるということです。
以上は、サイトではこちら以下でより詳しく説明しています。
このように、年休の発生に関する問題は、大きく、「年休権の発生」と「年休の時季の特定」という2つの問題に分けて整理できます。
2 年休権の発生の問題
年休権の発生の問題については、まず、年休権の発生の「要件」を押さえます。
年休権が発生するためには、次の①及び②のいずれの要件も満たすことが必要です。
①一定期間、継続勤務したこと。
②算定対象期間における全労働日の8割以上出勤したこと(出勤率)。
これらについて、かなり多くの論点があります。
このうち、上記②の「全労働日」や「出勤(日)」の意義について、近時の最高裁判決(【八千代交通事件=最判平成25年6月6日】)が重要な判示をしています。
この判決により、「全労働日に算入されない日」(こちら)や「出勤日に算入される日」(こちら)が、それぞれのリンク先の図のように整理されることになりました。
この年休権の要件を満たしますと、一定の日数(付与日数)の年休権が発生する等の効果が生じます(サイトはこちら以下です)。
なお、通常の年休の例外的制度に当たるものとして、時間単位年休や比例付与の制度があります。
時間単位年休については、こちらで見ています。時間単位年休も、出題が多く、知識を仕入れる必要があります。比例付与は、こちらです。
3 年休の時季の特定の問題
次に、年休の時季の特定として、時季指定権(及び時季変更権)と計画的付与について学習します。こちら以下です。
この「時季指定権及び時季変更権」が判例の多い個所であり、選択式の主な出題対象となっています。
当サイトでも、かなり判例を掲載しており、お読み頂くのに時間がかかると思いますが、内容的には似通ったものが多く、そう難しくはないと思います。
4 年休の時季の特定の効果
年休の時季が特定されますと、年休の本来の効果である当該特定された日(時間)における有給での労働義務の消滅といった効果が発生します。
年休中の賃金の問題は、こちらです。
5 年休の自由利用の原則
時季指定権以外で判例が多い個所として、年休の自由利用の原則があります。こちら以下です。ここも、判例をチェックして下さい。
6 白書
なお、年休についても、白書の数字を掲載しておきました(こちら。来年の春に最新の数字が公表されますので、その際に改訂しますが、そう大きな変動はないはずです)。
7 労働時間等設定改善指針
また、労働時間等設定改善指針が改正され(すでに、公民権の行使の保障の個所で紹介しました)、年休についても指針が追加されています。
こちら以下 の最後の下線部分が追加されました。
転職者に不利にならないように年休を取得させること、また、平成30年度から「キッズウィーク」が実施されることから、子供の休校日にあわせて年休を取得しやすくすること等が考慮されています。
以上、年休でした。次に、特殊な主体です。
(二)年少者
年少者(こちら以下)は、慣れるまで、結構ややこしく、学習しにくいと思います。
労基法のこれまでの学習の応用問題という側面があるためです。
つまり、年少者については、これまで学習してきました労基法のルール(原則的なものと例外的なものがあります)のどれが適用されて、どれが適用されない(あるいは修正され適用される)のかという点が問題になるということです。
年少者を学習していてつまずくような場合は、まずは、今までの労基法のルールを再度チェックしてみて下さい。
年少者について、当サイトでは、「労働契約」と「労働条件」に大別して整理しています(こちらの図を参考)。
ある程度、年少者の内容について理解された後は、要領よく暗記する作業が中心になります。例えば、最低年齢のこちらの表などを記憶する必要があります。
年少者の「労働条件」(こちら以下)は、結構、ややこしいです。
ポイントは、年少者については、「労働時間、休憩及び休日」に関する「原則的な規制」が厳格に適用されるということです。
例えば、1週間40時間、1日8時間の法定労働時間の制度(第32条)が厳格に適用され、36協定による時間外・休日労働(例外的な規制です)は認められません。
ただし、年少者にも、労働時間、休憩及び休日に関する「例外的な規制」が適用される場合があり、例えば、臨時の必要がある場合の時間外・休日労働(第33条)は認められます。
特に出題が多いのが、年少者についても、「労使協定の締結による休憩の一斉付与の原則の例外」の規定(第34条第2項)が適用されること、第41条の「労働時間、休憩及び休日の規定の適用除外者(管理監督者など)」の規定も適用されることです。
過去問の検討が必要になります。
その他、年少者については、原則として、深夜労働が禁止されており、例外として深夜労働が認められる場合があります。この年少者の深夜労働の問題も重要です(こちら以下)。
(三)妊産婦等
妊産婦等(こちら以下)についても、直近の平成29年度の他、27年度にも選択式で出題されていますので(どちらもやさしい問題でしたが)、注意が必要です。
ただ、ここは、1冊本程度の知識で足りると思います。
以上、今回の労基法の更新内容でした。次回は、労基法の最終回です。就業規則が中心になります(なお、すでに労基法の改訂は終了していますので、最後までお読み頂けます)。
二 厚年法のインデックスの改正
厚年法の本試験問題のインデックスが完成しました。こちらです。
(一)離婚時の年金分割
前掲のリンク先の下部で総評を記載しているのですが、今回の出題の特徴のひとつは、離婚時の年金分割(離婚分割(合意分割)と3号分割)の出題が多かったことが挙げられます。
ついに選択式で出題されました。しかも、3つも出題してきました。択一式でも、問6で1問出題されています。
これらの出題内容は、簡単ではなかったです。
当サイトでも、離婚時の年金分割はかなりマークしており(メールでも、何度か要注意である旨はお伝えしていました)、直前対策講座でも結構取りあげていたのですが、こちらの予想していたよりも、難しい内容が出題されてしまいました。
ただし、実際は、過去問で出題された問題が結構あり、過去問をみっちりマスターされていた方は、択一式も選択式もカバーすることができました。
離婚時の年金分割が出題対象となってから10年を超え、過去問も増えてきましたので、今回の試験のように、過去問と重複する出題がなされるようになってきました(ネタが尽きかけてきたということです)。
まずは、過去問で出題されている知識を中心に当サイトをチェックして頂き、そのうえで、過去問未出の過去問周辺知識も押さえて頂くと安心です。
(二)被用者年金一元化
また、今回の択一式試験では、被用者年金一元化法による改正事項も結構出題されています。一元化法による改正をメインとする出題だけで6肢ありますが、関連する出題を含めますともう少し多いです。
一元化法による改正事項が初めて出題対象となった平成28年度の試験では、2以上の種別の期間ごとに処理するのか、どの実施機関が支給に関する事務を行うのかという出題がメインでしたが、今回もこの問題はやはり出題されており、その他に新たな問題が追加されています。
一元化法については、この平成28年度と今回の試験における一元化法関連の問題を十分分析して頂き、同タイプの問題を解けるようにすることが最重要といえます。
(三)短時間労働者に関する改正
短時間労働者に関する改正は、主に健保法に回され、厚年法では、【問4B】(4分の3以上短時間労働者が大学生なら、被保険者とならないか)と【問4D】の2肢の出題でした。
前者の【問4B】は、ややひねった問題です。当サイトでは記載していましたが(厚年法のこちら)、うっかりすると間違えかねない問題です。
要するに、「4分の3基準を満たさない短時間労働者」(4分の3未満短時間労働者)に特有の適用除外事由(厚年法では、第12条第5号のイ~ニ。上記設問の学生とか、週20時間未満等です)と一般の適用除外事由(例えば、臨時に使用される日々雇い入れられる者や季節的業務に使用される者など。厚年法では、第12条第1号~第4号まで)を区別する必要があるということです。
一方、【問4D】においては、任意適用事業所の任意適用の認可(及び任意適用の取消しの認可)の際に何名の同意が必要かが問われています。
この関係で、直接の論点ではないのですが、当該同意を算定する基礎となる労働者(以下、「算定対象」といいます)について、「特定4分の3未満短時間労働者」が含まれないことに触れられていました。
この「算定対象」に「特定4分の3未満短時間労働者」が含まれないことも、平成29年4月1日施行の改正により新設された事項です。当サイトでは、厚年法の短時間労働者のこちらで記載していました。
〔中略〕
以上、少しややこしいですが、さしあたり、厚年法の任意適用事業所の任意適用の認可(及び任意適用の取消しの認可)の「算定対象」には、「特定4分の3未満短時間労働者」は含まない点を押さえておきます。
厚年法のインデックスについてでした。
これにて、平成29年度の本試験問題のインデックスが完了しました。
三 改正
なお、「改正・最新判例」のページを始動させました。こちらです。
この中の、国年法と厚年法の個所で掲載していますのが最新の改正です(10月16日公布、施行)。
厚生労働大臣が、個人番号利用事務を適切かつ円滑に処理するため、一定の者に情報提供を求めることができる旨が施行規則に明記されました。
試験対策上、さほど重要ではなさそうですが、今回の健保法の択一式(【問5C】(健保法のパスワード))で、「事業所の適用情報等の公表」が出題されており(これも、昨年のこのくらいの時期に施行規則が新設されたものでした)、そのうち一読しておかれると良さそうです。
四 国年法・厚年法の改正に関する改訂
国年法と厚年法の改正に関する改訂作業を再開しました。現在、受給資格期間の10年への短縮に関する改正部分は、両法ともにほぼ終わりました。もう少し進みましたら、改訂個所等をお知らせします。
では、次回は、労基法の最終回です。
・平成29年10月13日(金曜)
さて、本試験から1か月半ほど経過し、そろそろ市販のテキストも発売になっているようです。
まだ学習の態勢に乗り切れない方は、まずは、本試験問題とテキストの記載を照らし合わせる作業から開始してみて下さい。当サイトの本試験問題のインデックスもぜひご利用下さい。
1科目に1か月かけるとしますと、もう来年の本試験までにそれほど余裕はないことになります。再始動される場合は、早いに越したことはありません。
今回は、労基法の更新と、国年法等のインデックスの完成のお知らせです。
一 労基法の第4回目の更新
前回は、法定労働時間の総論的個所まで終わりました。今回は、変形労働時間制、みなし労働時間制、休憩・休日、時間外休日労働(36協定等)、割増賃金、第41条該当者といった労働条件の中核部分の更新となります。年次有給休暇の手前までです。
・更新開始開始ページ=変形労働時間制のこちらから。
・更新終了ページ=第41条該当者のこちらのページの最後まで。
今回の更新個所では、いわゆる「働き方改革」による労基法の大改正が予想される事項が含まれています。
この労基法の改正については、今後の政治状況によっては、法案が修正されるようなこともあるかもしれませんが、さしあたり、今回の更新範囲では、次の個所の改正が予定されています(なお、これらは、平成30年度の試験対象ではありませんので、覚える必要はありません。現在は、提出された法案が解散により廃案になった段階です)。
・フレックスタイム制→清算期間が3か月まで延長され、これに付随する改正が行われる予定です。
・企画業務型裁量労働制→対象業務が拡大される予定です。法人向けの議題解決型提案営業等が追加されます。
・特定高度専門業務・裁量労働制(高度プロフェッショナル制度)が創設されます。
・36協定の大改正→限度基準の法定化、限度基準違反の罰則適用など多くの改正が追加されます。
将来の改正事項が出題対象となることが少なくないため、おおよその改正予定個所は把握し、そこを学習する際には力を入れて頂くとよろしいです(ちなみに、この改正法案では、当初は、平成31年4月1日施行が予定されていたのですが(中小事業主に対する1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金等の適用除外は、平成34年4月1日施行)、法案が再提出されて順調に成立したとしても、施行が繰り下げられる可能性がありそうです)。
以下、今回の更新事項についてのポイントです。
(一)変形労働時間制
1 本試験
変形労働時間制(こちら以下)については、今回の択一式では、1か月単位の変形制について、少し応用的な問題が出題されました。【問1A】(1か月単位の変形制における時間外労働)と【問1B】(1か月単位の変形制における休日の振替)です。
このような出題に対応するためには、やはり、当サイトを読んで頂くのががよいと思います。
2 要件等
なお、変形労働時間制とみなし労働時間制に共通するのですが、まずは、基本的な要件を押さえる必要があります。
例えば、平成28年度の選択式の空欄C(こちら)では、企画業務型について要件が出題されています。このような出題は、他のみなし労働時間制や変形制においても可能です。
このような基本的な要件についても、当サイトの整理やゴロ合わせをご参照下さい。
変形制の4種類については、こちらでまとめていますので、ご参照下さい。
3 白書関係
なお、今年度は、変形制とみなし労働時間制について、白書のデーターを掲載しています。変形制はこちら、みなし制はこちらです。
来年の春には最新の数字が出ますので、サイトで掲載していますデーターは参考程度ですが、例えば、「1年単位 ➡ 1か月単位 ➡ フレックス」の順に採用企業割合が減るといったような傾向は、来年も変更ないでしょうから、このような大まかな傾向については押さえておいて問題ありません。
(二)みなし労働時間制
事業場外労働のみなし制は、「一部事業場外労働」の場合に結構ややこしいのですが、試験では、この点は深入りしてきていません。ここは、1冊本程度の知識を押さえて頂き、当サイトは参考程度に知識の補充にご利用下さい。
(三)36協定
前述のように、36協定による時間外・休日労働は、将来の大改正が予定されていますので、とくに「限度基準」を中心に十分な学習が必要です。
36協定については、当サイトをお読み下さい。
(四)割増賃金
割増賃金については、「割増賃金の定額支給等 = 法所定の算定方法に基づかない割増賃金」(こちら以下)で、いくつかの最新の最高裁判例を掲載しています。また、今回、新たに、平成24年の【テックジャパン事件=最判平成24.3.8】も掲載しました。
直近の最新判例である【最判平成29.7.7=医療法人社団Y事件(外科医残業代等請求事件)】では、通達も発出されていますので、お読み下さい。
(五)第41条
第41条(労働時間、休憩、休日に関する規定の適用除外者)の個所は、平成28年度版とほとんど変更がないです。
以上、今回の更新内容でした。次回は、年休に入ります。労基法は、あと2回程度で更新が終わる予定です。
二 国年法、一般常識のインデックスのご紹介
国年法の本試験問題のインデックスが完成しました。
その前に、一般常識の択一式のインデックスをこちらに掲載しておきます。当サイトでテキストを作っているものに限りますが、当サイトの本文へのリンクをご紹介します。
(一)一般常識のインデックス
・【一般常識 問1】
問1の労働契約法の問題については、労基法の中で解説をしています。
A=「使用者」のこちら。
B=就業規則の労働契約法第9条の個所(こちらのかなり下部)。
C=就業規則の労働契約法第11条の個所(こちら)。
D=懲戒処分のこちらのかなり下部。
E=雇止め法理のこちら。
・【問2】
ウ=労働組合法の個所(労働一般のこちら)。
エ=育休法の個所(労働一般のこちら)。
・【問6】
A=国民年金法の不服申立ての個所(国年法のこちら)。
B=国民健康保険法の不服申立ての個所(社会一般のこちら)
D=国民年金法のこちら。
・【問8】
問8は、高齢者医療確保法の中で掲載しています。
A=高齢者医療確保法の総則。社会一般のこちら。
B=特定健康保険審査のこちら。
C=総則の定義のこちら。
D=主体のこちら。
E=費用負担のこちら。
・【問9】
A=厚生年金保険法の存続基金の序論で掲載しています。厚年法のこちら。
B=確定拠出年金法の個人型年金の加入者の個所。社会一般のこちら。
C=同上のこちら。
D=企業型年金の脱退一時金のこちら。
E=確定給付企業年金のこちら。
以上、一般常識のインデックスでした。
(二)国年法のインデックス
最後に、国年法のインデックスのご紹介です。こちらです。
ページの最後に「総評」も記載しています。
全体として、択一式は、近時の中ではやさしかったです。選択式は、実力の差が表れる出題だったと思います。
改正事項の出題が少なかったです。
ここでは、平成28年度試験からの出題対象となった改正事項ですが、【平成29年 問7C】の「特定事由に係る保険料の納付等の特例」(本文は、国年法のこちら)について、少し触れておきます。
この特例は、非常に難解でして、出題されると嫌な個所でした。
この特例は、行政側のミスにより国民が国民年金の手続の機会を逸失した場合において、その年金権の保護を図る趣旨です。
大きく、次の2つに分かれるのがポイントです。
(Ⅰ)特定事由に係る申出等の特例(法附則第9条の4の7、第9条の4の8)の問題。
(Ⅱ)特定事由に係る保険料の納付等の特例(法附則第9条の4の9~9条の4の12)の問題。
今回の設問は、(Ⅰ)についての出題でした。
行政機関のミス(特定事由)により、保険料の全額免除の申請が出来なかったために、その旨の申出を行った老齢基礎年金の受給権者のケースです。
この場合に厚生労働大臣の承認を受けますと、当該申出に係る期間は「特定全額免除期間」とみなされます(法附則第9条の4の7第6項)。
これにより、いわば保険料全額免除期間と同様に取り扱われ、当該申出をした者が老齢基礎年金の受給権者である場合は、その年金額が増額改定されます(全額免除期間は、原則として、その2分の1が年金額に反映されるものだからです。なお、翌月から改定されるというのは、年金額の改定の原則通りです)。
以上が、前記の(Ⅰ)の問題です。
さらに、この「特定全額免除期間」とみなされた場合には、再度、厚生労働大臣にその旨の申出をし、その承認を受けることによって、当該免除期間について保険料を「追納」することができます。これが、上記の(Ⅱ)の問題です。
「追納」せずに、全額免除期間のままでもよいという人もいますから、上記の(Ⅰ)と(Ⅱ)が別個に定められています。
他方、行政機関のミスにより単に保険料(付加保険料や追納保険料も同様です)を納付できなかったようなケースは、(Ⅱ)の問題のみが生じます。その旨の申出をして、厚生労働大臣の承認を受けますと、当該期間について保険料(「特例保険料」、「特例付加保険料」、追納保険料)の納付が可能になります。
その他に、任意加入の申出ができなかったケース(「特定被保険者期間」→「特例保険料」の問題)、一部免除の申請ができなかったケース(「特定一部免除期間」→「特例保険料」の問題)、付加保険料の納付の申出ができなかったケース(「特定付加納付期間」→「特例付加保険料」の問題)もあり、この場合は、上記(Ⅰ)と(Ⅱ)の問題が生じます。
前述の全額免除の申請ができなかったケースをベースに考えるとよいです。
全体を把握するのはなかなか厄介ですので、まずは、今回出題された全額免除のケースに焦点を当てて、(Ⅰ)と(Ⅱ)を見ていくとよいでしょう。今後、キーワードが選択式で出題されることもあり得ますから、注意する必要はあります。
今回は、以上でした。次回は、労基法は年休以下を更新します。厚年法のインデックスもご紹介します。
・平成29年10月8日(日曜)
今回は、労基法の第3回目の更新の他、色々あります。またもや、大長文で恐縮です。
一 労基法の第3回目の更新
前回は、解雇の最後までの更新でした。今回は、労働契約の残りを終わらせ、労働憲章、賃金、法定労働時間までの更新となります。
・更新開始ページ=「辞職(任意退職)= 労働者の一方的意思に基づく労働契約の終了」のこちらから。
・更新終了ページ=「労働時間の算定」のこちらのぺージの最後まで。
「変形労働時間制」の手前までの更新となります。
今回は、少々、厄介な問題が多いです。以下、平成30年度版で追加した事項や注意個所を挙げていきます。
(一)期間の満了
1 労働契約法の諸問題
前回は、労働契約の終了事由として、解雇等を見てきましたが、今回は、有期労働契約の期間の満了等を見ます(こちら以下)。
有期労働契約の全体構造(すでに、「労働契約の期間」の個所で掲載していましたが)は、こちら以下です。
この青い点線の囲みの中の事項は、1の「労働契約の期間の上限」、3の「労働契約締結の際の労働条件の明示」、及び(三)の(1)の「雇止めに関する基準等」を除いて、基本的に、労働契約法の問題です(従って、罰則がありません)。
この労働契約法の問題は、いずれも非常に重要です。
主に、①「期間の定めのあることによる不合理な労働条件の相違の禁止」(労契法第20条。こちら)、②「有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(いわゆる無期転換ルール) 」(労契法第18条。こちら)、及び③「雇止め法理」(労契法第19条。こちら)の3点が重要です。
今回の労働一般の択一式で、最後の③「雇止め法理」が出題されました。
来年は、①及び②に注意です。
ただし、労働一般は、選択式が法律科目から出題されないことが多く(白書関係が多いです)、基本的には、択一用の学習となります。制度の概要を押さえた上で、数字などの出題されやすい個所を記憶することになります。
少し横道にそれますが、「働き方改革」による改正では、上記①の労契法第20条は削除されることになっています(解散したため、政治状況によっては、法案が修正される可能性があるなど、先行き不透明ですが、以下は従来の法案に基づいて説明します。なお、以下の改正事項は、来年の試験対象には含まれませんので、覚える必要はありません)。
その一方で、パートタイム労働法が大改正される予定であり、題名が「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に改められ(現在の題名に「及び有期雇用労働者」が追加されます)、「有期雇用労働者」についても規律する法律に改正されます。
そして、現在のパートタイム労働法第8条(労働一般のこちら)では、「短時間労働者の待遇の原則」として、「短時間労働者の待遇が当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違する場合においては、職務の内容等を考慮して、不合理と認められるものであってはならない」旨が定められているのですが、同条に「有期雇用労働者」が追加されます。
このパートタイム労働法第8条の改正における有期雇用労働者の取り扱いは、実質的には、現在の労契法第20条(上記の①)と類似はするのですが、大きな違いは、パートタイム労働法では、厚生労働大臣が事業主に報告を求めた場合の事業主の報告義務違反等について罰則の適用が可能になるという点です(労働契約法では、罰則がないため、同法第20条の内容をパートタイム労働法に移行して規制を強化するねらいがあります)。
現行の労契法第20条は、民事的効力が認められる規定であるという点から、現在でも重要なのですが、上記の通り、近い将来改正される可能性がありますので、条文や概要は十分チェックしておく必要があります。
なお、初学者等の方は、以上の①~③といった労働契約法の問題については、初めの段階では余り深入りせずに流し読みして頂き、のちに労働一般を学習される際に当サイトの該当個所をご覧頂く方が負担がないと思います。
先に進みますと、こちらの「非正規雇用(有期労働契約)の問題点」やその下部の「均衡待遇のルール」については、最近のいくつかの文献をもとに全部ないし一部を追加したものです。
無期転換ルールについては、細かく学習しますと難しいのですが、今回の「雇止め法理」に関する【労働一般 問1E】の出題内容が参考になります。つまり、それほど細かく学習する必要はなく、制度の概要と条文を把握しておくことが必要になります。
サイト上(こちら)の労契法第18条の条文とその下部に青の点線で囲んである部分(要件と効果)を押さえれば、おそらく本試験に対応できると思います(もちろん、これらの部分を押さえる前提として、当サイトのその周辺をお読み頂き、当該個所の理解が必要となります)。
施行から5年をこえる平成30年4月から転換が開始されますので、来年は、出題される可能性があり、マークしておいて下さい。
2 雇止めに関する基準等
「雇止めに関する基準等」(こちら以下)は、最近は、あまり出題されていませんが、いつ出題されてもおかしくない重要事項です。選択式対策として、第14条第2項、第3項のキーワードの他、「3回以上更新し、又は雇入れ日から起算して1年を超えて継続勤務」(雇止めの予告が必要な場合)といったような数字関係にも注意です。
3【学校法人福原学園(九州女子短期大学)事件=平成28.12.1】
「雇止め法理」のこちらで、上記判例を追加記載しています(この判例の少し上部の「※1 不更新条項、更新限度条項の問題」のあたり(こちら)からお読み下さい)。
少し難しい判例でして、内容的にも、例えば、労基法の選択式で出題するのはやや厳しそうなのですが、労働契約法や労基法の択一式なら、出題可能性がありそうです。
初学者の方は、眺める程度で結構です。
4 退職時等の証明
退職時等の証明(こちら以下)は、もっぱら暗記事項ですが、第22条は選択式の出題が可能であり、キーワードを十分チェックして記憶できるようにしておいて下さい。
以上で、「労働契約」を終わり、次は、「労働憲章」です。
(二)労働憲章
労働憲章(労働者の人権保障。こちら以下)については、条文を中心にキーワードを押さえる学習をして下さい。毎年度出題される個所であり、得点源にする必要があります。
ここでは、改正について1点あげておきます。
「労働時間等設定改善指針」(いわゆる「労働時間等見直しガイドライン」)が改正され(9月27日に告示され、10月1日施行です)、 公民権行使の保障に関連する事項が新設されました(こちら以下)。
「事業主は、労働基準法第7条において、労働者が公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならないこととされていることを踏まえ、公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行する労働者のための休暇制度等を設けることについて検討すること。」といった程度です(その他、年休についても、追加事項があります)。
以下、労働条件に入ります。
今回は、賃金と法定労働時間を更新しました。
(三)賃金
賃金については、大きくは、①賃金の要件(定義)の問題、②賃金支払の5原則の問題、③休業手当の問題、及び④平均賃金の問題に分類できます。
1 賃金の要件(定義)
今回の試験では、賃金の要件(こちら以下)に関する出題はありませんでした(前回は、【平成28年 問1オ】(こちら)で恩恵的な見舞金の賃金性が問われています)が、徴収法(労災保険法で出題分の【問8】(徴収法インデックスのこちら))でやや難しい問題が1問出題されています。
労基法上の賃金の考え方は、徴収法等のその他の労働法上の賃金においてもベースとなります。
この賃金の要件の問題は、厳密には、難しいものが多いです。理屈できれいに説明できないような事項も少なくなく、ある程度検討して納得できないような事項については、試験対策と割り切って結論を覚えてしまうのがよいでしょう。
(学者でも、賃金の要件の説明に苦労している様子がうかがえるところです。)
過去問を解ける程度に学習するのが目標となります。
当サイトでも、一応理屈を説明しています。一度は、当サイトの賃金の要件の個所を読んでみて下さい(何度も読んで頂く必要はなく、あとは市販書で整理して頂ければ足ります)。
ところで、今回の健保法の選択式では、現物給与について代金徴収がある場合の取り扱い(3分の2以上の徴収の場合に報酬に該当しない)が出題されました。当サイトでは、厚年法のこちら(厚年法のパスワード)で記載はしていたのですが、厚年法(社会保険)と労働法(労基法のこちら)の取り扱い(3分の1)が異なっている問題であり、厳しい出題でした。
2 賃金支払の5原則
賃金支払の5原則、特に通貨払の原則と全額払の原則は重要です。とりわけ全額払の原則(こちら以下)については、市販書ではカバーできない判例等について詳しく掲載していますので、当サイトを読んで頂く必要があります。
3 休業手当
休業手当(こちら以下)も、当サイトをお読み下さい。かなりボリュームがありますが、ほとんどが必要な情報です(何度もお読み頂く必要はありません)。
4 平均賃金
平均賃金(こちら以下)も、当サイトを読んで頂いた方がよいですが、市販書でもかなりの程度はカバーできると思います。
以上、賃金関係でした。
(四)労働時間
労働時間については、今回は法定労働時間の更新です(次回は、変形労働時間制からとなります)。
労働時間は、今までの「労働契約」や「賃金」に比べれば、少し学習しやすいと思います。
1 労働時間の意義
労働時間の意義については、出題も多く、当サイト(こちら以下)を一読して下さい。判例の紹介が長いのですが、スキマ時間でもご利用頂き、一度読んで頂くと、記憶に残りやすい個所だと思います。
なお、「講座労働法の再生」からの記載を追加していますが、参考程度です。
2 労働時間の算定
労働時間の算定(こちら以下)では、1月に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が策定され、徹底マークしていたのですが、本試験では出題の片りんすらありませんでした。
しかし、このガイドラインの前身である「指針」も択一式に出題されたことがあり(直近では、平成25年出題)、いずれ出題されるはずです。
水町先生が試験委員を退任されてから2度の試験がありましたが、まだ労基法の出題傾向が見えない部分があります。そこで、出題予想がしにくいのですが、選択式も考慮して、引き続きこのガイドラインはマークして下さい。
以上、労基法の今回更新分の注意個所でした。
二 健康保険法のインデックスの改正
次に、健康保険法の本試験問題のリンク先を掲載しましたインデックスが完成しました(こちら)。
今回は、このインデックスの最後で「総評」も掲載していますので、全体的な印象についてはそちらをご参照下さい。
ここでは、改正事項である「短時間労働者」について触れておきます(設問の解説中でも、かなり説明しています)。〔以下、ここでは、大幅にカットしています。〕
今回、「短時間労働者」に関する出題は、厚年法では【問4B】(【問4D】も少し関係します)で出題されているだけで、その他は健保法で出題されました。
健保法では、【問10】の5肢の他、【問4エ】で区別変更の届出について出題されています。
おそらく、試験委員内で、短時間労働者の問題は、基本的に、健保法で出題するといった打ち合わせをしていたものといえ、今後も、短時間労働者の問題は、健保法で多く出題されるであろうことが推測できます(例えば、報酬の問題に類似するパターンとなります)。
ただし、この「短時間労働者」の改正は、元来、改正法において、厚生年金保険の短時間労働者について規定されており、それを健康保険法の短時間労働者にも準用するような形をとっているものが少なくありません。そこで、性質上、厚年法の方が出題しやすい事項もあり、例えば、厚年法の択一式から1問出題されるようなことがあり得ると考えています。
基本的には、当サイトのように、厚年法で詳しく学習するという形で問題ありません。
(一)区別変更の届出
まず、【健保法 平成29年問4エ】(こちら(健保法のパスワード))では、区別変更の届出が出題されました。
詳しくは、先のリンク先の解説をご参照頂きたいのですが、当サイトでも、厚年法の直前対策講座の【択一式 問5】の解答の後半部分(こちら。平成29年度版の直前対策講座のパスワード)で、「5日以内」という期限を押さえる必要がある点は触れていました。
〔以下、長文になるため、区別変更の届出についての記載は省略します。メールをご覧下さい。〕
(二)短時間労働者
一方、【健保法 問9】(こちら以下)では、上記のピンク色の部分〔ここでは、省略します〕を「短時間労働者」と言い換えしてきました。
これは、日本年金機構がサイト等で使用している表現(言い換え)と同様です。
しかし、「短時間労働者」とは、健保法・厚年法の短時間労働者の条文(政省令や年金機能強化法附則等も含みます)中では、パートタイム労働法の短時間労働者を意味すると定義されています(例えば、健保法第3条第1項第9号柱書)。
従って、本来は、健保法・厚年法の「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者に比し短い労働者のことを意味します。
そこで、上記ピンク色の「4分の3基準を満たさない短時間労働者」のことを「短時間労働者」と言い換えるのは、誤解を招くおそれもあり、かんばしくありません。
ただし、試験問題においては、設問中でその定義を明確にして使用している以上、問題ないといわざるをえませんが。
このピンク色の部分を「短時間労働者」と言い換える用法は(機構も使用しているため)、今後の本試験問題でも継続される可能性があります。
本来の「短時間労働者」の意味とは異なるという点は、くれぐれも注意しておく必要があります。
例えば、この【健保法 問9】では、設問の冒頭に、上記ピンク色の部分を「短時間労働者」と言い換える旨の注記があるのですが、この問9の5肢の各肢を分割して掲載しますと、例えば、【問9イ】については、うっかりすると、次のような設問になりかねません。
・【平成29年問9イ】
設問:
特定適用事業所に使用される短時間労働者の年収が130万円未満の場合、被保険者になるか、被保険者になることなく被保険者である配偶者の被扶養者になるかを選択することができる。
しかし、上記の下線部分の「短時間労働者」とは、「4分の3基準を満たさない短時間労働者」のことですので、問題を解く際には注意が必要です。
以上の「短時間労働者」の言い換えについては、インデックスの【問9イ】(こちら)の個所で触れています。
以上で、健保法のインデックスの紹介を終わります。
ちなみに、出題された改正事項については、すべて当サイトでも記載があった事項であり、当サイトで学習されていた方は正解に至れた内容でした。
三 育児介護休業法の改正
かなり長くなってきましたが、育児介護休業法の改正を整理しましたので、ご紹介します。
今回の改正は、主にこちら(労働一般のパスワード)の3点です。
四 白書
最後に、最新の白書です。2点あります。
(一)労働経済白書
まず、労働経済白書です(9月29日公表)。
・骨子は、こちら(7頁)。
労働経済白書は、しばしば出題されます。まずは、この骨子を熟読して下さい。スキマ時間にでも、下記の「要約版」をお読み下さい。
・厚労省サイト=こちら。
・要約版=こちら。(始めに、前掲の「骨子」の記載があり。24頁)
・全体版=こちら。(200頁ほどあります)
(二)過労死等防止対策白書
次に、過労死等防止対策白書です(10月6日公表)。
・骨子は、こちら(12頁)。
・概要は、こちら(64頁)。
・本文は、こちら。(380頁前後あります)
・厚労省サイト=こちら。
長時間労働が問題になっている昨今、この「過労死等防止対策白書」は重要です。「骨子」と「概要」を、日頃からスキマ時間にでも眺めて、慣れておいて下さい。
今回は、以上です。
次回は、労基法の更新の他、国年法のインデックスの紹介を予定しています。
・平成29年10月1日(日曜)
今回は、改正についてです。
さしあたり、労災保険法と雇用保険法の改正に関する改訂が終了しましたので、今回は、この2科目の改正状況についてお知らせします。
雇用保険法だけで大量に改正があります。
雇用保険法の改正事項についてメールでご紹介しました内容は、ボリュームが多く、ここでは掲載できませんので、別途、新たにまとめのページを設けて整理しました。こちらです(雇用保険法のパスワード)。
次回は、労基法の更新と育児介護休業法の改正(指針の改正もあります)の改訂のお知らせです。さらに、健保法の本試験問題のインデックスも完成する予定です。
・平成29年9月26日(火曜)
昨日の続きとして、徴収法の本試験問題のインデックスのご紹介です。こちらになります。
徴収法は、年度更新等の実務を経験されていない場合は、少々とっつきにくいですが、学習時間に比例して学力が向上しやすい科目です。
「理解 ➡ 記憶」という定石通りの学習方法で進めて頂きますが、選択式がないため、キーワードに神経を使う必要はありません。
労災保険法と雇用保険法で3問ずつの出題ですから、各々2問程度正解するのが目標です。
過去問が解ける程度にマスターすることになります。
今回の徴収法の択一式は、簡単だったとはいえないですが、キチンと学習された方にとっては正解にたどり着けた問題が多かったといえます。
徴収法の各問題の解説につきましては、インデックスのリンク先の本文解説をご参照頂くとして、ここでは、概要について触れます。
1 問8は、賃金(賃金総額)に関する問題です。少々、やりにくかったと思います。
徴収法の賃金の問題も、基本的には、労基法における賃金の学習がベースになります。そのうえで、退職手当など、徴収法(雇用保険法)に特有の取り扱いを押さえます。
Aは、その退職手当の問題です。いわゆる前払退職金の問題です。この前払退職金も含め、退職手当の取り扱いは、健保法・厚年法といった社会保険の報酬においても同様になります。
BとCは、実質的には同様の問題です。
対象となる賃金は、雇用期間中に事業主の支払義務が確定したものであるというルールが問題となるものです。
DとEは、やや細かいですが、当サイトでは、いずれも雇用保険法の賃金の個所で掲載していました。Dについては、雇用保険法のこちら、Eについてはこちらです。
2 問9は、Dは過去問にはないでしょうが、その他の肢は過去問がある問題です。従って、この問9は正解したいところです。
Aの「保険関係廃止届」が存在しないというのは、よく出題される問題です。
Bは、擬制任意適用の問題であり、「翌日」に認可があったとみなされるという点がポイントになります。
この点は、実は、雇用保険法の【平成15年問1E】で出題があるのです。通常の10年分程度の過去問集では掲載されていませんが、当サイトでは、雇用保険法のこちらの下部でこの問題を掲載していました。
また、徴収法のこちらでも、ゴロ合わせを掲載していました。
Cの罰則の問題は、類問が【平成27年雇用問8D(こちら)】で出題されています。
Dは、徴収法においてこのような届出は聞いたことがありませんから、誤りとなります。本番では、保留した上で、他の肢を検討することになります。
Eも、暫定任意適用事業の保険関係の消滅の要件という基本的な知識です(過去問も頻出です)。
このように、問9は、基本的に過去問を学習していれば正解できる問題です。Bについては、当サイトで学習された方は、非常に有利だったと思います(「翌日」という点は、雇用保険法の他、健保法・厚年法の擬制任意適用事業所においても、対比する形で掲載していました)。
問10は、延納です。延納は、いったん理解すればそう難しくはないのですが、少々、解答に時間を要するケースがあります。本問は、そう難しくはなかったかと思います。基本的に、過去問で登場する問題です。
アは、やさしいです。
イは、有期事業の概算保険料の延納の回数と納期限に関する問題ですが、基本的といえます。
ウは、継続事業の概算保険料の延納の要件(9月30日までに保険関係が成立していること)と納期限に関する問題ですが、これも基本的といえます。
エは、延納ができるのか、認定決定の対象となるのかという問題です。しっかり記憶していないと、混乱しかねない個所です。
オは、一見難しそうですが、延納の要件に関する基本的な問題です。
雇用保険法に移ります。
問8は、個数問題であり、かつ、内容がかなり実務色が強く、やりにくかったと思います。捨て問になり得る問題です。実務家の出題でしょう。
アは、国税通則法の還付加算金を出題してきました。通常、ここまで掘り下げては学習しません。
徴収法の還付の学習の際に、還付加算金といった用語が登場したことがないことに思い至れば、とりあえずは「正しい」という結論が導けたかもしれませんが。
イも細かい出題です。過去問はないようです。充当後は、通常、通知されるだろうとは推測できそうですが、個数問題であるため、厳しいです。なお、サイトでは、記載しています。
ウは、納入告知書と納付書の区別の問題であり、過去問頻出です。当サイトも、こちら以下でゴロ合わせ付きでまとめています。
エは、有期事業に係る確定保険料の申告額に第3種特別加入保険料の額が含まれるかという問題であり、通常、1冊本でも触れているのでしょう。
オは、優しいです。
問9は、正解がAであり、答えはすぐわかるのですが、A以外の肢で難しい肢がありました。
本問でも、ポイントは、基本的な知識を確実に記憶していたかということになります。つまり、「延滞金が徴収されない場合」がすらすらと出てくる必要があります。このように過去問における頻出個所について記憶しているかどうかが重要です。
Bは、難問です。当サイトでは、記載していましたが、通常は学習しない事項だと思います。
Cの認定決定された確定保険料に対する追徴金の徴収の可否や滞納に係る追徴金に対する延滞金の徴収の可否も、頻出事項です。
Dは、難問です。公示送達の問題ですが、今回、どうしたことか、雇用保険法の問3Eでも公示送達が出題されています。
Eは、延滞金においてマークする個所ですので、取り組みやすかったと思います。
問10は、労働保険事務組合の問題です。
Cは細かい出題ですが、正解は、消去法により導くことができたかと思います。
労働保険事務組合をある程度学習されていると、そう難しくはない問題ですが、正確な知識は必要になります。
以上、徴収法の試験問題の概要でした。
次回は、改正事項に関するお知らせです。
・平成29年9月25日(月曜)
今回は、労基法の第2回目の更新と徴収法の本試験問題のインデックスのご紹介です。
一 労基法の第2回目の更新
労基法は、前回、労働契約の手前までの更新でした(「第2章 労働条件の決定の基本原則 = 第1条、第2条」まで)。
今回は、労働契約に入り、解雇の最後まで更新します。
・更新開始ページ=労働契約の初めのこちらから。
・更新終了ページ=解雇権濫用法理等のこちらのページの最後まで。
(「辞職(任意退職)=労働者の一方的意思に基づく労働契約の終了」の手前までの更新です。)
労働契約の最後まで更新しようかと思ったのですが、内容面のボリュームがかなりあるため、「労働契約の終了」の途中で区切りを入れました。
(ちなみに、主要な改訂自体は、すでに就業規則の手前まで終わっています。改訂後、少し時間をおいて、リンク切れ・誤字の確認等の最終チェックをしてから更新のお知らせをしています。学習が進んでいるような方は、就業規則の手前あたりまでは、当サイトをお読み頂ける状態です(ただ、最終チェックにより若干記載状況が変わることがございますので、ご了承下さい)。)
ところで、学習の進め方なのですが、当サイトの「労働契約」は、重要かつ難しい問題が多数含まれており、学習がかなりきつい個所となっています。
当サイトでは、「労働契約」について、主に時系列によって「発生(成立)➡ 変更(展開)➡ 消滅(終了)」という流れで整理しています。
これは知識を体系的に整理するという点では合理的なのですが、労基法の学習の最初の段階で、労働契約法やその他の労働一般における難しい問題(例えば、危険負担、懲戒処分、無期転換ルール等の問題)が含まれてくるというネックがあります。
受験経験があり、既に一定の労働法の知識をお持ちの方の場合は、このような体系に沿って学習して頂いて問題はないのですが’(むしろ知識が整理されて有用なことが多いです)、初学者の方や労働法が不得手な方(以下、「初学者等の方」と表現させて頂きます)にとっては、この当サイトの「労働契約」の章の学習はかなり負担がかかることがあります。
そこで、「初学者等の方」におかれましては、当サイトの「労働契約」の章は、冒頭から順に読み進めて頂かなくても、例えば、市販の1冊本等をベースに学習して頂き、そこで記載されています労働契約に関する個所(労働契約の期間、労働条件の明示、労働契約の終了として解雇等)を読み終えてから、当サイトの対応する個所を読んで頂くとよろしいかと思います。
このやり方なら、前記の「懲戒処分」等の難しい問題を後回しにして頂くことはできます。
その場合も、一応、こちらの図により、労働契約の全体の項目が大まかにどのように位置づけられるのかを把握して頂くと、のちのち知識の整理にお役に立つことがあります。
なお、今年度版から、各科目の目次をより詳しくし、かつ、条文がある個所は条文番号を入れていますので(まだ労基法のみの実施ですが、全科目について整備します)、条文番号を目安に、市販本と対応する当サイトの記載個所をご確認頂けます。
市販のテキストは、まだ発売されていないものが多いかと思いますが、労基法は改正がないため、さしあたりは平成29年度のテキストもご利用頂けます(最終的には、平成30年度版への買い替えが不可欠です)。
以下では、今年度版で追加等した個所を中心に説明致します。
(一)発生
1 成立要件=労働契約の合意
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことを合意することによって成立します(労働契約法第6条等)。即ち、「使用されて労働すること」及び「賃金を支払うこと」の合意が必要です。
この合意が労働契約の成立要件(大まかには「要件」)であり、この要件を満たしますと、「効果」として、労働者の労働義務や使用者の賃金支払義務を中心とした権利義務が発生します。
当サイトの労働契約の「発生」においては、これらの問題について細かく触れています。
「労働契約の合意」について、平成30年度版では、こちらの「労働契約の合意」の態様についての記載を追加しています(この夏に発売された「講座 労働法の再生」(全6巻)や川口美貴先生のテキストを参考にしたものです)。
これは、労働契約法で登場する①「無期転換ルール」(労契法第18条)、②雇止め法理(同法第19条)、及び派遣法で規定されています③「労働契約申込みみなし制度」(派遣法第40条の6)の位置づけを「労働契約の合意」の原則との関連で整理したものです。
この3つは、いずれも労働契約の締結(ないし更新)が強制される場合であり、「労働契約の合意」の原則の大きな例外であるという共通点があります(いずれも平成24年以降に創設された制度です。ただし、②は、従来からの判例法理を明文化したものですが)。
細かい知識も重要なのですが、まずは、全体における制度の位置づけが把握できますと、知識の整理に役に立つことが多いです。
今回の試験では、労働一般の択一式で上記の②が出題されましたが、①及び③もその重要性から、基本的には出題されるものとして学習して頂く必要があります。とりわけ、①の無期転換ルールは、施行開始から5年経過する平成30年4月以降に転換が始まりますので、来年度の試験では注意が必要です(労働契約法の択一式の出題となるでしょうが)。
2 効果
労働契約の効果については、従来は、「債務の本旨に従った労働義務の履行」に関する問題(こちら以下)について、判例等をテーマとした出題が多かったのですが(労働契約法だけでなく、労基法でも出題されました)、ここ数年は減っています。
おそらく、2年前まで長らく試験委員であった水町先生が好んで出題していた個所なのだと思います。水町先生が試験委員だった頃は、労基法は良い問題が多かったのですが(そして、重要な最新判例を出題してくれました)、今回は、新判例もガイドラインもスルーされました。
この「債務の本旨に従った労働義務の履行」は、内容的には依然として重要ですから、判例を含めてざっと一読して頂くとよいです。
初学者等の方も、例えば、労基法の市販のテキストを読み終え、該当の当サイトの記載を確認終えて、労基法を2回目に学習されるあたりからは、この「効果」に関するページ等も読んで頂くとよろしいです。
3 労働契約の期間
労働契約の期間は、労働契約の要件ではないのですが(労働契約の内容であり、いわば効果の問題です)、要件の次に見ています(こちら以下)。
ここは、民法も関係し複雑なのですが、今回、よりわかりやすい内容にするため全体的に修正しています。
期間の定めのある労働契約(「有期労働契約」といいます)については、全体構造をこちらで整理しています。学習が進んだ段階で、知識の整理のためご参照下さい(初学者等の方は、眺めるだけで結構です)。
労働契約の期間の全体構造は、こちらの図の通りです。どの学習分野でも同様ですが、このような骨格・枠組みをベースにして頂き、あとは、この骨格に細かい知識を結び付けて頂く形で学習して頂くと効率的だと思います。
4 労働契約の成立過程の問題
労働条件の明示(こちら以下)については、職業安定法の改正があり、その関係で当サイトの図や記載内容も一部改訂しています。
職業安定法の改正(平成30年1月1日施行)は、こちら以下です。
公共職業安定所、特定地方公共団体等は、職業紹介等に当たり、求職者等に対し、労働条件を明示しなければならず、また、求人者は、求人の申込みに当たり公共職業安定所、特定地方公共団体又は職業紹介事業者に対し、労働条件を明示しなければなりませんが(職業安定法第5条の3)、この明示すべき労働条件に「試みの使用期間に関する事項」等の3つが追加されました(図は、こちらの右側です)。
さらに、職業紹介の際に明示した労働条件を変更等する場合は、労働契約の相手方となろうとする者に対して、変更する労働条件等を明示することが必要となり(職業安定法第5条の3第3項の新設)、その他いくつかの改正があります。
詳細につきましては、市販のテキストが発売されましたら、その職業安定法の個所を確認して頂くのがよろしいです。
次は、労働契約の変更についてです。
(二)変更
懲戒処分(こちら以下)については、「懲戒処分の根拠」に関する詳細な記載(こちら)を追加するほか、全面に渡り、細かい修正をしています。
(三)消滅(終了)
労働契約の終了については、今回は、解雇までを更新しています。
平成30年度版では、「解雇の要件」という記載を追加するほか(こちら以下)、解雇の全般にわたり、かなり記載を追加・修正等しています。
次回は、辞職以降の更新となります。
ちなみに、労基法の来年度試験分の最新判例としては、割増賃金に関するものがあります。前回の平成29年度版のメールにおいてもご紹介したかと思いますが、7月に割増賃金の定額支給等に関する最高裁判例が出ています。【最判平成29.7.7=医療法人社団Y事件(外科医残業代等請求事件)】です。
平成29年度の試験対象として【国際自動車事件=最判平成29.2.28】という同じく割増賃金の定額支給等に関する最高裁判例がありましたが、近年、この部類の判例が重なっており、今年度版では、この割増賃金の定額支給等についても大幅に記載を増やしています。こちら以下です(最終チェックにより、若干、記載内容が変更になることもあります)。
以上、労基法でした。
二 徴収法のインデックスのご紹介
次に、徴収法の本試験問題のインデックスが完成しましたので、ご紹介します。こちらです。
少々長文になりましたので、徴収法の本試験問題の解説は、次回に回させて頂きます(早ければ明日メール致します)。
現在、労基法の改訂、改正事項の改訂、本試験問題のインデックス作りの三つ巴の戦いになっており、この更新日記の更新が遅れることが多く、申し訳ございません。
・平成29年9月17日(日曜)
雇用保険法の本試験のインデックスが完成しましたので、お知らせ致します。こちらです。
設問の詳細な解説につきましては、このリンク先の本文をご参照下さい。ここでは、その他の点について触れておきます。
全体的な事柄ですが、難しいのは改正事項に関する出題状況の評価です。
まず、選択式では、空欄のD及びEは改正事項でした。生産性の向上の理念に関する問題であり、当サイトの直前対策講座(こちら)では、2個所の空欄をそのまま的中していますし、サイト本編でも同様の個所について設問を作っていましたので、当サイトご利用の方は、正解されたかと思います。
ただ、この労働生産性の問題は、いわば狙いどころの問題ですので、合格ラインにある受験生はマークしているでしょうから、あまり差がつかないかもしれません。
問題は、択一式における改正事項です。
上記リンク先のインデックスのページにて、改正事項を含む問題については右側に赤の印をつけているのですが、今年度分の改正事項の多さに比較しますと、実際に出題された択一式の改正事項は非常に少なかったといえます。
高年齢被保険者に関する改正事項は、実質的には1肢ですし、所定給付日数の改正事項は出題されませんでした。延長給付関係もまったく出題されません。
今回の出題範囲における改正事項は、平成29年1月1日施行の分と4月1日施行の分があるのですが、後者の4月1日施行の改正事項から出題されたのは前記の労働生産性の問題だけです。
一方、雇用保険二事業の助成金に関係する改正事項が、択一式においても2肢も出題されています。上記の選択式の労働生産性の問題と併せますと、アンバランスに雇用保険二事業に関する改正問題が多いという印象です。
前回の平成28年度にも、専門実践教育訓練に関連した補助(雇用安定事業)という非常に細かい問題が出題されたのですが(【過去問 平成28年問6C(こちら。雇用法のパスワード使用)】)、今回の出題状況を見ますと、一過性の傾向ではなさそうです。
今年度の雇用保険法担当の試験委員を見ますと、厚労省の職業安定局出身の方がおられ、雇用保険二事業含む雇用保険関係は専門です。平成28年度から試験委員になったようですので、「犯人」の第一候補かもしれません。
実際は、雇用保険2事業の助成金等に関する改正状況を細かく追うのは困難であり、受験される方にとってそのような負担は合格のために効率的でもありません。
もっとも、必要な範囲内で、当サイトでも、今までよりは、2事業に注意を払うこととします。
いずれにしましても、今回、改正事項の出題が少なかった関係で、来年度も、今回の改正事項についてはそのまま注意して頂く必要があります。
さらに、雇用保険法は、平成30年1月1日施行を中心とした新たな改正事項も、結構なボリュームで試験対象に入ってきます。特に、教育訓練給付金(主に専門実践教育訓練給付金と教育訓練支援給付金の改正です)や移転費の改正には注意です。この新たな改正事項については、ほぼサイトの改訂が終わっていますので、近日、ご紹介します。
以下、特徴ある問題を見てみます。
一 選択式
空欄のAは、そう難しくはありません。
B、Cは、日雇労働被保険者関係です。
平成27年度にも、日雇労働求職者給付金の支給額について、簡単ではない2か所の空欄が出題されており(当サイトでは、日雇関係に警戒警報を発令していました)、その後も、サイト上で日雇関係の択一式に注意喚起をしていましたが、今回も選択式できました。
問題は、日雇労働被保険者の資格継続の認可というややマイナーなものですが、数字自体は、日雇労働被保険者の要件を学習する際に目にするものですので、さほど難しくないといえそうです。
二 択一式
問1は、きちんと学習していますと、やさしい問題です。
問2は、雇用保険法で登場する「期間」(待期期間、算定対象期間、算定基礎期間、被保険者期間、受給期間」に着目した一種の横断整理タイプの問題で、出題としては興味深いです。出題タイプとしては学者系なのですが、行政手引からの出題を含んでおり、実務家の出題かもしれません。
ちなみに、雇用保険法の「期間」の用語の整理については、こちらを参考にして下さい。
例えば、この問2の肢B(こちら)は、「算定基礎期間には、介護休業給付金の支給に係る体業の期間が含まれないか」という出題ですが、結論として、算定基礎期間には、介護休業給付金の支給に係る体業の期間(以下、「介護休業期間」といいます)は含まれますが、育児休業給付金の支給に係る休業の期間(以下、「育児休業期間」といいます)は含まれません。
この違いがなぜなのかを考えてみることが、記憶喚起のためにも有効です。
当サイトも、この算定基礎期間に含まれないものについてゴロ合わせで押さえていますが、本番では、ゴロ合わせを忘れてしまうこともあり、その場で考えて結論を出さなければならないことあります。
違いの理由については、おそらく、介護休業期間と育児休業期間の長さが異なるという点が大きいのでしょう。このように理由づけを考えながら、日頃の学習を進めて頂くと、結局、記憶面でも効果が大きいことになります。
もっとも、社労士試験の場合、例えば所定給付日数のように、理屈抜きに覚えなければならない事項が多いですので、じっくり考えるべき個所とそうではない個所を見分けて学習することも重要です。そのどちらの個所に当たるかは、当サイトの当該個所の記載も参考にして下さい(当サイトがグダグダと理屈をこねている個所は、一応、考えれば結論が出そうな個所です)。
問題は、肢Cですが、これは、行政手引に掲載されているものです。
当サイトでは詳細に掲載しており、「一応頭の片隅に入れておいて下さい」といった記載はしていました。
肢Dも細かい問題であり、行政手引に掲載されています(当サイトも、当該行政手引の個所を掲載していました)。
ただ、この知識を知らなくても、常識から考えますと、正解に至ることができたように思います。
肢Eは、典型論点といえます。
以上の問2は、かなり細かい知識が含まれており、難しい問題だったともいますが、消去法で正解に達することもできました。
今後の学習の仕方を検討する上では、この問2は、参考になりそうです。雇用保険法のように、紛らわしい用語が多数登場する場合は、時々、横断整理をして、知識を整理しておく必要があります。また、理屈で処理できそうな個所は、何らかの理屈を考えてみて、その知識を覚えておくことが有用です。
問3も、「確認」に関する横断整理的な出題です。肢Eに、掲示場における掲示といった知識が出てきますから、本問は実務家の出題かもしれません。そうなりますと、同様に実務的な問題を含む横断整理的な出題である前問問2も、同じ出題者なのかもしれません。
この問3も、少々難しいです。
確認は、雇用保険法以外でも、健保法や年金法等でも登場しますが、学習する事項は大体同様です。
即ち、大まかには、どのような場合に確認が必要なのか(届出が行われた場合、確認請求した場合及び職権による場合の3種類があります。そして、確認が不要になる場合があり、本問でも、短期雇用特例被保険者と日雇労働被保険者について問題になっています。以上は、確認の要件の問題となります)、確認の請求の手続などが問題になります。
各法の確認について、まずは確認が不要になる場合に注意して整理してみて下さい。
問4は、離職理由による給付制限の問題です。肢のCは、改正事項でした。個々の肢は、細かいものもあるのですが、正解自体は常識的な判断によって導けたと思います。
少々解説です。
被保険者が、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され(重責解雇)、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合(正当理由がない自己都合退職)には、待期期間の満了後1箇月以上3箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間(=原則として3箇月)は、基本手当は支給されません(第33条第1項本文)。
これが、離職理由による(に基づく)給付制限です。
後者の「正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合」の「正当な理由」とは、「特定受給資格者又は特定理由離職者(正当理由がある自己都合退職者)」と認められる場合とおおむね同様になっています(厳密には全く同じではないですが、ほぼ同じです)。
そこで、この「正当な理由」については、特定受給資格者や正当理由がある自己都合退職に係る特定理由離職者のそれぞれの具体例を押さえていればほぼ問題ありません。
当サイトのこの問4の解説では、行政手引を細かくリンクしており、わかりにくいかもしれませんが、基本的な考え方は上記の通りです。
問5は、高年齢被保険者に関する問題であり、肢Cでは、改正事項が問われていますが、全体的にはそう難しくはないでしょう。
問6は、育児休業給付金です。肢Aは改正事項です。
この肢Bは、前々年度の改正事項です。育児休業給付金を含む雇用継続給付の支給申請手続については、平成28年2月16日施行の改正が行われ、被保険者は、原則として、事業主を経由して雇用継続給付の申請をすることに改められました(従来は、原則として、被保険者本人が支給申請するものであり、事業主は、労使協定が締結された場合に、代理人(代行者)として代理申請することができることとなっていました。マイナンバー制度の実施の関係で改正されたものです。詳細は、サイトの高年齢雇用継続給付のこちら以下で記載しています)。
ただし、例外があり、やむを得ない理由のため事業主を経由して当該申請書の提出を行うことが困難であるときは、被保険者は、事業主を経由しないで提出を行うことができます。
そして、この場合、本人が郵送等により行うことも差し支えないとされます。
その他の肢C~Eについても、すべて当サイトで記載していました。特に正解肢であるDについては、男性の場合は、配偶者の出産日当日から育児休業を起算できることを女性の場合と対比して明示していましました。これも行政手引が記載しています。
最後に、問7は、難問でした。捨て問になると思います。
肢Dの「全部」ではなく「一部」であることは当サイトでも太字にしており、このDのみは正誤の判断がついたかと思います。
正解肢のCは改正事項であり、サイト上でも改正事項である旨を明らかにして記載はしているのですが、なにぶん助成金ですので、あまり力を入れていませんでした。Eも改正事項です。
Bは常識的判断で処理できそうですから、結局、A、C、Eあたりから最も妥当そうなものを選ぶということになったと思います。
雇用保険二事業に力を入れるのは危険ですが、上述のように、当サイトでも、次回の改正では、少々注意をしておきます。
以上、雇用保険法のインデックスのご紹介でした。次回は、労基法の更新の予定です。
・平成29年9月9日(土曜)
本日は、労基法の初回の更新のお知らせです。また、労災保険法の本試験のインデックスが完成しましたので、ご紹介します。
1 労基法の初回の更新について
まず、労基法の更新からです。
労基法の冒頭から、「労働条件の決定の基本原則(第1条、第2条)」の最後までの更新となります。
・更新終了ページ=「労働条件の決定の基本原則」(こちら)の最後まで。
「労働契約」の手前までの更新となります。
今回の更新内容は、労基法の目的、主体(労働者、使用者)及び労働条件を決定する法源となります。
先の本試験では、今回の更新範囲からですと、労働者の問題、適用除外の問題が出題されていました。労働一般では、労働契約法上の使用者と労基法上の使用者の異同が問われていました。
このように今回の更新範囲は、実際に出題の対象となる事項が多いです。
さしあたり、記憶する事項が多いのは、適用除外の個所だと思います。知識を表等により整理していますので、実際の過去問で確認されながら、記憶をして下さい。
なお、労働者の判断(労働者性)は、抽象的で難しい問題なのですが、本文(こちら以下)で掲載していますように、昭和60年の労働基準法研究会の報告における判断基準が広く使用されています。
ただ、実際にこの判断基準の要素のうち、どれをどの程度重視して判断するのか等が明瞭ではなく、具体的な事案の処理は難しいことが多いです。
とりわけ、近年、個人の業務委託契約等が広がるなど(営業・販売の他、情報処理技術、講師業、インストラクターなど)、自営業が多様化・複雑化しているといえ、企業と密接な関係にある業務委託契約の受託者について、労基法上の労働者と認められるのかどうかの判断は微妙なことが多いです。
本試験で、この研究会の判断基準が直接出題されるようなことがあるのかどうかはわかりませんが、サイトに掲載しました最高裁の事案の処理方法等を参考にして下さい。
なお、以前は、労基法上の労働者と労働組合法上の労働者は同じなのか異なるのかが争いになっていました。
しかし、平成23年と24年に出されました3つの判決を通じて、最高裁は、両者が同じではないことを示唆するに至り、現在は、一般に両者の判断は異なるものだと考えられています。
憲法が労働基本権を保障し(憲法第28条)、この労働基本権の保障を労働組合法が具体化していますが、労組法上の労働者に該当するかどうかも、労働基本権の保障や労働組合法の適用の妥当性という見地から判断する必要があるということになります(例えば、団体交渉を認めた方がよいのかどうか等が考慮されます)。
この点で、主として労働者の適正な労働条件の確保を目的とする労基法における労働者の判断とは一致しなくてもよいということです。
労組法上の労働者については、労働一般のこちら以下で記載していますので(かなりボリュームがあります)、今のように少々来年の本試験まで時間があるようなときにでもざっと一読して頂くとよろしいかもしれません。
なお、労基法上の労働者と労働契約法上の労働者は、ほぼ同じと考えられています。大きな違いは、今回の本試験で出題されましたように、労基法上の労働者については、「事業」に使用されていることが必要であるという点です。
次回は、労働契約の全体をアップする予定です。
2 労災保険法の本試験問題について
次に、労災保険法の本試験問題のインデックスが完成しました。こちら です。
(1)選択式
今回の本試験ですが、選択式については、不服申立てと消滅時効期間ですから、日頃の学習で対応可能といえます。
Cの「3か月」についても、当サイトでは、ちょうど、労災保険法を例にしてゴロ合わせを作っていました。
学習の目標としては、まずは、この労災保険法の選択式で出題されたような重要知識をマスターすることになります。
今回の選択式の出題を見ましても、やはり、数字関係が狙われることは多いです。数字関係と重要なキーワードについては特に注意して、当サイトやテキストを読み進めて下さい。
今回の選択式のDの「2年」やEの「5年」については、私個人の経験からも、例えば、労災保険法を学習している際は覚えているのです。
しかし、その後、年金法、健保法、一般常識と学習を進めていき、多くの数字関係に出くわすに連れて、この労災保険法の「2年」・「5年」の知識が薄れて行ってしまいます。このような点が、合格を妨げる大きな原因になります。
この「2年」・「5年」について、正解できなかった方は、どのような学習方法をとれば、これらの数字を本試験の会場において思い出せるようになるのかについて、じっくりご検討下さい。
テキストを反復学習するといった通常の学習方法の他には、例えば、ゴロ合わせで覚える、横断整理によって覚える、趣旨や沿革等の理解から記憶を引っ張り出してくる、といったような方法があると思います。
それぞれの方に適したやり方で結構なのですが、この「2年」・「5年」のように、単純な事項でも「正確に記憶していなければ合格できない」という事実は重要です。
資格試験の場合、最後は、記憶していたかどうかが合否の分かれ目になります。
多量の情報を記憶するためには、直前期に急に記憶し出しても危険です(安衛法など、一部、例外もあると思いますが)。
日頃から、記憶すべき事項を記憶しておいて頂き、直前期には、それらの事項を記憶できているかどうかについて全体を確認する時間をとって頂けますと、有用だと思います。
(2)択一式
問題は、今回の択一式です。労災保険法と徴収法の今回の択一式で、簡単だった問題は、問4(適用除外)、問5(通勤災害)及び徴収法の問8(賃金性)の3問程度ではなかったかと思まいます。従いまして、4問程度正解するのがやっとではないかという感触です。
今回の労災保険法の択一式の大きな特徴として、昨年に第5版が刊行された「社会保障判例百選」に掲載されている判例がテーマとされていることが多い点が挙げられます。また、アフターケアなど、実務上の知識が要求されるものもありました。
労災保険法の各設問の細かい解説については、インデックスでリンクしています本文をご参照下さい。
以下、メールでは超長文になり過ぎましたので、ここでは大幅に内容をカットしておきます。
問1は、今や恒例になったという感もあります業務災害の認定の事例問題です。
当サイトでは、Bのトラックのケースを除いて、他の4肢については、何らかの形で掲載していました。
さて、ここでは、問6の肢Aを取りあげておきます。
肢Aについては、厳密には、出題内容に疑義があります(以下、内容がかなり難しくなりますが、細部については、労災保険法の当該個所の学習の際に理解して頂けば足ります)。
設問は、【青木鉛鉄事件=最判昭和62.7.10】から出題されているものです(サイトではこちらで掲載しています。なお、損害賠償における損害の種類等については、こちらをご参照下さい)。
しかし、この判決は、「労災保険法による休業補償給付及び傷病補償年金」(その他に、厚生年金保険法による障害年金にも言及していますが、ここでは省略します)について、「同一の事由の関係にあることを肯定することができるのは、財産的損害のうちの消極損害(いわゆる逸失利益)のみであって、財産的損害のうちの積極損害(入院雑費、付添看護費はこれに含まれる。)及び精神的損害(慰藉料)は右の保険給付が対象とする損害とは同性質であるとはいえない」としており、「労災保険法の保険給付一般」について、設問のように判示しているわけではありません。
そして、他の最高裁判例のうち、例えば、【最判平成22.9.13】では、通勤災害による療養給付のケースについて、「治療費等の療養に要する費用〔=積極損害です〕・・・の元本との間で損益相殺的な調整を行う」としているため、療養(補償)給付について、財産的損害のうちの積極損害(例:治療費)も同一の事由による損害に含んでいます。
従って、「最高裁判所の判例の趣旨」からは、「労災保険法の保険給付と積極損害に係る損害賠償請求との調整が一切できない」というのではありません。
設問からは、最高裁判例の判例の趣旨は、「労災保険法の保険給付と積極損害に係る損害賠償請求との調整は一切できない」というものであるとも読みとれ、厳密には、正しくないといえます。
正確には、設問中、「・・・同一の事由の関係にあることを肯定できるのは、財産的損害のうちの消極損害(いわゆる逸失利益)のみであり・・・」とある部分は、「・・・同一の事由の関係にあることを肯定できるのは、原則として、財産的損害のうちの消極損害(いわゆる逸失利益)のみであり・・・」と下線部分を入れておくべきでしょう。
実際、筆者は、他の肢全部を読み終わるまでは、このAを誤りと判断していました。
もっとも、一般的には、労災保険法の保険給付(上記の通り、療養(補償)給付の他、介護(補償)給付や葬祭料(葬祭給付)を除きます)と積極損害に係る損害賠償請求との調整はできません。そして、他に明らかに誤りな肢がありますので、本問について、2重正解とまではならないでしょう。
その他の肢については、インデックスのリンク先で十分解説しておりますので、ご参照下さい。
では、次回は、労基法の労働契約の更新となります。
・平成29年9月2日(土曜)
さて、今回から、平成30年度版となります。
まずは、本試験問題の解説から開始です。
今回は、労基法です。労基法の本試験のインデックスが完成しましたので、詳細な解説は、こちら のリンク先の本文の解説をご覧下さい。
本試験の記憶が残っているうちに、是非、本試験問題を分析されて下さい。これが、次回に向けての最大の財産となります。
試験の結果が芳しくなく、次回の受験をどうされるか検討されている方もいらっしゃるかもしれません。
その場合、まずは、今回の本試験の分析まではやってみて下さい。せっかく1年間、頑張って学習されたのですから、その結果を分析して頂き、もう少し学習方法を変えれば合格できたのか、学習が足りなかったに過ぎないのかあたりをご検討頂き、今後の選択にお役立て下さい。
本試験問題の分析のごく大まかなチェックポイントですが、まずは、今回の試験問題が、ご使用になったテキスト(もちろん、当サイトでも結構です)のどこに記載があったのかを確認して下さい。
記載がなかった場合は、当サイトも含めたテキスト側の責任です。
記載があった場合は、紙ベースのテキストのときは、ご自分でマーカーを引くなどして、記憶すべき個所として明確にされていたか等を確認してみて下さい。
当サイトの場合なら、サイト側で赤字や太字等にして、記憶すべき場所であることを明確化していたかが重要になります。
合否を決めるのは、基本的には、いわゆる1冊本に記載されている事項を落とさずに、そこにどの程度上乗せができるかどうかになると考えられます。さらに、一般常識の選択式対策(白書対策)が重要です。
例えば、今回の労基法の択一式を例にしますと、問1の場合、C~Eは、一冊本にも記載がある知識でしょう。
AとBは、おそらく1冊本には記載がないでしょう。予備校のテキストなら、通常は記載があると思われ(この点は、私にはよくわかりませんが)、このAとBを判別できたかが、合否の多くのポイントのうちの一つとなるのでしょう。
当サイトでは、上記リンク先のインデックスでご覧頂けますように、このA及びBは図入りで記載していました。
従来、この変形労働制における時間外労働や振替え休日の処理については、事例問題は出題されたことがなかったのですが、出題対象になる論点ではありました。
繰り返しになりますが、まずは、いわゆる1冊本に記載されているような事項は確実にマスターすることが重要です。
ただ、1冊本の記載をマスターするには、残念ながら、1冊本だけ読んでいても足りないのです。1冊本に記載されている結論の背景を理解し、記憶する必要があるからです。
そのような作業のためにお役に立てるようにするのが、当サイトの使命となります。
以下、メール中では、今回の労基法の出題の分析をしましたが、長文過ぎるため、ここでは省略致します。
次回は、労基法の初回の更新です。
・平成29年8月24日(木曜)
試験も迫ってきました。
当日は、リラックスしつつ、この1年の成果をぶつけて来て下さい。
学習がほぼ順調に進まれた方は、知らない、わからないような問題に出会った場合に、動揺しないように、あらかじめ心の準備をしておいて下さい。
一定数は、やはり初見の問題が出題されてきます。落ち着いて、今まで蓄えた知識を総動員してより正解らしきものを見出して下さい。
学習の準備が進まれた方がわからないような問題は、他の受験生も正解できません。
学習が順調に進まれなかった方は、試験会場で、記憶が不鮮明なことに腹立たしさを覚えることもあるでしょうが、最後まで粘って下さい。
生活環境等の事情から、試験を受けられるのは今回が最後になるという可能性もあります(将来のことは、誰も予測できません)。このチャンスを最大限生かして下さい。
皆様が、力を出し切られることをお祈りします。
蛇足ですが、当日、都会の試験場などを除いては、外で昼食を買うことは難しいことが多いはずです。コンビニ等は、受験生で一杯になり、弁当が品切れになったり、人があふれて時間がかかるようなことがあります。また、暑い最中に、外まで買い出しに行くのは、体力的にもきついです。
そこで、当日の朝等に、近所のコンビニやスーパーなどで、あらかじめ昼食を購入しておかれるとよろしいです。夏ですので、傷まないように、例えば、菓子パン等と飲み物等になりそうですが(多分、飲み物は、試験会場の自動販売機でさほど問題なく購入できると思いますが、万が一のため、事前に用意はした方がよいです)。
昼食をあまり摂っても、眠くなることがありますので、そこそこの量で。
試験中、一定の時間を過ぎますと、トイレに行けます。
択一式の場合は、長時間ですので、途中、トイレ休憩をして気分転換することも有用です。顔でも洗われるとすっきりしますし、首の後ろ等を水で冷やすだけでも、リフレッシュします。うまくタイミングを見計らって、トイレ休憩も使って下さい。
当日は、1日が長いようですが、しかし、刻々と時間が過ぎ、1日が終わります。色々不安なことや心配なことは多いのですが、当日は、あっけないほど、すぐ終わってしまうのです。
ですので、必要以上に心配する必要はありません。というより、心配しても、1日はごく自然に過ぎ去っていきます。
そうなら、よい意味で、開き直った方がよいです。試験の結果がどうあろうと、命を奪われるわけではありません。余命3日ではないのです。
積極的に開き直って、思う存分あばれて来て下さい。皆様のご健闘を心よりお祈り致します。
・平成29年8月16日(水曜)
今回は、本年度の通常の更新のお知らせとしては最終回となります。一般常識のうち、法律科目のいくつかについて直前対策を作成しました。
目次は、こちらにあります。
今年度の通常の更新は、今回で終わります。
今回の一般常識の直前対策講座の最後にもご挨拶文を掲載致しましたが、1年間は長いといえども、いつの間にか終わってしまいます。
この1年、お仕事等と学習を両立され、「非常に大変だった」という感想をお持ちの方は少なくないかと思われます。
厳しい学習環境の中で1年間継続されたということだけで、本来、称賛されてしかるべきことです。
ただ、いよいよ本番になりました。最後を合格で締めくくることができれば、それがベストです。
受験を経験された方は実感されると思うのですが、本試験では、見たことのない設問が出題されたり、覚えていたはずの知識が思い出せなかったりして、とても合格できるとは思えないような状態の中、時間が進んでいくのが通常です。
試験中に数回は、不合格を意識するようなことがあるはずです。
多くの受験生の場合、正解を短時間ですぱっと導けるようなことは少なく、悪戦苦闘の中、問題文と格闘していくことになります。
残念ながら、悪問が出題されることも少なくなく、運試しのような選択式に唖然とすることもあります。
しかし、あきらめないで下さい。
「鮮明な記憶の下、今まで学習した成果が着実に答案に反映された」などという「綺麗」な本番をイメージしてはいけません。
実際の本番は、正反対になります。
つまり、「よくわからないことが多かったが、消去法など総合力を駆使して何とか正解らしきものを選んだ」という形になります。
現時点での知識を駆使して、執念で正解をひねり出して下さい。粘りに粘ることが必要です。
本番では、このように、まずは問題文に負けないというファイティング・スピリットが重要です。
ただし、一方で、冷静な目も必要です。例えば、国年法の択一式の場合、最後の方で、2~3問の長文の事例問題が出題されることが多くなっています。内容的にはさほど難しくはないのですが、時間がかかる点が厄介です。
しかし、仮に3問事例問題が出題されたとしても、この3問全部を正解する必要はありません。最低1問正解する心づもりで、3問中、最も取り組みやすそうなものから解いてみるといったクールな計算も必要です。
これは、国年法だけでなく、その他の科目の択一式でも同様です(選択式の場合は、時間不足になる危険性は少ないでしょう)。
なんとか6割、できれば7割を正解する計算で、「解くことができなそうな問題」かどうかを早めに見極めて下さい。難問に時間をかけてはいけません。
また、選択式は、例年、基準点割れの科目が出ます。従いまして、見たことがない問題が出題されても、冷静に構えて下さい。
2つの空欄を正解できるように最善を尽くすことになります。
問題文の隅から隅まで読み、また、この1年間に習得された知識・考えを総動員して、他よりもベターな選択肢を見つけて下さい。
当日に、皆様が力を出し尽くされることを、心よりお祈り申し上げます。
この1年、有難うございました。
・平成29年8月10日(木曜)
千葉北西部は、昨日は、恐ろしい暑さでしたが、一転、今日は、割合涼しいです。
また、ここのところ、連日、結構揺れる地震が異様に続いています(茨城あたりが震源らしいですが)。
最近は、東日本大震災の記憶もやや遠くなったような気もしますが、改めて、自然の力の怖さとともに、我々は「生かさせて頂いている」のだなぁという思いに至ります。
試験が迫ってきており、色々ストレスもたまりますが、発想を変えましょう!
試験を受けられること、実にラッキーなことです。幸運にも、試験にチャレンジできるのです。
自然災害に被災された方はもちろんのこと、心身に病気を抱えたり、育児・介護に追われたり、あるいは連日の仕事にへとへとになり、試験どころではない方が圧倒的なのです。
従って、無理をしない範囲で、ベストを尽くすことは、むしろ当然のことなのかもしれません。
皆様が、ベストを尽くされ、当日、力を出し切られますことを、心よりお祈り申し上げます。
さて、今回は、労働基準法の直前対策講座のアップのお知らせです。
今回は、少々予想が難しいです。ただ、ガイドラインはマークしておく必要があります。上記の直前対策講座の中で分析していますが、「ガイドラインから2つの空欄 + 3つの判例のうちいずれかから1つの空欄」という可能性を考慮しています。
色々な可能性はありますので、どのような形式・内容の出題がなされても対応できるように直前対策講座も準備しました。
細切れ時間でもご利用頂き、今回の直前対策をチェックしてみて下さい。
なお、今回は、労災保険法の直前対策講座は実施できませんでしたが、選択式に判例が出題されるとするなら、最有力候補は、こちらの【最判平成28年7月8日=行橋労基署長事件】(歓送迎会終了後の送迎行為の業務遂行性)になると思います。
判決文は、こちら以下です。細かい事案は不要でして、後半の4以下の赤字部分のキーワードを押さえて下さい(先にこの判決文の前に掲載しています「判決の概要」を読まれた方がわかりやすいかもしれません)。
では、次回は、一般常識の法律科目のいくつかについて、問題を作成します。来週発信の予定で、今年度の通常の更新のお知らせとしては最後となります。
・平成29年8月8日(火曜)
今回は、健康保険法の直前対策講座をアップしました。
今回は、選択式が12問、択一式が13肢になります。改正事項が中心ですが、その他の事項も含め、割合広範囲をカバーしています。
スキマ時間などに是非ご利用下さい。
次回は、労働基準法の選択式対策を行う予定です(今週中にはアップします)。その後、一般常識のいくつかの科目について若干択一式等作成する予定です。来週中には、これら直前対策講座を終了し、今年度の当サイトの更新は完了致します(その後も、メールによるお知らせ等は致します)。
残り2週間強になってきましたが、残り2日ではありませんので、まだ知識を整理できる時間はあります。苦手な個所を中心に、選択式を念頭においてキーワードに注目しながら、ざっとテキストを再チェックしてみて下さい。
ただ、暑さも厳しく、心身にこたえる環境ですから、あまり無理はせずに、過度にならない範囲で粘ってみて下さい。
・平成29年8月5日(土曜)
本日は、厚生年金保険法の直前対策講座をアップしました。
短時間労働者に関する問題が中心になっていますが、平成28年度分の改正事項に関する問題も若干含み、離婚時の年金分割の問題もあります。また、最後に、簡単な事例問題を1問掲載しています。
短時間労働者に関する問題の解説は、少々、「重たい」ため、ほどほどで結構です。
なお、前回の平成28年度分の「被用者年金一元化法」に関する改正事項については、基本的に、平成28年度版の直前対策講座をご利用下さい。今回の直前対策の冒頭においても、その中から特に重要な選択式をリンクしています。
では、次回は、健康保険法の予定です。
・平成29年8月3日(水曜)
国民年金法の直前対策講座のアップしました。
国年法の選択式は、国民年金基金あたりが出題されるとそう難しくはないのですが、前回の平成28年度分の改正事項(保険料関係)が出題されると厄介です。
今回の直前対策講座では、平成28年度分の改正事項についてもかなり触れていますが、似通った用語が多いことや内容自体が難しいといった問題があります。
表やゴロ合わせにより整理している個所がありますので、参考にして下さい。
今回の国年法の直前対策講座の中から、いくつかは出題されると思います。少しボリュームはありますが、スキマ時間にでもご利用下さい。
次回は、厚年法です。
・平成29年7月31日(月曜)
本日は、労働者派遣法の直前対策講座をアップしましたので、お知らせします。
実は、派遣法の平成29年度版が最後まで未改訂で残っており、やっと改訂が終了しました(改正があまりないので、後回しにしていました)。
併せて、直前対策として、出題可能性がある択一式3肢を作成しました。こちらです(直前対策講座のパスワードを入力して下さい)。
解説は、非常に詳しくしています。
平成28年度版の当サイトの派遣法では、出題が予想される重要事項(改正事項)として、(ⅰ)「派遣可能期間の見直し」及び(ⅱ)「労働契約申込みみなし制度」の2点を挙げていました。
平成28年度本試験の択一式(1肢のみの出題)では、(ⅰ)から「個人単位の期間制限」が出題されました。
今回は、(ⅱ)の「労働契約申込みみなし制度」が出題の最有力候補だと思います。
2番目の出題候補は、(ⅰ)のもう一つの期間制限である「事業所単位の期間制限」でしょう。
また、大穴としては、「特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等のための措置」を挙げておきます。
ただ、おそらく派遣法は、今回も1肢の出題でしょう。従いまして、あまり力を入れ過ぎるのは割に合いません。
まずは、今回の直前対策講座の3肢に絞ってチェックをして頂くと、よろしいでしょう。
なお、この前回の平成28年度の労働一般の試験では、久しぶりに派遣法から出題があったのですが(大きな改正があったためです)、そのほかに、これも久しぶりに育児介護休業法から1肢出題がありました。
今回は、育休法は大きな改正がありますので、あるいは2肢程度出題されるかもしれません。
育休法も、時間を見て直前対策を出題する予定です。
次回は、国年法の直前対策の予定です。 当てに行きます!
・平成29年7月29日(土曜)
直前対策講座の確定拠出年金法をアップしました。こちらです(パスワードをご入力下さい)。
選択式が6問(うち、確定給付企業年金法が1問ありますが、最後に掲載しています)、択一式が12肢の出題です。
択一式では、直近の改正事項以外の改正事項や改正事項以外についても出題しています。
かなり難しい問題が多いですが、要所の知識を暗記して下さい。
なお、その他、社会一般では、社労士法の出題の可能性は高いです。懲戒などを中心に全体を再チェックして下さい。
・平成29年7月26日(水曜)
雇用保険法の直前対策講座をアップしました。こちらです。
改正事項に絞り、選択式を7問の出題です。
改めて見てみましても、今回の雇用保険法は、改正だらけですね。改正事項だけで、7問すべて埋まってしまうほどです(楽に10問は作成できます)。
問題は、選択式にも改正事項が出題されるかです。
当サイトでは、出題されるとにらんでいます(改正事項が多いため、改正事項を避けて選択式を作成することのほうが難しいためです)。
ただ、最近の雇用保険法は、いくつかのテーマをより集めて出題してきますので(例えば、失業等給付のうちから数種類が出題されます)、改正事項だけで5つの空欄が作られることはなさそうには思えます。
今回の直前対策では、上記のような本試験の傾向とは異なり、1つのテーマ(給付)から1問を作っています。こちらの方が、知識の整理という点では有用かと思います。
今回の直前対策で(解説部分も含め)、主要な改正事項についてはカバーしています。足りない分は択一式を作ろうと思っていたのですが、先に他の科目に手を広げることを優先することし、次回は、確定拠出年金法の直前対策を実施します。
その後、国年法、厚年法、労基法が続き、育児介護休業法なども若干取りあげる予定です。
・平成29年7月23日(日曜)
パートタイム労働法をアップしました。こちら以下です(労働一般のパスワードをご利用下さい)。
パートタイム労働法は、平成26年に改正があり(まだ出題されていません)、また、働き方改革との関係で改正が噂されていることからも、択一式用にチェックされると安全です。
重要な個所については、平成28年度版の直前対策講座の問題をそのまま利用して確認頂けます(こちら以下)。
今週中には、雇用法の直前対策の前半あたりを公開できそうです。
・平成29年7月21日(金曜)
さてさて、怒涛の忙しさですが、なんとか労働組合法のテキストが完成しました(構想15年(途中、中断あり)、作成は年末に2か月ほどかかっていますので、計4か月です)。
参照した資料もほぼ最新版です(菅野先生のテキストは、補正版は間に合わず第11版ですが、川口美貴先生のテキスト内容は盛り込んでいます。また、労働法判例百選と労組法コンメも最新版です)。
ただし、この直前期に会員の皆様にこのテキストをそのままご覧頂くのは最終段階の学習スケジュールに支障を及ぼしかねませんので、労組法の直前対策講座も作成しました。
この直前対策講座において、ほぼ労組法全体をカバーしており、テキストは読まないでも支障がないようになっております。従いまして、労組法のテキストは、読まなくて結構です。
労組法は、近時は、択一式で判例が出題されることが多いため、この直前対策でも、判例の択一式を中心にしています(24問あります)。
ただし、基礎知識も必要となるため、まず、条文編として、労組法の重要条文について9問、選択式を作成しています。
これらは、直前期の通常の学習のスキマ時間でも利用して眺めて頂くだけでも有用だと思います。
この直前対策講座で取り上げています労組法の判例については、労組法をあまり学習されていない方の場合は、かなり難しいと感じられると思います(労働法の中で、最も難しい科目の一つが労組法なのです)。
ただ、一度でも判旨や判決文の要約などを読んだことがありますと、結構記憶に残りますので、試験会場で初見のまま解くのとは、ずいぶん違ってきます。
もっとも、労組法の出題が多いわけではありませんので、あくまでメインの学習の合間にこの直前対策をご利用下さい。
(判例編の冒頭で、要注意判例を6つ指摘していますので、参考にして下さい。)
では、次回から、直前対策講座のアップ情報が続きます。
・平成29年6月19日(月曜)
一 健保法の最終回(第8回目)の更新について
健保法は、「保健事業及び福祉事業」まで解説をしておりますので、今回は、「日雇特例被保険者の保険」以降、最後までの解説となります。
・更新開始ページ=「日雇特例被保険者の保険」のこちら からです。
・更新終了ページ=健保法の最後までです。なお、こちらの「医療保険制度改革法による健康保険法の改正のまとめ」についても改訂し、今年度の試験対策用に出題されそうな個所を珪砂していますので、ご参照下さい。
今回は、大まかには、以下の(一)~(三)の事項が対象です。
(一)日雇特例被保険者の保険
(二)費用(財政)
1 国庫負担、国庫補助
2 保険料(日雇特例被保険者の保険料を含みます)
3 強制徴収の手続
(三)その他=不服申立て、消滅時効、罰則等
順にポイントを見ます。
(一)日雇特例被保険者の保険
日雇特例被保険者の保険については、こちらの過去問からは、雇用保険法の日雇労働被保険者のようには出題は多くなく、また、さほど細かい知識が問われているわけでもありません。
もっとも油断は禁物ですので、基本的知識を押さえることが目標になります。当サイトが赤字にしている個所、ゴロ合わせを作っている個所、図表がある個所にウエイトをおいて学習して下さい。
骨組みとしては、こちらに図を掲載していますが、今まで学習しました「一般の被保険者」との場合と同様の体系に沿って整理できます。
1 主体
(1)保険者
保険者については、こちらのページで、厚生労働大臣が行う業務、その委任・委託の問題、指定市町村長又は指定市町村が行う事務の問題に関して、細かい知識があるのですが、ほとんど出題されていません。ただ、こちらの「厚生労働大臣が行う業務」については記憶しておいて頂いた方がよろしいです。
(2)日雇特例被保険者
日雇特例被保険者については、こちらの(資格取得の)要件を押さえます。この下部に「日雇労働者」の要件も記載しており、このページは、全体を押さえて下さい。
(3)日雇特例被保険者手帳
日雇特例被保険者手帳は、結構、重要だと思うのですが、あまり出題がありません。こちらのページを上からざっと見て頂いて、赤字部分を押さえて下さい。
仮に出題されるとするなら、「返納」(こちら)の可能性が高いような気がしますので、「返納」は少しじっくりお読み下さい。表がありますので、この赤字部分を記憶して頂ければ結構です。
(4)被扶養者
被扶養者(こちら)については、届出関係について、やはり赤字部分はチェックして下さい。
2 客体
賃金の関係(こちら)については、出題しやすそうなのですが、出題はあまりありません。
ただ、賃金の定義(「臨時に受けるもの」も、賃金に含まれることに注意です)や賞与額の決定方法(千円未満の端数は切り捨て、上限は40万円)といった基本的知識は、いつ出題されてもおかしくなく、記憶する必要があります。
やはり、当サイトの赤字部分を押さえて下さい。
3 保険給付
保険給付については、療養の給付のこちら以下で、「保険料納付要件」や「受給資格者票」といった重要知識を掲載しています。
「療養の給付」の他、「傷病手当金」、「出産に関する保険給付」及び「特別療養費」の出題が多いため、これらの給付を重点的にチェックして下さい。「前4月間に通算して26日分以上の保険料の納付」などの、主に数字関係が押さえどころです。
次に、費用です。
(二)費用(財政)
(Ⅰ)国庫負担、国庫補助
国庫負担、国庫補助は、出題も多く、重要です。じっくりお読み下さい。
国庫補助については、改正があり、こちらの図の(B)の部分について、「後期高齢者支援金」及び「前期高齢者納付金のうち給付費以外の部分」に係る国庫補助が廃止されました。平成29年度から総報酬割へ全面的に移行したことに伴うものです。詳細は、こちら以下です。
こちらの第153条は、選択式で出題可能ですので、黒字部分を通して読んでみて下さい。この第153条の第2項が上記の改正部分であり、「後期高齢者支援金」等に係る国庫補助の部分が削除されています。
(Ⅱ)保険料
保険料については、まず、一般の被保険者に関する保険料から見ます。
1 一般の被保険者に関する保険料
重要な個所が多く、十分チェックして頂く必要があります。
(1)概要
概要は、こちらのページでまとめています。
保険料の取扱いについてのまとめは、こちらの表です。
(2)主体
(ア)徴収権者
徴収権者の関係(こちら)は、今のところは、あまり出題がありませんが、赤字部分はチェックして下さい。
(イ)保険料の納付義務者、負担義務者
保険料の納付義務者、負担義務者(こちら)については、赤字部分等が出題されています。
(ウ)保険料の免除
保険料の免除は、こちらの3種類がありますが、いずれも出題が多いです。
ただ、「育児休業等期間中の保険料の免除」と「産前産後休業期間中の保険料の免除」については、すでに厚年法で学習したものとほぼ同じですから、復習程度の学習になります。
(3)客体=保険料
(ア)保険料の種類
健保法の保険料については、色々種類があり、混乱しますが、こちらの表を参考にして下さい。
(イ)保険料額
保険料額については、こちらの図で整理しています。
この図の下の「特定被保険者に関する保険料額」は、特に出題が多く、力を入れて下さい。
(ウ)保険料率
保険料率については、こちらの図でまとめています。こちらの図の赤字部分が最低限の基本知識です。この次の頁以下で、その他の赤字部分もチェックして頂き、知識を補強して下さい。
保険料率については、選択式でも出題が多いため、こちらの第160条の色がついているキーワードをチェックして下さい。
(4)手続
保険料に係る手続に関しては、厚年法の場合と同様のものが多いです。
(5)任意継続被保険者
任意継続被保険者(特例退職被保険者)に関する保険料の問題は、こちらでまとめて整理しています。
2 日雇特例被保険者に関する保険料
日雇特例被保険者に関する保険料(こちら以下)については、こちらの過去問の通り、出題個所が割と特定されています。
例えば、「1日において2以上の事業所に使用される場合においては、初めにその者を使用する事業主が保険料納付義務を負うこと」は頻出であり、また、数字関係が狙われることが多いです。
この過去問を参考にしながら、本文の赤字部分を中心にざっと一読して下さい。
(Ⅲ)強制徴収の手続
強制徴収の手続(こちら以下)については、厚年法で学習した内容とほぼ同様です。「保険料の繰上徴収」と「延滞金」については、特に注意です。
(三)その他=不服申立て、消滅時効、罰則等
1 不服申立て
不服申立て(こちら)については、ボリュームを絞っていますので、他法の不服申立てより読みやすいと思います。
もっとも、本試験では、この健保法の不服申立ての個所で、社審法についての細かい知識が出題されることが少なくありません。
国年法及び厚年法で社審法は網羅していますので、健保法の過去問でよくわからないものは、当該個所のリンク先を参考にして下さい。
2 消滅時効
消滅時効の期間(こちら)や起算点(起算日。こちら)は、頻出ですので、押さえます。
3 罰則
罰則(こちら以下)については、さしあたり、「秘密保持義務違反に関する罰則」が健保法を含む医療保険法上最も重い罰則であり、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が適用されることを記憶して下さい。
以上で、健保法は終了です。
これにて、一応、当サイトの基本7科目の改訂は終了となりました。大変、長期間でしたが、有難うございました。
では、休んでいる暇はありませんので、次に、労組法の一部をアップしましたので、若干、注意点に触れておきます。
二 労働組合法の更新(初回)について
今回は、こちらの「設立」というページの最後までの更新となります(労働一般のパスワードをご使用下さい)。
細部については、メールでお伝えしました。
労組法のテキスト作成に専念しますので、次回の更新までは、少々お時間がかかりそうです。
・平成29年6月9日(金曜)
さてさて、6月もはや初旬を過ぎますが、本試験日を意識するような季節になってきました。
学習の進捗状況が芳しくない方も少なくないかと思いますが、あきらめてはいけません。まだ3か月はあります。
一般常識など、まだカバーができていないような個所については、1冊本等を使用して、できるだけ早く、全体を読んで頂き、かつ、反復して記憶して下さい。まずは、過去問がある個所とその周辺から固めていきます。
7月の後半あたりから8月に入りますと、今までの知識を整理しつつ、記憶が不鮮明な個所を徹底的に記憶する作業が中心になります(時間があれば、模擬試験などを細切れに解いて、知識の確認と問題慣れをしておきます)。
いずれにしましても、これらの真の直前期は、あまり理由づけを考えているような余裕はなく、ひたすら記憶と記憶の確認の作業をすることになります。
今は、まだ余裕がある時期です。学習状況に応じ、直前ではできないようなことも含め、今やっておくべき事項に時間を割いて下さい。
では、更新内容です。今回で、健保法は、保険給付をすべて終わります。確定給付企業年金法は、前回、前半をアップしましたので、今回は、残り後半の公開です。また、確定拠出年金法の序論のみをアップします。
一 健保法第7回目の更新
前回は、家族訪問看護療養費まで更新しましたので、今回は、高額療養費から開始し、保険給付を終えて、保健・福祉事業までアップします(日雇特例被保険者の保険の手前までです)。
・更新開始ページ=高額療養費のこちらから。
・更新終了ページ=保健・福祉事業のこちらのページの最後まで。
以下、ポイントです。
(一)高額療養費
高額療養費は、厄介な個所です。
ただ、「高額療養費算定基準額」の表を覚えてしまえば、かなりの見通しはつきます。この表を覚えられるかどうかが大きなポイントです。その点では、雇用保険法の「所定給付日数」の表と親戚のようなものです。
前回の選択式では、「70歳未満の者」に係る高額療養費算定基準額に関する問題が出題されました。これは、平成27年1月1日施行の改正を受けた出題であり、平成27年度の試験では出題されずに、前回平成28年度に出題されたものです。
今回は、高額療養費の選択式は、多分、ないでしょう。ただ、択一式における計算問題風の出題は、十分、ありえます。
ちょうど、平成29年8月からは、「70歳以上の者」に係る高額療養費算定基準額の改正がありますので(本試験の際には改正されていますが、施行日との関係から、今回の試験対象には含まれていません。なお、平成30年8月にも再改正があります)、「70歳以上の者」のケースの「高額療養費算定基準額」もきちんと記憶しておいて下さい。
高額療養費の制度の概要については、こちらのページ1枚を使って、かなり細部まで触れています。まずは、このページを把握して頂くとよいです。
高額療養費の計算問題以外については、過去問に出題された断片的知識を押さえておけばよろしいと思います。過去問は、こちら以下でまとめて掲載しています(若干、本文中で紹介している過去問もあります)。
(二)高額介護合算療養費
高額介護合算療養費(こちら)も、少し注意して下さい。従来、それほど出題が多いわけではないのですが、前回の【平成28年問3A】では、高額療養費の算定方法と比較する形で出題されています。
ポイントは2点です。
1 キーワード
まず、選択式対策です。こちらの第115条の2の色付き文字の部分(主に介護保険法関係の用語になります)は、チェックして下さい。
問題は、こちらの施行令第43条の2第1項あたりが選択式の素材になるのかどうかです。
この条文は、便宜的な専門用語が多く登場しており、例えば、「70歳以上介護合算一部負担金等世帯合算額」の個所を空欄にするというのは考えにくいと思います。
しかし、「支給基準額」、「介護合算算定基準額」、「介護合算按分率」、「前年8月1日から7月31日までの期間」といった1冊本でも掲載されているようなキーワードについては、押さえておく必要があります。
ただ、この施行令第43条の2第1項は、かなり読みにくいため、まずは、本文をお読み頂き、本文によって、上記の用語を理解・記憶して頂ければ足りると思います。
2 介護合算算定基準額
介護合算算定基準額は、まだ出題がありませんが、選択式で出題が可能です。こちらの表の(A)と(B)の部分の数字を記憶して下さい。一応、ゴロ合わせも記載していますが・・・。
(三)移送費、家族移送費
移送費(家族移送費)についても、本文をお読み頂く必要があります。
支給要件については、こちら以下の2つの条文の要点を記憶して頂き、支給額については、こちらの施行規則第80条の赤字のキーワードを記憶して下さい。後者の「最も経済的な通常の経路及び方法により移送」という部分は、丸暗記が必要です(本文中でも触れていますが、労災保険法の通勤災害における「通勤」の要件とやや表現が異なる個所がありますので、注意です)。
手続についても、申請書に「医師又は歯科医師の意見書」の添付が必要になる点に注意です。この医師等の意見書の添付は、他に、家族移送費、傷病手当金及び出産手当金で登場します(各リンクは、こちらです)。
(四)傷病手当金
傷病手当金は、最重要個所の一つです。念入りに、当サイトをお読み下さい。
1 発生
いわゆる医療保険制度改革法により、平成28年4月1日施行の改正が行われましたが、傷病手当金については、支給額関係(こちら以下)と支給調整の関係(こちら以下)が改められています。前回の試験では、出題されていませんので、改正個所も十分チェックして下さい。
なお、支給額については、同様の改正が行われた出産手当金の方で、出題はありました。
支給額について、こちら以下の「標準報酬月額の算定方法の特例」(これも上記の改正部分です)は、かなり細かいのですが、どこかで読んだことがある程度には押さえて下さい(なお、出産手当金の場合も、パラレルな規定があります)。
合併、分割及び解散に係る標準報酬月額の合算については、「健康保険組合の合併、分割又は解散により権利義務の承継があった場合について(従前の保険者(健保組合)の権利義務がそのまま承継されることから)、従前の保険者により定められた標準報酬月額も利用する」、という程度を押さえておきます。
その他、「任意継続被保険者である期間も含む」、「同一の月において2以上の標準報酬月額が定められた月があるときは、当該月の標準報酬月額は直近のものとなる」という断片的な知識を覚えて下さい。
また、傷病手当金や出産手当金については、手続の問題(医師、事業主の証明書の添付等。こちら以下)も、注意です。過去問が出題されている個所の記載をしていますので、出題個所を中心に押さえて下さい。
2 変更
傷病手当金の支給調整については、複雑なことから、まず、こちらのページで基本的事項を記載し、より細かい事項も含めた全体は、次のこちらのページで記載しています。
ひととおり概要をつかんで頂き、こちらの第108条の第1項から第5項までは、条文自体からも理解ができるようにしておいて下さい。
なお、こちらの【注】でも触れていますが、この第108条の第6項は、立法ミスがあります。従って、この第6項の「保険者による年金保険者に対する必要な資料の提供の求め」の規定は、おそらく、本試験では出題できないと思いますので、第6項に深入りする必要はありません。
(五)死亡に関する保険給付
死亡に関する保険給付として、「埋葬料(又は埋葬費)」及び「家族埋葬料」が問題になります(こちら以下)。
ここも、当サイトをお読み頂く必要があります。ゴロ合わせを記載していますが、結構、これでカバーできる範囲が多いです。
(六)出産に関する保険給付
出産に関する保険給付も重要であり、当サイトを熟読して下さい。若干、ポイントに触れます。
1 出産育児一時金
出産育児一時金については、こちらの部分の知識がコアの部分であり(支給額が中心です)、後は、過去問を参考に、もう少し知識を上乗せして下さい。
2 出産手当金
出産手当金(こちら以下)も、非常に重要です。当サイトをくまなくお読み下さい。
(七)資格喪失後の保険給付
資格喪失後の保険給付(こちら以下)も、重要です。当サイトの熟読をお願いします。ポイントは、次の通りです。
1 傷病手当金又は出産手当金の継続給付
資格喪失後の傷病手当金又は出産手当金の継続給付(こちら)は、支給要件、支給額とも、覚えるのは大変ではありません。
ただ、支給要件について、「資格喪失後の傷病手当金又は出産手当金と任意継続被保険者又は特例退職被保険者との関係」といった、ややわかりにくい問題があります。当サイトの説明を参考にして下さい。
2 資格喪失後の死亡に関する給付=資格喪失後の埋葬料(埋葬費)の給付
資格喪失後の死亡に関する給付に関する給付については、支給要件が面倒ですが、ポイントは、「3か月以内」に死亡という点です。
3 資格喪失後の出産育児一時金の給付
資格喪失後の出産育児一時金の給付については、「1年以上被保険者であった者(被保険者の資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除きます)であった者)が、被保険者の資格喪失日後6月以内に出産したとき」という支給要件のうち、「1年以上」・「6か月以内に出産」という数字関係を中心に押さえて下さい。
(八)保険給付の通則
保険給付の通則(こちら以下)は、第三者行為災害や受給権の保護等など、他法で学習しました知識をベースにできるものが少なくないです。
健保法で特有な事項としては、まず、併給の調整があります(こちら)。過去問では、公費負担医療との調整について、細かい難しい出題がなされていることがありますが、出題は多くはなく、余り深入りしない方がよいです。
次に、給付制限(こちら以下)は、押さえる必要があります。あまり出来が良くないですが、当サイトのゴロ合わせのように、一括して重要知識を記憶しておきますと、本試験に対応しやすいです。
(九)保健事業及び福祉事業
今回の健保法の最後ですが、保健事業及び福祉事業(こちら)は、注意して下さい。第150条は、医療保険制度改革法により改正されており、択一式の他、選択式でも出題しやすく、こちらの条文の赤字部分を記憶して下さい。とりわけ、改正により新設された個所である第1項の「健康管理」、「疾病の予防」、「自助努力についての支援」というキーワードには注意です。
以上、健保法の更新内容でした。
続いて、確定給付企業年金法です。
二 確定給付企業年金法
前回、保険給付の通則まで更新しました。今回は、残り前部と確定拠出年金法の序論のみの更新です。
・更新開始ページ=老齢給付金のこちらから。
・更新終了ページ=確定給付企業年金法の最後まで。
・さらに、確定拠出年金法の「総則」のみ(こちら のページの最後まで)を更新します。
さて、メールでは、確定給付企業年金の基礎知識について解説致しましたが、ここでは時間の都合上、省略させて頂きます。
では、次回は、健保法の最終回となります。
・平成29年5月31日(水曜)
いよいよ5月も終わりです。当サイトも猛ダッシュをかけています。
ともかく、勝負はこれからの数か月です。悔いのないようベストを尽くすのみですね。
さてさて、今回で、やっと厚年法の改訂が終わります。これで、こちらの「更新のお知らせ」の文章量もぐっと減ります。
また、今回から、企業年金2法のアップを開始します。まずは、確定給付企業年金法からです。今回は、中途半端なのですが、給付の通則のあたりまでです。確定給付企業年金法の約半分程度です。
まずは、厚年法の残りの基金関係から始めます。
一 厚年法の最終回(第12回目)の更新について
・更新範囲=基金の初めのこちらから厚年法の最後までの更新となります。
何度か触れていますが、厚生年金基金及び企業年金連合会については、平成25年に大改正が行われました。
同改正後は、厚生年金基金の新設は認められないことになり、同改正法の施行日に現存する厚生年金基金等については、「存続厚生年金基金」として例外的に存続が認められますが、存続基金の解散や代行返上を促進する制度等も定められました。
企業年金連合会についても、平成25年改正法の施行日に現存する企業年金連合会は存続連合会として存続が認められますが、確定給付企業年金法に基づく新たな企業年金連合会(以下、「新企業年金連合会」といいます)の成立時に存続連合会は解散するものとされ、経過的制度となりました(業務についても、新企業年金連合会へのスムーズな移行の見地から、存続基金の代行部分(責任準備金相当額)を新たに引き受けることは認められなくなりました)。
この平成25年の改正前の本試験においては、基金は出題が多く、かなり細かい知識も出題され、厚年法のうち嫌な分野でした(基金は情報量が多く、学習に非常に時間がかかったのです。厚年法の学習の最後に地獄が待っていたというイメージです)。
しかし、平成25年の改正後、3回の本試験があったのですが、基金関係はまったく出題されなくなりました。
さすがに3年連続まったく出題がないという状況からは、基金関係の学習のウエイトは落とさざるを得ません。
例えば、経過的に存在している「脱退手当金」という制度がありますが、5年に1度くらい、択一式で1肢程度の出題があります。基金も、そのような出題ランクに下がったように見えます。
ただ、平成25年の改正により新設された特例解散という制度(自主解散型基金・清算型基金の制度)があり、これは施行日から5年間の時限措置であるため、平成31年3月31日までの適用となります。
今回と来年度の試験対象には入っており、基金から出題されるとするなら、この特例解散の可能性が高いと踏んでいます。
従来から、特例解散の出題を予想しつつ対策を立てているのですが(平成27年度試験の直前対策講座では、こちらの選択式を作っていました(今回、条文のリンクをつけましたが、スルーして下さい))、依然として出題されていません。
ただし、選択式は出題しにくいかもしれません。さすがに3年連続無出題の後に、いきなり選択式というのは暴力的です。
択一式の出題なら、仮に1題(5肢)の出題があっても、捨て問にすれば足ります。まして1肢程度の出題だとするなら、基金関係は、あえて学習する必要はないとも言えます。
ではあるのですが、本試験では、何が起きるか予測不能なことに鑑み、最低限、押さえておかれると安心な知識のみをこちらの下部で列挙することとしました。
時間的余裕のない方は、このページの赤字部分だけ押さえておいて下さい。体系的に押さえる必要はなく、断片的な知識の暗記で足ります。例えば、合併、分割、解散等の代議員会における議決の要件は、4分の3ではなく、「3分の2」です(対して、健康保険組合の組合会議決による合併、分割、解散等の要件は、組合会議員の定数の「4分の3」以上の多数による議決です。合併等の組織変動については、4分の3が原則であり、存続基金の3分の2は、解散を促進するために例外的に要件を緩和したものです)。
このような断片的知識をいくつか習得して下さい。
なお、基金関係は出題がないといいましたが、厳密には、前回の平成28年度の一般常識(【平成28年問8E】。科目ですと、確定給付企業年金法です)の択一式において、新企業年金連合会が出題されています。厚年法のこちらで掲載しています。
この新企業年金連合会は、確定給付企業年金法に基づくもので、やはり平成25年改正により新設されたものです。しかし、まだ設立されていず、また、いつ設立されるかも不明なものです(現在は、従来の企業年金連合会が、前述の通り、「存続連合会」として制限的に業務を行っています。存続連合会が解散して、業務を新企業年連合会に引き継ぎます)。
この【一般常識 平成28年問8E】は、必ずしも新企業年金連合会の知識がなくても、存続連合会の若干の知識があれば、連想できる問題でした(また、この問8は、他に正解となる肢がわかりやすかったため、結果的に本肢の知識がなくても大丈夫でした)。
さしあたり、新企業年金連合会について、深く学習する必要性はなさそうに思います。確定給付企業年金法や確定拠出年金法は、改正事項がありますから、そちらの学習を優先とすべきでしょう。
以上で、厚年法の改訂を終わります。
二 健保法の第6回目の更新について
次に、健保法です。今回から保険給付に入ります。保険給付の前半として、家族訪問看護療養費までの更新です。
・更新開始ページ=保険給付の最初のページのこちら。
・更新終了ページ=家族訪問看護療養費のこちらのページの最後まで。
健保法の保険給付も、手続等について、ややこしい個所はあり、また、高額療養費は厄介ですが、厚年法の保険給付と比較しますと、全体的にはストレスなく学習できます。
各保険給付のポイントについても、サイト上の記載の他に、あまり付言するようなことも少ないです(つまり、ほとんどサイト上で語り尽くしています)。
今回の更新範囲では、入院時食事療養費について少々注意があります。
入院時食事療養費では、高額療養費に関する条文(施行令第41条、第42条等)が使用されることがあります(入院時生活療養費についても同様です)。
例えば、入院時食事療養費の食事療養標準負担額については、こちらの表のようになりますが、減額対象者については、最終的には、高額療養費に関する施行令が根拠になっています。
また、食事療養標準負担額の減額を受けるためには、「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付を受ける必要がありますが、この「限度額適用・標準負担額減額認定証」に関する条文についても、高額療養費の条文が関係してきます。
しかし、この高額療養費に関する施行令(施行令第41条、第42条等)は、長文で非常に厄介な条文です。従いまして、食事療養標準負担額の個所では、あまりこれらの高額療養費の条文には深入りしないようにして下さい。時間をとられるばかりで、点数につながらない非効率な個所です(もっとも、当サイトでは、前掲の施行令第41条等についても、全文を掲載し、当該条文が引用している他の条文もほぼすべてにリンクをつけ、引用されている条文の内容についても一言で紹介しています。従って、六法よりはるかに楽に読むことはできます。)。
その他は、サイトをベースに学習して頂ければ結構です。
三 確定給付企業年金法の第1回目の更新について
最後に、確定給付企業年金法の更新のお知らせです。
今回は、少し中途半端な更新となり、総則、主体、実施、機関及び給付の通則までを更新します。
解説の方は、次回等に確定給付企業年金法の全体のアップが完了する際に、まとめて行います。今回は、改正事項について、若干触れておきます。まず、更新範囲からです。
・更新開始ページ=確定給付企業年金法の最初のこちらのページから。
・更新終了ページ=「給付の通則」のこちらのページの最後まで。
確定給付企業年金法及び確定拠出年金法(当サイトでは、簡略化して「企業年金2法」といいます。サイト上でも言及していますが、確定拠出年金の個人型年金は、厳密には、企業年金ではありませんが、慣例上、これら2法を企業年金2法ということが少なくありません)は、かなり重要です。
本試験においても、ほぼ毎年度、どちらか(年度によっては、両者が出題されることもあります)が出題されています。ここ数年は、交互に出題されており、その順番からすると、今回は「確定拠出年金法」の順番ということになります。
確定拠出年金法は、ちょうど、重要な改正もあるため、十分な準備が必要です。
そして、社会一般の場合は、法令科目から選択式が出題されることが多いですから、ズバリ、今回は、確定拠出年金法の選択式における出題を考慮しておく必要があります(社会一般の選択式の最有力候補・筆頭だと思います)。
また、近時の社会一般では、様々な科目から選択式の素材を選んでくることが多く、確定給付企業年金法も併せて重視しておいた方がよいです。なにしろ、この企業年金2法は、いまだに目的条文(それぞれの第1条)が選択式で出題されていないなど、出題の宝庫になっています。
企業年金2法は、膨大な情報量があるのですが、択一式の過去問では、さほど細かい知識は出題されていません。
そこで、基本的知識や基本的なキーワードを中心に学習することになります。基本的知識としては、こちらの表の知識がイメージできれば大丈夫だと思います。
この表をイメージするには、当サイトの本文で少し細かい事項もお読み頂く必要がありますが、細かい事項は記憶しないで流し読みで結構です(また、条文をあちこち掲載し、リンクもつけていますが、「お読み下さい」という条文以外は、スルーして頂いて結構です)。
この表をベースに知識を作ったら、もう少々知識を上乗せすれば大丈夫でしょう。
なお、確定給付企業年金法における改正事項としては、「リスク分担型企業年金」の創設等があります。
今回の更新範囲では、こちらで言及しています。次回に更新予定の「掛金」の個所でも、「リスク対応掛金額」等が登場しますので、詳細は、次回に解説します。
あまり細かい知識は必要ないという過去の出題傾向からしますと、リスク分担型企業年金についても、概要と用語を押さえておけば足りそうです。
では、次回は、健保法と確定給付企業年金の第2回目の更新となります。
・平成29年5月20日(土曜)
今回で、厚年法は、基金の手前まで改訂を終了します。ほどなく厚年法全体の改訂が終了となりますが、近時の出題傾向からしますと、実質的には、厚年法は、今回で改訂が終了といえそうです。
健保法は、給付担当機関と報酬関係の更新です(保険給付の手前までです)。
では、厚年法から順に更新内容のポイントを簡単に見ます。
一 厚年法の第11回目の更新
今回は、費用とその他の雑則(不服申立てや罰則等)の更新となります。
・更新開始ページ=「費用」のこちらから。
・更新終了ページ=「罰則」のこちらの最後まで。
基金の手前までの更新となります。
ところで、今回の厚年法の選択式の出題候補としては、(ⅰ)短時間労働者に関する改正関係(健保法とどちらかで出題可能性あり)、(ⅱ)被用者年金一元化法による改正関係(例えば、実施機関の定義、退職時改定、2以上期間者など)、(ⅲ)離婚時の年金分割の関係(これは前回のメールでご紹介しました)に加え、今回取りあげます(ⅳ)費用関係が挙げられるのではないかとにらんでいますが、皆様の感触はいかかでしょうか。
これらについては、直前対策講座で予想問題を作ります(もっとも、上記の(ⅱ)の一元化法関連については、前回の平成28年度版の直前対策講座においてほぼ網羅してしまっており、若干の追加しかなさそうです)。
以下、今回の更新内容です。
(一)費用(財政)
費用については、次の事項を学習します。
1 総論
2 国庫負担
3 積立金
4 交付金及び拠出金
5 保険料
6 強制徴収の手続
国年法も含め、国庫負担や積立金等の関係は、周期的に選択式で出題されています。
今回の更新範囲についても、被用者年金一元化法により改正された個所が少なくなく、要注意の個所があります。
上記の1~4については、条文をベースに学習して頂き(この点で、あまり条文を重視しない厚年法の他の個所の学習方法と異なります)、条文中のキーワードを押さえて下さい。
以下、順に見ます。
1 総論
総論のこちらのページは、内容的には、すでに国年法の費用の総論の個所で触れた事項が多いため、あまり細かく読まないで結構なのですが、ページの上部から条文の個所だけ追ってキーワードをチェックして下さい。各条文中の赤字のキーワードが思い出せるかを確認して下さい。
上記ページにおいて特に注意すべき条文は、次の2つになりそうです。
・第2条の2(年金額の改定)=年金額の改定の際に考慮する事情として「賃金」が明示されていることに注意です。国年法の年金額の改定の規定と異なります。
・第34条(調整期間)=この第34条は、選択式の素材の候補になります。
サイト中で赤字にしている「年金特別会計の厚生年金勘定の積立金」、「実施機関積立金」、「政府等」という3つのキーワードに注意して下さい。
後2者は、被用者年金一元化法により改正・追加されたキーワードです。
後で触れます「積立金」の個所でも登場しますが、「実施機関積立金」と「特別会計積立金」という2種類の積立金の用語は、記憶必須です。
なお、「年金特別会計」については、積立金に関する別の条文に関してですが平成13年度の記述式で出題されています。
2 国庫負担
国庫負担(こちら以下)については、まず、こちらの第80条を押さえて下さい。条文中に赤や紫の色がついてるキーワードがありますので、これを押さえます(なお、紫より赤字の方が重要度が高いです)。
その他の事項ですが、基礎年金拠出金については、基本的には、国年法で学習しました。
厚生年金保険の保険給付費に対しては、原則として、国庫負担は行われません。例外があり、「昭和36年4月1日前の第3種被保険者であった期間」については、2度、択一式で問われていますので、一応、チェックして下さい。
3 積立金
積立金(こちら)は、重要です。費用関係から選択式が選ばれるとするなら、このページの条文が危ないです。
前記リンク先のページの条文(字下げしている条文や色付き文字がない条文を除くすべての条文)をチェックして下さい。ここでも、キーワードに色がついていますので、この部分を押さえます。
あまり深い理解は必要なく、選択式用にはキーワードを押さえて、択一式用には当該条文の概要・雰囲気をつかむという学習方法になります。
なお、積立金の全体構造は、こちらとこちらのふたつの図を参考にして下さい。
前記リンク先のページの条文のうち、とりわけ要注意の条文を掲げます。
・第79条の2(運用の目的)=この積立金の運用の目的を定める第79条の2は、「出題の総合商社」のような様相です。サイトの条文の通り、色付き文字が多数あります。
被用者年金一元化法の施行に伴い、積立金は、厚生労働大臣が管理運用を行う「特別会計積立金」と厚生労働大臣以外の実施機関(共済組合等に係る実施機関)が管理運用を行う「実施機関積立金」に区分され、これらの積立金の定義等が前記第79条の2で規定されています。
・第79条の3(積立金の運用)=この条文は、平成26年度の選択式で出題されていますが、その後の一元化法の施行により、「特別会計積立金」、「実施機関積立金」という新用語が登場していますので、引き続き注意です。
・第79条の4(積立金基本指針)=この条文は、第1項と第2項第3号に色付き文字があります。ここを押さえて下さい。
以下の条文も、色付き文字部分を押さえます。
・第79条の5(積立金の資産の構成の目標)
・79条の6(管理運用の方針)
どの条文が出題されるかは微妙ですが、これらの条文を読んで頂くと、危なそうないくつかのキーワードが浮かび上がってくると思います。
4 交付金及び拠出金
交付金及び拠出金(こちら)も、注意が必要です。
交付金及び拠出金は、「厚生労働大臣以外の実施機関」(共済組合等に係る実施機関)が負担する「厚生年金保険給付費等」を賄うための仕組みです(つまり、共済組合側の費用負担の問題です)。
具体的には、「厚生労働大臣以外の実施機関」は、毎年度、「拠出金」を「年金特別会計の厚生年金勘定」に「納付」することにより、「厚生年金保険給付費等」を分担します。
政府は、この「年金特別会計の厚生年金勘定」から、「厚生労働大臣以外の実施機関」に対して、「交付金」を「交付」し、この交付金がその実施機関(共済組合等)が支給する厚生年金保険給付費等に充てられます。
この交付金及び拠出金については、択一式の方が出題しやすそうな条文が多いですが、次の条文は、色付き部分をチェックして下さい。
・第84条の3(交付金)=「交付金として交付」などの赤字部分をチェックです。
・第84条の5(拠出金及び政府の負担)=ここも、色付き文字を一応チェックして下さい。
この条文は、第1項の「実施機関」とあるのを「実施機関(厚生労働大臣を除く。)」と読み替えなければなりません(第84条の3かっこ書でその旨が規定されています)。
以下、第84条の6など、拠出金の額の算定方法についての規定が続くのですが、これらの条文の選択式における出題可能性については微妙です。
従来、例えば、国年法における「基礎年金拠出金」の額の算定方法に関する細かい規定については、選択式のみならず、択一式でも問われてきませんでした。
もっとも、国年法の【平成28年問7B】(国年法のこちら)では、一元化法により改正された個所に関するかなり細かい事項が出題されています。
ただ、この問題は、あまり細かい知識がなくても、基礎年金拠出金の基本的な仕組みを知っていれば推測できる問題でした。
このように一元化法による改正に関連した費用に関する細かい事項が出題されましたので、厚年法の拠出金の額の算定方法についても、択一式では出題される可能性はあるかもしれません。
が、選択式については、少なくとも、今回の試験では、今まで見てきましたように、拠出金の額の算定方法より出題しやすい条文が多々ありますので、マークしなくてもよいのではないかと考えています。
もちろん、時間的・能力的に余裕のある方は、こちらの図を参考に、拠出金の額の原則的な算定方法と用語あたりを押さえておかれると、安心だとはいえます(激変緩和措置は不要だと思います)。優先度は高くないと思いますので、進捗状況等も考慮して検討してみて下さい。
5 保険料
(1)概要
保険料についての概要は、こちらのページです。また、こちらの表も参考にして下さい。
なお、保険料に関する過去問は、まとめてこちらで掲載しています。
(2)主体
(ⅰ)徴収権者
こちらのページでは、保険料の徴収権者に関する問題を掲載しています。「存続厚生年金基金の加入員である被保険者の保険料率」については、すぐあとで言及します。
徴収権者に関連する問題として「機構が行う収納」があるのですが(こちら以下。基本的に、国年法の場合とパラレルです)、若干、改正された事項があります。
厚生労働大臣が収納を機構に行わせることができる保険料等については、厚生労働省令で規定されているのですが、こちらのように、その保険料等について、利息が含まれることが明示されました。
民法では、法律上の原因がないことを知って(「知っていること」を、法律上、「悪意」といいます。反対に、「知らないこと」は、「善意」です。)利得をした受益者については、受けた利益に利息を付して返還しなければならない旨が規定されています(民法第704条。換言しますと、不当利得の返還義務について、悪意の受益者は、利息(遅延利息)の返還義務も負うということです)。
そこで、保険料等に関し不当利得を得た悪意の受益者について、その返還すべき遅延利息を機構(年金事務所)で現金収納できる旨が施行規則の改正により明示されました。本文中の下線部分が追加されています。
試験対策上は、以上の難しい話は不要でして、「機構が行う収納に係る保険料等に利息も含まれることになった」点を押さえておいて下さい。
かなり細かい知識ですので、出題対象となるか微妙ですが、国年法でも同様の改正が行われており、国年法の択一式では、あるいは出題されるかもしれません(近年は、国年法の方が、細かい出題が多いです)。
(ⅱ)保険料の免除
育児休業等期間中の保険料の免除(こちら以下)と産前産後休業期間中の保険料の免除は、重要ですので、サイトをじっくりお読み下さい(後者は、前者と基本的にはパラレルな仕組みになっています)。
なお、「育児休業等期間中の保険料の免除」の途中で、「※1 育児休業等を取得した存続厚生年金基金の加入員について」という個所があるのですが、これは、次の「客体」の個所で免除保険料額等を学習してから読んで頂いた方がわかりやすいと思います。
(3)客体
(ⅰ)保険料率
平成29年9月以後の保険料率は、第1号厚生年金被保険者については、1,000分の183.00(=18.3%)で固定されます(保険料水準固定方式)。
第2号~第4号までの厚生年金被保険者に係る保険料率についても、順次統一され、公務員(第2号及び第3号厚生年金被保険者)は平成30年9月から、私学教職員(第4号厚生年金被保険者)は平成39年4月から、18.3%(1,000分の183)になります。
以上の点を押さえておけば良さそうです。
(ⅱ)免除保険料率等
こちらでは、存続厚生年金基金の加入員である被保険者の保険料率を見ています。
基金については、平成25年の大改正後の3回の試験で、いずれも出題がなくなっており、今後も従来のようには出題されることはなさそうですが、できれば押さえておくと安心な個所の一つが本問です。
まず、存続厚生年金基金についての前提知識です。
財政状況の悪い基金の増加等を背景として、平成25年の改正により、厚年法の第9章「厚生年金基金及び企業年金連合会」が削除されるなど、同改正法の施行日(原則平成26年4月1日)以後は、厚生年金基金の新設は認められないものとされました。
同改正法の施行日に現存する厚生年金基金等については、「存続厚生年金基金」として例外的に存続が認められますが(存続厚生年金基金については、平成25年改正前の厚年法の規定が原則として適用されます)、他方で、特例解散の制度が創設され、厚生年金基金の解散や代行返上を促進するとともに、他の企業年金制度への移行を支援するための措置等が定められました。
(民主党政権の時代、基金は10年かけて廃止する方針でしたが、自民党政権になり、健全な基金は存続させる方針に転換され、結局、上記のような仕組みがとられました。ただ、以前にも触れましたが、実際には、既存の基金も解散や代行返上を予定しているものがほとんどであり、将来的に、基金はなくなるだろうと推測されています。)
存続厚生年金基金(以下、「基金」といいます)は、老齢厚生年金の一部を政府に代わって支給する(代行給付を行う)とともに、基金独自の上乗せ給付を行うものです。
即ち、基金の主要な業務は、加入員(なお、加入員は、第1号厚生年金被保険者に限られます)又は加入員であった者の老齢に関し、年金たる給付(老齢年金給付)の支給を行うことです。
この老齢年金給付は、前記の通り、基金が政府に代わって老齢厚生年金の一部(再評価率の部分等を除いた部分)を支給する代行部分と基金独自の上乗せ部分から構成されます。
そして、基金の加入員である被保険者(を使用する設立事業所の事業主)は、代行部分の支給を行うために必要な費用を賄う分については、政府に対する厚生年金保険の保険料の納付を免除され、当該免除された分は(他に上乗せ部分に係る費用を賄う部分も併せて)基金に掛金として納付します。この基金が代行部分の支給を行うのに必要な保険料率が免除保険料率であり、代行部分の支給を行うのに必要な保険料額を免除保険料額といいます。
そこで、存続厚生年基金の加入員である被保険者については、原則の保険料率から免除保険料率を控除して得た率を保険料率とします(政府に納付する分ということです)。
つまり、加入員である被保険者(を使用する事業主)は、厚生年金保険の保険者である政府に対しては、原則の保険料率から免除保険料率を控除して得た率に係る保険料のみを納付すればよく、免除保険料率に係る保険料(免除保険料額です)は、存続厚生年金基金に対して掛金として納付することが必要ということです。
以上が、基金のエッセンスになります。こちらの図も参考にして下さい。免除保険料率と免除保険料額については、以上程度を押さえれば良さそうです(免除保険料率(額)という用語は、押さえて下さい)。
(4)手続
保険料の手続に関する問題(こちら以下。例えば、納期限など)は、1冊本程度の知識で足りそうです。
(5)強制徴収の手続
強制徴収の手続(こちら以下)については、基本的には、国年法で学習した事項をベースにできます。
保険料の繰上徴収(こちら)は、国年法にはない制度ですので(出題も多いです)、十分チェックして下さい。繰上徴収の事由は、記憶した方がよいです。当サイトのゴロでも利用して下さい。
(二)その他(不服申立て、罰則等)
その他の事項です。
1 不服申立て
厚生年金保険に関する不服申立て(こちら以下)は、「一元化法の改正 + 行政不服審査法の改正」により、かなり複雑化しました(学習の順番としては、シンプルな健保法の不服申立てから学習した方がわかりやすいです)。
厚生年金保険に関する不服申立てについては、大別しますと、(A)厚生労働大臣による特定の処分(即ち、第1号厚生年金被保険者(第1号厚生年金被保険者であった者も含みます。以下の第2号等についても同様です)に係る特定の処分)に対する不服申立てと(B)厚生労働大臣以外の実施機関(共済組合等に係る実施機関)による一定の処分(即ち、第2号から第4号までの厚生年金被保険者(公務員等である厚生年金保険の被保険者)に係る一定の処分)に対する不服申立てに分けられます。
厚年法や社会一般における出題対象は、主に(A)になります。
(B)についても、審査機関(こちら以下)については、厚年法で規定されていますから、押さえる必要があります(この審査機関の名称は、選択式の素材にもなりますので、記憶して下さい)。
以下は、(A)の「厚生労働大臣による特定の処分」に対する不服申立てについて、ポイントを挙げます。
厚年法の不服申立ての対策としては、全体像の図を押さえて、条文をチェックすれば、終了といえます。
社会一般では、社審法について細かい知識が出題されることがありますが、基本的には、国年法で学習しています。
全体像の図としては、こちらがありますが、小さくて見にくく、全体像の図の左側を大きくしたものがこちらで、右側を大きくしたものがこちらになります。
これらの図の次のポイントを押さえて下さい。
(ⅰ)基本的な構造
(ア)不服申立て事由等
左側の図(以下、「左側」といいます)は、厚生労働大臣による「被保険者の資格、標準報酬又は保険給付」に関する処分に対する不服申立てです。
右側の図(以下、「右側」といいます)は、厚生労働大臣による「保険料等」又は「脱退一時金」に関する処分に対する不服申立てです。
左側は2審制になり、右側は1審制になります。
即ち、左側は、審査請求は「社会保険審査官」に対して行い、再審査請求は「社会保険審査会」に対して行います。
右側は、「社会保険審査会」に対して審査請求を行います。
(イ)不服申立て前置主義の採用の有無
左側の場合は、基本的に、審査請求前置主義が採用されており、(裁判所に対する)処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ提起できません。
ただし、再審査請求に対する社会保険審議会の裁決は経なくても、審査請求に対する社会保険審査官の決定を経れば、裁判所に対して処分取消しの訴えを提起できます(平成28年4月1日施行の改正前は、再審査請求に対する社会保険審議会の裁決は経なければ、裁判所に出訴できませんでした)。
対して、右側の場合(「保険料等」又は「脱退一時金」に関する処分)は、「保険料その他徴収金等に関する処分」については、審査請求前置主義が採用されていず、直ちに、裁判所に対して当該処分取消しの訴えを提起できます。(これも、平成28年の改正により改められました)
他方、「脱退一時金に関する処分」については、審査請求前置主義(不服申立て前置主義)が維持されており、まず、社会保険審査会に対して審査請求をすることが必要であり、その裁決を経た後でなければ処分取消しの訴えは提起できません。
以上が、厚生年金保険に関する不服申立ての基本的な構造であり、次の数字関係も含め、図等により暗記することが必要です。
(ⅱ)数字関係
次に、数字関係を押さえます。以下は、左側のケースのみ指摘します。
(a)審査請求
1)審査請求は、社会保険審査官に対して、原則として、審査請求人が処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、文書又は口頭で行います。
2)また、被保険者の資格、標準報酬に関する処分に対する審査請求は、原処分があった日の翌日から起算して2年を経過したときは、することができません(この2の期間制限は、労働保険に関する不服申立てでは存在しません)。
(b)再審査請求
再審査請求は、原則として、審査請求に係る決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2月以内に、文書又は口頭で行います。
(c)決定を経ない再審査請求等
審査官に対して審査請求をしている者は、審査請求日から2月以内に審査請求についての決定がないときは、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができます。
従って、この場合は、当該審査請求に係る処分について、決定を経ないで、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができますし(=決定を経ない再審査請求)(これが、【平成28年問7イ】で問われました)、または、再審査請求をせずに、直接、裁判所に対して、当該処分の取消しの訴えを提起することもできます。
以上を押さえれば、厚年法の不服申立ての出題についてはほぼカバーできそうです。
2 消滅時効
消滅時効(こちら)の出題も多いですが、既に各法により学習していますので、勝手はお分かりと思います。第92条を押さえ、過去問が解ける程度に準備して下さい。
以上、厚年法の更新内容でした。続いて、健保法です。
二 健保法第5回目の更新について
今回は、給付担当機関と報酬関係の更新です。
・更新開始ページ=給付担当機関のこちらから。
・更新終了ページ=標準賞与額のこちらのページの最後まで。
(一)給付担当機関
給付担当機関は、出題も多く、重要です。概要は、こちらのページです。
1 保険医療機関及び保険薬局
保険医療機関及び保険薬局(以下、「保健医療機関等」といいます)についても、大きくは、時系列に沿って、「発生 → 変更 → 消滅」のフレームに知識を乗せます。
保険医療機関等については、「発生(指定)」→「変更(指定の有効期間と更新等)」→「消滅(指定の取消し)」といった整理になります。
「保険医及び保険薬剤師」については、「発生(登録)」→「変更(保険医の異動等)」→「消滅(登録の取消し)」となります。
細部については、本文をお読み頂くこととして、ここでは、学習の参考になる図表等を紹介します。
(1)まず、給付担当機関全体の概要のまとめとしては、こちらの表をご利用下さい。
(2)諮問等
中央(地方)社会保険医療協議会に諮問が必要な場合や地方社会保険医療協議会の議を経ることが必要な場合がありますが、これらのまとめは、こちら以下です。中央社会保険医療協議会の諮問は量が多いため、先に前記リンク先の下部に記載しています「地方社会保険医療協議会」の諮問と議の方を押さえて下さい。
以上を参考に本文をお読み頂くと、知識を整理しやすいかと思います。細かな知識が出題されますので、過去問(こちら)を参考に細部までチェックして下さい。
(二)報酬関係
報酬関係については、すでに厚年法でほぼ学習し終わりました。健保法では、厚年法と異なる点をチェックします。
健保法に特有の事項は、こちら以下で概要を説明しています。
いくつかポイントを見ます。
1 等級表
健保法の等級表は、平成28年4月1日施行の改正により、47等級から50等級の区分に増加されています。前回の試験では、これに関する出題がありませんので注意して下さい。
第50級は、「標準報酬月額は139万円、報酬月額は135万5千円以上」であることを押さえます。後述の随時改定のケースに注意です。
なお、厚年法の問題ですが(厚年法の更新時に触れたと思います)、厚年法の等級表についても、平成28年10月1日施行の改正により、1等級追加となり、31等級になっていますので注意です(こちらは、今回が初の試験対象です)。
第31級は、「標準報酬月額は62万円、報酬月額は60万5千円以上」であること等の数字関係を押さえて下さい。
2 等級区分の上限(最高等級)の改定
等級区分の上限の改定については、平成28年4月1日施行の改正が行われ、前回の健保法では「100分の0.5」が出題されましたが、引き続き注意です(今度は、厚年法で別の個所が登場するかもしれません)。
3 短時間労働者に関する改正
厚年法で紹介しましたが、報酬支払基礎日数について、被保険者である(特定)4分の3未満短時間労働者は、11日を基準とすることになりましたので、要注意です(こちら以下です)。厚年法か健保法のどちらかで出題されると思います。
対象となる短時間労働者については、被保険者である「特定4分の3未満短時間労働者」と押さえて頂ければ結構です(サイト中でこまごまと触れていますが、余り深入りしないで大丈夫です。試験では、条文通り、「厚生労働省令で定める者」として出題されるかもしれません)。
なお、この「被保険者である特定4分の3未満短時間労働者について11日を基準とするルール」は、定時決定の他、随時改定、育児休業等終了時改定及び産前産後休業終了時改定においても同様です。
上記のリンク先の少し下に、「例外その2=4分の3以上短時間労働者」があります。ここは、今回の短時間労働者に関する改正前に、健保法で平成24年度に択一式で出題されたことがあります。
4分の3以上短時間労働者(=4分の3基準を満たす短時間労働者)については、報酬支払基礎日数について、原則と異なるルールが適用されますので、一応、押さえておかれると安心です(なお、厚年法の場合も同じルールです)。
4 随時改定
随時改定の「1等級の差が生じた場合であっても随時改定の対象となるもの」の問題(こちら)も、要注意です。
前述のように、健保法の等級表も、平成28年4月1日施行の改正により、47等級から50等級の区分に増加されており、随時改定に関して問われるかもしれません(厚年法でも、出題可能です)。
5 育児休業等終了時改定
育児休業関係は、育児介護休業法が改正されましたので、どの法においても、注意が必要です。健保法では、この育児休業終了時改定と保険料の免除です。これらの基本的知識をチェックして下さい。
6 任意継続被保険者と特例退職被保険者
任意継続被保険者と特例退職被保険者の標準報酬月額(こちら以下)は、健保法に特有の問題ですから、十分チェックして下さい。
特例退職被保険者の標準報酬月額の決定方法については、平成28年4月1日施行の改正があり、前回は出題されていませんので、注意が必要です(なお、平成26年度の選択式で、「9月30日」と「合算額の2分の1」が問われています。改正により、「合算額の2分の1」はなくなりました)。
7 標準賞与額
標準賞与額の算定方法(こちら以下)についても、よく出題されている問題がありますので(資格喪失月に支払われた賞与など)、チェックが必要です。
以上、健保法の更新内容でした。
次回は、厚年法が完了し、健保法は保険給付に入ります。次回か、その次に、確定給付企業年金法を少しアップする予定です。
・平成29年5月13日(土曜)
今回は、ウルトラ長文です。
一 厚年法の第10回目の更新について
厚年法は、前回、遺族厚生年金の途中まで更新しました。今回は、遺族厚生年金の途中から、保険給付の通則を経て、離婚時の年金分割の最後までの更新です。
前回、遺族厚生年金の解説はしていませんので、今回は、その解説からです。
・更新開始ページ=遺族厚生年金の「変更」のこちらから。
・更新終了ページ=3号分割の最後のこちらまでです。
「第5編 費用(財政)」の手前までの更新となります。
(一)遺族厚生年金
遺族厚生年金は、支給要件も年金額も、少々、ややっこしく、学習しにくい個所だと思います。反復学習をして頂き、頭に知識を焼き付けて下さい。
支給要件については、常時、労災保険法の遺族(補償)年金の支給要件との違いに注意して頂くと、混乱が生じません。
Ⅰ 発生
(Ⅰ)支給要件
支給要件の概観は、こちら以下です。
遺族厚生年金では、まずは、この概観の部分の知識をきちんと記憶しているかどうかがカギになります。
1 死亡者の要件
死亡者の要件については、この概観で記載している一~四の4つあり、一~三が短期要件、四が長期要件になること、保険料納付要件が必要になるものは一及び二のみであること(こちらの表を参考)がポイントです。
三の「障害等級2級以上の障害厚生年金の受給権者の死亡」の場合は、当該障害厚生年金の受給権の取得の際に保険料納付要件が問われているため、遺族厚生年金の支給要件の段階では、保険料納付要件は問われていません。
なお、二の「被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき」のパターンが出題されることも多いです。こちらの図を参考に、この二の意味をイメージして下さい。
短期要件と長期要件の違い等については、こちらです。
2 遺族の要件
遺族の要件については、こちらとこちらの二つの表を参考に記憶して下さい。
夫、父母及び祖父母に共通する問題については、こちらです。
なお、遺族の順位については、配偶者と子は同順位です(遺族基礎年金と同様です)。
対して、労災保険法の遺族(補償)年金の場合は、配偶者が第1順位、子が第2順位であり、異なることに注意です。
(Ⅱ)効果(広義)
年金額については、複雑なのですが、概要はこちらです。
1 基本年金額
(1)原則
基本年金額については、こちら以下で詳述しています。
短期要件の場合は、障害厚生年金の基本年金額の計算方法と基本的に同様になり、長期要件の場合は、老齢厚生年金の基本年金額の計算方法と基本的に同様になるというイメージになります。
(2)例外
65歳以上の者が老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権を有する場合の遺族厚生年金の基本年金額については、上記の原則が修正され、こちら以下になります。
65歳以上の「配偶者」かどうかにより異なりますので、注意です。
2 加算額
加算額については、次の3種類があります。
(1)中高齢寡婦加算額
(2)経過的寡婦加算額
(3)配偶者又は子が遺族基礎年金の受給権を有しない場合の加算額=遺族厚生年金の加算の特例
特に(1)は、よく出題されます。
(1)の中高齢寡婦加算額とは、遺族厚生年金の受給権者である中高齢(40歳以上65歳未満)の寡婦が、遺族基礎年金の支給を受けられない場合に加算されるものです。
(2)の経過的寡婦加算額は、遺族厚生年金の受給権者である寡婦が65歳以上の場合に加算されるものです。
中高齢寡婦加算額が加算されなくなる65歳以後の年金額の低下を防止しようとする趣旨です。
(1)の中高齢寡婦加算額については、加算の要件が少しわかりにくいかもしれませんが、こちら以下で図を掲載していますので、これらの図をベースにイメージしてみて下さい。
中高齢寡婦加算の額は、遺族基礎年金の額(基本年金額)に4分の3を乗じて得た額(100円未満の端数は四捨五入)になることも注意です。色付き部分が他の語句と入れ替えて出題されることがあります。
なお、中高齢寡婦加算額は、妻が夫の死亡について遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、支給停止になります。
(2)経過的寡婦加算額についても、少し覚えにくいかもしれません。
加算の要件についてのポイントは、次のような点です。
(ⅰ)昭和31年4月1日以前に生まれた遺族厚生年金の受給権者である妻が対象になること。
(ⅱ)遺族厚生年金の受給権を取得した当時に65歳以上であったもよいこと(つまり、この(ⅱ)は、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算額(寡婦が65歳未満であることが必要です)が加算されていないケースです)、そして、この(ⅱ)の場合は、当該遺族厚生年金が長期要件のときは、その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上(原則)であることが必要であること。
なお、経過的寡婦加算額は、妻が障害基礎年金や遺族基礎年金の支給を受けられる間は、支給停止になることにも注意です。
(3)の「配偶者又は子が遺族基礎年金の受給権を有しない場合の加算額=遺族厚生年金の加算の特例」については、出題はあまりありません。ただ、条文が色々と書いてあるため、サイトの記載内容が多くなっています。
サイトの書き出しの部分を押さえて下さい。
Ⅱ 変更
変更について、支給停止に関する問題が頻出です。当サイトのこちら以下であり、ここは熟読して下さい。
配偶者と子の支給停止の関係がややこしいと思いますが、基本は、配偶者と子の両者が遺族厚生年金の受給権を有するときは、配偶者が優先するということです。この例外について、上記ページの各所で記載されていますのでチェックして下さい。
Ⅲ 消滅
失権については、まずは、失権事由(こちら以下)を記憶することが必要です。
一番紛らわしいのが、養子関係の「直系血族及び直系姻族以外の者の養子となったとき」です。上記本文中で、遺族基礎年金の失権事由のゴロ合わせとの関連に触れていますが、遺族基礎年金の失権事由についても再チェックして下さい。
Ⅳ 2以上期間者に係る遺族厚生年金
2以上期間者に係る遺族厚生年金については、基本的考え方は、短期要件に該当する場合は、2以上期間者に係る障害厚生年金の取扱いと同様になり、長期要件に該当する場合は、2以上期間者に係る老齢厚生年金の取扱いと類似(異なる部分があります)になるということです。
支給要件や基本年金額については、複雑だったりする関係で、試験には出題しにくそうです(こちら以下のように、条文中、「合算」や「按分」というキーワードがある点は、注意して下さい。「合算遺族按分率」も押さえておくと良さそうです)。
出題しやすいのは、加算額(こちら)や、支給に関する事務の問題です。後者は、こちらの表を暗記して下さい。
前回の試験では、長期要件のケースについて、「それぞれの被保険者期間に応じてそれぞれの実施機関から支給される」点が問われましたが(【平成28年問9A】)、今回は、短期要件のケースが危ないです。短期要件の3つのうち、後2者は「初診日」における実施機関が至急に関する事務を行うことに注意です。
以上、遺族厚生年金でした。なお、特例遺族年金(こちら)は、近年では、平成21年に出題されています。あまり出題はありませんので、最低限の知識だけ押さえて下さい。最低限の知識とは、支給要件と支給額の概要です。
(二)その他の保険給付
その他の保険給付については、脱退一時金が非常に重要です。ただ、すでに国年法の脱退一時金を学習していますので、それをベースに学習できます。異なる点(特に支給額)に注意して、当サイトをじっくりお読み下さい。
なお、脱退一時金の請求については、従来は、帰国後に郵送で請求することが必要だったのですが、平成29年3月からは、日本国内でも請求を受け付けることに運用が改められました(具体的には、「日本国外に転出予定である旨が記載された住民票の写し」を添付することでも足りることとなりました)。
こちらで記載しています。技能実習生等の便宜を考慮した改正だそうです。国年法ともども、択一式で問われる可能性がありますので、チェックしておいて下さい。
脱退手当金(こちら)は、出題が少なくなってきています。支給要件については、チェックしておいて下さい。
(三)保険給付の通則(その2)
保険給付の通則については、国年法の給付の通則と同様なものが多いです。
若干、注意点を指摘します。
1 未支給給付
未支給給付についても、国年法とほぼ同様です。
なお、「消滅」の消滅時効についてですが、未支給給付の消滅時効の起算点については争いがあります(こちら)。
サイトで記載していますように、実務上は、「死亡者(受給権者)の給付の支払期月の翌月の初日」を起算点と解しているのですが、異論も多いようです(理屈でなかなか説明しにくい個所です)。
過去問で2回問われているのですが、さしあたり、上記の実務の結論を知っていれば解ける内容になっています。
2 給付制限
給付制限についても、国年法の給付制限と共通する部分もありますが、異なる点に注意です。
よく出題されるのが、「障害厚生年金の受給権者に係る年金額の改定の制限」(第74条)です(こちら)。
また、「時効消滅した保険料徴収権に係る被保険者であった期間に基づく保険給付の制限」(第75条。こちら)は、厚年法に特徴的な給付制限です。
(四)離婚時の年金分割
離婚時の年金分割には、離婚分割(合意分割と表現することの方が多いようです)と3号分割があります。
概要は、こちらのページで記載しており、その下部のこちらにまとめの表があります。
離婚分割・3号分割は、択一式の出題も多く、選択式でいつ出題されてもよい状況になっています。赤信号がついている状態です。今回の選択式の有力候補としては、短時間労働者関係、一元化法関係の他、離婚分割・3号分割も挙げられます(それと、拠出金・交付金等の費用関係もあります)。
本文中で、条文を掲載していますが、法本則の規定は、赤字になっている個所を中心によく熟読しておいて下さい(施行令や施行規則は、特記ない限り、読まないで結構です)。
当サイトの本文をお読み頂くか、あるいは、1冊本でも結構ですのでお読み頂き、大まかな内容をつかみましたら、過去問を解いて頂き、最終的には、以下の条文をチェックして下さい。
1 離婚分割の場合は、次の4つの条文がとりわけ重要です。この条文中の赤字が空欄になった場合に思い出せるようにして下さい。
・第78条の2=離婚分割の基本条文です。
・第78条の3=請求すべき按分割合
・第78条の6=標準報酬の改定又は決定
・第78条の10=老齢厚生年金・障害厚生年金の額の改定
2 3号分割の場合は、以下の条文に要注意です。とりわけ、初めの2つの条文の赤字部分に要注意です。
・第78条の13=共同負担認識規定
・第78条の14=3号分割の基本条文です。
・第78条の18=老齢厚生年金・障害厚生年金の額の改定(この条文自体は、出題しにくい形式なのですが、離婚分割の前記第78条の10とパラレルな規定であり、内容は重要です)。
・第78条の20第1項=特定期間を対象期間として離婚分割に係る標準報酬改定請求をした場合の特例(第1項の赤字部分に注意して下さい)。
3 さらに、「離婚時みなし被保険者期間」(離婚分割の場合)及び「被扶養配偶者みなし被保険者期間」(3号分割の場合)の取扱いについても、記憶必須です(択一式では、この(三)が最も重要です)。
こちら以下で記載しています。下部に表も掲載していますので、最終的には、結論を覚えて下さい。
以上、厚年法でした。次回は、費用に入ります。
続いて、健康保険法です。
二 健保法の第4回目の更新について
・更新開始ページ=届出のこちらから。
・更新終了ページ=書類の保存義務・通知のこちらのページの最後まで。給付担当機関の手前での更新です。
今回の主な更新内容は、届出、確認、被保険者証、高齢受給者証等になります。
いずれも出題されやすい事項です。届出については、改正がありますので、要注意です。
一 届出
(一)届出の期限
届出については、どの科目においても、「届出の期限」が最も出題されやすいです。
健保法の届出についての過去問は、こちらでまとめていますが、この出題歴からも、まずは、届出の期限を押さえる必要があります。
こちらで届出の期限について整理した表がありますので、学習の参考にして下さい。
社会保険の届出の期限の原則は、「事実発生日から5日以内」です。そこで、この原則と異なる点に重点をおいて記憶することになります。健保法の届出は、国年法・厚年法に比べますと、ボリュームが少ないため、大部分を覚えることが可能です。
なお、健保法の届出は、保険者が2種類ある関係で、届出先に特徴があります。
即ち、健保法の届出の届出先は、基本的には、「保険者等」であり、原則として、協会管掌健保の場合は厚生労働大臣(具体的には、機構)であり、組合管掌健保の場合は健康保険組合となります。こちら以下を参考にして下さい。
以下は、改正事項について触れておきます。
ちなみに、前掲の過去問のリンク先の冒頭に記載しています前回の択一式【平成28年問6E】においては、改正直後の届出(事業主の変更の届出)について出題されました。出題者は、届出に関する改正事項について関心が強いということになります。
(二)特定適用事業所の該当の届出
特定適用事業所の該当の届出は、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大の改正に伴い、施行規則に新設された届出です(施行規則第23条の2)。こちら以下です。
適用拡大の改正自体は重要なのですが、この特定適用事業所の該当の届出については、「当該事実があった日から5日以内」に届出るという届出の期限を押さえておけば足りそうです。念のため、こちらの施行規則第23条の2は、一読しておいて下さい。
(三)住所変更の届出
届出に関する改正で重要なのは、住所変更の届出です。こちら以下です。氏名変更の届出についても、若干、改正があり、両届出ともにチェックしておいて下さい。
少し長くなりますが、住所変更の届出の改正について解説します。択一式で問われる可能性がありますが、選択式でも出題できる条文内容になっています。
従来は、健康保険の被保険者の住所変更の届出は、協会が管掌する健康保険の被保険者についてのみ要求されていました。
即ち、従来は、要旨、次のように規定されていました。
◆協会が管掌する健康保険の被保険者は、その住所を変更したときは、速やかに、変更後の住所を事業主に申し出なければならない。
事業主は、当該被保険者による住所変更の申出を受けたときは、遅滞なく、所定の事項を記載した届書又は光ディスク(機構が支障がないと認めたときに限る)を機構(厚生労働大臣の権限が委任)に提出しなければならない。
しかし、本年1月1日から、健康保険の住所変更の届出は、健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者についても要求されることになりました。ただし、例外があります。
改正後の規定は、要旨、次の通りです(改正前も同様ですが、氏名・住所の変更では、「被保険者から事業主への申出」と「事業主の届出」という2つの問題があることには注意です)。
◆被保険者は、その住所を変更したときは、速やかに、変更後の住所を事業主に申し出なければならない。
ただし、当該被保険者が協会が管掌する健康保険(以下、「協会管掌健保といいます)の被保険者であって、厚生労働大臣が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるとき、又は当該被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険(以下、「組合管掌健保といいます)の被保険者であって、健康保険組合が当該被保険者の住所に係る情報を求めないときは、この限りでない(施行規則第36条の2)。
事業主は、当該被保険者による住所変更の申出を受けたときは、遅滞なく、所定の事項を記載した届書又は光ディスク(機構又は健康保険組合が支障がないと認めたときに限る)を機構(厚生労働大臣の権限が委任)又は健康保険組合に提出しなければならない(施行規則第28条の2)。
以上が、改正後の規定の要旨です。
要するに、健康保険の被保険者の住所変更の届出は、協会管掌健保・組合管掌健保を問わず、原則として義務化されたのであり、ただ、例外として、①協会管掌健保の場合は、「厚生労働大臣が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるとき」、②組合管掌健保の場合は、「組合が当該被保険者の住所に係る情報を求めないとき」は、(被保険者が事業主に申し出る必要がないため)住所変更の届出は不要であるということです。
この改正は、健保組合からの被保険者の住所の把握の必要性の要望を考慮して行われたそうです。
例えば、保険者が被保険者に「医療費の通知」を行うため(被保険者の健康に対する意識を向上させ、医療費の削減等を目的としたものです)、その送付先の把握が必要になります(その他、健康情報等の情報を送付するケースもあります)。
ちなみに、今回の試験対象ではないのですが、平成30年1月1日施行の施行規則の改正により、「医療費の通知」に関する規定(保険者が医療費の通知を行う場合の標準的な通知事項を定めたものです)が新設されました(改正後の施行規則第112条の2)。
なお、前記①の例外については、「協会管掌健保」の被保険者の「氏名変更の届出」においても、同様の例外が改正により追加されています。
以上、太字部分は、出題対象となりますので、サイトにおいてもチェックしておいて下さい。
なお、改正事項ではないですが、「届出の期限」についても、厚生年金保険と対比する形で改めてチェックして下さい。次の赤字部分が異なる点です。
※ 健康保険の氏名・住所変更の届出の場合:
(1)「被保険者 → 事業主への申出」は、「速やかに」です。
(2)「事業主 → 厚生労働大臣(機構)・組合への届出」は、「遅滞なく」です。
※ 厚生年金保険の氏名・住所変更の届出の場合:
(1)「被保険者 → 事業主への申出」は、「速やかに」です。
(2)「事業主 → 厚生労働大臣(機構)への届出」は、「速やかに」です。
当サイトでは、ゴロ合わせを使って、健保法の住所・氏名変更の届出の期限を押さえておきました。
(三)被保険者に係る区別変更の届出(被保険者区分変更届)
被保険者に係る区別変更の届出(以下、「被保険者区分変更届」といいます。こちら以下)も、短時間労働者に関する改正に伴い新設された届出です(なお、条文上は、「区別」の変更ですが、実務上は、「区分」の変更とされています。どちらでも問題はないです)。
厚年法でも同様の届出が新設されています。
条文としては、次のように規定されています(要旨)。
◆事業主は、被保険者に係る施行規則第26条の2第5号の区別の変更があったときは、当該事実があった日から5日以内に、所定の事項を記載した届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない(施行規則第28条の3)。
択一式では、例えば、「5日以内」の個所を「10日以内」とか「速やかに」などに置き換えて出題してくる可能性があります。
「被保険者に係る施行規則第26条の2第5号の区別の変更」という部分については、サイトでは、その意味について延々と説明していますが(要するに、「被保険者に係る特定4分の3未満短時間労働者であるかないかの区別の変更」という意味といえます)、試験では(この施行規則第28条の3において明示されていない「特定4分の3未満短時間労働者」という表現は使用しにくいため)、「被保険者に係る施行規則第26条の2第5号の区別の変更」として条文番号のままで出題してくる可能性が高そうです。
さしあたりは、この届出が要求されることになった趣旨を押さえて頂き、あとは、原則通り、「5日以内」であることを記憶すれば足りそうです。
(四)その他の改正
届出では、その他にも改正がありますが、こちらの「個人番号の記載等に関する改正」(厚年法でも問題になります)は、おそらく試験対策上は不要ではないかと考えています。暫定的な経過措置であり、実務では問題になりますが、出題対象とはしにくいです。
また、短時間労働者に関する改正に伴い、資格取得の届出や報酬関係の届出において「被保険者に係る区別」の記載が必要になったのですが(こちら。厚年法でも同様です)、これは届出の様式の改正であり、試験としては出題しにくいと思います。
「資格取得の届出等において被保険者に係る区別の記載が必要になった」程度を押さえておけばよろしいかと思います。
以上、届出でした。
二 確認
確認は、各法とも、確認の方法については共通です。
健保法では、確認が不要な場合として、こちら以下を押さえて下さい。
要するに、「当然被保険者」の場合は、「任意適用事業所の任意適用の取消しの認可による資格の喪失」の場合のみ、確認が不要となり、「当然被保険者以外」の被保険者の「資格の取得及び喪失」の場合には、常に確認は不要であるということがポイントです。
ちなみに、厚年法の確認が不要な場合は、厚年法のこちらです。厚年法の場合は、ややこしいのですが、健保法と共通する部分がありますので、併せて覚えておかれると有用です。
三 被保険者証、高齢受給者証
被保険者証や高齢受給者証も、重要です。こちら以下で過去問を掲載していますが、任意継続被保険者や特例退職被保険者について出題してくることが少なくありません。
平成22年度の選択式は、任意継続被保険者の被保険者証の返納先の問題でした(ただ、【平成16年問5E】の択一式が類問だったといえます)。
また、平成27年度の択一式では、被保険者資格証明書について2肢出題されています。
当サイトでは、被保険者証・高齢受給者証についても、「発生 → 変更 → 消滅」の時系列に沿って整理していますので、一読してみて下さい。
なお、被保険者証に関する手続の期限についてのまとめは、こちらです。
四 書類の保存義務、通知
書類の保存義務(こちら)も、重要です。「誰が、何を、いつまで」保存しなければならないのか、記憶必須です。各法で、横断整理の表を掲載してきました。
通知(こちら)について、ざっと一読して下さい。時々チョロチョロ出題されます。
以上、健保法の更新内容でした。次回は、給付担当機関からです。
・平成29年5月5日(金曜)
ゴールデンウィーク、もう少し残っていますが、皆様のんびりされたでしょうか? サービス業の方などは、休みどころか、最も忙しい時期になってしましますが。
当方も、ここらあたりから、最も忙しい時期になってきます。残っている未改訂の分を終わらせるとともに、一般常識の未公開部分のチェックをし、さらに直前対策の準備をしなければなりません。
昨年度は大改正があり、進捗状況が芳しくなく、非常に大変だったのですが、結果的に、今年度もさほど変わりなくフル稼働しております。
ただし、直前対策については、改正事項を中心にネタは着々と準備しつつあります。
今回の試験では、雇用保険法は改正だらけですし(3分の1強は、改正された感じでしょうか。半分近くかもしれません)、厚年法・健保法も、短時間労働者に関する改正部分が届出や報酬支払基礎日数にまで影響しています。
これらの改正事項については、1冊本(昨年中に出版されたもの)を使用されている方は、十分注意が必要です。
1冊本では、雇用保険法の平成29年4月1日施行の改正は全く記載されていません。
また、厚年法・健保法の短時間労働者に関する改正も、1冊本では、平成29年4月1日施行の改正(これは、平成28年10月1日施行の改正事項にまで影響しています)が記載されていないため、短時間労働者の個所は、ほぼ使用できません(平成28年10月1日施行の改正事項に関する記載も、その後の改正があるため、現在では、そのままは使用できない部分が少なくないことに注意です)。
もちろん、改正を反映しました追記のようなものはあるはずですが、短時間労働者に関する改正などは、追記だけではなかなか全体像が分かりにくくなります。
〔中略。〕
それと、そろそろ市販の模擬試験(雑誌やテキスト類)が発売され始めていると思いますが、過去問を一応終了されている方などは、これらの模擬試験をぜひ活用してみて下さい。
始めて受験されるような方は、時間配分の研究等が必要ですから、これらの市販の模擬試験や予備校等が行う試験を一度は体験された方がよろしいです。
他方、すでに受験経験があり、時間配分等に問題がないような方の場合は、これらの市販の模擬試験を本試験と同様のスケジュール(例:択一式=210分)で、一気に解かれるような必要はありません。通常の練習問題・予想問題として断片的に利用して頂くことができます(一気に解くよりも、復習を直ちに行えるというメリットもあります)。
例えば、選択式の一般常識だけ解くとか、苦手な科目の択一式だけ、1日おきに1題ずつ解くとか、状況に併せて細切れに利用されても効果は大きいです。
情報収集兼問題練習として、これらの模擬試験を利用することをご検討下さい。
なお、特に選択式は、情報収集の必要がありますので、できるだけ多くの予想問題にあたっておかれた方が安心です。
また、一般常識については、市販される問題集を利用されると、記憶に残りやすいかと思います。白書を特集したテキストだけでは、なかなか記憶できないです。
前置きが長くなりました。
今回は、厚年法は、老齢厚生年金の残りから、遺族厚生年金の年金額の終わりまでの更新です。健保法は、被保険者(被扶養者)の終わりまでになります。その他、若干、改正事項について追加記載します。
一 厚年法の第9回目の更新について
前回は、特別支給の老齢厚生年金の発生に関する問題まで終わりました。今回は、その残りの老齢厚生年金を終わらせ、さらに障害厚生年金も終わらせ、遺族厚生年金の発生に関する問題を終わらせます(遺族厚生年金は、年金額の終わりまでの中途半端な更新となりましたので、遺族厚生年金全体の解説は、次回に回し、今回は、障害厚生年金までを説明致します)。
・更新開始ページ=特別支給の老齢厚生年金の「変更」の初めのこちらから。
・更新終了ページ=遺族厚生年金の加算額のこちらのページの最後まで。
遺族厚生年金の「変更」の手前までの更新です。
今回も、かなりボリュームがありますが、障害厚生年金は、障害基礎年金の知識をベースにできますので、厚年法では数少ないややほっとできる個所です。
(一)特別支給の老齢厚生年金の変更に関する問題
特別支給の老齢厚生年金の「変更」に関する問題として、大まかには、次の事項を学習します。
1 年金額の改定
2 支給停止
(1)雇用保険との調整
(ⅰ)基本手当との調整
(ⅱ)高年齢雇用継続給付との調整
(2)繰上げ支給の老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金との調整
1 年金額の改定
年金額の改定(こちら)は、特別支給の老齢厚生年金(以下、「特老厚」といいます)の支給開始年齢に関する復習的な部分です。ざっとで結構です。
2 支給停止
(1)雇用保険との調整
雇用保険との調整(こちら以下)は、重要です。
高年齢雇用継続給付との調整については、平成22年度の選択式で出題されています。再度の出題もあり得ます。
択一式でも、雇用保険との調整については出題が多く、平成27年度に数肢ずつ出題されており、平成28年度には出題がありませんので、今回は、択一式で出てきそうです。
この雇用保険との調整では、前提として、雇用保険法の基本手当や高年齢雇用継続給付の知識を思い出して頂くことが重要です。このくらいの時期になりますと、雇用保険法の知識が薄れてくることがありますが、よい復習の機会ととらえ、記憶が定かでない箇所については、ざっと雇用保険法の該当箇所を復習してみて下さい。
(ⅰ)基本手当との調整
基本手当の調整については、本来は、選択式で出題したいところなのでしょう。ただ、基本手当の調整に関する基本的な条文が「繰上げ支給の老齢厚生年金と基本手当等との調整」(法附則第7条の4)の規定であり、いわばイレギュラーな条文ですので、条文を少々いじらなければならないネックがあります。
ただ、事後清算の問題(こちら)は、簡単な事例問題が出題しやすく、やはり、基本手当との調整は少々注意しておく必要があります。
いずれにしましても、基本手当の調整に関する当サイト本文をお読み頂き、最終的には、上記でリンクしました法附則第7条の4の赤字のキーワードが記憶できているように仕上げて下さい。
(ⅱ)高年齢雇用継続給付との調整
高年齢雇用継続給付との調整(こちら)は、少々、ややっこしいのですが、雇用保険法の高年齢雇用継続給付の知識を思い出しながら本文を読んで頂くと、理解頂けると思います。
「標準報酬月額の6%」とか、「6分の15」などの数字関係が登場し、これらの数字には意味があるのですが、最終的には、単純に数次の暗記が必要です。
大まかな仕組みをとらえた後は、択一式等で出題されやすい上記の数字関係を記憶して下さい。
(2)繰上げ支給の老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金との調整
この「繰上げ支給の老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金との調整」(こちら以下)は、厚年法でも、最も難しい問題が含まれている個所です。
難しすぎて細かな出題ができない事項が多いですので、あまり心配なさらずに、これまでの過去問で問われている事項を押さえて下さい。
まずは、復習になりますが、特老厚の支給開始年齢の原則のパターン(こちらの図)と例外のパターン(こちら以下)は押さえておく必要があります。これらを押さえておけば、もう少々の知識を追加する程度で終了です。
「繰上げ支給の老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金との調整」のパターンは、こちらの図のようになります。
細かな知識は不要であり、このパターンのうち、ごくごく大まかなポイント(流れ)を挙げておきます。
(ⅰ)60歳から定額部分が加算された特老厚の支給を受けられる者(昭和16年4月1日以前に生まれた者等)については、繰上げ支給の老齢基礎年金を受ける間は、特老厚(定額部分及び報酬比例部分)は支給停止となります。
60歳から特老厚(定額部分及び報酬比例部分)と繰上げ支給の老齢基礎年金の全ての支給を認めるのは給付が過剰になりすぎるという判断です。
(ⅱ)定額部分の支給開始年齢が引き上げられる段階にある者(昭和16年4月2日から昭和24年4月1日までの間に生まれた者等)については、基本的には、老齢基礎年金の支給の全部繰上げか、又はその一部繰上げを行うことが可能です。
老齢基礎年金の支給の全部繰上げを行った場合は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分(経過的加算相当額は除きます)が支給停止になります(報酬比例部分は支給停止になりません)。繰上げ支給の老齢基礎年金と定額部分は、実質的には重複する(2重年金になる)ためです。
老齢基礎年金の支給の全部繰上げを行うことができる生年月日の者を押さえてくとよろしいです(基本的には、定額部分の支給開始年齢が引き上げられる段階にある者です)。
なお、定額部分のうち、経過的加算相当額は支給停止になりません。
老齢基礎年金の支給の一部繰上げ(こちら以下)は、計算関係など、細かすぎて(あるいは難しすぎて)、試験では出題できない事項が多いです。断片的な知識の記憶で足り、さしあたり次のような点を記憶しておいて下さい。
(a)要件について
・老齢基礎年金の支給の一部繰上げは、定額部分の支給開始年齢が引き上げられる段階にある者が行えます。
例えば、男性の場合は、昭和16年4月2日~昭和24年4月1日までの間に生まれた者です。その他、障害者・長期加入者・第3種被保険者の特例に該当する者であって、定額部分及び報酬比例部分が61歳から一体的に引き上げられる段階にある者についても、一部繰上げを行えます(が、この障害者等のケースは、かなり難しいため、カットした方がよさそうです)。
・すでに老齢基礎年金の全部繰上げの請求をしている者は、一部繰上げの請求をすることはできません(逆に、一部繰上げを請求した者は、全部繰上げの請求はできません)。
(b)効果(年金額)について
・老齢基礎年金の一部が繰り上げられるとともに、特老厚の定額部分も繰上げられ、この繰り上げた定額部分を「繰上げ調整額」といいます(なお、報酬比例部分も支給されます)。
なお、「老齢厚生年金の支給の繰下げ」において、「繰下げ加算額」という「繰上げ調整額」と少々紛らわしい用語が登場しますので、ご注意下さい。「繰下げ加算額」の方は、高在老の基本月額に含まれないといった問題でも登場します(こちら以下)。
一部繰り上げにおける年金額についての細かい計算等は、試験対策上は不要といえます。
(ⅲ)60歳から報酬比例部分のみの特老厚の支給を受けられる者(昭和24年4月2日から昭和28年4月1日までの間に生まれた者等)については、繰上げ支給の老齢基礎年金と特老厚に係る報酬比例部分の併給が認められます。
定額部分がないため、繰上げ支給の老齢基礎年金と特老厚が重複しないためです。
(ⅳ)報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられる段階にある者(昭和28年4月2日から昭和36年4月1日までの間に生まれた者等)については、老齢厚生年金の支給の繰上げ(いわゆる「経過的な繰り上げ支給の老齢厚生年金」です)が可能となり、老齢基礎年金の支給の繰上げとの同時請求が必要になります。
(ⅴ)特別支給の老齢厚生年金の支給を受けられない者(昭和36年4月2日以後に生まれた者等)については、老齢厚生年金の支給の繰上げ(いわゆる「本来の繰上げ支給の老齢厚生年金」です)が可能となり、老齢基礎年金の支給の繰上げとの同時請求が必要になります。
以上、老齢厚生年金でした。次に、障害厚生年金です。
(二)障害厚生年金
障害厚生年金については、障害基礎年金の知識がベースになりますので、障害基礎年金を復習しながら学習して下さい。
ここでは、障害基礎年金と異なる点について触れておきます。
障害厚生年金と障害基礎年金の違いは、この図の赤字の部分になります。
以下、障害基礎年金と異なる主な点を列挙します。
(Ⅰ)発生
(A)本来の障害厚生年金
1 支給要件
(1)初診日の要件 → 初診日に厚生年金保険の被保険者であることが必要です。
(2)障害認定日の要件 → 障害等級3級も対象となります。
2 効果
(1)基本年金額 → 報酬比例になります。
障害厚生年金の基本年金額は、原則として、老齢厚生年金(報酬比例部分)の基本年金額の例により計算した額になります。
ただ、これが修正される部分が重要であり、主にこちらの図の(一)~(三)が修正される部分です。
(2)加算額 → 配偶者の加給年金額になります。
(B)特殊な障害厚生年金
〇事後重症
・障害等級3級も対象となります。
・実施機関に請求します。
(Ⅱ)変更
1 併合認定
・要件について、併合認定の対象となる複数の障害厚生年金は、当該権利を取得した当時から引き続き障害等級2級以上に該当しない程度の障害状態にあるものは含まれません(当初から引き続き障害等級3級に該当するものが除外されるということです)。
・効果について、従前額の保障があります(こちら)。
2 年金額の改定
(1)実施機関の診査による年金額の改定(職権改定等)(こちら)
障害基礎年金の場合は、厚生労働大臣の診査による年金額の改定です。
(2)障害基礎年金等との併合(こちら)
(Ⅲ)2以上期間者に係る障害厚生年金(こちら以下)
2以上期間者に係る障害厚生年金については、平成28年度の択一式において、支給に関する事務を行う実施機関について、障害認定日と初診日のどちらを基準にするのかが問われました(当サイトでは、この出題を予想していました)。
2以上期間者に係る保険給付の支給事務を行う実施機関については、出題者にとって出題しやすいところです。今後もしばしば出題されるはずです。引き続き障害厚生年金にも注意ですが、今回の試験では、遺族厚生年金にとりわけ注意が必要です(こちら)。2以上期間者に係る遺族厚生年金の支給事務を行う実施機関についても、先の択一式で出題されましたが、異なるケースが残っています。
この2以上期間者に係る障害厚生年金については、事例問題(多分、択一式でしょうが)が問われる可能性もあると思います。前記リンク先で、一応、事例問題を掲載していますので、参考にして下さい。
以上、厚年法の更新内容でした。遺族厚生年金については、次回、残りを更新した上で、まとめて解説をします。
続いて、健保法の更新内容です。
二 健保法の第3回目の更新について
健保法は、前回までで、保険者をほぼ終わりました。今回は、保険者の残りを少し見てから、被保険者関係を更新します。
・更新開始ページ=厚生労働大臣の権限の委任等のこちらから。
・更新終了ページ=被扶養者のこちらのページの最後まで。
届出の手前までの更新です。
(一)厚生労働大臣の権限の委任等
厚生労働大臣の権限の委任等(こちら以下)については、国年法や厚年法の同問題と同じく、さしあたりスルーで結構です。
のちに本文を読んで頂く際に、第204条等の条文をたびたびリンクしますので、参考程度に参照して頂ければ結構です。
なお、こちら以下で、条文の羅列でない個所があり、過去問で問われている事項もありますが、こちらも後に滞納処分の個所等で触れますので、ざっと一読で結構です。
財務大臣への厚生労働大臣の滞納処分等の権限の委任(こちら)は、毎年、要注意の個所です。基本的に、厚年法と同様の取扱いになっており、国年法とは微妙に異なる点があります。平成27年に改正されましたが、国年法の前回の選択式で出題されました。
今後も、この3科目のいずれかの択一式で出題される可能性はあります。
(二)社会保険診療報酬支払基金又は国保連合会への事務の委託
健康保険法(や国民健康保険法等)は、平成27年5月公布のいわゆる医療保険制度改革法(基本的に平成28年4月1日施行です。こちら)による改正事項が、前回の試験では出題されていないものが多く、今回の試験で登場してきそうです。
社会保険診療報酬支払基金又は国保連合会への事務の委託(こちら)もその一つなのですが、選択式には出題しにくいでしょう。択一式の1肢程度でちらっと出題されることがありそうですので、どこかで読んだことがある程度に押さえて下さい。
(三)被保険者等
被保険者等では、適用事業所、被保険者及び被扶養者を学習します。
1 適用事業所
適用事業所については、厚年法で学習しました内容と基本的には同様です(船舶は、適用事業所に含まれません)。
任意適用事業所の手続面の問題(こちらやこちら)は、厚年法と同じではありませんので、あまり細かく押さえる必要はないですが、ざっとお読み下さい(前述の「機構への厚生労働大臣の権限に係る事務の委任」などの問題が登場します)。
2 被保険者
(1)当然被保険者
当然被保険者については、70歳未満という要件はないですが、その他は、基本的に厚年法の当然被保険者と同様になるものが多いです。
通達の関係が頻出です。過去問で出題されたものを中心にチェックして下さい。
(2)適用除外者
適用除外者(こちら以下)も、出題が多いです。
加えて、今回は、短時間労働者に対する適用拡大の改正があります(こちら以下)。厚年法か健保法の少なくともどちらかで出題されることは間違いありません。問題は、選択式として出てくるかにあります。条文が選択式に向いており、選択式の出題対象としてマークしておく必要があります。第3条第1項第9号の特に赤字部分が空欄にされた場合に思い出せるように準備して下さい。
また、特定適用事業所や特定4分の3未満短時間労働者について規定しています年金機能強化法附則第46条も注意です。色がついている個所はチェックが必要です。
これらの条文のキーワードが空欄になっていても正解できるように、最終的には準備する必要があります。
ちなみに、前述の年金機能強化法附則第46条については、定義を定めた部分等は、厚年法の短時間労働者に関する規定である年金機能強化法附則第17条で規定されています。
例えば、特定適用事業所の定義は、こちらの年金機能強化法附則第17条第12項で定められており、健保法に関する年金機能強化法附則第46条第12項は、この定義を前提としています(当サイトが、短時間労働者についての細かい記載を厚年法で説明しているのも、この条文構成を考慮しています)。
従って、例えば、特定適用事業所の定義について、条文ベースで選択式で出題しようとしますと、厚年法で出題しやすいとはいえます。
いずれにしましても、厚年法・健保法のどちらで出題されてもよいように準備が必要です。
前記の通り、短時間労働者に関する択一式用の細かい知識については、厚年法(こちら等)で記載していますので、そちらをご参照下さい。
(3)任意継続被保険者、特例退職被保険者
任意継続被保険者及び特例退職被保険者についても、頻出です。重要な個所ばかりで、特定個所を抜き出して指摘することができないほどです。まずは、資格取得の要件を押さえて下さい。当サイトの熟読をお願いします。
3 被扶養者
被扶養者(こちら以下)については、従来の「弟妹」とされていたのが「兄弟姉妹」と改められる改正があり、被扶養者の全般の問題について、例年以上に注意が必要です。こちらも、当サイトを熟読お願いします。
なお、改正された短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大との関係については、こちらで少し触れています。
次回は、届出以降の更新となります。
三 その他
国民健康保険法の改正事項について、一つお知らせします。
70歳以上の者に係る国保の高額療養費の支給申請手続に関して、市町村国保は、本来の手続と異なる手続をとることが可能になりました(平成29年3月31日施行)。
趣旨等については、社会一般のこちらをご参照下さい。
条文は、択一式の1肢程度に出題しやすい内容になっていますので、見た記憶がある程度に押さえて下さい。
では、今回は、これにて終了です。
・平成29年4月24日(月曜)
受験申込書の受け付けも始まりましたね。遅く出願しますと、希望の会場で受けられないようなケースもありますので、お早めにお手続をして下さい。
なお、今回の本試験で基準となる法令は、4月14日(金曜)現在施行のものとなります。
本日は、厚年法は、65歳からの老齢厚生年金の残り(変更以下)と60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金の発生に関する問題の終わりまでの更新です。
健保法は、「主体→保険者」として、全国健康保険組合と健康保険組合についての更新です。その他、雇用保険2事業の改正について少々あります。
今回の更新内容も、かなりボリュームがあります。最近の更新メールは、改正事項を多数お知らせしていたほか、厚年法と健保法を同時更新をしていることもあって、一層長文化しています。この「更新等のお知らせ」では、すべてを掲載できないことが多く、適宜カットしておりますので、ご了承下さい。
一 厚年法第8回目の更新について
老齢厚生年金の支給の繰下げまで終わりました。
・更新開始ページ=変更のこちらから。
・更新終了ページ=特別支給の老齢厚生年金の加算額(加給年金額)のこちらのページの最後まで。
特別支給の老齢厚生年金の「発生」に関する問題の最後までの更新です。「変更」(雇用保険との調整等)に関する問題の手前までになります。
(Ⅰ)65歳からの本来の老齢厚生年金の続き
まず、65歳からの本来の老齢厚生年金については、「変更」以下の問題を見ます(「消滅」に関する問題は、特段、問題ありませんので、省略します)。
変更に関する問題としては、大別して、年金額の改定と支給停止があります。
(一)年金額の改定
年金額の改定については、再評価率の改定と改定率の改定が問題になります(こちら以下)。報酬比例部分については再評価率の改定となり、報酬比例部分以外については改定率の改定となります(改定率の改定については、国年法のそれと同様です。以下、省略します)。
再評価率の改定も、基本的には、国年法で学習しました改定率の改定の考え方と共通する部分が多いです。
本文の太字部分(色付き文字も含みます)を中心にざっと一読して下さい。
選択式に平成18年度と23年度に出題されており、周期的に狙われています。間隔としては、国年法の改定率も含め、そろそろ出題されてよい時期になっており、また、改定率・再評価率の改定方法については、来年以降の改正もありますので、注意しておく必要がありそうです。
過去の選択式の出題個所(こちら以下)はマスターしなければなりませんが(前記の2回は、同じような個所が出題されています)、その他にマクロ経済スライド関係のキーワードにも注意です(例えば、調整率は、「公的年金被保険者総数の変動率 × 0.997」になることなど)。
マクロ経済スライドが実際に適用されてから、改定率・再評価率の改定に関する問題はまだ出題されたことがありません。
(二)退職時改定
退職時改定(こちら)も、重要です。
1 要件・効果
まずは、上記のリンク先の下部の要件と効果を記憶して下さい。
第43条第3項(こちら)は、選択式や択一式の格好の素材になりますので、熟読が必要です。
択一式の場合は、次の第43条第3項の例えば赤字にした個所を、下記の通り、色々と変えることができます。
「被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日(※1)から起算して1月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前(※2)における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日(第14条第2号から第4号までのいずれかに該当するに至った日にあつては、その日)から起算して1月を経過した日の属する月(※3)から、年金の額を改定する。」
※1の「資格を喪失した日」については、例えば、「資格を喪失した日の翌日」と入れ替えます。
※2の「被保険者の資格を喪失した月前」については、例えば、「被保険者の資格を喪失した月以前」と入れ替えます。
※3の「1月を経過した日の属する月」については、例えば、「1月を経過した日の属する月の翌月」と入れ替えます。
選択式においても、上記の※1~※3のカギかっこの部分を空欄にすることができます。
以上、細かいようですが、上記のような問題は、退職時改定を理解しているかどうかがよくわかる設問です。
2 月末退職
平成28年の択一式では、一元化法による改正個所である「月末退職」のケースが出題されました(これは、誰もが出題されるだろうと考えていた問題といえます)。
引き続き「月末退職」のケースの取扱いをマスターする必要があります。
なお、当サイトでは、退職時改定のこちら以下において、月末退職に関連した具体例をいくつか挙げていますが、ここは読まないでも結構です。こちらでポイントとしている個所を押さえて頂ければ足ります。最大のポイントは、「月末退職」の場合は、「翌月」から退職時改定が行われるということです(「翌々月」からではありません)。
3 2以上期間者に係る退職時改定
こちら以下の2以上期間者に係る退職時改定についても、一読して下さい。
前回の試験では、このような2以上期間者に関するやや細かい知識は出題されませんでしたが、今後は、例えば択一式で登場してくる可能性があります。あまり詳細な知識は不要と思いますが、結論は覚えておいて下さい。
(三)在職老齢年金
在職老齢年金は、前回、用語が選択式で出題されました。今回は用語についてはウェイトを落とせると思いますが、その他の事項はやはり重要です。
47万円が46万円に引き下げられる改正が行われましたこともあり、択一式における計算問題についても注意です。
在職老齢年金は面倒ですが、考え方は割とシンプルであり、こちらのページを一読して頂ければ概要は把握頂けます。
後は、細かい知識を積み上げていくことになります。
こちらで過去問をまとめて掲載し、本文へのリンク先も記載していますので、既に一定の知識がある方は、解けなかった問題について、リンク先を確認して頂くという学習方法も可能です。
在職老齢年金の制度は、大別しますと、「65歳以後の在職老齢年金」(高在老)の制度と「60歳台前半(65歳未満)の在職老齢年金」(低在老)の制度があります。
1 要件
在職老齢年金の制度の要件は、基本的には、次の通りです。
(ⅰ)老齢厚生年金の受給権者が、被保険者等である日が属する月であること。
(ⅱ)当該月において、その者の総報酬月額相当額と基本月額との合計額が一定額を超えること。
後は、以上の(ⅰ)(ⅱ)の各文言に関する論点を整理することになります。いくつかの例を挙げます。
(1)月末退職
(ⅰ)の「被保険者等である日が属する月」については、月末退職のケースに注意です。即ち、資格喪失日が月の初日になる場合(=月末退職の場合)は、当該資格喪失月については在職老齢年金の制度は適用されず、当該資格喪失月の前月(退職月)まで適用されます(一元化法による改正個所です)。
要するに、月末退職の場合は、退職月まで在職老齢年金の制度が適用されるということです(改正前は、月末退職の場合、退職月の翌月まで適用されました)。
前述の「退職時改定」の「月末退職」のケースと併せますと次のようになります。
月末退職の場合において、退職時改定は、「退職日から起算」して1月を経過した日から行われ、従って、「退職日の翌月から」年金額が改定されます。一方、在職老齢年金の制度は、「退職月までの適用」にとどまります。
いずれも、改正前より、受給権者に有利な取扱いに改められました。
(2)基本月額
上記(ⅱ)の基本月額とは、老齢厚生年金の「基本年金額」の月額のことであり、加算額(加給年金額、繰下げ加算額、経過的加算額)は含まれません。(なお、加給年金額については、こちらに注意です。)
2 効果
高在老の支給停止調整額(低在老の支給停止調整開始額)は、47万円から46万円に引き下げられましたから、一応、こちら以下の表や端数処理にも注意です。
3 2以上期間者に係る在職老齢年金
2以上期間者に係る在職老齢年金の制度(こちら以下)が出題されるかどうかは微妙です。条文が読み替えられており複雑なこと等もあって、選択式は出題しにくいと思うのですが、択一式の計算問題の出題の可能性はあります。簡単な計算問題が解ける程度の知識があった方が安心です。当サイトの具体例を検討して下さい。
なお、こちらのページの激変緩和措置は、試験対策上、おそらく詳細な知識は不要だと思います。
念のため、激変緩和措置が必要になる趣旨のほかに、在職支給停止の上限(上限1割。10%)や在職支給停止の対象とならない額の保障(35万円保障。こちらは低在老の場合のみ)の措置があること程度の知識があると安心です。
(前年度は、一元化法施行後の初の本試験ということもあり、激変緩和措置について詳述していたのですが、今回は、仮に読んで頂く場合も、本文記載の途中からは不要です(途中でその旨の記載があります)。ただ、おそらく、激変緩和措置は、その趣旨と上記の数字だけ押さえれば足りるのでないかと思っています。)
(Ⅱ)特別支給の老齢厚生年金
続いて、特別支給の老齢厚生年金です。今回は、発生に関する問題です。支給要件と効果(支給額等)について学習します。
概要は、こちらのページで記載しています。
(一)支給要件
支給要件の骨組みは、「65歳からの本来の老齢厚生年金」と基本的には同様ですが、「1年以上の厚生年金保険の被保険者期間」が必要であること、65歳未満の者が対象となることが異なります。
後は、支給開始年齢の原則と特例(障害者、長期加入者、第3種被保険者)を押さえます。
1 支給開始年齢の原則
特別支給の老齢厚生年金は、将来的に廃止される経過的制度であるため、その支給開始年齢が引き上げられています。
本文で説明しましたように、この支給開始年齢の(引上げの)パターンは、5つのパターンがありますので、押さえて下さい。〔中略。〕
2 支給開始年齢の特例=障害者、長期加入者又は第3種被保険者の特例
障害者、長期加入者又は第3種被保険者の特例も重要です(こちら以下)。
平成27年度の選択式で、この3つの特例すべてを含む総合問題が出題されました。今後も、択一式では注意です。
この3つの特例は、要するに、上記1の支給開始年齢の原則によるなら定額部分が加算された特別支給の老齢厚生年金の支給を受けられない場合(年齢)において、報酬比例部分の支給開始年齢から、定額部分も併せて支給されるというものです。
障害者等の保護を趣旨とします。
上記は、ほぼ「効果」に関する問題ですので、あとは、3つの特例ごとに支給要件の特徴的部分を押さえます。次の通りです。
・障害者の特例の場合は、被保険者でないこと、障害等級3級以上であること、請求が要件であることがポイントです。
・長期加入者の特例の場合は、被保険者でないこと、被保険者期間が44年以上であることがポイントです(この44年には、2以上の期間を合算できません。前回の択一式で出題されました)。
・第3種被保険者の特例の場合は、坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間とを合算した期間(第1号厚生年金被保険者期間に限ります)が15年(基本的に実期間です)以上であることがポイントです。
なお、効果に関する問題ですが、どの生年月日から定額部分が加算されるのかという点は覚えて下さい。
以上は、当サイトではゴロ合わせとして記憶しています。
(二)効果
特別支給の老齢厚生年金の支給額については、定額部分の額があることが特徴です(こちら以下)。
定額部分の額の概要は、こちらの図です。
特に出題が多いのは、「被保険者期間の月数の上限(定額部分の頭打ち)」の問題です(こちら)。当サイトでも、ゴロ合わせを作っていますので、ご参照下さい。
以上、今回の厚年法の更新範囲のポイントでした。
次回は、特老厚の残りをやり、障害厚生年金、遺族厚生年金に入ります。
厚年法の場合、条文が多数あり、条文のリンク付けに時間がかかっているのですが(その他、本文の細部についても、徹底的に改訂しています。内容自体が大きく変わっている個所はないですが、細かな追加・改訂等は多数あります)、とりあえず山場の老齢厚生年金が終わりますので、もう少しスピードアップができそうです。
できれば、黄金連休中に保険給付の全てを終わらせる意気込みなのですが、なかなか進捗が思うようにいきません。。
ある程度の段階で、確定給付企業企業年金法や確定拠出年金法の最終チェックをして公開致します(来月中を予定しています)。
続いて、健保法の更新内容です。
二 健保法の第2回目の更新について
今回は、主体の全国健康保険協会(以下、「協会」といいます)と健康保険組合(以下、「健保組合」といいます)の全ての更新です。
「厚生労働大臣の権限の委任等」の手前までです。
・更新開始ページ=主体のこちら のページの初めから。
・更新終了ページ=健康保険組合連合会のこちら のページの最後まで。
健康保険の保険者は、協会と健保組合です。
厚年法もそうですが、健保法も被保険者や保険給付に入るまでが大変です。健保法の協会と健保組合は、細かい知識まで出題されますので、厄介です。
ただし、協会や健保組合の場合は、先ほどの厚年法の場合と異なり、そう難しい問題はありませんので、要領よく整理して記憶することがポイントなります。
なお、特に「費用(財政)」の関係ですが、協会と健保組合で類似する規定が多く、記憶するのに手間取ります。初めから両者の異同を意識して学習して頂く方が効率的です。当サイトでは、適時、協会・健保組合間の異同を整理しています。
協会も健保組合も、基本的には、こちらの「団体等の体系」のフレームワークにより知識を整理しています。
協会と健保組合の主な違いは、こちらの図で整理しています。また、同リンク先のページでは、健保組合の各種要件や健保法における健保組合の登場場面についてもまとめていますので、ご参照下さい。
以下、大まかにですがポイントを挙げます。
(一)機関(組織)について
協会や健保協会の機関(組織)についての全体構造の把握が必要です。
協会については、こちら の図です。健保組合については、こちらの図です。
例えば、協会には、役員として、理事長1人、理事6人以内及び監事2人が置かれるといった員数についても記憶する必要があります。ゴロ合わせもご利用下さい。
(二)設立について
協会の設立についてはあまり問題はないですが、健保組合の設立は重要です。こちらの表とゴロ合わせをベースに押さえて下さい。
なお、当サイトでは、便宜上、定款(協会の場合。こちら)・規約(健保組合の場合。こちら)の変更についても、設立の個所で掲載しています。この定款・規約の変更の要件(議決と厚生労働大臣の認可の要否)は重要です。
(三)役員等の任期について
役員等の任期については、こちらで横断整理しています。この図の上部にゴロ合わせがあります。
(四)費用(財政)について
費用(財政)に関しては、先に触れましたが、出題が多く、要注意です。当サイトを熟読して頂く必要があります。協会はこちら以下、組合はこちら以下です。
(五)変更
健保組合の合併、分割及び設立事業所の増減の要件について押さえて下さい(こちら以下)。
例えば、合併と分割の場合は、4分の3以上の議決と厚生労働大臣の認可が必要です。
なお、新設された「国民年金基金」の合併及び分割の場合は、3分の2以上の議決です(厚生労働大臣の認可が必要な点は同じです。国年法のこちら以下)。国民年金基金の場合は、地域型基金の統合を進めるという政策的要因があることから、議決の要件がやや緩和されていることになります。
(六)解散等
健保組合の解散の要件も記憶が必要です(こちら)。
(七)特殊な健保組合
特殊な健保組合として、指定健康保険組合(第28条)、特定健康保険組合(法附則第3条)、地域型健康保険組合(法附則第3条の2)及び承認健康保険組合(法附則第8条)について、こちらで整理しています。
(八)健康保険組合連合会
健康保険組合連合会(以下、「連合会」といいいます。こちら以下)は、悩ましい個所で、量は多くないのですが、チョロチョロ出題があります。先の平成28年度も択一式で1肢出題されました。その程度なら無視してもよいのですが、平成20年度には、選択式で1問(5空欄)も出題されたことがあります。難問でした。
ただ、この選択式も含め、これまで出題された個所をチェックすれば足りるでしょう。
健保法は、次回は、被保険者に少し入ります。
(三)雇用保険2事業の改正について
なお、雇用保険法関係の改正について、雇用保険2事業の助成金等に関する改正の改訂作業が終わりました。
助成金のいつもの例のように膨大な改正量なのですが、今回は、新たに「生産性の要件」が課される助成金が多くなったという特徴があり、例年よりは、やや2事業・助成金について注意した方がよさそうです。
まず、(以前にもご案内しましたが)雇用保険法のこちらの法本体に新設された「事業における留意事項」の規定(即ち、生産性の向上の理念の規定)は、記憶して下さい。
これを受けて、今回の施行規則の改正により、「生産性の要件」が課される助成金が多くなったのですが、施行規則において「生産性の要件」が定義されているのが、こちらの「労働移動支援助成金」です。
生産性の要件は、次のように定義されています
「事業所の労働生産性の向上に資するものとして職業安定局長、厚生労働省職業能力開発局長(以下「職業能力開発局長」という。)及び厚生労働省雇用均等・児童家庭局長(以下「雇用均等・児童家庭局長」という。)が定める要件(以下「生産性要件」という。)に該当する事業主であること。」
こちら以下の「生産性の要件」に関する記載をざっとお読み下さい。また、「労働移動支援助成金」の名称は、一応、覚えておきます。
ちなみに、先の平成28年度の択一式では、専門実践教育訓練に関係する助成金・補助について施行規則から出題されました(こちら)。超難問でした。このような問題まで解けるように学習するのは実際的でなく、あまり心配する必要ありませんが(このような知識を知っていた受験生はほとんどいないでしょう)、生産性の要件については注意が必要です。
その他、助成金についての細かい知識については、深入りしない方がよいです。
では、また次回です。
・平成29年4月14日(金曜)
今回も、ボリュームがあるため、メールよりカットしております。
一 厚年法の第7回目の更新について
厚年法は、前回、報酬等まで終わりましたので、いよいよ老齢厚生年金に入ります。ここらあたりから、厚年法は、ものすごく学習が大変になっていきます。
老齢厚生年金は、細かく学習し過ぎますと、時間が足りなくなります。
まずは、骨組みや基本的知識を習得して頂き、「基本的知識 + 選択式で出題されやすいキーワード」の把握に努めて頂いた方が合格に直結すると思います。基本的知識とは、過去問で出題された知識です。
今回は、老齢厚生年金のうち、「65歳からの本来の老齢厚生年金」の3分の2程度を更新します。「発生」に関する問題です。
・更新開始ページ=こちらの「事業」からです。
・更新終了ページ=こちらの支給の繰下げの最後までです。
今回は、「65歳からの本来の老齢厚生年金」の「発生」に関する問題ですが、学習する項目は以下の通りです。
骨組みとしては、基本形は、「支給要件」と「効果(広義)」の問題に大別でき、後者は、基本年金額と加算額に大別されます。
さらに、いわば応用問題として、「2以上期間者に係る老齢厚生年金」と「支給の繰上げ、繰下げ」の問題があります。
〔Ⅰ〕発生
〔1〕支給要件
〔2〕効果(広義)
〈1〉受給権の発生
〈2〉年金額
1 基本年金額
(1)本来の年金額
(2)特例による年金額(従前額保障、存続厚生年金基金等の加入員の特例等)
2 加算額
(1)加給年金額
(2)経過的加算額
3 保険給付の通則(その1)
端数処理、支給期間、支給停止期間、支払期月、裁定
〔3〕2以上期間者に係る老齢厚生年金
〔4〕老齢厚生年金の支給の繰上げ及び支給の繰下げ
以下、ポイントに少し触れます。
(一)支給要件
1 支給要件については、基本的に、老齢基礎年金の支給要件における考え方を利用できる個所が多いため、それほど問題はないかもしれません。適時、老齢基礎年金の支給要件を復習しつつ、学習を進めて下さい。
2 受給資格期間の短縮特例
老齢基礎年金も同様なのですが、8月から受給資格期間が10年に短縮されますので、「受給資格期間の短縮特例」が老齢年金給付については必要がなくなります(遺族年金給付では必要です)。この改正の関係で、今回の試験では、「受給資格期間の短縮特例」が出題される可能性があると思います。
国年法で学習しましたが、こちら以下の表の生年月日や年数が記憶に残っているか、ご確認下さい。
3 適用関係
こちら以下では、適用関係について触れています(法が改正された場合に、改正前と改正後のいずれの仕組みが適用されるのかといった問題です)。
(1)旧法と新法の適用関係
旧法と新法の適用関係については(さほど出題があるわけではないですが)、サイト本文を読んで頂き、一応、押さえて下さい。
基本的には、昭和61年4月1日前〔=新法施行日の前日〕までに旧法の老齢年金の支給要件に該当した者(受給権が発生した者)については、原則として、引き続き旧法の老齢年金が支給されます。
具体的には、大正15年4月1日以前に生まれた者等です。
(2)被用者年金一元化法による適用関係
こちら以下では、被用者年金一元化法による適用関係について触れています。
さしあたりは、被用者年金一元化法の施行日(平成27年10月1日)前に支給要件に該当した(受給権が発生した)場合には、原則として、一元化法による改正前の規定が適用され、同改正前の規定に基づく老齢厚生年金や退職共済年金等が支給される点を押さえておいて下さい。
一元化法の施行日以後に支給要件に該当した場合は、一元化法による改正後の規定が適用されます。例えば、国家公務員であり、第2号厚生年金被保険者期間を有していた者が、平成27年10月1日以後に65歳に達した場合は、老齢厚生年金が支給されるのであり、「退職共済年金」が支給されるのではありません(60歳台前半に支給される特別支給の老齢厚生年金(退職共済年金)の問題は除外しておきます)。
その他、被用者年金一元化法による適用関係については細かい問題を一応記載していますが、優先度はかなり低めです。以上の程度を押さえ、残りはひとまずカットして頂いた方がよさそうです。
(二)効果(広義)
1 基本年金額
(1)基本年金額は、こちら以下です。
平成15年4月1日以後の被保険者であった期間かどうかで区別されたり、1,000分の5.481といった数字が登場するなど、細かいのですが、ここは少々じっくり読んで頂く必要があります。例えば、5.481は、平成23年度の選択式で出題されています。
なお、ここらあたりから、条文がより長文化したり、読みにくくなるものが多くなります。サイト上で、「お読み下さい」といった記載がない条文は読まないで結構です。
こちらのページでは、第43条は、非常に重要で熟読が必要ですが、その他はスルーになります。
本来は、年金法でも、条文にできるだけ目を通した方がよいのですが、年金法でこれをしますと、試験まで間に合わなくなりますので、熟読は重要な条文に絞ることにします。
基本的に、政省令(施行規則・施行令)は読まずに、厚年法本体の条文は読むことになります。厚年法の附則が問題なのですが、例えば、特別支給の老齢厚生年金の支給要件を定めた法附則第8条など、読まなければならない条文がいくつかあり、随時、指摘致します。
(2)従前額保障
従前額保障(こちら)については、以前は、細かい知識も出題されていたのですが、最近はあまり出題されなくなっています。さしあたり、1冊本で記載されている程度の知識で足りるものと思われます。
(3)存続厚生年金基金等の加入員の特例
存続厚生年金基金等の加入員の特例(こちら)は、ざっと読んで頂いた方がよさそうです。
基金関係の出題が乏しくなっていますので、あまり時間をかける必要はないのですが、「基金は、政府の行う老齢厚生年金の一部の支給を代行する」という基金の役割(代行給付を行うこと)について触れていますので、概要は把握して下さい。
2 加算額
加算額(とりわけ加給年金額)は、非常に重要です。加給年金額と経過的加算額があります。加給年金額が加算されるかどうかで年金額が大きく変わりますので、実務上も大変重要です。
(1)加給年金額
加給年金額(こちら以下)は、当サイトをじっくりお読み下さい。
国年法の振替加算よりは、やや理解しやすいかと思います。
ここでも、「発生→変更→消滅」という時系列に沿って知識を整理できます(消滅に関する問題はあまりありませんが)。
加算の「発生」に関する問題については、加算の要件と加算額の問題に分けられます。加算額については、特別加算の問題もあります。いずれも熟読して頂く必要があります。
「変更」に関する問題としては、減額改定が重要です。また、加給年金額の支給停止の問題もあります。これらも、非常に重要です。
以上の他、応用問題として、2以上期間者に係る加給年金額の問題があります(こちら以下)。
最大のポイントは、「240月」に2以上の期間を合算すること、また、2以上のいずれの老齢厚生年金に加給年金額が加算されるのかの基準が問題になることです。後者については、前回の択一式で出題があります。
すぐ後で見ますが、「2以上期間者に係る老齢厚生年金の特例」(こちら)の問題を先に学習してから、2以上期間者に係る加給年金額の問題を見て頂いた方がわかりやすいかもしれません。
なお、2以上期間者に係る加給年金額においても、「期間合算の適用関係」として適用関係の問題に触れていますが(こちら)、これは試験対策上はカットして頂いてよいと思います。
「240月における期間合算」は、原則として、一元化法の施行日(平成27年10月1日)以後に「受給権が発生」した(支給要件に該当した)老齢厚生年金に適用されること、程度を押さえて頂き、あとはカットして下さい。
(2)経過的加算額
経過的加算額(こちら)については、「特別支給の老齢厚生年金における定額部分の額」と「65歳からの老齢基礎年金の基本年金額」との差額を支給するという枠組みがポイントです。
なお、定額部分の額については、のちに特別支給の老齢厚生年金の個所で学習します。
3 保険給付の通則(その1)
次に、保険給付の通則の前半として、端数処理、支給期間、支給停止期間、支払期月及び裁定について触れています。国年法の保険給付の通則と基本的には共通する事項が多いため、学習しやすいと思います。
端数処理については、前回の本試験でも出題されており、今後も出題の可能性が高そうですので、注意です。
以下は、応用問題です。
(三)2以上期間者に係る老齢厚生年金の特例
まず、こちらで2以上期間者に係る老齢厚生年金の特例を整理しています。
これは、被用者年金一元化法による改正におけるポイントとなる個所です。じっくりお読み下さい。
2以上期間者に係る保険給付については、大きくは、老齢厚生年金のパターン(各号の期間ごとに受給権が発生します)と障害厚生年金のパターン(各号の期間を合算し、1つの受給権が発生します)があります。
遺族厚生年金の場合は、長期要件については、前者の老齢厚生年金のパターンに近くなり、短期要件については、後者の障害厚生年金のパターンに近くなるというイメージです。
前回の本試験では、2以上期間者の問題について、「期間合算ができるのかどうか」という点と「支給に関する事務をどの実施機関が行うのか」という点が問われています。
前者の期間合算の可否の問題については、序論のこちらの表でまとめています。
後者の支給に関する事務を行う実施機関の問題については、2以上期間者に係る老齢厚生年金の場合は、各号の期間に基づく老齢厚生年金ごとに、当該種別に係る実施機関が行います。障害厚生年金の場合は、初診日における種別に係る実施機関が行います。
遺族厚生年金の場合は、こちらの表の通りです。
この遺族厚生年金の場合の表を覚えて頂くと、ここから、老齢厚生年金も障害厚生年金についても導くことができます。遺族厚生年金の長期要件の場合が老齢厚生年金とパラレルになり、短期要件の場合が障害厚生年金とパラレルになります(死亡は関係しませんので、初診日ということです)。
以上のような点が基本的知識であり、これらは押さえます。その他の事項については、余裕があれば取り組むということになります。
(四)老齢厚生年金の支給の繰上げ及び支給の繰下げ
支給の繰上げと繰下げも、非常に重要です。ただ、すでに老齢基礎年金の支給の繰上げ・繰下げを学習していますので、要件や支給額(減額率・増額率)等について、そちらをベースとして整理できる点は多いです。
1 老齢厚生年金の支給の繰上げ
老齢厚生年金の支給の繰上げ(こちら以下)については、次の2タイプあります。
(1)老齢厚生年金の支給の繰上げ(法附則第7条の3)=本来の老齢厚生年金の支給の繰上げ
(2)経過的な繰上げ支給の老齢厚生年金(法附則第13条の4)=老齢厚生年金の経過的な支給の繰上げ
ポイントは、(1)は、60歳台前半の「特別支給の老齢厚生年金の支給を受けられない者」が行える支給の繰上げであり、(2)は、「特別支給の老齢厚生年金に係る報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられる段階にある者」が行える支給の繰上げであるということです。
そこで、要件等について、「特別支給の老齢厚生年金」を学習しませんとよく理解できない個所がありますが、さしあたりは、当サイトを一読してみて下さい。
支給の繰上げの要件については、一元化法による改正によって少々複雑化しているのですが、のちに特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げのフレームを押さえれば、理解しやすくなります。
2 老齢厚生年金の支給の繰下げ
老齢厚生年金の支給の繰下げは、基本的には、老齢基礎年金の支給の繰下げとパラレルな部分が多いです。
異なる主な点は、要件について、受給権取得から1年間に有していると支給の繰下げが行えない「他の年金たる給付」に「障害基礎年金」が含まれないこと、効果(加算額)について、高在老の制度の適用が加味されて「繰下げ加算額」の加算になることです。繰下げ加算額の細かい知識は不要といえます。
以上、今回の更新範囲では、非常にヘビーな問題が多いです。社労士の試験対象の学習事項の中で、今回から数回にわたる事項(特別支給の老齢厚生年金が終わるくらいまで)が最も難しく、かつ、ボリュームがあるものになります。
試験対策上は、ここらあたりのエリアでは、点を取りに行くというポジティブな学習方法より、1点差で逃げ切るといった守りの学習方法の方がよさそうです。よく問われるような事項を落とさない学習をして頂き、また、選択式で出題されそうなキーワードには常に注意をして下さい。
次回は、65歳からの老齢厚生年金の残りになり、退職時改定、在職老齢年金、特別支給の老齢厚生年金といったまたまたヘビーな問題が続きます。
二 雇用保険法等の改正について(続き)
前回、4月1日施行の雇用保険法等の一部改正法(以下、「平成29年改正法」といいます)による改正事項について、まとめ等をご案内しました。
今回は、直接は試験に関係ないのですが、この「平成29年改正法」において、他に雇用保険法等のどこの改正が予定されているのかについてお伝えします。
近く予定されている改正事項の周辺が出題の対象になることは少なくありませんので、大まかに改正個所を知っておくことは参考になります。
今回の雇用保険法等の改正法では、平成29年8月1日施行と平成30年1月1日施行の改正事項も定められています(これらは、今回の試験対象ではありません)。
このうち、雇用保険法の改正予定事項について、若干、触れておきます。それほど多くの事項はありません。
1 基本手当の関係
基本手当については、賃金日額等の自動変更対象額(賃金日額の下限額・上限額、基本手当日額の給付率の決定に係る賃金日額の範囲)が改正されます。
これは、毎年改正されるのですが(厚生労働大臣の告示によります。雇用保険法第18条)、今回の改正は、雇用保険法に規定されている法定額自体の改正です。
近年、最低賃金が引き上げられた結果、平成28年の賃金日額の下限額(2,290円)が最低賃金(2,351円)を下回る状況となっていることから、賃金日額の下限額及び上限額等を引き上げるという趣旨です。
2,290円といった金額自体が出題されることは、近時はありませんが、覚えられればそれに越したことはありません。
ただ、よりチェックしておく必要があるのは、今回の改正であるこちら以下の「他の失業等給付の下限額・上下額」の改正ではないかと思います。
例えば、育児休業給付金に係る休業開始時賃金日額の上限額は、「離職日(休業開始日前日と読み替えます。以下同様)に30歳以上45歳未満の者=14,150円」の上限額が適用されますが、介護休業給付金に係る休業開始時賃金日額の上限額については、改正により、「離職日に45歳以上60歳未満の者=15,550円」の上限額が適用されることになりました。後者の改正に注意です。
2 基本手当以外の失業等給付
基本手当以外では、教育訓練給付関係の改正が中心です。
専門実践教育訓練給付金と教育訓練支援給付金の支給額が引き上げられます。
(1)専門実践教育訓練給付金
現在は、教育訓練給付金の額は、受講費用(なお、改正により、キャリアコンサルティングの費用も含むことになった点は、最重要ポイントです)に100分の20以上100分の60以下の範囲内において厚生労働省令で定める率を乗じて得た額と規定されています(第60条の2第4項)。
平成30年1月1日施行の改正では、この「100分の60」が「100分の70」に引上げられます。これにより、施行規則も改正して、専門実践教育訓練給付金の支給額を引き上げるものです。
そこで、現在の給付率の「100分の20以上100分の60以下」という範囲や現在の専門実践教育訓練の支給額は記憶していた方がよいでしょう。
また、これは施行規則の改正によるものですが、専門実践教育訓練給付金の支給要件期間を10年から3年に短縮する予定です。
(2)教育訓練支援給付金
教育訓練支援給付金は、現在、平成30年度までの暫定措置ですが、平成33年度まで延長され、また、支給額が現在の50%から80%に引き上げられます(平成30年1月1日施行)。
50%という点は、平成27年度の選択式で出題されていますが、教育訓練支援給付金は、その創設後、毎年出題されていますので、引き続き注意して下さい。
(3)育児休業給付金
参考程度ですが、育児介護休業法の定める育児休業については、平成29年10月1日施行の改正により、育児休業の対象となる子について、例外的に「1歳6か月から2歳未満までの子」も対象となることに改められました。つまり、例外的に、2歳までの延長が可能となりました。
これに伴い、雇用保険法の育児休業給付金の支給対象となる子の年齢要件も改正されます。
育児休業給付金は、今回の試験対象として、「特別養子縁組の監護期間にある子」及び「養子縁組里親に委託されている要保護児童等」が含まれるという事項がありますので、こちらの方を注意する必要があります。
さしあたり、今回の試験に関係しそうな近い将来の改正事項は以上の通りです。
以上の「二 改正予定事項について」以下で触れました事項は、今回の試験対象ではないことにはくれぐれもご注意下さい(一部、今回の試験対象に関する記載もあります)。
では、今回はこれにて。次回は、厚年法は在職老齢年金等に入ります。健保法は、保険者です。
・平成29年4月8日(土曜)
今回は臨時増刊号として、3月31日に公布された法令による改正事項についてお知らせします。
労災保険法、雇用保険法及び徴収法に関する改正事項です。
なお、国年法及び厚年法についても、多くの改正がありますが、これは、追納・後納保険料・特定保険料の額・率などに関する改正であり、直接的には試験で出題対象にならないものが多いです。国年法(厚年法)のサイト上の各種表や数字等については書き換えてありますが、特には読んで頂く必要はなく、ここでもリンクはつけません。
ただし、脱退一時金の額に関する仕組みについは、理解して頂いた方がよく、国年法・厚年法の脱退一時金を学習する際は、額の計算方法についても目を通して下さい。
では、まず、労災保険法の改正からです。
一 労災保険法
マイナンバー制度の実施に伴い、従来から、年金たる保険給付に係る届出等において、厚生労働大臣が、当該届出等の内容に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、住民票等の添付書類の添付を省略できました。
今回、この添付省略が可能な添付書類が拡大されました。
「生計を同じくしていることを証明することができる書類」、「生計維持関係を証明することができる書類」、「事実上婚姻関係と同様の事情にあったことを証明することができる書類」、「死亡の事実を証明することができる書類」及び「所在不明者の所在が1年以上明らかでないことを証明することができる書類」が添付省略可能となります。
具体的には、保険給付の類型等ごとに整理した方がわかりやすく、労災保険法のこちら以下をご参照下さい。従来の改正事項と分けて今回の改正事項のみを整理しますと、理解・記憶がしにくくなりますので、従来の改正も含め、マイナンバー制度の改正に伴う近時の手続面の改正をまとめて整理しています。
ページ右側に【平成29年度試験 改正事項】とあるのが、今回の改正個所です。
ただ、試験対策上は、どこまで押さえるべきかはかなり微妙です。
さしあたり、「年金たる保険給付」(年金に係る特別支給金も同様です)に係る届出等において、厚生労働大臣が、当該届出等の内容に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、住民票等の一定の添付書類の添付を省略できることを押さえて頂き、上記の新たに省略可能となった添付書類を大まかにイメージできる程度で足りるように思います。上記の赤字のキーワードは記憶が必要です。
二 雇用保険法
平成29年3月31日に成立・公布された「雇用保険法等の一部を改正する法律」(以下、「平成29年改正法」といいます)が翌4月1日に施行されました。
この改正法による改正事項も多岐にわたり、特別のページを設け(雇用保険法のこちら)、概要と本文のリンク先について紹介しています(なお、この改正に関する行政手引の改訂もすでに公表されており、当サイトでも、改訂行政手引を本文中で反映済みです)。
このリンク先のページとその前のページによって、平成29年度試験の雇用保険法の前改正事項の概要と本文掲載個所を把握して頂けます。
今回の改正事項も多数ありますが、最優先学習事項としては、〔2〕特定受給資格者に係る所定給付日数の一部改正(番号は、上記リンク先の番号です)、〔4〕個別延長給付及び地域延長給付の新設、〔7〕雇用継続給付の育児休業給付金に関する子の範囲の改正、及び〔9〕国庫負担率の暫定的な引き下げ、になると思います。
〔8〕生産性の向上の理念についても、注意です。
なお、まだ雇用保険2事業(助成金)に関する改正については、改訂作業が終わっていません(これが大量にあるのです。徐々に改訂します)。ただ、試験対策上は、まずは、新設された上記〔8〕の「生産性の向上の理念」の規定を押さえて下さい〔ここは、後日、やや修正しました〕。
三 徴収法
前記の「平成29年改正法」により、雇用保険率の暫定的な引き下げについて定められました。
詳細は、徴収法のこちら以下です。
今回の引き下げの具体的な仕組みについては、こちらをご覧下さい。
今回の改正は、さしあたり以上です。次回は、厚年法の更新となります。
・平成29年3月29日(水曜)
今回から、健保法も同時更新します。
一 厚年法の第6回目の更新について
前回までで、「主体」に関する問題は終わり、今回は、「客体」に関する問題です。
・更新開始ページ=「客体」の最初のページのこちら
・更新終了ページ=「標準賞与額」のこちらのページの最後まで
「事業」の手前までの更新となります。
保険事故については、序論で紹介済みですので、ここでは報酬関係についてざっと触れます。
(一)全体構造
報酬関係の問題の全体構造は、こちらの図です。
大きくは、「報酬及び賞与の要件」に関する問題と「標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額)の決定」についての問題に分かれます。
なお、当サイトでは、健保法より先に厚年法を更新します関係で、報酬関係の細かい知識は、基本的に厚年法で説明しています。健保法では、詳しい説明は省略していることがあります。また、健保法の過去問についても、可能な限り、厚年法で掲載しています。
(二)報酬及び賞与の要件
報酬及び賞与の要件に関する問題(こちら)は、労基法の賃金に関する知識をベースにできます。労基法の賃金の場合と異なる点に注意して下さい。太字部分や赤字の部分を追って頂くと、効率的です。
(三)標準報酬月額の決定
1 標準報酬月額の決定の全体構造は、こちら以下です。
2 標準報酬月額等級表
(1)等級表の改正
等級表については、厚生年金保険について、平成28年10月1日施行の改正により、下限が1等級追加され(標準報酬月額の下限の引き下げ)、従来の30等級から31等級の区分に増加されました。短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大に係る改正を背景としたものです。
健康保険についても、平成28年4月1日施行の改正により、従来の47等級から50等級の区分に増加されており(前回の試験では出題されていません)、等級表関係は、健保法・厚年法ともに要注意です。
第1級、第31級といった区切りのよい個所の金額(標準報酬月額。また、大まかな報酬月額)は覚えて頂いた方がよいです。
より面倒なのは、随時改定のこちらの「1等級の差が生じた場合であっても随時改定の対象となるもの」が出題されるケースです。過去問が多く、出題された場合に解答できるように金額を記憶しておく必要があります。過去問を見て頂くと、覚えるべき金額が判明します(サイト本文上でも、覚えるべき金額について記載しています)。
(2)経過措置
なお、標準報酬月額の下限の引き下げに伴う経過措置があります(こちら)。
この経過措置の内容は、改正前の最下限である標準報酬月額9万8千円に分類されていた一部の被保険者(改正後の最下限である8万8千円の標準報酬月額になる者)について、実施機関が職権で、新設された標準報酬月額等級の最下限の等級(標準報酬月額8万8千円)に改定するというものです。
ただ、この経過措置は、根拠条文が数次の改正を経ており(詳細は本文で掲載していますが、不要です)、やや出題しにくいかもしれません。
さしあたりは、当サイトの前掲リンク先をざっと読んで頂き、大体の内容を把握して頂く程度でよさそうです。
(3)等級区分の上限(最高等級)の改定
等級区分の上限(最高等級)の改定(こちら)については、常に出題の可能性があるため、ポイントとなる数字等を記憶しておく必要があります。当サイトのゴロ合わせでも参考にして下さい。健保法では、前回の択一式で出題されていますが、何度でも出題される可能性があります。
3 定時決定等
標準報酬月額の具体的な決定については、資格取得時決定、定時決定等が問題になりますが、短時間労働者に関する改正に注意です。
即ち、定時決定等の算定対象月については、報酬支払基礎日数が17日未満の月は除外されますが、「厚生労働省令で定める者」については、この17日は11日になりました(第21条第1項等)。(こちら以下)
この「厚生労働省令で定める者」については、施行規則第9条の6が定めています。
この施行規則第9条の6のリンク先の当該条文をご覧になれば判読できますように、「報酬支払基礎日数が11日以上である月を算定対象とする者」とは、「被保険者又は70歳以上の使用される者(以下、「被保険者等」といいます)である4分の3未満短時間労働者」ということになります(健保法の場合は、「70歳以上の使用される者」は含まれません)。
施行規則第9条の6の文言に忠実に、このまま覚えておいてよいです。
ただ、この「被保険者又は70歳以上の使用される者(「被保険者等」)である4分の3未満短時間労働者」とは、結局は、「被保険者等である特定4分の3未満短時間労働者」ということです。
詳細は、本文の前記リンク先で説明しています。
今回の更新範囲のメインは、以上の「被保険者等である4分の3未満短時間労働者」について「報酬支払基礎日数が11日以上である月を算定対象とする」ことに改められたという改正個所です。
その他の定時決定等に関する問題については、当サイトを熟読して頂くことになります。
次回は、保険給付に入り、老齢厚生年金の開始です。
二 健保法の初回の更新について
今回から、健保法も同時更新致します(メインは厚年法の更新となり、合間を見て、健保法も更新します)。
今回は、序論のみの更新です。
・更新範囲=健保法の最初のページから、序論の最後(基本的理念)のこちらまで。
「主体(保険者等)」の手前までの更新となります。
今回の更新個所は、これから学習したり、立ち戻ったりする個所が多く、さしあたりはざっと眺める程度で結構です。
ただし、「客体 → 保険事故」の個所(こちら)は、基本的にはここでのみ記載しており、出題も多く重要です。
上記リンク先の次のページで過去問を掲載していますが、「法人の役員である被保険者又はその被扶養者に係る保険給付の特例」についての出題が多いです。
ただ、出題されているのは、同じような個所ですので、いったん理解して記憶して頂ければ大丈夫です。
では、今回はこの程度で。これからしばらく、かなりの改正が予想されます。3月31日は、毎年、恐ろしいです。。
皆様の学習が順調に進まれますように。
・平成29年3月25日(土曜)
21日(火曜日)に遺族補償年金の支給要件(年齢要件)における男女差別に関する最高裁判決がありました。
もっとも、地方公務員災害補償法による遺族補償年金のケースですので、この判決が直接的に試験で出題されることはないでしょうが、知っておきますとやや参考になりますので、メールにてポイントをご紹介します。
今回は、厚年法の届出等の更新の他、労基法の割増賃金に関する国際自動車事件の解説などを内容とします。
今回も、メール内容を大幅にカットしていますので、ご了承下さい(メールの半分程度にはなりましたが、それでも膨大な分量です)。
一 厚年法の第5回目の更新について
厚年法の更新の再開です。前回は、被保険者期間まで終わっていますので、今回は、届出を更新します。
・更新開始ページ=届出等のこちら
・更新終了ページ=通知のこちらの最後まで
客体(報酬関係等)の手前までの更新です。
今回の更新内容は、次の通りです。毎度のことですが、今回も厄介です。そして、重要な項目が多いです。
1 届出
2 確認
3 年金手帳
4 事業主の書類の保存義務
5 記録(原簿)
6 訂正の請求(特定厚生年金保険原簿記録の訂正請求の制度)
7 通知
8 被保険者に対する情報の提供
(一)届出
届出は、短時間労働者に関する改正が関係する個所があり、やりにくい個所です。また、「受給権者等が行う届出等」については、国年法の場合もかなり大変でしたが、厚年法の場合は、より膨大化・複雑化しており、非常に厄介です。
さらに、「70歳以上の使用される者に関する届出」の問題もあります。
1 体系
まず、届出を行うべき者を基準にしますと、届出の体系は次の通りです。
(Ⅰ)事業主が行う届出(第27条、第98条第1項)
(Ⅱ)被保険者等が行う届出(第98条第2項)
(Ⅲ)受給権者等が行う届出(第98条第3項)
(Ⅳ)その他の者が行う届出(受給権者が死亡した場合の戸籍法による死亡の届出義務者が行う死亡の届出等。第98条第4項等)
届出の体系についてはこちらを、また、事業主が行う届出の体系についてはこちらをご覧下さい。届出についても、今まで学習しました他法における届出の問題と同様に、「発生 → 変更 → 消滅」の時系列により整理します。
2 事業主が行う届出
事業主が行う届出については、「事業主に関する届出」、「被保険者に関する届出」及び「70歳以上の使用される者に関する届出」があります。
試験対策としては、こちらの届出の期限の表を押さえて頂くことがもっとも重要です。
「事業主が行う届出」の期限は、原則として、一般の事業主(が行う届出)の場合は「5日以内」であり、船舶所有者(が行う届出)の場合は「10日以内」になります。あとは、この例外にあたるケースを押さえます。
以下、注意点です。
(A)事業主に関する届出
(1)特定適用事業所の該当の届出
短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大に係る改正に伴い、「特定適用事業所の該当の届出」(施行規則第14条の3)が新設されました(こちら)。
初めて特定適用事業所となった適用事業所の事業主が届出義務を負うこと、届出の期限は5日以内であることを押さえます。ここは、そう面倒ではありません。出題はしやすそうです。
(2)事業主の変更の届出
事業主の変更の届出(こちら)は、平成27年に改正され、従来は、事業主に変更があったときに、前事業主と新事業主の連署をもって届出を行わせていたのが、変更後の新事業主による届出に手続が緩和されました。 健保法では、さっそく【平成28年問6E】で出題されましたが、厚年法でもチェックしておいて下さい。
次に、被保険者に関する届出です。「発生 → 変更 → 消滅」の順にポイントを見ておきます。
(B)被保険者に関する届出
(1)発生=資格取得の届出
(ア)被保険者に係る区別の記載
短時間労働者に係る改正に伴い、資格取得の届出において、「被保険者に係る区別」の記載が必要になりました(実際は、届書の「短時間労働者(3/4未満)」という欄に✔を入れるようになっています)。
この「被保険者に係る区別」については、長くなりますので、厚年法の本文のこちら以下をご覧下さい。
この「被保険者に係る区別」の記載については、届出の様式の問題ですので、出題対象となりにくいかもしれません。後述の「被保険者等区分変更届」に注意が必要です。
(イ)個人番号の記載
以前、改正情報としてお伝えしましたが、資格取得の届出において、個人番号の記載欄が追加されました(平成29年1月1日施行)。
ただし、経過的な措置があり、こちら以下のように複雑です。要するに、届出先が機構になるかどうかにより、個人番号の記載欄を追加した新様式の利用の要否や個人番号の記載の要否が異なっています。
具体的に、細かい個所まで記憶しなければならないかは疑問です。ごく大まかですが、「機構に届け出る場合には、(今のことろは)個人番号は記載しない」程度のアバウトな知識で足りそうな気がします。
(ウ)光ディスク
ちなみに、厚年法の施行規則では、従来、「磁気ディスク」と規定されていたのですが、「光ディスク」に改められました(平成29年1月1日施行。健保法の施行規則については、すでに平成25年に「光ディスク」と改められていました。)。こちら以下です。
なお、念のためですが、この光ディスクには、「これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物」を含むものと規定されており(施行規則第15条第1項前段かっこ書)、文字通りの「光ディスク」に限定されるわけではありません。
次に、事業主が行う被保険者に関する「変更」に係る届出です。
(2)変更
(ⅰ)被保険者等区分変更届
「被保険者等に係る区別変更の届出=被保険者等区分変更届」(施行規則第21条の3)が新設されました。この届出は、注意しておいたほうがよさそうです。
詳細は、本文のこちら以下をご覧頂きたいのですが、結論としては、「被保険者等に係る区別の変更」とは、「被保険者等に係る特定4分の3未満短時間労働者であるかないかの区別の変更」と押さえることができます。
(ⅱ)報酬関係の届出
報酬関係の届出については、こちらのページで説明しています。次回、「報酬」関係の更新をしますが、そこでも届出についてリンクをしていますので、その際に学習して頂いても結構です。
最低限記憶しなければならない点は、報酬月額変更の届出(随時改定、育児休業等終了時改定及び産前産後休業終了時改定に係る届出です)は、一般の事業主が行う場合は「速やかに」、船舶所有者が行う届出の場合は「10日以内に」届け出るということです。
また、賞与額の届出は、賞与を支払った日から5日以内(船員被保険者に係る場合は10日以内)であることも押さえて下さい(これは、一般の届出の期限のパターンです)。
続いて、消滅に関する届出です。
(3)消滅=資格喪失の届出
資格喪失の届出は、オーソドックスです。5日以内(船舶所有者は10日以内)の届出の期限となります。
また、資格喪失の届出が不要な場合がありますので(こちら)、チェックして下さい。
以上が、事業主が行う届出の一般のケースです。次に、「70歳以上の使用される者に関する届出」です。
(C)70歳以上の使用される者に関する届出
(1)まず、「70歳以上の使用される者」の要件(定義)を押さえることが必要です(こちら以下です)。
一元化法の施行により、「昭和12年4月1日以前に生まれた者」も「70歳以上の使用される者」に該当することになりました。
(ⅱ)短時間労働者に対する適用拡大に係る改正に伴い、70歳以上の短時間労働者が「70歳以上の使用される者」に該当するかどうかも大きな問題になります。詳しくは、前記のリンク先で記載していますが、基本的には、70歳未満の短時間労働者の取扱いとパラレルになります(加えて、「70歳以上の使用される者」の一般的な要件も満たすことが必要です)。
(2)届出の種類と届出の期限については、こちら以下の2つの図表を参考にして下さい。
(3)その他、「70歳以上の使用される者」について、在職老齢年金の個所でも学習しますので、今の段階では大まかに読んで頂いて結構です。
以上、事業主が行う届出でした。次に、被保険者等が行う届出です。
3 被保険者等が行う届出
(1)被保険者等が行う届出については、こちら以下に2つの図表があります。
このうち、「同時に2以上の事業所に使用された場合」の届出として、「所属選択の届出」と「2以上事業所の届出」があります。10日以内の届出の期限になります。これらは、過去にも出題されていますので、ざっと本文(こちら以下)をお読み下さい(内容と届出の期限を押さえておけば足りそうです)。
(2)基金関係の基金選択届もあります。基金関係は、学習の優先順位がかなり低くなりました。基金選択届も、スルーで大丈夫でしょう。
(3)「適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者の氏名又は住所の変更の届出」や「第4種被保険者の氏名又は住所の変更の届出」については、本人が10日以内に届出ることが必要である点は、注意です(こちら以下)。
次に、受給権者等が行う届出です。
4 受給権者等が行う届出
(1)受給権者等が行う届出は、ボリュームが大変です。コストパーフォーマンスが悪いといいますか。
さしあたり、こちらのページをざっと見て頂き、初学者の方は、以後はカットし、死亡の届出(こちら)に進んで下さい。
(2)受験経験者の方は、以下の3点をチェックして下さい。
(ア)現況届(広義)
まず、こちらの現況届(広義)については、ざっと一読して下さい。
こちらの施行規則第35条は、選択式の出題対象にもなり、重要です(なお、この施行規則第35条は、老齢厚生年金の受給権者について規定していますが、障害厚生年金等の受給権者についても、それぞれ規定があります)。上記条文の赤字部分に注意して下さい。
(イ)期限が10日以内になる届出
次に、こちらの「届出の期限が10日以内になるもの」の青の点線枠内をご覧頂き、これらの届出の期限が10日以内であることは押さえてください。(なお、よく内容がわからないような届出については、条文のリンクをクリックして下さい。条文に飛びますが、少し上部にスクロールして頂くと、その届出の冒頭にぶつかります。ただ、あまり内容を深く詰める必要はないです。)
(ウ)国会議員等に関する届出
届出の期限が「速やかに」になる受給権者等が行う届出のうち、「国会議員等に関する届出」は、一元化法により新設されたものですので、ざっと目を通して下さい(こちら以下)。
「速やかに」届け出ること、届出の省略が認められたことがポイントです。
※ ちなみに、この「速やかに」になる受給権者等が行う届出については、「支給停止事由該当の届出」(雇用保険の給付との調整に関する届出です)が、平成22年度の選択式に出題されました。「速やかに、支給停止事由該当届を日本年金機構に」という1か所が空欄になった問題です。届出の期限、届出の名称、届出先が問われていることになります。
ただ、このような届出は、届出の個所で学習しなくても、雇用保険の給付との調整の個所で学習します。その他にも、加給年金額に関する届出等も、保険給付を学習してからの方が取り組みやすいです。
「受給権者等が行う届出」は、ボリュームがかなりありますので、冒頭から最後まで読んで頂くのはあまりお勧めできず、保険給付の学習の際に届出に戻るという学習方法の方がよさそうです。
5 その他の者が行う届出
届出の最後です。死亡の届出(こちら)は、ざっとお読み下さい。赤字部分等をチェックすれば足りると思います。
以上、届出でした。次に、確認です。
(二)確認
確認(こちら)は、重要です。
以下の点がポイントです。
1 確認が不要な場合
確認が不要な場合(こちら以下)を覚えることが、もっとも重要です。
2 確認の方法
確認の方法には、こちらの3種類があります。
被保険者等による確認の請求については、いつでも確認請求ができること、口頭でもよいことがポイントです。
(三)年金手帳
年金手帳(こちら以下)については、例えば、「厚生労働大臣は、当該被保険者を使用する事業主を通じて年金手帳を交付することができる」など、サイト上で若干赤字(又は紫の字)にしている個所がありますので、そちらをチェックしてみて下さい。
(四)事業主の書類の保存義務
事業主の書類の保存義務(こちら)については、「完結の日から2年間保存」がポイントです。
(五)記録(原簿)
記録(原簿。こちら)については、一応、第28条と施行規則第89条はじっくり読んで下さい(第28条の太字部分は、選択式の出題対象になり得ます)。
(六)訂正の請求(特定厚生年金保険原簿記録の訂正請求の制度)