更新等のお知らせ 令和2年度(2020年度)

令和2年3月14日(土曜)

世の中、芳しくない状況が続いていますが、ご健康にお変わりないでしょうか。

 

次から次へと、色々な問題が沢山出ております。。

まさか、生きている間に、再びトイレットペーパーが品切れになるとは思いもしませんでした。。

前回は、「幸(48)せの年」のことだったですね(生まれていない方は失礼致します)。

近所の小さ目のスーパーでは、未だにトイレットペーパー・ティシュペーパーは品切れとなっています。

昭和48年のときは、こんなに長い期間品切れになっていたかどうか、記憶が定かでありませんが、いやはやなんともです。

しかし、イオンに行ったら、余るほど積んでありました。

ですが、イオンでも、マスクやアルコール消毒剤はありませんでした。既に数か月、店頭でお目にかかったことがありませんが。

 

いずれ(来年?)ワクチン等は出てくるでしょうから、長い目で見るなら、現在の不穏な状況が永続するわけではなく、悲観しすぎる必要はないとはいえます。

ただ、いかんせん、目下の状況が非常に厳しいですね。世界経済がガタつくとは、数か月前には想像しませんでした。

 

オリンピックが重大なネックとなっていますが、パンデミックとなった以上、普通に考えれば、通常通り開催することは困難なのでしょう。

延期となりますと、それはそれで色々と問題もおきそうですが、安心して練習すらできないような選手(特に海外の選手)もいるでしょうから、開催にふさわしい状況とは言えないでしょう。

個人的な最大の懸念は、仮に2年延期となった場合に、退任せずに総裁任期を延長すると言い出さないかという点です・・・🤕

 

 

さて、このような状況の中では、お子さんの面倒、ご家族の健康状況、お仕事の問題などから、日々の生活を何とか送るだけで精一杯であり、学習どころではない方も少なくないかと思います。

 

東日本大震災の当時の受験者の方について思い返してみても、長期間、学習どころではなかった方がおられたと思います。

学習する余裕がとてもないような状況の場合は、しばし中断することは一つの選択です。

過去、当サイトでご紹介しましたいくつかの合格体験談にもありましたが、合格された会員の方でも、諸事情によって、途中、学習を中断された方はおられます。

数年中断しても、再開後には、結構中断前の事項を覚えているものです。

「いったん中断するが、時機を見て再開する。再開後は合格する。」は、重要な選択肢です。

 

一方、学習する時間をなんとかお持ちの方は、貴重ないっときを有効にご活用下さい。

「一寸先は闇」の世の中ですから、日々、ベストを尽くせれば、それこそベストです!

 

では、今回の本論です。改訂状況等のほか、近時の改正状況等をお知らせします。まず、最新の最高裁判例からです。

 

 

〔1〕最高裁の判例

 

使用者責任に関して、最高裁の判例が出ました。【最判令和2.2.28】です。

基本的には民法の問題なのですが、労働法にも関係はするため、一応、チェックしておいた方がよさそうです。

労基法のこちらで掲載しています。

 

使用者責任については、民法第715条で規定されています。

ある事業のために他人を使用する者は、原則として、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うというものです。

つまり、被用者(従業員)が事業の執行について不法行為を行い第三者に対して損害を負わせた場合は、その使用者も損害賠償責任を負うという制度です。

報償責任(使用者は被用者を利用することによって利益をあげる関係にあること)と危険責任(使用者は被用者を利用することによって、事業範囲を拡張して危険を作出・拡大していること)を根拠とするものと一般に説明されています。

 

そして、使用者責任に基づき使用者が第三者(被害者)に損害を賠償した場合は、その使用者は、加害者である被用者に対して求償権を行使できる(賠償した分を請求できる)ことは明記されています(民法第715条第3項)。

対して、加害者である被用者が先に第三者に対して損害賠償をした場合に、その被用者が、使用者に対して求償できるかについては明文がなく、今回はこの点が争われました。

最高裁判決は、これを肯定し、「被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え、その損害を賠償した場合には、被用者は、上記諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について、使用者に対して求償することができるものと解すべきである。」としました。

 

前掲の判決のリンク先のすぐ前に【茨城石炭商事事件=最判昭和51.7.8】を掲載しているのですが、この昭和51年の判決において、使用者が第三者に対して使用者責任に基づく損害賠償義務を履行した場合には、使用者は、諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対して求償することができる旨が判示されていました。

そこで、これとは反対に、被用者が先に賠償した場合においても、使用者は相当と認められる分はリスクを負うとするのが整合的であり、今回の判決は、違和感はないものといえます。

 

この判決は、直接は、民法の問題ですが、使用者と労働者との問題ですから、労働法の対象でもあります。そこで、例えば、労働一般の択一式の1肢として出題するようなことは可能ですし、労基法や労災保険法などでも出題できなくはありません。

内容自体は重要ですので、上記の太字のキーワードは押さえて下さい。

 

〔中略。〕

 

 

〔2〕今月末の改正予定等

 

なお、今月は、年度末ということもあり、大量に改正が行われます。

現在、判明している主なものをご紹介します。

 

1 雇用保険法等の一部改正法

 

まず、雇用保険法等の一部改正法は、以前からお知らせしているものであり、育児休業給付を失業等給付から分離する等の改正を含んでいます。

昨日から審議されたそうですが、近日成立予定です。

 

この法律の改正自体は、既に当サイトの雇用保険法や徴収法で反映させています。その他、今月末に、育児休業給付と介護休業給付について、条文番号を変更する等を内容とした施行規則の改正が出ると思います。

 

 

2 労基法の一部改正法

 

こちらも、既にご紹介済みの労基法の消滅時効の期間等を改正する法律です。11日から審議を始めているそうです。

 

 

3 労災保険法施行規則の改正

 

今月末位に、労災保険法の施行規則が改正されます。

 

介護(補償)給付の額の改正といった例年通りの内容のほか、やや注意するものがあります。

 

 

(1)年金たる保険給付の受給権者の定期報告

 

年金たる保険給付の受給権者の定期報告(こちら。労災保険法のパスワード)について、日本年金機構等とのマイナンバーの情報連携により把握が可能な者については定期報告を不要とすること、医師の診断書の添付を不要とすることという改正が行われます。

 

 

(2)時間外労働等改善助成金の見直し

 

社会復帰促進等事業として、現在、「時間外労働等改善助成金」があるのですが(こちら)、名称が「働き方改革推進支援助成金」と変更される等の見直しが行われます(試験対策上はあまり重要でないでしょう。助成金の名前程度を知っていれば足りそうです)。

 

ただ、今回のコロナ対策として、緊急に「時間外労働等改善助成金」の一部も存続させることとなったようです。

 

なお、コロナ対策として、色々な特例等が制定されていますが(例:雇用保険法の雇用調整助成金の改正など)、おそらく、今回の試験対象とはならないと思います。

東日本大震災の際の特例等については、試験対象から外されました(問題用紙にその旨が明記されました)。

ただし、関連する個所が一般常識の出題の素材とされることはあり得ますから、ニュース等における情報は、把握しておいて下さい。

 

少々注意は、次の(3)です。

 

 

(3)社会復帰促進等事業の根拠規定の明記

 

社会復帰促進等事業は、従来は、通達(その一種である要綱等を含みます)で規定されていたのですが、今回、施行規則に根拠規定が置かれることとなりました。アフターケア、外科後処置、労災就学援護費など10数個あります。

アフターケアなど、これまでたまに出題されるものがあったのですが、今回の改正により、施行規則に明文がおかれることとなってしまい、より出題しやすくなったといえそうです。

かなりボリュームがあり、メリハリをつける必要があります。施行規則が制定されましたら、ご紹介します。

 

 

4 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律 

 

ところで、現在の通常国会に提出されている年金法関係の法案があります。「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」といいます。

 

ちなみに、今回の改正法の名称中に「年金制度の機能強化」とあります。

ただ、平成24年に制定された「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」が、一般に「年金機能強化法」と略称されています。

今回の改正法は、単に「令和2年改正法」と呼ぶことになるでしょうか(以下では、「令和2年改正法」としておきます)。

 

この「令和2年改正法」では、重要な改正がてんこ盛りです。

例えば、ちまたでも話題となっています①老齢基礎(厚生)年金の支給の繰上げ・繰下げに関する改正のほか、②短時間労働者に関する特定適用事業所の規模を緩和する改正(現在の500人から、100人、50人に段階的に緩和)、 ③在職中の老齢厚生年金の受給者の年金額を毎年、定時(9月1日)を基準として改定する改正(「在職定時改定」)などがあります。

 

この令和2年改正法は、(基本的には)今回の試験対象とはなりませんから、ご安心下さい(原則として、令和4年4月1日施行ですが、令和3年4月1日施行等の改正もあり、後者は次回の試験対象となります。なお、公布日いかんでは、今回の試験対象に含まれるものもありますが、多分間に合わないでしょう。のちに(4)で触れます)。

 

ただし、将来の改正事項が本試験のネタとなることは、しばしばあることです。

ここでは、以上のビッグな改正予定事項は除外し、やや細かい改正予定事項について触れておきます。今後、テキストをチェックされる際に、以下の事項の周辺あたりは、少々ウエイトを置かれるとよさそうです。

以下、急を要するものではありませんので、そのうち、スキマ時間にでもお読み下さい。

 

 

(1)寡婦年金

 

寡婦年金の支給要件として、現在、夫が、①老齢基礎年金の支給を受けていないこと、及び②障害基礎年金の受給権者であったことがないことが必要です(国年法のこちら以下)。

しかし、令和2年改正法により、②が改められ、①と同様となり、障害基礎年金の支給を受けていないことで足りるものと改められます。

 

上記①については、死亡した夫が、老齢基礎年金の受給権を取得しても、その支給を受けていなければ、その妻は寡婦年金を支給することができます。これは、老齢基礎年金の受給権を取得しても、支給の繰下げのため裁定請求をしていない場合等を考慮したものとされています。

ただ、結果として、①と②が整合しないという問題はあり、今回の改正では、①の方向で統一するものとなります(なお、この改正は、令和3年4月1日施行です)。

 

現在の①と②の違いについては、記憶しておく必要があります。

 

 

(2)脱退一時金

 

現在は、脱退一時金(国年法、厚年法)の支給額は、対象月数が3年(36月)の場合を上限としています。しかし、令和2年改正法による令和3年4月1日施行の改正により、この支給上限の対象月数が5年に引き上げられます。

 

脱退一時金の支給額関係は、チェックして下さい(国年法の脱退一時金は、こちら)。

 

 

(3)保険料の申請免除の対象者の拡大

 

国民年金の保険料の申請免除(広義)の要件として、従来、「地方税法に定める障害者又は寡婦」(前年の所得が政令で定める額(125万円)以下)というものがあります。

 

今回の改正では、未婚のひとり親等を寡婦と同様に申請免除の対象に含めるため、「地方税に定める障害者、寡婦その他の同法〔=地方税法〕の規定による市町村民税が課されない者として政令で定める者」(要旨)といった内容の規定に改められます(令和3年4月1日施行)。

政令では、「地方税法に定める障害者、寡婦、寡夫又は単身児童扶養者であって、年間の所得が135万円以下」が対象とされる予定です。

 

 

(4)納付猶予の延長

 

現在、令和7年(旧平成37年)6月までの時限措置として、50歳未満の被保険者等の保険料の免除が定められています。

これが5年間延長され、令和12年6月までとなりました。

 

これは、令和2年改正法の公布日に施行されます。そこで、同改正法が4月初旬あたりまでに成立・公布されますと、今回の試験対象に入ってきますが、多分間に合わないでしょう。

 

 

(5)国民年金手帳の廃止

 

国民年金手帳の制度が廃止されます(令和4年4月1日施行)。

入記録の管理等の電子データー化の浸透により手帳の必要性が少なくなったことや管理コストの削減を考慮し、国民年金手帳を廃止して、個人年金番号通知書の送付に切り替えるそうです。

 

 

(6)年金担保資金貸付制度の廃止

 

受給権を担保に供することは禁止されていますが、例外として、国年法、厚年法等において、年金給付を受ける権利を独立行政法人福祉医療機構に担保に供することが認められています(年金担保資金貸付制度。労災保険法の社会復帰促進等事業(被災労働者等援護事業)として実施されています)。(こちら

 

これについて、令和4年4月1日施行の改正により廃止されることとなりました。

令和3年度末に、年金担保資金貸付事業による新規貸付の申込受付は終了します。

これは、生活費に充てられるべき年金が返済に充てられて利用者の困窮化を招く等の弊害があったことが考慮されたものです。

 

 

(7)強制適用事業所の拡大

 

厚生年金保険及び健康保険の強制適用事業所の適用業種として、法定16業種というのがあります。

これに、弁護士、税理士等の資格を有する者が行う法律又は会計に係る業務を行う事業(条文では、「弁護士、公認会計士その他政令で定める者が法令の規定に基づき行うこととされている法律又は会計に係る業務を行う事業」)が追加されました。

社労士も含まれます。

つまり、常時5人以上の従業員を使用するこの「弁護士等の事業」の個人経営の事業所も、強制適用事業所となります(令和4年4月1日施行)。

 

 

(8)適用除外者の改正

 

現在、厚年法及び健保法の適用除外者として、臨時に使用される者のうち、「2月以内の期間を定めて使用される者」があります(厚年法のこちら)。

これについて、「2月以内の期間を定めて使用される者」の次に、「であって、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの」が追加されます。

つまり、2月以内の期間を定めて使用される者であっても、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれる者については、厚生年金保険及び健康保険の被保険者とするものとされました(令和4年4月1日施行)。

 

これにより、例えば、2か月以内の雇用契約であっても、実態からみて 、2か月を超えて使用される見込みがあると判断できる場合(例:①雇用契約上、契約更新があることが明示されている場合、②同一事業所の同一契約で更新等により2か月を超えて雇用された実績がある場合)にも、最初の2か月の雇用期間を含めて、当初から社会保険を適用の対象とするものとされます。

 

 

(9)短時間労働者の要件の緩和

 

厚生年金保険法及び健康保険の「4分の3未満短時間労働者」(「4分の3基準を満たさない短時間労働者」)について、現在は、次の➀~⑤のすべての要件を満たす場合に、被保険者となります。

 

①1週間の所定労働時間が20時間以上であること。

 

②当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれること。= 継続1年以上の使用見込み

 

③月額報酬が8万8千円以上であること。

 

④学生等でないこと。

 

⑤次の(ⅰ)又は(ⅱ)のいずれかの要件を満たすこと。

 

(ⅰ)特定適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を含みます)に使用されること。

 

(ⅱ)特定適用事業所・以外の適用事業所に使用される場合において、労使合意に基づく事業主の(適用拡大の)申出(=任意特定適用事業所の申出)があること。

 

 

これについて、令和4年4月1日施行の改正により、上記の②(継続1年以上の使用見込)の要件が削除されました。

つまり、継続1年以上の使用見込みがなくても、他の要件を満たす「4分の3未満短時間労働者」は、被保険者となります。

 

 

その他にも、まだ細かい事項はありますが、さしあたりは以上です。

前述の支給の繰下げ・繰上げの改正といった大きな改正事項につきましては、時機を見ましてご紹介します。

 

では、くれぐれもお身体をご自愛下さい。また、次回です。

 

 

令和2年2月20日(木曜)

今年度は、更新メールをこちらに転記する時間がないほど、忙しいかったのですが(年々、作成テキストが増えていたり、講座を新設したりしているため、作業量が多くなっています)、やや落ち着いてきましたので、近時のメール内容を記載しておきます。

 

今回は、今月16日(日曜日)に送信しましたメールからです(その他に、最新の情報を追記しています)。

 

先日、雇用保険法等の一部改正法と労基法の一部改正法の両法案が衆議院に提出されました。4月1日施行のものがありますから、当サイトでも、すでに雇用保険法については、主要な改正内容についてはサイトを改訂しています(これについては、前回のメールでお知らせしています)。

今回は、労基法の改正についてです。

 

 

〔1〕労基法の改正

 

労基法の改正は、主に次の3点です。

 

①記録の保存義務の期間の伸長

 

②付加金の請求期間の伸長

 

③消滅時効の期間の伸長

 

 

サイトでは、すべてこちら(労基法のパスワード)のページ内に記載がある事項です。

 

今回の改正事項の結論としては、こちらの表の通りです。

労基法の「本則」上の改正と当分の間の「附則」上の改正(暫定措置)があります。

実際は、暫定措置の方が適用されるため、暫定措置を押さえる必要がありますが、本則も押さえる必要があり、結局、両者を押さえなけれなりません(なお、改正法の施行後5年後に暫定措置の状況等を見直すこととなっていますが、暫定措置が廃止されるのか、それとも、他の多くの当分の間の措置と同様に、ほぼ永続的に暫定措置が施行されてしまうのかは不明です)。

 

①記録の保存義務の期間(こちら以下)と②付加金の請求期間(こちら以下)については、「本則では5年当分の間3年」です。

 

③消滅時効の期間(こちら以下)がやや注意であり、こちらの表がポイントです。

労基法上の権利(請求権)の消滅時効の期間は、これまでは、「原則2年、退職手当請求権は5年」でした。

改正の趣旨については、こちら以下で詳述していますので、ご覧頂きたいのですが、今回の改正は、民法の消滅時効の改正に連動したものです。

 

つまり、従来、民法上、「使用人の給料に係る債権」(労基法上の労働者の賃金請求権に相当します)については1年の短期消滅時効が定められており、労基法では、賃金請求権(退職手当請求権を除きます)について、かかる民法より労働者保護を強化して、2年の消滅時効期間が定められていました。

ところが、今回の民法の改正により、「使用人の給料に係る債権」を含む短期の消滅時効の特例が廃止され(時代に適応しない特例が多くなったこと等が理由です)、新たに、民法上の債権の原則的な消滅時効期間として、(ⅰ)「権利を行使することができる時から10年」といういわゆる客観的起算点からの10年の消滅時効期間(これは従来と同様です)のほかに、(ⅱ)「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」という主観的起算点からの5年の消滅時効期間に統一されました(➀と②のいずれか早い時点で債権は時効消滅します)。

そうしますと、従来の労基法上の賃金請求権の2年の消滅時効期間では、上記(ⅱ)の民法上の5年の消滅時効期間より短くなってしまいます。

これは、労基法が、労働者保護の見地から、民法のルールを修正したという性格を有することを考えますと、アンバランスといえます(ちなみに、賃金請求権以外の労基法上の権利については、従来も、退職手当請求権を除いては、2年の消滅時効期間であり、改正前民法の原則的な消滅時効期間(10年)より短縮されていたため、今回の民法改正による逆転現象はおきません)。

そこで、労基法上の賃金請求権の消滅時効期間の伸長が検討されてきたのですが、事業主側の反対が強く、結局、「本則では5年とするが、当分の間は3年」ということで決着しました。

 

要するに、「労基法上の権利(請求権)」の消滅時効の期間は、本則では「原則2年賃金請求権5年」ですが、当分の間は、本則のうち「退職手当請求権を除く賃金請求権3年」(退職手当請求権は、改正前と同じく5年)であると押さえることになります。

 

以上のように、「賃金請求権」の消滅時効期間について、「本則5年、当分の間は3年」と改正されたことに伴い、前記の①「記録の保存義務の期間」や②「付加金の請求期間」についても、「本則5年、当分の間は3年」に改められたものです(①や②についても、(割増)賃金請求権が問題となるからです)。

 

以上、消滅時効について、少々、めんどくさいですが、結論としては、数字を押さえることになります。

選択式として出題する場合は、本則だけ出題するのも問題がありそうですから、条文に手を加えて、本則と附則の両者について出題するような形に作ることも可能です。

 

 

〔2〕その他

 

1「労働施策総合推進法」の改正

 

「労働施策総合推進法」の募集及び採用における年齢制限の禁止の例外として、就職氷河期世代に係る暫定措置が創設されました。詳細は、労働一般のこちらです。 

 

 

 

2 改正雇用保険法

 

現在、4月1日施行(予定)の改正雇用保険法(失業等給付からの育児休業給付の分離が中心です)について、主要な部分の改訂は終わっています。   

例えば、育児休業給付・介護休業給付のページのほか、序論(こちらのページ)、国庫負担(こちら)などです。

 

ただし、既に改訂済みのページについて、条文のリンク替えをする等の作業があり、こちらはやや時間がかかります(試験対策上は、さほど問題はなさそうです)。

 

なお、徴収法の雇用保険率(徴収法のこちら)についても、いったん、改訂を終えています。 

 

 

 

3 雇用保険法

 

なお、雇用保険法の「専門実践教育訓練給付金」について、新しい図を作成しました(雇用保険法のこちら)。

 

 

では、また次回です。

 

 

令和元年12月17日(火曜)

1 マタハラ判決

 

マタニティ・ハラスメントに関する最高裁判例(【広島中央保健生協事件 = 最判平成26.10.23】)について、改訂しました。こちらです。

 

 

2 短時間・有期雇用労働法

 

「短時間・有期雇用労働法」について、「菅野第12版」から追記をしました。労働一般のこちらこちらです。

後者については、水町説と菅野説の違いについて触れています。

 

 

3 安衛法

 

なお、労働安全衛生法のテキストが、今年中には完成する予定です。

当サイトの開始当時は、安衛法のテキストは公開できず、翌年度には、「健康診断、面接指導、ストレスチェック制度」の部分のみアップしました。

その後、時間的余裕がなくテキストの継続作成ができませんでしたが、今年の7月から作成を再開し、ようやく全体のアップが可能となりました。

 

安衛法上の主な「勧告」について、こちら(安衛法のパスワード)で整理しています。

 

 

4 その他

 

近日、引き続き、合格者の方の体験談をメール致します。

 

 

令和元年11月7日(木曜)

更新等のお知らせが、新しくなりました。

 

今年度の労基法は、民法の債権法改正を反映させています。

改正民法のうち、直接、社労士試験に影響してくるものは消滅時効ですが、労働契約の背景として間接的に関係する事項は少なくないです。

当サイトでは、随所でそのような事項も取り上げています。

 

また、水町「詳解労働法」から参考となる個所を追記しています。

 

なお、「白書対策講座」を始動しました。