更新等のお知らせ 2019年度(最新版)

2019年11月3日(土曜)

今回から、労災保険法に入ります。

また、白書対策講座の実施を開始しました。今回は、雇用動向調査と派遣労働者実態調査からです。また、先月30日に、労働時間等設定改善指針が改正されましたので、こちらもアップしました。 

 

では、労基法の更新のお知らせと解説からです。

 

 

〔Ⅰ〕労基法の第4回目(最終回)の更新

 

前回、高度プロフェッショナル制度まで更新していますので、今回は、年次有給休暇以後、労基法の最後までの更新です。

 

・更新開始ページ=年次有給休暇のこちらのページから。

 

・更新終了ページ=労基法の最後までです。

 

なお、派遣労働者についての通達を掲載しているこちらのページも改訂しています。こちらで、安衛法の改正に関係した派遣労働者に関する責任分担について触れています。

 

更新自体は、このように労基法が終わり、労災保険法の保険給付に入っていますが、解説の方は、前回、賃金までになっていましたので、以下、労働時間から開始します。今回も、改正が多いため、一度では完結せず、2回に分けて解説します。

 

 

〔1〕労働時間、休憩、休日

 

労働時間、休憩、休日については、こちらの図で体系化しています。大まかな枠としてご利用下さい。

 

一 労働時間

 

労働時間については、原則として、法定労働時間(第32条)があり、例外として、変形労働時間制やみなし労働時間制があると大まかにとられておきます。

 

(一)労働時間の意義

 

労働時間の意義(定義)については(こちら以下)、試験対策上は、「使用者の指揮命令の下に置かれているものと客観的に評価できる時間」を労働時間と考える判例の立場(指揮命令下説)を採用します。

 

実際は、諸事情(使用者の関与の程度・態様や業務(職務)との関連性の程度、拘束性(義務性)の有無・程度など)を考慮しないと判断しにくいケースがありますが、これらの事情は、さしあたりは、使用者の指揮命令の下に置かれているものと客観的に「評価できる」かどうかという判断に際して考慮すればよいでしょう。

 

サイトの労働時間の個所では、長い判決文を掲載しているものが多く、読むのに時間がかかると思いますが、一度だけはお読み頂いた方が良いです(何度も読まれる必要はありません)。

ただ、余り深入りはせずに、判旨のキーワードをチェックして下さい。

 

 

(二)変形労働時間制

 

変形労働時間制は、一定の単位期間(広義の変形期間)中の週平均の(所定)労働時間が、週の法定労働時間を超えない範囲内において、特定の週又は日に法定労働時間を超えて労働させられる制度のことです。

 

ここでは、平成31年4月1日施行の改正により改められましたフレックスタイム制のポイントについて触れておきます。

同改正により、フレックスタイム制は、こちら(労基法のパスワード)の表のように変わりました。

文字にしますと、以下のような内容です(本文は、こちら以下)。

 

(ⅰ)清算期間の上限が従来の「1箇月」から「3箇月」に延長されたました(清算期間が「1箇月以内」から「3箇月以内」に改められたということです)。

 

(ⅱ)この清算期間の延長に伴い、清算期間が1箇月を超える場合は、短期間に長時間労働者が集中するといった弊害があるため、主に過重労働を防止するため、以下の改正が行われました。

 

➀清算期間が1箇月を超える場合は、清算期間の1箇月ごと週平均50時間を超える労働時間に係る割増賃金の支払義務

 

②清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に係る労使協定の届出義務及び有効期間の定めの設定義務

 

③清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に係る清算期間の一部についてのみ労働した労働者(労働期間が清算期間より短い労働者)に関する特則

 

④清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に係る特例事業の例外(週44時間)の不適用

 

(ⅲ)その他、完全週休2日制の場合のフレックスタイム制の適用に関して修正が行われています。

 

以下、ポイントです。

 

1 労使協定の届出等

 

まず、上記のうち、出題しやすそうであって、かつ、学習も容易なものとして、清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制における②の労使協定の届出と有効期間の定めが挙げられます。④の週44時間の特例が適用されないという点についても、同様です。

これらを記憶するところから始めます。

例えば、単純化しますと、「フレックスタイム制を採用するためには、労使協定の届出が必要である」といったような出題があり得ます。清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に限定されることに注意です。

 

次に、上記の③「清算期間の一部についてのみ労働した労働者に関する特則」については、学習経験のある方にとっては、すでに、1年単位の変形制で同様の制度を学習していますので(こちら)、そちらとパラレルに考えて頂ければよいです。

清算期間ではなく、「実際に労働させた期間」を単位として割増賃金を算定するという点がポイントです。

 

 

2 週平均50時間の基準

 

やや問題があるのが、上記の➀の清算期間の1箇月ごとに週平均50時間を超える労働時間に係る割増賃金の支払義務の新設です。

フレックスタイム制は、労働者が1日の始業及び終業の時刻を定められる制度であり、労働者が1日(従って、1週間等)の労働時間を自由に設定できるものです。

従って、フレックスタイム制では、1日や1週間等についての時間外労働は問題とならず、基本的には、清算期間について割増賃金を計算します(清算期間における実労働時間数のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間が時間外労働となります)。

例えば、清算期間を3か月と定めたケースでは、3か月全体の実労働時間が、法定労働時間の総枠である「40時間(※1)×(清算期間の暦日数(例:92日)÷7日)」(≒合計525.7時間)を超えなければよいことになります。

 

(※1 なお、清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制の場合は、前記④の通り、週44時間の特例事業の適用はありません。)

 

しかし、これだけでは、例えば、各月の労働時間について、「6月=100時間」、「7月=100時間」、「8月=320時間」といったように、特定の期間(月)に大量の長時間労働が可能となってしまいます(この場合も、清算期間である3か月を単位としてみるなら、(3か月の労働時間の合計は520時間ですから)前述の525.7時間の法定労働時間の総枠を超えていません)。

これを防止するために、清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制の場合は、1か月単位でも時間外労働を算定しようとするのが、この週平均50時間の割増賃金の趣旨です。

例えば、上記の例の6月について、週平均50時間による法定労働時間の総枠は、「50時間×(30日÷7)」≒214.2時間となります。

従って、6月に214.2時間を超えて労働した場合は、この6月分の賃金について、割増賃金の支払義務が発生します(6月分の賃金の支払日にその割増賃金の支払義務を負うということです)。

 

なお、清算期間とした定めた3か月(例)を単位とした労働時間の合計が3か月の法定労働時間の総枠(例:525.7時間)を超えている場合は、この総枠を超えて労働させた時間が時間外労働となりますが、これは、前記の例では、清算期間が終了した8月の賃金の支払日に支払えば足りることになります(前記の週平均50時間の基準により算定した割増賃金分は、控除します)。

 

以上の清算期間が1箇月を超える場合の割増賃金について、条文上の表現をベースに整理しますと、次の通りです(第32条の3第2項)。

 

清算期間が1箇月を超えるものである場合において、使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者については、労使協定により、所定の事項を定めたときは、その協定で清算期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が1週間の法定労働時間〔=40時間〕を超えず、かつ、清算期間をその開始の日以後1箇月ごとに区分した各期間(最後に1箇月未満の期間を生じたときは、当該期間)ごとに当該各期間を平均し1週間当たりの労働時間50時間を超えない範囲内において」、法定労働時間を超えて労働させることができます。

 

(最後に1か月未満の端数の期間が生じた場合は、その期間についても、週平均50時間を超えないことが必要です。)

 

 

3 完全週休2日制の場合のフレックスタイム制の適用

 

前記の(ⅲ)の完全週休2日制の場合のフレックスタイム制の適用の問題については、改正前から問題となっていたフレックスタイム制の不備を修正する改正です(こちら以下)。

このリンク先の本文をお読み頂くと、問題点等の内容については把握頂けると思います。

要するに、フレックスタイム制が適用される1週間の所定労働日数が5日(完全週休2日制)の労働者について、労使協定により、清算期間における法定労働時間の総枠を、当該清算期間における所定労働日数8時間を乗じて得た時間数と定めることができるということです。

 

条文をベースしますと、わかりにくいですが、次の通りです。

 

1週間の所定労働日数が5日〔=完全週休2日制ということ〕の労働者についてフレックスタイム制により労働させる場合については、使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者については、労使協定により、所定の事項を定めたときは、その協定で清算期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が「第32条第1項〔=1週間の法定労働時間〕の労働時間(労使協定により、労働時間の限度について、当該清算期間における所定労働日数を1日の法定労働時間〔8時間〕に乗じて得た時間とする旨を定めたときは、当該清算期間における日数をで除して得た数をもってその時間〔=「清算期間における所定労働日数 × 8時間」〕を除して得た時間)」を超えない範囲内において、法定労働時間を超えて、労働させることができます。

 

つまり、〔「清算期間における所定労働日数」×「8時間」〕÷〔「清算期間における日数」÷7日〕を、「清算期間中の週平均の所定労働時間」の代わりに使用できるということです。

結局、清算期間における法定労働時間の総枠を、当該清算期間における所定労働日数に8時間を乗じて得た時間数に修正できるということです。

 

試験では、少々、出題しにくいかもしれません。さしあたり、「労使協定」で定めることが必要であること、「1週間の所定労働日数が5日」の労働者であること、「当該清算期間における日数をで除して得た数」の「7」という数字、あたりをチェックすれば良さそうです。

 

 

以上、フレックスタイム制の改正事項でした。

 

 

(三)みなし労働時間制

 

みなし労働時間制は、労働時間の算定方法の例外であり、労働時間を実労働時間で算定するのでなく、一定の時間(=みなし労働時間)を労働時間とみなすものです。

事業場外労働と裁量労働制に大別され、後者は、専門業務型と企画業務型に分かれます。こちらの図の通りです。

 

みなし労働時間制については、高度プロフェッショナル制度(以下、「高プロ」といいます)が新設された関係で、専門業務型・企画専門型と高プロを比較するという視点も必要となりました(例えば、対象業務の比較等)。

政省令が制定されて「高プロ」の内容がより具体的に確定した段階で、これらを比較した表を作成する予定です。

さしあたり、以下の点が必須です。

 

まず、「効果」として、みなし労働時間制は、労働時間をみなす制度であり、具体的には、「休憩、休日、深夜労働に関する規定」等は適用されます。

対して、「高プロ」は、「労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定」の適用を除外する制度です。みなし労働時間制については、深夜の割増賃金の規定が適用されます。

なお、以上いずれについても、年次有給休暇に関する規定は適用されます。

 

また、「高プロ」は、年少者(満18才に満たない者)については適用されません(年少者に適用されない労働時間及び休日に関する規定を定める第60条第1項において「高プロ」が追加されました)。

 

他方、「高プロ」が妊産婦について適用されないという規定はありません。また、妊産婦が請求した場合は、変形労働時間制(フレックスタイム制を除く3つ)の適用の制限、時間外労働・休日労働の禁止及び深夜労働が禁止されますが(第66条)、この第66条が「高プロ」に適用されないという規定もありません。

そこで、「高プロ」の対象労働者である妊産婦が請求した場合は、時間外労働、休日労働、深夜労働が禁止されることになります。この意味で、「高プロ」については、「深夜労働」に関する規定がすべて適用されないのではありません。「深夜の割増賃金に関する規定」が適用されないということです。

 

次に、時間外・休日労働を見ます。

 

 

〔2〕時間外・休日労働

 

時間外・休日労働の問題は、「労働時間・(休憩)・休日」の原則の例外という大きな位置づけができます(こちらの図を参考)。

 

使用者は、原則として、法定労働時間(もしくは変形労働時間制における一定の労働時間)を超えて、又は法定休日に、労働者を使用することはできませんが(第32条以下、第35条)、例外が次の1及び2です。

 

1.臨時の必要がある場合(第33条

 

(ⅰ)災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合(第33条第1項、2項)= 災害等により臨時の必要がある場合

 

(ⅱ)公務のため臨時の必要がある場合(第33条第3項)

 

2.36協定による場合(第36条

 

ここでは、改正された36協定について見ます(こちら以下)。

 

一 体系

 

まず、36協定の全体の体系図は、こちらです。少し細かすぎる図になっており、わかりにくいかもしれませんが、最小限度の骨格は、次の通りです。

 

発生の段階として、36協定の要件と効果が問題となります(なお、変更や消滅については、ひとまず、大きな問題はありません)。

「要件」は、➀労使協定の締結と②労使協定の届出です。

➀の労使協定の締結について、主体(労使協定の当事者に関する問題)や客体(労使協定で定める事項など)が問題となります。

②については、労使協定の届出が要件(36協定の効力発生要件)である点で、他の労使協定のケースと異なります。

 

36協定締結の「効果」の問題については、労使協定の一般的な効果と同様です。つまり、労使協定の締結(及び届出)により、労基法の規制を免れます(免罰的効果)。

ただし、労働者に対する拘束力は、労使協定の締結・届出をしても発生せず、就業規則等の正当な労働契約上の根拠が存在することが必要です(なぜなら、労働協約に関する労組法第16条や就業規則に関する労働契約法第12条の規範的効力あるいは同法第7条等と異なり、労使協定については労働者に対する直接の拘束力を認めた規定が原則として存在しないからです)。

 

以上が大枠です。

 

二 時間外労働の上限規制

 

問題は、改正により新設されました限度時間等の関係です。これについてのフレームは、こちらの図です。

 

(一)限度時間

 

今回の改正により、時間外労働の上限について、1箇月45時間及び1年360時間(3箇月を超える1年単位の変形労働時間制の場合は、1箇月42時間及び1年320時間。以下、この変形制のケースは省略します)という「限度時間」が労基法に定められました(第36条第3項、第4項)。

 

従来は、告示(限度基準)で定められていたものが(単に行政指導の基準でした)、今回の改正により、労基法で定められました。

そこで、36協定を締結し、届け出ていても、それが特別条項付き協定でなければ、限度時間を超えて時間外労働をさせた場合は、法定労働時間(第32条)違反として、罰則が適用されます(第119条第1号により、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金)。(なお、罰則を定める規定(前記の第119条等)において、限度時間を定める第36条第3項及び第4項は掲げられていませんので、特別条項なしでこの第36条第3項及び第4項の限度時間に違反した場合は、法定労働時間(第32条)違反として罰則が適用されます。)

 

しかし、次の特別条項付き労使協定を締結し届け出ていた場合は、単に限度時間を超えただけでは(後述の時間外労働の上限規制に違反しなければ)、労基法違反ではなく、罰則の適用もありません。

 

 

(二)特別条項付き労使協定

 

「当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」には、特別条項付き労使協定を締結し届け出ていれば、限度時間を超える時間外労働を行わせることができます。

 

この特別条項付き協定を締結し届け出た場合においても、次の時間外労働の上限規制があります。

 

➀1箇月についての時間外労働及び休日労働の時間 ➡ 100時間未満第36条第5項前段、なお、同条第6項第2号も同内容です)。

 

②1年についての時間外労働の時間(休日労働の時間は含みません)➡ 720時間以内(第36条第5項後段)。

 

③2箇月ないし6箇月における1箇月平均(複数月平均)の時間外労働及び休日労働の時間 ➡ 80時間以内(第36条第6項第3号)。

 

④特別条項付き協定を利用できる回数 ➡ 1年のうち6回まで(第36条第5項後段)。

 

※ 上記のうち、➀と③については、特別条項付きでない通常の36協定の場合にも適用されます。

 

※ 以上の➀~④のいずれの上限規制に違反した場合においても、罰則が適用されます(根拠条文等の細部については、本文をご覧下さい)。

  

 

三 その他

 

その他、36協定に関するやや細かい知識について、ポイントに触れておきます。

 

(一)36協定で定める事項

 

36協定で定める事項として、「対象期間における1日、1箇月及び1年についての時間外労働の上限又は休日労働の日数の上限」があります(第36条第2項第4号)。(こちら以下

 

改正前は、限度基準において、時間外・休日労働の上限として、「(ⅰ)1日、(ⅱ)1日を超え3箇月以内の期間及び(ⅲ)1年間」について、それぞれ協定することが必要とされていたものが、(ⅱ)について、改められたものです。つまり、(ⅱ)が「1箇月」に限定されました。

 

従来の定め方ですと、例えば、3箇月について100時間を時間外労働の上限と定めた場合は、ある1月のみで100時間の残業をさせることも可能であり、このような時間外労働の集中を防止するため、1箇月ごとに上限を定めさせることとしたものです。

 

 

(二)単月100時間未満、複数月80時間以内の要件を満たすことの記載

 

改正後は、労使協定において、第36条第6項第2号〔=1箇月100時間未満の時間外労働及び休日労働の上限規制〕及び第3号〔=複数月平均(2箇月ないし6箇月における1箇月平均)80時間以内の時間外労働及び休日労働の上限規制〕に定める要件を満たすことを記載する必要があります(施行規則第17条第1項第3号)。

 

具体的には、こちらの様式中のチェックボックス内をチェックします(このリンク先の様式の「表面(1頁目)」の枠内の最下部の右の方にチェックボックスがあります)。

 

この第36条第6項第2号〔=1箇月100時間未満の時間外労働及び休日労働の上限規制〕は、前記の「特別条項付き労使協定」の個所で説明しました①のことであり、同条同項第3号〔=複数月平均80時間以内の時間外労働及び休日労働の上限規制〕は、③のことです。

前述の通り、この、➀と③については、特別条項付きでない通常の36協定(一般条項)の場合にも適用されることに注意です。

 

ちなみに、この③の意味は、次の通りです。

例えば、4月が90時間、5月が80時間の時間外・休日労働の場合(これは、上記➀の単月100時間未満の規制には違反していません)は、この2箇月の時間外・休日労働の1箇月平均が「(90+80)÷2=85時間」であり、80時間を超えるため、 この③第36条第6項第3号に違反するということです。

4月に90時間の時間外・休日労働をした場合は、5月は、70時間までしか時間外・休日労働をできないことになります(「(90+X)÷2=80」のため、Xは70です)。

 

このように、2箇月、3箇月、・・・と、6箇月までの月平均をそれぞれ計算して、これらがいずれも80時間を超えてはならないという規制です。

 

 

(三)特別条項付き協定

 

1 概要

 

特別条項付き協定については、先に上限規制について触れましたが、その他の事項を含む詳細については、本文のこちら以下で説明しています。

 

今回の改正により、時間外労働の上限規制については、色々と数字が入り乱れ、かつ、「休日労働」かどうかで別れ、「以下」と「未満」が異なるものもあるなど、かなり覚えにくくなっています。

上限規制の数字だけをまとめた表を、こちらに掲載しています。

さしあたりは、この表でイメージして頂くと、数字関係は大丈夫でしょう。

 

選択式対策として、第36条の条文は非常に重要です。とりわけ、特別条項付き協定について定めています第36条第5項については、要注意です。

通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第3項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合」という特別条項付き協定を締結することが必要となる要件に関するキーワードや数字関係について、最終的には、記憶しなければなりません(第36条の他の項についても、出題対象となりそうなものが目白押しです。直前対策講座で取り上げます)。

 

 

2 割増賃金

 

特別条項付き協定においては、「限度時間を超えた労働に係る割増賃金の率」を定めることが必要です(施行規則第17条第1項第6号)。

この割増賃金の率を定めるに当たっては、当該割増賃金の率を、時間外労働について第37条第1項の政令で定める率(即ち、法定の時間外労働の割増賃金の率である2割5分以上)を超える率とするように努めなければならないことが、指針で規定されています。努力義務に過ぎません(改正前も、同様の内容が限度基準で定められていました)。

こちらに図もありますので、ご参照下さい。

 

 

(四)適用除外・適用猶予

 

以上の36協定に関する規制が適用されない事業・業務(適用除外)とその適用が一定期間猶予される事業・業務(適用猶予)があります(こちら以下)。

前者の適用除外は、「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」(第36条第11項)です。

この「新技術等の研究開発業務」については、安衛法の面接指導の特例が新設されており(他に、高プロの対象労働者に対する面接指導が新設されています)、この面からも注意が必要です(安衛法のこちら以下)。

 

労基法上のポイントは、「新技術等の研究開発業務」については、原則として、36協定における時間外労働の上限の規制は適用されないが、「坑内労働その他特に有害な業務に係る2時間の限度」は適用されるという点です。

 

適用猶予される事業・業務としては、「工作物の建設の事業等」、「自動車の運転の業務」、「医師の業務」及び「鹿児島県・沖縄における砂糖製造事業」の4つです。

これらは、基本的には、改正法の施行日(平成31年4月1日)から5年間は、改正後の上限規制の適用が猶予され、5年後からは改正された上限規制が適用されます(この改正後の上限規制が修正されて適用されるものがあります。例えば、自動車の運転業務の場合は、1年の時間外労働の上限について、原則である「720時間を超えない範囲内」(前述の②)が修正されて、「960時間を超えない範囲内」に緩和されています)。

 

ただ、この4つは、少々出題しにくいかもしれません(例えば、「医師の業務」については、5年後の修正内容の検討自体がまだ始まっていません)。

さしあたりは、適用除外である「新技術等の研究開発業務」には注意し、適用猶予である4つについては、まずは、その種類を押さえておくあたりから始めて下さい(サイト中にゴロ合わせもあります)。

 

36協定については、まだまだ多くの押さえるべき事項がありますが、さしあたり以上です。

なお、今後、36協定に関するリーフレット等の行政資料の公表が予定されているようです。これらが公表されましたら、ご紹介します。

 

 

〔3〕割増賃金

 

次に、割増賃金です(こちら以下)。

 

一 要件

 

使用者が、労働者に時間外労働、休日労働又は深夜労働をさせた場合には、割増賃金を支払わなければなりません(第37条)。

そこで、まず、時間外労働、休日労働及び深夜労働の意義が問題となります。いわば、割増賃金に関する要件の問題です。

これについては、本文のこちら以下です。

 

二 効果

 

(一)割増賃金の支払義務

 

割増賃金の額は、「割増率」に「算定の基礎となる賃金(算定基礎賃金。通常の賃金)」を乗じて算定します(第37条第1項参考)。

そこで、「割増率」と「算定基礎賃金」に関する知識を整理することになります。

 

1 割増率

 

割増率については、こちら以下に3つの図がありますので、ご参照下さい。

 

割増率に関する問題は、今回の択一式の問3でも出題されていました。

 

なお、時間外労働が1箇月について60時間を超えた場合は、当該超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません(こちら以下)。

 

 

2 算定基礎賃金

 

割増賃金の算定の基礎となる賃金(通常の賃金)については、すっきりしない問題が少なくないのですが、さしあたり、「算定基礎から除外される賃金」(こちら以下)は比較的押さえやすいところですので、ここらあたりから知識を固めていって下さい。

 

 

3 割増賃金の定額支給等

 

なお、「割増賃金の定額支給等 = 法所定の算定方法に基づかない割増賃金」という問題があり、近時、最高最判決が頻出しています(こちら以下)。

そこで、平成29年度と今回の30年度の選択式では、これらの判例について要注意だったのですが、択一式ですら出題されませんでした。しかし、平成31年度の試験でも、引き続き警戒が必要です。

 

これら一覧の最高裁の判決の考え方自体は、比較的、わかりやすいです。

即ち、割増賃金の定額支給等により、法所定の算定方法に基づかない割増賃金の額が算定された場合であっても、法所定の割増賃金の額以上の額が支払われるなら、労働者に不利益はありません。

ただし、法所定の割増賃金の額が支払われているかどうかを判断できなければなりませんから、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができること(判別の明確性)など、割増賃金の制度の趣旨に反しないものであれば、割増賃金の定額支給等も許容されるということになります。

最高裁の考え方は、おおむね上記の通りです。

 

あとは、次の近時の2つの判決文中の太字(及び下線部分)のキーワードをチェックして下さい(内容的に難しいため、学習が深まった段階で、じっくり検討して下さい)。

 

➀【国際自動車事件=最判平成29.2.28】=こちら

 

②【最判平成29.7.7=医療法人康心会事件(外科医残業代等請求事件)】=こちら

 

 

(二)1箇月について60時間を超える時間外労働がなされた場合の割増賃金の代替休暇

 

割増賃金の代替休暇の制度(こちら以下)は、平成22年から施行されているのですが、まだ一度も出題されていません。

先に触れましたが、1箇月60時間を超えて時間外労働がなされた場合は、当該超えた部分の割増賃金については、原則の割増率である25%以上が50%以上に引き上げられます。

ただし、労使協定により定めることによって、この引き上げられた25%以上にあたる部分について代替休暇を付与することができるという制度です。

実務上、あまり利用されていず、普及を図るため、働き方改革関連法による改正により、「労働時間等設定改善企業委員会」の決議によって当該労使協定に代替できることになりました(こちら以下)。

 

この企業委員会により代替可能な労基法上の労使協定は、本件の他は、「年休の計画的付与」と「時間単位年休」です。これら3つは、休暇に関する制度という点で共通します。

詳細は労働時間等設定改善法で触れていますが(労働一般のこちら以下)、要するに、新設された企業委員会の制度は、休暇の制度のうち、普及が進んでいないものについて、企業全体で普及の取組みを促進させるという趣旨となります。

この3つが企業委員会により代替可能となったことは、記憶する必要があります。

 

非常に長くなりましたので、今回は、労基法はここまでにします。次回は、第41条該当者・高プロ以下労基法の最後までの解説です。

 

 

〔Ⅱ〕労災保険法の更新の開始

 

労災保険法の更新を開始しました。改正の多い労基法とは対照的に、スムーズに改訂が進行しており、すでに、介護(補償)給付まで改訂が終わっています。

 

・更新開始ページ=労災保険法の冒頭からです。

 

・更新終了ページ=介護(補償)給付のこちらのページの最後までです。遺族(補償)給付の手前までの更新です。

 

解説の方は、労基法の解説の終了後、引き続き行います。

 

続いて、白書対策講座の開始のお知らせです。

 

 

〔Ⅲ〕白書対策講座の開始

 

労働経済のデーター関係も、最新データーが色々と公表されてきました。

直近ですと、10月23日に「平成30年就労条件総合調査」が公表され(こちらは、現在、更新作業中です)、30日に「労時間等設定改善指針」が(こちらは、今回、アップしました)、同じく30日に「平成30年版過労死等防止対策白書」が公表されました(こちらは、時期を見まして更新作業をします)。

 

まずは、今回、以下の3つをアップします。

 

1 労働時間等設定改善指針

 

労基法の改正に伴い、労働時間等設定改善指針が改正されました(平成31年4月1日施行)。

白書対策講座の方ではなく、労働一般のこちらでアップしています。

 

この指針が出題対象となるかについては微妙ですが、労基法の36協定の改正と関連していますので、時間のあるときに、一度は読んでおいて頂いた方が安心です。

重要な個所について、太字や色付きにしていますので、そちらを中心にチェックして下さい。

 

 

2 派遣労働者実態調査

 

次に、「平成29年派遣労働者実態調査」をアップしました(白書対策講座のこちら以下)。10月17日に公表されました最新のデーターです。

この派遣労働者実態調査は、4~5年おきに不定期に実施されている調査であり、前回は平成24年です。

平成16年の調査について、平成18年の労働一般の択一式で3肢出題されており、チェックしておいた方がよさそうです。

報道発表用資料(プレスリリース)により、調査結果のポイント(こちら以下)が整理されていますので、まずは、この部分を押さえるようにします。

今回の調査では、派遣労働者が高齢化している点と「派遣労働者以外の就業形態で働きたい」が50%近くある点が、最も重要といえます。

 

この派遣労働者実態調査は、労働一般の労働者派遣法を学習してからの方がわかりやすい個所もありますが、同法の学習前でも取り組むことは可能です。

スキマ時間にでも、その他のデーターについて、おいおいと目を通して下さい。

 

 

3 雇用動向調査

 

最後に、最新の雇用動向調査もアップしました(こちら以下)。本年の8月9日に公表された最新のものです。

雇用動向調査は、データーを記憶しにくいです。ただ、平成27年度の労働一般の選択式で2つの空欄が出題されるなど、周期的に出題されています。

こちらも、まずは、報道発表用資料を押さえておきます。 

 

次回は、就労条件総合調査をアップする予定です。

 

 

2019年10月19日(金曜)

この間まで猛暑でしたが、なんか寒くなってきましたね。本試験日からも2箇月近く経とうとしており、今年もいつの間にか終わりそうになっています。。

 

と、感傷に浸った後、労基法の第3回目の更新です。今回は、非常にボリュームがあり、解説は2回(か3回)に分けます。今回は、その1です。その他、判例や改正に関するお知らせもあります。

 

毎度のことですが、今回分も超長文になっておりますので、ご了承下さい。

 

 

〔Ⅰ〕労基法の第3回目の更新

 

まず、労基法の更新からです。前回は、労働契約の変更に関する問題まで終わりましたので、今回は、労働契約の終了からです。一気に高度プロフェッショナル制度の終わりまで進みます。

 

・更新開始ページ = 労働契約の消滅(終了)のこちらのページから。

 

・更新終了ページ = 高度プロフェッショナル制度のこちらのページの最後まで。「年次有給休暇」の手前までの更新です。

 

 

今回の主な項目ですが、まず、労働契約の終了については、解雇と期間の満了が重要です。この2つの問題は、内容的にも難しく、理解や整理に時間がかかります。

 

なお、当サイトでは、主に期間の満了の有期労働契約に関連して、労働契約法の問題(期間の定めのあることによる不合理な労働条件の相違の禁止、無期転換ルール、雇止め法理等)についても触れています。

この労働契約法上の問題も、かなり難しいです。初学者の方は、この労働契約法の問題については、さしあたり、内容をざっと把握して頂く程度で結構です。主要科目を学習し終えて、労働一般を学習する際に、再度、チェックしてみて下さい。

ちなみに、今回の更新分までで、労働契約法の諸問題についても、就業規則の関係を除き、ほぼ網羅しています。

 

労働契約の終了の問題のあとは、「労働憲章(労働者の人権保障)」(均等待遇等)の一連の問題を学習した後、労働条件に入ります。

今回は、年次有給休暇を除く労働条件について更新しています。「賃金」、「労働時間」、「休憩・休日」、「時間外・休日労働」、「割増賃金」です。その他に、第41条と高度プロフェッショナル制度があります。

 

賃金については、休業手当の関係が難しく、また、賃金全額払の原則も相殺に関連する難しい問題があります。労働時間については、フレックスタイム制が大きく改正されています。

「時間外・休日労働」については、36協定が大改正です。「割増賃金」についても、近時、最高裁判例が頻出しています。

高度プロフェッショナル制度については、現在、労働政策審議会において、政省令で定める事項の細部について検討中です。従って、高プロについて、現在は、法律で定まっている個所しか学習できない状態です。

 

以上、今回の更新内容においては、厄介な問題がかなり含まれています。初学者の方が、初めから完全に理解しようとしますと、なかなか先に進めないことになりますので、わかりにくい点等をメモ書きでもして残しておき、先に進んでみて下さい。労基法の全体を学習し終えますと、より理解しやすくなることが少なくないです。

学習経験者の方は、当サイトの記載順に学習して頂いて結構ですが、少々ボリュームがあるため、一定の単元ごとに、例えば、市販の1冊本あたり(そろそろ発売されています)もご利用頂き、知識を再チェックして頂くと、知識の記憶に役立つと思います。

 

※ ちなみに、最近発売された市販書については、働き方改革関連法に関する9月7日公布の省令や指針が掲載されていません。

例えば、安衛法の一般の労働者に対する面接指導の要件について、改正前の1月「100時間」のままになっているものもありましたので(改正により、「80時間」に改められています)、ご注意下さい。

改正による補正情報がすでにサイト上で掲載されているものもあるようですので、ご確認下さい。

 

 

以下、重要なポイントについて、ごく簡単ですが触れていきます。今回は、「賃金」までの解説とし、「労働時間」以下は、次回、解説致します。

 

 

〔1〕労働契約の終了

 

労働契約の終了の全体構造は、こちらの図の通りです。このうち、特に重要なのは、先に触れました通り、解雇と期間満了です。

 

一 解雇

 

解雇については、こちら以下です。

 

解雇とは、使用者が一方的に労働契約を解約する意思表示です。

 

(一)解雇の要件

 

解雇の要件については(これ自体が難しいため、ざっとで結構です。本文はこちら以下)、「期間の定めのない労働契約(雇用契約)」と「期間の定めるのある労働契約」でやや異なります。

大まかには、次の①と②の考え方になります。

 

➀「期間の定めのない労働契約」➡ 各当事者は、いつでも解約の申入れができるため(民法第627条第1項)、使用者は、本来、解雇権を有することになる。

 

②「期間の定めのある労働契約」➡ 使用者は、「やむを得ない事由」がなければ、期間満了前に解雇できない(労働契約法第17条第1項)。➡ 従って、使用者は、「やむを得ない事由」が存在する場合に解雇権を有する。

 

このように使用者が解雇権を有する場合であっても、解雇権の行使が濫用でない(解雇権濫用法理。労働契約法第16条)など、解雇権の行使は適法になされる必要があります。 

この解雇権濫用法理は、特に上記の➀「期間の定めのない労働契約」の場合に重要になります(「期間の定めのない労働契約」では、使用者は、本来は、自由に解雇ができる場合であるため、解雇権濫用法理により不当な解雇権の行使を規制する必要があります)。

厳密には、上記②の場合にも、「解雇権濫用法理」が問題となることはあるのですが、「やむを得ない事由」の判断と重なるため、実際は、②について「解雇権濫用法理」の問題を考える必要は少ないです。

 

次に、解雇に関する制限・規制の概要については、こちら以下です(解雇権の行使の適法性の問題といえます)。

当サイトでは、便宜上、解雇の実体的要件のうち、解雇期間制限から見ています。

 

 

(二)解雇制限の期間(解雇時期の制限(第19条)

 

◆使用者は、労働者が業務上の傷病による療養のため休業する期間及びその後30日間、並びに産前産後の休業期間及びその後30日間は、原則として、解雇できません(第19条)。

 

再就職が困難なような期間(労働能力の喪失期間及びその回復期間)における解雇を制限することにより、労働者の生活の安定を図る趣旨です。

 

このように、まずは、条文・制度の内容とその条文・制度の目的・趣旨を確認します。

その後、本文(ないし市販書)を読み進めて頂きますが、学習経験者の方は、最終的には、第19条の条文により知識を整理して頂くとよいです(解雇制限期間以外の事項についても、条文をベースに知識を整理するのが良いことは、同じです)。

 

この第19条第1項からは、まず、原則と例外があることがわかります。同条第1項の本文が原則の個所であり、ただし書が例外の個所です。

このそれぞれについて、要件と効果を考えます(例えば、原則の場合の要件は、「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間」であること、並びに「産前産後の女性が産前産後休業する期間及びその後30日間」であることです。効果は、使用者は、当該期間について解雇することができないということです)。

そして、これらの条文の文言から、どのような論点があったかを思い出します(例えば、30日間は、どの時点から起算するのか等)。

このような作業を、当サイトの本文や市販書を読んで頂いてから、最後に行って頂くと、知識の整理と記憶に役にたち、また、選択式と択一式の両者に対応できる学習方法となります(市販書では、条文を掲載していなものが多いですから、当サイトの条文をご利用下さい)。

もちろん、記憶の強化のため、図表による視覚の利用や、ゴロ合わせなども併用して行って下さい。

 

この解雇制限期間については、重要な問題が多々あり(短いスペースでは書ききれません)、当サイトをじっくりご覧下さい。

 

 

(三)解雇予告の制度(第20条、21条)

 

次に、解雇予告の制度です(こちら以下)。

 

ここも、重要かつ難しい問題が多く、詳細は、当サイトをお読み下さい。

ここでは、今回の本試験で問われました次の肢を見ておきます。

 

➀【過去問 平成30年問2オ(こちら)】

設問: 

労働基準法第20条に定める解雇予告手当は、解雇の意思表示に際して支払わなければ解雇の効力を生じないものと解されており、一般には解雇予告手当については時効の問題は生じないとされている。

 

解説:

設問は、【昭和27.5.17基収第1906号】の立場です。

内容としては、前段が、解雇予告手当の支払時期に関する問題となっており、その結論から、後段の解雇予告手当についての消滅時効の問題と結びつけています。

 

一般には、30日前までの解雇予告をしないで解雇する場合は、「解雇予告手当の全額(解雇予告と併用する場合は残額)を支払ったときに解雇の効力が生じる」と解されています(こちらを参考)。

このように考えるなら、労働者には解雇予告手当の請求権は発生しません(また、30日前に解雇予告をした場合も、当然、解雇予告手当請求権は発生しません)。

従って、解雇予告手当については、消滅時効の問題は生じないということになり、設問は、正しいことになります。

 

本問については、試験対策上は、以上で足りるのですが、厳密には、解雇予告手当の法的性質の問題が影響します。

つまり、「所定の解雇予告手当を支払わなくても解雇自体は有効であり、労働者は解雇予告手当の請求権を有する」と解することも可能であり(有効説)、この場合は、解雇予告手当請求権の消滅時効も問題となるからです。

また、学説上多数説とも思われる選択権説は、解雇予告制度に違反した解雇(即ち、解雇の予告をせず、又は解雇予告手当の支払をせずにしたような解雇)がなされた場合について、解雇の無効を主張するか、それとも、解雇の有効を前提として解雇予告手当の請求をするか、労働者に選択権を認める立場です。

この選択権説からも、解雇予告手当請求権の消滅時効が問題となることになります(野川「労働法」371頁注67においても、選択権説からは、解雇予告手当について消滅時効が問題となる旨が記載されています)。

 

しかし、判例・通達は、相対的無効説を採用しています(もともと、通達が相対的無効説を採用しており、最高裁も、【細谷服装事件=最判昭和35.3.11】でこれと同じ立場を採用したものです)。

相対的無効説は、解雇予告制度に違反する解雇について、即時解雇としては無効としつつ、使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、解雇の通知後、30日を経過するか、通知後に解雇予告手当の支払をした場合に、その時から解雇の効力が生じるものと解しています。

この立場からは、使用者が即時解雇に固執する場合には、当該解雇は無効となりますから、労働者に解雇予告手当の支払を請求する権利は発生しないことになりますし、使用者が即時解雇に固執しない場合には、30日経過後又は解雇予告手当を支払った時点で初めて解雇の効力が生じることになるため、結局、労働者に解雇予告手当の支払請求権が発生することはないことになります。従って、判例・通達の立場からは、解雇予告手当について、消滅時効の問題は生じないことになります。

設問は、この立場を前提としていることになります。

 

出題者は、解雇予告手当の性質について関心があるようでして、【平成30年問5A(こちら)】においても、同様の論点が関係する問題を出題しています。

 

解雇に関する問題は、このように難しいものが多く、さしあたりは、概要を理解して結論部分を押さえて頂ければよいでしょう。

 

 

二 辞職、合意解約

 

解雇の次に、辞職や合意解約の問題に触れています(こちら以下)。ここは、本文をざっと一読して頂ければよいです。

 

※ なお、当サイトでは、今年度版から、労働法に関連する事項に限ってですが、民法改正について触れています。

しかし、改正民法の施行は、2020年4月1日であり、今回の試験には関係しませんので、読まずにスルーして頂いて結構です(お仕事の関係等から、民法改正の知識が必要な方はご覧下さい)。

 

上記の辞職のページでも、心裡留保や錯誤の問題を掲載していますが、特に後者は難しいため、スルーして頂いて結構です。

 

ちなみに、この民法改正に伴い、労働法に最も影響がありそうなものの一つは、消滅時効といえます。消滅時効については、すでに2020年施行の労働法の改正が決まっている事項もあります。

即ち、民法改正により、時効についてかなり大きな見直しがなされています。消滅時効の期間や起算点が改められたほか、時効の中断と停止(時効障害といいます)が見直され、時効障害が時効の「完成猶予」と「更新」に再構成されました。

そこで、労働法や社会保険法上、従来、「中断」とあった個所は、「完成猶予及び更新」に改められている個所が多いです(労災保険法から、健保法、国年法、厚年法といった広い範囲で改められています)。

この消滅時効の改正については、詳しくは、労災保険法の消滅時効の個所(労災保険法のこちら以下)で記載していますが、前記の通り、2020年施行の改正であり、かつ、内容も結構難しいため、お読み頂く必要はありません(なお、現在、労働法・社会保険法上の消滅時効の期間を伸長するかどうか検討が行われており、それによっては、さらに社労士試験関係の消滅時効の改正が追加されることになります)。

 

次に、期間の満了の問題です。

 

 

三 期間の満了

 

労働契約の期間については、すでにこちら以下で触れています。

対して、こちらのページ以下では、より総合的な問題と労働契約法上の問題を取り扱っています。

 

ここでは、労働契約法の期間(有期労働契約)に関連する問題について少し触れておきます。

 

(一)期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違の禁止(労働契約法第20条)

 

◆同一の使用者に使用されている有期契約労働者と無期契約労働者との間において、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違は禁止されます(労働契約法第20条)。(こちら以下

 

条文に即して表現しますと、次の通りです。

 

「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下、「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」

 

 

この労働契約法第20条については、平成30年6月1日の同日に、ハマキョウレックス事件と長澤運輸事件という重要な2つの最高裁判決が出されました。

ハマキョウレックス事件は、正社員と異ならない運転業務を行っている契約社員(有期契約労働者)のドライバーが、正社員にのみ諸手当等が支給されることの労働契約法第20条違反を主張して差額の支払や損害賠償等を請求した事案です。

長澤運輸事件は、定年退職後に有期労働契約により再雇用された者が、無期契約労働者と職務内容(トラックによるセメントの運搬等)等が同一であるにもかかわらず賃金に格差があったことが労働契約法第20条に違反するとして、差額の支払や損害賠償等を請求した事案です。

 

なお、労働契約法第20条は、平成32年4月1日施行の改正により廃止され、「短時間・有期雇用労働法」第8条(労働一般のこちら)に統合されます(ただし、中小事業主については、平成33年4月1日の施行となり、同年3月31日までは、労働契約法第20条が適用されます)。

そこで、基本的には、労働契約法第20条は、今回の平成31年度の試験でないと出題しにくいということになり、今回の労働一般の試験では、労働契約法第20条及び前掲の2判決に関連する出題は必至と思われます(現在の労働一般の選択式の出題傾向からは、これらの判決が選択式に出題されるかは微妙ですが、出題傾向が変わる可能性がないとはいえませんから、キーワードにも注意しておいた方が安心です)。

 

この労働契約法第20条の趣旨について、【ハマキョウレックス事件=最判平成30.6.1】は次のように判示しました。

 

「同条は、有期契約労働者については、無期労働契約を締結している労働者(以下「無期契約労働者」という。)と比較して合理的な労働条件の決定が行われにくく、両者の労働条件の格差が問題となっていたこと等を踏まえ、有期契約労働者の公正な処遇を図るため、その労働条件につき、期間の定めがあることにより不合理なものとすることを禁止したものである。 

そして、同条は、有期契約労働者と無期契約労働者との間で労働条件に相違があり得ることを前提に、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情(以下「職務の内容等」という。)を考慮して、その相違が不合理と認められるものであってはならないとするものであり、職務の内容等の違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定であると解される。」

 

格差防止、公正な処遇の確保、均等待遇(均等処遇)といったキーワードがポイントです。

 

以下、この両判決から、重要な判示を指摘しておきます。

 

1 その他の事情

 

労働契約法第20条の「その他の事情」について、【長澤運輸事件=平成30.6.1】は、定年退職後に有期労働契約により再雇用された者であるという事情も、「その他の事情」に含まれると判示されました。こちら以下です。

 

定年退職後に有期労働契約により再雇用された者について、正社員との間に、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲(以下、「職務内容及び変更範囲」といいます)の違いがある場合は、一般的に、その違いに応じた賃金差(基本給の額の相違)は許容されやすいといえます(問題となる待遇の性質・目的にもよりますが)。

対して、正社員と職務内容及び変更範囲が同一である場合においても、定年退職後に有期労働契約により再雇用された者であるとして待遇に相違を設けることが認められるのかが問題となったのが長澤運輸事件の事案でした。

 

この点は、問題となった待遇(労働条件)の性質・目的や当該事案の諸事情を考慮する必要がありますが、長澤運輸事件判決の事案では、正社員と定年退職後の再雇用有期労働契約者との基本給の額の相違について、その相違の額の程度が著しくないこと、当該者が定年退職後に再雇用された者であり、一定の要件を満たせば老齢厚生年金の支給を受けることができること、労働組合との団体交渉を経て、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給が開始されるまでの間、調整給を支給していることという事情を「総合考慮」して、不合理性が否定されました(他方、精勤手当等については、不合理性が認められています)。 

 

なお、長澤運輸事件判決の詳細は、労働一般のこちら以下でご紹介しています。

 

2 不合理性の判断

 

不合理性の判断については、こちら以下です。

労働契約法第20条の文言上、「不合理と認められるものであってはならない」であり、「合理的と認められるものでなければならない」のではありません。不合理でなければよいのです。

 

3 不合理と認められた場合の効果

 

不合理と認められた場合の効果については、【ハマキョウレックス事件=最判平成30.6.1】は、労働契約法第20条は、「私法上の効力を有する」としたうえで(従って、同条に違反する労働条件の相違を設ける部分は無効となり、また、当該相違を設けた措置が不法行為に該当することがあります)、同条の文言及び趣旨から、労働条件の相違が同条に違反する場合であっても、同条の効力により当該有期契約労働者の労働条件が比較の対象である無期契約労働者の労働条件同一のものとなるものではないとしました。

即ち、労働契約法第20条に有期契約労働者の労働条件を直接規律する効力(直律的効力・補充的効力)までは認められないという立場です。判示は、こちら以下です。

 

その他、両判決の詳細については、労働一般のこちらで記載していますが、さしあたりは、労基法で記載していますこちら以下で記載がある事項をチェックして頂ければ良さそうです。労働一般の記載については、後回しにして頂いて結構です。

 

 

(二)無期転換ルール(労働契約法第18条)

 

次に、無期転換ルールです(こちら以下)。

同一の使用者との間で締結された有期労働契約が5年(原則)を超えて反復更新された場合に、有期契約労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換させる制度です。

 

この無期転換ルール(平成24年の労働契約法の改正により新設され、平成25年4月1日施行)について、今回、初めて出題されました。労働一般の出題であり、【平成30年問3オ(こちら)】です。

 

 

平成24年の労働契約法の改正により新設された規定については、前述の労働契約法第20条(「不合理な労働条件の相違の禁止」)は、労働一般の【平成25年問1E(こちら)】で出題され、前回は、労働契約法第19条の「雇止め法理」が出題され(【平成29年問1E(こちら) 】)、今回は、「無期転換ルール」でした。

これにより、平成24年の改正により新設された3つの制度(労働一般のこちら)が全部出題されたことになります。

これらは、基本的に、条文と通達をベースとした出題内容でした。

今後も、労働契約法については、まずは、内容を大まかに理解した後は、条文通達をチェックして下さい。

 

労働契約の終了については、ひとまず以上です。次に、労働憲章です。

 

 

〔2〕労働憲章

 

労働憲章については、こちらの青の点線枠の事項を学習します。

直近3年の出題状況がこちらです。

このように、労働憲章からは、毎年度、数肢の出題があるため、じっくりとした学習が必要です。

当サイトでは、重要事項をほぼ網羅しているため、当サイトをお読み頂くのが良いと思います。内容的には、さほど難しい問題はありませんので、概要を理解した後、ポイントの記憶に努めます。

 

次に、労働条件に入り、まず、賃金です。

 

 

〔3〕賃金

 

賃金については、大まかには、次の4つの項目が問題となります(こちらの図を参考)。

 

1 賃金の要件(定義)

2 賃金支払の5原則

3 休業手当

4 平均賃金

 

いずれも、かなり難しく、厄介です。

 

一 賃金の要件(定義)

 

賃金とは、「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」をいいます(第11条)。(こちら以下

従って、賃金に該当するかどうかは、➀労働の対象であること、及び②使用者が支払うものといえるかどうかです。

ただ、➀の判断が難しいことが多く、実際は、パターン化して整理します。

 

大まかには、次の(A)~(C)の3類型は、賃金に該当せず、ただ、「就業規則等により予め支給条件が明確化されており、使用者がその支払義務を負うもの」は、賃金に該当する、という考え方になります。

 

(A)任意的・恩恵的給付(例:祝金、見舞金、死亡弔慰金、賞与、退職手当など)

 

(B)福利厚生給付(例:資金の貸付、住宅の貸与、食事の供与、企業のレクリエーション施設の提供など)

 

(C)企業設備・業務費(実費弁償的なもの。例:制服・作業衣、出張旅費、交際費など)

 

以上の考え方を目安にして、本文を読み進めてみて下さい。

 

なお、【平成30年問4オ】で出題されましたストックオプション制度から得られる利益の賃金性については、類問が【平成14年問3A】に出題されています。

ちなみに、自社株式(自己株式)の譲渡の場合は、一定の要件の下、賃金に該当するとするのが下級審の動向です。

そこで、自社株式の譲渡は賃金に該当しうるのに、なぜストックオプション制度から得られる利益(これも自社株式の取得です)の場合は賃金に該当しないのかという視点から考察してみるのも有益です。

 

 

二 賃金支払の5原則(第24条)

 

賃金支払の5原則とは、賃金は、原則として、(1)通貨で(= 通貨払の原則)、(2)直接労働者に(= 直接払の原則)、(3)全額を(= 全額払の原則)、(4)毎月一回以上(= 毎月一回以上払の原則)、(5)一定期日を定めて(= 一定期日払の原則)、支払うことが必要であるというものです(第24条)。(こちら以下

 

こちらの図がまとめになります。

通貨払の原則」の例外については「労働協約」が問題となり、「全額払の原則」の例外については「労使協定」が問題となることに注意です。

 

5原則のうち、全額払の原則の相殺関係が難しいです(こちら以下)。

この相殺に関する一連の問題を、理屈としてうまく説明するのは、なかなか困難です。

本来、全額払の原則に賃金債権との相殺の禁止も含まれると解するなら、賃金債権との相殺に該当する場合はすべて否定するのが理屈的には一貫し簡単なのですが、調整的相殺などを否定するわけにいかないという実務上の要請があります。

そこで、判例・通達は、実務上の要請を重視した結論を採用しているのですが、全体として、理屈的に整合しているのかは問題です。

このように、相殺関係の問題は、厄介であるため、さしあたりは判例・通達の立場を押さえて頂き、過度に深入りしないことが得策です。

 

 

三 休業手当

 

休業手当についても、難しい問題が多いです(こちら以下)。

休業手当を考える前提として、厳密には、民法の危険負担の知識が必要となります。この危険負担も、厳密には難しいのですが、社労士試験に関係する事項としては、次の点を押さえて下さい。

 

(一)危険負担

 

危険負担とは、双務契約の成立後に、債務者(例:労働者)の帰責事由によらずにその債務の履行が不能となった場合に、そのリスクを債権者と債務者のどちらが負うのか(例:債権者である使用者の賃金支払義務が消滅するのかどうか)という問題です。

債務者がリスクを負うものを債務者主義といい、債務者の債権者に対する債権が消滅します(簡単に言えば、債務者主義とは、債務者が損をする場合です)。逆に、債権者がリスクを負うものを債権者主義といいます。

民法上は、債務者主義を原則としています(民法第536条第1項)。

 

危険負担について、最低限、必要な知識は以上です。

サイトの方では、民法改正に触れている関係から、危険負担についての記載が多くなっていますが、現段階では、ほぼ不要です。さしあたり、以上の知識を確認して頂いたら、休業手当に入って大丈夫です。

 

 

(二)休業手当

 

使用者の帰責事由(責めに帰すべき事由)による休業(労働不能)の場合は、使用者は、休業期間中、当該労働者に対して、平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければなりません(第26条)。この手当を、休業手当といいます。

 

1 趣旨

 

使用者の帰責事由による休業の場合は、民法の危険負担からは、使用者の賃金全額の支払義務は存続しますから(債権者主義)、平均賃金の60%以上の支払を義務づけているに過ぎない休業手当の趣旨が問題となります(こちら以下)。

 

これについて、休業手当は、次のような点で民法の危険負担と異なります。

 

(ⅰ)民法の危険負担は、特約によりその適用を排除できるとされていますが(任意規定)、当該特約が存在する場合であっても、使用者は、平均賃金の60%について休業手当の支払を強制されます。

 

(ⅱ)また、休業手当における使用者の帰責事由は、民法の危険負担の債権者(使用者)の帰責事由よりも拡張されて解されています。即ち、休業手当の使用者の帰責事由には、不可抗力は含みませんが、使用者側に起因する経営上・管理上の障害が広く含まれると解されています。

 

2 要件

 

休業手当の要件は、次の2つです。

 

➀使用者の責めに帰すべき事由によること

 

②休業であること

 

それぞれについて、多くの論点があり、具体的には、当サイトをご覧下さい。以下、若干の問題を見ます。

 

主に➀の問題として、「争議行為と休業手当」という難しい問題があります(こちら以下)。

【ノース・ウエスト航空事件=最判昭和62.7.17】は、選択式で出題される可能性がありますので、概要を把握しておいて下さい。

 

「ロックアウトと休業手当」(こちら以下)についても、【丸島水門事件=最判昭和50.4.25】が選択式で出題される可能性があります。キーワードはチェックして下さい。

 

また、派遣中の労働者(派遣労働者)の休業手当について、使用者の責めに帰すべき事由があるかどうかの判断は、派遣の使用者についてなされることも記憶します(こちら以下)。

 

 

3 効果

 

休業手当の効果については、一部労働不能の問題(こちら)と中間収入の控除の問題(こちら)が出題されています。

後者は、非常に難しいため、当サイトを参考に、ひとまずの理解で足りると思います。

 

以上、休業手当でした。

 

 

四 平均賃金

 

平均賃金(こちら以下)についても、細かい知識が多いのですが、休業手当等のようには難しくはないです。

こちらの体系図をベースに、知識をうまく整理して記憶して下さい。

 

次回は、労働時間以後の解説をします。36協定は、改正により、覚え直す事項が増えています。今回の改訂でも、色々追記しています。

更新については、年次有給休暇からです。この年休と就業規則が労基法の終盤のヤマです。

 

 

〔Ⅱ〕最新判例

 

次に、最新の最高裁判例を2つご紹介しておきます。

 

1【日本郵便事件 = 最判平成30.9.14】(こちら。なお、リンク元は、労基法の目次の最下部の「労基法(労働法)の最新判例」をクリックして下さい)

 

先月に出た最高裁判決ですが、労働契約法の「就業規則の不利益変更」、「労働契約の締結段階における就業規則の労働契約規律効(労働契約法第7条)」及び「雇止め法理」が問題となっています。

ただ、あまり出題しやすい判示がなく、さほど重要というわけでもないと思います。労働契約法の就業規則(当サイトでは、労基法の就業規則の個所で学習します)が終わりましたら、参考知識としてチェックしてみて下さい。

 

2【最判平成30.9.27】

 

これも先月の最高裁判例です。労災保険法の第三者行為災害(自動車の衝突事故において自賠責保険が関係する問題です)において、政府が代位取得した支払請求権と被害者の支払請求権との関係について判示したものです(労災保険法のこちら)。

こちらは、重要であり、択一式で出題されそうな気配があります。選択式については、あまりよいキーワードがなく、微妙です。

 

受験経験のある方で、労災保険法の第三者行為災害について一通りの知識をお持ちの場合は、さほど難しくない内容だと思います。しかし、初学者の方にとっては、かなり難しい内容のため、労災保険法の第三者行為災害を学習してから、この判例をチェックしてみて下さい。

 

※ なお、現時点で判明しています主な改正事項については、こちらのページでまとめています。

 

 

〔Ⅲ〕白書対策講座

 

今年度は、少し早く白書対策講座を開始します。

 

まず、過労死等防止対策推進法について、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が改定されましたので、掲載しました(労働一般のこちら以下で「はじめに」の部分を取り上げ、こちらのページで、大綱の本文の途中まで掲載しています)。

出題されるかどうか微妙ですが、データー関係の重要個所について太字にしていますので、参考程度にご覧下さい。

 

この後、おととい公表されました「派遣労働者実態調査」についてまとめます(次回の更新の際にご案内できそうです)。

 

現在、雇用動向調査、働く女性の実情、医療費の動向、労働経済白書あたりが公表されており、順次、ご紹介していきます。

厚生労働白書が来月公表されますが、白書対策講座は、この厚生労働白書をメインとして、そこから、細かい分野のデーター(各論的データー)につなげていく形にします(厚生労働白書が全分野を網羅しているのです)。

労働経済白書も重要ですが、まずは、厚生労働白書をご紹介し、その後、労働経済白書の順とします(そこで、労働経済白書は、来年の公開となりそうです)。

厚生労働白書の前に、まずは、上記の雇用動向調査等の各論的データーをご紹介する予定です。

 

では、次回、残りの解説をメールします。

 

 

2019年10月5日(金曜)

今回は、労基法の第2回目の更新と国年法のインデックスのご紹介です。さっそく開始です。

 

 

〔1〕労基法の第2回目の更新

 

今回の労基法の更新は、労働契約の発生と変更に関する部分です。

 

・更新開始ページ=「労働契約」の冒頭のこちら

 

・更新終了ページ=「懲戒処分」のこちらのページの最後まで。

 

 

労働契約の全体図は、こちらです。参考程度です。

 

 

一 労働契約の成立(発生)

 

(一)要件

 

1 労働契約の成立要件

 

労働契約が成立するためには、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことを合意することが必要です。

労基法上はこの点の明文はありませんが(労働契約の定義規定がありません)、労働者について定めた第9条、労働契約法上の労働契約の成立について定めた労働契約法第6条及び民法上の雇用契約について定めた民法第623条等を参考に、上記の通り解されています。

 

この労働契約の成立要件については、労働一般の択一式において、ちらほら出題されています(こちら以下)。

 

この労働契約の成立要件に関連し、労働契約法第3条について見ていますが(こちら以下)、のちに、労働一般の労働契約法のこちら以下(労働一般のパスワード)においても詳しく見ますので、ここではざっと一読で結構です。

なお、労働契約法の同法第3条の個所では、通達や過去問を掲載し、より詳しい内容になっています(就業規則の諸問題等では、逆に労基法における記載の方が詳しくなっています)。

 

 

2 有効要件

 

有効要件(こちら以下)については、基本的には、民法の問題ですので、カットして頂いて結構です。

 

ただし、こちらで「社会的妥当性」と表現していますが、民法第90条(「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」)については、今後もあちこちで登場しますので、記憶の片隅に留めておいて下さい。

要するに、社会的妥当性に欠ける行為(公序良俗に反する行為)は無効とされるということです。この公序良俗に反するかどうかは、諸事情を考慮して総合判断します。

 

 

(二)効果

 

1 基本的効果

 

次に、労働契約が成立した場合の効果(権利義務の発生)に関する問題です(こちら以下)。

労働契約成立の基本的な効果は、労働者の労働義務と使用者の賃金支払義務の発生です。

そして、労働者の労働義務を使用者の側(使用者の権利)から見れば、使用者の指揮命令権・業務命令権ということになります。

 

ところで、債務の履行は、債務の本旨(債務の本来の趣旨・目的ということです)に従って行わなければなりません(民法第493条、第415条。こちら)。

そこで、労働者も、債務の本旨に従って労働義務を履行することが必要です。この場合の債務の本旨については、具体的には、労働契約の解釈によって決定されます。

この債務の本旨が問題となる判例がいくつかあります(こちら以下)。

受験経験者の方は、このページに記載されている判例については、お読み下さい(事案と結論だけで足りる旨の記載がある判例については、その程度で結構です)。

初学者の方にとっては、これらの事項は難しいです。最終的に内容に慣れて頂ければ結構ですので、初期の段階では、あまりこのような難しい事項に時間をかけずに、先に進むことを優先して下さい。

 

 

2 付随的効果

 

以上は、主に労働契約の基本的な効果ですが、付随的な効果もあります。

特に出題が多いのは、労働一般の労働契約法での出題対象ですが、安全配慮義務の問題です(こちら)。

今回の【労働一般 平成30年問3イ(こちら)】でも出題されました。

その他の問題は、流し読みで結構です。

 

 

(三)労働契約の期間

 

次に、労働契約の期間に関する問題です。

こちらのページで労働契約の期間について前提となる知識に触れています。かなり細かく、複雑ですが、大まかに把握して下さい。

初学者の方は、ざっとで結構です。また、初学者の方は、「有期労働契約の全体構造」という個所(こちら以下)は、さしあたり読まずにスルーして頂いても結構です(これから学習する内容が多いです)。

 

以上までは、どちらかといいますと、労基法より民法や労働契約法の情報が多くなっています。

次の「労働契約の期間(第14条等)」になりますと、ようやく労基法で規定されている問題になります。

 

 

〇労働契約の期間 = 第14条等

 

労働契約に期間を定める場合は、原則として、3年が上限であるなど、労働契約の期間について、労基法上、ルールが定められています。全体像は、こちらの図です。

この労働契約の期間については、細かいですが、それほど難解ではありません。上記の図を参考に、知識を念入りに整理してみて下さい。出題が多いため、当サイトを熟読して頂く必要があります(初学者の方は、まずは、ざっと読んで頂き、イメージをつかんで下さい)。

 

 

二 労働契約の成立過程の問題

 

次に、労働契約が成立する前の一連の問題があります(こちら以下)。全体像は、こちらの図の通りです。

労基法以外の問題も多いですが、労基法と労働契約法で出題対象となるような問題は、採用の自由、内定、試用期間の他、労働条件の明示(労基法第15条)となります。

いずれも重要です。

例えば、採用の内定については、今回の【労働一般 平成30年問3ア(こちら)】で出題されており、試用期間については、【神戸広陵学園事件=最判平2.6.5】に関し平成22年度の選択式で出題されています。

受験経験者の方は、内定・試用期間についてのこちらのページは熟読して下さい。

 

ここでは、改正がある労働条件の明示について特に触れておきます。

 

〇労働条件の明示

 

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して労働条件を明示しなければなりません(第15条第1項)。(こちら以下

労働条件をめぐる紛争を防止し、労働者の保護を図る趣旨です。

 

(一)改正事項

 

今回の改正事項(平成31年4月1日施行の施行規則の改正)は、こちらです。次の①と②です。

 

➀明示事項の事実との一致

 

使用者は、第15条第1項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならないとされました(施行規則第5条第2項)。

 

②書面の交付等による明示

 

従来は、「厚生労働省令(施行規則第5条第3項)で定める事項」については、「書面の交付」による労働条件の明示が必要でした。

しかし、利便性等の見地から、今回の改正により、書面の交付による労働条件の明示を原則としつつ、労働者が希望した場合は、ファクシミリを利用してする送信の方法、又は電子メールその他の電子的方法による送信の方法により明示することが可能となりました(施行規則第5条第4項)。

当サイトでは、書面の交付を含むこれらの労働条件の明示の方法について、「書面の交付等」ということがあります。

 

(二)明示事項

 

次に、労働条件の明示事項ですが、就業規則の記載事項と対比した表がこちらです。

これらについては、チョロチョロ出題があり、ある程度、覚えておかれると役に立つことがあります。

 

なお、パートタイム労働法と職業安定法における明示事項も併せて対比した表がこちらです。学習の最終段階では、このような図の大まかなイメージが作られている必要があります。

職業安定法における明示事項は、平成30年1月1日施行の改正事項がありますので、注意が必要です(今回の労働一般の試験では、出題されませんでした。こちら以下)。ただし、労働一般を学習する際に、本腰を入れて記憶して頂ければ大丈夫です。

 

以上、労働契約の発生とその前段階における問題でした。次は、変更に関する問題です。

 

 

三 労働契約の変更

 

労働契約の変更(展開)についての全体像は、こちらの図の通りです。

サイトでは、配転、出向と懲戒処分について見ています。ただ、特に懲戒処分ですが、総合的なレベルの高い問題が多く(労働組合法を深く学習しませんと理解できないような判例もあります)、初学者の方は、余り深入りせずに、先に進んで下さい。

受験経験者の方は、時間を要する判例の読み込みなどは、この時期にして頂いた方がよさそうです。

 

懲戒処分(こちら以下)については、今回の労働一般の【問3エ(こちら)】で出題されています。

就業規則が労働者に拘束力を生ずるためには、その内容について、適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するとする【フジ興産事件=最判平成15.10.10】からの出題でした。とても重要な判例です。

のちに就業規則の個所でも、詳しく見ます。

 

以上、ざっとでしたが、今回の更新内容でした。次回は、労働契約の消滅(終了)として、解雇の問題等に入ります。

 

 

〔2〕国年法のインデックス

 

国年法の本試験問題のインデックスが完成しました。こちらです。

 

今回の国年法は、選択式は、厳しい内容でした。選択式の問1の現況届は、例えば、市販書ではほとんど詳しい掲載がないと思います。

問2の指定全額免除申請事務取扱者に関する納付猶予要件該当被保険者等についても、簡単な問題とはいえません。

問3は、内容的には簡単なのですが、DとEを逆にしやすいという罠があります。

 

これらの今回の選択式のうち、問1、問2は、平成28年度、29年度の改正事項を含んでいます。

 

他方、択一式の場合は、さほど難しくはありません。長文で解くのに時間がかかるような事例問題は出題されませんでした。

もっとも、国年法と厚年法は、比較的簡単な問題だとはいっても、やはり、そうそう楽に解けるわけではなく、基礎から積み上げていませんと厳しいです。

この基礎から積み上げていくという点について、実例をみてみます。

 

今回の国年法の【平成30年問6D】は、次の通りです。

 

・【平成30年問6D】

設問:

65歳に達したときに、保険料納付済期間と保険料免除期間(学生納付特例期間及び納付猶予期間を除く。)とを合算した期間を7年有している者は、合算対象期間を5年有している場合でも、老齢基礎年金の受給権は発生しない。

 

国年法や厚年法が苦手な方は、このような問題の場合には、まず、支給要件を思い出してみて下さい(もちろん、支給要件と関連しない出題も多数あり、設問に応じて対応する必要があります)。

本問では、「老齢基礎年金の受給権は発生しない」かどうかが問題となっていますから、老齢基礎年金の支給要件を満たしているかを検討します。

ここで次の3つの支給要件がすらすら出てくるのが基礎があるということになります。

 

➀保険料納付済期間又は保険料免除期間(学生納付特例及び納付猶予に係る保険料免除期間除きます)を有すること。

 

②65歳に達したこと 。

 

10年以上の受給資格期間を満たすこと。

 

そして、上記の➀と③の太字部分の意味を理解していることも必要です。①については省略しますが、③については、「原則として、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上であることが必要であるが(第26条ただし書)、特例として、保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が10年以上であるときは、受給資格期間を満たす(法附則第9条第1項)」ということです。

 

本問を見ましたら、以上の知識が頭におおよそ浮かんでくるのが基礎知識があるということになります。このような基礎知識を積み上げる訓練を経て、本番では、本問を見たら、すぐに③の合算対象期間との合算に関する問題であると気がつくことになります。

まずは、学習段階では、以上のように、前提となる知識・土台から考えるという癖をつけて頂くとよいと思います。

この前提となる知識・土台とは、多くの場合は、「要件」あるいは「効果」に関する知識です。つまり、日常の学習では、特に「要件」をきちんと押さえ、記憶しておくという学習が重要です。

この基礎知識を蓄える学習は、やはり、結構、時間がかかりますし、覚えるという作業もありますので、あまり面白くもありません。ただ、この段階を省略して、例えば問題ばかり解いていますと、点数が伸び悩むといった原因にもなりますので、注意が必要です。

 

ついでですが、当サイトでは、今回の国年法の出題について、一応、すべてテキストで記載していました(択一式の事例問題の場合は、それを解くのに必要な知識を記載していたということですが)。

 

 

少々、長文になりましたので、今回のこの程度にします。

 

次回は、労基法の第3回目の更新と厚年法のインデックスのご紹介です(厚年法は、ほぼ終わりかけています)。

 

 

※ 追伸:

 

労働経済白書が公表されました。インデックス等の作成作業が終わりましたら、徐々に白書対策講座に取り掛かります。

 

 

では、また次回です。

 

 

・2019年9月23日(日曜)

 

2019年度版の更新を開始致します。

 

 

〔1〕労基法の初回の更新

 

まず、労基法の初回の更新です。

今回は、労基法の冒頭から労働契約の手前までですが、労使協定に関して、いきなり改正事項があります。

まず、更新の範囲からです。

 

・更新開始ページ=労基法の冒頭です。

 

・更新終了ページ=「労働条件の決定の基本原則(第1条、第2条)のこちらのページの最後までです。

 

 

1 労基法の目的・体系

 

労基法の冒頭のこちらのページについては、参考程度に流し読みして頂く程度で足ります。

 

なお、こちらの「労働時間、休憩、休日の体系図」については、下部の方で、「高度プロフェッショナル制度」が追加されています。

この制度(以下、「高プロ」といいます)は、条文上、管理監督者等の第41条(労基法のパスワード)の次に第41条の2として追加されています。

裁量労働制(専門業務型や企画業務型)の条文中に規定されているわけではないことには、一応、注意です。

つまり、高プロは、裁量労働制(これは、労働時間を一定時間とみなす制度です)ではなく、適用除外の一種として規定されています。高プロは、「労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定」の適用を除外する制度であるためです。

(もっとも、高プロの要件については、裁量労働制の要件と共通する点があります。)

 

高プロについては、現在、働き方改革関連法によって、基本的事項は明かになっており、サイト上でも、この法改正による改正事項は改訂済みです。

しかし、年収の要件等の細かい事項については、この秋に労働政策審議会で検討されてから決定されるため、まだ、確定していません。そこで、高プロについては、全容が判明してからじっくり学習すれば足りるでしょう。

 

 

2 主体

 

主体については、主に、労働者と使用者を見ます。

 

(1)労働者

 

(ア)労働者性の判断

 

労働者(本文はこちら以下)とは、「事業に使用される者で、賃金を支払われる者」です。

ただ、本文でも触れていますように、実際は、労働者性の判断は難しいことが少なくありません。

 

以前は、この労働者について、それほど出題はなかったのですが、近時、「事業」に使用される者かどうかという問題(こちらの【過去問 平成29年問2ア】)やこちら以下の細かい問題も出題されてきています。

 

さしあたりは、当サイトをざっと読んで頂ければ大丈夫でしょう。初学者の方は、余り深入りせずに、一読して次に進んで下さい。

 

 

(イ)適用除外

 

適用除外(こちら)については、最終的には、こちらの図に掲載されている知識をベースとして、本文全体を把握して頂く必要があります。

ただし、公務員の関係については、上記の図の程度の知識で足りそうです。

 

 

(2)使用者

 

使用者(こちら以下)については、要件(定義。第10条)を記憶した上で、最終的には、当サイトの使用者の全体をお読み下さい(初学者の方は、細かい個所は流し読みで結構です)。

労働者派遣や出向の関係が重要ですが、過去問を解ける程度が目標です。

 

 

3 労働条件の決定(規制)システム(労働契約等)

 

(1)全体像

 

労働条件の決定システムの全体像(こちら)は、非常に重要です。

ただし、労基法(及び労働組合法)の全体を学習してから、理解が深まるような事項も少なくないです。

受験経験者の方は、リンク先の条文の内容も含め、十分、チェックして下さい。

初学者の方にとっては、難しい内容が多いため、流し読みで結構です。

 

 

(2)労使協定等

 

労使協定等(こちら)については、改正があります。

 

まず、初学者の方は、労使協定の意義、要件、効果についての当サイトを熟読してみて下さい。細部については、今後、例えば、36協定の個所で学習しますと理解が容易になるようなものもありますので、まずは、大まかな内容を把握します。

 

さて、改正事項ですが、次の通りです(ここは、受験経験者向けです)。

 

➀フレックスタイム制

 

フレックスタイム制とは、労働者が始業及び終業の時刻を決定できる制度(労働者が1日の労働時間を決定できるもの)であり、就業規則及び労使協定により定めます。

 

従来は、フレックスタイム制を定める労使協定について、届出及び有効期間の定めは不要でした(基本的に労働者に有利な制度であったためです)。

しかし、働き方改革関連法による改正(平成31年4月1日施行)に伴い、清算期間の上限が従来の「1箇月」から「3箇月」に延長されました(清算期間が「1箇月以内」から「3箇月以内」に改められたということです)。

これにより、清算期間が1箇月を超える場合は、短期間に長時間労働者が集中するといった弊害があるため、過重労働を防止するため等の改正が行われました。

その一つとして、清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に係る労使協定については、届出(第32条の3第4項)と有効期間の定め(施行規則第12条の3第1項第4号)が必要となりました。

こちらの表の④をご参照下さい。また、フレックスタイム制の観点からは、こちらの表で整理しています。

 

※ ちなみに、上記の「届出」については、働き方改革関連法(平成30年7月6日に公布)により定められたものです。

従って、2019年度版のこれから発売されるテキストでも、この届出については(掲載する時間的余裕があったことから)、通常、掲載されます。

しかし、上記の「有効期間」については、今月7日の整備省令(【平成30.9.7厚生労働省令第112号】)により定められたものです。

そこで、この有効期間については、10月に発売される市販書では、記載されていない可能性もありますので、ご利用の際は注意が必要です。

 

この7日公布の整備省令は、労基法、安衛法をはじめとする各法の省令(施行規則等)について、重要な事項を多数規定しており(雇用保険法施行規則(特定受給資格者)や厚年法・健保法施行規則(短時間労働者)等の改正まで含んでいます)、当然、試験対策上も重要です。

例えば、安衛法の面接指導は、働き方改革関連法による改正伴い、➀従来の面接指導(一般の労働者に対する面接指導)の他、労基法の改正に併せて、②新技術等の研究開発業務に従事する労働者に対する面接指導と③高プロの対象労働者に対する面接指導が新設されました。

しかし、①の従来の面接指導の要件として、「休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間〔従来の100時間から短縮されました〕を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であること」という「80時間」の改正について定めているのは、先の今月7日公布の整備省令です。

 

このように、重要な事項が、10月発売の市販書では、掲載されていないおそれがあり(11月以降発売でしたら、掲載されているかもしれません)、この点に注意して頂くことが必要です。

このような今月7日公布の改正事項も含め、働き方改革関連法による改正事項の全体の反映については、当サイトが一番早いはずです。

 

元に戻りますが、要するに、「清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に係る労使協定については、届出と有効期間の定めが必要となった」ことを記憶します。

そこで、例えば、「フレックスタイムを定める労使協定については、平成31年4月1日からは、有効期間を定めた上で、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出ることが必要となった」といった設例は、誤りとなります(清算期間が1箇月を超えるもののみです)。

 

なお、フレックスタイム制に係る労使協定については、もう少々改正があり、例えば、完全週休2日制の場合のフレックスタイム制の適用に関する規定が新設されました。

長文となるため、ここでは詳細は省略しますが(本文はこちら以下です)、フレックスタイム制が適用される完全週休2日制(1週間の所定労働日数が5日)の労働者については(曜日の巡りによって、1日8時間の労働であっても、法定労働時間の総枠を超えてしまうことがありました)、労使協定により、清算期間における法定労働時間の総枠を、当該清算期間における所定労働日数に8時間を乗じて得た時間数と定めることができることとなりました。

 

これらフレックスタイム制の詳細については、のちにフレックスタイム制をみる際に詳しく触れます。

 

 

②労働時間等設定改善企業委員会の新設

 

労使委員会又は労働時間等設定改善委員会の決議は、一定の事項について、労使協定に代えることができます(協定代替決議といいます)。

 

「労使委員会」とは、労基法では、企画業務型裁量労働制で登場するのですが、「賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限る。)」のことです(第38条の4第1項柱書)。

 

〔なお、「柱書」とは、条文中の「各号列記以外の部分」のことです。第1号とか第2号等でない、本文の個所です。ちなみに、法律上(条文上)は、「柱書」とは表現せず、「各号列記以外の部分」と表現します。つまり、柱書とは、慣用表現です。〕

 

他方、「労働時間等設定改善委員会」とは、労働時間等設定改善法で規定されているものであり、この委員会の決議が、労基法の一定の事項に関する労使協定に代わりとなることも、労働時間等設定改善法で定められています(同法第7条(労働一般のパスワード)。2019年度版では、新たに、この労働時間等設定改善法のテキストも作成し、すでに改正事項も反映しています。労働一般のこちら以下です)。

 

以上が従来の仕組みですが、働き方改革関連法により、新たに、「労働時間等設定改善企業委員会」が創設され(労働時間等設定改善法第7条の2)、この企業委員会の決議によっても、次の労基法の3つの事項については、労使協定の代わりになることとなりました。

 

(ⅰ)年休の計画的付与(労基法第39条第6項)

 

(ⅱ)時間単位の年休付与(同法第39条第4項)

 

(ⅲ)1箇月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金の代替休暇(同法第37条第3項)

 

この「労働時間等設定改善企業委員会」は、企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組みを促進しようとする趣旨です。

そこで、上記の(ⅰ)~(ⅲ)も、休暇の制度のうち、普及が進んでいないものについて、企業全体で普及の取組みを促進させるという趣旨なのでしょう。

 

従来、労基法の労使協定に関する出題では、「労働時間等設定改善委員会」による労使協定の代替決議の問題は、あまり出題がなかったようですが、今後は、企業委員会も含め、一応、チェックしておきます(労働一般の択一式として出題可能性もあります)。

 

以上、労使協定関係の改正事項でした。

 

 

4 労働条件の決定の基本原則(第1条、第2条)

 

「労働条件の決定の基本原則」(第1条、第2条。こちら以下)については、当サイトをお読み頂ければ大丈夫でしょう。

 

 

以上、今回の更新範囲のポイントでした。

 

※ なお、2019年度版の労働法関係では、野川忍先生のテキスト(本年(メールでは、昨年と誤記しました)の4月刊行)からも、参考となる内容をご紹介していきます。

近時の労働法のテキストの中では、川口美貴先生のテキストが優れていますが(頭脳明晰であることがよくわかるテキストです)、多数説と異なる結論を採用することが多いです(ちなみに、このテキストは、平成27年の冬に刊行され本文が900頁を超える大作なのですが、もう第2版が発売されました)。

他方、野川先生のテキストは、割と穏便な結論になっているものが多く、参考になります(こちらは、1050頁くらいあります)。

いずれのテキストについても、社労士受験用としてはお読みになってはいけません(大部であり、試験と関係ない事項の記載が多く、合格には直接役立ちません。合格後にお読み下さい)。当サイトが、試験に役立ちそうな個所をご紹介していきます。

 

ちなみに、労働法のテキストとしては、やはり、菅野先生の労働法をまず参考にします。しかし、こちらも、合格後にご利用下さい。

 

そういえば、労働法のテキストは、近年、ますますページ数が多くなっています。

菅野先生のテキストが、平成22年の第9版と現在の第11版(補正版)を比べますと、350ページくらい増えています。通常の本1冊分(というか2冊分)です。

改正が多すぎるということなのでしょう。著者のかたも大変ですが、読者も大変です。。

 

 

〔2〕徴収法のインデックスの完成

 

徴収法の今回の本試験のインデックスが完成しました。こちらです。

今回の徴収法は、正確な知識や細かい知識が必要となる難しい問題が多かったです。

全6問中、半分解ければよいというレベルではないでしょうか。

徴収法が苦手な方は、少し早めに学習を開始し、まずは、基礎的な考え方を身に着け、しっかり記憶して下さい。

 

なお、有期事業の一括について、改正が予定されています。地域要件が廃止され、また、一括有期事業開始届も廃止される予定です。

徴収法を早めに学習される場合は、この2点については、余り深入りせずに進めて下さい。

 

 

〔3〕健保法の高額療養費等の改正

 

かなり大変だったのが、健保法の高額療養費の改正です。

今回、健保法(国民健康保険法及び高齢者医療確保法も同様です)の高額療養費算定基準額と介護合算算定基準額(高額介護合算療養費)が改正され、すでに、本年8月1日から施行されています。

 

前者については、「70歳以上」の「一定以上所得者(現役並み所得者)」及び「一般所得者」の「個人単位の外来療養」に係る高額療養費算定基準額が改正されました(健保法のこちらの表の黄色い個所です。その少し下部に、改正の前後の対象図があります)。

単に高額療養費算定基準額の改正だけでも、施行令の膨大な修正が必要であるため、大変なのですが、実は、今回の改正は、高額療養費の骨格に少し影響する改正となっています。 

 

この高額療養費及び介護合算算定基準額の改正については、ほぼ改訂は終わりましたが、もう少し詳しい解説は、また後日に致します。

 

 

〔4〕白書対策

 

なお、すでに、2019年度用の一般常識のデーター関係(以下、白書関係といいます)がちらほら出ています。

例えば、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(7月24日公表)、「平成29年雇用動向調査」(8月9日公表)、「働く女性の実情」(9月18日公表)などです。

改正改訂作業が一息つきましたら、これらについても、さっそく白書対策講座で取り上げる予定です。

 

 

〔5〕その他

 

就業規則の不利益変更等に関する最高最判決が出ました。【日本郵便事件=最判平成30.9.14】です。労働契約法の問題となります。こちらも、改正改訂作業が終わりましたら、取り上げます。

 

 

以上、労基法の初回の更新等でした。次回は、労基法の2回目の更新、健保法のインデックスのご紹介、改正事項のご紹介を予定しています。

 

 

2019年(平成30年)9月19日(水曜)

「更新のお知らせ」のページが、新ページになりました。

 

さて、ここまで、本試験問題のインデックスのご紹介や働き方改革関連法に関する諸改正についてお知らせしてきましたが、いよいよ2019年度版の開始です。

 

近日中に、労基法の初回の更新、徴収法のインデックスのご紹介、諸改正等についてお知らせします。 

 

 

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