【2021年度版】
〔6〕児童手当法
社会一般の直前対策講座の最後は、児童手当法です。
児童手当法のテキストが、ギリギリ完成しましたので、それをリンクする形で直前対策を致します。
【児童手当法 問1】
児童手当法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 児童手当法は昭和46年に制定され、児童扶養手当法は昭和36年に制定された。
B 児童手当法は、児童福祉法に規定する子ども・子育て支援の適切な実施を図るため、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする。
C 支給要件児童を監護し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母(当該支給要件児童に係る未成年後見人があるときは、その未成年後見人とする。以下このページにおいて「父母等」という。)であって、日本国内に住所(未成年後見人が法人である場合にあっては、主たる事務所の所在地とする。)を有するものは、児童手当の支給対象となる。
ただし、この場合において、父及び母並びに未成年後見人のうちいずれか2以上の者が当該父及び母の子である児童を監護し、かつ、これと生計を同じくするときは、当該児童は、当該父若しくは母又は未成年後見人のうちいずれか前年の所得の高い者によって監護され、かつ、これと生計を同じくするものとみなす。
D 児童手当(施設入所等児童に係る部分を除く。)は、一般受給資格者の前年の所得(1月から5月までの月分の児童手当については、前々年の所得とする。)が、一定の額以上であるときは、その額に応じ全額又は一部の額が支給されない。
E 児童手当の支給要件に該当する一般受給資格者は、児童手当の支給を受けようとするときは、その受給資格及び児童手当の額について、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の認定を受けなければならない。
※ 解答は、こちらです。
【児童手当法 問2】
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
20歳、18歳、14歳、12歳、10歳及び2歳の6人の児童を監護し、かつ、この6人の児童と生計を同じくしている日本国内に住所を有する父に支給する児童手当の額は、1か月につき A である。なお、この6人の児童は、施設入所等児童ではなく、かつ、父の所得額は所得制限額未満であるものとする。
選択肢:
①35,000円 ②45,000円 ③55,000円 ④65,000円
※ 解答は、こちらです。
【児童手当法 問3】
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
市町村長は、認定をした一般受給資格者及び A (以下「受給資格者」という。)に対し、児童手当を支給する(ただし、公務員である一般受給資格者は除く。)。
児童手当の支給は、受給資格者が B で終わる。
受給資格者が住所を変更した場合又は災害その他やむを得ない理由により認定の請求をすることができなかった場合において、住所を変更した後又はやむを得ない理由がやんだ後 C にその請求をしたときは、児童手当の支給は、受給資格者が住所を変更した日又はやむを得ない理由により当該認定の請求をすることができなくなった日の属する月の翌月から始める。
選択肢:
A ①特定受給資格者 ②特定理由受給資格者 ③施設等入所者 ④施設等受給資格者
B ①認定の請求をした日の属する月の翌月から始め、児童手当を支給すべき事由が消滅した日の属する月 ②認定の請求をした日の属する月から始め、児童手当を支給すべき事由が消滅した日の属する月の前月 ③認定の請求をした日の属する月の翌月から始め、児童手当を支給すべき事由が消滅した日の属する月の前月 ④認定の請求をした日の属する月から始め、児童手当を支給すべき事由が消滅した日の属する月の翌月
C ①10日以内 ②14日以内 ③15日以内 ④30日以内
※ 解答は、こちらです。
【児童手当法 問4】
児童手当法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 児童手当の支給を受けている者につき、児童手当の額が減額することとなるに至った場合における児童手当の額の改定は、その事由が生じた日の属する月から行う。
B 児童手当は、受給資格者が、正当な理由がなくて、児童手当法第27条第1項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかったときは、その額の全部を支給しない。
また、児童手当の支給を受けている者が、正当な理由がなくて、第26条の規定による届出をせず、又は同条の規定による書類を提出しないときは、児童手当の支払を一時差しとめることができる。
C 児童手当を支給すべきでないにもかかわらず、児童手当の支給としての支払が行なわれたときは、その支払われた児童手当は、その後に支払うべき児童手当に充当される。児童手当の額を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として減額しない額の児童手当が支払われた場合における当該児童手当の当該減額すべきであつた部分についても、同様とする。
D 偽りその他不正の手段により児童手当の支給を受けた者があるときは、市町村長は、地方税の滞納処分の例により、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
この徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
E 児童手当の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、児童手当の支給を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合及び当該権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
※ 解答は、こちらです。
【児童手当法 問5】
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
A (一般事業主が保険料を負担し、又は納付する義務を負う被保険者であって公務員でない者をいう。以下同じ。)に対する児童手当の支給に要する費用(3歳に満たない児童(月の初日に生まれた児童については、出生の日から3年を経過しない児童とする。)に係る児童手当の額に係る部分に限る。)は、その15分の7に相当する額を B をもって充て、その45分の16に相当する額を国庫が負担し、その45分の4に相当する額を C 負担する。
A に対する児童手当の支給に要する費用(3歳以上の児童(月の初日に生まれた児童については、出生の日から3年を経過した児童とする。)であって15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者(「3歳以上中学校修了前の児童」という。)に係る児童手当の額に係る部分に限る。)は、その3分の2に相当する額を国庫が負担し、その6分の1に相当する額を C 負担する。
選択肢:
A ①被保険者 ②加入者 ③父母等 ④被用者
B ①積立金 ②拠出金 ③支援金 ④納付金
C ①都道府県が ②市町村が ③財政安定化基金が ④都道府県及び市町村がそれぞれ
※ 解答は、こちらです。
次は、最後の設問です。
【児童手当法 問6】
児童手当法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
A 児童手当の支給を受ける権利及び第14条第1項の規定による徴収金を徴収する権利は、これらを行使することができる時から3年を経過したときは、時効によって消滅する。
B 児童手当の支給を受けている一般受給資格者(個人である場合に限り、公務員を除く。)は、内閣府令で定めるところにより、市町村長に対し、前年の所得の状況及びその年の9月1日における被用者又は被用者等でない者の別を届け出なければならない。
C 一般受給者(公務員を除く。)は、氏名(法人にあっては、その名称)を変更したとき、又は支給要件児童のうちに氏名を変更した児童があるときは、速やかに、様式第8号による届書を市町村長に提出しなければならない。
D 一般受給者は、児童手当の支給を受けるべき事由が消滅したときは、速やかに、様式第10号による届書を市町村長に提出しなければならない。ただし、引き続き法附則第2条第1項(特例給付)の給付の支給を受けることとなるときに限り、当該届書を提出する必要はない。
E 市町村長は、必要があると認めるときは、受給資格者に対して、受給資格の有無、児童手当の額及び被用者又は被用者等でない者の区分に係る事項に関する書類を提出すべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの事項に関し受給資格者その他の関係者に質問させることができる。
※ 解答は、こちらです。
以上で、児童手当法の直前対策を終わります。
解答
【児童手当法 問1】の解答(設問は、こちら)
正しい肢は、Aです。
以下、肢ごとに見ていきます。
A 児童手当法は昭和46年に制定され、児童扶養手当法は昭和36年に制定された。
(解説)
正しい内容です。
児童手当法(【昭和46.5.27法律第73号】)は、昭和46年5月に制定され、昭和47年1月1日から施行されました。
「幸福(しあわせ)の年」である昭和48年の少し前に制定・施行されたとでも押さえておきます。
【過去問 平成19年問7C(こちら。児童手当法については、主に「社会一般のパスワード」をご使用下さい)】では、「昭和56年に制定され、翌年1月から施行された」という誤りの内容が出題されています。
以上、本文は、こちらの(1)です。
他方、児童扶養手当法は、昭和36年に制定され(【昭和36.11.29法律第238号】)、昭和37年1月1日から施行されました。
児童扶養手当法に基づく児童扶養手当は、大まかには、離婚等によるひとり親など、父又は母と生計を同じくしていない児童を養育している父又は母に対して支給されるものです。
児童扶養手当は、もともとは、遺族給付が支給されない離婚等による母子家庭の母に対する所得保障として創設されました。
その後、平成22年の改正により、同年8月からは、父子家庭の父も支給対象となりました。
以上、本文は、こちらです。
児童扶養手当法については、平成10年代には、児童手当法と比較する出題も多かったのですが、その後は出題されていません。
ただし、今回、児童扶養手当法において、重要な改正がありますので、以下、ご紹介します。
※ 障害基礎年金等と児童扶養手当との併給の調整の見直し:
従来、ひとり親である障害基礎年金等の受給権者については、障害基礎年金等の額(子の加算額を含めます)が児童扶養手当の額を上回る場合は、児童扶養手当は支給されませんでした。
これは、児童扶養手当は、もともと旧国民年金法における母子福祉年金の補完的な制度であると位置づけられたものであり(前記の通り、児童扶養手当は、遺族給付が支給されない離婚等による母子家庭の母に対する所得保障として創設されました)、公的年金制度と同一の性格を有するものとされていたことから、公的年金との併給が原則として認められていなかったものです。
しかし、従来の制度では、障害基礎年金の額(子の加算額を含む)が必ず児童扶養手当の額を上回っていたため、実際上、障害基礎年金の受給権者について児童扶養手当は支給されませんでした。
そこで、令和3年3月1日施行の児童扶養手当法の改正により、障害基礎年金等の子の加算額と児童扶養手当の額を比較して、子の加算額を超える児童扶養手当の額は支給されることに見直されました。
条文(児童扶養手当法第13条の2第2項及び第3項)では、「児童扶養手当は、受給資格者が障害基礎年金等の給付を受けることができるとき(その全額につきその支給が停止されているときを除く)は、政令で定めるところにより、当該障害基礎年金等の給付(子を有する者に係る加算に係る部分〔=子の加算額です〕に限る)の額に相当する額を支給しない」旨に改められました。
つまり、障害基礎年金等の子の加算額が、児童扶養手当の額を上回る場合は、児童扶養手当は支給されない(逆に、子の加算額の方が少なければ、差額の児童扶養手当の額は支給される)ということです。
なお、「障害基礎年金等」とは、障害基礎年金のほか、旧厚年法の障害年金(障害程度が2級以上のものに限ります)や、労災保険法の障害(補償)等年金及び傷病(補償)等年金などです(実際は、上記の改正は、子の加算額がある障害基礎年金で問題となります)。
B 児童手当法は、児童福祉法に規定する子ども・子育て支援の適切な実施を図るため、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする。
(解説)
本肢は、誤りです。
「児童福祉法」ではなく、「子ども・子育て支援法」が正しいです(第1条)。
本肢は、目的条文です。次のとおりです。
【条文】
第1条(目的) この法律は、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第7条第1項に規定する子ども・子育て支援の適切な実施を図るため、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする。 |
本条は、平成27年度の選択式で出題されています(【選択式 平成27年度 B=「次代の社会を担う児童の健やかな成長に資すること」(こちら)】)。
択一式では、平成20年度に出題があります(【平成20年問8B(こちら)】)。
内容的にはそれほど難しくなく、上記条文の太字部分を少し注意してお読み頂ければイメージは把握できます。
「子ども・子育て支援法」については覚えていませんと解答できませんので、記憶して下さい。第1条について、本文はこちらです。
「子ども・子育て支援法」は平成24年に制定されたものであり(【平成24.8.22法律第65号】)、同法において、子ども・子育て支援給付(①子どものための現金給付、②子どものための教育・保育給付及び③子育てのための施設等利用給付の3種類です。子ども・子育て支援法第8条)の制度が定められています。
このうち、①子どものための現金給付は、児童手当法に規定する児童手当の支給であると位置づけられています(子ども・子育て支援法第9条)。
「子ども・子育て支援法」について、本文はこちら以下です。
C 支給要件児童を監護し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母(当該支給要件児童に係る未成年後見人があるときは、その未成年後見人とする。以下このページにおいて「父母等」という。)であって、日本国内に住所(未成年後見人が法人である場合にあっては、主たる事務所の所在地とする。)を有するものは、児童手当の支給対象となる。
ただし、この場合において、父及び母並びに未成年後見人のうちいずれか2以上の者が当該父及び母の子である児童を監護し、かつ、これと生計を同じくするときは、当該児童は、当該父若しくは母又は未成年後見人のうちいずれか前年の所得の高い者によって監護され、かつ、これと生計を同じくするものとみなす。
(解説)
本肢も、誤りです。
「前年の所得の高い者」ではなく、「当該児童の生計を維持する程度の高い者」が正しいです(第4条第3項)。
(生計維持の有無には、所得も考慮されますが、その他に生計同一の有無(同居しているか)等も考慮されます。)
本肢は、父母等(又は父母指定者)に該当する者が複数ある場合における受給資格者の決定方法に関する出題です(本文は、こちら以下)。
前提として、児童手当が支給されるのは、児童ではなく、受給資格者(大まかには、児童の所定の父母など)です。
この受給資格者には、一般受給資格者と施設等受給資格者があります(第8条第1項)。
一般受給資格者は、児童手当の支給要件に該当する者のうち、第4条第1項第1号から第3号までに係るものをいいます(第7条第1項)。
要するに、一般受給資格者とは、次の施設等受給資格者・以外の受給資格者といえます。
施設等受給資格者は、児童手当の支給要件に該当する者のうち、第4条第1項第4号に係るものをいいます(第7条第2項柱書)。
要するに、施設等受給資格者とは、中学校修了前の児童が入所等をしている障害児入所施設等の設置者等です。
具体的には、受給資格者とは、本文のこちら以下の者ですが、少々複雑であり、全体像はこちらの図の「〔1〕支給要件=受給資格者であること」の箇所も参考にして下さい。
この受給資格者については、過去問でも出題がなく、あまり深追いしなくて良さそうです。
さしあたり、一般受給資格者の代表は「父母」である程度のイメージです(当該児童に未成年後見人があるときは、その未成年後見人が受給資格者となり、この未成年後見人も含め「父母等」といいます)。
本肢は、以上の受給資格者の考え方を基本とした上で、父母等が複数ある場合にどのように受給資格者を決定するかを問うものです。
この点は、次の結論を押さえておきます。
①父母等(前述の通り、未成年後見人を含みます)又は②父母指定者に該当する者が複数ある場合は、児童の生計を維持する程度の高い者が受給資格者と取り扱われます(第4条第2項及び第3項参考)。
(上記の②「父母指定者」とは、例えば、父母が海外に居住している場合に、その父母が、日本国内で児童を養育している者(例:祖父母など)を指定するケースであり、その指定された祖父母等が受給資格者となるということです。)
D 児童手当(施設入所等児童に係る部分を除く。)は、一般受給資格者の前年の所得(1月から5月までの月分の児童手当については、前々年の所得とする。)が、一定の額以上であるときは、その額に応じ全額又は一部の額が支給されない。
(解説)
本肢も、誤りです。
「その額に応じ全額又は一部の額が支給されない」のではなく、「全額が支給されない」が正しいです(第5条第1項)。
本肢は、所得制限に関する問題です(本文は、こちら)。
一般受給資格者に該当する者(「父母等」に該当する未成年後見人であって法人であるものは除きます)については、その前年の所得(1月から5月までの月分の児童手当については、前々年の所得)が政令で定める額以上であるときは、児童手当は支給されません。
【過去問 平成14年問7D(こちら)】
一部が支給されないのではなく、全額が支給されません。
なお、この所得制限により児童手当が支給されない者については、当分の間、「特例給付」として、中学校修了前の児童1人について月額5千円が支給されます。
E 児童手当の支給要件に該当する一般受給資格者は、児童手当の支給を受けようとするときは、その受給資格及び児童手当の額について、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の認定を受けなければならない。
(解答)
本肢も、誤りです。2箇所誤りがあります。
まず、「厚生労働省令」ではなく、「内閣府令」です。また、「厚生労働大臣」ではなく、「市町村長」(特別区の区長を含みます。以下このページにおいて同じです)です(第7条第1項)。
本肢は、認定(受給資格者の認定)に関する問題です(本文は、こちら以下です)。
受給資格者は、児童手当の支給を受けようとするときは、その受給資格及び児童手当の額について、市町村長等の認定を受けなければなりません(第7条)。
具体的には、一般受給資格者の場合は、その受給資格及び児童手当の額について、内閣府令〔=施行規則第1条の4第1項〕で定めるところにより、住所地(一般受給資格者が未成年後見人であり、かつ、法人である場合にあっては、主たる事務所の所在地とします)の市町村長の認定を受けなければなりません(第7条第1項)。
平成29年度の選択式において、「住所地の市町村長(特別区の区長を含む。)」が出題されています(こちら)。
なお、択一式では、【平成14年問7B(こちら)】や【平成20年問8E(こちら)】で出題です。
他方、施設等受給資格者の場合は、その者の類型によって、それぞれ認定者が定められています(第7条第2項。本文は、こちら)。
また、一般受給資格者が公務員の場合は、所属の官庁の長などが認定します(第17条。本文は、こちら)。
国家公務員の特殊なケースについて、平成21年度の選択式で出題されています(裁判官のケース。こちら)。
なお、平成24年の「子ども・子育て支援法」の新設により、児童手当の所管がそれまでの厚生労働省から内閣府に変更されています(従来、厚生労働省令であった児童手当法施行規則は、内閣府令として取り扱われます)。
そこで、本肢の場合も、「内閣府令」となっています。本文は、こちら以下です。
【児童手当法 問2】の解答(設問は、こちら)
A=③55,000円
(解説)
本問は、児童手当の支給額についてです。
支給額は、周期的に選択式で出題されており、直近では平成30年度に出題され(こちら)、その前は平成26年度でした(こちら)。
そう難しい内容が問われているわけではなく、ポイントを押さえれば足ります。
なお、今回は、児童手当法が選択式として出題されるなら、支給額以外の論点になるかもしれません。支給額が択一式で出題された場合に備えておきます。
まず、空欄を埋めて設問を再掲します。
◆20歳、18歳、14歳、12歳、10歳及び2歳の6人の児童を監護し、かつ、この6人の児童と生計を同じくしている日本国内に住所を有する父に支給する児童手当の額は、1か月につき A(55,000円) である。なお、この6人の児童は、施設入所等児童ではなく、かつ、父の所得額は所得制限額未満であるものとする。
児童手当の支給額の計算のポイントは、次のとおりです。
【ポイント】
①カウントの対象となる子(第1子、第2子、第3子・・・とカウントする子)は、「児童」です(第6条第1項第1号ロにおいて、「15歳に達する日以後の最初の3月31日を経過した児童がいる場合」と規定されていること等からです)。
具体的には、国内居住(原則)の18歳の年度末までにある者がカウントされます。
そこで、まず、国内居住(原則)の18歳の年度末までにある者を、年齢の高い順に並べて第1子、第2子、第3子・・・とカウントします。
②「3歳未満の児童」は、1人につき「1万5千円」です。
残りの「3歳以上の児童」については、基本的にはそれぞれ1万円ですが、「第3子以降で+3歳以上小学校修了前の児童」についてはそれぞれ1万5千円となります。
③最後に、「中学校修了後の児童」(15歳の年度末後の児童)については、支給対象とならないためカットします(第6条第1項第1号、第2号)。
④残った金額の合計が支給額となります。
なお、次の表も参考です。
本問は、具体的には、次の表の右側にようになります(左側の表は、上記の表と同じです)。以下、これを具体的に見ます。
(1)支給要件等
念のため、支給要件等からみます。
本問の父は、支給要件児童(中学校修了前の児童等)を監護し、かつ、これと生計を同じくするその父であって、日本国内に住所を有するものですから、児童手当の受給資格者に該当し(第4条第1項第1号。こちら)、所得制限(第5条第1項)も適用されないため、児童手当が支給されます。
本問では、この場合の支給額が論点です。
(2)支給額
支給額については、まず、国内居住(原則)の18歳の年度末までにある者を、年齢の高い順に並べて第1子、第2子、第3子・・・とカウントします。
本問では、「20歳、18歳、14歳、12歳、10歳及び2歳」の子のケースです。
そこで、18歳の年度末までにない者(児童でない者)である「20歳」の子を除外します。
その他の、「①18歳、②14歳、③12歳、④10歳及び⑤2歳」の子について、順に第1子、第2子、第3子、第4子、第5子とカウントします。
次に、本問において、「3歳未満の児童」は、第5子である「2歳」の子であり、この者については「1万5千円」の支給となります。
さらに、「3歳以上の児童」を見ます。
「3歳以上」の児童については、基本的にはそれぞれ1万円ですが、「第3子以降で+3歳以上小学校修了前の児童」についてはそれぞれ1万5千円となります。
本問では、「3歳以上小学校修了前の児童」は、第3子の「12歳」の子と、第4子の「10歳」の子です。この2人について、合計3万円です。
そして、その他の子(第1子である「18歳」の子と、第2子である「14歳」の子)は、一応、1万円ずつです。
最後に、「中学校修了後の児童」(15歳の年度末後の児童)については、支給対象とならないためカットします。そこで、第1子である「18歳」の子はカットです。
以上より、次の支給額となります。
・第5子である「2歳」の子=1万5千円
・第3子である「12歳」の子と、第4子である「10歳」の子=合計3万円
・第2子である「14歳」の子=1万円
よって、合計5万5千円が支給額です。
支給額についての本文は、こちら以下です。
【児童手当法 問3】の解答(設問は、こちら)
A=④施設等受給資格者(第8条第1項)
B=①認定の請求をした日の属する月の翌月から始め、児童手当を支給すべき事由が消滅した日の属する月(第8条第2項)
C=③15日以内(第8条第3項)
(解説)
本問は、支給及び支給期間についての出題です(第8条第1項から第3項まで。本文は、こちら以下です)。
空欄B及びC(後掲)については、平成25年度の択一式(【平成25年問10ウ(こちら)】)で出題されています。
まず、空欄を埋めて設問を再掲します(番号を付記しています)。
◆(1)市町村長は、認定をした一般受給資格者及び A(施設等受給資格者) (以下「受給資格者」という。)に対し、児童手当を支給する(ただし、公務員である一般受給資格者は除く。)。
(2)児童手当の支給は、受給資格者が B(認定の請求をした日の属する月の翌月から始め、児童手当を支給すべき事由が消滅した日の属する月) で終わる。
(3)受給資格者が住所を変更した場合又は災害その他やむを得ない理由により認定の請求をすることができなかった場合において、住所を変更した後又はやむを得ない理由がやんだ後 C(15日以内) にその請求をしたときは、児童手当の支給は、受給資格者が住所を変更した日又はやむを得ない理由により当該認定の請求をすることができなくなった日の属する月の翌月から始める。
1 空欄のA:
まず、空欄のAは、「受給資格者」の内容についてです。
受給資格者とは、児童手当が支給される者であり、一般受給資格者と施設等受給資格者〔=空欄のB〕があります(第8条第1項)。
施設等受給資格者とは、15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある施設入所等児童(以下、「中学校修了前の施設入所等児童」ということがあります)が委託されている小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親又は中学校修了前の施設入所等児童が入所等をしている障害児入所施設等の設置者のことです(第4条第1項第4号)。
正確には、本文のこちら以下で説明していますが、過去、出題例もなく、施設等の設置者等といった大まかなイメージで足りそうです。上記の赤字の数字部分には注意です。
なお、本肢の文末(こちら)において、「公務員である一般受給資格者は除く」とあるのは、公務員である一般受給資格者の認定者は、その所属する官庁の長など所定の者となるためです(第17条。本文は、こちらです)。
2 空欄のB及びC:
空欄のB及びCは、支給期間の問題です。
(1)原則
児童手当の支給期間は、原則として、認定請求日の属する月の翌月から、支給事由の消滅日の属する月までです(第8条第2項)。
公的年金制度(国民年金、厚生年金保険)の給付の支給期間については、支給事由発生月(受給権発生月)の翌月から、権利消滅月(受給権消滅月)までですが、上記の児童手当の場合は、「受給権発生月」が「認定請求月」に変わるだけです。
(2)例外
上記の例外があり、空欄のCの部分です。
即ち、受給資格者が、①住所を変更した場合、又は②災害その他やむを得ない理由により認定の請求をすることができなかった場合において、住所を変更した後又はやむを得ない理由がやんだ後15日以内にその請求をしたときは、児童手当の支給は、受給資格者が住所を変更した日又はやむを得ない理由により当該認定の請求をすることができなくなった日の属する月の翌月から始めます(第8条第3項)。
要するに、原則の「認定請求月の翌月」からの支給とならない例外であり、「①住所変更日」又は「②やむを得ない理由により認定請求できなくなった日」の「翌月から」の支給となるものです。
①の住所変更のケースは、市町村の区域外に住所を変更した場合は、本来は、住所変更月までで支給が終わり、変更先の住所の市町村で新たに認定をし直さなくてはならず、この認定月の翌月から支給が再開されるところ、受給資格者の保護の見地から、この例外として、住所変更後15日以内に認定請求をした場合は、住所変更の翌月から支給が行われるというものです。
なお、支払期月(児童手当は、原則として、毎年2月、6月及び10月の3期に、それぞれの前月までの分を支払います。第8条第4項本文)については、平成29年度の選択式で出題されているほか(【選択式 平成29年度 E=「2月、6月及び10月の3期」。こちら】)、前回の令和2年度の択一式でも出題されており(【令和2年問8B(こちら)】)、今回は別の箇所が出題されそうです。
【児童手当法 問4】の解答(設問は、こちら)
正しい肢は、Dです。
本問は、当サイトが「児童手当の支給の変更」として整理している箇所(こちら以下)からの出題です。
以下、肢ごとに見ます。
A 児童手当の支給を受けている者につき、児童手当の額が減額することとなるに至った場合における児童手当の額の改定は、その事由が生じた日の属する月から行う。
(解説)
本肢は、誤りです。
「その事由が生じた日の属する月から行う」ではなく、「その事由が生じた日の属する月の翌月から行う」が正しいです(第9条第3項)。
本肢は、児童手当の減額改定の問題です(本文は、こちら)。
増額改定については、前回の【令和2年問8C(こちら)】で出題されました。
増額改定の場合は、原則として、改定後の額について認定の請求をした日の属する月の翌月から行われます(第9条第1項)。
公的年金制度(国民年金、厚生年金保険)の給付の額の改定については、一般に、額の改定事由の発生月の翌月から行われますが、上記の児童手当の場合は、「改定事由発生月」が「認定請求月」に変わります。
対して、減額改定の場合は、認定の請求は不要であり、減額改定事由発生月の翌月から当然に改定されます。
(支給する側から見れば、支給額の増額の場合は、受給資格者からの(増額の認定)請求がなければ把握できません。他方、支給額の減額の場合は、 所定の減額改定事由が発生すれば当然に減額されるものであり、受給資格者からの請求などを問題とすることは不合理となります。)
B 児童手当は、受給資格者が、正当な理由がなくて、児童手当法第27条第1項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかったときは、その額の全部を支給しない。
また、児童手当の支給を受けている者が、正当な理由がなくて、第26条の規定による届出をせず、又は同条の規定による書類を提出しないときは、児童手当の支払を一時差しとめることができる。
(解説)
本肢は、誤りです。
本肢の前段について、「その額の全部を支給しない」(「全部」の「絶対的」支給制限)とあるのが誤りです。
正しくは、「その額の全部又は一部を支給しないことができる」です(第10条)。
即ち、「全部又は一部」の「相対的」な支給制限となります。
詳しくは、次のとおりです(本文は、こちら以下)。
(1)支給制限
◆児童手当は、受給資格者が、正当な理由がなくて、第27条第1項の規定による命令〔=市町村長による受給資格者に対する、受給資格の有無、児童手当の額及び被用者又は被用者等でない者の区分に係る事項に関する書類を提出すべきことの命令。こちら〕に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかったときは、その額の全部又は一部を支給しないことができます(第10条)。
(2)一時差止め
◆児童手当の支給を受けている者が、正当な理由がなくて、第26条の規定による届出をせず、又は同条の規定による書類を提出しないときは、児童手当の支払を一時差し止めることができます(第11条)。
C 児童手当を支給すべきでないにもかかわらず、児童手当の支給としての支払が行なわれたときは、その支払われた児童手当は、その後に支払うべき児童手当に充当される。児童手当の額を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた日の属する月の翌月以降の分として減額しない額の児童手当が支払われた場合における当該児童手当の当該減額すべきであつた部分についても、同様とする。
(解説)
本肢も、誤りです。
本肢の前段について、児童手当「に充当される」ではなく、児童手当「の内払とみなすことができる」が正しいです(第13条前段)。本文は、こちら以下です。
本肢は、支払の調整(内払)についての問題です。
本肢の場合は、受給資格者の死亡後に過誤払がなされた場合ではないため、「充当」ではありません。
また、内払のうち、同一給付間のケースとなるため、内払は強制(内払とみなされる)ではなく、任意(内払とみなすことができる)です(国年法のこちら以下を参考です)。
【過去問 平成25年問10オ(こちら)】で正しい内容が出題されています。
D 偽りその他不正の手段により児童手当の支給を受けた者があるときは、市町村長は、地方税の滞納処分の例により、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
この徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
(解説)
本肢は、正しいです(第14条)。不正利得の徴収に関する問題です。本文は、こちらです。
本肢の前段については、「地方税の滞納処分の例」とあるのは、一応注意です(他法では「国税徴収の例」となることが多いです。例えば、国民年金法における不正利得の徴収のこちら以下(国年法のパスワード))。
また、本肢の後段の先取特権の順位(国税及び地方税に次ぐ第3順位となること)は、他法と基本的に同じです。
なお、以上の偽りその他不正の手段により児童手当の支給を受けた者については、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(刑法に正条があるときは、刑法によります。第31条。こちら)。
この罰則については、直近の【令和2年問8E(こちら)】で出題されています。
児童手当法における唯一の罰則ですので、一応、引き続き注意です。
E 児童手当の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、児童手当の支給を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合及び当該権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
(解説)
本肢は、誤りです。ただし書をカットすると、正しい内容となります。
即ち、児童手当の支給を受ける権利の①譲渡禁止、②担保供与禁止、及び③差押え禁止については、絶対的であり、例外はありません(第15条。本文はこちら以下)。
また、公課の禁止についても、例外はありません。
即ち、租税その他の公課は、児童手当として支給を受けた金銭を標準として、課することができません(第16条)。
児童手当の支給を受ける権利は、受給資格者(父母等)が有しますが、当該権利の目的は児童の家庭の生活の安定による児童の保護(福祉の増進)にある以上、父母等が当該権利を譲渡すること等は認められないことになります。
【児童手当法 問5】の解答(設問は、こちら)
A=④被用者(第18条第1項)
B=②拠出金(同上)
C=④都道府県及び市町村がそれぞれ(同上、第18条第2項)
(解説)
本問は、児童手当に関する費用負担のうち給付費の問題です。本文は、こちら以下です。
まず、空欄を埋めて設問を再掲します(番号を付しています)。
◆(1)A(被用者) (一般事業主が保険料を負担し、又は納付する義務を負う被保険者であって公務員でない者をいう。以下同じ。)に対する児童手当の支給に要する費用(3歳に満たない児童(月の初日に生まれた児童については、出生の日から3年を経過しない児童とする。)に係る児童手当の額に係る部分に限る。)は、その15分の7に相当する額を B(拠出金) をもって充て、その45分の16に相当する額を国庫が負担し、その45分の4に相当する額を C(都道府県及び市町村がそれぞれ) 負担する。
(2) A(被用者) に対する児童手当の支給に要する費用(3歳以上の児童(月の初日に生まれた児童については、出生の日から3年を経過した児童とする。)であって15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者(「3歳以上中学校修了前の児童」という。)に係る児童手当の額に係る部分に限る。)は、その3分の2に相当する額を国庫が負担し、その6分の1に相当する額を C(都道府県及び市町村がそれぞれ) 負担する。
以上の赤字の数字の部分が空欄とされると、かなり厳しいです。
ただ、この給付費の数字の問題は、次の表を暗記しているかどうかの問題です。
1 数字:
本問の(1)(こちら)は、上記の表の「被用者」の欄の最上段の「3歳未満の児童に係る児童手当」のケースです。
「①一般事業主:②国:③都道府県:④市町村」のそれぞれの負担が、「①15分の7(45分の21):②45分の16:③45分の4:④45分の4」となるということです。
本問の(2)(こちら)は、上記の表の「被用者」の欄の2番目の「3歳以上中学校修了前の児童に係る児童手当」のケースです。
この場合は、一般事業主の負担はありません。
「①国:②都道府県:③市町村」のそれぞれの負担が、「①3分の2(6分の4):②6分の1:③6分の1」となります。
以上の(1)と(2)のいずれの場合も、「①国:②都道府県:③市町村」の負担は、「4:1:1」の割合です。
また、(2)(こちら)の「①国:②都道府県:③市町村」のそれぞれの負担が、「①3分の2(6分の4):②6分の1:③6分の1」であるパターンは、前掲の表(こちら)の「被用者等でない者(例:自営業者等)」におけるそれらの費用負担の場合も同じです。
以上の数字関係は、次のゴロでも使用して覚えておきます。
最近は、平成25年の択一式で、(【平成25年問10エ(こちら)】)、公務員に対する児童手当の支給に要する費用が問われました。平成10年代の後半は、結構、費用に関する出題が多かったです。ただし、選択式としては、出題されていません。
※【ゴロ合わせ】
・「児童の仕事を、フォロー、しろ・しろ」
(児童が行う仕事は、大人がフォローしなければなりません。)
前掲の表(こちら)の被用者に対する「3歳未満の児童に係る児童手当」の欄の数字を覚えます。
➡「じどう(=一般事業主の負担の15分の7を45分の21にして、分子の「21」を児童と読みます)の、仕事(=上記の「45」)を、フォロー(=国の負担の分子の「16」、しろ(=都道府県の負担の分子の「4」・しろ(=市町村の負担の分子の「4」」
また、「被用者に対する3歳未満の児童に係る児童手当」以外の児童手当のケースについては、前記のゴロ合わせの最後の「しろ」から4と6を想像し、国については、6分の4と導きます。都道府県と市町村については、「国:都道府県:市町村=4:1:1」の関係であることを覚えておき、ここからいずれも「6分の1」であることを導きます。
2 空欄について:
本問の空欄は、以上の数字関係ではない箇所を出題しています。
空欄のA(こちら)は、以上の説明の通り、「被用者」です。
具体的には、厚生年金保険の被保険者であって、公務員でない者です。
つまり、被用者(厚生年金保険の被保険者であって、公務員でない者)の事業主(一般事業主といいます)は、児童手当について、「拠出金」〔=空欄のB〕を拠出することによってその費用を負担しなければなりません(具体的には、毎月の厚生年金保険の保険料の納入告知書に拠出金の額が併記され、一般事業主は、厚生年金保険の保険料と当該拠出金を同時に納付します)。
この拠出金についての詳細は、「子ども・子育て支援法」において規定されています。
概要は、次のとおりです(本文は、こちら)。
(1)政府は、児童手当の支給に要する費用(被用者に対する3歳に満たない児童に係る児童手当の支給に要する費用等)に充てるため、一般事業主から、拠出金を徴収します(子ども・子育て支援法第69条第1項)。
一般事業主は、拠出金を納付する義務を負います(子ども・子育て支援法第69条第2項)。【過去問 平成19年問10A(こちら)】
(2)拠出金の額は、厚生年金保険法に基づく保険料の計算の基礎となる標準報酬月額及び標準賞与額(育児休業等期間中又は産前産後休業期間中の保険料を免除されている被用者に係るものを除きます。「賦課標準」といいます)に拠出金率を乗じて得た額の総額とします(子ども・子育て支援法第70条第1項)。
この拠出金率は、おおむね5年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならないものとされ、1,000分の4.5以内において、政令で定められます(同法第70条第1項)。
令和3年度(令和3年4月分から)の拠出金率は、1,000分の3.6であり、前年度と同じです。
【児童手当法 問6】の解答(設問は、こちら)
正しい肢は、Eです。
以下、肢ごとに見ます。
A 児童手当の支給を受ける権利及び第14条第1項〔=不正利得の徴収。こちら〕の規定による徴収金を徴収する権利は、これらを行使することができる時から3年を経過したときは、時効によって消滅する。
(解説)
本肢は、誤りです。「3年」ではなく、「2年」が正しいです(第23条第1項)。本文は、こちらです。
【過去問 平成17年問6C(こちら)】で同様の出題があります。選択式にも出題しやすい箇所です。
児童手当の支給を受ける権利の消滅時効期間が「2年」である点は、他法における原則的な消滅時効期間と同じです(労基法のこちら(労基法のパスワード)の表を参考です)。
B 児童手当の支給を受けている一般受給資格者(個人である場合に限り、公務員を除く。)は、内閣府令で定めるところにより、市町村長に対し、前年の所得の状況及びその年の9月1日における被用者又は被用者等でない者の別を届け出なければならない。
(解説)
本肢も、誤りです。「9月1日」ではなく、「6月1日」が正しいです(第26条第1項)。
【過去問 平成25年問10イ(こちら)】では、「7月1日」という誤りの内容が出題されています。
本肢は、いわゆる現況届の問題です。
児童手当の支給を受けている一般受給資格者(個人である場合に限ります)は、内閣府令で定めるところにより、市町村長に対し、前年の所得の状況及びその年の6月1日における被用者又は被用者等でない者の別を届け出なければなりません(第26条第1項)。
具体的には、一般受給者〔=「一般受給資格者(こちら)として児童手当の支給を受けている者」をいいます。施行規則第2条第1項で定義〕は、毎年6月1日から同月30日までの間に、その年の6月1日における状況を記載した様式第6号〔=「児童手当・特例給付 現況届」〕による届書を市町村長に提出しなければなりません(施行規則第4条第1項)。
なお、届出については、本文のこちら以下で触れています。
要所を押さえれば足り、次のように、届出の期限と届出先を記憶しておきます。
(1)届出の期限
①現況の届出は、前記の通り、「毎年6月1日から同月30日まで」が届出の期限です(毎年6月)。(第26条、施行規則第4条)。
②氏名変更等の届出(施行規則第5条)と③住所変更等の届出(施行規則第6条)については、「14日以内」です。
国民年金法や国民健康保険法における原則の届出の期限と同様です。
④受給事由消滅の届出(施行規則第7条)と⑤減額改定事由該当の届出(施行規則第3条)については、「速やかに」です。
(2)届出先
届出先は、一般受給資格者(こちら)として児童手当の支給を受けている者(「一般受給者」といいます。施行規則第2条第1項)については、市町村長です。
また、施設等受給資格者(こちら)として児童手当の支給を受けている者(「施設等受給者」といいます。施行規則第2条第3項)についても、同様に市町村長です。
他方、公務員である一般受給資格者については、児童手当「法第17条第1項〔=公務員に関する特例〕の規定によって読み替えられる法第7条第1項の認定をする者」であり(施行規則第12条第1項)、大まかには、国家公務員の所属する各省各庁の長、又は地方公務員の所属する都道府県若しくは市町村の長などです。つまり、所属の長などです(正確には、こちらです)。
C 一般受給者(公務員を除く。)は、氏名(法人にあっては、その名称)を変更したとき、又は支給要件児童のうちに氏名を変更した児童があるときは、速やかに、様式第8号による届書を市町村長に提出しなければならない。
(解説)
本肢も、誤りです。
「速やかに」ではなく、「14日以内に」が正しいです(施行規則第5条第1項。本文は、こちら)。
前記のこちらの②の通り、氏名変更等の届出(施行規則第5条)と住所変更等の届出(施行規則第6条)については、「14日以内」の届出の期限です。
D 一般受給者は、児童手当の支給を受けるべき事由が消滅したときは、速やかに、様式第10号による届書を市町村長に提出しなければならない。ただし、引き続き法附則第2条第1項(特例給付)の給付の支給を受けることとなるときに限り、当該届書を提出する必要はない。
(解説)
本肢も、誤りです。
「引き続き法附則第2条第1項(特例給付)の給付の支給を受けることとなるときに限り、当該届書を提出する必要はない」のではありません。
その他に、「一般受給者に係る支給要件児童のうち小学校修了後中学校修了前の児童が15歳に達する日以後の最初の3月31日を経過したことにより、児童手当の支給を受けるべき事由が消滅したとき」も、本肢の届出(「受給事由消滅の届出」といいます)の必要はありません(施行規則第7条第1項)。
これらの場合は年齢要件等であるため、市町村等の実施者が支給事由の消滅を把握できることから、「受給事由消滅の届出」の提出は不要です(他法でも、「年齢要件等の場合に届出は不要」という例はしばしば見られます)。
本文は、こちらです。
E 市町村長は、必要があると認めるときは、受給資格者に対して、受給資格の有無、児童手当の額及び被用者又は被用者等でない者の区分に係る事項に関する書類を提出すべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの事項に関し受給資格者その他の関係者に質問させることができる。
(解説)
本問は、他のAからDの肢を見極めることによって、消去法的にこの肢Eが正しい内容であることを導く想定となっています。この肢Eを正確に記憶している必要はないでしょう(過去、出題もありません)。
ただし、受給資格者が、正当な理由がなくて、この本肢の第27条第1項の規定による命令に従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に応じなかったときは、その額の全部又は一部を支給しないことができる(第10条)ことには注意です。
つまり、本条違反については支給制限の対象となります(支給制限は【問4B(こちら)】で見ました)。
以上で、児童手当法の直前対策講座を終了します。次のページからは、労働一般です。