【平成28年度版】

 

労働者派遣法(平成28年度版 直前対策講座)

直前対策講座の第2回目は、労働一般の労働者派遣法です。

ここでは、主として平成27年改正(原則、平成27年9月30日施行)における重要事項について問題練習をします。

まず選択式を4問、次いで択一式を1肢ずつ合計14肢出題します。

 

従来、労働一般における派遣法の出題は少ないです(ただし、他法における派遣法関連の出題は頻出です)。また、労働一般の選択式は、労働経済(白書関係)が出題対象となることが多いです。

ただ、今回は、派遣法の大きな改正が行われていますので、改正事項については注意しておくこととします。

 

以下、内容的には少々ボリュームがありますが(難しい問題が少なくないです)、すきま時間等を利用して、気軽にチェックして下さい。

正解できたかどうかよりも、この問題練習を通じて、改正事項に関する最終的な知識の確認の手がかりにして下さい(なお、問題・解答が一部重複する場合がありますので、ご了承下さい)。

 

リンク先が派遣法(「本文」と表記することがあります)の場合は、労働一般のパスワードをご使用下さい。

 

 

〔1〕選択式

【問1】

 

次の文中の    の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。 

 

労働者派遣の役務の提供を受ける者(国等の機関を除く。)が派遣法の規定に違反する一定の行為を行った場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る  労働契約の申込みをしたものとみなす。

ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、その行った行為が当該派遣法の規定に違反する一定の行為に該当すること  は、この限りでない。

 

選択肢

➀労働契約と同様の労働条件を内容とする

②労働契約と同一の労働条件を内容とする

②労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件に係る

③業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度を考慮して合理的と認められる

④労働条件と同様の労働条件を内容とする

⑤労働条件と同一の労働条件を内容とする

⑥有期労働契約の内容である労働条件と同日の労働条件の

⑦を知っていたとき

⑧について、過失がなかったことを証明したとき

⑨について、責めに帰すべき事由がないとき

⑧を知らず、かつ、知らなかったことにつき重大な過失がなかったとき

⑨について過失がなかったとき

⑩について善意であって、かつ、過失があるとき

⑪を知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がなかったとき

⑫について、反対の事実を証明したとき

 

※ 解答はこちら

 

 

【問2】

 

次の文中の    の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。 

 

労働者派遣の役務の提供を受ける者(以下、本問において「派遣先」という。)は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間〔派遣可能期間は、年とする〕を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。ただし、当該労働者派遣が次の1から5のいずれかに該当するものであるときは、この限りでない。

 

1 に係る労働者派遣

 

2 雇用の機会の確保が特に困難である派遣労働者であってその雇用の継続等を図る必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める者〔歳以上の者であること〕に係る労働者派遣

 

3 次のイ又はロに該当する業務に係る労働者派遣

イ 事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって一定の期間内に完了することが予定されているもの

ロ その業務が1箇月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の1箇月間の所定労働日数に比し相当程度少なく〔半分以下であること〕、かつ、厚生労働大臣の定める日数〔日〕以下である業務

 

4 当該派遣先に雇用される労働者がの規定により休業し、並びに育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業をする場合における当該労働者の業務その他これに準ずる場合として厚生労働省令で定める場合における当該労働者の業務に係る労働者派遣

 

5 当該派遣先に雇用される労働者が育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第2号に規定する介護休業をし、及びこれに準ずる休業として厚生労働省令で定める休業をする場合における当該労働者の業務に係る労働者派遣

 

 

選択肢

➀2 ②3 ③4 ④5 ⑤同一の組織単位に継続して3年間派遣される見込みがある者  ⑥有期契約労働者 ⑦有期労働契約を1回以上更新した労働者 ⑧無期雇用派遣労働者 ⑨派遣元事業主に雇入れられた日から起算して1年を超えて継続雇用されている派遣労働者 ⑩65 ⑪60 ⑫59 ⑬55 ⑭3 ⑮5 ⑯10 ⑰育児休業を定める就業規則 ⑱労働基準法第39条〔年次有給休暇〕 ⑲労働基準法第65条第1項及び第2項〔産前産後休業〕 ⑳育児休業を定める労働協約

 

※  解答はこちら

 

 

【問3】

 

次の文中の    の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。 

 

派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における について、 を超える期間継続して に係る労働者派遣(第40条の2第1項各号(事業所単位の期間制限の適用除外)のいずれかに該当するものを除く。)を行ってはならない。

 

 

選択肢

➀同一業務 ②同一の配置の区分 ③組織単位ごとの業務 ④同一の管理に係る業務 ⑤1年 ⑥2年 ⑦3年 ⑧5年 ⑨有期雇用派遣労働者 ⑩同一の派遣労働者 ⑪同一の無期雇用派遣労働者 ⑫新たな労働者派遣契約

 

 

※  解答はこちら 

 

 

【問4】

 

次の文中の    の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。 

 

厚生労働大臣は、労働者派遣事業に係る労働者派遣法の規定の運用に当たっては、その能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行並びに派遣就業はとの考え方を考慮するとともに、労働者派遣事業によるが職業安定法に定める他のに関する制度に基づくものとの調和の下に行われるように配慮しなければならない。

 

 

選択肢

➀労働者の段階的かつ体系的な ②労働者の職業生活の設計における ③労働者の職業生活の全期間にわたる ④労働者のキャリアアップのため ⑤例外的かつ一時的なものである ⑥一時的かつ暫定的なものであるべき ⑦原則として一時的なものとすべき ⑧臨時的かつ一時的なものであることを原則とする ⑨労働者の雇用の安定に係る措置 ⑩労働力の需給の均衡の確保 ⑪職業の安定 ⑫労働力の需給の調整

 

 

※  解答はこちら

 

 

次に、択一式の出題です。

 

 

〔2〕択一式

1肢ずつ出題します。

 

〈1〉労働契約申込みみなし制度について

 

【問1】

労働者派遣の役務の提供を受ける者(国等の機関を除く。以下、このページの設問において同じ。)が、第42条の規定に違反して、派遣先管理台帳を作成し、所定の事項を記載しなかった場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされる(ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、第40条の6第1項ただし書に該当するときは除く。)。

 

※ 解答はこちら

  

 

【問2】

労働者派遣の役務の提供を受ける者が、労働者派遣法又は同法第3章第4節(労働基準法等の適用に関する特例等)の規定により適用される法律の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含む。)に違反して、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第26条第1項各号に掲げる事項(派遣契約締結の際に定める事項)を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けた場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされる(ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、第40条の6第1項ただし書に該当するときは除く。)。

 

※ 解答はこちら 

 

 

【問3】

労働者派遣の役務の提供を受ける者が、第40条の2(事業所単位の期間制限)の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けた場合は、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす。

ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、その行った行為が当該規定に違反することを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がなかったときは、この限りでない。

 

※ 解答はこちら 

 

 

 

【問4】

第40条の6第1項(労働契約申込みみなし制度)の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者は、当該労働契約の申込みに係る同項に規定する行為が終了した日から6月を経過する日までの間は、当該申込みを撤回することができない。

 

※ 解答はこちら 

 

 

【問5】

厚生労働大臣は、第40条の6第1項(労働契約申込みなし制度)の規定により申し込まれたものとみなされた労働契約に係る派遣労働者が当該申込みを承諾した場合において、当該労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者が当該派遣労働者を就労させない場合には、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、当該派遣労働者の就労に関し必要な助言、指導又は勧告をすることができる。 

厚生労働大臣が当該派遣労働者を就労させるべき旨の勧告をした場合において、その勧告を受けた第40条の6第1項の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者がこれに従わなかったときは、個別労働紛争解決促進法の規定による紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。

 

※ 解答はこちら 

 

 

 

〈2〉事業所単位の期間制限及び個人単位の期間制限について

 

【問6】

派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から2年を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。

 

※ 解答はこちら 

 

 

【問7】

派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。

 

※ 解答はこちら 

 

 

【問8】

いわゆる事業所単位の期間制限により、派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。

ただし、事業所単位の期間制限にはいくつか例外が定められており、例えば、その業務が1箇月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の1箇月間の所定労働日数の4分の3以下であり、かつ、10日以下である業務に係る労働者派遣は、事業所単位の期間制限が適用されない。

 

※ 解答はこちら 

 

 

【問9】

派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して労働者派遣(第40条の2第1項各号のいずれかに該当するものを除く。以下この設問において同じ。)の役務の提供を受けようとするときは、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務に係る労働者派遣の役務の提供が開始された日(派遣可能期間を延長した場合にあっては、当該延長前の派遣可能期間が経過した日)以後当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について第1項の規定に抵触することとなる最初の日の3月前の日までの間(「意見聴取期間」という。)に、厚生労働省令で定めるところにより、3年を限り、派遣可能期間を延長することができる。当該延長に係る期間が経過した場合において、これを更に延長しようとするときも、同様とする。

 

※ 解答はこちら  

 

 

【問10】

派遣先は、派遣可能期間を延長しようとするときは、意見聴取期間に、厚生労働省令で定めるところにより、過半数労働組合等(当該派遣先の事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者をいう。)の意見を聴かなければならない。

派遣先は、当該意見を聴かれた過半数労働組合等が異議を述べたときは、当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに、当該過半数労働組合等に対し、派遣可能期間の延長の理由その他の厚生労働省令で定める事項について同意を得なければならない。

 

※ 解答はこちら 

 

 

【問11】

派遣先は、第40条の2第3項(事業所単位の期間制限に係る派遣可能期間の延長)の規定により派遣可能期間が延長された場合において、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して労働者派遣(同条第1項各号(事業所単位の期間制限の適用除外)のいずれかに該当するものを除く。)の役務の提供を受けてはならない。

 

※ 解答はこちら  

 

 

【問12】

派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣を行ってはならない。

 

※ 解答はこちら   

 

 

〈3〉特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等のための措置について 

 

【問13】

派遣元事業主は、その雇用する有期雇用派遣労働者(期間を定めて雇用される派遣労働者をいう。以下同じ。)であって派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して1年以上の期間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがあるものとして厚生労働省令で定めるもの(以下「特定有期雇用派遣労働者」という。)その他雇用の安定を図る必要性が高いと認められる者として厚生労働省令で定めるもの又は派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者であって雇用の安定を図る必要性が高いと認められるものとして厚生労働省令で定めるもの(以下「特定有期雇用派遣労働者等」という。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、次の➀から④のいずれかの措置を講じなければならない。

 

➀ 派遣先に対し、特定有期雇用派遣労働者に対して労働契約の申込みをすることを求めること。 

② 派遣労働者として就業させることができるように就業(その条件が、特定有期雇用派遣労働者等の能力、経験その他厚生労働省令で定める事項に照らして合理的なものに限る。)の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等に提供すること。

③ 派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用することができるように雇用の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等に提供すること。

④ 前記➀から③に掲げるもののほか、特定有期雇用派遣労働者等を対象とした教育訓練であって雇用の安定に特に資すると認められるものとして厚生労働省令で定めるものその他の雇用の安定を図るために必要な措置として厚生労働省令で定めるものを講ずること。

 

※ 解答はこちら   

 

 

【問14】

派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの同一の業務について派遣元事業主から継続して1年以上の期間同一の特定有期雇用派遣労働者に係る労働者派遣(第40条の2第1項各号〔=事業所単位の期間制限の適用除外〕のいずれかに該当するものを除く。)の役務の提供を受けた場合において、引き続き当該同一の業務に労働者を従事させるため、当該労働者派遣の役務の提供を受けた期間(以下本問において「派遣実施期間」という。)が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときは、当該同一の業務に派遣実施期間継続して従事した特定有期雇用派遣労働者(継続して就業することを希望する者として厚生労働省令で定めるものに限る。)を、遅滞なく、雇い入れるように努めなければならない。

 

※ 解答はこちら   

 

 

〈4〉その他の改正事項について 

 

【問15】

派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者から求めがあったときは、第30条の3(均衡を考慮した待遇の確保)の規定により配慮すべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該派遣労働者に説明するように配慮しなければならない。

 

※ 解答はこちら   

 

 

以上で、択一式の出題は終了です。以下、解答です。

 

 

 

  

選択式の解答

 

選択式【問1】解答(設問はこちら

 

A=⑤「労働条件と同一の労働条件を内容とする」

 

B=⑪「を知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がなかったとき」

 

 

・解説:

設問は、「労働契約の申込みをしたものとみなす」とありますから、いわゆる「労働契約申込みみなし制度」(第40条の6)の問題とわかります。

労働契約申込みみなし制度は、平成24年の派遣法の改正により新設されましたが、施行は平成27年10月1日からですので、今回の試験から出題対象となります。

重要な改正であり、少なくとも択一式では出題対象になりえ、充分チェックしておく必要があります。

 

設問の内容自体は、通常の学習をしていれば、ある程度は予想がつきます。

しかし、内容を正確に理解・記憶をしていないと、選択肢を読んでいるうちに、いずれが正しいのかわからなくなりかねません。これが選択式の嫌なところです。

これから最終的にテキストをチェックすることがあると思いますが、選択式の素材となりそうなキーワードに敏感になっておく必要があります。

 

 

以下、労働契約申込みみなし制度の概要を説明します。

 

1 意義、趣旨

労働契約申込みみなし制度(以下、「みなし制度」といいます)とは、労働者派遣の役務の提供を受ける者(以下、「派遣先」といいます)が違法に派遣労働者を受け入れた一定の場合(一定の違法派遣の場合)に、当該違法行為を行った時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申込み(直接雇用の申込み)をしたものとみなされる制度です。

 

即ち、違法に派遣労働者を受け入れた派遣先(善意無過失の場合を除きます)に帰責性が認められることから、労働契約の申込みのみなしという民事的な制裁を科し、派遣労働者の希望を踏まえつつ(派遣労働者は、みなし申込みに対して承諾をして派遣先との間に労働契約を成立させるかどうかを選択できます)、その雇用の安定を図ることによって、派遣法の規制の実効性を確保させようとする趣旨です。

契約は当事者間の合意に基づいて成立するという契約自由の原則(私的自治の原則)に対する例外となる制度です。

 

※ なお、近時の改正において、「契約自由の原則の例外」となるものとして、労働契約法のいわゆる「無期転換ルール」もあります(平成24年の改正により新設。平成25年4月1日施行)。

即ち、「無期転換ルール」(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換。労契法第18条。労基法のこちら)も、契約自由の原則の例外となる制度であるという点では、本件のみなし制度と共通性があるものです。

無期転換ルールの場合は、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合に、有期契約労働者の申込により、使用者は当該申込を「承諾したものとみなされる」ことによって、無期労働契約に転換されます。

「労働契約申込みみなし制度」の場合は、文字通り、(派遣先が)「申込みをしたものとみなされる」であり、「無期転換ルール」の場合は、(使用者が)「承諾したものとみなされる」ものです。

 

以下、本件の「みなし制度」に戻り、要件と効果を整理しておきます。

 

 

2 要件

◆「みなし制度」が適用されるためには、次の(1)に該当することが必要です。ただし、(2)に該当するときは、「みなし制度」は適用されません(第40条の6第1項)。

 

(1)労働者派遣の役務の提供を受ける者派遣先)が、下記の(ⅰ)~(ⅳ)のいずれかに該当する行為(以下、「違法行為」ということがあります)を行った場合であること

 

(2)派遣先が、その行った行為が次の(ⅰ)~(ⅳ)のいずれかの行為に該当することを知らずかつ知らなかったことにつき過失がなかったとき(は、本規定は適用されません)

 

即ち、派遣先が所定の違法行為に該当することについて、善意かつ無過失である場合には適用されないということです(悪意か、又は有過失の場合に適用されます。なお、法律用語としての善意とは、ある事実を知らないことを意味します。善意の反対が悪意(ある事実を知っていること)です)。

 

(ⅰ)派遣労働者を派遣禁止業務に従事させること(第40条の6第1項第1号)

 

(ⅱ)派遣元事業主以外の事業主無許可事業主)から労働者派遣の役務の提供を受けること(同条同項第2号)

 

(ⅲ)事業所単位の期間制限又は個人単位の期間制限(派遣可能期間の延長後の個人単位の期間)に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること(同条同項第3号及び第4号)

 

(ⅳ)派遣法等の規定適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、労働者派遣契約の締結の際に定めるべき事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けること(同条同項第5号)=いわゆる偽装請負等の場合です

 

 

※ 設問のBは、上記の(2)について出題したものです。

 

 

3 効果

みなし制度の効果は、次の通りです。

 

◆派遣先が、上記の「みなし制度」の適用対象となる違法行為((ⅰ)~(ⅳ))を行った場合(善意無過失の場合を除きます)には、当該派遣先から当該派遣労働者に対して、当該違法行為の時点における労働条件同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みしたものとみなされ当該派遣労働者当該行為が終了した日から1年を経過する日までに承諾することにより、当該派遣先と派遣労働者との間に当該内容の労働契約が成立します。

 

派遣先と直接雇用の関係を形成するかどうかについての派遣労働者の意思を尊重すると共に、申込みと承諾により契約(労働契約)が成立するという契約成立の原則的ルールを重視して、直ちに労働契約が成立するとはせずに、派遣労働者の承諾の意思表示をもって労働契約を成立させることとしたものです。

 

設問のAは、この効果についての出題です。

その他の細かい知識については、のちの択一式の練習問題によりチェックをして下さい。

 

ここでは、条文を掲載しておきますので、熟読しておいて下さい(第1項の最初に出てくるかっこ書(国等の機関について触れている部分)は、カットして読むと、読みやすいです。次の条文では、便宜上、かっこ書が終わる個所で改行しています)。

(ちなみに、派遣先が国又は地方公共団体の機関である場合については、第40条の7において規定されているため、この第40条の6のかっこ書では除外されています。)

 

 

【条文】

第40条の6

1.労働者派遣の役務の提供を受ける者(国(行政執行法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第4項に規定する行政執行法人をいう。)を含む。次条において同じ。)及び地方公共団体(特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第2項に規定する特定地方独立行政法人をいう。)を含む。次条において同じ。)の機関を除く。以下この条において同じ。〔=国等の機関については、次条の第40条の7において規定されています〕)が次の各号のいずれかに該当する行為を行つた場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす

ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、その行つた行為が次の各号のいずれかの行為に該当することを知らずかつ知らなかつたことにつき過失がなかつたときは、この限りでない。

 

一 第4条第3項の規定〔=派遣禁止業務への従事の禁止〕に違反して派遣労働者を同条第1項各号のいずれかに該当する業務に従事させること。

 

二 第24条の2の規定〔=無許可事業主からの派遣受入れの禁止〕に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。

 

三 第40条の2第1項〔=事業所単位の期間制限〕の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること(同条第4項に規定する意見の聴取の手続のうち厚生労働省令〔=施行規則第33条の9〕で定めるものが行われないことにより同条第2項の規定に違反することとなつたときを除く)。

 

四 第40条の3〔=(派遣可能期間の延長後の)個人単位の期間制限〕の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。

 

五 この法律又は次節〔=労働基準法等の適用に関する特例等(こちら以下)〕の規定により適用される法律の規定〔=これらの規定に基づく命令の規定を含みます(第28条)〕の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第26条第1項各号に掲げる事項〔=派遣契約締結の際に定める事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けること。

 

2.前項の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者は、当該労働契約の申込みに係る同項に規定する行為が終了した日から1年を経過する日までの間は、当該申込み撤回することができない

 

3.第1項の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者が、当該申込みに対して前項に規定する期間内承諾する旨又は承諾しない旨の意思表示を受けなかつたときは、当該申込みは、その効力を失う

 

4.第1項の規定により申し込まれたものとみなされた労働契約に係る派遣労働者に係る労働者派遣をする事業主は、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から求めがあつた場合においては、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、速やかに、同項の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた時点における当該派遣労働者に係る労働条件の内容通知しなければならない。

 

 

選択式【問2】解答(設問はこちら

 

A=②「3」

B=⑧「無期雇用派遣労働者」

C=⑪「60」

D=⑯「10」

E=⑲「労働基準法第65条第1項及び第2項〔産前産後休業〕」

 

 

・解説:

いわゆる事業所単位の期間制限(第40条の2)に関する問題です。

派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、原則として、派遣元事業主から派遣可能期間(3年)を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはなりません(第40条の2第1項本文、第2項。なお、派遣元事業主については、第35条の2が定めています)。

即ち、派遣先の同一派遣就業場所における派遣労働者の受入れは、原則として、3年が限度ということです。

 

派遣先の常用労働者との代替を防止(常用代替の防止)する観点及び派遣労働者の派遣就業への望まない固定化を防止する観点から、平成27年の改正(平成27年9月30日施行)により、かかる事業所単位の期間制限が設けられたものです。

従来も、同様の趣旨から、原則として、最長3年の派遣可能期間の制限がありましたが、専門的な知識等又は特別の雇用管理を必要とする業務(いわゆる「26業務」)については、派遣可能期間の制限がありませんでした。

しかし、26業務に該当するかどうかが不明確な場合があり、実務に混乱を招いていたため、より分かりやすい制度とする等の見地から、従来の派遣可能期間の制限の制度を廃止し、新たに事業所単位及び個人単位の2つの期間制限を定めたものです。

 

設問は、事業所単位の期間制限が適用されない場合(適用除外)をメインテーマとする出題です。

事業所単位の期間制限は、次の➀~⑤の場合は適用されません(第40条の2第1項ただし書等)。(なお、個人単位の期間制限の場合も同様であり、次の➀~⑤の場合は適用されません(第35条の3かっこ書)。)

これらの労働者派遣の場合は、派遣先の常用労働者との代替が生じるおそれが少ないこと等が考慮されたものです。

 

➀ 無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣(第40条の2第1項第1号) ※1

② 60歳以上の者に係る労働者派遣(同条同項第2号、施行規則第32条の5)

③ 事業の開始、廃止等のための有期プロジェクト業務に係る労働者派遣(第40条の2第1項第3号イ)

④ 日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下で、かつ10日以下であるもの)に係る労働者派遣(同条同項第3号ロ等)

⑤ 派遣先の労働者産前産後休業育児休業又は介護休業の期間中の業務に係る代替派遣(第40条の2第1項第4号、第5号)

 

これらの➀~⑤は、択一式でも出題対象になりますので(むしろ択一式で出題対象になります)、記憶が必要です。下記に表も掲載しておきます(詳しい解説は、本文の こちら以下です)。 

 

※1 

ちなみに、上記➀の

無期雇用派遣労働者とは、期間を定めないで雇用される派遣労働者をいいます(第30条の2第1項)。

有期雇用派遣労働者とは、期間を定めて雇用される派遣労働者をいいます(第30条第1項柱書)。

 

 

なお、事業所単位の期間制限において、派遣可能期間の延長も認められますが(3年ごとを限度とします。第40条の2第2項)、その際は、派遣先過半数労働組合等からの意見聴取が必要です(派遣可能期間に抵触する日の1か月前までに行うことが必要です。同条第3項、第4項)。

意見聴取において異議が述べられた場合には、派遣先には、延長の理由等について説明義務が生じます(同条第5項)。

(この意見聴取の手続の要求は、派遣先の常用労働者の雇用の安定(常用代替の防止)を考慮した趣旨です。)

詳細は、択一式で出題します。 

 

 

選択式【問3】解答(設問はこちら

 

A=③組織単位ごとの業務

B=⑦3年

C=⑩同一の派遣労働者

 

個人単位の期間制限の問題です(第35条の3)。(本文のこちら以下

派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における「組織単位ごとの業務」について、「3年」を超える期間継続して「同一の派遣労働者」に係る労働者派遣(第40条の2第1項各号〔=事業所単位の期間制限の適用除外〕のいずれかに該当するものを除きます)を行ってはなりません(第35条の3)。

 

いわゆる「個人単位の期間制限」であり、同一の派遣労働者を、派遣先の事業所等における同一の組織単位(例:課)に派遣できる期間は、原則として、3年が限度となるということです。

派遣労働については、その雇用の安定やキャリア形成が図られにくい面があることから、派遣労働を臨時的・一時的な働き方として位置づけることを原則としており、主として、派遣労働への固定化防止の観点から、個人単位の期間制限が定められています。

 

前問の解説中で少し触れましたが、事業所単位の期間制限の下においても、派遣先において、意見聴取期間に過半数労働組合等の意見を聴取する等の適法な手続を経れば、派遣先は派遣可能期間を延長することができます(3年が限度ですが、同様の手続により3年を限度にさらに延長を継続することが可能です)。(第40条の2第4項)

ただし、この派遣可能期間が延長された場合においても、当該「同一の派遣労働者」を「同一の組織単位の業務」について3年を超える期間継続して派遣受入をすることは認められないということです。

 

本問の第35条の3のポイントとなる点は、空欄になった3か所と「個人単位の期間制限は、事業所単位の期間制限の適用除外に該当する場合(上掲の表の「例外」の➀~⑤の5つ)には、適用されない」ということです。 

 

 

選択式【問4】解答(設問はこちら

 

A=③労働者の職業生活の全期間にわたる

B=⑧臨時的かつ一時的なものであることを原則とする

C=⑫労働力の需給の調整

 

出題は、第25条(運用上の配慮)からです(本文はこちら)。

平成27年の改正により、上記のBの部分(正確には、下記の条文の下線部分)が追加されています。

以下、B→A→Cの順に注意点を見ていきます。

 

1 Bについて 

従来も、派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方は採用されていましたが、平成27年の改正により、新たな期間制限の制度が新設されたことなどを背景として、Bの部分が明文化されました。

 

【条文】

第25条(運用上の配慮)

厚生労働大臣は、労働者派遣事業に係るこの法律の規定の運用に当たつては、労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行並びに派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮するとともに、労働者派遣事業による労働力の需給の調整職業安定法に定める他の労働力の需給の調整に関する制度に基づくものとの調和の下に行われるように配慮しなければならない。

 

 

2 Aについて

設問のAが含まれる個所である「労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行」とは、いわゆる日本的な長期雇用システムのことです。

 

ちなみに、「職業生活の全期間」というキーワードが登場する場面は少なくないです。

例えば、平成27年の改正により新設された第30条の2(段階的かつ体系的な教育訓練等=派遣労働者に対するキャリアアップ措置)の第1項でも、下記の赤字部分のように登場します。

 

※ 次の条文は、今回の直前対策では出題対象としませんでしたが、要注意です。熟読してキーワードを押さえて下さい。第2項は、いわゆるキャリア・コンサルティング実施義務です。

 

 【条文】

第30条の2(段階的かつ体系的な教育訓練等)

1.派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者が段階的かつ体系的に派遣就業に必要な技能及び知識を習得することができるように教育訓練を実施しなければならない。この場合において、当該派遣労働者が無期雇用派遣労働者(期間を定めないで雇用される派遣労働者をいう。以下同じ。)であるときは、当該無期雇用派遣労働者がその職業生活の全期間を通じてその有する能力を有効に発揮できるように配慮しなければならない。

 

2.派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の求めに応じ、当該派遣労働者の職業生活の設計に関し、相談の機会の確保その他の援助を行わなければならない。

 

 

その他、例えば、次の雇用対策法の第3条でも登場します。

 

【雇用対策法】

雇用対策法第3条(基本的理念)

労働者は、その職業生活の設計が適切に行われ、並びにその設計に即した能力の開発及び向上並びに転職に当たつての円滑な再就職の促進その他の措置が効果的に実施されることにより、職業生活の全期間を通じて、その職業の安定が図られるように配慮されるものとする。

 

 

3 Cについて

職業安定法や労働者派遣法は、労働力の需給の調整に関する法です。

労働力の需給の調整とは、労働力の需要と供給のミスマッチを回避し、円滑かつ適正な労働力の需給を行うシステムのことです。

 

 

派遣法の選択式は、以上です。

 

 

 

択一式の解答

〈1〉労働契約申込みみなし制度についての解答

  

【問1】× (設問はこちら

 

設問の第42条(本文のこちら)は、派遣先事業主の派遣先管理台帳の作成、記載、保存及び記載事項の通知の義務を定めたものです。

この第42条は、下記の通り、「みなし制度」の適用対象となる違法行為に含まれていません。よって、設問は誤りとなります。

 

再度、整理しておきます。

「労働契約申込みみなし制度」が適用される要件として、労働者派遣の役務の提供を受ける者(以下、「派遣先」といいます)について、第40条の6第1項各号が定める違法行為に該当することが必要です。

この第40条の6第1項各号が定める違法行為とは、大別しますと、次の(ⅰ)~(ⅳ)の4種類になります。 

 

(ⅰ)派遣労働者を派遣禁止業務に従事させること

(ⅱ)派遣元事業主以外の事業主(無許可事業主)から労働者派遣の役務の提供を受けること

(ⅲ)事業所単位の期間制限又は個人単位の期間制限(派遣可能期間の延長後の個人単位の期間)に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること

(ⅳ)派遣法等の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、労働者派遣契約の締結の際に定めるべき事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けること=いわゆる偽装請負等

 

本件の「みなし制度」は、契約自由の原則の例外となるものですから、その適用範囲についても、派遣先と派遣労働者との間に直接の労働契約関係を発生させるのが妥当といえる場合(派遣先が重大な違法行為を行っており、かつ、当該違法行為に該当することについて善意かつ無過失である場合)に限定されています。

 

 

【問2】× (設問はこちら

 

本問は、いわゆる偽装請負等に関するみなし制度についての出題です。

設問において、「労働者派遣の役務の提供を受ける者が、労働者派遣法又は同法第3章第4節(労働基準法等の適用に関する特例等)の規定により適用される法律の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含む。)に違反して」とありますが、この「に違反して」の部分が誤りであり、「の適用を免れる目的で」に置き換えれば正しい内容になります。

「目的」(法の潜脱の目的)という主観的要件を必要とすることにより、適用範囲を限定しているものです。

 

かなり難しい出題だったと思いますが、「目的」とある点は、一応、選択式においても注意です。

 

 

【問3】× (設問はこちら

 

派遣先が事業所単位の期間制限(第40条の2)に違反した場合であっても、広く「みなし制度」が適用されるのではありません。

即ち、事業所単位の期間制限において、派遣先が、過半数労働組合等からの「意見聴取の手続のうち厚生労働省令で定めるもの」が行われないことにより期間制限に違反することとなった場合には、「みなし制度」は適用されません(第40条の6第1項第3号かっこ書き)。

この「意見聴取の手続のうち厚生労働省令で定めるもの」として、次の3つが規定されています(施行規則第33条の9)。

 

(ア)派遣可能期間の延長の際の過半数労働組合等からの意見聴取のための派遣先による事前の通知(施行規則第33条の3第1項)

(イ)過半数労働組合等からの意見聴取に係る書面の記載及びその保存(施行規則第33条の3第3項)

(ウ)上記(イ)の書面の派遣先労働者への周知(施行規則第33条の3第4項)

  

即ち、この(ア)~(ウ)の手続に違反したに過ぎない場合には、「みなし制度」は適用されないということです。

(事業所単位の期間制限の違反のうち、みなし制度を適用すべき重大な違反とまではいえない手続の瑕疵については、みなし制度の適用を除外したものです。)

かなり細かい知識ですので、出題対象となるかは微妙ですが、参考知識としておいて下さい。

 

 

【問4】× (設問はこちら

 

「みなし制度」により、労働契約の申込みをしたものとみなされた派遣先は、当該労働契約の申込みに係る所定の違法行為が終了した日から「1年」を経過する日までの間は、当該申込みを撤回することができません。「6月」ではなく、「1年」が正しいです。

この「1年」は出題しやすいため、注意です。

 

なお、「みなし制度」が適用される場合の「効果」を整理しますと、次の通りです。

 

(1)派遣先の労働契約の申込みのみなし

派遣先が、みなし制度の適用対象となる行為(違法行為)を行った場合には、その時点において、当該派遣先から当該派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされます(第40条の6第1項柱書本文)。

 

※「違法行為を行った時点」において、労働契約の申込みをしたものとみなされます

「違法行為の終了時」や「違法行為が終了した日から1年を経過する日」等に申込みをしたものとみなされるのではありません。

 

(2)申し込みの撤回

上記(1)の労働契約の申込みをしたものとみなされた派遣先は、当該労働契約の申込みに係る違法行為が終了した日から1年」を経過する日までの間は、当該申込み撤回することができません(第40条の6第2項)。これが本設問です。

これは、当該1年の期間中は、次の(3)による派遣労働者の承諾を可能にさせるためです。つまり、派遣労働者は、違法行為終了日から1年間は承諾して労働契約を成立させることができるということです。

 

(3)派遣労働者の承諾

労働契約の申込みをしたものとみなされた派遣先が、当該申込みに対して前記(2)の「1年」の期間内に承諾する旨又は承諾しない旨の意思表示を受けなかったときは、当該申込みは、その効力を失います(第40条の6第3項)。

この場合には、労働契約は(みなし)成立しないことになります。

 

このように、派遣先と直接雇用の関係を形成するかどうかについて、派遣労働者の意思が尊重されています(そして、申込みと承諾により契約(労働契約)が成立するという契約成立の原則的ルールを重視して、直ちに労働契約が成立するとはせずに、派遣労働者の承諾の意思表示をもって労働契約を成立させたものです)。

 

 

【問5】× (設問はこちら

 

設問において、派遣先が就労させるべき旨の勧告に従わなかった場合は、厚生労働大臣は、その旨を公表することができます(第40条の8第3項)。

派遣法においては、設問の紛争調整委員会への調停の委任の制度は定められていません。よって、設問は誤りです。

 

ちなみに、派遣法から少し外れますが、労働一般の法令において、「公表」の制度が定められている例として次のようなものがあります(主要な例のみ挙げます)。

 

〇公表の制度:

 

(1)男女雇用機会均等法

◆厚生労働大臣(都道府県労働局長に権限委任される場合あり)は、均等法の一定の規定(※1)に違反している事業主に対し、勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができます(均等法第30条)。

 

 ※1 公表の対象となる事項

公表の対象となる事項(「紛争の解決の援助」の対象となる事項と同じです)については、「募集・採用」関係(募集・採用における性別を理由とする差別の禁止(均等法第5条)、募集・採用に係る間接差別の禁止(第7条))と「セクシュアルハラスメント防止措置」(均等第11条第1項)が含まれていることは覚えておいて下さい。

対して、「苦情の自主的解決」(均等法第15条)の対象となる事項には、これらの「募集・採用」関係や「セクハラ」関係は含まれていません。

 

 

(2)パートタイム労働法(短時間労働者雇用管理改善法)

◆厚生労働大臣(都道府県労働局長に権限委任される場合あり)は、パートタイム労働法の一定の規定(※2)に違反している事業主に対し、勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができます(パート法第18条第2項)。

 

※ パートタイム労働法における「公表」の制度は、平成27年4月1日から施行されたものです(平成26年の改正)。従って、注意しておいた方がよいです。

 

※2 公表の対象となる事項

パートタイム労働法においては、「苦情の自主的解決」、「紛争の解決の援助」及び「調停の委任」という3つの「紛争の解決」の制度における対象事項同じです(労働条件に関する文書の交付等(パート法第6条第1項)、通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止(同法第9条)などの6つです。この対象事項は、テキストで確認しておいて下さい)。

 

対して、「公表」の制度の対象事項は、上記6つに「相談のための体制の整備」(パート法第16条)が加わり、合計7つとなります。

 

 

(3)育児介護休業法

◆厚生労働大臣は、育児介護休業法の一定の規定(※3)に違反している事業主に対し、勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができます(育休法第56条の2)。

  

※3

育児介護休業法においては、「苦情の自主的解決」、「紛争の解決の援助」及び「調停の委任」という3つの「紛争の解決」の制度における対象事項は同じです(育休法上の義務規定が広く対象となっています)。

「公表」の制度の対象事項は、若干、異なる形で規定されており、上記3つの対象事項と全く同じわけではありません。

 

(なお、今回の試験では対象となりませんが、平成29年1月1日施行の改正により、「職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置」が新設され(育休法第25条の新設。いわゆる「育児休業等に関するハラスメントの防止措置」です)、この「ハラスメントの防止措置」が、「紛争の解決の援助」及び「調停の委任」の対象事項に追加されることになっています。さしあたりは忘れて下さい。)

 

以上で、派遣法の「みなし制度」に関する択一式は終了です。

 

 

〈2〉事業所単位の期間制限及び個人単位の期間制限についての解答

 

【問6】× (設問はこちら

 

派遣可能期間は、「2年」ではなく、「3年」です。

即ち、派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から「3年」を超える期間「継続」して労働者派遣の役務の提供を受けてはなりません。

 

ちなみに、「継続」については、労働者派遣の役務の提供を行っていない期間があったとしても、それが3か月以内であれば継続しているものとみなされます。(【業務取扱要領】の第7の13の(3)のハ)

 

即ち、労働者派遣の役務の提供を受けていた派遣先の事業所等が新たに労働者派遣の役務の提供を受ける場合に、当該新たな労働者派遣とその直前に受け入れていた労働者派遣との間の期間が3か月(クーリング期間といいます)を超えないときは、当該派遣先の事業所等は、当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣から継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなされます。

 

クーリング期間として「3か月」があることは記憶しておいて下さい。

以上の「継続」の考え方(クーリング期間)は、個人単位の期間制限の場合も同様です。

 

(ちなみに、クーリング期間は、労働契約法のいわゆる無期転換ルール(同法第18条)でも問題になりますが、そこでは、基本的には「6か月」です(労基法のこちら以下)。)

 

 

 

【問7】× (設問はこちら

 

「無期雇用派遣労働者」については、事業所単位の期間制限の適用は受けません(第40条の2第1項第1号)。

「無期雇用派遣労働者」は、派遣元において雇用関係が比較的安定していること等が考慮されたものです。

事業所単位及び個人単位の期間制限は、「有期雇用派遣労働者」についてのみ問題になることは注意です。(個人単位の期間制限については、のちに見ます。)

 

 

  

【問8】× (設問はこちら

 

「4分の3以下」ではなく、「半分以下」が正しいです。

事業所単位の期間制限の適用除外となるいわゆる「日数限定業務」の要件は、派遣労働者の従事する業務が1箇月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者の1箇月間の所定労働日数に比し相当程度少なく〔=半分以下であること〕、かつ、厚生労働大臣の定める日数〔=10日〕以下である業務であることです(【平成15.12.25厚生労働省告示第446号】、最終改正【平成27.9.29厚生労働省告示第395号】等)。

 

 

【問9】× (設問はこちら

 

第1項の規定に抵触することとなる最初の日の「3月前」の日までの間ではなく、「1月前」の日までの間が正しいです。

 

本問と次問は、派遣可能期間を延長する場合(第40条の2第3項以下)の問題です。

派遣可能期間は3年ですが、3年ごとを限度として延長することができます。

ただし、労働者派遣の役務の提供が開始された日(派遣可能期間を延長した場合は、当該延長前の派遣可能期間が経過した日)以後、派遣可能期間に抵触することとなる最初の日〔=「抵触日」といいます〕の1月前の日までの間(「意見聴取期間」といいます)に、過半数労働組合等からの意見聴取が必要です(第40条の2第3項以下)。

 

これは、派遣先にとっての労働者派遣の継続の必要性を考慮しつつ、派遣先の常用労働者の代替を防止する見地から、過半数労働組合等からの意見聴取を要件として、派遣可能期間の延長を認めたものです。

 

ただし、個人単位の期間制限(第40条の3、第35条の3)も適用されるため、派遣可能期間を延長した場合であっても同一の派遣労働者については、派遣先の事業所における同一の組織単位(課など)に派遣できる期間は、原則として、3年が限度となることに注意です。

 

 

 

【問10】× (設問はこちら

 

「同意を得なければならない」のではなく、「意見を聴かなければならない」が正しいです。

前問の解説のように、派遣可能期間の延長の際は、派遣先の常用労働者の代替を防止する見地から、過半数労働組合等からの意見聴取を要件としています。「同意」という強い要件ではありません。

 

以上で、事業所単位の期間制限に関する択一式は終了です。続いて、個人単位の期間制限です。

 

 

【問11】× (設問はこちら

 

派遣元事業主から3年を超える期間継続して「労働者派遣」の役務の提供を受けてはならないのではなく、派遣元事業主から3年を超える期間継続して「同一の派遣労働者」に係る労働者派遣を受けてはならないが正しいです。

あまり質の良い問題ではありませんが、「個人単位」の期間制限ですから、同一の派遣労働者が対象になります。 

 

 

【問12】× (設問はこちら

 

個人単位の期間制限は、事業所単位の期間制限の適用除外となる事由(第40条の2第1項各号)に該当する場合は、適用されません。

 

即ち、派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣を行ってはならないのが原則ですが、例外として、事業所単位の期間制限の適用除外となる5つの事由(無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣等。こちら)に該当する場合は、適用されません。

 

 

以上で、期間制限の問題は終わります。続いて、特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等のための措置に関する問題です。

 

 

〈3〉特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等のための措置について 

  

【問13】× (設問はこちら

 

「次の➀から④のいずれかの措置を講じなければならない」ではなく、「次の➀から④のいずれかの措置を講ずるように努めなければならない」が正しいです(なお、後述の「3年間派遣就業の見込みがある特定有期雇用派遣労働者」については、「講じなければならない」となります)

 

本問は、特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等のための措置(第30条)に関する設問です。

この第30条は読みづらく、今回の問題文も長文であり、解答しづらかったと思います(あえて短文化せずに、条文ベースに出題しました)。

 

この第30条の条文を掲載しますと、次の通りです(かなりややこしい条文ですが、条文の後に解説をします)。

 

【条文】

第30条(特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等)

1.派遣元事業主は、その雇用する有期雇用派遣労働者(期間を定めて雇用される派遣労働者をいう。以下同じ。)であつて派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位〔=第26条第1項第2号〕の業務について継続して1年以上の期間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがあるものとして厚生労働省令〔=施行規則第25条第1項〕で定めるもの(以下「特定有期雇用派遣労働者」という。〔後述の(1)の者です〕)その他雇用の安定を図る必要性が高いと認められる者として厚生労働省令〔=施行規則第25条第3項(当該派遣元事業主に雇用された期間が通算して1年以上である有期雇用派遣労働者)〕で定めるもの〔=後述の(2)の者です〕又は派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者であつて雇用の安定を図る必要性が高いと認められるものとして厚生労働省令〔=施行規則第25条第4項(当該派遣元事業主に雇用された期間が通算して1年以上である派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者)〕で定めるもの〔=後述の(3)の者です〕(以下この項において「特定有期雇用派遣労働者等」という。)に対し、厚生労働省令〔=施行規則第25条の2〕で定めるところにより、次の各号の措置を講ずるように努めなければならない。

 

一 派遣先に対し、特定有期雇用派遣労働者に対して労働契約の申込みをすることを求めること。

 

二 派遣労働者として就業させることができるように就業(その条件が、特定有期雇用派遣労働者等の能力、経験その他厚生労働省令〔=施行規則第25条の3〕で定める事項に照らして合理的なものに限る。)の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等に提供すること。

 

三 派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用することができるように雇用の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等に提供すること。

 

四 前3号に掲げるもののほか、特定有期雇用派遣労働者等を対象とした教育訓練であつて雇用の安定に特に資すると認められるものとして厚生労働省令〔=施行規則第25条の4〕で定めるものその他の雇用の安定を図るために必要な措置として厚生労働省令で定めるものを講ずること。

 

2.派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して3年間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある特定有期雇用派遣労働者に係る前項の規定の適用については、同項中「講ずるように努めなければ」とあるのは、「講じなければ」とする。〔=後述の(4)の者です〕

 

 

1 要件

上記第30条の第1項柱書の赤字の部分に「特定有期雇用派遣労働者等」と出てきますが、この「特定有期雇用派遣労働者等」とは、具体的には、次の(1)~(3)に掲げる者をいいます(施行規則第25条参考)。

 

(1)派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について、継続して1年以上の期間派遣労働者として就業する見込みがあるものとして厚生労働省令〔=施行規則第25条第1項(予定されている派遣期間終了後も引き続き就業することを希望している者であること)〕で定める有期雇用派遣労働者=特定有期雇用派遣労働者

 

※ なお、この(1)は、後掲の第30条第2項(下記の(4))との関係から、同一の組織単位の業務について、継続して「1年以上3年未満」の期間派遣労働者として就業する見込みがあるものということになります。

 

(2)当該派遣元事業主に雇用された期間通算して1年以上である有期雇用派遣労働者(上記(1)の特定有期雇用派遣労働者を除きます)

 

※ この(2)に該当するのは、主に、同一の派遣元事業主に雇用された期間が通算して1年以上である有期雇用派遣労働者のうち、派遣先の「同一の組織単位」で継続して就業している期間が1年未満の者です。

 

(3)当該派遣元事業主に雇用された期間が通算して1年以上である、(今後)派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者=つまり、登録型派遣において、いわゆる「登録状態」の者です。

 

さらに、第30条第2項により、この第30条においては、もう一つ、次の(4)というパターンが生じます。

 

(4)3年間派遣就業の見込みがある特定有期雇用派遣労働者

即ち、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して3年間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある特定有期雇用派遣労働者(予定されている派遣期間終了後も引き続き就業することを希望している者であること)です。

 

 

2 効果

以上の(1)から(3)までの者と(4)の者については、効果が異なります。即ち、いわゆる雇用安定措置(後述の➀~④の4つの措置)を講ずることが努力義務に過ぎないのかどうかの違いがあります。

(1)から(3)までの者については、雇用安定措置を講ずることが努力義務に過ぎませんが(「講ずるように努めなければならない」)(4)の者については義務となります(「講じなければならない」)。

 

 

雇用安定措置とは、次の➀から④です。このいずれかを講ずるように努めなければならない(又は講じなければならない)ということです。

 

①派遣先に対し、特定有期雇用派遣労働者に対して労働契約の申込みをすることを求めること=派遣先への直接雇用の依頼

 

②派遣労働者として就業させることができるように就業(その条件が、特定有期雇用派遣労働者等の能力、経験その他厚生労働省令〔=施行規則第25条の3〕で定める事項に照らして合理的なものに限ります)の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等に提供すること=新たな就業機会派遣先の提供

 

③派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用することができるように雇用の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等に提供すること=派遣元事業主において無期雇用

 

④以上①~③に掲げるもののほか、特定有期雇用派遣労働者等を対象とした教育訓練であって雇用の安定に特に資すると認められるものとして厚生労働省令〔=施行規則第25条の4〕で定めるものその他の雇用の安定を図るために必要な措置として厚生労働省令で定めるものを講ずること=その他安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置

 

 

3 趣旨

最後に、この「特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等のための措置」(第30条)の趣旨について触れておきます。

派遣労働者については、派遣労働への固定化防止の観点から、派遣先の同一の組織単位における派遣就労について3年の期間制限が設けられましたが(個人単位の期間制限。第35条の3、第40条の3)、この3年の期間制限に達した後に次の就業先がなければ職を失うことになる可能性があります。

このため、雇用主である派遣元事業主に派遣期間終了後に派遣労働者の雇用が継続されるようにするための措置を講ずべき義務を課すことにより派遣労働者の雇用の安定を図ることとしています。これが、前述の(4)の者に係る制度の趣旨です。

 

また、3年未満の期間においても、派遣契約の終了により職を失うことがないようにすることは重要ですから、1年以上同一の組織単位に派遣されている労働者等については雇用安定を図る努力義務を課すこととしています。具体的には、前述の(1)~(3)の者が対象となります。

 

以上、特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等のための措置の大枠について説明しました(より細かい知識については、本文のこちら以下を再チェックして頂くことになりますが、さしあたりは以上の骨組みをつかんでおいて下さい。)  

 

特定有期雇用派遣労働者に関するその他の効果についての問題は、次の【問14】で検討します。

 

 

【問14】〇 (設問はこちら

 

本問は、特定有期雇用派遣労働者の雇用の努力義務(第40条の4)に関する出題です(本文はこちら)。

 

特定有期雇用派遣労働者とは、前問で見ました通り、有期雇用派遣労働者(期間を定めて雇用される派遣労働者)であって、派遣先の事業所その他派遣就業の場所(派遣先の事業所等)における同一の組織単位の業務について継続して1年以上の期間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがあるものとして厚生労働省令〔=施行規則第25条第1項(予定されている派遣期間終了後も引き続き就業することを希望している者であること)〕で定めるものをいいます(第30条第1項柱書)。

派遣元は、派遣先に対し、特定有期雇用派遣労働者に対して労働契約の申込みをすることを求めること(=派遣先への直接雇用の依頼)等の雇用安定措置講ずるように努めなければならないとされています(第30条第1項)。

(派遣先の事業所等における同一の組織単位の業務について継続して「3年間」当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある特定有期雇用派遣労働者については、雇用安定措置は努力義務ではなく、本来の義務になります(第30条第2項)。)(以上については、前問で解説しました。)

 

そして、第40条の4では、派遣先は、派遣元事業主から雇用安定措置として特定有期雇用派遣労働者への直接雇用の依頼を受けた場合において、引き続き当該特定有期雇用派遣労働者が従事していた業務労働者を従事させるため当該労働者派遣の役務の提供を受けた期間が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときは、当該直接雇用の依頼の対象となった特定有期派遣労働者であって、継続して就業することを希望している者を遅滞なく雇い入れるよう努めなければならないとします(第40条の4)。

 

これは、次の趣旨に基づくものです。

即ち、派遣労働への固定化防止の観点から個人単位の3年の期間制限が設けられていますが第35条の3第40条の3、これにより派遣期間の上限等に達した派遣労働者については派遣先を失うことにより失職するおそれがあります。

このため特定有期雇用派遣労働者等に対する雇用安定措置が設けられているのですが(第30条)、派遣労働者の中には、正社員等での直接雇用を希望しつつも、やむを得ず派遣就労に従事している者も存在していることから、雇用安定措置として派遣元事業主から直接雇用の依頼があったときは、派遣先も雇用する努力義務を負うこととしたものです。

 

なお、派遣先は、当該派遣先の同一の事業所等において派遣元事業主から「1年以上」の期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けている場合において、当該事業所等において労働に従事する「通常」の労働者の募集を行うときは、当該募集に係る事項を当該派遣労働者に「周知しなければならない」とされます(第40条の5第1項)。(こちら

即ち、この場合は、直接雇用の希望がよりかなえられるよう、上記の直接雇用の努力義務に加えて、派遣先における直接雇用に係る募集情報を提供することとしたものです。

 

さらに、派遣先の事業所等における同一の組織単位の業務について継続して「3年間」当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある特定有期雇用派遣労働者(継続して就業することを希望する者として厚生労働省令で定めるものに限ります)については、当該事業所等において労働に従事する「労働者の募集」を行うときは、当該募集に係る事項を当該派遣労働者に周知しなければならないとされます(第40条の5第2項。「通常」の労働者の募集時に限定されていませんので、正規雇用労働者のみならずパートタイム労働者、契約社員など当該事業所等において労働に従事する直接雇用の労働者の某集を行う場合が対象となります)。

 

以上、特定有期雇用派遣労働者等の関係は、少々、ややこしいですが、最低限、キーワードと数字(3年間等)を押さえておきましょう。

 

 

〈4〉その他の改正事項について 

 

【問15】× (設問はこちら

 

「説明するように配慮しなければならない」ではなく、「説明しなければならない」です(第31条の2第2項)。

即ち、説明の「配慮義務」より強い説明「義務」となっています。

 

派遣元事業主には、平成24年の改正により、派遣先の同種労働者との均衡を考慮した待遇の配慮義務(均衡待遇の配慮義務)が課されましたが(当時は第30条の2。現在は第30条の3)、今回の平成27年の改正により、さらに、派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者から求めがあったときは、当該第30条の3の規定により配慮すべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項(決定考慮事項)について説明義務を負うこととなりました(第31条の2第2項の追加。同条第1項は、平成24年改正時に新設されました。本文はこちら)。

また、派遣先においても、教育訓練、福利厚生、賃金等に関し、必要な措置を講じるものとされました(第40条第2項~第6項。本文はこちら)。

 

 

以下、関連条文を掲載しておきます。

 

 

【条文】

※ 今回の出題は、次の第2項です。

 

第31条の2(待遇に関する事項等の説明)

1.派遣元事業主は、派遣労働者として雇用しようとする労働者に対し、厚生労働省令〔=施行規則第25条の6第1項〕で定めるところにより、当該労働者を派遣労働者として雇用した場合における当該労働者の賃金の額の見込みその他の当該労働者の待遇に関する事項その他の厚生労働省令〔=施行規則第25条の6第2項〕で定める事項を説明しなければならない

 

2.派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者から求めがあつたときは、第30条の3〔=均衡を考慮した待遇の確保(下記)〕の規定により配慮すべきこととされている事項に関する決定をするに当たつて考慮した事項について、当該派遣労働者に説明しなければならない

  

 

【条文】

第30条の3(均衡を考慮した待遇の確保)

1.派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者賃金水準との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力若しくは経験等を勘案し、当該派遣労働者の賃金決定するように配慮しなければならない。

 

2.派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者について、教育訓練及び福利厚生の実施その他当該派遣労働者の円滑な派遣就業の確保のために必要な措置を講ずるように配慮しなければならない。

 

 

※ ちなみに、パートタイム労働法(短時間労働者雇用管理改善法)第10条においては、下記のような規定があります(通常の労働者と同視すべき短時間労働者・以外の短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止(第10条~第12条)のうち、賃金に関するものです)。

上記の派遣法第30条の3第1項と「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は〔若しくは〕経験等を勘案し」という部分はほぼ同じです。

ただ、上記の派遣法第30条の3第1項は「配慮義務」であるのに対し、下記のパート法第10条は「努力義務」です(パート法の場合は、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」については、短時間労働者であることを理由とする賃金の決定等についての差別的取扱いが禁止されています(第9条))。

  

【パートタイム労働法】

パートタイム労働法第10条(賃金)

事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者除く。次条第2項〔=職務内容同一短時間労働者・以外の短時間労働者に対する教育訓練の実施の努力義務〕及び第12条〔=福利厚生施設の実施の配慮義務〕において同じ。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金(通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令〔=施行規則第3条〕で定めるもの〔=賃金のうち職務の内容に密接に関連して支払われるもの以外のもの〕を除く。)を決定するように努めるものとする。

 

 このパートタイム労働法の第10条は、平成26年に改正されたものです(平成27年4月1日施行)。昨年度の試験では出題されていないいくつかのパートタイム労働法の条文にも、注意しておいた方がよいです。詳細は、パートタイム労働法の直前対策で取り上げます。

 

 

以上で、直前対策の派遣法を終了します。次回は、国民健康保険法です。

 

【平成28年7月10日】