2020年度版

 

働き方改革関連法の概要

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(【平成30.7.6法律第71号】。以下、「働き方改革関連法」といいいます。「整備法」といわれることもあります)により、労働法が大きく改められました。

ここでは、「働き方改革関連法」の概要に触れ、詳細な解説を掲載しました各個所のリンク先をご紹介します。

(なお、以下の項目等については、厚生労働省のこちらの資料を参考にしています。)

 

 

〔Ⅰ〕目的

「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「育児や介護との両立など、働く者のニーズの多様化」などの状況に直面している現状の下、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題となっています。

働き方改革関連法は、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、 多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講ずるものとされます。

 

 

〔Ⅱ〕骨格

働き方改革関連法による改正の骨格は、次の3点です。

 

〔1〕長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等

 

〔2〕雇用形態に関わりない公正な待遇の確保

 

〔3〕働き方改革の総合的かつ継続的な推進(「雇用対策法」からいわゆる「労働施策総合推進法」への改正・改称等)

 

 

このうち、上記の〔1〕の「長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等」は、労基法における「時間外労働等の上限規制」に関する改正等を中核とし、安衛法や労働時間等設定改善法の改正を含むものです。

 

この〔1〕は、基本的に、平成31年(2019年)4月1日施行です。

 

 

〔2〕の「雇用形態に関わりない公正な待遇の確保」は、有期雇用(契約)労働者、短時間労働者及び派遣労働者について、通常の労働者(正社員)等との「不合理な待遇差を解消するための規定の整備」を中核とする改正です。

労働契約法第20条(労働一般のパスワード)の改正(削除)、いわゆる「パートタイム労働法」からいわゆる「短時間・有期雇用労働法」への改正・改称及び労働者派遣法の改正を内容とします。

 

この〔2〕の「雇用形態に関わりない公正な待遇の確保」のうち、「賃金」に関する不合理な待遇の相違の禁止を問題とするものが、いわゆる「同一労働同一賃金の原則」(労働の内容が同一(ないし同等)であれば、同一の賃金を支払うべきとの考え方)の問題といえます。

 

この〔2〕は、基本的には、令和2年4月1日施行です(派遣法関係等を除き、中小事業主については、令和3年4月1日施行です)。

 

 

〔3〕の「働き方改革の総合的かつ継続的な推進」は、雇用対策法が、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(当サイトでは、「労働施策総合推進法」といいます)に改正・改称され、働き方改革を総合的かつ継続的に推進するための「基本方針」が策定されること等を内容とするものです(平成30年7月6日(働き方改革関連法の公布日)から施行されています。労働一般のこちら以下)。

 

 

次に、以上の〔1〕と〔2〕についてやや詳しく整理した上で、それぞれの内容の詳細を掲載していますページをリンクします。

 

 

〔Ⅲ〕概要

〔1〕長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等

「長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等」に関する改正については、次の(A)~(C)の3つの項目に分けることができます。

 

(A)労働時間に関する制度の見直し(労働基準法)

 

(B)長時間労働者の健康確保、産業医の制度の見直し等(労働安全衛生法等)

 

(C)勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)

 

 

以下、やや詳しく見ます。

 

 

 

(A)労働時間に関する制度の見直し(労働基準法)

この(A)については、以下の改正が重要です。

 

 

1 時間外労働等の上限規制

 

◆時間外労働及び休日労働(以下、「時間外労働等」といいます)の上限について、月45時間、年360時間を原則とし(限度時間)、臨時的な特別な事情があり限度時間を超えて労働させる場合(特別条項付き労使協定の締結が必要です)においても、年720時間(休日労働は含みません)、単月100時間未満(休日労働含みます)、複数月平均80時間(休日労働を含みます)を限度に設定しなければなりません(労基法第36条第4項以下(労基法のパスワード)等。こちら以下)。

 

改正前は、厚生労働大臣により、時間外労働等に関する基準(「限度基準」)が定められていましたが(告示)、限度基準は、行政指導の根拠となるものに過ぎず、限度基準に違反する36協定が当然に無効となるわけではなく、罰則の適用もありませんでした。

さらに、特別条項付き労使協定を締結し届け出ていれば、限度基準を超える時間外労働も可能であり、事実上、時間外労働に厳格な上限がありませんでした。

 

しかし、働き盛りの世代の長時間労働が依然として高水準で推移しており、また、2016年秋には、大手広告代理店の新入女性社員の労災事件が大きな社会的関心を呼びました。

長時間労働は、労働者の健康の確保を困難にさせるとともに、仕事と家庭生活との両立(ワーク・ライフ・バランス)の障害となり、女性のキャリア形成、男性の家庭参加を阻害し、少子化の原因にもなるものです。

このような背景から、働き方改革関連法により、時間外労働等の上限規制を法定し、一定の上限規制の違反に対して罰則を適用するという時間外労働等の上限規制を強行化・強化する改正が行われたものです。

 

なお、以上の改正は、平成31年(2019年)4月1日施行ですが、中小事業主の事業については、令和2年(2019年)4月1日から適用されます(一般の事業より、1年施行が遅れます)。

 

本改正の全体構造は、次の図の通りです。

 

 

 

2 1箇月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率等に係る中小企業への猶予措置の廃止

 

◆「1箇月60時間を超える時間外労働による割増率の引上げ及び割増賃金の代替休暇」の規定は、中小事業主の事業については、当分の間、適用が猶予されていましたが(法附則第138条)、この猶予措置は、令和5年(旧平成35年)4月1日の施行をもって廃止されます。

 

➡ 労基法のこちらを参考。

 

 

3 使用者の時季指定義務

 

従来、年次有給休暇の時季の特定(年休の取得方法)については、労働者による時季指定権の行使の場合と労使協定による計画的付与の場合がありましたが、今回の改正によって、さらに、使用者による時季指定の場合(使用者による時季指定義務)が新設されました。

年休の取得率が向上しないことから(近年、50%前後の取得率です)、使用者に時季指定義務を負わせることにより、労働者の年休の取得を促進しようとした趣旨です。

具体的には、次の通りです。

 

◆使用者は、10労働日以上の年休権が発生した労働者に対し、5日については、年休権が発生した日(基準日)から1年以内に、労働者ごとに時季を指定して付与しければなりません(第39条第7項参考)。

ただし、労働者による時季指定や計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については、使用者は時季指定の必要はありません(第39条第8項)。

つまり、年5日以上の年休の取得を確実化させる趣旨です。

 

➡ 労基法のこちら以下を参考。

 

 

4 フレックスタイム制における清算期間の上限の延長等

 

フレックスタイム制については、清算期間の上限が3箇月に延長され、これに伴う改正やその他の改正があります。以下の通りです。

 

(1)清算期間の上限の延長

 

まず、清算期間の上限が従来の「1箇月」から「3箇月」に延長され、清算期間は「1箇月以内」から「3箇月以内」に改められました(第32条の3第1項第2号)。

 

1箇月を超えて労働時間の調整を可能とすることによって、従来のフレックスタイム制より、さらに柔軟な働き方を実現させようとする趣旨です(次の図は、厚生労働省作成の図をベースにしています)。

 

(2)清算期間が1箇月を超える場合の過重労働の防止等

 

この清算期間の上限の延長に伴い、清算期間が1箇月を超える場合の過重労働の防止等に関する次の(ア)~(エ)の改正が行われています。

 

(ア)清算期間の1箇月ごとに週平均50時間を超える労働時間に係る割増賃金の支払義務第32条の3第2項

 

(イ)清算期間1箇月を超えるフレックスタイム制に係る労使協定届出義務第32条の3第4項

 

(ウ)清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に係る労使協定の有効期間の定め施行規則第12条の3第1項第4号

 

(エ)清算期間の一部についてのみ労働した労働者(労働期間が清算期間より短い労働者)に関する特則(第32条の3の2。この(エ)については、従来から、1年単位の変形労働時間制においても、同様の規定が定められています)

 

(オ)清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に係る特例事業の例外こちら以下。常時10人未満の労働者を使用する商業、映画・演劇業(映画製作事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業については、週の法定労働時間は44時間に緩和されるというものです)不適用施行規則第25条の2第4項

 

 

その他に、次のような改正が行われています。

  

(3)完全週休2日制の場合のフレックスタイム制の適用第32条の3第3項) 

 

 

以上の改正を含むフレックスタイム制の全体構造をまとめますと、次の表の通りです。

 

 

➡ 以上については、労基法のこちら以下を参考。

 

 

5 高度プロフェッショナル制度(特定高度専門業務・成果型労働制)の新設

 

いわゆる「高度プロフェッショナル制度」が新設されました(第41条の2)。

高度プロフェッショナル制度は、高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる一定の業務に就く労働者について(第41条の2第1項第1号参考)、長時間労働を防止するための措置を講じつつ、労働時間休憩休日及び深夜の割増賃金に関する規定の適用を除外する制度です。

 

高度プロフェッショナル制度は、「労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金」に関する規定がすべて適用除外されるものであり、労基法の定める労働条件の適用が除外される範囲が広いことに特徴があります。

従って、高度プロフェッショナル制度は、労働時間をみなす制度である「みなし労働時間制」(「休憩、休日及び深夜の割増賃金」に関する規定は適用されます)よりは、一定の労働条件を適用除外とする第41条該当者(管理監督者等)に近い制度ですが、実際の高度プロフェッショナル制度の要件等は、みなし労働時間制のうちの「企画業務型裁量労働制」と共通する点が少なくないです(労使委員会による決議(委員の5分の4以上の多数による議決)をし、かつ、当該決議を届け出ること等が必要です)。

 

➡ 詳細は、労基法のこちら以下です。

 

 

以上、労基法の「労働時間に関する制度の見直し」等でした。次に、安衛法関係の改正です。

 

 

(B)長時間労働者の健康確保、産業医の制度の見直し等(労働安全衛生法等)

労働安全衛生法に関する改正として、大別して、以下の1~3の事項があります。

 

1 面接指導の実施義務が生じる場合の追加

 

長時間にわたる労働に関する面接指導の実施義務が生じる場合について、従来、(1)一般の労働者に対する面接指導(安衛法第66条の8(安衛法のパスワード))が定められていましたが(安衛法のこちら以下)、さらに、次の2つが追加されました(詳細は、安衛法のこちら以下)。

いずれも、労基法の改正に関連して創設された面接指導です。

 

(2)労基法第36条の36協定による時間外労働等の上限規制が適用除外される「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」(以下、「新技術等の研究開発業務」といいます)に従事する労働者に対する面接指導(安衛法第66条の8の2)= 新技術等の研究開発業務従事者に対する面接指導

 

(3)高度プロフェッショナル制度の対象労働者に対する面接指導(安衛法第66条の8の4

 

 

2 労働時間の状況の把握義務の明確化

 

また、安衛法第66条の8の3安衛法のこちら)において、医師による面接指導の実施のため、事業者による労働時間の状況の把握義務の規定が新設されました。

即ち、事業者は、「一般の労働者に対する面接指導」(同法第66条の8第1項)又は「新技術等の研究開発業務従事者に対する面接指導」(第66条の8の2第1項)を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(高度プロフェッショナル制度の対象労働者を除きます)の労働時間の状況を把握しなければならないとされます。

 

なお、高度プロフェショナル制度の対象労働者については、労基法上、健康管理時間(事業場内にいた時間と事業場外で労働した時間との合計の時間)把握する措置を使用者が講ずることが要求されているため(労基法第41条の2第1項第3号)、上記の労働時間の状況の把握義務の対象とはされていません。

 

 

3 産業医制度の見直し等

 

その他、産業医について、「必要な医学知識に基づき誠実に職務を行う義務」が明記され(安衛法第13条第3項)、情報の提供義務に関する規定が新設される(同法第13条第4項)等の見直しが行われています。

 

働き方改革関連法による安衛法の産業医に関する改正については、こちらでまとめています。

 

以上、安衛法関係でした。

 

 

(C)勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)

さらに、労働時間等設定改善法が改正されました。

 

主な改正事項として、「労働時間等の設定」の定義に「終業から始業までの時間」が含められるなど、勤務間インターバル制度の普及促進が考慮されたこと(同法第1条の2第2項(労働一般のパスワード)第2条第1項)、また、従来の事業場ごと労働時間等設定改善委員会の他、企業単位労働時間等設定改善企業委員会が新設されたこと(同法第7条の2)が挙げられます。

 

➡ 詳細は、労働一般のこちら以下です(サイトの右側に「2019年度試験 改正事項」とありますので、この個所を追って頂くと、改正事項が容易に判明します)。

 

 

以上、「長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等」に関する改正事項でした。

次に、同一労働同一賃金の原則関係の改正事項です。

 

 

〔2〕雇用形態に関わりない公正な待遇の確保

「雇用形態に関わりない公正な待遇の確保」は、前述の通り、有期雇用(契約)労働者、短時間労働者及び派遣労働者について、通常の労働者(正社員)等との「不合理な待遇差を解消するための規定の整備」を中核とする改正です。

この改正は、基本的に、令和2年(2020年)4月1日の施行です。

 

 

改正のポイントは、次の3点です。

 

1 不合理な待遇差を解消するための規定の整備

 

2 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

 

3 紛争の解決等の整備

 

 

※ ちなみに、以上は、中小事業主の事業については、1年遅れ、令和3年(2021年)4月1日からの施行となります。

ただし、労働者派遣法においては、かかる適用猶予の措置は定められていません(派遣労働者についての均等・均衡待遇の確保は、基本的に派遣先に雇用される労働者との関係で求められるものであり、派遣元事業主の事業の規模等に関わらず実現されるべきものだからとされます)。 

 

 

1 不合理な待遇差を解消するための規定の整備

有期雇用(契約)労働者、短時間労働者及び派遣労働者について、通常の労働者(正社員)等との不合理な待遇差を解消するための規定が整備されました。

 

まず、改正前の状況です。

 

従来から、有期契約労働者については、労働契約法第20条(労働一般のパスワード)において、「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」が定められ、無期契約労働者(いわゆる正社員)との不合理な待遇の差異は禁止されていました。

 

また、短時間労働者については、パートタイム労働法第8条において、「通常の労働者との不合理な待遇の相違の禁止」(短時間労働者の待遇の原則)が定められていたほか、さらに、同法第9条において、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止」が定められていました(職務内容が同一であって、さらに、職務の内容及び配置の変更の範囲も同一であることが要件です)。

 

一方、派遣労働者については、派遣元事業主に対する「派遣先労働者との不合理な待遇の相違の禁止」といったような強制的な規定は存在しませんでした(「均衡を考慮した待遇の確保」という派遣元事業主の配慮義務の規定(派遣法第30条の3)などが存在するに留まりました)。

 

以上の状況のもと、働き方改革関連法により、次のような改正が行われました。

 

 

(1)有期雇用(契約)労働者及び短時間労働者について

 

今回の改正では、「パートタイム労働法」を改正・改称した「短時間・有期雇用労働法」(正式には、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」といいます)において、有期雇用(契約)労働者と短時間労働者に共通するルールがまとめて規定されることになりました。

 

なお、この短時間・有期雇用労働法では、「事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者」(労働契約法で定める有期契約労働者と同様です)を「有期雇用労働者」といい、短時間労働者と併せて、「短時間・有期雇用労働者」といいます。

 

また、「短時間労働者」は、従来、「1週間の所定労働時間が同一の事業に雇用される通常の労働者に比し短い労働者」をいいましたが(即ち、事業所単位で判断されました)、改正後は、「1週間の所定労働時間が同一の事業に雇用される通常の労働者に比し短い労働者」のことをいい、事業主単位(企業単位)で判断されることに改められました(非正規雇用労働者自身が店長などの事業所の長であり、同一の事業所内に正規雇用労働者がいないようなケースもみられるためとされます)。

 

具体的には、有期契約労働者について「期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止」を定めていた労働契約法第20条は廃止され、同条の内容がパートタイム労働法第8条と統合されて、「不合理な待遇の禁止」を定める短時間・有期雇用労働法第8条へと見直されました(ここでは、従来より、不合理性の判断要素が明確化されています)。

 

さらに、短時間労働者について「通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止」を定めていたパートタイム労働法第9条が改められ、短時間・有期雇用労働法第9条において、有期雇用労働者も当該差別的取扱いの禁止の対象に含まれることになりました。

即ち、通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いが禁止されます。

 

いわゆる「同一労働同一賃金指針」と相まって、短時間・有期雇用労働者に対する不合理な待遇差の解消が強化されます。

 

 

(2)派遣労働者について

 

他方、派遣労働者については、「派遣元による均衡を考慮した待遇の確保のための措置」を定めた現行の労働者派遣法第30条の3(労働一般のパスワード)こちら))が大きく改められました。

即ち、派遣労働者について、従来、規定がなかった「不合理な待遇の相違の禁止」及び「派遣先の通常の労働者と同視すべき派遣労働者の差別的取扱いの禁止」の規定が改正後の労働者派遣法第30条の3において明記されました。

 

その際、原則として、派遣の通常の労働者との不合理な待遇の相違の禁止・差別的取扱いの禁止(派遣先均等・均衡方式。改正後の派遣法第30条の3第1項)が要請されます。

例外として、労使協定により一定の水準を満たす待遇を定めそれを遵守等する場合には、当該協定対象派遣労働者については、派遣先均等・均衡方式は適用されず、労使協定により定める均等待遇が適用されます(労使協定方式。第30条の4)。

 

この例外の労使協定方式については、派遣先労働者との均等・均衡方式を貫きますと、派遣労働者がキャリアを蓄積して派遣先を移動しても、派遣先労働者の賃金が低下する場合に、当該派遣労働者の賃金も低下し、派遣労働者の段階的・体系的なキャリア形成支援と不整合な事態を招きかねないことなどが考慮されたものです。

なお、一定の水準を満たす待遇を遵守等していない場合は、労使協定方式を利用できないことになり、いわば労使協定の内容の履行が制度利用の存続要件のような形となっている点が特徴です。

 

 

2 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

また、今回の改正により、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する事業主による待遇の相違の内容・理由等に関する説明義務が定められました。

 

従来、短時間労働者については、事業主が講ずる措置の内容等の説明義務パートタイム労働法第14条)が規定され、事業主に、短時間労働者の雇入れ時の説明義務同法第14条第1項)と待遇の決定に当たって考慮した事項の説明義務(待遇決定考慮事項の説明義務同条第2項)が課されていました。

 

しかし、このような説明義務は、有期労働契約者については規定がなく、派遣労働者については、派遣元事業主に「待遇に関する事項等の説明義務」(派遣法第31条の2)がありましたが、前記のパートタイム労働法第14条の説明義務に比べると不十分なものでした。

そこで、パートタイム労働法第14条を改正した短時間・有期雇用労働法第14条において、有期雇用労働者も対象とするとともに、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違内容及び理由についても、短時間・有期雇用労働者からの求めに応じて説明することが事業主に義務づけられ(第14条第2項)、説明義務が拡充されました。

また、派遣労働者についても、同内容の派遣元事業主の説明義務の規定(派遣法第31条の2)に見直されました。

 

 

3 紛争の解決等の整備

従来、パートタイム労働法においては、紛争の解決等として、次の制度が定められていました(リンクしている条文は、改正後のものです)。

 

(1)苦情の自主的解決(短時間・有期雇用労働法第22条)。

 

(2)都道府県労働局長による紛争の解決の援助(助言、指導又は勧告)(第24条

 

(3)調停の委任(第25条

 

(4)公表(第18条第2項

 

※ 上記の(2)及び公表(等)を、「行政による履行確保措置」といい、その他の(1)及び(3)(等)を「裁判外紛争手続」(ADR)ということがあります。

 

対して、従来、有期契約労働者については、かかる制度はありませんでしたが、短時間・有期雇用労働法において、有期雇用労働者もかかる制度の対象とされたほか、「不合理な待遇の禁止」(短時間・有期雇用労働法第8条)も紛争の解決の対象となる事項に含まれました(ただし、「不合理な待遇の禁止」は、「公表」の対象となる事項には含まれていません)。

 

また、派遣労働者についても、従来、紛争の解決等の制度がありませんでしたが、今回の改正により、上記の短時間・有期雇用労働法における紛争の解決等と同様の制度が定められました。

 

 

 

これにて、働き方改革関連法の概要を終わります。

 

 

・【平成30年8月26日作成(その後、数次の改訂あり)】

・令和2年度版【令和元年9月7日改訂】