平成30年度版

 

第2節 労働時間

序論 体系

まず、労働時間、休憩、休日に関する体系を掲載しておきます(すでに紹介しました)。

 

 

 

 

第1款 労働時間の原則

§1 法定労働時間

◆法定労働時間は、原則として、1週間について40時間1日について8時間となります(第32条)。

 

法定労働時間とは、法律上認められる労働時間の最長限度のことをいいます。

所定労働時間とは、就業規則等で定める始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間のことをいいます。

即ち、就業規則等において労働者が労働契約上労働すべき時間として定められた時間のことです

なお、労働時間とは、休憩時間を除いた実労働時間のことをいいますが、詳しくは、すぐ後の〔2〕で学習します。

 

【条文】

第32条(労働時間)

1.使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

 

2.使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

 

 

○趣旨

法定労働時間(労働時間の最長限度)を定めることにより、長時間労働を制限して、労働者の心身の保護等を図ろうとした趣旨です。  

 

〔1〕1週間及び1日の意義

一 1週間

 

「1週間」とは、就業規則等において別段の定めのない限り日曜から土曜までの暦週をいうとされます(【昭和63.1.1基発第1号】参考)。

 

 

二 1日

 

(一)「1日」とは、原則として、午前零時から午後12時までの暦日をいうとされます(1日について、労基法上、特別な定義規定がないことから、民法の一般原則に従うとされています。下記の民法第140条及び第141条参考)。

 

  

【参考条文 民法】

民法第140条  

日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

 

 

民法第141条(期間の満了)

前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。

 

 

(二)ただし、継続勤務が2暦日にわたる場合は、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とするとされます(上掲の【昭和63.1.1基発第1号】参考)。

以下、詳しく見ます。

 

1 例えば、16時間隔日勤務制(一般に、拘束時間が16時間あり、24時間(1日)前後の休日(休息)を置いてさらに同様の勤務をする制度のことをいいます。下記図参照)において、労働時間が午前零時をはさんで前後8時間ずつある場合は、暦日を単位として考えれば1日8時間の労働となってしまいますが、これでは長時間労働を制約しようとした第32条の法定労働時間の趣旨は実現できないことになります(連続16時間労働でも、時間外労働にならず、労基法による規制(罰則の適用、割増賃金の支払義務等)を受けないことになるからです。なお、時間外労働とは、法定労働時間を超える労働のことをいいます)。

そこで、本件では、前日から継続する16時間労働とみるべきであり、第32条第2項の1日8時間労働の制限に違反することになります。  

 

 

 

2 同様に、例えば、日勤の時間外労働が翌日に及んだ場合も、暦日の原則を適用して午前零時をもって分断しそれ以降の労働時間を翌日の労働と解すべきではなく、前日の労働時間の延長と解すべきとなります。

 

 

 

3 また、連続3交代勤務制の場合、例えば、次の図のように7時~15時、15時~23時、23時~翌日7時のシフトで交代制で勤務するケースも問題です。

 

この連続3交代勤務制の場合も、暦日を原則としますが、ただし、例外として、2暦日にわたる1勤務の場合(上記図の3番方のケース)は、暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、始業時刻の属する日の労働として当該日の1日の労働と取り扱われています(上記の2のルールの適用です)。

即ち、上記図の場合、1番方と2番方は、2暦日にわたって労働していないため、当該労働日の午前零時から午後12時までが1日と取り扱われます。

対して、3番方については、2暦日にわたって労働しているため(23時から翌日7時までの労働)、始業時刻の属する日から継続して1日と取り扱います。

(【昭和42.12.27基収第5675号】/【平成11.3.31基発第168号】参考)

 

例えば、この3番方が休憩なしで午前8時まで残業をしたとしますと、前日の23時から9時間連続労働となるため時間外労働になります。

この場合、午前0時で分断して、前日の23時からの1時間の労働と翌日の0時から午前8時までの8時間労働に分けるのではありません。これでは、不当に時間外労働が生じなくなるのです。

 

以上、法定労働時間の「1週間」及び「1日」という基本概念を押さえた上で、いよいよ次ページにおいて「労働時間」の問題に入ります。