令和5年度 労災保険法

令和5年度の労災保険法の本試験問題のインデックスを掲載します。

 

リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。

 

 

択一式

○【問1】=「心理的負荷による精神障害の認定基準について」の問題:

 

【令和5年問1】

 

▶「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月26日付け基発1226第1号)における「業務による心理的負荷の強度の判断」のうち、出来事が複数ある場合の全体評価に関する次の記述のうち誤っているものはどれか。

 

A 複数の出来事のうち、ぃずれかの出来事が「強」の評価となる場合は、業務による心理的負荷を「強」と判断する。

 

B 複数の出来事が関連して生じている場合、「中」である出来事があり、それに関連する別の出来事(それ単独では「中」の評価)が生じた場合には、後発の出来事は先発の出来事の出来事後の状況とみなし、当該後発の出来事の内容、程度により「強」又は「中」として全体を評価する。

 

C 単独の出来事の心理的負荷が「中」である複数の出来事が関連なく生じている場合、全体評価は「中」又は「強」となる。

 

D 単独の出来事の心理的負荷が「中」である出来事一つと、「弱」である複数の出来事が関連なく生じている場合、原則として全体評価も「中」となる。

 

E 単独の出来事の心理的負荷が「弱」である出来事が複数生じている場合、原則として全体評価は「中」又は「弱」となる。

 

 

 

○【問2】=併合認定に関する出題:

 

【令和5年問2】

 

▶ 業務上の災害により、ひじ関節の機能に障害を残し(第12級の6)、かつ、四歯に対し歯科補てつを加えた(第14級の2)場合の、障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級として正しいものはどれか。

 

A 併合第10級

B 併合第11級

C 併合第12級

D 併合第13級

E 併合第14級

 

 

 

○【問3】=過重負荷による脳・心臓疾患の認定基準に関する出題:(個数問題)

 

【令和5年問3】

 

▶「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(令和3年9月14日付け基発0914第1号)で取り扱われる対象疾病に含まれるものは、次のアからオの記述のうちいくつあるか。

 

ア 狭心症

イ 心停止(心臓性突然死を含む。)

ウ 重篤な心不全

工 くも膜下出血

オ 大動脈解離

 

A 一つ

B 二つ

C 三つ

D 四つ

E 五つ

 

 

 

○【問4】=労災年金と厚生年金・国民年金との間の併給調整に関する問題:(個数問題)

 

【令和5年問4】 

 

▶労災年金と厚生年金・国民年金との間の併給調整に関する次のアからオの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

なお、昭和60年改正前の厚生年金保険法、船員保険法又は国民年金法の規定による年金給付が支給される場合については、考慮しない。また、調整率を乗じて得た額が、調整前の労災年金額から支給される厚生年金等の額を減じた残りの額を下回る場合も考慮しない。

 

ア 同一の事由により障害補償年金と障害厚生年金及び障害基礎年金を受給する場合、障害補償年金の支給額は、0.73の調整率を乗じて得た額となる。

 

イ 障害基礎年金のみを既に受給している者が新たに障害補償年金を受け取る場合、障害補償年金の支給額は、0.83の調整率を乗じて得た額となる。

 

ウ 障害基礎年金のみを受給している者が遺族補償年金を受け取る場合、遺族補償年金の支給額は、0.88の調整率を乗じて得た額となる。

 

エ 同一の事由により遺族補償年金と遺族厚生年金及び遺族基礎年金を受給する場合、遺族補償年金の支給額は、0.80の調整率を乗じて得た額となる。

 

オ 遺族基礎年金のみを受給している者が障害補償年金を受け取る場合、障害補償年金の支給額は、0.88の調整率を乗じて得た額となる。

 

A 一つ

B 二つ

C 三つ

D 四つ

E 五つ

 

 

○【問5】=遺族補償年金に関する問題:

 

▶遺族補償年金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

【令和5年問5A】 

(妻である労働者の死亡当時、無職であった障害の状態にない50歳の夫は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものであるから、遺族補償年金の受給資格者である。)

 

【令和5年問5B】 

(労働者の死亡当時、負傷又は疾病が治らず、身体の機能又は精神に労働が高度の制限を受ける程度以上の障害があるものの、障害基礎年金を受給していた子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとはいえないため、遺族補償年金の受給資格者ではない。)

 

【令和5年問5C】 

(労働者の死亡当時、胎児であった子は、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとはいえないため、出生後も遺族補償年金の受給資格者ではない。)

 

【令和5年問5D】 

(労働者が就職後極めて短期間の間に死亡したため、死亡した労働者の収人で生計を維持するに至らなかった遺族でも、労働者が生存していたとすればその収入によって生計を維持する関係がまもなく常態となるに至ったであろうことが明らかな場合は、遺族補償年金の受給資格者である。)

 

【令和5年問5E】 

(労働者の死亡当時、30歳未満であった子のない妻は、遺族補償年金の受給開始から5年が経つと、遺族補償年金の受給権を失う。)

 

 

○【問6】=不服申し立てに関する問題:

 

▶労災保険給付に関する決定(処分)に不服がある場合救済手続に関する次の記述のうち、 正しいものはどれか。

 

【令和5年問6A】 

(労災保険給付に関する決定に不服のある者は、都道府県労働局長に対して審査請求を行うことができる。)

 

【令和5年問6B】 

(審査請求をした日から1か月経過しても審査請求についての決定がないときは、審査請求は棄却されたものとみなすことができる。)

 

【令和5年問6C】 

(処分の取消しの訴えは、再審査請求に対する労働保険審査会の決定を経た後でなければ、提起することができない。)

 

【令和5年問6D】 

(医師による傷病の治ゆ認定は、療養補償給付の支給に影響を与えることから、審査請求の対象となる。)

 

【令和5年問6E】 

(障害補償給付の不支給処分を受けた者が審査請求前に死亡した場合、その相続人は、当該不支給処分について審査請求人適格を有する。)

 

 

○【問7】=複数業務要因災害における給付基礎日額の算定に関する問題:

 

【令和5年問7】

 

▶新卒で甲会社に正社員として入社した労働者Pは、入社1年目の終了時に、脳血管疾患を発症しその日のうちに死亡した。

Pは死亡前の1年間、毎週月曜から金曜に1日8時間甲会社で働くと同時に、学生時代からパートタイム労働者として勤務していた乙会社との労働契約も継続し、日曜に乙会社で働いていた。

また、死亡6か月前から4か月前は丙会社において、死亡3か月前から死亡時までは丁会社において、それぞれ3か月の期間の定めのある労働契約でパートタイム労働者として、毎週月曜から金曜まで甲会社の勤務を終えた後に働いていた。

Pの遺族は、Pの死亡は業務災害又は複数業務要因災害によるものであるとして所轄労働基準監督署長に対し遺族補償給付又は複数事業労働者遺族給付の支給を求めた。

当該署長は、甲会社の労働時間のみでは業務上の過重負荷があったとはいえず、Pの死亡は業務災害によるものとは認められず、また甲会社と乙会社の労働時間を合計しても業務上の過重負荷があったとはいえないが、甲会社と丙会社・丁会社の労働時間を合計した場合には業務上の過重負荷があったと評価でき、個体側要因や業務以外の過重負荷により発症したとはいえないことから、Pの死亡は複数業務要因災害によるものと認められると判断した。

Pの遺族への複数事業労働者遺族給付を行う場合における給付基礎日額の算定に当たって基礎とする額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

A 甲会社につき算定した給付基礎日額である。

 

B 甲会社・乙会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

 

C 甲会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

 

D 甲会社・丙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。

 

E 甲会社・乙会社・丁会社それぞれにつき算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額である。 

 

 

 

 

選択式

次の文中の   の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

 

1 労災保険法第14条第1項は、「休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による  のため労働することができないために賃金を受けない日の第  日日から支給するものとし、その額は、1日につき給付基礎日額の  に相当する額とする。ただし、労働者が業務上の負傷又は疾病による  のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日若しくは賃金が支払われる休暇(以下この項において「部分算定日」という。)又は複数事業労働者の部分算定日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(第8条の2第2項第2号に定める額(以下この項において「最高限度額」という。)を給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、同号の規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額)から部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあつては、最高限度額に相当する額)の  に相当する額とする。」と規定している。

 

 

2 社会復帰促進等事業とは、労災保険法第29条によれば、①療養施設及びリハビリテーション施設の設置及び運営その他被災労働者の円滑な社会復帰促進に必要な事業、②被災労働者の療養生活・介護の援護、その遺族の就学の援護、被災労働者及びその遺族への資金貸付けによる援護その他被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業、③業務災害防止活動に対する援助、  に関する施設の設置及び運営その他労働者の安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに  の支払の確保を図るために必要な事業である。

 

 

選択肢:

 

①100分の50 ②100分の60 ③100分の70 ④100分の80

⑤2 ⑥3 ⑦4 ⑧7

 

⑨苦痛 ⑩健康診断 ⑪災害時避難 ⑫食費

⑬治療費 ⑭賃金 ⑮通院 ⑯能力喪失

⑰防災訓練 ⑱保護具費 ⑲療養 ⑳老人介護 

 

 

 

 

選択式解答

A=⑲「療養」(第14条第1項

 

B=⑦「4」(同上)

 

C=②「100分の60」(同上)

 

D=⑩「健康診断」(第29条第1項第3号

 

E=⑭「賃金」(同上)

 

 

 

選択式の論点とリンク先

問1は、休業補償給付の支給要件と支給額に関する出題ですが、非常に基本的な内容です。

3つの空欄のすべてを正解することが望まれます。

 

問2は、社会復帰促進等事業に関する第29条第1項から、「安全衛生確保・賃金支払確保等事業」についての出題です。

これも難しいとはいえません。

 

通常の学習によって、合計4点から5点の得点は可能となる内容です(平均点は、前回(3.3点)から3.9点に上がりました。今回の選択式の科目の中で、最も平均点が高かったです)。

 

 

1 問1(空欄のA~C)

 

問1(こちら)は、休業補償給付の支給要件と支給額に関する出題です。

本文は、こちら以下であり、基本的な要件や効果をおろそかにしてはいけないことには注意です。

 

ちなみに、当サイトの「令和5年版 直前対策講座」では、労災保険法のその2の【問2】(こちら) において、「第4日目」が的中しています(当サイトでは、「部分算定日」の箇所にヤマを張っていました)。 

 

 

 

2 問2(空欄のD及びE)

 

問2(こちら)は、社会復帰促進等事業に関する第29条第1項から、「安全衛生確保・賃金支払確保等事業」についての出題です。

空欄のDについては、施設の設置であり、選択肢を見ると、⑩「健康診断」か、⑲「療養」、⑰「防災訓練」あたりが入りそうです。

このうち、⑲「療養」は、空欄のAで使用済みですから(また、設問の①にすでに「療養施設」とあり、重複します)、カットできます。

⑰「防災訓練」は、消防関係が想起され、安全衛生確保と無関係とは言えなさそうですが、労災保険で「防災」という用語は使用されないことも考慮しますと、⑩「健康診断」がふさわしいとなります。

やはり、日ごろの条文の読み込みは重要であるといえます。

 

空欄のEについては、その直後に「の支払の確保」とありますから、「賃金」が自然につながります。

 

ちなみに、当サイトの「令和5年版 直前対策講座」では、労災保険法のそのの【問1】(こちら)において、「賃金の支払の確保」が的中しています。

 

 

 

総評

今回は、選択式は、楽に基準点を上回ることができました。

問2(こちら)の出題を見ますと、基本的な条文のチェックは重要であることがわかります。

 

対して、択一式は、問1と問7は、厄介であり、問4も複数の論点があり、かつ、個数問題であるため、厳しく、問3も改正事項への対応状況によっては難しく感じる方がおられると思います。

問5も、正解肢が通達からの出題であること、問6も正解肢を含む肢DとEが頻出論点ではないことから、簡単ではありません。

徴収法を含めた択一式の平均点は、昨年度(4.3点)より高いですが(4.5点)、昨年度の労災保険法の択一式も難しかったです。

 

当サイトの労災保険法を学習されていた場合は、択一式についても合格点の確保が可能でしたが、内容的には厳しかったです。

なお、択一式について、当サイトで直接的な記載がなかったのは、【令和5年問6E】だけでした。

 

 

 

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