平成30年度版

 

第1節 強制加入被保険者

強制加入被保険者(一定の要件に該当する場合に法律上当然に被保険者になるもの)は、第1号被保険者第2号被保険者及び第3号被保険者という3つの種別に区別されています(第7条第1項本文)。

国民年金の保険料の納付義務の有無等の違いによる区別です。

 

まず、被保険者の要件(性格)を簡単に説明します。以下の(1)~(3)のセンテンスがすらすらと出てくるように暗記する必要があります。

 

〇 国民年金の強制加入被保険者:

 

(1)第1号被保険者

 

第1号被保険者とは、日本国内住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、第2号被保険者及び第3号被保険者のいずれにも該当しないものです。

ただし、厚生年金保険法に基づく老齢給付等受給権者除きます第7条第1項第1号)。

 

第1号被保険者は、自営業者、無職者等を対象とします。

 

 

(2)第2号被保険者

 

第2号被保険者とは、厚生年金保険の被保険者のことです(第7条第1項第2号)。

ただし、65歳以上の者にあっては、老齢退職年金給付の受給権有しない者に限ります(法附則第3条)。

 

第2号被保険者は、被用者(事業所に使用される者)を対象とします。

 

 

(3)第3号被保険者

 

第3号被保険者とは、被扶養配偶者第2号被保険者配偶者であって、主として第2号被保険者収入により生計維持するもの。第2号被保険者であるものは除きます)のうち、20歳以上60歳未満のものです(第7条第1項第3号)。

 

第3号被保険者は、被用者の被扶養配偶者を対象とします。

 

 

以上の各被保険者の要件のうち、第1号被保険者について、「厚生年金保険法に基づく老齢給付等の受給権者」は除外される点、及び第2号被保険者について、「65歳以上の者であって老齢退職年金給付の受給権を有する者」は除外される点は、混同しやすいため、ゴロ合わせにより覚えておきます。

 

※【ゴロ合わせ】

・「1号はゴロツキだが2号は向こうで労働する

(兄弟の話です。1号はゴロツキですが、2号は出稼ぎに行って懸命に労働するという好対照の兄弟でした。)

 

→「1号(=第「1号」被保険者)は、ゴ・ロ(=「厚」生年金保険法に基づく「老」齢給付等の受給権者)ツキだが、

2号(=第「2号」被保険者)は、向こう(=「65」歳以上)で・労働(=「老」齢退職年金給付)する」

 

 

以下、それぞれの被保険者を順に見ていきます。

 

なお、強制加入被保険者についての過去問は、基本的に、第3号被保険者の終了後のこちら以下で掲載しています(その他、若干、本文中でも掲載しています)。

 

 

第1款 第1号被保険者

◆第1号被保険者とは、日本国内住所を有する20歳以上60歳未満の者であって、第2号被保険者及び第3号被保険者いずれにも該当しないものです。

ただし、厚生年金保険法に基づく老齢給付等の受給権者除きます第7条第1項第1号)。

 

※ なお、上記のただし書の部分は、従来は、「被用者年金各法に基づく老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であって政令で定めるもの(以下「被用者年金各法に基づく老齢給付等」という。)を受けることができる者を除く。」と規定されていました。

 

しかし、被用者年金一元化法による改正(平成27年10月1日施行)に伴い、公務員等も厚生年金保険制度に加入することとして、共済年金制度が厚生年金保険制度に統合されることに改められました。

これによって、「被用者年金各法」という概念は使用されなくなり(「被用者年金各法」について規定していた第5条第1項が削除されました)、「厚生年金保険法」に置き換わりました。

以下の国年法の他の規定においても、一元化法による改正前に「被用者年金各法」とあったものは、基本的に「厚生年金保険法」に改められています。

 

以下、まず、「発生」に関する問題として、「資格の取得」から学習します。

 

 

§1 発生(資格の取得)

発生に関する問題として、資格の取得について、次の問題を見ます。

 

〇 発生(資格の取得)に関する問題:

 

1 要件 = 資格の取得の要件

 

2 資格の取得時期

 

3 効果 = 資格の取得の効果

 

なお、上記の2の「資格の取得時期」の問題は、3の「効果」の中で位置づけることも可能です。

当サイトでは、資格の取得時期の問題が、資格の取得事由(資格の取得の要件)の問題と密接であり、両者を関連して押さえる必要があること(その他にサイト上の項目の見やすさ)などを考慮して、便宜上、2として「資格の取得時期」を独立に位置づけています。

 

 

〔1〕要件(資格の取得の要件)

◆第1号被保険者の資格を取得するためには、次の一~四いずれの要件も満たすことが必要です(第7条第1項第1号)。

つまり、第1号被保険者の資格取得の要件は、次の一~四ということです。

以下の要件は、暗記必須です。

 

○ 第1号被保険者の要件:

 

一 日本国内住所を有すること(= 住所要件。国内居住要件)

 

二 20歳以上60歳未満の者であること(= 年齢要件)

 

三 第2号被保険者及び第3号被保険者いずれにも該当しないものであること

 

四 厚生年金保険法に基づく老齢給付等の受給権者でないこと

 

 

第1号被保険者は、基本的には、第2号被保険者(被用者)及び第3号被保険者(被用者の被扶養配偶者)に該当する者以外のものであって、国内居住の20歳以上60歳未満の者です。従って、第1号被保険者は、被用者及び被用者の被扶養配偶者以外の者となりますから、自営業者、無職者、農林水産業者、学生、厚年法等が適用されないパート労働者等を対象としています。

なお、第1号被保険者は、国民年金法第7条第1項第1号に規定されていることから、「第1号」被保険者といいます。第2号被保険者以下も同様です。

 

 

【条文】

※ 次の第7条第1項第1号が、今まで説明してきた事項です。

被用者年金一元化法の施行により下線部分が改められました(平成27年10月1日施行)。

 

第7条(被保険者の資格)

1.次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金被保険者とする。

 

一 日本国内住所を有する20歳以上60歳未満の者であつて次号〔=第2号被保険者及び第3号〔=第3号被保険者〕のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)に基づく老齢を支給事由とする年金たる保険給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であつて政令〔=施行令第3条〕で定めるもの(以下「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」という。)を受けることができる者除く。以下「第1号被保険者」という。)

 

二 厚生年金保険の被保険者(以下「第2号被保険者」という。)

 

三 第2号被保険者配偶者であつて主として第2号被保険者の収入により生計を維持するもの(第2号被保険者である者く。以下「被扶養配偶者」という。)のうち20歳以上60歳未満のもの(以下「第3号被保険者」という。)

 

2.前項第3号の規定の適用上、主として第2号被保険者の収入により生計を維持することの認定に関し必要な事項は、政令〔=施行令第4条(被扶養配偶者の認定)〕で定める。

 

3.前項の認定については、行政手続法(平成5年法律第88号)第3章〔=不利益処分〕(第12条〔=処分の基準を定める努力義務〕及び第14条〔=不利益処分の理由の提示義務〕を除く。)の規定は、適用しない。

 

 

以下、第1号被保険者の要件を詳しく見ます。

今後、被保険者の要件に関する問題では細かい知識が多数登場してきますが、どの要件の問題を学習しているのかを意識して下さい。

 

 

一 日本国内に住所を有すること = 住所要件

(一)日本国内に住所を有すること

第1号被保険者は、「日本国内に住所を有する」者であることが必要です(当サイトでは、簡潔に「国内居住」と表現することが多いです)。

 

 

1 国内居住要件 

 

強制加入被保険者のうち、国内居住要件が問われるのは、第1号被保険者のみです。

【過去問 平成21年問5A(後掲)】

(なお、任意加入被保険者についても、国内居住要件が問われるものがあります。)

 

 

2 住所

 

◆「住所」とは、「各人の生活の本拠」をいいます(民法第22条参考)。

 

「生活の本拠」とは、実質的に生活を営む場所のことをいい(実質主義)、戸籍法の本籍地などの形式的な場所のこと(形式主義)ではありません。ただし、一般的には、住民基本台帳上の住民票がある場所が住所とされることが多いです。

 

この「住所(生活の本拠)」を具体的に判断する基準については、一般には、「客観的事実を総合して判断すべきもの」とされています(客観説。【最判昭和27.4.15】(もっとも、この判例は、農地買収の法律関係上、在地地主と認められるかが問題となったケースです(旧自作農創設特別措置法上の住所の問題))。

 

ただし、本件の第7条第1項第1号の住所について、通達(【平成24.6.14年管管発0614第4号】は、次の通り、当該居住者の主観的意思も考慮しています(国民年金資格取得届の提出等の客観的事実により確認することは必要としています)。

(この通達は、直接的には、日本国内に居住する外国人についてのものですが、上記住所についての判断は、外国人以外についても妥当する余地があります。)

 

以上について、試験対策上は、次の通達の太字部分をチェックして下さい。

 

・【平成24.6.14年管管発0614第4号】(一部抜粋〔全文は、のちに掲載します〕)

 

「2 住所の意義及び認定

国民年金法第7条に規定する住所とは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第10条〔=地方自治法第10条〕の住民としての住所と同一であり、各人の生活の本拠をいうものである。

住所の認定に当たっては、客観的居住の事実基礎とし、これに当該居住者の主観的意思総合して決定すること。住所の認定に疑義がある場合には、事実の調査を行い、関係市町村とも協議のうえ、その真実の発見に努めるものとする。

 

3 住所確認方法について

住所の確認を行う必要がある場合は、客観的居住の事実を一定の信頼が得られると判断できる書類等により確認を行うこと。

また、主観的意思は国民年金資格取得届の提出等客観的事実により確認すること。」

 

 

【参照条文 民法】

民法第22条(住所)

各人の生活の本拠をその者の住所とする。

 

 

民法第23条(居所)

1.住所が知れない場合には、居所を住所とみなす。

 

2.日本に住所を有しない者は、その者が日本人又は外国人のいずれであるかを問わず、日本における居所をその者の住所とみなす。ただし、準拠法を定める法律に従いその者の住所地法によるべき場合は、この限りでない。

 

 

【地方自治法】

地方自治法第10条

1.市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする。

 

2.住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。

 

 

 

※ なお、外国人についての第1号被保険者の資格取得時期、資格喪失時期等については、すべての被保険者の学習の終了後に説明します(こちらです)。 

 

 

(二)国籍要件

なお、国民年金強制加入被保険者要件として、国籍要件不要です(強制加入被保険者すべてに共通します。ただし、任意加入被保険者については、日本国籍が要件となることがあります)。 【過去問 平成15年問1B(後掲)】

 

従って、外国人についても、被保険者の要件を満たすときは、国民年金の被保険者となります

 

昭和57年1月1日から、国籍要件が撤廃されました。

即ち、昭和56年12月31日までは、国民年金の被保険者の(資格取得の)要件として日本国民であることという国籍要件が定められていましたが、難民の地位に関する条約等への加入に伴い、昭和57年1月1日からは、国籍要件を不要とすることに改められました。

 

次に、2番目の要件です。 

 

 

二 20歳以上60歳未満の者であること = 年齢要件

この年齢要件は、旧国民年金法の被保険者の年齢要件を引き継いだものです。

旧法がこの年齢要件を定めた理由は、旧法の制定当時、自営業者等が生産活動を行う年齢(従って、保険料負担能力があるといえる年齢)が一般に20歳以上60歳未満であると考えられたことにあるとされています。

 

次の最高裁判例が参考になります(「序論」(こちら)で、保険制度に関連して引用した判例です)。

 

・【最判平成19.10.9(学生無年金障害者訴訟)】

 

「国民年金制度は、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯によって防止することを目的とし、被保険者の拠出した保険料を基として年金給付を行う保険方式を制度の基本とするものであり(法1条,87条)、雇用関係等を前提とする厚生年金保険法等の被用者年金各法の適用対象となっていない者(農林漁業従事者、自営業者等)を対象とする年金制度として創設されたことから、強制加入被保険者の範囲を、就労し保険料負担能力があると一般に考えられる年齢によって画することとし、他の公的年金制度との均衡等をも考慮して、原則として20歳以上60歳未満の者としたものである(昭和60年改正前の法7条1項)。そして、国民共通の基礎年金制度を導入し被用者年金各法の被保険者等をも国民年金の強制加入被保険者とすることとした昭和60年改正においても、第1号被保険者(平成元年改正前の法7条1項1号)の範囲を原則として上記の年齢によって画することとしたものである。」

 

 

なお、年齢の計算方法については、次のページの資格の取得時期の個所で触れます。

次に、3番目の要件です。 

 

 

三 第2号被保険者及び第3号被保険者のいずれにも該当しないものであること

第1号被保険者の要件として、「第2号被保険者及び第3号被保険者のいずれにも該当しないものであること」が必要です。

従って、強制加入被保険者に該当するかどうか判断の手順としては、まずは、第2号被保険者又は第3号被保険者に該当するかどうかを考えることになり、これらに該当しない場合に、第1号被保険者に該当するかどうかが問題となります。

 

最後に、4番目の要件です。 

 

 

四 厚生年金保険法に基づく老齢給付等の受給権者でないこと

(一)趣旨

1 厚生年金保険法に基づく老齢給付等の受給権者 

 

国内居住の20歳以上60歳未満の者であっても、厚生年金保険法に基づく老齢給付等の受給権者は第1号被保険者から除外されています。

これは、60歳未満であっても、すでに老齢給付等の受給権を取得した者については、国民年金の被保険者の資格を継続させる必要性は少ないですし、老齢給付等の受給権者に引き続き国民年金の保険料の納付を強制するのは酷でもあることを考慮したものといえます(ただし、後述のように、この者が任意加入することは認められます。年金額の増額を目的とするものです)。

 

なお、この四の要件は、60歳未満で「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」の受給権を取得した場合に問題になります(60歳以上なら、当然に第1号被被保険者にはならないからです)。

国民年金(老齢基礎年金旧法の老齢年金等)の場合は、旧法以来、65歳からの支給であるため、この四の要件対象とはなっていません

 

この四の要件が問題になる代表例は、厚生年金保険法の第3種被保険者(坑内員又は船員である厚生年金保険の被保険者)です(昭和60年改正法附則第5条第12号参考)。

この第3種被保険者は、昭和29年4月1日以前生まれの者であるときは、59歳未満で老齢厚生年金の支給が受けられます(坑内員又は船員としての労働の過酷さ(長期間の就業が困難であること)を考慮して、早期からの老齢給付の支給を認めたものです。詳細は、厚生年金保険法で学習しますが、国年法においても「保険料納付済期間」のこちらで触れています)。

(その他、被用者年金一元化法の施行により、公務員等が厚生年金保険制度の対象となりましたが、公務員等の場合も60歳未満で老齢給付等を受けられる場合があります。)

 

 

2 障害給付・遺族給付の受給権者

 

他方、国民年金法や厚生年金保険法に基づく障害給付遺族給付の受給権者であっても、第1号被保険者該当します。【過去問 平成25年問2エ(後掲。遺族給付の受給権者である出題)】

 

障害給付・遺族給付の受給権者であっても、保険料納付済期間又は保険料免除期間を増加させて、10年(原則)以上の受給資格期間を満たすことにより、老齢給付(老齢基礎年金及び老齢厚生年金)の受給権を取得する必要があるからです(障害給付や遺族給付は、支給停止や失権の対象となる範囲が広いため(例えば、障害等級に該当しなくなると、障害給付は支給停止になりますし、再婚しますと、遺族給付は失権します)、老齢給付の受給権を確保する必要が大きいのです。

(なお、後に学習しますが、障害給付の受給権者については、国民年金の保険料は原則として免除されるため(法定免除。第89条第1項第1号)、その保護も図られています。) 

 

 

(二)厚生年金保険法に基づく老齢給付等の例

「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」(「厚生年金保険法に基づく老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であって政令で定めるもの」)とは、具体的には以下の1~8が定められています(施行令第3条)。

さしあたり、3まで読んで下さい。

 

1 厚生年金保険法による老齢厚生年金、及び旧厚生年金保険法(昭和61年4月1日前に施行されていたものです。以下、「旧厚年法」ということがあります)による老齢年金

 

2 旧船員保険法による老齢年金

 

※ 船員保険法による職務外の年金部門は、昭和61年4月1日から厚生年金保険に統合されました。この前に施行されていた旧船員保険法に基づき支給される老齢年金です。

 

3 平成24年一元化法改正前共済年金のうち退職共済年金、及び昭和60年改正(昭和61年4月1日施行)前の旧共済各法による退職年金減額退職年金

 

以上までは、押さえておいて下さい。以下、上記の3について、定義等の細かい説明になります。初学者の方は、深入りしないで結構です。次のページにお進み下さい。

受験経験者の方も、太字部分をざっと確認する程度で結構です。 

 

 

※ 共済各法による老齢退職年金給付について: 

 

◆共済各法による老齢退職年金給付として、昭和60年改正昭和61年4月1日施行以後一元化法による改正平成27年10月1日施行共済各法に基づいて支給される共済年金(「平成24年一元化法改正前共済年金」。昭和61年4月1日から平成27年9月30日までに、共済各法に基づき受給権が発生した共済年金ということです)である「退職共済年金」があります。

 

なお、平成27年10月1日(一元化法の施行日)以後に受給権が発生した共済年金は、厚生年金保険法の「老齢厚生年金」に統一されました。

 

他方、昭和60年改正昭和61年4月1日施行の旧法(共済各法)に基づき支給される共済年金(昭和61年4月1日前に旧共済各法に基づき受給権が発生した共済年金ということです)として、「退職年金」(退職共済年金に相当するものです)及び「減額退職年金」(退職年金の支給の繰上げを行い減額されたものをいいます)があります。

 

(なお、退職共済年金や退職年金(以下、減額退職年金等も含め「退職共済年金等」ということがあります)は、本来は、退職した場合に支給されるものであり、老齢年金と同一のものではありませんが、実際上は、退職共済年金等は老齢厚生年金と共通する部分が多いです。)

 

(1)「平成24年一元化法改正前共済年金」と「旧共済各法による共済年金」

 

上記の3(こちら)のうち、「平成24年一元化法改正前共済年金」とは、大まかには、「平成24年一元化法」(当サイトでは、「被用者年金一元化法」又は「一元化法」ということが多いです)による改正(平成27年10月1日施行)であって、昭和60年改正(昭和61年4月1日施行)以後共済各法(例えば、国家公務員の場合は、「国家公務員共済組合法」)による共済年金のことです(施行令第1条の2第3号ハ)。

換言しますと、大まかには、被用者年金一元化法による改正であって、昭和61年4月1日以後に受給権が発生した共済年金のことです。

 

また、上記3には、昭和60年改正(昭和61年4月1日施行)旧共済各法(例えば、国家公務員の場合は、「国家公務員共済組合法」による共済年金(大まかには、昭和61年4月1日前に受給権が発生した共済年金のことです)も含まれています(同上の施行令第1条の2第3号ハ)。

 

一元化法による改正前の共済年金については、昭和61年4月1日を境に、旧法(旧共済各法)と新法(共済各法)が区別されていただけでしたが、一元化法による改正後は、更に一元化法の施行日(平成27年10月1日)を境とする区別も生じたということです。

一元化法の施行日以後に受給権が発生した公務員等に係る老齢(退職)年金給付は、厚生年金保険法の老齢厚生年金となるからです。

 

なお、これらの「平成24年一元化法改正前共済年金」及び「昭和60年改正前の旧共済各法による共済年金」については、基本的に、被用者年金一元化法による改正前の共済各法等の規定が適用されます(厚年法で若干触れます)。

 

以上、「平成24年一元化法改正前共済年金」等の施行令における定義条文は、施行令第1条の2(市町村が処理する事務)第3号ハ(こちら)です。

また、厚年法の一元化法の定義の個所でもまとめてあります(厚年法のこちら以下)。

 

共済年金については、用語がややこしいですが、厚年法を学習しますと、自然に慣れますので、さしあたり余り深入りしないで結構です(上記の共済各法に関する定義は、試験対象とはしにくいです)。

 

 

(2)「平成24年一元化法改正前共済年金のうち退職共済年金」等の詳細

 

上記の3(こちら)の「平成24年一元化法改正前共済年金のうち退職共済年金」等とは、具体的には、以下の(ⅰ)から(ⅳ)の通りです(施行令第3条第3号以下)。

条文では、「共済各法」について、例えば、国家公務員の場合は「国家公務員等共済組合法」として、個別の共済各法ごとに規定されています。

以下、条文の概要を参考程度に掲載しておきます(例外等の細部については省略し、枠組みのみ掲載しています)。

 

(ⅰ)国家公務員について(施行令第3条第3号

 

・「平成24年一元化法改正前国共済年金」〔=一元化法による改正前であって、昭和60年改正以後の「家公務員共済組合法」による年金である給付のことです(施行令第1条の2第3号ハ)〕のうち退職共済年金

 

・昭和60年改正(昭和61年4月1日施行)前の「国家公務員共済組合法」(「国家公務員共済組合法」といいます)による退職年金及び減額退職年金

 

 

(ⅱ)地方公務員について(施行令第3条第4号

 

・「平成24年一元化法改正前地共済年金」〔=一元化法による改正前であって、昭和60年改正以後の「方公務員共済組合法」による年金である給付のことです(施行令第1条の2第3号ハ)〕のうち退職共済年金

 

・昭和60年改正(昭和61年4月1日施行)前の「地方公務員共済組合法」(「地方公務員等共済組合法」といいます)による退職年金及び減額退職年金

 

(ⅲ)私学教職員について(施行令第3条第5号

 

・「平成24年一元化法改正前私学共済年金」〔=一元化法による改正前であって、昭和60年改正以後の「私立学校教職員共済組合法」による年金である給付のことです(施行令第1条の2第3号ハ)〕のうち退職共済年金

 

・昭和60年改正(昭和61年4月1日施行)前の「私立学校教職員共済組合法」(「私立学校教職員共済組合法」といいます)による退職年金及び減額退職年金

 

(ⅳ)その他

 

・移行農林共済年金のうち退職共済年金、並びに移行農林年金のうち退職年金及び減額退職年金(施行令第3条第6号) 

 

 

※ なお、前記の(二)「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」の例としては、以上の3までの他に、以下の4~8も規定されています(が、覚えなくてよいでしょう)。

 

4 恩給法による給付であって退職を支給事由とするもの(施行令第3条第7号)

 

5 地方公務員の退職年金に関する条例による年金たる給付であって退職を支給事由とするもの(同条第8号)

 

6 旧執行官法による年金たる給付であって退職を支給事由とするもの(同条第9号)

 

7 国会議員互助年金法を廃止する法律(互助年金廃止法)附則に規定する普通退職年金、及び旧国会議員互助年金法の普通退職年金(同条第10号)

 

8 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律(平成23年地共済改正法)附則に規定する存続共済会が支給する旧退職年金、及び同附則の特例退職年金(同条第11号)

 

※ 従来は、地方議会議員共済会が退職年金等を支給していましたが(いわゆる議員年金です)、この地方議会議員の年金制度が廃止されたため(平成23年6月1日施行の改正)、上記の8については、廃止前の退職年金等が該当します。

なお、地方議会議員共済会が支給する退職年金については、【平成21年問5C】で出題がありました。   

 

 

以下、上記の「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」を定めた施行令第3条を掲載しておきます。読まなくて結構です(読む場合は、第1号、第3号、第4号、第5号のみで足ります)。 

 

【施行令】

※ なお、この施行令第3条は、被用者年金一元化法整備政令(「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係政令等の整備に関する政令」。【平成27.9.30政令第342号】)により、下線部分が改められています(平成27年10月1日施行)。

(条文に付されている下線部分は、単に改正個所を示しているにすぎず、必ずしも試験対策上重要な個所というわけではありません。以下同様です。)

 

なお、今後掲載します条文の始めの部分においても、上記のような改正の経緯等を記載した個所がありますが、読む必要はありません。

 

施行令第3条(法第7条第1項第1号の政令で定める老齢又は退職を支給事由とする給付)

 

法第7条第1項第1号に規定する老齢又は退職支給事由とする給付であつて政令で定めるものは、次のとおりとする。

 

一 厚生年金保険法による老齢厚生年金及び昭和60年改正法第3条の規定による改正前の厚生年金保険法(以下「旧厚生年金保険法」という。)による老齢年金

 

二 昭和60年改正法第5条の規定による改正前の船員保険法(昭和14年法律第73号。以下「旧船員保険法」という。)による老齢年金

 

三 平成24年一元化法改正前国共済年金〔=この定義は施行令第1条の2第3号ハで規定〕のうち退職共済年金(国家公務員共済組合法の長期給付に関する施行法(昭和33年法律第129号)第10条第2項の規定によりその全額につき支給を停止されているものを除く。)並びに国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第105号。以下「昭和60年国家公務員共済改正法」という。)第1条の規定による改正前の国家公務員等共済組合法(昭和33年法律第128号。以下「旧国家公務員等共済組合法」という。)及び昭和60年国家公務員共済改正法第2条の規定による改正前の国家公務員等共済組合法の長期給付に関する施行法(以下「旧国の施行法」という。)による退職年金(旧国家公務員等共済組合法第77条第2項の規定によりその全額につき支給を停止されているものを除く。)及び減額退職年金

 

三の二 平成24年一元化法附則第41条第1項〔=国家公務員共済組合員に係る追加費用対象期間を有する者の特例〕の規定による退職共済年金

  

四 平成24年一元化法改正前地共済年金〔=この定義は施行令第1条の2第3号ハで規定〕のうち退職共済年金(地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法(昭和37年法律第153号)第17条の規定によりその全額につき支給を停止されているものを除く。)並びに地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第108号。以下「昭和60年地方公務員共済改正法」という。)第1条 の規定による改正前の地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号。第11章を除く。以下「旧地方公務員等共済組合法」という。)及び昭和60年地方公務員共済改正法第2条の規定による改正前の地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法(以下「旧地方の施行法」という。)による退職年金(旧地方公務員等共済組合法第79条第2項の規定によりその全額につき支給を停止されているものを除く。)及び減額退職年金

 

四の二 平成24年一元化法附則第65条第1項〔=地方公務員共済組合員に係る追加費用対象期間を有する者の特例〕の規定による退職共済年金

 

五 平成24年一元化法改正前私学共済年金〔=この定義は施行令第1条の2第3号ハで規定〕のうち退職共済年金(私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律(昭和36年法律第140号)附則第15項の規定によりその全額につき支給を停止されているものを除く。)並びに私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第106号)第1条の規定による改正前の私立学校教職員共済組合法(昭和28年法律第245号。以下「旧私立学校教職員共済組合法」という。)による退職年金旧私立学校教職員共済組合法第25条第2項において準用する旧国家公務員等共済組合法第77条第2項の規定によりその全額につき支給を停止されているものを除く。)及び減額退職年金

 

六 移行農林共済年金(厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律(平成13年法律第101号。以下「平成13年統合法」という。)附則第16条第4項に規定する移行農林共済年金をいう。第6条の5第1項第2号において同じ。)のうち退職共済年金並びに移行農林年金(平成13年統合法附則第16条第6項に規定する移行農林年金をいう。第4条の8第2項第7号及び第6条の5第2項第8号において同じ。)のうち退職年金(旧制度農林共済法(平成13年統合法附則第2条第1項第5号に規定する旧制度農林共済法をいう。第6条の5第2項第8号において同じ。)第36条第1項ただし書の規定によりその全額につき支給を停止されているものを除く。)及び減額退職年金

 

七 恩給法(大正12年法律第48号。他の法律において準用する場合を含む。)による給付であつて退職を支給事由とするもの

 

八 地方公務員の退職年金に関する条例による年金たる給付であつて退職を支給事由とするもの(年齢を理由としてその全額につき支給を停止されているものを除く。)

 

九 執行官法の一部を改正する法律(平成19年法律第18号)による改正前の執行官法 (昭和41年法律第111号。以下「旧執行官法」という。)附則第13条の規定による年金たる給付であつて退職を支給事由とするもの(年齢を理由としてその全額につき支給を停止されているものを除く。)

 

十 国会議員互助年金法を廃止する法律(平成18年法律第1号。以下この号、第4条の8第1項第6及び第6条の5第1項第11号において「互助年金廃止法」という。)附則第7条第1項の普通退職年金(互助年金廃止法附則第7条第2項の規定によりその例によることとされる互助年金廃止法による廃止前の国会議員互助年金法(昭和33年法律第70号)第15条第1項の規定によりその支給を停止されているものを除く。)及び旧国会議員互助年金法(互助年金廃止法附則第2条第1項の規定によりなおその効力を有することとされる互助年金廃止法による廃止前の国会議員互助年金法をいう。以下この号、第4条の8第1項第6号及び第6条の5第1項第11号において同じ。)第9条第1項の普通退職年金(旧国会議員互助年金法第15条第1項の規定によりその支給を停止されているものを除く。)

 

十一 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律(平成23年法律第56号。以下この号及び第6条の5第1項第12号において「平成23年地共済改正法」という。)附則第23条第1項第3号に規定する存続共済会(第4条の8第1項第7号及び第6条の5第1項第12号において「存続共済会」という。)が支給する平成23年地共済改正法附則第2条の旧退職年金(同条の規定によりなお従前の例によることとされる平成23年地共済改正法による改正前の地方公務員等共済組合法第164条第1項の規定によりその支給を停止されているものを除く。)及び平成23年地共済改正法附則第12条第1項の特例退職年金(同条第2項の規定によりその例によることとされる平成23年地共済改正法附則第2条の規定によりなお従前の例によることとされる平成23年地共済改正法による改正前の地方公務員等共済組合法第164条第1項の規定によりその支給を停止されているものを除く。)

 

 

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