令和6年度版

 

§2 地方厚生局長等への厚生労働大臣の権限の委任

一 国民年金法に規定する厚生労働大臣権限財務大臣に委任される滞納処分等に係る権限第109条の5第1項及び第2項。次のページのこちら)並びに第10章(国民年金基金及び国民年金基金連合会。※1)に規定する権限を除きます)は、厚生労働省令(第14条の4〔=特定国民年金原簿記録の訂正の請求に係る厚生労働大臣の決定。こちら〕に規定する厚生労働大臣の権限にあっては、政令)で定めるところにより、地方厚生局長委任することができます(第109条の9第1項)。

 

 この一により地方厚生局長委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長委任することができます(第109条の9第2項)。

 

即ち、前記一により地方厚生局長に委任された権限(後掲の施行規則第113条が具体的に定めています)のうち地方厚生支局の管轄区域に係るものは、地方厚生支局長に委任されています(ただし、地方厚生局長が当該権限を自ら行うことを妨げません)。(施行規則第113条第2項)。

 

なお、以下、「地方厚生局長及び地方厚生支局長」を「地方厚生局長等」といいます。

 

 

※1 第10章(国民年金基金及び国民年金基金連合会)に規定する厚生労働大臣の権限が除外されている理由は、基金に係る厚生労働大臣の権限の地方厚生局長等に対する委任の規定が別個に定められているためです(第142条の2こちら以下)。 

 

 

※「地方厚生局長等への厚生労働大臣の権限の委任」については、大まかには、「国民年金基金及び国民年金基金連合会」等の法人・団体に関する権限などが委任されていると押さえることができます(上記の第109条の9以外を根拠条文とすることがあります)。

 

 

 

【条文】

第109条の9(地方厚生局長等への権限の委任)

1.この法律に規定する厚生労働大臣権限第109条の5第1項及び第2項〔=滞納処分等に係る財務大臣への権限の委任〕並びに第10章〔=国民年金基金及び国民年金基金連合会〕に規定する厚生労働大臣の権限を除く。)は、厚生労働省令第14条の4〔=特定国民年金原簿記録訂正請求に係る厚生労働大臣の決定等〕に規定する厚生労働大臣の権限にあつては、政令)で定めるところにより、地方厚生局長委任することができる

 

2.前項の規定により地方厚生局長委任された権限は、厚生労働省令(第14条の4〔=特定国民年金原簿記録の訂正の請求に係る厚生労働大臣の決定等〕に規定する厚生労働大臣の権限にあつては、政令)で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

 

3.第1項の規定により第14条の4〔=特定国民年金原簿記録の訂正の請求に係る厚生労働大臣の決定〕に規定する厚生労働大臣の権限が地方厚生局長に委任された場合(前項の規定により同条に規定する厚生労働大臣の権限が地方厚生支局長に委任された場合を含む。)には、同条第3項中「社会保障審議会」とあるのは、「地方厚生局に置かれる政令で定める審議会」とする

 

  

 ※ 上記の第109条の9については、平成27年3月1日施行の改正により、第1項に「(第14条の4〔=特定国民年金原簿記録の訂正の請求に係る厚生労働大臣の決定等〕に規定する厚生労働大臣の権限にあっては、政令)」というかっこ書きが加わり、さらに第3項が追加されました。

特定国民年金原簿記録の訂正請求の制度の創設(こちら以下)によるものです。

 

この特定国民年金原簿記録の訂正請求に係る厚生労働大臣の決定等に係る権限の委任の場合は、他の第109条の9第1項及び第2項の地方厚生局長等に対する委任の場合と異なり、「厚生労働省令ではなく、「政令で定めることが必要である点に注意です。

内閣が制定する「政令」に基づいて委任することにより、当該権限の委任の適正化を重視したものといえます。

 

なお、上記第109条の9第3項の「地方厚生局に置かれる政令で定める審議会」とは、具体的には、「地方年金記録訂正審議会」です(厚生労働省組織令第153条の2。平成27年4月10日施行の新設規定)。後にこちら以下で学習します。

 

【選択式 平成27年度 B=「地方年金記録訂正審議会」(こちら)】

 

 

 

【施行規則】

 

※ 下記の施行規則第113条において、地方厚生局長等への権限の委任事項が具体的に規定されています。が、出題もほとんどありませんので、読まないで次のページに進んで頂いてかまいません。

 

※ 次の施行規則第113条は、平成27年3月1日施行の改正により改められています。

〔即ち、同条第1項中各号が1号ずつ繰下げられ、後掲の1号(第1号)が追加されました。〕

 

※ また、本条は、平成27年7月1日施行の改正(平成26年改正法(年金事業運営改善法))により改められています。

〔即ち、同条第1項第3号中、従来、「法第109条の2」とあったのが、「法第109条の2の2」〔=学生納付特例事務法人〕に改められました。

新たに「全額免除申請の事務手続に関する特例 = 免除委託制度」が第109条の2として新設されたため、旧第109条の2が1条繰下げられたことによります。 〕

 

施行規則第113条(地方厚生局長等への権限の委任)

 

1.法第109条の9第1項〔=厚生労働大臣の権限の地方厚生局長への委任〕の規定により、次の各号に掲げる厚生労働大臣権限は、地方厚生局長委任する。ただし、厚生労働大臣当該権限を自ら行うことを妨げない

 

一 法第108条第1項〔=資格・保険料に関する資料の提供の請求等〕の規定による書類の閲覧及び資料の提供の求め並びに報告の求め(訂正請求〔=「特定国民年金原簿記録の訂正の請求」(こちら)です〕に係るものに限る。)〔こちらも参考〕

 

二 法第109条第2項〔=国民年金事務組合の認可〕の規定による認可及び同条第3項〔=同認可の取消し〕の規定による認可の取消し

 

三 法第109条の2の2第1項〔=学生納付特例事務法人〕の規定による指定、同条第2項〔=同法人に対する改善命令〕の規定による命令及び同条第3項〔=当該改善命令違反による指定の取消し〕の規定による指定の取消し

 

四 法第109条の3第1項〔=保険料納付確認団体〕の規定による指定、同条第3項〔=同団体に対する保険料滞納事実に関する情報提供〕の規定による情報の提供、同条第4項〔=同団体に対する改善命令〕の規定による命令及び同条第5項〔=当該改善命令違反による指定の取消し〕の規定による指定の取消し

 

五 法第109条の4第3項〔=厚生労働大臣から機構に委任された権限に係る事務の全部又は一部を厚生労働大臣が自ら行うこととした場合〕の規定により厚生労働大臣が同条第1項各号に掲げる権限の全部又は一部を自ら行うこととした場合における当該権限

 

六 法第109条の4第4項〔=機構に厚生労働大臣から委任された権限に係る事務の全部又は一部を厚労大臣が自ら行い、又は行わないこととする場合のその旨の公示〕の規定による公示

 

七 法第109条の4第5項〔=厚生労働大臣が自ら滞納処分等を行う場合における対象者への通知〕の規定による通知

 

八 法第109条の6第1項〔=機構が滞納処分等を行う場合の認可〕及び第2項〔=徴収職員を任命する際の認可〕の規定による認可

 

九  法第109条の6第3項〔=機構が滞納処分等を行った場合の結果の報告の受理〕の規定による報告の受理

 

十 法第109条の8第1項〔=機構が立入検査等を行う場合の認可〕の規定による認可

 

十一 法第109条の10第2項〔=厚生労働大臣から機構に委任された事務の全部又は一部を厚生労働大臣が自ら行うこととした場合〕の規定により厚生労働大臣が同条第1項各号に掲げる事務の全部又は一部を自ら行うこととした場合における当該事務に係る権限

 

十二 法第109条の11第2項〔=保険料等の収納を行う機構の職員を任命する際の認可〕の規定による認可

 

十三 法第109条の11第4項〔=機構による収納に係る事務の実施状況及びその結果の報告〕の規定による報告の受理

 

 

2.法第109条の9第2項〔=地方厚生局長に委任された権限は、地方厚生支局長に委任することができる〕の規定により、前項各号に掲げる権限のうち地方厚生支局管轄区域に係るものは、地方厚生支局長委任する。ただし、地方厚生局長が当該権限を自ら行うことを妨げない。

 

 

以上で、「地方厚生局長等への厚生労働大臣の権限の委任」の問題を終わります。

次のページでは、「財務大臣への権限の委任」の問題です。ここは、覚えるべき事項があります。