令和2年度 労基法

令和2年度(2020年度)の労働基準法の本試験問題のインデックスを掲載します。

 

リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。 

 

 

択一式

○【問1】=使用者等の定義に関する問題:

 

【令和2年問1A】 (株式会社の事業主は代表取締役か)

 

【令和2年問1B】 

(係長に与えられている責任と権限の有無にかかわらず、係長が「使用者」になることはないか)

 

【令和2年問1C】 

(課が所掌する日常業務の大半が課長権限で行われていれば、課長がたまたま事業主等の上位者から権限外の事項について命令を受けて単にその命令を下に伝達しただけであっても、その伝達は課長が使用者として行ったこととされるか)

 

【令和2年問1D】 

(下請負人が、その雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するとともに、当該業務を自己の業務として相手方(注文主)から独立して処理するものである限り、注文主と請負関係にあると認められるから、自然人である下請負人が、たとえ作業に従事することがあっても、労働基準法第9条の労働者ではなく、同法第10条にいう事業主か)

 

【令和2年問1E】 

(派遣労働者が派遣先の指揮命令を受けて労働する場合、派遣労働者の使用者は、当該派遣労働者を送り出した派遣元の管理責任者であって、当該派遣先における指揮命令権者は使用者にはならないか)

  

 

○【問2】=監督機関及び雑則に関する問題:

 

【令和2年問2A】 

(労働基準法、労働基準法に基づく命令及び就業規則については、その要旨を労働者に周知させればよいか)

 

【令和2年問2B】 

(36協定や高度プロフェッショナル制度に係る労使委員会決議の周知は、対象労働者に対してのみ義務付けられているか)

 

【令和2年問2C】 

(労働基準監督官は、労働基準法違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行うほか、賃金の不払については、不払をしている事業主の財産を仮に差し押さえる職務を行うか)

 

【令和2年問2D】 

(労働基準法及びこれに基づく命令に定める許可、認可、認定又は指定の申請書は、各々2通これを提出しなければならないか)

 

【令和2年問2E】 

(使用者は、事業を開始した場合又は廃止した場合は、遅滞なくその旨を労働基準法施行規則の定めに従い所轄労働基準監督署長に報告しなければならないか) 

 

 

○【問3】=危険有害業務の就業制限(第64条の3)に関する問題:

 

【令和2年問3A】 

(使用者は、女性を、30キログラム以上の重量物を取り扱う業務に就かせてはならないか)

 

【令和2年問3B】 

(使用者は、女性を、さく岩機、鋲打機等身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務に就かせてはならないか)

 

【令和2年問3C】 

(使用者は、妊娠中の女性を、つり上げ荷重が5トン以上のクレーンの運転の業務に就かせてはならないか)

 

【令和2年問3D】 

(使用者は、産後1年を経過しない女性を、高さが5メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務に就かせてもよいか)

 

【令和2年問3E】 

(使用者は、産後1年を経過しない女性が、動力により駆動される土木建築用機械の運転の業務に従事しない旨を使用者に申し出た場合、その女性を当該業務に就かせてはならないか)

 

 

○【問4】=総則(第1条~第12条)に関する問題:

 

【令和2年問4A】 

(労働基準法第3条に定める「国籍」を理由とする差別の禁止は、主として日本人労働者と日本国籍をもたない外国人労働者との取扱いに関するものであり、そこには無国籍者や二重国籍者も含まれるか) 

 

 ・【令和2年問4B】 

(労働基準法第5条に定める「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」の「不当」とは、本条の目的に照らし、かつ、個々の場合において、具体的にその諸条件をも考慮し、社会通念上是認し難い程度の手段をいい、必ずしも「不法」なもののみに限られず、たとえ合法的であっても、「不当」なものとなることがあるか) 

 

 ・【令和2年問4C】 

(労働基準法第6条に定める「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」の「利益」とは、手数料、報償金、金銭以外の財物等いかなる名称たるかを問わず、また有形無形かも問わないか。) 

 

 ・【令和2年問4D】 

(使用者が、選挙権の行使を労働時間外に実施すべき旨を就業規則に定めており、これに基づいて、労働者が就業時間中に選挙権の行使を請求することを拒否した場合には、労働基準法第7条違反に当たらないか)

 

  ・【令和2年問4E】 

(食事の供与は、食事の支給のための代金を徴収すると否とを間わず、①食事の供与のために賃金の減額を伴わないこと、②食事の供与が就業規則、労働協約等に定められ、明確な労働条件の内容となっている場合でないこと、③食事の供与による利益の客観的評価額が、社会通念上、僅少なものと認められるものであること、の3つの条件を満たす限り、原則として、これを賃金として取り扱わず、福利厚生として取り扱うか)

 

 

○【問5】=労働契約等に関する問題:個数問題

 

【令和2年問5ア】 

(専門的な知識、技術又は経験であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約については、当該労働者の有する高度の専門的知識等を必要とする業務に就く場合に限って契約期間の上限を5年とする労働契約を締結することが可能となり、当該高度の専門的知識を必要とする業務に就いていない場合の契約期間の上限は3年であるか) 

 

【令和2年問5イ】 

(労働契約の締結の際に、使用者が労働者に書面により明示すべき賃金に関する事項及び書面について、交付すべき書面の内容としては、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等(労働者への周知措置を講じたもの)に規定されている賃金等級が表示されたものでもよいか)   

 

【令和2年問5ウ】 

(使用者の行った解雇予告の意思表示は、一般的には取り消すことができないが、労働者が具体的事情の下に自由な判断によって同意を与えた場合には、取り消すことができるか)  

 

【令和2年問5エ】 

(使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」には解雇の予告を除外されるが、「天災事変その他やむを得ない事由」には、使用者の重過失による火災で事業場が焼失した場合も含まれるか)  

 

【令和2年問5オ】 

(使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないが、この賃金又は金品に関して争いがある場合においては、使用者は、異議のない部分を、 7日以内に支払い、又は返還しなければならないか)

 

 

○【問6】=労働時間等に関する問題:

 

【令和2年問6A】 

(運転手が2名乗り込んで、1名が往路を全部運転し、もう1名が復路を全部運転することとする場合に、運転しない者が助手席で体息し又は仮眠している時間は労働時間に当たるか)

 

【令和2年問6B】 【前年度(令和元年度)試験 改正事項

(フレッタスタイム制を実施する際には、清算期間の長さにかかわらず、労使協定を行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出なければならないか)

 

【令和2年問6C】 【前年度試験 改正事項

(第36条第3項に定める「労働時間を延長して労働させることができる時間」に関する「限度時間」は、1か月について45時間及び1年について360時間(労働基準法第32条の4第1項第2号の対象期間として3か月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあっては、1か月について42時間及び1年について320時間)とされているか)

 

【令和2年問6D】 

(第33条又は第36条所定の条件を充足していない違法な時間外労働ないしは休日労働に対しても、使用者は第37条第1項により割増賃金の支払義務があり、その義務を履行しないときは第119条第1号の罰則の適用を免れないとするのが、最高裁判所の判例であるか)

 

【令和2年問6E】 【前年度試験 改正事項

(使用者は、第39条第7項の規定により労働者に有給休暇を時季を定めることにより与えるに当たっては、あらかじめ、同項の規定により当該有給休暇を与えることを当該労働者に明らかにした上で、その時季について当該労働者の意見を聴かなければならず、これにより聴取した意見を尊重するよう努めなければならないか)

 

 

○【問7】=就業規則等に関する問題:

 

【令和2年問7A】 

(慣習等により、労働条件の決定変更につき労働組合との協議を必要とする場合は、その旨を必ず就業規則に記載しなければならないか)

 

【令和2年問7B】 

(就業規則の作成又は変更の際の意見聴取について、労働組合が故意に意見を表明しない場合又は意見書に署名又は記名押印しない場合には、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、行政官庁(所轄労働基準監督署長)は、就業規則を受理するよう取り扱うものとされているか)

 

【令和2年問7C】 

(派遣元の使用者は、派遣中の労働者だけでは常時10人以上にならず、それ以外の労働者を合わせてはじめて常時10人以上になるときは、就業規則の作成義務を負わないか)

 

【令和2年問7D】 

(1つの企業が2つの工場をもっており、いずれの工場も、使用している労働者は10人未満であるが、2つの工場を合わせて1つの企業としてみたときは10人以上となる場合、2つの工場がそれぞれ独立した事業場と考えられる場合でも、使用者は就業規則の作成義務を負うか)

 

【令和2年問7E】 

(労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間に対する賃金額を減給する際も第91条による制限を受けるか) 

 

 

 

選択式

次の文中の   の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

 

1 使用者は、常時10人以上の労働者を就業させる事業、厚生労働省令で定める危険な事業又は衛生上有害な事業の附属寄宿舎を設置し、移転し、又は変更しようとする場合においては、労働基準法第96条の規定に基づいて発する厚生労働省令で定める危害防止等に関する基準に従い定めた計画を、  に、行政官庁に届け出なければならない。

 

 

2 最高裁判所は、自己の所有するトラックを持ち込んで特定の会社の製品の運送業務に従事していた運転手が、労働基準法上の労働者に当たるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。

 

「上告人は、業務用機材であるトラックを所有し、自己の危険と計算の下に運送業務に従事していたものである上、F紙業は、運送という業務の性質上当然に必要とされる運送物品、運送先及び納入時刻の指示をしていた以外には、上告人の業務の遂行に関し、特段の指揮監督を行っていたとはいえず、    の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やかであり、上告人がF紙業の指揮監督の下で労務を提供していたと評価するには足りないものといわざるを得ない。そして、   等についてみても、上告人が労働基準法上の労働者に該当すると解するのを相当とする事情はない。そうであれば、上告人は、専属的にF紙業の製品の運送業務に携わっており、同社の運送係の指示を拒否する自由はなかったこと、毎日の始業時刻及び終業時刻は、右運送係の指示内容のいかんによって事実上決定されることになること、右運賃表に定められた運賃は、 トラック協会が定める運賃表による運送料よりも1割5分低い額とされていたことなど原審が適法に確定したその余の事実関係を考慮しても、上告人は、労働基準法上の労働者ということはできず、労働者災害補償保険法上の労働者にも該当しないものというべきである。」

 

 

3 事業者は、労働者を本邦外の地域に  以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、労働安全衛生規則第44条第1項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。

 

 

4 事業者は、高さは深さが  メートルを超える箇所で作業を行うときは、当該作業に従事する労働者が安全に昇降するための設備等を設けなければならない。ただし、安全に昇降するための設備等を設けることが作業の性質上著しく困難なときは、この限りでない。

 

選択肢:

 

①0.7  ②1 ③1.5 ④2

⑤1月 ⑥3月 ⑦6月 ⑧1年

⑨業務遂行条件の変更 ⑩業務量、時間外労働 

⑪ 工事着手後1週間を経過するまで ⑫ 工事着手30日前まで ⑬工事着手14日前まで ⑭工事着手日まで

⑮公租公課の負担、F紙業が必要経費を負担していた事実

⑯時間的、場所的な拘束

⑰事業組織への組入れ、F紙業が必要経費を負担していた事実

⑱事業組織への組入れ、報酬の支払方法

⑲制裁、懲戒処分

⑳報酬の支払方法、公種公課の負担

 

 

 

選択式解答

A=⑬工事着手14日前まで(労基法第96条の2第1項) 

B=⑯時間的、場所的な拘束(【横浜南労基署長(旭紙業)事件=最判平成8年11月28日】)

C=⑳報酬の支払方法、公種公課の負担(同上)

D=⑦6月(安衛法第66条第1項労働安全衛生規則第45条の2第1項

E=③1.5(労働安全衛生規則第526条第1項

 

 

選択式の論点とリンク先

〔1〕問1

 

問1は、寄宿舎計画ですから、一般には厳しいジャンルです。

しかし、このような空欄をクリアーするために、当サイトがあるのです(いきなり強気😌。ですが、次問の解説で態度が変わります)。

こちら(労基法のパスワード)の下部の「ゴロ合わせ」です。

「寄宿舎計画。とーちゃん重視して、せいへんかー?」。

こちらでは、「14日」の横断整理もあります(同じ横断整理は、労働条件の明示のこちらなどでも掲載しています)。

 

寄宿舎は、近時、出題がなかったのですが、過去の出題歴としては、平成11年度に記述式が出題されていること、平成21年度には択一式として「5肢」が出題されていることを考慮しますと、軽視はできないこととなります。当サイトの寄宿舎の冒頭(こちら以下においても、その旨を指摘しておりました。 

 

 

〔2〕問2

 

設問の2は、労働者性に関する最高裁判例(【横浜南労基署長(旭紙業)事件=最判平成8年11月28日】)からでした。

この出題された判例については、当サイトではこちらで取り上げてはいたのですが、一般的・抽象的な判断基準を示した判示がなく、事例判断であることから、出題可能性についてあまり強調していませんでした(深く反省)。

 

この判例の判示をあまり読んでいなくても、空欄Bの「時間的、場所的な拘束」の程度については入れやすいかもしれません。

ただ、空欄のCは問題となると思います。

当サイトの前掲の判例の引用個所においても、判旨中の「報酬の支払方法、公租公課の負担等」について、太字にもしていませんでした。

 

 

〔3〕問3

 

空欄Dは、安衛法の「海外派遣労働者の健康診断」からです(安衛法のこちら)。

この「海外派遣労働者の健康診断」は、これまであまり出題されていませんが(直近では、【平成19年問10E】です)、安衛法でもっとも出題されやすいジャンルの一つである「健康診断等」からの出題です。

今回の労基法・安衛法の選択式では、この空欄Dが正答できたかどうかが、鍵となりそうです。

数字についての出題であり、(当サイトはゴロは作っていませんが)3箇月、1年等と混乱しかねないと思われるような方は、ゴロでも作って頂き日頃から記憶をキープして下さい。

 

記憶のためには、大まかには、理屈から攻める方法とゴロなどの丸暗記で攻める方法があると思います。

前者の理屈から攻める方法としては、例えば、本問の「海外派遣労働者の健康診断」については、どの程度の期間、海外派遣をさせる場合に健康診断を受診させるのが妥当なのかといった点を検討することとなります。

しかし、本問では、このような理屈では、なかなか数字を説得的に導くことができません。そこで、ゴロとなります。

ゴロは、文字通り、ゴロ合わせを作る方法のほか(例:「海外派遣でロ(6)ックアウトされた」など)、連想したり、無理やりこじつける方法などがあります。

例えば、「海外」➡「海」➡「大陸(ユーラシア大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸、南極大陸)」といった具合です。

 

ともかく、記憶しやすい方法を採って頂き、数字等をマメに頭の中にストックして下さい。最終的には、日頃のこのような作業が合否を分けます。

 

 

〔4〕問4

 

空欄のEは、非常に厳しいです。

当サイトの安衛法でも、こちらのページで、労働安全衛生規則第9章「墜落、飛来崩壊等による危険の防止」からいくつかの具体例は掲載しており、特に平成31年2月1日施行の改正事項を含む「墜落等による危険の防止」には焦点を当てていたのですが(こちら。これは、「高さが2メートル以上の箇所で作業を行う場合」の問題です)、本問を正答することは難しかったです。

ただ、膨大な規則の例を網羅・記憶することはとてもできませんし、その必要もありません。

この空欄Eは捨て問となりますので、その他の4つの空欄から3つを正解しなければなりません。

 

ちなみに、出題されました空欄のEについては、次の労働安全衛生規則の第1項で定められています。

 

【労働安全衛生規則】 

規則第526条(昇降するための設備の設置等)

1.事業者は、高さ又は深さが1.5メートルをこえる箇所で作業を行なうときは当該作業に従事する労働者が安全に昇降するための設備等を設けなければならない。ただし、安全に昇降するための設備等を設けることが作業の性質上著しく困難なときは、この限りでない。

 

2.前項の作業に従事する労働者は、同項本文の規定により安全に昇降するための設備等が設けられたときは、当該設備等を使用しなければならない。

 

 

 

総評

選択式については、前記の通り、空欄のEは非常に厳しく、Cも厳しかったです。従いまして、A、B及びDを正答する必要があります。

Aは、メジャーな個所ではなく、初学者の方にとっては難しかったかもしれません。

以上のように、選択式については、全体として、厳しめの出題でした。

 

出題のうち、判例を除く3つの空欄が「数字」であることには注意が必要です。

従来から、社労士試験の選択式では、「数字」が狙われることが多く、選択式の試験対策としても、「数字」と「キーワード」に注目しながら、テキストを追っていって頂く必要があります。

 

択一式については、肢によっては、厳密には難しいないし細かいものもありました(リンク先の各肢の解説中で詳述していますので、ご参照下さい)。

ただ、正答を導くこと自体は、それほど困難ではない設問が多く、通常の学習でカバーできる範囲内の出題であったといえます(【問3】の「危険有害業務の就業制限」は、厳しかったかもしれません)。

 

なお、前年度分の改正事項(働き方改革関連法によるもの)が出題され始めました(前年度は1肢でしたが、今回は3肢です。フレックスタイム制、時間外労働等の上限規制及び使用者の年次有給休暇の時季指定に関する出題でした)。

今回は基礎的な知識に留まっていますが、この改正事項は、選択式の素材となり得ますので、十分な注意が必要です。

 

 

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