令和元年度(平成31年度)労基法

令和元年度(平成31年度・2019年度)の労働基準法の本試験問題のインデックスを掲載します。

 

リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。

 

 

択一式

○【問1】= 平均賃金に関する問題:事例問題

 

【令和元年問1A~E】

 

 

○【問2】= 1か月単位の変形労働時間制に関する問題:

 

【令和元年問2A】(起算日)

 

【令和元年問2B】

(1か月単位の変形労働時間制は、年少者及びその適用除外を請求した育児を行う者については適用されないか)

 

【令和元年問2C】(1か月単位の変形労働時間制における時間外労働)

 

【令和元年問2D】

(1か月単位の変形労働時間制は、就業規則等により定めるだけでは足りず、労使協定の締結が必要か)

 

【令和元年問2E】

(1か月単位の変形労働時間制において、1日及び1週間の労働時間の限度はあるか)

 

 

○【問3】= 総則に関する問題:組み合わせ問題

 

【令和元年問3ア】

(当該事業場において実際に女性労働者の平均勤続年数が短いことを理由とする女性労働者の賃金差別が、第4条の「女性であることを理由」とする賃金の差別に該当するか)

 

【令和元年問3イ】

(第5条の強制労働の禁止が適用されるためには、事実上の労働関係が存在していると認められる場合であれば足りるか)

 

【令和元年問3ウ】

(労働基準法第7条に基づき「労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使」した場合の給与に関しては、有給であろうと無給であろうと当事者の自由に委ねられているか)

 

【令和元年問3エ】(芸能タレントの労働者性)

 

【令和元年問3オ】

(私有自動車を社用に提供する者に対し、社用に用いた場合のガソリン代は走行距離に応じて支給される旨が就業規則等に定められている場合、当該ガソリン代は「賃金」に当たるか)

 

 

○【問4】= 労働契約等に関する問題:

 

【令和元年問4A】(期間の定めをしない場合は、労働契約の明示の必要はないか)

 

【令和元年問4B】

(中小企業等の退職積立金制度のうち、使用者以外の第三者たる商店会又はその連合会等が労働者の毎月受けるべき賃金の一部を積み立てたものと使用者の積み立てたものを財源として行っているものについては、労働者がその意思に反してもこのような退職積立金制度に加入せざるを得ない場合でも、強制貯蓄には該当しないか)

 

【令和元年問4C】

(当該労働者が産前の体業を請求しないで就労している場合は、労働基準法第19条による解雇制限を受けないか)

 

【令和元年問4D】

(解雇予告期間の計算は労働日で計算されるので、体業日は当該予告期間には含まれないか)

 

【令和元年問4E】

(使用者は、労働者が自己の都合により退職した場合には、労働者が証明書を請求したとしても交付する義務はないか)

 

 

○【問5】= 賃金等に関する問題:

 

【令和元年問5A】(労使協定がある場合は、通貨払の原則の例外が認められるか)

 

【令和元年問5B】

(退職金債権の放棄の効力に関する最高裁判例の結論=【シンガー・ソーイング・メシーン事件=最判昭和48.1.19】)

 

【令和元年問5C】

(「毎月第2土曜日」の定めでも、一定期日払の原則に違反しないか)

 

【令和元年問5D】

(非常時払を請求しうる事由のうち、「疾病」とは、業務上の疾病、負傷をいい、業務外のいわゆる私傷病は含まれないか)

 

【令和元年問5E】

(休業手当は、賃金とは性質を異にする特別の手当であり、第24条の賃金支払の5原則は適用されないか)

 

 

○【問6】= 労働時間等に関する問題:

 

【令和元年問6A】

(「1日」とは、午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいい、継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日」の労働とするか)

 

【令和元年問6B】 【令和元年度試験 改正事項

(清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制において、清算期間を1か月ごとに区分した各期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた場合は時間外労働に該当するため、第36条第1項の協定の締結及び届出が必要となり、清算期間の途中であっても、当該各期間に対応した賃金支払日に割増賃金を支払わなければならないか)

 

【令和元年問6C】

(事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定で定める時間が法定労働時間以下である場合には、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出る必要はないか)

 

【令和元年問6D】 【判例

(定額手当制における割増賃金の判断に関する【日本ケミカル事件=最判平成30.7.19】判決から = 否定された原審【東京高判平成29.2.1】の立場の出題)

 

【令和元年問6E】(半日単位の年休付与の要件)

 

 

○【問7】= 就業規則等に関する問題:

 

【令和元年問7A】

(第89条に定める「常時10人以上の労働者」の算定において、1週間の所定労働時間が20時間未満の労働者は0.5人として換算するか)

 

【令和元年問7B】

(使用者は、就業規則を、①常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、②書面を交付すること、③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置することのいずれかの方法により、労働者に周知させなければならないか)

 

【令和元年問7C】

(就業規則の作成又は変更について、使用者は、過半数労働組合等と協議決定することが要求されているか)

 

【令和元年問7D】

(就業規則中に、懲戒処分を受けた場合には昇給させない旨の欠格条件を定めることは、第91条に違反するものとして許されないか)

 

【令和元年問7E】

(同一事業場において、労働者の勤務態様、職種等によって始業及び終業の時刻が異なる場合は、就業規則には、例えば「労働時間は1日8時間とする」と労働時間だけ定めることで差し支えないか)   

 

 

選択式

次の文中の   の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

 

1 最高裁判所は、使用者がその責めに帰すべき事由による解雇期間中の賃金を労働者に支払う場合における、労働者が解雇期間中、他の職に就いて得た利益額の控除が問題となった事件において、次のように判示した。

 

「使用者の責めに帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間中に他の職に就いて利益を得たときは、使用者は、右労働者に解雇期間中の賃金を支払うに当たり右利益(以下「中間利益」という。)の額を賃金額から控除することができるが、右賃金額のうち労働基準法12条1項所定の  の6割に達するまでの部分については利益控除の対象とすることが禁上されているものと解するのが相当である」「使用者が労働者に対して有する解雇期間中の賃金支払債務のうち  額の6割を超える部分から当該賃金の   内に得た中間利益の額を控除することは許されるものと解すべきであり、右利益の額が   額の4割を超える場合には、更に   算定の基礎に算入されない賃金(労働基準法12条4項所定の賃金)の金額を対象として利益額を控除することが許されるものと解せられる」

 

2 労働基準法第27条は、出来高払制の保障給として、「使用者は、  に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。」と定めている。

 

3 労働安全衛生法は、その目的を第1条で「労働基準法(昭和22年法律第49号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、  の形成を促進することを目的とする。」と定めている。

 

4 衛生管理者は、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから選任しなければならないが、厚生労働省令で定める資格を有する者には、医師、歯科医師のほか  などが定められている。

 

 

選択肢:

 

① 安全衛生に対する事業者意識  ② 安全衛生に対する労働者意識

③ 衛生管理士  ④ 快適な職場環境

⑤ 看護師  ⑥ 業務に対する熟練度

⑦ 勤続期間  ⑧ 勤務時間数に応じた賃金

⑨ 作業環境測定士

⑩ 支給対象期間から2年を超えない期間

⑪ 支給対象期間から5年を超えない期間

⑫ 支給対象期間と時期的に対応する期間

⑬ 諸手当を含む総賃金  ⑭ 全支給対象期間

⑮ そのための努力を持続させる職場環境

⑯ 特定最低賃金  ⑰ 平均賃金

⑱ 労働衛生コンサルタント  ⑲ 労働時間

⑳ 労働日数

 

 

 

選択式解答

A= ⑰ 平均賃金

B= ⑫ 支給対象期間と時期的に対応する期間

C= ⑲ 労働時間

D= ④ 快適な職場環境

E= ⑱ 労働衛生コンサルタント

 

 

選択式の論点とリンク先

〔1〕問1

 

選択式の問1は、【あけぼのタクシー事件=最判昭和62.4.2】判決からです。休業手当と中間収入(中間利益)の控除について問題となったものです。

 

この判決自体は難しいのですが、本文では、こちら以下で詳述しており(本判決は、こちらです)、空欄Bについても、こちらの小文字の部分で触れていますので、何とか対応できたかと思います。

平成23年度の選択式では、「平均賃金の6割が空欄とされていました。 

 

 

〔2〕問2

 

問2は、出来高払制の保障給の問題(第27条)であり、基本的知識といえます。

本文は、こちら以下です。

 

 

※ なお、問3及び問4については、安衛法のインデックスでご紹介します。

 

 

総評

選択式については、平成23年度に出題された空欄と共通する語句(平均賃金)が解答であり、少なくとも空欄のAは、通常の学習でカバーできました。

当サイトをご覧になっていれば、Bも解答できたでしょう。

空欄のCは、基本的な問題だったといえます。

ちなみに、安衛法の空欄DとEも基本的な問題であり、選択式は、トータルで3点以上獲得することは容易だったといえます。

 

一方、択一式の場合は、ややレベルが高い肢がありました。

事例問題の問1は、論点が分かればそれほど難しくはありませんが、本番では、しょっぱなに配置されている長文の事例問題は、後回しにした方がよさそうです。

 

基本的には、択一式で出題された内容は、当サイトでほぼカバーしていました。【令和元年問6D】の【日本ケミカル事件=最判平成30.7.19】の原審(【東京高判平成29.2.1】)の判旨の部分についても、ご紹介していました。

 

広い範囲に渡り正確な知識を保有することが必要ですが、丸暗記では通用しない設問もあり、日頃から、制度趣旨、その要件が必要とされる理由などを踏まえた地道な学習が重要です。

 

 

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