令和7年度 労基法
令和7年度(2025年度)の労働基準法の本試験問題のインデックスを掲載します。
リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。
択一式
○【問1】=総則に関する問題:
▶労働基準法の総則(第1条~第12条)等に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。【個数問題】
労働基準法第5条に定める「労働者の意思に反して労働を強制」するとは、不当なる手段を用いることによって、使用者が労働者の意識ある意思を抑圧し、その自由な発現を妨げて、労働すべく強要することをいい、必ずしも労働者が現実に労働することを必要としない。
労働基準法第6条に定める「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」の「業として利益を得る」とは、営利を目的として、同種の行為を反復継続することをいい、1回の行為であっても、反復継続して利益を得る意思があれば、これに当たる。
労働審判員や裁判員としての職務は労働基準法第7条にいう「公の職務」に該当するため、労働者が労働時間中に、これらの職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、使用者はこれを拒んではならないが、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。
労働基準法第9条に定める「労働者」とは、他人との間に使用従属の関係に立って労務に服し、報酬を受けて生活する者をいい、現に就業していると否とを問わないから、失業者をも含む。
労働者が自己を被保険者として生命保険会社等と任意に保険契約を締結したときに企業が保険料の補助を行う場合、その保険料補助金は、労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるから、労働基準法第11条に定める「賃金」とは認められない。
○【問2】=平均賃金に関する問題:
▶労働基準法第12条(以下本間において「本条」という。)に定める平均賃金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
令和7年1月1日から、賃金が目給1万円、毎月20日締切、当月25日支払いの条件で雇われている労働者について、同年7月15日に平均賃金を算定すべき事由が発生した。当該労働者に支払われていた賃金は、1月支払分から6月支払分までいずれも労働日数は月10日で支払額は各月10万円であり、本条第3項各号に掲げられている業務上負傷し療養のために体業した期間等の控除期間がなかった。この場合の当該労働者に係る平均賃金の額は6,000円である。
労働基準法第20条に基づく解雇予告手当を算定する際の平均賃金算定事由発生日は、「労働者に解雇の通告をした日」であり、その後、当該労働者の同意を得て解雇日を変更した場合においても、当初の解雇を通告した日とするものとされている。
所定労働時間が2暦日にわたる勤務を行う労働者(一昼夜交替勤務のごとく明らかに2日の労働と解することが適当な場合を除く。)について、当該勤務の2暦日目に平均賃金を算定すべき事由が発生した場合においては、当該勤務の始業時刻の属する日に当該事由が発生したものとして取り扱うこととされている。
雇入れ後3か月未満の労働者について平均賃金を算定すべき事由が発生した場合には、算定事由発生日前に賃金締切日があるか否かにかかわらず、雇入れ後の期間とその期間中の賃金の総額で算定することとされている。
本条第3項第1号から第4号までに掲げられている業務上負傷し療養のために体業した期間等の控除期間が、平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前3か月以上にわたる場合の平均賃金は、都道府県労働局長がこれを定めることとされている。
○【問3】=労働契約等に関する問題:
▶労働基準法に定める労働契約等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
労働基準法第14条第1項第2号は、満60歳以上である労働者との労働契約(同条同項第1号に掲げる労働契約を除く。)は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、5年を超える期間について締結してはならないと定めているが、満60歳以上であるかどうかは当該労働契約締結時の年齢で判断される。
労働基準法第14条第1項に規定する期間を超える期間を定めた労働契約を締結した場合は、同条同項には使用者とも労働者とも規定されていないことから、使用者と労働者の双方に罰則が適用される。
労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができるにとどまり、明示されたとおりの労働条件の履行を使用者に要求することはできない。
事業主が同一人でないX社とY社に使用される労働者が、X社の業務により負傷し、その療養のために休業する期間及びその後30日間については、X社もY社も当該労働者を解雇してはならない。
事業主が犯した経済法令違反を原因として購入した諸機械、資材等を没収され、事業の継続が不可能となったときは、労働基準法第20条第1項にいう「やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合」に該当することから、当該事業主が、これを理由として労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前にその予告をしなければならない等の同条同項に定める解雇の予告を行う必要はない。
○【問4】=賃金等に関する問題:
▶労働基準法に定める賃金等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
使用者は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金を前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と相殺することができる。
労働基準法第24条第1項は、使用者の意思で労働者本人以外の者に賃金を支払うことを禁止するものであるから、労働者の意思で第三者に賃金受領権限を与えようとする委任、代理等の法律行為は無効となるものではない。
労働協約によりストライキ中の賃金を支払わないことを定めているX社では日給月給制を採用しており、毎月15日に当月の賃金を前払いする(例えば、8月15日に8月1日から同月末日までの分の賃金を支払う)ことになっているが、所定労働日である8月21日から25日まで5日間ストライキが行われた場合、当該ストライキに参加した労働者の賃金について、使用者が9月15日の賃金支払いにおいて前月のストライキの5日間分を控除して支払うことは、賃金全額払原則に違反する。
労働者が労働基準法第25条に従い賃金の非常時払を請求する場合には、使用者は、特約のない限り、いまだ労務の提供のない期間に対する賃金も含めて支払期日前に支払う義務を負う。
使用者の責に帰すべき事由による休業期間中であっても、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、労働基準法第26条に定める体業手当を支払う義務は生じない。
○【問5】=36協定に関する問題:
▶労働基準法第36条に定める時間外・休日労働協定(以下本間において「協定」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
労働者数が、本社、X支店及びY支店の合計で180人の企業において、100人の労働者で組織する労働組合があるとき、本社、X支店及びY支店のいずれの事業場においても労働者側の協定当事者は、それぞれの事業場の労働組合員数にかかわらず、その労働組合となる。
協定当事者である「労働者の過半数を代表する者」が、協定締結後に死亡した場合であっても、当該協定の効力は失われない。
協定当事者である「労働者の過半数を代表する者」の「労働者」の範囲には、労働基準法第41条第2号の「管理監督者」、同条第3号の「監視、断続的労働従事者で行政官庁の許可を受けた者」、満18歳に満たない者などのような、時間外労働又は休日労働を考える余地のない者を含む全ての労働者と解すべきであるとされている。
協定当事者である使用者は、労働基準法第10条の「使用者」であるから、各事業場の長ではなく、株式会社の社長自らが協定当事者となることも可能である。
法人の役員を含む全従業員により構成されており、その目的・活動内容に照らし労働組合とは認められない親睦団体の代表者が自動的に協定を締結したにすぎない場合、当該代表者は、「労働者の過半数を代表する者」に当たらないとされている。
○【問6】=割増賃金の基礎となる賃金に関する問題:
▶労働基準法第37条(以下本間において「本条」という。)に定める割増賃金の基礎となる賃金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
通勤手当を、月額1,000円までは距離にかかわらず一律に、1,000円を超える場合は実際距離に応じた額を支給することとしている場合、割増賃金の基礎となる賃金の算定に当たっては、一律に支給される1,000円を含む通勤手当として支給した額全額を、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされている。
手術に従事した医師に対して支払われる手術手当は、当該手術手当を支給される医師が手術以外の業務で法定時間外労働を行った場合においても、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなければならないとされている。
通常は事務作業に従事している労働者が、法定労働時間外に特殊作業手当が支払われる現場作業に従事した場合、当該労働者にとって当該現場作業は本条〔第37条〕第1項の「通常の労働時間」には該当しないので、当該特殊作業手当は割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされている。
いわゆる年俸制の適用を受ける労働者の割増賃金の取扱いについて、賞与の支給額が確定しており、かつ、毎月支払部分と賞与とが明確に区分されている場合には、当該賞与額を割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えない。
正規の勤務時間による勤務の一部又は全部が午後10時から午前5時までの間において行われる看護業務に従事したときに、その勤務1回につき夜問看護手当として3,000円を支払う場合、当該夜間看護手当は、本条〔第37条〕第1項の通常の労働時間又は労働日の賃金とは認められないから、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされている。
○【問7】=就業規則に関する問題:
▶労働基準法に定める就業規則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
就業規則を作成した使用者は、当該就業規則を備え付けている場所等を労働者に示すこと等により、労働者が必要なときに容易に確認できる状態にする必要がある。
・【令和7年問7B】 【判例問題】
使用者がその従業員に対して金品の不正隠匿の摘発・防止のために行う所持品検査は、これを必要とする合理的理由に基づいて、一般的に妥当な方法と程度で、しかも制度として、職場従業員に対して画一的に実施されるものでなければならず、このようなものとしての所持品検査が就業規則その他明示の根拠に基づいて行われるときは、従業員は、個別的な場合にその方法や程度が妥当を欠く等特段の事情がない限り、検査を受忍すべき義務があるとするのが、最高裁判所の判例である。
労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1か月など)ごとに作成される勤務割や勤務シフトなどにおいて初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような形態(シフト制)の労働者に関する労働基準法第89条第1項第1号に係る事項の就業規則への記載に際して、「個別の労働契約による」、「シフトによる」との記載のみにとどめた場合、就業規則の作成義務を果たしたことにならないが、基本となる始業及び終業の時刻や休日を定めた上で、「具体的には個別の労働契約で定める」、「具体的にはシフトによる」旨を定めることは差し支えない。
労働基準法第90条第2項の規定により就業規則の届出に添付すべき意見を記した書面は、労働者を代表する者の氏名を記載しただけでは足りず、この者の押印もなければならない。
労働者が、遅刻・早退をした場合、その時間については賃金債権が生じないものであるから、その時間分の減給は、労働基準法第91条に定める減給の制裁に関する規定の適用を受けないが、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、同条に定める規定の適用を受ける。
選択式
次の文中の の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 労働基準法第114条は、 A は、同法第37条の規定に違反した使用者に対して、労働者の請求により、同条の規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の B の支払を命ずることができる旨規定している。
2 最高裁判所は、就業規則として定める給与規程における、出勤率が90%以上の従業員を賞与支給対象者とする旨の条項(以下本間において「本件90%条項」という。)の適用に関し、その基礎とする出勤した日数に産前産後休業の日数等を含めない旨の定めが労働基準法(平成9年法律第92号による改正前のもの)65条等に反するか等が問題となった事件において、次のように判示した。
「労働基準法65条は、産前産後休業を定めているが、産前産後体業中の賃金については何らの定めを置いていないから、産前産後体業が有給であることまでも保障したものではないと解するのが相当である。〔…(略)… 〕したがって、産前産後休業を取得し〔…・(略)… 〕た労働者は、その間就労していないのであるから、労使間に特段の合意がない限り、その不就労期間に対応する賃金請求権を有しておらず、当該不就労期間を出勤として取り扱うかどうかは原則として労使間の合意にゆだねられているというべきである。
ところで、従業員の出勤率の低下防止等の観点から、出勤率の低い者につきある種の経済的利益を得られないこととする措置ないし制度を設けることは、一応の経済的合理性を有するものである。上告人の給与規程は、賞与の支給の詳細についてはその都度回覧にて知らせるものとし、回覧に具体的な賞与支給の詳細を定めることを委任しているから、本件各回覧文書〔本件90%条項の適用に関し、産前産後休業については、出勤率算定の基礎とする出勤すべき日数に算入し、出勤した日数には含めない旨を定めた文書〕は、給与規程と一体となり、本件90%条項等の内容を具体的に定めたものと解される。本件各回覧文書によって具体化された本件90%条項は、労働基準法65条で認められた産前産後体業を取る権利〔…(略)…〕に基づく不就労を含めて出勤率を算定するものであるが、上述のような労働基準法65条〔…(略)…〕の趣旨に照らすと、これにより上記権利等の行使を抑制し、ひいては労働基準法等が C 場合に限り、公序に反するものとして無効となると解するのが相当である」。
3 事業者は、労働安全衛生法第22条に基づき、健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならないが、事業場における自主的な労働衛生管理活動の促進を図るためには、総括安全衛生管理者、産業医、衛生管理者、衛生推進者等の選任及び職務の励行、衛生委員会の設置及び運営等の労働衛生管理体制の確立を基本とした上で、作業環境管理、 D 及び健康管理並びに労働衛生教育の総合的な実施を図っていく必要がある。
4 労働安全衛生法第42条は、「特定機械等以外の機械等で、別表第2に掲げるものその他危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、政令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、 E 、又は設置してはならない。」と定めている。
選択肢:
①慰謝料 ②厚生労働大臣 ③裁判所 ④作業管理
⑤使用者に労働者の仕事と生活の調和にも配慮することを規定している趣旨を実質的に失わせるものと認められる
⑥上記権利等を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる
⑦譲渡し、貸与し ⑧譲渡し、展示し
⑨生産管理 ⑩遅延損害金
⑪同法等に違反する行為に罰則を設けている意味を没却させる
⑫都道府県労働局長 ⑬賠償金
⑭販売し、賃貸し ⑮販売し、販売のために展示し
⑯付加金 ⑰有害物管理
⑱労働基準監督署長 ⑲労働時間管理
⑳労働条件は労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものとしている意味を没却させる
選択式解答
A=③「裁判所」(労基法第114条)
B=⑯「付加金」(同上)
C=⑥「上記権利等を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる」(【東朋学園事件=最判平成15.12.4】。労基法のこちら)
D=④「作業管理」(「今後における労働衛生対策の推進に関する基本方針について」【平成26.2.17基発0217第7号】。こちらの1(1))
E=⑦「譲渡し、貸与し」(安衛法第42条)
選択式の論点とリンク先
〔1〕問1
問1(こちら)は、付加金制度の概要についての出題です。割合基本的な出題であり、条文問題といってよいです。
学習歴の短い方などは、この設問が付加金について出題されていることを把握すること自体が難しかったかもしれません。
付加金に関する出題であることを把握するキーワードとしては、設問中に、「労働基準法第114条」とあること(労基法の後ろの方の条文であるということです)、「同法第37条の規定に違反した使用者に対して」「支払を命ずることができる」とあること(第37条が割増賃金の規定であることが自然に思い出せる程度に学習する必要があります)などが挙げられます。
使用者に対して支払いを命ずる制度なのですから、やはり付加金という連想が出てくるところです。
労基法の場合は、法条文が少ないですから、条文をベースに学習しますと、本問のような条文問題に対応しやすいです。
ちなみに、当サイトの直前対策講座では、こちら(直前対策講座のパスワード)の【問4】で付加金に関する最高裁判例を取り上げていました。
〔2〕問2
問2(こちら)は、【東朋学園事件=最判平成15.12.4】からの出題です(労基法のこちら。労基法のパスワード)。
いわゆる「権利行使抑制法理」を採用している判例であり、この法理については、労基法の年次有給休暇の取得を理由とする不利益取扱いに関する【沼津交通事件=最判平成5.6.25】がリーディングケースです(労基法のこちら以下)。
この「権利行使抑制法理」については、当サイトでも色々な箇所で取り上げており、特にマタニティ・ハラスメントに関する【広島中央保健生協事件 = 最判平成26.10.23】との関係(こちら)について強い関心を持っていました。
権利行使抑制法理とは、「当該権利の行使を抑制し、ひいては法が労働者に当該権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められるときに、当該措置は、公序(民法第90条)に反するものとして無効となる」とする旨の判例法理です。
空欄のCは、この法理の上記太字に相当する箇所が出題されたものです。
この東朋学園事件判決は、平成22年度の選択式において、「公序に反するもの」という箇所が空欄とされました(今回の空欄Cの直後の部分です)。
テキストによっては、労基法の産前産後休業の箇所で、この東朋学園事件判決に言及されていないものもありそうでして、市販の1冊本のみを使用している方などは、今回の出題が初見だったということもありえます。初見ですと、正答がやや難しくなりますが、選択肢にそれほど紛らわしいものはないため、結果的には正答することが可能だったかもしれません。
なお、「権利行使抑制法理」を採用している判例は、いくつかあり(前掲のリンク参考)、【日本シェーリング事件=最判平成元.12.14】(賃上げの対象となる稼働率の算定にあたり年休等の休業期間を除外した労働協約の適法性が争われたもの)は労基法の【平成23年問6C(こちらの下部)】で出題されています。
労働法の判例については、当サイトでもこちらで目次を作っていますので、時間があるときにでも、少しずつ判例に目を通して頂ければと思います。
〔3〕問3
問3(こちら)からは、安衛法です。
問3は、少し難しいです。
もっとも、一般に、職場における労働者の健康の保持増進を図るためには、①「作業環境の管理」、②「作業の管理」、及び③「健康の管理」といういわゆる「労働衛生の3管理」が適切に実施されることが必要とされており(安衛法のこちら。安衛法のパスワード)、空欄のDには上記②の「作業の管理」が対応します。
この労働衛生の3管理については、【選択式 平成29年度(こちら)】で「健康管理」に関連して出題されています(空欄とはされませんでしたが)。
〔4〕問4
問4(こちら)は、特定機械等以外の機械等の譲渡等の制限(安衛法第42条)に関する出題です(当サイトのこちら以下)。
第43条の局所防護装置(こちら)については、平成22年度の選択式で出題されているのですが、今回の第42条については初めて選択式で出題されたようです。
当サイトでは、一応、ゴロによる記憶をご紹介しておきました(前掲のリンク先参考)。
この問4については、選択肢の中に紛らわしいものが多く(⑧「譲渡し、展示し」、⑭「販売し、賃貸し」、⑮「販売し、販売のために展示し」)、正解が厳しかったかもしれません。
「譲渡し、貸与し、又は譲渡若しくは貸与の目的で展示してはならない」というのは、上述の 第43条の局所防護措置のケースです。
総評
選択式については、安衛法の2つの空欄が結構難しく、労基法の3つの空欄を正解する必要があります。労基法の空欄C(こちら)を正解することができたかどうかが合否の分かれ目となりそうです。
なお、労基法・安衛法の選択式は、このように安衛法の2つの空欄が難しいケースが少なくなく、その意味で、労基法の選択式の対策、特に判例対策が重要となります。
択一式については、高得点はとりにくかった内容でした。
具体的には、以下の通りです。
【問1】(こちら以下)は、一つ一つの肢は、過去問もあるものも多く、難しくはないのですが、個数問題であるため、厄介です。
【問2】(こちら以下)は、肢のAが事例問題であり、本試験会場で解答するには時間的に厳しく、後回しにすることとなります。
ただ、その他の肢も、過去問があるのがD(平成14年の出題であり古いです)程度であり、当サイトでは、肢のBからEのいずれについても記載していましたが、一般には【問2】を正答することは厳しかったかもしれません。
【問3】(こちら以下)は、肢のA~Dは、判断しにくかったと思います。
AとBについては、過去に類問が出題されていますが、それぞれ平成18年と平成10年であり、初出の問題という印象を抱く受験者の方が少なくないはずです。
CとDについては、やや考えるため、受験者の方によっては時間を消費します。
AやBについて、その内容を見かけたことがある程度に学習しておく必要があったといえ、テキストにこのレベル程度までは記載されているのが理想といえます。
当サイトでは、C・D以外については、記載されていました。
【問4】(こちら以下)は、 肢のD(こちら)とE(こちら)が過去問の多い典型論点であり、 正解することは比較的容易です。
ただ、肢のC(こちら)において、思考のため時間を費消すると、厳しいこととなります。
Cは、【平成17年問1B(こちら)】が類問なのですが、約20年前の過去問ですから、実質的には今回が初見だった方が多いと思います。
調整的相殺の問題ではなく、賃金の計算期間の問題であることがポイントです。
肢のA(こちら)については、第17条の前借金相殺の禁止と第24条第1項の賃金の全額払の原則(賃金債権の相殺禁止が含まれます)の労使協定による例外との関係を考えてみて下さい。
【問5】(こちら以下)は、36協定に係る協定当事者について焦点を当てた問題です。
肢のA(こちら)は、事例風ですが(近年の直接の過去問はないようです)、「企業単位で結成された労働組合がある場合に、個々の事業場における36協定の協定当事者が誰になるのか」という問題であり、事業場単位の原則が念頭にあれば、難しくはありません。
B(こちら)についても、過去問はありませんが、常識的に結論では出そうです。
C(こちら)については、過去問の類問があり(派遣労働者をメイン論点としたものですが、【平成25年問3A(こちら))、ここら辺の知識が身に着いているかが合否の分かれ目になります。
D(こちら)については、過去問はありませんが、「使用者」の定義から考えると正答できそうです。
E(こちら)は、トーコロ事件最高裁判決からであり、過去にも関連出題はありますので、正答したいです。
以上、【問5】も即答できる肢は少なく、簡単ではありませんが、合格のためには正答する必要があります。
なお、この【問5】について、当サイトではすべての肢について対応する記載があります(肢Aは、事例風のため、ストレートな記載はありませんが、出題されたパターンについての解説があります)。
【問6】(こちら以下)は、割増賃金の算定基礎となる賃金に該当するのかがテーマです。
肢のA(こちら)とD(こちら)は、法第37条第5項及び施行規則第21条が定める割増賃金の算定基礎から除外される賃金(除外賃金)に該当するのかの問題であり、通勤手当と年俸制における賞与が論点です。
これらは、割と基本的な知識といえます。
他方、肢のB(こちら)、C(こちら)及びE(こちら)は、第37条第1項本文の「通常の労働時間又は労働日の賃金」(通常の賃金)に該当するかの問題です。
そのうち、B及びCは、「当該労働にとって通常の賃金」といえるのかという問題であり、Eは、「当該労働が通常の労働時間になされた場合の賃金」といえるのかという問題です。
B及びCは、感覚的にはわかりやすく、また、やや古いですが過去問(【平成16年問5A(こちら)】)もあります。
対して、Eは、慣れないと難しいです。
消去法でEを正解肢とできるかどうかですが、レベルが高いです。
なお、当サイトでは、この【問6】のすべての肢について対応する記載があります。
【問7】(こちら以下)は、就業規則に関する諸問題であり、これも簡単ではありません。
肢のA~Dは、近年の通達、判例、改正事項が素材になっています。
当サイトでは、AとCの通達について記載がありませんでしたが(現在は記載済み)、正解肢のDについては詳述していました。
肢のA(こちら)は、令和5年発出の通達からの出題であり(令和6年度からの試験対象)、その内容の理解について厳密には注意が必要なのですが、当該通達を知らなくても、感覚的に正答を導くことが可能です。
B(こちら)は、最高裁判例からの出題ですが、一度でもこの判例を読んだことがあれば、本肢も処理しやすいです。
C(こちら)は、令和4年に発出された「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」からの出題であり、厄介ですが、【令和元年問7E(こちら)】において、勤務態様等が異なるケース(交代制等)について出題されており、これを参考に処理することはできます。
D(こちら)は、令和3年4月1日施行の施行規則の改正事項からの出題であり(令和3年度からの試験対象)、近年の改正事項をチェックしていた場合はやさしかったかもしれません。
E(こちら)は、過去問も多い論点であり、正答する必要があります。
以上、労基法の択一式は、即答できるような肢が少なくなっており、通達をベースに細かい箇所が問われています。
市販の1冊本で問われているような基本的知識はきっちり習得することを前提として、さらに判例や出題対象となりそうな通達の知識をカバーしていく必要があります。
これらについて、丸暗記ではとても押さえきれませんから、理解しながら記憶していく学習が重要です。
その際、不得意な箇所や気になる箇所があるような場合は、当サイトの対応する箇所を熟読してみて下さい。
例えば、年休について今一つ正答率が悪いときは、当サイトの年休の箇所全体を熟読して頂くことがお勧めです。
講義 社労士合格ゼミナール