2021年度版

 

第1章 総則

障害者雇用促進法は、正式には、「障害者の雇用の促進等に関する法律」といいいます(【昭和35.7.25法律第123号】)。

昭和35年に制定されました「身体障害者雇用促進法」が前身です。

 

 

第1節 目的(第1条)

障害者雇用促進法の目的条文(第1条)は、次の通りです。

 

 

【条文】

第1条(目的)

この法律は、障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のための措置、雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするための措置、職業リハビリテーションの措置その他障害者がその能力に適合する職業に就くこと等を通じてその職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、もつて障害者の職業の安定を図ることを目的とする。

 

 

即ち、障害者雇用促進法は、①障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のための措置、②雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするための措置、③職業リハビリテーションの措置、④その他障害者がその能力に適合する職業に就くこと等を通じてその職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、もって障害者の職業の安定を図ることを目的としています。

 

すぐあとで沿革について見ますが、日本における障害者の雇用に関する法制度は、昭和35年の「身体障害者雇用促進法」の制定以後、障害者の雇用を事業主に義務づける雇用義務等の制度(障害者雇用率法定雇用率)制度等)や職業リハビリテーション等を中心として発展してきました。上記の①、③及び④です(なお、「身体障害者雇用促進法」は、昭和62年の改正により、「障害者雇用促進法」に改められました)。

 

しかし、平成25年(2013年)の障害者雇用促進法の大改正によって、新たに雇用の分野における障害者に対する差別の禁止及び事業主の合理的配慮の提供義務(雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会の確保等を図るための措置(障害の特性に配慮した措置)の義務)の制度が導入されるとともに、紛争の解決等の制度が新設されるなど、障害者雇用の法政策は新たなステージに入っています。

この雇用における障害者の差別の禁止及び合理的配慮の提供義務が、上記の目的条文では②に相当します。

 

 

※ ちなみに、前掲の第1条は、平成25年の改正(【平成25.6.19法律第46号】。「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」)により、施行日の異なる2か所の見直しが行われています(次の新旧対照表を参考ですが、細かく読まなくて結構です)。

 

まず、平成28年4月1日施行の改正により、次の新旧対照表の右欄の【改正後】の第1条中、従来、「のための措置」とあった下に、「、雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするための措置」が追加されました。2番目の下線部分です。

これは、前述の②の「雇用関係における障害者に対する差別の禁止及び事業主の合理的配慮の提供義務」の新設に対応する部分です。

 

その後、平成30年4月1日施行の改正により、第1条中、従来、「身体障害者又は知的障害者」とあったのが、「障害者」に改められました。1番目の下線部分です。

当該施行の改正により、「精神障害者」も雇用義務の対象とされたことから、従来の「身体障害者又は知的障害者」から「精神障害者」を含む概念として「障害者」に拡張されたものです。

 

【平成28年4月1日施行の改正前】

改正前第1条(目的)

この法律は、身体障害者又は知的障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のための措置、職業リハビリテーションの措置その他障害者がその能力に適合する職業に就くこと等を通じてその職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、もつて障害者の職業の安定を図ることを目的とする。

 

 

 

 

 

 

【改正後】

第1条(目的)

この法律は、障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のための措置、雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするための措置、職業リハビリテーションの措置その他障害者がその能力に適合する職業に就くこと等を通じてその職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、もつて障害者の職業の安定を図ることを目的とする。

 

 


第2節 沿革

〔1〕身体障害者雇用促進法

日本において障害者の雇用政策が本格的に展開するのは、昭和35年(1960年)に制定された「身体障害者雇用促進法」からとされます(その前の段階では、身体障害者の福祉の向上を目的として、昭和24年(1949年)に「身体障害者福祉法」が制定されていましたが、障害者雇用の促進という点で限界があったとされます)

 

身体障害者雇用促進法では、事業主に一定率以上の障害者の雇用の努力義務を課す障害者雇用率(法定雇用率)の制度が導入され、一応の成果は見られたとされます。

 

その後、昭和48年(1976年)の第1次石油危機以降、障害者の雇用問題が深刻化したため、昭和51年(1976年)に同法の大きな改正が行われました。

即ち、障害者雇用率制度が努力義務から義務規定に見直され、また、事業主間の不公平感を解消するため、雇用納付金制度(障害者雇用率を達成できない事業主から納付金を徴収し、障害者雇用率を超えて雇用する事業主に対して調整金を支給する制度)が新設されました。

なお、特例子会社の制度は、昭和51年から通達により実務上開始されました。

 

 

〔2〕障害者雇用促進法

1 昭和62年の改正

昭和62年(1987年)には、「身体障害者雇用促進法」が「障害者雇用促進法」に改称される等の大きな改正が行われました。

 

即ち、1980年台になると、障害者の社会参加・平等促進に受けての国際的運動が高まり、昭和56年(1981年)は「国際障害者年」とされ、昭和58年(1983年)からは「国連・障害者の10年」が始まり、同年にはILO(国際労働機関)において「障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約」(第159号条約)も採択されました(日本は、平成4年(1992年)に批准)。

 

このような国際的動向を背景として、「障害者雇用促進法」への改正が行われたものです。

そこでは、①知的障害者(当時は「精神薄弱者」という文言が使用されていましたが、平成9年の改正で改められました)を身体障害者と同様に実雇用率に算入すること(即ち、実際に雇用する障害者に算入すること)とされ(実雇用率とは、障害者の実際の雇用率のことであり、大まかには、常用労働者数に対する常用障害者数の割合であり、当該雇用率は障害者雇用率以上とならなければなりません)、②従来、通達により実施されていた特例子会社の制度(特例子会社が障害者を雇用する場合に、親会社と特例子会社の全体で障害者雇用率を満たすことができる制度)が法定され(その後の改正によって、特例子会社以外の子会社も含められ(平成14年改正)、さらに、現在では、特例子会社の存在しない企業グループも対象となっています(平成20年改正))、③障害者の職業的自立を促進する「職業リハビリテーション」の制度が導入される等の見直しが行われました。

 

2 平成9年の改正等

その後、平成9年(1997年)には、①それまで実雇用率の算定基礎には算入されていたものの雇用義務の対象とはされてなかった知的障害者が雇用義務の対象とされ、②従来の「身体障害者雇用率」が「障害者雇用率」に改められる等の改正が行われました。

 

平成17年(2005年)には、障害者自立支援法(現在の障害者総合支援法)により、精神障害者が実雇用率の算定基礎に算入できることとなり、次に見ます平成25年(2013年)の改正では、精神障害者も雇用義務の対象とされました。

 

 

〔3〕平成25年の大改正による障害者に対する雇用差別禁止・合理的配慮の提供義務の制度の導入

【平成28年度 30年度試験 改正事項】

 

平成18年(2006年)の国連総会において、障害者の人権及び尊厳の尊重を促進することを目的とした「障害者の権利に関する条約」(障害者権利条約)が採択されました。

日本は平成19年(2007年)に同条約に署名し、その批准のため国内法の整備を図ることとし、(1)平成23年(2011年)に「障害者基本法」(昭和45年法律第84号)が改正され、(2)平成24年(2012年)に「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」(正式名称は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)に改正され、(3)平成25年(2013年)に「障害を理由とする差別の解消の促進に関する法律」(「障害者差別解消法」)が制定されるとともに、(4)雇用の分野において、同じく平成25年(2013年)に「障害者雇用促進法」が大改正されました。

 

この平成25年の障害者雇用促進法の改正(【平成25.6.19法律第46号】。「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」)では、①障害者に対する雇用における差別の禁止第34条第35条)及び事業主の合理的配慮の提供義務第36条の2第36条の3第36条の4)が新設され、②紛争の解決の制度第74条の4以下)が設けられるとともに、③精神障害者雇用義務の対象とされる等の大きな見直しが行われました(①及び②は、平成28年4月1日施行、③は平成30年4月1日施行です)。

 

これらの法整備を経て、日本は、障害者権利条約を平成26年(2014年)に批准しました。

 

 

〔4〕令和元年の改正

2020年度試験 改正事項

さらに、令和元年(2019年)にも障害者雇用促進法が改正されました(【令和元.6.14法律第36号】。「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」)。

令和2年4月1日施行です。

 

この改正では、平成30年に発覚した国・地方公共団体の障害者の実雇用率の水増し問題に対する対策が定められたほかに、次のような見直しが行われました。

 

①特例給付金の新設

 

短時間であれば就労可能な障害者を雇用する事業主に対して、特例の給付金を支給する制度が新設されました(第51条)。(こちら以下

 

 

②中小事業主の認定制度の新設

 

障害者雇用等の取組の実施状況が優良な300人以下の労働者を雇用する事業主の申請により、厚生労働大臣は基準に適合する旨の認定を行うことができるものとされました(第77条)。(こちら以下)。

2021年度試験 改正事項】 

この認定を受けた事業主は、商品等に認定マークを付することができます(認定マークの愛称は、「もにす」に決定しました(共に進む(ともにすすむ)という言葉と、企業と障害者が共に明るい未来や社会に進んでいくことを期待して名付けられたとのことです。 令和2年7月2日決定。【令和2.7.2厚生労働省告示第260号】))。

(なお、中小事業主の認定制度は、令和2年4月1日施行ですから、前回の令和2年度から試験対象となっていますが、「もにす」は、その後決定されたため、一応、今回の令和3年度から試験対象となりました。)

 

2021年度試験 改正事項】 

※ なお、障害者雇用率は、平成25年の改正により引き上げられ、平成30年4月1日から施行されましたが(一般事業主は2.3%)、激変緩和措置として、当分の間(施行後3年以内)は0.1%引き下げられた率(一般事業主は2.2%)が適用されていました。

しかし、令和3年3月1日から本来の率(一般事業主は2.3%)が適用されています。

こちら以下を参考です。

 

〔5〕まとめ

以上のように、日本における障害者雇用対策は、当初、障害者の雇用差別を禁止するという方法ではなく、障害者雇用率制度によって事業主に障害者の雇用義務を課し障害者の雇用を高めるという方法(障害者の雇用を「量的に拡大する方法)を中心としてきました。

 

一方、平成25年の改正によって採用された障害者の雇用差別を禁止するという方法(差別禁止アプローチともいわれます)は、個々の障害者に焦点を当て障害者の個人の尊重にウエイトを置いたアプローチといえます。

 

従来からの雇用義務の制度(障害者雇用率制度)は、すべての事業主に一定率の障害者雇用を義務づけるという方法です(理論的には、均等法で学習しました「ポジティブ・アクション」(積極的差別是正措置こちら)であり、差別禁止(障害者でない者との均等・同一な取扱いの要請)の例外となるものです)。

このようなアプローチ(雇用政策アプローチないし雇用義務アプローチといわれることがあります)は、訴訟提起等が容易でない日本の実情に照らし、差別禁止アプローチ(差別をされた被害者が最終的には訴訟を提起する等、権利侵害に対する救済を求めることによって権利の実現が図られます)よりも実効的な障害者雇用政策であるとして採用され発展してきたとされます(以上、荒木第4版99頁以下、825頁参考)。

 

しかし、本来、障害者に対する不合理な雇用差別は禁止されるべきものです(憲法第14条第1項(間接適用説)、民法第90条等)。

そこで、例えば、具体的な就労能力等を問わずに(ないし重視せずに)、障害を有することだけを理由として雇用の機会や賃金等の労働条件を差別するようなことは許容されません(にもかかわらず、障害を有しているというだけで、経験もあるのに面接すら受けることができなかったといった実例があることは、例えば平成22年という近年の内閣府の調査においても判明しています)

 

差別禁止アプローチに対して、雇用義務アプローチにも障害者の雇用を量的に直接拡大できるというメリットがあることは確かですが(特に障害の重い者の雇用について意義があります)、差別禁止アプローチをもっと早く実定法化すべきであったともいえるでしょう(本来、直ちに禁止されるべき差別が、実際は十分に規制されていなかったことになります)。

ことは人権の問題である以上、必ずしも「時代」による制約が正当化理由となるわけではありません。

 

先に「沿革」で見ましたように、国際的に障害者の人権保障の強化に向けての運動が高まってきたのは1980年台です。

しかし、ノーマライゼーション(障害者にとって自然な生活しやすい社会の形成)の理念が唱えられたのは既に1950年台であり、バリアフリーの考え方も1970年台半ばには国連の障害者関係の報告書に登場しています。

人権について、「時代」による制約は一つの考慮される事情に過ぎず、強調し過ぎることは妥当でないでしょう(なぜなら、不当な差別・人格の侵害を受けたことによる苦しみ・痛みは、昔の人々であっても現在の人々であっても、変わらないはずだからです)。

 

 

以上、障害者雇用促進法の沿革についてでした。次に、同法における定義について見ます。

 

 

 

第3節 定義(第2条)

障害者雇用促進法における用語の定義を見ます(第2条)。  

 

〔1〕障害者

◆「障害者」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害含みますその他の心身の機能の障害(以下、「障害」と総称します)があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいいます(第2条第1号)。

 

 

※ 以前は、障害者とは、「身体障害、知的障害又は精神障害(以下「障害」と総称する。)があるため、・・・」と規定されていましたが、平成25年の改正により、「精神障害」に「発達障害」を含むことがかっこ書で明示され、また、「障害」に、難病に起因する障害等を含むことを明確にするため、「その他の心身の機能の障害」が追記されました(平成25年6月19日(公布日)施行)。

 

 

※ この第2条第1号の「障害者」は、例えば、障害者に対する雇用差別の禁止(第34条第35条)や事業主の合理的配慮の提供義務(第36条の2第36条の3)、さらには紛争の解決等の制度(第74条の4以下)の対象となります(これらの規定では、「障害者」を対象としているためです)。

他方、雇用義務等の制度(障害者雇用率、雇用納付金等)との関係では、「対象障害者」(身体障害者、知的障害者又は精神障害者(原則として、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているものに限ります)のことをいいます。第37条第2項)が対象となっているため、雇用義務等の制度の対象となる障害者は第2条第1号の「障害者」よりは狭いです(ここでは、実務処理上の明確性の必要性等から、身体障害者(後述の通り、第2条第2号により定義されています)等に対象が限定されています)。

 

 

※「長期にわたり」とは、障害が長期にわたり、又は永続することを意味し、病気などにより一時的に職業生活に制限を受ける者は、「障害者」には当たりません(【平成27.6.16職発0616第1号】第1の2(2)参考)。

 

「職業生活に相当の制限を受け」とは、雇用・就業上の観点から、障害により職業生活が相当程度制限される状態を意味しています。

従って、就業可能な職域の範囲、就業の難易度等からみて障害の程度が軽く、就職等に当たってのハンディキャップとならないような者は該当しません(同上「平成27年職発」)。 

 

「職業生活を営むことが著しく困難な者」とは、制限の程度が極めて大きい状態を意味しており、重度の障害者についても対象から排除しないことを明らかにしたものであるとされます。

そのため、例えば、内部障害を有する者、難病に起因する障害を有する者、高次脳機能障害を有する者等については、その障害が長期にわたる又は永続するものであり、かつ、職業生活を相当程度制限する又は職業生活を営むことが著しく困難な場合は、差別禁止等の対象となる障害者に含まれます(同上「平成27年職発」)。 

 

 

〔2〕身体障害者

◆「身体障害者」とは、障害者のうち、身体障害がある者であって別表に掲げる障害があるものをいいます(第2条第2号)。

 

※ 別表(法別表)は、こちらです(読まないで結構です)。 

 

 

〔3〕重度身体障害者

◆「重度身体障害者」とは、身体障害者のうち、身体障害の程度が重い者であって厚生労働省令〔=施行規則第1条〕で定めるものをいいます(第2条第3号)。

 

 

〔4〕知的障害者

◆「知的障害者」とは、障害者のうち、知的障害がある者であって厚生労働省令〔=施行規則第1条の2〕で定めるもの〔=知的障害者判定機関により知的障害があると判定された者〕をいいます(第2条第4号)。

 

 

〔5〕重度知的障害者

◆「重度知的障害者」とは、知的障害者のうち、知的障害の程度が重い者であって厚生労働省令〔=施行規則第1条の3〕で定めるものをいいます(第2条第5号)。

 

 

〔6〕精神障害者

◆「精神障害者」とは、 障害者のうち、精神障害がある者であって厚生労働省令〔=施行規則第1条の4〕で定めるものをいいます(第2条第6号)。

 

即ち、精神障害者とは、障害者のうち、次に掲げる者であって、症状が安定し、就労が可能な状態にあるものとします(施行規則第1条の4)。

 

(1)精神保健福祉法第45条第2項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者

 

(2)統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含みます)又はてんかんにかかっている者((1)に掲げる者に該当する者を除きます) 

 

 

〔7〕職業リハビリテーション

◆「職業リハビリテーション」とは、障害者に対して職業指導、職業訓練、職業紹介その他障害者雇用促進法に定める措置を講じ、その職業生活における自立を図ることをいいます(第2条第7号)。

 

 

ここで条文を掲載しておきますが、読まなくて結構です。

次は、こちらの「基本的理念」にお進み下さい。

 

 

 

【条文】

第2条(用語の意義)

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 

一 障害者

 

 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。第6号において同じ。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいう。

 

 

二 身体障害者

 

 障害者のうち、身体障害がある者であつて別表〔=法別表(こちら)〕に掲げる障害があるものをいう。

 

 

三 重度身体障害者

 

 身体障害者のうち、身体障害の程度が重い者であつて厚生労働省令〔=施行規則第1条〕で定めるものをいう。

 

 

四 知的障害者

 

 障害者のうち、知的障害がある者であつて厚生労働省令〔=施行規則第1条の2〕で定めるものをいう。

 

 

五 重度知的障害者

 

 知的障害者のうち、知的障害の程度が重い者であつて厚生労働省令〔=施行規則第1条の3〕で定めるものをいう。

 

 

六 精神障害者

 

 障害者のうち、精神障害がある者であつて厚生労働省令〔=施行規則第1条の4〕で定めるものをいう。

 

 

七 職業リハビリテーション

 

 障害者に対して職業指導、職業訓練、職業紹介その他この法律に定める措置を講じ、その職業生活における自立を図ることをいう。

  

 

【施行規則】

施行規則第1条(重度身体障害者)

障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「法」という。)第2条第3号の厚生労働省令で定める身体障害の程度が重い者は、別表第1に掲げる身体障害がある者とする。

  

 

施行規則第1条の2(知的障害者)

法第2条第4号の厚生労働省令で定める知的障害がある者(以下「知的障害者」という。)は、児童相談所、知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第9条第6項に規定する知的障害者更生相談所、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号。以下「精神保健福祉法」という。)第6条第1項に規定する精神保健福祉センター、精神保健指定医又は法第19条の障害者職業センター(次条及び第4条の15第2号において「知的障害者判定機関」という。)により知的障害があると判定された者とする。

 

 

施行規則第1条の3(重度知的障害者)

法第2条第5号の厚生労働省令で定める知的障害の程度が重い者は、知的障害者判定機関により知的障害の程度が重いと判定された者とする。

 

 

【施行規則】

施行規則第1条の4(精神障害者)

法第2条第6号の厚生労働省令で定める精神障害がある者(以下「精神障害者」という。)は、次に掲げる者であつて、症状が安定し、就労が可能な状態にあるものとする。

 

一 精神保健福祉法第45条第2項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者

 

二 統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む。)又はてんかんにかかつている者(前号に掲げる者に該当する者を除く。)

 

 

 

第4節 基本的理念(第3条、第4条)

基本的理念については、次の2つの条文(第3条第4条)を一読して下さい。

 

 

【条文】

第3条(基本的理念)

障害者である労働者は、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとする。

 

 

第4条 

障害者である労働者は、職業に従事する者としての自覚を持ち、自ら進んで、その能力の開発及び向上を図り、有為な職業人として自立するように努めなければならない。

 

 

 

第5節 事業主の責務(第5条)

事業主の責務については、次の第5条を一読して下さい。

「社会連帯の理念」というキーワードには注意です。

 

 

【条文】

第5条(事業主の責務)

すべて事業主は、障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、障害者である労働者が有為な職業人として自立しようとする努力に対して協力する責務を有するものであつて、その有する能力正当に評価し、適当な雇用の場を与えるとともに適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るように努めなければならない。

 

 

 

第6節 国及び地方公共団体の責務(第6条)

国及び地方公共団体の責務については、次の第6条の通りです。

 

 

【条文】

 

※ 本条は、令和2年4月1日施行の改正(【令和元.6.14法律第36号】)により改められています。

〔即ち、同条中、従来、「地方公共団体は」とあった下に、「、自ら率先して障害者を雇用するとともに」が追加され、従来、「とともに」とあったのが、「ほか」に改められました。〕

 

第6条(国及び地方公共団体の責務)

国及び地方公共団体は、自ら率先して障害者を雇用するとともに、障害者の雇用について事業主その他国民一般の理解を高めるほか、事業主、障害者その他の関係者に対する援助の措置及び障害者の特性に配慮した職業リハビリテーションの措置を講ずる等障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を、障害者の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ総合的かつ効果的に推進するように努めなければならない。

 

 

 

・【過去問 平成20年問5A】

設問:

平成19年に障害者雇用促進法が改正され、同法第4条第1項各号に掲げる国の施策として、「障害者の職業の安定を図るため、雇用の促進、職業リハビリテーションの推進その他の障害者がその職業生活において自立することを促進するために必要な施策を充実すること」が新たに追加された。

 

解答:

誤りです。

国の施策として設問の項目が追加されたのは、平成19年の「雇用対策法」(現在の「労働施策総合推進法」)の改正でした(労働施策総合推進法第4条第1項第10号。改正当時は、雇用対策法第4条第8号)。

改正直後の事項に関する出題でした。

 

 

 

第7節 障害者雇用対策基本方針(第7条)

◆厚生労働大臣は、障害者の雇用の促進及びその職業の安定に関する施策の基本となるべき方針(「障害者雇用対策基本方針」といいます)を策定するものとします(第7条第1項)。

 

 

【条文】

第7条(障害者雇用対策基本方針)

1.厚生労働大臣は、障害者の雇用の促進及びその職業の安定に関する施策の基本となるべき方針(以下「障害者雇用対策基本方針」という。)を策定するものとする。

 

2.障害者雇用対策基本方針に定める事項は、次のとおりとする。

 

一 障害者の就業の動向に関する事項

 

二 職業リハビリテーションの措置の総合的かつ効果的な実施を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項

 

三 前2号に掲げるもののほか、障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項

 

3.厚生労働大臣は、障害者雇用対策基本方針を定めるに当たつては、あらかじめ、労働政策審議会意見を聴くほか、都道府県知事意見を求めるものとする。

 

4.厚生労働大臣は、障害者雇用対策基本方針を定めたときは、遅滞なく、その概要を公表しなければならない。

 

5.前2項の規定は、障害者雇用対策基本方針の変更について準用する。

 

 

第8節 障害者活躍推進計画(第7条の2、第7条の3)

2020年度試験 改正事項】

 

障害者活躍推進計画」に関する第7条の2及び第7条の3は、平成30年に発覚しました国及び地方公共団体におけるいわゆる障害者雇用の水増し問題(対象障害者の不適切な計上及び法定雇用率未達成の増加)を踏まえて、令和2年4月1日施行の改正(【令和元.6.14法律第36号】)により新設された規定です。

 

 

1 障害者活躍推進計画作成指針

 

◆厚生労働大臣は、国及び地方公共団体が障害者である職員がその有する能力を有効に発揮して職業生活において活躍することの推進(「障害者である職員の職業生活における活躍の推進」といいます)に関する取組を総合的かつ効果的に実施することができるよう、障害者雇用対策基本方針に基づき、障害者活躍推進計画の作成に関する指針(「障害者活躍推進計画作成指針」といいます)を定めるものとする(第7条の2第1項)。 

 

 

2 障害者活躍推進計画の作成等

 

◆国及び地方公共団体の任命権者(委任を受けて任命権を行う者を除きます)は、障害者活躍推進計画作成指針に即して、当該機関(当該任命権者の委任を受けて任命権を行う者に係る機関を含みます)が実施する障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画(「障害者活躍推進計画」といいます)を作成しなければなりません(第7条の3第1項)。

 

※ 国及び地方公共団体の任命権者は、毎年少なくとも1回、障害者活躍推進計画に基づく取組の実施の状況を公表しなければなりません(第7条の3第6項)。

 

 

【条文】

第7条の2(障害者活躍推進計画作成指針)

1.厚生労働大臣は、国及び地方公共団体が障害者である職員がその有する能力を有効に発揮して職業生活において活躍することの推進(次項次条及び第78条第1項第2号において「障害者である職員の職業生活における活躍の推進」という。)に関する取組を総合的かつ効果的に実施することができるよう、障害者雇用対策基本方針に基づき、次条第1項に規定する障害者活躍推進計画次項において「障害者活躍推進計画」という。)の作成に関する指針(以下この条及び次条第1項において「障害者活躍推進計画作成指針」という。)を定めるものとする。

 

2.障害者活躍推進計画作成指針においては、次に掲げる事項につき、障害者活躍推進計画の指針となるべきものを定めるものとする。

 

一 障害者活躍推進計画の作成に関する基本的な事項

 

二 障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容に関する事項

 

三 その他障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する重要事項

 

3.厚生労働大臣は、障害者活躍推進計画作成指針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 

 

第7条の3(障害者活躍推進計画の作成等)

1.国及び地方公共団体の任命権者(委任を受けて任命権を行う者を除く。以下同じ。)は、障害者活躍推進計画作成指針に即して、当該機関(当該任命権者の委任を受けて任命権を行う者に係る機関を含む。)が実施する障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画(以下この条及び第78条第1項第2号において「障害者活躍推進計画」という。)を作成しなければならない。

 

2.障害者活躍推進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 

一 計画期間

 

二 障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標

 

三 実施しようとする障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組の内容及びその実施時期

 

3.厚生労働大臣は、国又は地方公共団体の任命権者の求めに応じ、障害者活躍推進計画の作成に関し必要な助言を行うことができる。

 

4.国及び地方公共団体の任命権者は、障害者活躍推進計画を作成し、又は変更したときは、遅滞なく、これを職員に周知させるための措置を講じなければならない。

 

5.国及び地方公共団体の任命権者は、障害者活躍推進計画を作成し、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 

6.国及び地方公共団体の任命権者は、毎年少なくとも1回、障害者活躍推進計画に基づく取組の実施の状況公表しなければならない。

 

7.国及び地方公共団体の任命権者は、障害者活躍推進計画に基づく取組を実施するとともに、障害者活躍推進計画に定められた目標を達成するように努めなければならない。

 

 

 

 

【法別表】

別表 障害の範囲(第2条、第48条関係)

 

一 次に掲げる視覚障害で永続するもの

 

イ 両眼の視力(万国式試視力表によつて測つたものをいい、屈折異状がある者については、矯正視力について測つたものをいう。以下同じ。)がそれぞれ0.1以下のもの

 

ロ 1眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもの

 

ハ 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの

 

ニ 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの

 

二 次に掲げる聴覚又は平衡機能の障害で永続するもの

 

イ 両耳の聴力レベルがそれぞれ70デシベル以上のもの

 

ロ 1耳の聴力レベルが90デシベル以上、他耳の聴力レベルが50デシベル以上のもの

 

ハ 両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50パーセント以下のもの

 

ニ 平衡機能の著しい障害

 

三 次に掲げる音声機能、言語機能又はそしやく機能の障害

 

イ 音声機能、言語機能又はそしやく機能の喪失

 

ロ 音声機能、言語機能又はそしやく機能の著しい障害で、永続するもの

 

四 次に掲げる肢体不自由

 

イ 1上肢、1下肢又は体幹の機能の著しい障害で永続するもの

 

ロ 1上肢のおや指を指骨間関節以上で欠くもの又はひとさし指を含めて1上肢の2指以上をそれぞれ第1指骨間関節以上で欠くもの

 

ハ 1下肢をリスフラン関節以上で欠くもの

 

ニ 1上肢のおや指の機能の著しい障害又はひとさし指を含めて1上肢の3指以上の機能の著しい障害で、永続するもの

 

ホ 両下肢のすべての指を欠くもの

 

ヘ イからホまでに掲げるもののほか、その程度がイからホまでに掲げる障害の程度以上であると認められる障害

 

五 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害その他政令で定める障害で、永続し、かつ、日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるもの

 

 

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