令和3年度 労働一般

令和3年度(2021年度)の労働一般の本試験問題のインデックスを掲載します。 

 

リンク先に本試験問題及びその解説を掲載しています。 

 

 

択一式

○【問1】= 我が国の労働者の「働きやすさ」に関する問題:

 

【令和3年問1】(白書対策講座のパスワード)

 

※「令和元年 労働経済白書」から「労働者の働きやすさ」についての出題でした。

当サイトでは、「白書対策講座」の「令和元年 労働経済白書」で取り上げており(ただし、そのアップは本試験前の7月でした)、本問中の4肢については直接掲載していました(残り1肢も、要旨は記載していました)。

ただ、肢のAとBの正誤に迷うところであり、確実に正答することは厳しかったといえます。

詳細は、前掲のリンク先をご覧下さい。

 

 

 ○【問2】= 我が国の労働者の就業形態の多様化に関する問題:

 

【令和3年問2】(白書対策講座のパスワード)

 

※「令和元年 就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」からの出題でした。

当サイトでは、同調査が久しぶりの公表であるため力を入れており、出題可能性のある個所について設問をいくつか作成していましたが、大当たりでした。

肢のBについては関連論点に触れており、Cについては論点を当てており(本問の正解肢の内容を当てていることになります)、さらに、Eについても論点を当てています(「白書対策講座」の【設問1(こちら)】、【設問2(こちら)】及び【設問3(こちら)】)。

詳細は、前掲のリンク先をご覧下さい。

 

 

○【問3】= 労働契約法等に関する問題:

 

【令和3年問3A】【労働契約法】労基法のパスワード)

(労働契約法第7条は、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」と定めているが、同条は、労働契約の成立場面について適用されるものであり、既に労働者と使用者との間で労働契約が締結されているが就業規則は存在しない事業場において新たに就業規則を制定した場合については適用されない。)

 

【令和3年問3B】【労働契約法】労基法のパスワード)

(使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合について定めた労働契約法第10条本文にいう「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情」のうち、「労働組合等」には、労働者の過半数で組織する労働組合その他の多数労働組合や事業場の過半数を代表する労働者だけでなく、少数労働組合が含まれるが、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体は含まれない。)

 

 ・【令和3年問3C】【労働契約法】労働一般のパスワード)

(労働契約法第13条は、就業規則で定める労働条件が法令又は労働協約に反している場合には、その反する部分の労働条件は当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約の内容とはならないことを規定しているが、ここでいう「法令」とは、強行法規としての性質を有する法律、政令及び省令をいい、罰則を伴う法令であるか否かは間わず、労働基準法以外の法令も含まれる。)

 

【令和3年問3D】【労働契約法】

(有期労働契約の更新時に、所定労働日や始業終業時刻等の労働条件の定期的変更が行われていた場合に、労働契約法第18条第1項に基づき有期労働契約が無期労働契約に転換した後も、従前と同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは差し支えないと解される。)

 

【令和3年問3E】【労働契約法】

(有期労働契約の更新等を定めた労働契約法第19条の「更新の申込み」及び「締結の申込み」は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよい。) 

 

 

○【問4】= 労働関係法規に関する問題:組み合わせ問題

 

【令和3年問4ア】【障害者雇用促進法】(労働一般のパスワード。以下【問4】において同じ)

(障害者の雇用の促進等に関する法律第36条の2から第36条の4までの規定に基づき事業主が講ずべき措置(以下「合理的配慮」という。)に関して、合理的配慮の提供は事業主の義務であるが、採用後の合理的配慮について、事業主が必要な注意を払ってもその雇用する労働者が障害者であることを知り得なかった場合には、合理的配慮の提供義務違反を問われない。)

 

【令和3年問4イ】【高年齢者雇用安定法】:直近の改正事項

(定年(65歳以上70歳未満のものに限る。)の定めをしている事業主又は継続雇用制度(その雇用する高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。ただし、高年齢者を70歳以上まで引き続いて雇用する制度を除く。)を導入している事業主は、その雇用する高年齢者(高年齢者雇用安定法第9条第2項の契約に基づき、当該事業主と当該契約を締結した特殊関係事業主に現に雇用されている者を含み、厚生労働省令で定める者を除く。)について、「当該定年の引上げ」「65歳以上継続雇用制度の導入」「当該定年の定めの廃止」の措置を講ずることにより、65歳から70歳までの安定した雇用を確保しなければならない。)

 

【令和3年問4ウ】【労働施策総合推進法】:直近の改正事項

(労働施策総合推進法第30条の2第1項の「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」とする規定が、令和2年6月1日に施行されたが、同項の事業主のうち、同法の附則で定める中小事業主については、令和4年3月31日まで当該義務規定の適用が猶予されており、その間、当該中小事業主には、当該措置の努力義務が課せられている。)

 

【令和3年問4エ】【短時間・有期雇用労働法】

(A社において、定期的に職務の内容及び勤務地の変更がある通常の労働者の総合職であるXは、管理職となるためのキャリアコースの一環として、新卒採用後の数年間、店舗等において、職務の内容及び配置に変更のない短時間労働者であるYの助言を受けながら、Yと同様の定型的な業務に従事している場合に、A社がXに対し、キャリアコースの一環として従事させている定型的な業務における能力又は経験に応じることなく、Yに比べ基本給を高く支給していることは、パートタイム・有期雇用労働法に照らして許されない。)

 

【令和3年問4オ】【男女雇用機会均等法:最高裁判例】

(女性労働者につき労働基準法第65条第3項に基づく妊娠中の軽易な業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は、原則として男女雇用機会均等法第9条第3項の禁止する取扱いに当たるが、当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき、又は事業主において当該労働者につき降格の措置を執ることなく軽易な業務への転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合であって、上記措置につき男女雇用機会均等法第9条第3項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在するときは、同項の禁止する取扱いに当たらないとするのが、最高裁判所の判例である。)

 

 

 

○【問5】= 社会保険労務士法に関する問題:

〔本問については、このページで簡単に解説しておきます。〕

 

・【令和3年問5A】

 

 社会保険労務士法令に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

〔以下、肢ごとに見ます。〕

 

 

 一般の会社の労働社会保険事務担当者又は開業社会保険労務士事務所の職員のように、他人に使用され、その指揮命令のもとに事務を行う場合は、社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者の業務の制限について定めた社会保険労務士法第27条にいう「業として」行うに該当する。

 

解答:

誤りです。

第27条の「業として」とは、社会保険労務士が行うべき事務を反復・継続して行うことですが、「他人に使用され、その指揮命令のもとに事務を行う場合」は、当該者が自ら反復・継続して事務を行うものとは評価できません。

 

 

 【社労士法】

第27条(業務の制限)

社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務〔=第3号(相談・指導〕を除く社労士の業務〕をとして行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。

 

 

 

 社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述及び尋間をすることができる。

 

解答:

誤りです。

設問の末尾の「及び尋間」をカットすれば、正しい内容になります(第2条の2)。

 

【過去問 平成27年問3イ】では、正しい内容が出題されています。

 

 

 【社労士法】

第2条の2 

社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。

 

 

 

 厚生労働人臣は、開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人に対し、その業務に関し必要な報告を求めることができるが、ここにいう「その業務に関し必要な報告」とは、法令上義務づけられているものに限られ、事務所の経営状態等についての報告は含まれない。

 

解答:

誤りです(第24条第1項)。

第24条第1項の厚生労働大臣による報告の徴収権等について、「その業務に関し必要な報告」には、「事務所の経営状態等についての報告」も含まれると解されます。

「その業務に関し必要な報告」について、文言上、「法令上義務づけられているもの」に限定されているわけではないこと、また、業務の適正な運営を確保させるという同規定の趣旨にかんがみ、顧客の保護等の観点からは、「事務所の経営状態等」についてもチェックすべき場合があり得ることからです。

 

 

【社労士法】

第24条(報告及び検査)

1.厚生労働大臣は、開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人に対し、その業務に関し必要な報告を求め、又はその職員をして当該開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の事務所に立ち入り、当該開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人に質問し、若しくはその業務に関係のある帳簿書類(その作成、備付け又は保存に代えて電磁的記録の作成、備付け又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させることができる。

 

2.前項の規定により立入検査をしようとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

 

3.第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 

 

 

 

 社会保険労務士法人の事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員である社員を常駐させなければならない。

 

解答:

正しいです(第25条の16)。

 

【過去問 平成22年問8C】で同様の出題があります。

 

 

【社労士法】

第25条の16(社員の常駐)

社会保険労務士法人の事務所には、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会の会員である社員常駐させなければならない。

 

 

 

E 社会保険労務士法人の解散及び清算を監督する裁判所は、当該監督に必要な検査をするに先立ち、必ず厚生労働大臣に対し、意見を求めなければならない。

 

解答:

誤りです(第25条の22の3第3項)。

「当該監督に必要な検査をするに先立ち、必ず厚生労働大臣に対し、意見を求めなければならない」わけではありません。

「社会保険労務士法人の解散及び清算を監督する裁判所は、厚生労働大臣に対し、意見を求め、又は調査を嘱託することができる」に過ぎません(第25条の22の3第3項)。

 つまり、「事前」に意見を求めることが「義務づけ」られているわけではないということです。

 

 

【社労士法】

第25条の22の3(裁判所による監督)

1.社会保険労務士法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。

 

2.裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。

 

3.社会保険労務士法人の解散及び清算を監督する裁判所は、厚生労働大臣に対し、意見を求め、又は調査を嘱託することができる。

 

4.厚生労働大臣は、前項に規定する裁判所に対し、意見を述べることができる。

  

 

 

選択式

次の文中の   の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。

 

1 労働施策総合推進法は、労働者の募集・採用の際に、原則として、年齢制限を禁上しているが、例外事由の一つとして、就職氷河期世代(  )の不安定就労者・無業者に限定した募集・採用を可能にしている。

 

 

2 生涯現役社会の実現に向けた環境を整備するため、65歳以降の定年延長や66歳以降の継続雇用延長、高年齢者の雇用管理制度の整備や定年年齢未満である高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う事業主に対して、「  」を支給している。また、   において高年齢退職予定者の情報を登録して、その能力の活用を希望する事業者に対してこれを紹介する高年齢退職予定者キャリア人材バンク事業を実施している。

 一方、働きたい高年齢求職者の再就職支援のため、全国の主要なハローワークに「生涯現役支援窓口」を設置し、特に65歳以上の高年齢求職者に対して職業生活の再設計に係る支援や支援チームによる就労支援を重点的に行っている。ハローワーク等の紹介により60歳以上の高年齢者等を雇い入れた事業主に対しては、「  」を支給し、高年齢者の就職を促進している。

 既存の企業による雇用の拡大だけでなく、起業によって中高年齢者等の雇用を創出していくことも重要である。そのため、中高年齢者等(  )が起業を行う際に、従業員の募集・採用や教育訓練経費の一部を「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」により助成している。

 

選択肢:

 

A【補正】

①昭和63年4月2日から平成10年4月1日までの間に生まれた者 ②昭和48年4月2日から昭和58年4月1日までの間に生まれた者 ③昭和48年4月2日から昭和63年4月1日までの間に生まれた者 ④昭和43年4月2日から昭和63年4月1日までの間に生まれた者

 

 

〔なお、出題当時の選択式は、次の通りでした。

 

①25歳以上50歳未満 ②30歳以上60歳未満 ③35歳以上50歳未満 ④35歳以上55歳未満〕

 

 

 

B ①65歳超雇用推進助成金 ②キャリアアップ助成金 ③高年齢労働者処遇改善促進助成金 ④産業雇用安定助成金

 

C ①(公財)産業雇用安定センター ②職業能力開発促進センター ③中央職業能力開発協会 ④ハローワーク

 

D ①高年齢雇用継続助成金 ②人材開発支援助成金 ③人材確保等支援助成金 ④特定求職者雇用開発助成金

 

E ①40歳以上 ②45歳以上 ③50歳以上 ④55歳以上

 

 

 

選択式解答

A=④「昭和43年4月2日から昭和63年4月1日までの間に生まれた者」(出題当時は、④「35歳以上55歳未満」が正解でしたが、令和5年4月1日施行の改正により改められています。)(労働施策総合推進法施行規則第10条(労働一般のパスワード)

 

B=①「65歳超雇用推進助成金」(雇用保険法施行規則第103条雇用保険法のパスワード)第104条。「令和2年版 厚生労働白書」254頁(「白書対策講座」の「令和2年版 厚生労働白書」のこちら以下。以下のC~Eの白書についても同じです)

 

C=①「(公財)産業雇用安定センター」(「令和2年版 厚生労働白書」254頁)

 

D=④「特定求職者雇用開発助成金」(雇用保険法施行規則第110条第1項。「令和2年版 厚生労働白書」254頁)

 

E=①「40歳以上」(雇用保険法施行規則第110条の4第5項。「令和2年版 厚生労働白書」254頁)

 

 

 

選択式の論点とリンク先

〔1〕問1 = 空欄のA

 

問1(空欄のA)は、労働施策総合推進法第9条(労働一般のパスワード)の「募集及び採用における年齢制限の禁止」に関する例外の問題です。

前年度の改正事項である「就職氷河期世代に係る暫定措置」からでした(労働一般のこちら)。

 

労働者の能力や適性に基づく募集・採用を行わせるため、募集及び採用における年齢制限は原則として禁止されています(労働施策総合推進法第9条)。

ただし、厚生労働省令で定める場合は、当該禁止の例外が認められています(同法施行規則第1条の3第1項各号)。

例えば、60歳以上の高年齢者に限定して募集・採用する場合には、年齢制限をすることが認められます(同項第3号ニ)。

 

この例外について、令和2年2月14日公布・施行の施行規則の改正により、令和5年3月31日までの暫定措置として、いわゆる就職氷河期世代の労働者の募集及び採用を行う場合が追加されました(同法施行規則附則第10条)。

即ち、 令和5年3月31日までの間、「35歳以上55歳未満である労働者の安定した雇用を促進するため、当該35歳以上55歳未満である労働者の募集及び採用を行うこと(公共職業安定所に求人を申し込んでいる場合であって、安定した職業に就いていない者との間で期間の定めのない労働契約を締結することを目的とし、当該35歳以上55歳未満である労働者が職業に従事した経験があることを求人の条件としない場合に限ります)」が認められます。

就職氷河期世代の労働者の雇用の安定の促進を図る趣旨です。

 

そこで、出題当時、空欄のAは、「35歳以上55歳未満」が正解でした(当サイトの本文中では、「35歳以上55歳未満」という年齢要件について赤字で強調はしていますが、「直前対策講座」で取り上げることができませんでした。この空欄Aを正解しませんと、本問は苦しくなります)。

 

しかし、この出題後、本件暫定措置は、令和5年4月1日施行の改正により、令和年3月31日までの2年間延長されるとともに、令和4年度に当該暫定措置の対象となっている35歳から54歳までに到達する者について、引き続き支援する観点から、当該暫定措置の対象範囲が「昭和43年4月2日から昭和63年4月1日までの間に生まれた者」に改められました。

よって、現在では、空欄Aは、「昭和43年4月2日から昭和63年4月1日までの間に生まれた者」が正しいことになります。

詳細は、労働施策合総推進法のこちら以下です。

 

ちなみに、就職氷河期世代については、「令和2年 厚生労働白書」でも取り上げられており、当サイトも「白書対策講座」の【設問15】及び【設問16】(こちら以下(白書対策講座のパスワード))では、設問化していましたが、本空欄のAとは直接結びつきにくい内容でした。 

 

 

〔2〕問2 = 空欄のB~E

 

問2(空欄のB以下)は、「令和2年版 厚生労働白書」の254頁からの出題です(当サイトの「白書対策講座」の「令和2年版 厚生労働白書」のこちらです)。

この「白書対策講座」では、一応、助成金の名前は太字にしていますが、設例を作成していず、ウェイトを置いていませんでした。

 

この問2は、厚生労働白書からの出題とはいっても、その実質は雇用保険法の雇用保険二事業助成金の問題です。

近時、雇用保険法から、雇用保険二事業(助成金等)の出題が多いのですが、今回は選択式として出題され、厳しい内容となりました。

当サイトの雇用保険法の雇用保険二事業の雇用保険法のこちら以下の「3 65歳超雇用推進助成金」(こちら以下)、「6 特定求職者雇用開発助成金」(こちら以下)及び「8 中途採用等支援助成金」(こちら以下) において、空欄のB・D・Eの助成金名は挙げていますが、改正事項についてごく簡単に触れているだけであり、それらのリンク先の助成金の解説中でも十分な説明はしていません(ただし、リンク先では、必要最低限度の内容については触れており、お読み頂いていれば、本問について正答できる程度には掲載しています)。

 

なお、空欄Eの「40歳以上」については、前記の「白書対策講座」では触れていますが、太字にもなっていず、雇用保険法の方では触れていません(論点となった「中途採用等支援助成金」には、設問の「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」のほかに、令和3年4月1日施行の改正でも見直されている「中途採用拡大コース奨励金」があり、そこでは、「45歳以上の者」を初めて採用した場合などが支給対象となっており、非常に紛らわしいこととなっています)。

 

ちなみに、高年齢者雇用安定法では、「中高年齢者」の年齢要件を「45歳以上」としており(同法施行規則第2条労働一般のこちら以下)、これを思い出してしまうと間違えることになります。

 

知識がない前提で本問を解く場合は、空欄Bについては、「65歳以降」や「66歳以上」とあることから、「65歳超雇用推進助成金」を選択することが可能ではあり、おそらく、B以降の空欄では、このBがもっとも正答しやすいのではないかと思います。

空欄のC(「(公財)産業雇用安定センター」)については、正答することは、厳しいです。空欄のDについては、「60歳以上の高年齢者等を雇い入れた事業主に対して」支給されるとありますから、選択肢中、「雇用継続」とある「①高年齢者雇用継続助成金」は除外しやすいかもしれません(「高年齢者雇用継続助成金」などは、存在しませんが)。

そして、「60歳以上の高年齢者等」と限定されていることからは、「特定求職者」であると結びつけることは可能ではあります。

 

結論として、今回の労働一般の選択式は、空欄Aの就職氷河期世代の年齢要件について、思考をめぐらせてなんとか正解する他に、BかDのいずれかを正解し、あるいはEの「中高齢者等」について、常識から選択肢の①「40歳以上」か②「45歳以上」であると絞って正解する、といったように、かなり運が左右しかねないものとなっています。

 

今後の対応として、まず、従来と同様に、厚生労働白書と労働経済白書は重視する必要があります。

 

これらから直接出題されなくても、これらを読み込むことによって、一般常識の基礎力が養われます(ただし、白書には、例えば、「ゲノム医療」とか、「福祉・介護人材」といった社労士試験には関係しない事項の記載も少なくないため、内容を取捨選択してお読み頂く必要があります。当サイトの「白書対策講座」をお読み頂ければ、基本的な対応は可能です)。

 

さらに、雇用保険法の問題ですが、雇用保険二事業については、助成金の基本的な内容は押さえる必要が出てきました。それに加え、直近の改正箇所をチェックする必要があります。

この点は、毎年度4月に助成金の内容が大きく変わりますので、基本的には来年4月以降から本格的に学習するということになります。

 

なお、今回の労働一般の選択式も、前年度に引き続き、労働経済のデータからの出題ではありません。現在、コロナ禍のもとで、統計値が変容しているといった影響もあるのかもしれません。

ただ、労働一般の択一式の方では、依然としてデータから出題されており、選択式においても、基本的にはこれまでと同様の準備が必要です。

データについては、後述の通り、今回も、当サイトの「白書対策講座」では結構、的中しているないし論点を捉えているものがあり、今後も「白書対策講座」をベースに、その他、市販の雑誌等も利用して、労働経済に関する設問を多く解いて頂き、設問からデータに馴染んで頂くことが有用です。

 

 

総評

選択式については、以上の通り、非常に難問でしたが、分析及び今後の対応については前述しました。

 

択一式については、【問1】は、肢のAとBで迷うところであり、正解することは厳しかったかもしれません。

 

【問2】は、当サイトの「白書対策講座」が成果を挙げており、当サイトで学習された方は正答できたといえます。 

 

【問3】の労働契約法に関する設問は、すべて通達(平成24年改正法施行通達)からの出題となっています。

この通達を一度も読んでいませんと、処理に手こずるおそれがあります。

当サイトでは、この通達を従来から掲載していますが(ただし、【令和3年問3D】に関する通達の部分については、従来、「(読まないで結構です)」などと記載していたため、今回、「(学習が進んだ段階でお読み下さい)」に書き換えました)、今後も、同通達について学習しておく必要があります。

 

【問4】の労働一般の各法からの出題については、肢イ(「高年齢者雇用安定法」の「高年齢者就業確保措置」)と肢ウ(「労働施策総合推進法」の「職場におけるパワーハラスメント」の防止対策)の2肢が、直近の改正事項からでした。

また、肢エ(「短時間・有期雇用労働法」の「不合理な待遇の禁止」)も、前年度の改正事項です(中小事業主については、今年度の改正事項でした)。

さらに、選択式の空欄Aも、前年度の改正事項です。

このように、労働一般では、近時の改正事項が狙われており、今後も改正事項については注意です。

【問4】の内容としては、通常の学習をしていれば正答できるものでした。

 

【問5】は、社労士法です。社労士法については、学習時間が限定されてしまう問題はありますが、そう難しい出題がなされるわけではなく、市販書に記載されている事項を覚えれば十分です。毎年度出題されますので、本試験直前ではないどこかの時期に、少し力を入れて学習してみて下さい。

 

 

以上、令和3年度の労働一般でした。

 

 

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